特許第6285464号(P6285464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285464蓄電池のセルを電解液で充填するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285464
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】蓄電池のセルを電解液で充填するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/36 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   H01M2/36 101H
   H01M2/36 102A
   H01M2/36 105C
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-555648(P2015-555648)
(86)(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公表番号】特表2016-511919(P2016-511919A)
(43)【公表日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2014051234
(87)【国際公開番号】WO2014118057
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年12月20日
(31)【優先権主張番号】102013001576.6
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515207581
【氏名又は名称】ツェーエムヴェーテック テヒノロギー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CMWTEC technologie GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッパーフュルト、ヴァルター
【審査官】 渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−259444(JP,A)
【文献】 特開平08−298110(JP,A)
【文献】 特開平07−099050(JP,A)
【文献】 特開平09−199109(JP,A)
【文献】 特開2001−110401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池(3)の少なくとも1つのセル(2)を電解液(30)で充填する装置(1)であって、充填装置(10)と、充填装置(10)および蓄電池(3)を収容する負圧排気可能な気密性容器(20)と、充填装置(10)に電解液(30)を供給するために容器壁(21)を貫通して設けられた供給装置(11)とを備え、
充填装置(10)は電解液(30)で充填可能な少なくとも1つの中間容器(13)を備え、中間容器(13)は充填状態において電解液面(31)の上部が気密性容器(20)の内部と圧力平衡状態にあり、中間容器(13)は、セル(2)の内部(5)が気密性容器(20)の内部(22)に対して気密封止された状態で、電解液面(31)の下部において、少なくとも流出口(12)を経由して、充填すべきセル(2)の注入口(4)に対して流出入可能に接続することができ、
充填装置(10)の少なくとも一部、または、少なくとも充填ノズル(16)および/または少なくとも中間容器(13)は、気密性容器(20)の上部(24)によって弾性的に保持され、
充填装置(10)は、流出口または充填ノズルを蓄電池(3)の注入口(4)に正確な位置で流出入可能に接続するために、機械式の案内手段(15)または調整ボルトを備えている、
ことを特徴とする電解液の充填装置。
【請求項2】
少なくとも1つの流出口(12)は少なくとも1つの充填ノズル(16)を備え、充填ノズル(16)は、セル(2)の内部(5)が気密性容器(20)の内部(22)に対して気密封止された状態で、充填すべきセル(2)の注入口(4)に対して流出入可能に接続することができ、または、注入口(4)に挿入可能である、
請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
少なくとも1つの流出口(12)または少なくとも1つの充填ノズル(16)は、セル(2)の内部(5)を気密性容器(20)の内部(22)に対して気密封止するために、シール手段(14)、または、シールリングを備える、
請求項1または2に記載の充填装置。
【請求項4】
少なくとも1つの中間容器(13)は、上方に向かって開口し、底部に少なくとも1つの流出口(12)を備え、立方形、円筒形、円錐形または漏斗形のカップとして形成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項5】
