特許第6285440号(P6285440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285440融合二環式スルファモイル誘導体並びにB型肝炎の治療のための薬剤としてのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285440
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】融合二環式スルファモイル誘導体並びにB型肝炎の治療のための薬剤としてのその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 231/56 20060101AFI20180215BHJP
   C07D 261/20 20060101ALI20180215BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20180215BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/416 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20180215BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20180215BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20180215BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   C07D231/56 FCSP
   C07D261/20
   C07D405/12
   C07D471/04 108X
   C07D471/04 101
   A61K31/416
   A61K31/423
   A61K31/437
   A61P31/20
   A61P1/16
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-529004(P2015-529004)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-531772(P2015-531772A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】EP2013067814
(87)【国際公開番号】WO2014033167
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】12182078.1
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510020022
【氏名又は名称】ヤンセン・サイエンシズ・アイルランド・ユーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンディック,コーエン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルシューレン,ウィム,ガストン
(72)【発明者】
【氏名】ラボイソン,ピエール,ジーン−マリー,ベルナルド
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第03/002518(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/061856(WO,A1)
【文献】 Weber, O. et al.,Antiviral Research,2002年,vol.54,p.69-78
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型
(式中、
Aは、N、C若しくはOを表し;
Bは、C若しくはNを表し;
Dは、C若しくはNを表し;
Eは、C若しくはNを表し;
A及びEがN又はCのいずれかである場合、これらは、可能な場合により置換されており;
は、水素又はC〜Cアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R、ベンジル、又は任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このようなC〜Cアルキル、又は3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH若しくはCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
あるいは、R、Rは、それらが結合している窒素と一緒に、5〜7員飽和環を形成し、これは、任意選択で、水素、ハロゲン、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
各Rは、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CF、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択され;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−(C=O)C〜C−アルキル、−(C=O)−C〜Cアルキルオキシを表すか、又はA若しくはEがCと等しい場合、Rは、上記以外にハロゲンであってもよく;
は、水素若しくはハロゲンを表し;
は、任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このような3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている)、
又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物。
【請求項2】
が、C〜Cアルキル−R又はC〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており、また、Rが、C〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている、請求項1に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項3】
少なくとも1つのRが、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択される、請求項1又は2に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項4】
式(Ib)又は(Ic)
【化2】
(式中、R、R及びRは、請求項1〜3のいずれか1項と同様に定義される)の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項5】
が、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、及びC〜Cアルキルからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項6】
少なくとも1つのRが、フルオル、C〜Cアルキル又はシクロプロピルから独立に選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項7】
が、水素又はメチルを表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項8】
が、水素を表す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物
【請求項9】
以下の表から選択される化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【請求項10】
請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物と、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物におけるHBV感染の予防又は治療での使用のための求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(a)請求項1〜のいずれか1項に記載の合物又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物と、(b)別のHBV阻害薬とを、HBV感染の治療に際して同時、個別若しくは逐次使用するための併用製剤として含む製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、ヘパドナウイルス(Hepadnavirus)科のエンベロープウイルスで、部分的二本鎖DNA(dsDNA)ウイルス(ヘパドナウイルス(Hepadnaviridae))である。そのゲノムは、4つの重複するリーディングフレーム:プレコア/コア遺伝子;ポリメラーゼ遺伝子;3つのエンベロープタンパク質をコードするL、M及びS遺伝子;並びにX遺伝子を含む。
【0002】
感染すると、部分的二本鎖DNAゲノム(弛緩型環状DNA;rcDNA)は、宿主細胞の核内で共有結合閉環状DNA(cccDNA)に変換され、ウイルスmRNAが転写される。いったんキャプシドが形成されたら、コアタンパク質及びPolもコードするプレゲノムRNA(pgRNA)が、逆転写のための鋳型の役割を果たし、ヌクレオキャプシド内で部分的dsDNAゲノム(rcDNA)を再生する。
【0003】
HBVは、アジア及びアフリカの一部で伝染病を引き起こしており、中国において流行している。HBVは、世界中で20億人に感染し、そのうち約3億5千万人が、慢性感染を発症している。このウイルスは、B型肝炎の原因であり、慢性感染は、硬変及び肝細胞癌の発症の極めて高いリスクと相関している。
【0004】
B型肝炎の伝播は、感染血液又は体液にさらされることによって起こるが、ウイルスのDNAは、血清中に高力価のDNAを有する慢性保菌者の唾液、涙、及び尿中に検出されている。
【0005】
有効で、しかも耐用性が良好なワクチンは存在するが、直接治療の選択肢は、現在のところインターフェロンと、次の抗ウイルス薬:テノフォビル、ラミブジン、アデフォビル、エンテカビル及びテレビブジンに限定されている。
【0006】
ヘテロアリールジヒドロピリミジン(HAP)が、組織培養物及び動物モデルにおいてHBV阻害薬の1クラスとして同定された(Weber et al.,Antiviral Res.54:69−78)。
【0007】
さらに、2013年1月10日に公開された国際公開第2013/006394号パンフレット、及び2013年7月27日に公開された国際公開第2013/096744号パンフレットは、HBVに対して活性のスルファモイル−アリールアミドのサブクラスに関する。
【0008】
HBV直接抗ウイルス薬が直面し得る問題としては、毒性、突然変異誘発性、選択性の乏しさ、低い有効性、低い生物学的利用能及び合成の難しさが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これら問題点の少なくとも1つを解消することができる別のHBV阻害薬が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、式(I):
【化1】

により表すことができる化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性型、又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物を提供し、
式中、
Aは、N、C若しくはOを表し;
Bは、C若しくはNを表し;
Dは、C若しくはNを表し;
Eは、C若しくはNを表し;
A及びEがN又はCのいずれかである場合、これらは、任意選択で、Rにより置換されており;
は、水素又はC〜Cアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R、ベンジル、又は任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このようなC〜Cアルキル、又は3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH若しくはCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
あるいは、R、Rは、それらが結合している窒素と一緒に、5〜7員飽和環を形成し、これは、任意選択で、水素、ハロゲン、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
各Rは、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CF、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択され;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−(C=O)C〜C−アルキル、−(C=O)−C〜Cアルキルオキシを表すか、又はA若しくはEがCと等しい場合、Rは、上記以外にハロゲンであってもよく;
は、水素若しくはハロゲンを表し;
は、任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このような3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている。
【0011】
本発明はさらに、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0012】
本発明はまた、薬剤、好ましくは哺乳動物におけるHBV感染の予防又は治療に用いるための式(I)の化合物にも関する。
【0013】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物と、別のHBV阻害薬との併用に関する。
【0014】
定義
基又は基の一部としての「C1〜3アルキル」又は「C〜Cアルキル」という用語は、式:C2n+1のヒドロカルボニルラジカルを指し、式中、nは、1〜3の数である。C1〜3アルキルが、別のラジカルと結合している場合、これは、式:C2nを指す。C1〜3アルキル基は、1〜3個の炭素原子、より好ましくは、1〜2個の炭素原子を含む。C1〜3アルキルとしては、1〜3個の炭素原子を含む、全ての直鎖、又は分岐鎖アルキル基が挙げられ、従って、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、及びi−プロピルなどを含む。
【0015】
基又は基の一部としての「C1〜3アルキルオキシ」という用語は、式:ORを有するラジカルを指し、式中、Rは、C1〜3アルキルである。好適なC1〜3アルキルオキシの非限定的例としては、メチルオキシ(また、メトキシ)、エチルオキシ(また、エトキシ)、プロピルオキシ及びイソプロピルオキシが挙げられる。
【0016】
本明細書で用いる場合、「3〜7員飽和環」という用語は、3、4、5、6又は7個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルの総称である。
【0017】
このような飽和環は、少なくとも1個の炭素原子が、N、O及びS、特にN及びOから選択されるヘテロ原子により置換されるように、任意選択で1個又は複数のヘテロ原子を含む。例としては、オキセタン、テトラヒドロ−2H−ピラニル、ピペリジニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル及びピロリジニルが挙げられる。
【0018】
本明細書で用いる場合、
【化2】