それぞれ少なくも1つの流出口(12)、または、充填ノズル(16)を有する流出口(12)を備えた複数の中間容器(13)が設けられている、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項6】
充填装置(10)の流出口(12)または充填ノズル(14)のすべての個数および/または配置は、蓄電池(3)の注入口(4)の個数および/または配置に対応している、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項7】
気密性容器(20)の内部(22)を負圧排気するための負圧排気装置または真空ポンプ、および/または、気密性容器(20)の内部(22)を大気超過圧とするための圧力源または圧力ポンプを備える、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項8】
気密性容器(20)の内部(22)における圧力は、圧力源および/または負圧排気装置によって、10ミリバールから2500ミリバールの範囲で、または、100ミリバールから大気圧の範囲で制御可能および/または調整可能である、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項9】
気密性容器(20)は、底板(23)と、底板(23)を気密封止する取り外し可能な上部(24)とを備え、上部(24)は、昇降装置を用いて蓄電池(3)および/または充填装置(10)の上に降ろすことができ、または、被せることができる、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の充填装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の装置(1)を用いて、気密性容器(20)の内部(22)において蓄電池(4)の少なくとも1つのセル(2)を電解液(30)で充填する方法であって、
(a)気密性容器(20)の内部(22)に負圧を生成することによって、充填すべきセル(2)の注入口(4)を介してセル内部(5)を負圧排気するステップと、
(b)中間容器(13)が電解液面(31)の上部において気密性容器(20)の内部と圧力平衡状態となるように、気密性容器(20)の内部(22)に配置された少なくとも1つの中間容器(13)を電解液(30)で充填するステップと、
(c)気密性容器(20)の内部(22)とセル(2)の内部(5)の圧力差により、電解液(30)が中間容器(13)から少なくとも流出口(12)を介してセル(2)に供給されるように、気密性容器(20)の内部(22)における圧力を上昇させるステップと、を含み、
中間容器(13)は、前記充填を行う前に、セル(2)の内部(5)が気密性容器(20)の内部(22)に対して気密封止された状態で、流出口(12)を経由して、セル(2)の注入口(4)に対して流出入可能に接続される、
ことを特徴とする電解液の充填方法。
【請求項11】
気密性容器(20)の内部(22)における圧力は、大気圧または大気超過圧に上昇させられる、
請求項10に記載の充填方法。
【請求項12】
気密性容器(20)の内部(22)における圧力を段階的に、または、大気圧に上昇させてから大気超過圧に上昇させる、
請求項10または11に記載の充填方法。
【請求項13】
気密性容器(20)の内部(22)の圧力を、圧力上昇の際、2つの値の間で、または、大気圧と大気超過圧との間で変更する、
請求項10または11に記載の充填方法。
【請求項14】
前記充填方法のステップ経過を複数回繰り返す、
請求項10ないし13のいずれか1項に記載の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填するための装置に関する。かかる装置は、充填装置と、充填装置および蓄電池を収容する負圧(ないし真空)排気可能な気密性容器と、充填装置に電解液を供給するために容器壁を貫通して設けられた供給装置とを備えている。
【0002】
さらに、本発明は、気密性容器の内部において蓄電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填する方法、特に導入部で述べた技術に係る装置を用いて充填する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
蓄電池は、電解液槽に配置された電極群から成るガルバニセルを基本単位として備えている。このとき、蓄電池は種類や使用目的に応じて、このような複数のセルを備えており、複数のセルは、例えば自動車用の蓄電池の場合、容器の中に並置されている。セルを電解液によって充填するために、蓄電池の列に関して、一方では、空気が含まれること、または、特にゲル状の電解質を使用したときの小さな泡を回避するために、充填前にセルを負圧(ないし真空)排気する必要がある。他方では、充填前にセルを負圧排気することは、充填時間を削減するのに寄与する。特にゲル状の電解質の場合、技術上の理由から充填時間を短くすることが望ましい。したがって、従来技術においても、冒頭で述べるようないくつかの異なる充填装置および充填方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1142042号明細書