は、少なくともB、D若しくはEが、窒素により、又はAがN若しくはOにより置換されるように、任意選択で1個又は複数のヘテロ原子を含む融合二環式基を意味する((ヘテロ−)アリール)。表示する(ヘテロ−)アリール基は、ある程度の芳香族性を有するだけでよい。例示的な(ヘテロ−)アリール基としては、限定しないが、ベンゾフラン、インドール、イソインドール、インダゾール、イミダゾピリジン及びベンズイソキサゾールが挙げられる。好ましいのは、ベンズイソキサゾール及びインダゾールである。
【0019】
各種複素環の様々な異性体が、本明細書全体を通して用いられる定義の範囲に存在し得ることは留意すべきである。例えば、ピロリルは、1H−ピロリル又は2H−ピロリルのいずれであってもよい。
【0020】
ハロという用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードの総称である。
【0021】
また、この定義に用いられる任意の分子部分におけるラジカルの位置は、化学的に安定である限りにおいて、当該部分のどこであってもよいことにも留意すべきである。例えば、ピリジルは、2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルを含み;ペンチルは、1−ペンチル、2−ペンチル及び3−ペンチルを含む。
【0022】
いずれかの構成要素に何らかの変数(例えば、ハロゲン又はC1〜4アルキル)が2回以上起こる場合、各々の定義は独立している。
【0023】
治療用途のために、式(I)の化合物の塩は、対イオンが、薬学的又は生理学的に許容される塩である。しかし、薬学的に許容されない対イオンを有する塩を、例えば、薬学的に許容される式(I)の化合物の調製又は精製に用いてよい場合もある。薬学的に許容されるか、又はされないかにかかわらず、あらゆる塩が本発明の範囲に含まれる。
【0024】
本発明の化合物が形成することのできる薬学的又は生理学に許容される付加塩形態は、適切な酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸若しくは臭化水素酸);硫酸;ヘミ硫酸、硝酸;リン酸及びこれらに類する酸などの無機酸;又は例えば、酢酸、アスパラギン酸、ドデシル硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、ギ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモイン酸及びこれらに類する酸などの有機酸を用いて、好都合に調製することができる。
【0025】
これとは逆に、前記酸付加塩形態は、適切な塩基を用いた処理により、遊離塩基形態に変換することもできる。
【0026】
「塩」という用語はまた、本発明の化合物が形成することのできる水和物及び溶媒付加形態も含む。このような形態の例として、例えば、水和物、アルコラートなどがある。
【0027】
本化合物は、その互変異性型で存在してもよく、例えば、アミド(−C(=O)−NH−)基の互変異性型は、イミノアルコール(−C(OH)=N−)である。互変異性型は、本明細書には構造式で明示していないが、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0028】
本発明の化合物の立体化学的異性体という用語は、前文で用いたように、本発明の化合物が有し得るあらゆる可能な化合物を定義し、これらは、同じシーケンスの結合により結合されている同じ原子から構成されるが、交換可能ではない異なる3次元構造を有する。特に記載又は指示のない限り、化合物の化学的呼称は、前記化合物が有し得るあらゆる可能な立体化学的異性体の混合物を包含する。前記混合物は、前記化合物の基本的分子構造のあらゆるジアステレオマー及び/又はエナンチオマーを含み得る。本発明の化合物の全ての立体化学的異性体は、純粋な形態又は互いの混合物のいずれも、本発明の範囲に包含されるものとする。
【0029】
本明細書に記載する純粋な立体異性型及び中間体は、前記化合物又は中間体の同じ基本的分子構造の他のエナンチオマー若しくはジアステレオマー形態を実質的に含まない異性体として定義される。特に、「立体異性体として純粋な」という用語は、少なくとも80%(すなわち、1異性体が最低90%で、考えられる他の異性体が最大10%)の立体異性体過剰率から100%(すなわち、1異性体が100%で、他の異性体は全く含まない)の立体異性体過剰率までを有する化合物又は中間体、より具体的には、90%〜100%までの立体異性体過剰率、さらに具体的には、94%〜100%までの立体異性体過剰率、とりわけ、97%〜100%までの立体異性体過剰率を有する化合物又は中間体に関する。「エナンチオマーとして純粋な」及び「ジアステレオマーとして純粋な」という用語も同様に理解すべきであるが、その場合、該当する混合物の、それぞれエナンチオマー過剰率、及びジアステレオマー過剰率に関して述べるものとする。
【0030】
本発明の化合物及び中間体の純粋な立体異性型は、当分野で公知の方法を用いて得ることができる。例えば、エナンチオマーは、光学活性酸又は塩基によるそれらのジアステレオマー塩の選択的結晶化により、互いに分離することができる。その例としては、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸及びカンファースルホン酸がある。あるいは、エナンチオマーは、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー技術により分離してもよい。前記の純粋な立体異性型は、反応が立体特異的に起こるのであれば、適切な出発材料の対応する純粋な立体異性型から誘導することもできる。好ましくは、特定の立体異性体が要望される場合、立体特異的な調製方法により、前記化合物を合成する。これらの方法は、有利には、エナンチオマーとして純粋な出発材料を使用する。
【0031】
式(I)のジアステレオマーラセミ体は、従来の方法により個別に取得することができる。有利に用いることができる好適な物理的分離は、例えば、選択的結晶化及びクロマトグラフィー、例えば、カラムクロマトグラフィーである。
【0032】
本発明はまた、本化合物に存在する原子のあらゆるイソ型を包含することも意図する。同位体は、原子番号は同じだが、質量数が異なる原子を含む。一般的例として、限定しないが、水素の同位体としては、トリチウム及びジュウテリウムがある。炭素の同位体としては、C−13及びC−14がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で用いられる場合は必ず、「式(I)の化合物」
【化3】

という用語、若しくは「本化合物」又は類似の用語は、一般式(I)、(Ia)、(Ib)、(I−I)、(I−II)の化合物、それらの塩、立体異性型及びラセミ混合物又は任意のサブグループを含むものとする。
【0034】
本発明によれば、式(I)において、
Aは、N、C若しくはOを表し;
Bは、C若しくはNを表し;
Dは、C若しくはNを表し;
Eは、C若しくはNを表し;
A及びEが、N又はCのいずれかである場合、これらは任意選択で、Rにより置換されており;
は、水素又はC〜Cアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R、ベンジル、又は任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このようなC〜Cアルキル、又は3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH若しくはCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
あるいは、R、Rは、それらが結合している窒素と一緒に、5〜7員飽和環を形成し、これは、任意選択で、水素、ハロゲン、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
各Rは、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CF、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択され;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−(C=O)C〜C−アルキル、−(C=O)−C〜Cアルキルオキシを表すか、又はA若しくはEがCと等しい場合、Rは、上記以外にハロゲンであってもよく;
は、水素若しくはハロゲンを表し;
は、任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このような3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている。
【0035】
本発明の第1の実施形態において、Rは、水素、C〜Cシクロアルキル、−(C=O)C〜C−アルキル、−(C=O)−C〜Cアルキルオキシを表すか、又はA若しくはEがCと等しい場合、Rは、上記以外にハロゲンであってもよい。
【0036】
本発明の一実施形態において、Rは、水素又はメチルを表す。本発明の第2の実施形態において、Rは、C〜Cアルキル−R、又はC〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
また、ここで、Rは、C〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている。
【0037】
第3の実施形態において、Rは、C〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている。また別の実施形態では、Rは、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、及びC〜Cアルキルからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている。
【0038】
別の実施形態において、Rは、フルオル(Fluor)、C〜Cアルキル又はシクロプロピルを表す。好ましくは、少なくとも1つのRが、メチル、i−プロピル又はシクロプロピルを表す。別の実施形態では、1つのRが、メチル、i−プロピル又はシクロプロピルを表し、他方のRが、フルオル、又は水素を表す。
【0039】
好ましくは、Rは、水素を表す。
【0040】
好ましい実施形態において、化合物は、式(I−I)又は(I−II)
【化4】

により表され、式中、R、R、Rは、前述と同様に定義される。
【0041】
副次的又は好ましい実施形態のいずれかのさらなる組合せも、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0042】
最も好ましいものは、表1に示す化合物である。
【0043】
別の態様では、本発明は、治療又は予防有効量の本明細書に記載する式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に関する。本発明に関して、予防有効量とは、感染する危険性のある被験者において、HBV感染を予防するのに十分な量である。本発明に関して、治療有効量とは、感染患者において、HBV感染を安定化させる、HBV感染を軽減する、又はHBV感染を根治するのに十分な量である。また別の態様では、本発明は、本明細書に記載する医薬組成物を調製する方法に関し、この方法は、薬学的に許容される担体と、治療又は予防有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物を密に混合することを含む。
【0044】
従って、本発明の化合物又はそのいずれかのサブグループを、投与目的のための様々な医薬形態に製剤化してよい。好適な組成物として、全身投与薬のために通常使用される全ての組成物が挙げられる。本発明の医薬組成物を調製するために、活性成分として、任意選択で付加塩形態をした有効量の特定の化合物を薬学的に許容される担体と密な混合物として併用するが、この担体は、投与に要望される製剤の形態に応じて多様な形態を取り得る。これらの医薬組成物は、特に、経口、直腸、経皮投与、又は非経口注射に好適な単位剤形であるのが望ましい。例えば、経口剤形の組成物を調製する場合、常用の医薬媒体のどれを用いてもよく、このようなものとして、例えば、懸濁液、シロップ、エレキシル、乳剤及び溶液のような経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油、アルコールなど;又は粉末、丸薬、カプセル、及び錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固体担体が挙げられる。投与しやすさの点から、錠剤及びカプセルが、最も有利な経口単位剤形であり、その場合、固体の医薬担体が使用される。非経口組成物の場合には、担体は、少なくとも大部分が滅菌水を含むが、例えば、溶解性を高めるための他の成分を含有してもよい。例えば、注射液は、食塩水、グルコース液又は食塩水とグルコース液の混合物を含む担体と一緒に調製することができる。また、注射懸濁液を調製することも可能であり、その場合、適切な液体担体、懸濁液などを使用してよい。さらに、使用の直前に液体製剤に変換するための固体剤形も含まれる。経皮投与に好適な組成物において、担体は、任意選択で、透過増強剤及び/又は好適な湿潤剤を含み、任意選択で、わずかな割合で任意の種類の好適な添加剤と組み合わせてもよく、こうした添加剤は、皮膚に有意な有害作用を引き起こさない。本発明の化合物はまた、いずれか公知の送達装置を用いて、溶液、懸濁液又は乾燥粉末の形態での経口吸入又は通気により投与することも可能である。
【0045】
投与しやすさ及び投薬の均一性のために、前述した医薬組成物を単位剤形に製剤化するのが特に有利である。本明細書で用いる単位剤形は、単位投与量として好適な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬担体と連携して、目的とする治療効果を生み出すように計算された所定量の活性成分を含む。このような単位剤形の例としては、錠剤(分割錠剤若しくは糖衣錠を含む)、カプセル、丸薬、座薬、丸薬、散在分包、ウエハース、注射液又は懸濁液など、並びにこれらを複数に分割したものが挙げられる。
【0046】
式(I)の化合物は、HBV複製周期の阻害薬として活性であり、HBV感染又はHBVに関連する疾患の治療及び予防に用いることができる。後者には、進行性肝線維症、炎症及び壊死が含まれ、これらは、硬化、末期肝疾患、及び肝細胞癌を招く。
【0047】
その抗ウイルス性、特に抗HBV性により、式(I)の化合物又はその任意のサブグループは、HBV複製周期の阻害、特にHBVに感染した温血動物、とりわけヒトの治療において、並びにHBV感染の予防に有用である。本発明はさらに、HBVに感染した、又はHBV感染の危険性がある温血動物、とりわけヒトを治療する方法に関し、前記方法は、治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。
【0048】
従って、本明細書に記載のように、式(I)の化合物は、薬剤、特に、HBV感染を治療又は予防する薬剤として用いることができる。薬剤としての前記使用、又は治療の方法は、HBVに感染した被験者又はHBV感染が疑われる被験者に対する、HBV感染に関連する病状を除去するのに有効な量又はHBV感染を予防するのに有効な量の全身投与を含む。
【0049】
本発明は、HBV感染の治療又は予防のための薬剤の製造における本化合物の使用にも関する。
【0050】
一般に、抗ウイルスに有効な1日量は、約0.01〜約50mg/kg、又は約0.01〜約30mg/kg(体重)であると考えられる。1日を通して適切な間隔で、2、3、4以上の部分量として必要な用量を投与するのが好適な場合もある。前記部分量は、例えば、単位剤形当たり約1〜約500mg、又は約1〜約300mg、約1〜約100mg、又は約2〜約50mgの活性成分を含む単位剤形として製剤化してもよい。
【0051】
本発明はまた、本明細書に記載する式(I)の化合物又はそのいずれかのサブグループと、他の抗HBV薬の併用にも関する。「併用」という用語は、(a)前述した式(I)の化合物と、(b)HBV感染を治療することができる少なくとも1種の他の化合物(本明細書では抗HBV薬と呼ぶ)とを含む製薬又はキットに関し、これらは、HBV感染の治療における同時、個別若しくは逐次使用のための併用製剤として含まれる。一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はそのいずれかのサブグループと、少なくとも1種の抗HBV薬の併用に関する。特定の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物又はそのいずれかのサブグループと、少なくとも2種の抗HBV薬の併用に関する。特定の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はそのいずれかのサブグループと、少なくとも3種の抗HBV薬の併用に関する。特定の実施形態では、本発明は、式(I)の化合物又はそのいずれかのサブグループと、少なくとも4種の抗HBV薬の併用に関する。
【0052】
既に周知の抗HBV薬、例えば、インターフェロン−α(IFN−α)、ペギル化インターフェロン−α、3TC、アデフォビル又はこれらの組合せと、式(I)の化合物又はそのサブグループとの併用を併用療法の薬剤として使用することができる。
【実施例】
【0053】
一般的合成方法
一般的合成:
一般式(Ia)の化合物(Eが窒素であり、B及びDが炭素であり、Aが窒素又は炭素である化合物I、スキーム1)をスキーム1に示すように合成することができる。5−(クロロスルホニル)−2−フルオロ安息香酸誘導体IIを構造IIIのアミンとカップリングすることにより、スルホンアミドIVが得られる。例えば、DMF中のN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)のような有機塩基の存在下でHATUを用いることによる、カルボン酸IV及びアニリンV同士のアミド形成によって、化合物VIが得られる。チオアミドVIIは、ローソン試薬(2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド)のようなチオール化剤とVIの反応により得ることができる。最後に、化合物VIIを、Aが酸素の場合にはNHOHと、又はAが窒素の場合にはNHNHと、比較的高温(例えば、DMSO中で120℃〜150℃)で反応させることにより、化合物Iaを取得する。
【化5】