【特許文献2】米国特許第4061163号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欧州特許第1142042号明細書(特許文献1)は、少なくとも1つの蓄電池セルを充填するための装置を開示している。かかる装置において、蓄電池は真空ポンプを用いて負圧排気可能な収容装置の内部に収容されている。さらに、この装置は、同様に収容装置の内部に収容された充填装置を備えており、充填装置は、電解液をセルの注入口に供給するために用いられる。また、この装置は供給管を介して電解液が供給され、供給管は真空気密を保って収容装置に導入されている。さらに、供給管は流出口ソケットを有する充填ヘッドを備えている。流出口ソケットは充填時にセルの注入口に余裕をもって差し込まれ、または、挿入される。挿入された流出口ソケットと注入口との間の余裕によって、セルは充填前に収容装置全体の負圧排気に伴って簡単なやり方で負圧排気され、引き続き、充填装置を介して電解液で充填することができる。かかる装置を用いて充填前にセルを負圧排気することで、確かに、電解液に空気が含まれること、または、小さい気泡が生成されることを防ぐことができる。しかしながら、かかる装置によって達成可能な充填時間は、特に粘性により非常に粘り気のあるゲル状の電解液を充填する場合、非常に長くなり、満足できるものではない。
【0006】
さらに、米国特許第4061163号明細書(特許文献2)によると、電解液で充填するための1または2以上のリチウムセルを内部に配置することができる負圧排気可能な収容装置を備えた充填装置が知られている。ここで、単一の注入口を有するリチウムセルは、まず、下方に向かって、収容装置の内部のスタンド上に位置決めされる。次に、セルから水や水蒸気を除去するために、収容装置の負圧排気が行われる。それから、充填される電解液の沸点以上となるように、収容装置における負圧がわずかに上昇させられる。これに続いて、まず、収容装置は電解液によって充填される。このとき、リチウムセルの注入口は電解液に浸される。収容装置の下部が充填された後、収容装置の負圧を、まず大気圧に上昇させ、その後、さらに大気圧以上に上昇させる。これにより、電解液は注入口を介してリチウムセルに浸透することができる。しかし、かかる装置の欠点として次のような事実が挙げられる。すなわち、セルの外側または蓄電池の外側は、電解液槽に浸された際、化学的な侵食性を有する電解液と接触するおそれがあるため、セルまたは蓄電池は、充填後に、時間を要する高度な技術を用いて入念に洗浄する必要がある。
【0007】
本発明の課題は、セルの負圧(ないし真空)排気と特にセルの充填を可能な限り短い時間で実現するとともに、蓄電池の外部が電解液で汚染されることを防ぐことができるように、蓄電池のセルを充填するための導入部で述べた技術に係る装置および方法を改良することにある。同時に、可能な限り満杯となるように電解液がセル内の電極群に浸透するようにすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、かかる課題は請求項1に係る装置および請求項13に係る方法によって解決される。本発明の有利な実施例は、従属項の対象とされる。
【0009】
本発明によると、充填装置と、充填装置と蓄電池を収容する負圧(ないし真空)排気可能な気密性容器と、充填装置に電解液を供給するために容器壁を貫通して設けられた供給装置とを備えた装置が提供される。充填装置は、電解液で充填可能な少なくとも1つの中間容器を備えている。中間容器は、充填状態において電解液面の上部が気密性容器の内部と圧力平衡状態にある。また、中間容器は、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、電解液面の下部において、少なくとも流出口を経由して、充填すべきセルの注入口に対して流出入可能に接続することができる。
【0010】
本発明によると、気密性容器の内部に対して気密封止された充填すべきセルの内部に対して、かかる流出口を介して気密性容器の内部を流出入可能に接続可能とすることによって、中間容器からセル内部に電解液を圧力で搬送する目的で、セルの内部と気密性容器、特に電解液面の上部との間に圧力差を生じさせることが可能となる。
【0011】