【化6】
【0054】
あるいは、一般式(Ia)の化合物の合成のために、スキーム2に記載する経路を用いることもできる。化合物VIIIは、式(III)のアミンと反応させて、化合物IXを得ることができ、これを、例えば、化合物XにおいてAがNHと等しい場合、110℃で、iPrOH中のヒドラジンを用いることにより、式Xの化合物に環化する。例えば、ボロン酸XIを用いた銅触媒のカップリングにより、化合物Xを一般式(Ia)の化合物にさらに変換することができる。
【化7】
【0055】
スキーム3は、一般式(Ib)の化合物の一般的合成を示す。化合物XIIをチオイソシアネートXIIIと反応させ、形成された中間体を、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルメタンジイミン又は2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物の影響下で、一般式(Ib)の化合物に環化することにより。一般式XIIa及びXIIbの化合物は、スキーム4に示すように、また化合物17、18及び19の合成で例示するように調製することができる。
【化8】
【0056】
実験:
LCMS条件:
方法A:一般:移動相A:HO(0.1%TFA;B:CHCN(0.05%TFA)停止時間:2分;勾配時間(分)[%A/%B]0.01[90/10]〜0.9[20/80]〜1.5[20/80]〜1.51[90/10];流量:1.2mL/分;カラム温度:50℃、Xtimate C18 2.1*30mm、3μm。
【0057】
方法B:一般:移動相A:HO(0.1%TFA;B:CHCN(0.05%TFA)停止時間:10分;勾配時間(分)[%A/%B]0.0[90/10]〜0.8[90/10]〜4.5[20/80]〜7.5[20/80]〜8.0[90/10];流量:0.8mL/分;カラム温度:50℃、YMC−PACK ODS−AQ、50×2.0mm、5μm。
【0058】
方法C:一般:移動相A:HO(0.1%TFA;B:CHCN(0.05%TFA)停止時間:10分;勾配時間(分)[%A/%B]0.0[70/30]〜0.8[70/30]〜4[10/90]〜7.5[10/90]〜8.0[70/30];流量:0.8mL/分;カラム温度:50℃ YMC−PACK ODS−AQ、50×2.0mm、5μm。
【0059】
方法D:一般:移動相A:HO(0.1%TFA;B:CHCN(0.05%TFA)停止時間:10分;勾配時間(分)[%A/%B]0.0[100/0]〜1[100/0]〜5[40/60]〜7.5[40/60]〜8.0[100/0];流量:0.8mL/分;カラム温度:50℃、YMC−PACK ODS−AQ、50×2.0mm、5μm。
【0060】
方法E:一般:移動相A:HO(0.1%TFA);B:CHCN(0.05%TFA)停止時間:10分;勾配時間(分)[%A/%B]0.0[90/10]〜0.8[90/10]〜4.5[20/80]〜7.5[20/80]〜9.5[90/10];流量:0.8mL/分;カラム温度:50℃、Agilent TC−C18、50×2.1mm、5μm。
【0061】
方法F:カラムヒータ(55℃に設定)を備えるAcquity UPLC(Waters)を用いて、LC測定を実施した。逆相UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)を、流量0.8mL/分のAcquity UPLC HSS T3カラム(1.8μm、2.1×100mm;Waters Acquity)上で実施した。2つの移動相(A:HO/アセトニトリル95/5中の10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル)を用いて、2.1分で100%A及び0%Bから5%A及び95%Bへ、続いて、0.9分で0%A及び100%Bへ、次に0.5分で5%A及び95%Bへと勾配状態を実施した。1μlの注入量を用いた。コーン(Cone)電圧は、正のイオン化モードの場合30Vであり、負のイオン化モードの場合30Vであった。
【0062】
化合物の合成:
【化9】

EtOAc(75mL)中の5−(クロロスルホニル)−2−フルオロ安息香酸(5.5g、23.05mモル)に、シクロヘキサンアミン(6.86g、69.15mモル)を室温で添加した。反応混合物を室温で10分撹拌した後、1N HCl(50mL)で洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、真空で濃縮することにより、5−(N−シクロヘキシルスルファモイル)−2−フルオロ安息香酸を含有する白色の固体(6g)が得られ、これをそれ以上精製せずに次のステップでそのまま使用した。DMF(30mL)中の上記の取得した固体の一部(1.5g)、4−フルオロアニリン(553mg、4.98mモル)及びDIPEA(1.287g、9.96mモル)に、HATU(2.27g、5.97mモル)を室温で添加した。混合物を室温で15時間撹拌した。EtOAc(300mL)及び水(200mL)を添加し、混合物を塩水(2×200mL)で洗浄してから、MgSOで乾燥させ、濾過した後、濃縮することにより、化合物1を得た。方法A;保持時間:1.12分。m/z:395.1(M+H)精密質量:394.1;
【0063】
【化10】

トルエン(40mL)中の化合物1(1.5g、3.8mモル)及び2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3,2,4−ジチアジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(ローソン試薬923mg、2.28mモル)を110℃で15時間撹拌した。混合物を真空で濃縮することにより、黄色い固体(2.2g)を得た。化合物2を含有するこの固体を次の反応でそのまま使用した。
【0064】
【化11】

DMSO(15mL)中の化合物2含有の上記の取得した固体の一部(700mg)及びN.HO(546mg、17mモル)を150℃で5時間撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAc(150mL)で抽出した。有機層を塩水で洗浄してから、乾燥させ、真空で濃縮することにより、残留物を得た。得られた残留物をMeOH−水から再結晶させてから、濾過し、真空で乾燥させた後、薄い黄色の固体として化合物3(280mg)を得た。方法B;保持時間:4.52分。m/z:389.2(M+H)精密質量:388.1;H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 12.41(1H,s)、9.26(1H,s)、8.60(1H,d,J=1.0Hz)、7.66〜7.82(3H,m)、7.41〜7.62(2H,m)、7.02〜7.21(2H,m)、2.78〜3.04(1H,m)、1.46〜1.69(4H,m)、1.32〜1.46(1H,m)、0.89〜1.30(5H,m)。
【0065】
【化12】

DMSO(20mL)及び水(4mL)中の化合物2含有の上記の取得した固体の一部(1g)、NaCO(2.58g、24.3mモル)及びNHOH.HCl(1.69g、24.3mモル)を120℃で5時間撹拌した。水を添加し、混合物をEtOAc(150mL)で抽出し、有機層を塩水で洗浄し、乾燥させた後、真空で濃縮することにより、残留物を得た。この残留物を、分取HPLC(Phenomenex Synergi max−RP 150×30mm;移動相A:精製水(0.075%TFA,V/V);移動相B:アセトニトリル;流量:30mL/分;勾配:53〜83%により8分にわたって精製することにより、白色の固体として化合物4(120mg)を得た。方法C;保持時間:3.79分。m/z:390.3(M+H)精密質量:389.1;H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 9.90(1H,s)、8.75(1H,d,J=1.5Hz)、8.04(1H,dd,J=9.0,1.5Hz)、7.83(1H,d,J=9.0Hz)、7.75(1H,d,J=7.5Hz)、7.67〜7.73(2H,m)、7.16〜7.30(2H,m)、2.90〜3.02(1H,m)、1.48〜1.65(4H,m)、1.37〜1.49(1H,m)、0.95〜1.21(5H,m)。
【0066】
【化13】

シクロペンタンアミン(17.85g、210mモル)及びNaOH(16.8g、420mモル)をTHF(300mL)及びHO(300mL)に溶解させた。5−(クロロスルホニル)−2−フルオロ安息香酸(50g、210mモル)を0℃で添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで洗浄した(3×50mL)。水層を分離し、1N HClでpH=3に調節した。形成された沈殿物を濾過し、真空で乾燥させることにより、5−(N−シクロペンチルスルファモイル)−2−フルオロ安息香酸(40g)を得た。5−(N−シクロペンチルスルファモイル)−2−フルオロ安息香酸(40g、139.4mモル)、4−フルオロアニリン(19.3g、167.2mモル)及びトリエチルアミン(28.2g、278.8mモル)をDMF(400mL)に溶解させた。HATU(63g、167.2mモル)を0℃で添加した後、混合物を20℃で6時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=5:1)で精製することにより、5−(N−シクロペンチルスルファモイル)−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(38g)が得られた。5−(N−シクロペンチルスルファモイル)−2−フルオロ−N−(4−フルオロフェニル)ベンズアミド(38g、100mモル)及びローソン試薬(40.4g、100mモル)をトルエン(1000mL)に溶解させた。混合物を120℃で16時間撹拌した。揮発物を真空で除去し、得られた残留物及びN−HO(80mL)を1,4−ジオキサン(500mL)に溶解させた。混合物を160℃で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を高性能液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Synergi Diamonsil 150*20mm*5um。方法:A中25〜55%のB;A:HO+0.1%TFA B:CHCN。流量(mL/分):40)により精製した。純粋な画分を回収し、飽和水性NaHCO3でpH=7に塩基性化した。有機揮発物を真空で除去した後、水層を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄してから、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を水(5mL)に懸濁させた後、水層を乾燥まで凍結乾燥させることにより、化合物5(15g)を得た。方法B;保持時間:4.14分。m/z:375.2(M+H)精密質量:374.1;H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 1.26〜1.33(m,2H)、1.33〜1.40(m,2H)、1.49〜1.56(m,2H)、1.56〜1.61(m,2H)、3.40(quin,J=6.6Hz,1H)、7.14(t,J=8.1Hz,2H)、7.47(br.s.,1H)、7.55(d,J=8.8Hz,1H)、7.73(dd,J=8.8,1.8Hz,1H)、7.76(dd,J=9.1,4.8Hz,2H)、8.64(d,J=1.6Hz,1H)、9.28(s,1H)、12.37(br.s.,1H)。
【0067】
【化14】