このために、まず充填すべきセルの内部および収容装置の内部は、好ましくは真空ポンプを用いて負圧(ないし真空)排気される。ここで、開口した注入口を備えた蓄電池が真空気密を保った気密性容器の内部に収容されていることによって、セルの負圧排気は自動的に行われる。負圧排気の間に、同様に気密性容器に収容された充填装置は、少なくとも1つの流出口を介して、充填すべきセルの内部に流出入可能に気密封止接続されている。なぜなら、中間容器は、負圧排気の間、まだ充填されていないからである。このとき、セルの内部は、流出口と、気密性容器の内部に対して圧力平衡状態にある中間容器とを経由して負圧排気される。ただし、この代わりに、中間容器は、まず負圧排気が行われた後、充填すべきセルの内部と流出入可能に気密封止接続されるようにしてもよい。負圧排気および流出入可能な接続が行われた後、好ましくは充填装置の供給装置を介して、中間容器は電解液で充填される。充填に続けて、または、充填の間に、気密性容器の内部の圧力を上昇させ、例えば、この間に、気密性容器はゆっくりと通気される。ここで、中間容器の内部に注入された電解液は圧力障壁を形成し、気密容器内の圧力上昇の際、気密性容器の内部と圧力平衡状態にある中間容器の電解液面の上部と、充填すべきセルの内部との間に、圧力障壁を跨いで圧力差を生じさせることができる。
【0012】
有利には、この圧力によると、充填プロセスは、例えば単に重力の影響下における電解液の流入と比較して、はるかに高速に進行する。また、電解液面に圧力を及ぼすことにより、電解液は充填すべきセルの電極群に特に良く浸透することができる。このことは、例えば現代の自動車用蓄電池の場合のように、セルの内部に不織布材料が装備されている場合、特に重要である。この材料が浸漬され、空気が含まれなくなるまで、電解液は可能な限り十分にこの材料に浸透するようにすべきである。このようにすることで、はじめて蓄電池の申し分のない機能が保証される。セル内部への電解液の十分な浸透は、収容装置の内部の圧力が大気圧、さらに大気超過圧に上昇された場合、さらに促進され、または、改善される。なぜなら、セルの内部と気密性容器の内部との間の圧力差が大きくなるにつれて、充填プロセスはより高速に進行し、浸透可能な電解液の量もさらに増大するからである。
【0013】
流出口を用いてセルの内部を気密性容器の内部に対して気密封止することにより、セルまたは蓄電池の外部が電解液と決して接触しないようにすることができる。これにより、蓄電池の外側に付着した電解質を費用をかけて洗浄する必要がなくなる。
【0014】
本発明の第1の有利な実施例によると、少なくとも1つの流出口は少なくとも1つの充填ノズルを備え、充填ノズルは、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、充填すべきセルの注入口に対して流出入可能に接続できることによって、電解液のセルへの充填を特に安全に行うことができる。特に、少なくとも1つの充填ノズルは注入口に挿入可能とすることができる。注入口に突き出た、または、挿入された充填ノズルによると、電解液は注入口の下方において充填すべきセルの内部に直接供給される。これにより、電解液が注入口の縁に流れ出したり、または、誤って漏れ出したりするのを防ぐことができる。
【0015】
セルの内部を気密性容器の内部に対して気密封止するために、少なくとも1つの流出口または少なくとも1つの充填ノズルはシール手段を備えている。シール手段は、例えば、中間容器の流出口の下方に配置され、シールリングであってもよい。または、シール手段は充填ノズルの円周方向に配置された適当なシールリングであり、これに応じて充填ノズルまたは流出口とセルの注入口の間の気密封止または耐圧封止が実現される。本発明において、気密封止とは、セルの内部と気密性容器の内部との圧力差に耐え得る封止をいう。かかる封止は、両方向の圧力勾配に耐えるべきであり、好ましくは、少なくともセルの内部方向への圧力降下、すなわち、気密性容器の内部の圧力がセルの内部の圧力よりも大きい状態に耐えるべきである。
【0016】
有利には、シール手段は、侵食性の電解液、特に硫酸に対して化学的に耐性を有するように構成されている。このために、シール手段に対する材料として、好ましくは、耐薬品性のプラスチック、特にゴム、例えばエチレンプロピレンジエンゴムまたはフッ素ゴム材料が選択される。シール手段として、例えば、エチレンプロピレンジエンゴムから成るオーリング(Oリング)が考えられる。オーリングは充填ノズルの円周方向または流出口の近傍に配置され、注入口と流出口または充填ノズルとの間に生じうる隙間を塞ぐ。
【0017】
本発明の他の有利な実施例によると、少なくとも1つの中間容器は、上方に開口し、底部に少なくとも1つの流出口を備え、立方形、円筒形、円錐形または漏斗形のカップとして形成されている。立方形または円筒形のカップは、技術的に簡単な方法で、金属薄板(シートメタル)またはプラスチックで製造することができる。円錐形または漏斗形のカップは、これに加えて次の利点がある。すなわち、特に流出口がこのように形成されたカップの先細部に配置され、先細部または流出口を有するカップが充填装置において重力方向の下向きに配置されている場合、電解液はファンネル効果(漏斗効果)によって、流出口を介して可能な限り完全にセル内部へと流入する。上方に向かって開口するように形成された中間容器によると、特に簡単な方法で、充填された中間容器の内部の電解液面上部が気密性容器の内部と圧力平衡状態となるようにすることができる。