化合物5(400mg、1mモル)をDMF(50mL)に溶解させた。CHI(0.71g、5mモル)及びKCO(0.69g、5mモル)を混合物に添加した。混合物を110℃で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残留物を高性能液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Synergi Diamonsil 150*20mm*5um。方法:A中25%〜55%のB;A:HO+0.1%TFA B:CHCN。流量(mL/分):40)により精製した。純粋な画分を回収し、飽和水性NaHCOでpH=7に塩基性化した。有機溶媒を真空で除去した後、水層を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄してから、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去した。残留物を薄層クロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=1:1)で精製した。得られた生成物を水(5mL)及びCHCN(2mL)に懸濁させた後、混合物を乾燥まで凍結乾燥させることにより、化合物6(53g)を得た。
方法D;保持時間:5.87分。m/z:389.2(M+H)精密質量:388.1;H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 9.32(1H,s)、8.58(1H,s)、7.67〜7.81(3H,m)、7.58〜7.67(1H,m)、7.46(1H,d,J=6.5Hz)、7.12(2H,t,J=8.8Hz)、3.93(3H,s)、3.33〜3.40(1H,m)、1.42〜1.66(4H,m)、1.16〜1.42(4H,m)。H NMR(400MHz,CHLOROFORM−d)δppm 8.26(1H,d,J=1.0Hz)、7.80(1H,dd,J=8.9,1.6Hz)、7.46〜7.55(2H,m)、7.34(1H,d,J=8.8Hz)、7.03(2H,t,J=8.7Hz)、6.48(1H,s)、4.46(1H,d,J=7.0Hz)、3.98(3H,s)、3.52〜3.66(1H,m)、1.69〜1.83(2H,m)、1.57〜1.66(2H,m)、1.45〜1.54(2H,m)、1.26〜1.45(2H,m)。
【0068】
【化15】

化合物5(600mg、1.6mモル)をDMF(50mL)に溶解させた。2−ブロモプロパン(0.98g、8mモル)及びKCO(0.45g、5mモル)を0℃で混合物に添加した。混合物を0℃で1時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を高性能液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Synergi Diamonsil 150*20mm*5um。方法:A中25%〜55%のB;A:HO+0.1%TFA B:CHCN。流量(mL/分):40)により精製した。純粋な画分を回収し、飽和水性NaHCOでpH=7に塩基性化した。揮発物を真空で除去した後、水層を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄してから、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を水(5mL)及びCHCN(2mL)に懸濁させた後、混合物を乾燥まで凍結乾燥させることにより、化合物7(420mg)を得た。方法E;保持時間:4.90分。m/z:417.1(M+H)精密質量:416.2。
H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 1.27〜1.41(m,4H)、1.48(d,J=6.6Hz,6H)、1.51〜1.63(m,4H)、3.38(quin,J=6.6Hz,1H)、4.91(spt,J=6.5Hz,1H)、7.15(t,J=8.9Hz,2H)、7.48(br.s.,1H)、7.71(d,J=9.0Hz,1H)、7.74(dd,J=9.0,1.6Hz,1H)、7.76(dd,J=9.0,4.8Hz,2H)、8.61(dd,J=1.5,0.7Hz,1H)、9.34(s,1H)。
【0069】
【化16】

化合物5(600mg、1.6mモル)を1,4−ジオキサン(50mL)に溶解させた後、シクロプロピルボロン酸(690mg、8mモル)、Cu(OAc)(181mg、8mモル)、CsCO(0.45g、5mモル)及びDMAP(200mg、1.634mモル)を添加した。混合物を50℃で一晩撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を高性能液体クロマトグラフィー(カラム:Phenomenex Synergi Diamonsil 150*20mm*5um。方法:A中25%〜55%のB;A:HO+0.1%TFA B:CHCN。流量(mL/分):40)により精製した。純粋な画分を回収し、飽和水性NaHCOでpH=7に塩基性化した。揮発物を真空で除去した。水層を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄してから、NaSOで乾燥させた。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を水(5mL)及びCHCN(2mL)に懸濁させた。混合物を乾燥まで凍結乾燥させることにより、化合物8(380mg)を得た。方法E;保持時間:4.74分。m/z:415.1(M+H)精密質量:414.2;H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 1.11〜1.15(m,4H)、1.21〜1.41(m,4H)、1.45〜1.66(m,4H)、3.39(sxt,J=6.7Hz,1H)、3.61〜3.68(m,1H)、7.15(t,J=8.9Hz,2H)、7.51(d,J=6.9Hz,1H)、7.69(d,J=8.9,0.5Hz,1H)、7.75(dd,J=9.0,4.8Hz,1H)、7.79(dd,J=8.9,1.7Hz,2H)、8.62(dd,J=1.8,0.6Hz,1H)、9.34(s,1H)。
【0070】
【化17】

化合物5(1.5g、4mモル)をAcO(50mモル)に溶解させた。混合物を110℃で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物をHO(5mL)及びジクロロメタン(5mL)で洗浄し、真空で乾燥させることにより、化合物9(1.35g)を得た。方法B;保持時間:4.70分。m/z:417.2(M+H)精密質量:416.1;H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 9.81(1H,s)、8.80(1H,dd,J=1.8,5.0Hz)、8.43(1H,dd,J=8.8,0.5Hz)、8.03(1H,dd,J=8.8,1.8Hz)、7.79〜7.87(2H,m)、7.71(1H,d,J=7.0Hz)、7.18(2H,t,J=9.0Hz)、3.45(1H,sxt,J=7.0Hz)、2.66(3H,s)、1.55〜1.63(2H,m)、1.45〜1.56(2H,m)、1.32〜1.39(2H,m)、1.24〜1.32(2H,m)。
【0071】
【化18】

化合物5(1.5g、4mモル)をDMF(20mL)に溶解させた。NaH(0.48g、20mモル)を0℃で混合物に添加した。メチルカルボノクロリデート(1.89g、20mモル)を0℃で滴下しながら添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。HO(5mL)を0℃で滴下しながら添加した。溶媒を真空で除去した。残留物をHO(5mL)、ジクロロメタン(10mL)及びN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄した後、真空で乾燥させることにより、化合物10(1.33g)を得た。方法B;保持時間:4.54分。m/z:433.1(M+H)精密質量:432.1;H NMR(600MHz,DMSO−d)δppm 9.97(1H,s)、8.92(1H,dd,J=1.8,0.6Hz)、8.28(1H,d,J=8.8Hz)、8.07(1H,dd,J=8.8,1.8Hz)、7.88〜7.95(2H,m)、7.79(1H,d,J=7.0Hz)、7.18〜7.28(2H、m)、4.05(3H,s)、3.45〜3.55(1H,m)、1.58〜1.66(2H,m)、1.49〜1.58(2H,m)、1.23〜1.42(4H,m)。
【0072】
化合物11
【化19】

シクロペンチルアミンの代わりに(3S)−テトラヒドロフラン−3−アミン塩酸塩を、また4−フルオロアニリンの代わりに3,4−ジフルオロアニリンを用いて、化合物5について記載したのと同様に調製した。方法D;保持時間:5.5分。m/z:395.2(M+H)精密質量:394.1。
【0073】
【化20】

3,4−ジフルオロアニリンの代わりに4−フルオロ−3−メチル−アニリンを用いて、化合物11について記載したのと同様に調製した。方法B;保持時間:4.15分。m/z:391.2(M+H)精密質量:390.1。
【0074】
【化21】

CHCl(30mL)中の3−シアノ−4−フルオロベンゼンスルホニル塩化物(3g、13.7mモル)及びイソプロピルアミン(1.211g、20.49mモル)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.53g、27.3mモル)を添加した。得られた混合物を18℃で2時間撹拌した。反応混合物を1N HCl(25mL)及び飽和水性NaHCO(25mL)で洗浄してから、NaSOで乾燥させ、真空で濃縮することにより、粗3−シアノ−4−フルオロ−N−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド(3.4g)を取得した。2−プロパノール(30mL)中の粗3−シアノ−4−フルオロ−N−イソプロピル−ベンゼンスルホンアミド(2.9g)の溶液に、ヒドラジン(0.77g、23.9mモル)を添加した。得られた混合物を110℃で1時間還流させた。混合物を減圧下で濃縮することにより、粗3−アミノ−N−イソプロピル−1H−インダゾール−5−スルホンアミド(4.1g)を得た。CHCl(15mL)中の酢酸銅(II)(714mg、3.93mg)の溶液を5分撹拌した。粗3−アミノ−N−イソプロピル−1H−インダゾール−5−スルホンアミド(1g)、3,4−ジフルオロフェニルボロン酸(620.9mg、3.9mモル)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(508g、3.9mモル)を添加した。得られた混合物を撹拌し、O下、50℃で一晩還流させた。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(20mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮することにより、粗化合物13を得た。粗生成物を逆相上の分取高性能液体クロマトグラフィー(溶離液:HO(0.05%NH.HO)中38%〜68%、v/vのCHCN)により精製した。化合物13を含有する純粋な画分を回収し、有機物を真空で除去した。水層を乾燥まで凍結乾燥することにより、化合物13(114mg)を得た。方法B;保持時間:4.23分。m/z:367(M+H)精密質量:366.1。
【0075】
【化22】

ヒドラジン水和物の代わりにメチルヒドラジンを用いて、化合物12について記載したのと同様に調製した。方法D;保持時間:5.88分。m/z:405.3(M+H)精密質量:404.1。
【0076】
【化23】

シクロペンチルアミンの代わりにイソプロピルアミンを、また、4−フルオロアニリンの代わりに3−(ジフルオロメチル)−4−フルオロ−アニリンを、さらにはヒドラジン水和物の代わりにメチルヒドラジンを用いて、化合物5について記載したのと同様に調製した。方法B;保持時間:4.71分。m/z:413.3(M+H)精密質量:412.1。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.93(d,J=6.5Hz,6H)3.08〜3.28(m,1H)3.97(s,3H)7.23(t,J=54.2Hz,1H)7.28〜7.42(m,1H)7.46(br.s,1H)7.63〜7.72(m,1H)7.72〜7.84(m,1H)7.91〜8.04(m,2H)8.62(s,1H)9.59(s,1H)。
【0077】
【化24】

イソプロピルアミンの代わりに(3S)−テトラヒドロフラン−3−アミン塩酸塩を用いて、化合物15について記載したのと同様に調製した。方法D;保持時間:5.84分。m/z:441.2(M+H)精密質量:440.1。
【0078】
【化25】

3−(ジフルオロメチル)−4−フルオロ−アニリン(1000mg、6.2mモル)、1,1’−チオカルボニルジ−2(1h)−ピリドン(1.72g、7.4mモル)及びCHClを順次20mLバイアルに25℃で添加した。混合物を70℃で1時間のマイクロ波照射により加熱した。混合物を水でクエンチングし、ジクロロメタン(20mL)で抽出した。有機層を分離し、真空で濃縮した。得られた残留物(1.8g)は、2−(ジフルオロメチル)−1−フルオロ−4−イソチオシアナト−ベンゼンを含有しており、これを精製せずに使用した。6−クロロ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(4g、17.0mモル)、シアン化亜鉛(4.0g、34mモル)、酢酸パラジウム(II)(381mg、1.7mモル)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(942mg、1.7mモル)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(50mL)を順次250mLフラスコに25℃で添加した。混合物を60℃に温め、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。混合物を水でクエンチングし、ジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機層を分離し、真空で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル及び酢酸エチル(3:1)で精製することにより、6−シアノ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(3.4g)6−シアノ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミドが得られた。6−シアノ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(2g)及びニッケル(骨格、奨励されるモリブデン、280mg)をメタノール(2mL)に溶解させた。混合物をオートクレーブ(水素ガスで3回ガス抜きした)内で撹拌した。混合物を窒素雰囲気下(50psi)、50℃で12時間撹拌した。混合物を濾過により取り出し、揮発物を真空で除去した。粗6−(アミノメチル)−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(1.5g)を精製せずに次のステップで使用した。粗6−(アミノメチル)−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(1.5g)及び2−(ジフルオロメチル)−1−フルオロ−4−イソチオシアナト−ベンゼン(1.3g)をトルエン(20mL)に溶解させた。混合物を120℃で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、1−[3−(ジフルオロメチル)−4−フルオロ−フェニル]−3−[[5−(イソプロピルスルファモイル)−2−ピリジル]メチル]チオ尿素(0.9g)を得た。1−[3−(ジフルオロメチル)−4−フルオロ−フェニル]−3−[[5−(イソプロピルスルファモイル)−2−ピリジル]メチル]チオ尿素(0.9g)及びDCC(0.9g、4.2mモル)をトルエンに溶解させた。混合物を120℃で12時間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた残留物を逆相上の高性能液体クロマトグラフィー(移動相:水(0.1%TFA)中0〜30%CH3CN)により精製した。純粋な画分を回収し、固体NaHCOで中和した。有機溶媒を真空で除去した。形成された沈殿物を濾過し、H2O(5mL)で洗浄した後、高真空下で乾燥させた。残留物を水(5mL)に懸濁させ、水層を乾燥まで凍結乾燥することにより、化合物17(290mg)を得た。方法B;保持時間:3.87分。m/z:399.3(M+H)精密質量:398.1。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 0.99(d,J=6.3Hz,6H)3.20〜3.33(m,1H)6.72(d,J=9.5Hz,1H)7.20(t,J=53.5Hz,1H)7.23〜7.37(m,2H)7.56(d,J=9.5Hz,1H)7.66〜7.85(m,2H)7.93(d,J=3.3Hz,1H)8.75(s,1H)9.56(br.s.,1H)。
【0079】
【化26】

2−クロロピリジン−5−スルホニル塩化物(10g、47.1mモル)及び(S)−3−アミノテトラヒドロフラントシレート(3.3g、38mモル)をCHCl(200mL)に0℃で順次添加した後、トリエチルアミンをゆっくりと添加した。混合物を25℃に温め、2時間撹拌した。混合物を水でクエンチングし、ジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機層を分離し、真空下で濃縮した。粗生成物を、石油エーテル及び酢酸エチル(3:1)により溶離するカラムクロマトグラフィーで精製することによって、6−クロロ−N−[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]ピリジン−3−スルホンアミドが得られた。化合物18は、6−クロロ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミドの代わりに6−クロロ−N−[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イル]ピリジン−3−スルホンアミドを、また2−(ジフルオロメチル)−1−フルオロ−4−イソチオシアナト−ベンゼンの代わりに、4−フルオロ−3−メチルフェニルイソチオシアネートを用いて、化合物17について記載したのと同様に調製した。方法B;保持時間:3.35分。m/z:391.3(M+H)精密質量:390.1。
【0080】
【化27】