【0018】
多くの蓄電池、特に、自動車用の蓄電池は、複数のセルを備えていることから、本発明の他の有利な実施例によると、充填装置は複数の中間容器を備えていてもよい。ここで、中間容器は、それぞれ、少なくとも1つの流出口、または、少なくとも1つの充填ノズルを有する流出口を備えている。
【0019】
特に、充填装置の流出口または充填ノズルのすべての個数および/または配置は、蓄電池の注入口の個数および/または配置に対応するようにしてもよい。このようにして、蓄電池のすべてのセルは、本発明に係る装置を用いて同時に充填することが可能となる。ここで、単一の中間容器から、蓄電池のセルの個数に応じた個数の流出口および/または充填ノズルが分岐するようにしてもよい。代わりに、蓄電池の注入口の個数および配置に応じて、複数の流出口と充填ノズルを有する同数の中間容器を設けるようにしてもよい。ここで、流出口または充填ノズルの配置は、好ましくは、蓄電池の注入口の配置に対応している。充填ノズルまたは流出口の対応する配置によると、特に簡単に流出口または充填ノズルを蓄電池の注入口に対して流出入可能に接続することができる。好ましくは、充填装置は単純に上から、開口した注入口に被せられ、または、挿入される。これは、手動または自動で行うことができる。
【0020】
本発明の他の有利な実施例によると、負圧排気可能な密封性容器は、底板と、底板を気密封止する取り外し可能な、好ましくはドーム形の上部とを備えている。好ましくは、取り外し可能な上部は、昇降装置を用いて蓄電池および/または充填装置の上に降ろすことができ、または、被せることができる。
【0021】
蓄電池を充填装置に導入するために、気密性容器の上部は、好ましくは昇降装置を用いて上方へ持ち上げられ、または、取り外され、蓄電池の導入の後、再び底板の上に降下され、これにより、上部と底板は互いに重なり合って気密封止される。気密封止は、例えばシール手段、特に底板と接触する上部の下側に設けられたゴム封止(シール)部材によって実現される。
【0022】
有利には、本発明の他の実施例に係る気密性容器は、蓄電池に基本的に適合する形状を備えている。有利には、気密性容器は、ドーム形の上部と平らな底板から成る直方体の容器として形成される。容器は蓄電池自体よりもほんのわずかに大きいにすぎないものの、充填装置を収容するための十分な空間を有する。気密性容器の容積を可能なかぎり小さくすることで、気密性容器の内部を非常に高速に負圧排気することが可能となり、これにより充填プロセスの持続時間を削減することができる。さらに、蓄電池は、充填プロセスの間、気密性容器によって気密を保って収容されているため、気密性容器は充填装置の操作者に対して飛散防止の役割も果たす。
【0023】
本発明の他の有利な実施例によると、充填装置の少なくとも一部、特に少なくとも充填ノズルおよび/または中間容器は、気密性容器の上部によって保持されている。このとき、特に、上部を上昇させる際、充填装置も一緒に上方に持ち上げられることになり、これにより、蓄電池は充填後に充填装置全体から取り出すことができ、追加の作業工程において充填装置を充填済の蓄電池から分離する必要がなくなる。また、これにより、逆に、上部を降下させる際、充填装置は自動的に充填すべき蓄電池の注入口に挿入される。
【0024】
特に有利には、充填装置またはその一部は、例えば、ばね負荷保持バーまたはばね負荷サスペンションによって気密性容器の上部に弾性的に保持される。降下の際、上部が底板上の最終的な封止位置に達しない限り、ばね負荷保持バーまたはばね負荷サスペンションは、充填装置を蓄電池上に積み重ねる際に撓む。このように充填装置の少なくとも一部を気密性容器の上部に弾性的に取り付けることにより、蓄電池の寸法の公差に起因して生じる高さの差を補償することができる。
【0025】
流出口または充填ノズルを蓄電池の注入口に対して簡単に正確な位置で流出入可能に接続するために、本発明の他の実施例に係る充填装置は、機械式の案内手段、特に調整ボルトを備えている。これにより、充填装置を設置する場合において、上部をこれに保持された充填装置とともに降下させるときに、蓄電池は充填装置に対して自動的に正しい位置に押しやられる。結果として、流出口または充填ノズルは、蓄電池の注入口に自動的に差し込まれ、または、注入口に対して流出入可能に接続される。
【0026】
本発明の他の有利な実施例によると、装置は気密性容器の内部を負圧排気するための負圧排気装置、および/または、気密性容器の内部に大気圧または大気超過圧を生成するための圧力源を備えている。特に好ましくは、かかる目的で、真空ポンプまたは圧力ポンプが使用される。
【0027】
充填プロセスを制御し、これに影響を及ぼすために、本発明の他の有利な実施例によると、気密性容器の内部における圧力は、圧力源または負圧(ないし真空)排気装置によって制御可能および/または調整可能である。特に、気密性容器の内部における圧力は10ミリバールから2500ミリバールの範囲で、好ましくは100ミリバールから大気圧の範囲で制御可能および/または調整可能である。このようにして、蓄電池を充填する際に、特に利用者が定義した圧力プロファイルを設定することが可能となる。
【0028】
本発明の第1の独自のアイデアは上記の充填装置に関し、充填装置は充電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填するために、気密性容器または本発明に係る充填用の装置に配置するのに適している。特に、充填装置はスタンドアロン型ユニットを構成し、特に追加装備用セットまたはスペア部品として、既存の充填用の装置に統合されることが考えられる。
【0029】
本発明の他の独自のアイデアは、気密性容器の内部において蓄電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填する方法に関し、特に上記の装置を用いて蓄電池を充填する方法に関する。本発明によると、充填方法は、
(a)気密性容器の内部に負圧を生成することによって、充填すべきセルの注入口を介してセル内部を負圧排気するステップと、
(b)中間容器が電解液面の上部において気密性容器の内部と圧力平衡状態となるように、気密性容器の内部に配置された少なくとも1つの中間容器を電解液で充填するステップと、
(c)気密性容器の内部とセルの内部の圧力差により、電解液が中間容器から少なくとも流出口を介してセルに供給されるように、気密性容器の内部における圧力を上昇させるステップと、を含み、
中間容器は、前記充填を行う前に、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、流出口を経由して、セルの注入口に対して流出入可能に接続される。
【0030】
本発明によると、気密性容器の内部とセルの内部との間にかかる圧力が生成されることにより、電解液面に圧力がかかり、これにより電解液のセル内部の電極群への浸透が顕著に改善され、かつ、促進される。さらに、流出口を用いてセルの内部を気密性容器の内部に対して気密封止することにより、セルまたは蓄電池の外部が電解液と決して接触しないようにすることができる。これにより、蓄電池の外側に付着した電解質を、費用をかけて洗浄する必要がなくなる。
【0031】
第1の有利な実施例に係る方法よると、気密性容器の内部の圧力を大気圧またはさらに大気超過圧に上昇することによって、このプロセスを改良することができる。
【0032】
また、本発明の他の有利な実施例によると、気密性容器の内部の圧力を段階的に、特に大気圧に上昇させてから大気超過圧に上昇させることも考えられる。
【0033】
さらに、有利には、気密性容器の内部の圧力を、圧力上昇の際、2つの値の間で、特に大気圧と大気超過圧との間で変更することもできる。
【0034】
さらに効率を改善する目的で、可能な限り多量の電解液をセルの内部に供給すべく、上記方法のステップ経過を複数回繰り返すことができる。
【0035】
本発明の他の目的、利点、特徴および適用可能性は、図面を参照しつつ以下の実施例の記載から明らかにされる。その際、記載された、かつ/または、図示されたすべての特徴は、それ自体において、または、任意の有意な組み合わせとして、本発明の主題を構成するものであり、請求項における発明の要約、または、請求項による後方参照(従属関係)からは独立したものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、蓄電池の少なくとも1つのセルを充填するための本発明に係る装置の可能な一実施例の底板を除いた分解図である。
図2図2は、図1に係る装置と床板の断面図である。
図3図3は、図1に係る装置の床板を除いたさらなる断面図である。
図4図4は、図3に係る装置の床板を除いた切断線G−Gに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1から図4は、蓄電池3の少なくとも1つのセル2を電解液30で充填するための本発明に係る装置1の可能な一実施例を示す。装置1は、充填装置10と、充填装置10および蓄電池3を収容する気密性容器20と、充填装置10に電解液30を供給するために容器壁21を貫通して設けられた供給装置11とを備えている。ここに示した実施例において、基本的に直方体形状の気密性容器20は、平らな底板23とドーム形の上部24とから成る。上部24は、ここには図示されていない昇降装置を用いて、底板23から取り外すことができ、すなわち、上昇または下降させることができる。この目的のため、上部24は、ここには図示されていない昇降装置に固定アーム27を介して接続される。
【0038】