EtOH(5mL)中の6−クロロ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(1.03g、4.38mモル)及びヒドラジン(1.54g、48.2mモル)を85℃で2時間加熱した。反応混合物を氷浴中で1時間冷却した。形成された白色の結晶を濾過により取り出し、低温エタノール(5mL)で洗浄した後、50℃の真空で2時間乾燥させることにより、6−ヒドラジノ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(694mg)が得られた。THF(10mL)中の4−フルオロ−3−メチルフェニルイソチオシアネート(477mg、2.86mモル)の溶液を、THF中の6−ヒドラジノ−N−イソプロピル−ピリジン−3−スルホンアミド(679mg、2.86mモル)の溶液に3分かけて少量ずつ添加した後、90分撹拌した。反応混合物を濃縮し、得られた白色の粉末をアセトニトリル/水から結晶化した。白色の結晶(844mg)を濾過により取り出し、50℃の真空で乾燥させた。THF(50mL)中の白色の結晶の一部(738mg)の溶液に、NEt(0.62mL、4.45mモル)、続いて2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ化物(569mg、2.23mモル)を添加した後、撹拌した。反応混合物を一晩放置した後、真空で濃縮した。得られた残留物をCHCl/1M HCl100mL/100mL中で撹拌した。黄色い沈殿物を濾過により取り出し、必要最低限量のメタノールに溶解させてから、Waters Porapak CX 5gカートリッジ上に載せた(メタノールで2回溶離した後、生成物を2容量のNH7M/CHOHで溶離した)。真空で生成物画分を濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2〜10%のCHOH)に供することにより、化合物19(75mg)を得た。方法F;保持時間:1.59分。m/z:364.1(M+H)精密質量:363.1。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm 1.01(d,J=6.6Hz,6H)、2.26(d,J=1.5Hz,3H)、3.25〜3.40(1H,2D−cosyによるHO−ピーク下でのプロトンシグナル)、7.12(t,J=9.1Hz,1H)、7.36(dd,J=9.7,1.5Hz,1H)、7.52〜7.59(m,1H)、7.65(dd,J=6.8,2.6Hz,1H)、7.76(dd,J=9.7,0.9Hz,1H)、8.04(br.s,1H)、9.07(d,J=1.1Hz,1H)、9.65(br.s,1H)。
【0081】
生物学的例−式(I)の化合物の抗HBV活性
安定なトランスフェクト細胞株、HepG2.2.15を用いて、抗HBV活性を測定した。この細胞株は、比較的一貫した高レベルのHBVビリオン粒子を分泌することが記載されており、この粒子は、チンパンジーにおいて急性及び慢性両方の感染及び疾患を引き起こすことが立証されている。抗ウイルス性に関しては、アッセイ細胞を3日間96ウェルプレート中の段階希釈化合物で2回処理し、これを2回繰り返した。処理から6日後、リアルタイムPCRと、HBV特異的プライマーセット及びプローブを用いて、分泌したビリオンからの精製したHBVDNAの定量により、抗ウイルス活性を決定した。
【0082】
また、抗HBV活性は、安定な、誘導性HBV産生細胞株であるHepG2.117細胞株を用いても測定したが、この細胞株は、ドキシサイクリンの非存在下でHBVを複製する(Tet−off系)。抗ウイルスアッセイのために、HBV複製を誘導した後、96ウェルプレート中の段階希釈化合物で処理し、これを2回繰り返した。処理から3日後、リアルタイムPCRと、HBV特異的プライマーセット及びプローブを用いて、細胞内HBVDNAの定量により、抗ウイルス活性を決定した。化合物の細胞傷害性はまた、化合物の存在下で4日間インキュベートしたHepG2細胞を用いて試験した。細胞の生存能は、Resazurinアッセイを用いて評価した。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
本発明は以下の態様を包含し得る。
[1] 式(I)
【化28-1】
の化合物又はその立体異性体若しくは互変異性型
(式中、
Aは、N、C若しくはOを表し;
Bは、C若しくはNを表し;
Dは、C若しくはNを表し;
Eは、C若しくはNを表し;
A及びEがN又はCのいずれかである場合、これらは、任意選択で、Rにより置換されており;
は、水素又はC〜Cアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルキル−R、ベンジル、又は任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このようなC〜Cアルキル、又は3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH若しくはCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
あるいは、R、Rは、それらが結合している窒素と一緒に、5〜7員飽和環を形成し、これは、任意選択で、水素、ハロゲン、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH及びCFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており;
各Rは、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CF、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択され;
は、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−(C=O)C〜C−アルキル、−(C=O)−C〜Cアルキルオキシを表すか、又はA若しくはEがCと等しい場合、Rは、上記以外にハロゲンであってもよく;
は、水素若しくはハロゲンを表し;
は、任意選択で、O、S及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜7員飽和環を表し、このような3〜7員飽和環は、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている)、
又はこれらの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和化合物。
[2] Rが、C〜Cアルキル−R又はC〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されており、また、Rが、C〜Cシクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、C〜Cアルキルオキシ、C〜Cアルキル、OH、CN、CFH、CFH、CFからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている、上記[1]に記載の化合物。
[3] 少なくとも1つのRが、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、又は任意選択で、O及びNからなる群から各々独立に選択される1個又は複数のヘテロ原子を含む3〜5員飽和環から独立に選択される、上記[1]又は[2]に記載の化合物。
[4] 式(Ib)又は(Ic)
【化28-2】
(式中、R、R及びRは、上記[1]〜[3]のいずれか1項と同様に定義される)の化合物である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
[5] Rが、C−シクロアルキル又はC−シクロアルキルを表し、これは、任意選択で、水素、ハロ、及びC〜Cアルキルからなる群から各々独立に選択される1個又は複数の置換基により置換されている、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6] 少なくとも1つのRが、フルオル、C〜Cアルキル又はシクロプロピルから独立に選択される、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の化合物。
[7] Rが、水素又はメチルを表す、上記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
[8] Rが、水素を表す、上記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の化合物。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[10] 哺乳動物におけるHBV感染の予防又は治療での使用を目的とする、上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の化合物又は上記[9]に記載の医薬組成物。
[11] (a)上記[1]〜[8]のいずれか1項に記載の式(I)の化合物と、(b)別のHBV阻害薬とを、HBV感染の治療に際して同時、個別若しくは逐次使用するための併用製剤として含む製品。