また、取り外し可能な上部24は、底板23上に降下させた際に床板23を気密封止するように形成されていることから、気密性容器20の内部と気密性容器20の周囲との間で圧力差を保つことができる。上部24を底板23上に密着させるために、上部24は、底板23と接触する下部に底封止要素29、特に周囲を取り巻くゴム封止部材を備えている。これにより、本発明に係る気密性容器20を負圧(ないし真空)排気すること、すなわち気密性容器20の内部22に真空を生成することが可能となる。気密性容器20を負圧排気するため、すなわち真空を生成するために、好ましくは、ここには同様に図示されていない負圧排気装置、特に真空ポンプが役立つ。ここで、負圧排気装置は気密性容器20のポンプ接続部28を介して、気密性容器20の内部22に接続することができる。図1ないし図3に従って、本実施例のポンプ接続部28は、接続用のねじ山を備えた角度付きの管部として形成され、気密性容器20の上部24の側面に配置されている。
【0039】
さらに、本実施例の気密性容器20は、蓄電池3に基本的に適合する形状を備えている。底板23と上部24は直方体の容器を形成し、容器は蓄電池3自体よりもほんのわずかに大きいにすぎないものの、併せて充填装置10を収容するための十分な空間を残している。
【0040】
本発明によると、充填装置10は少なくとも中間容器13を備えている。本実施例では、充填装置10は蓄電池3のセル2の個数に応じて、合計6個の中間容器13を備えている。中間容器13は、充填装置10の供給装置11を介して電解液30によって別個に充填することができる。各中間容器13の収容能力は、少なくとも割り当てられたセル2を規定通りに充填するのに必要な電解液30を収容できるように選択することが好ましい。特に、各中間容器13に対する電解液の導入量は、供給装置11を介して適量に調整することができる。
【0041】
各中間容器13は充填状態において電解液面31の上部が気密性容器20の内部22と圧力平衡状態にあり、中間容器13はセル2の内部5を気密性容器20の内部22に対して気密封止した状態で、電解液面31の下部において、少なくとも流出口12を経由して、充填すべきセル2の注入口4に対して流出入可能に接続することができる。図2は、充填状況、すなわち、セル2の内部5を気密性容器20の内部22に対して気密封止した状態で、各中間容器13が各中間容器13の注入口4を介して、割り当てられたセル内部5に流出入可能に接続された状況における充填装置10を示す。これにより、中間容器13が電解液30で充填された場合に、セル2の内部5と気密性容器20の内部22の間に圧力差を生じさせることが可能となる。
【0042】
ここに示した本発明に係る装置1の実施例において、各中間容器13の各流出口12は充填ノズル16を備えている。充填ノズル16は、セル2の内部5を気密性容器20の内部22に対して気密封止した状態で、挿入可能であり、または、挿入されている。
【0043】
気密封止のため、充填ノズル16はシール手段14、特に充填ノズル16の円周方向に配置されたシールリングを備えている。これにより、注入口4と、余裕をもって注入口4に差し込まれる充填ノズル16との間の隙間が塞がれる。シールリングは、侵食性の電解液30に対して、特に硫酸に対する耐薬品性を有する材料、例えばエチレンプロピレンジエンゴムまたはフッ素ゴム材料から成ることが好ましい。
【0044】
流出口12、または、流出口12に接続する充填装置10の充填ノズル16の配置が蓄電池3の注入口4の配置に対応することにより、充填装置10を蓄電池3上に被せたときに、充填ノズル16は蓄電池3の注入口4に差し込まれる。
【0045】
充填装置10を被せる際、または、充填ノズル16を注入口4に挿入する際に蓄電池3を調整するため、充填装置10は機械式の案内手段15、特に調整ボルトを備えている。案内手段15は、充填装置10を被せる際に、蓄電池3を自動的に正しい位置へと押しやる。
【0046】
充填装置10を被せる動作は、手動または自動で行うことができる。ここに示した実施例では、充填装置10、特に、充填ノズル16を備えた中間容器13が固定装置17の上方に気密性容器20の上部24に保持されることにより、充填装置10は上部24の昇降の際、自動的に上部24に追随する。これにより、好ましいやり方において、充填用の装置1を新たな蓄電池3に備え付ける際、または、充填済の蓄電池3を取り出す際に、充填装置10は、気密性容器20の開放または封止に伴って自動的に、蓄電池3から取り外され、または、蓄電池3に被せられる。
【0047】
蓄電池3の寸法に生じ得る公差を補償するために、充填装置10は、固定装置17のばね負荷保持ボルトによって、弾性的に取り付けられて、気密性容器20の上部24に保持される。
【0048】
蓄電池3を電解液30で充填するために、上部24は、充填装置10とともに、ここには図示されていない昇降装置を用いて、底板23から上方に向かって持ち上げられる。その後、充填すべき蓄電池3は気密性容器20の底板23上に位置決めされ、引き続き、上部24は充填装置10とともに垂直下方に移動される。このとき、所定の距離だけ移動した後、位置決めボルトは案内手段15として蓄電池3の容器と係合され、蓄電池3を所望の位置に押しやる。これにより、充填装置10の充填ノズル16は蓄電池3の開口した注入口4に自動的に差し込まれる。蓄電池3の寸法の公差に起因して生じうる高さの差は、充填装置10のサスペンションブラケットによって気密性容器20の上部24において補償される。
【0049】
実際に充填を行う前に、まず、気密性容器20の内部22は、ここに図示されていない真空排気装置を用いて、ポンプ接続部28を介して負圧排気される。この時点では、電解液30はまだ中間容器13の中に入っていないことから、セルの内部5も併せて負圧排気されるように、セル2の内部5は気密性容器20の内部22と流出入可能に接続されている。セル内部または気密性容器20内部に所望の負圧を生成した後、電解液30は供給装置11を介して中間容器13に注入される。このために、供給装置11は、気密封止された状態で容器壁21を貫通するように設けられる。
【0050】
中間容器13の電解液30による充填は、各中間容器13が充填後に電解液面31の上部において気密性容器20の内部と圧力平衡状態となるように行われる。電解液30は、電解液面31の下部の流出口12を介するとともに、充填ノズル16を経由して、蓄電池3のセル内へ流入する。充填プロセスを改善するとともに促進するために、中間容器13の充填後または充填中に、気密性容器20の内部22の圧力を上昇させる。流出口12または充填ノズル16は、蓄電池3のセル2の注入口4上に装着されていることから、セル2の内部5と気密性容器20の内部22の間の圧力差を生成することができる。
【0051】
これによって、次のことが達成される。電解液面31に圧力がかかり、この圧力はセル2の電極群への電解液30の浸透を促すとともに改善し、特に電極群が電解液によって可能な限り満杯にされ、空気が含まれないように改善する。このために圧力は大気圧に上昇されることが好ましく、例えば、真空ポンプが停止され、気密性容器20の内部22は通気される。
【0052】
充填プロセスをさらに促進または改善するために、気密性容器20の内部22の圧力は、追加的に、大気超過圧に上昇させることができる。特に、気密性容器20の内部22における圧力は、段階的に、好ましくは大気圧に上昇させた後、大気超過圧に上昇させることができる。
【0053】
気密性容器20の内部22の圧力は、圧力上昇の際、2つの値の間で変更され、特に、(大気圧と)大気超過圧の間で変化させることができ、特にパルス状に変化させることができる。
【0054】
効率を良くするために、負圧排気、中間容器13の充填、および、圧力上昇に係る方法のステップ経過を複数回繰り返すこともできる。
【0055】
大気超過圧に圧力を上昇させるために、装置は有利なやり方で図示しない圧力源、特に圧力ポンプを備えている。
【0056】
有利な実施例によれば、気密性容器20の内部22の圧力は、圧力源および/または負圧排気装置によって制御および/または調整することができる。調整または制御は、10ミリバールから2500ミリバールの範囲で、特に100ミリバールから大気圧の範囲で行うことが好ましい。
【0057】
充填プロセスの終了後、気密性容器20は通気され、上部24は昇降装置を用いて底板23から取り除かれ、充填装置10、特に充填ノズル16は注入口4から自動的に隔離される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、図示した形態に限定することを意図するものではなく、専ら理解を助けるためのものである。
また、本発明において、さらに以下の形態が可能である。
[形態1]
蓄電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填する装置であって、充填装置と、充填装置および蓄電池を収容する負圧排気可能な気密性容器と、充填装置に電解液を供給するために容器壁を貫通して設けられた供給装置とを備え、
充填装置は電解液で充填可能な少なくとも1つの中間容器を備え、中間容器は充填状態において電解液面の上部が気密性容器の内部と圧力平衡状態にあり、中間容器は、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、電解液面の下部において、少なくとも流出口を経由して、充填すべきセルの注入口に対して流出入可能に接続することができる、
ことを特徴とする電解液の充填装置。
[形態2]
少なくとも1つの流出口は少なくとも1つの充填ノズルを備え、充填ノズルは、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、充填すべきセルの注入口に対して流出入可能に接続することができ、特に注入口に挿入可能である、
形態1に記載の装置。
[形態3]
少なくとも1つの流出口または少なくとも1つの充填ノズルは、セルの内部を気密性容器の内部に対して気密封止するために、シール手段、特にシールリングを備える、
形態1または2に記載の装置。
[形態4]
少なくとも1つの中間容器は、上方に向かって開口し、底部に少なくとも1つの流出口を備え、立方形、円筒形、円錐形または漏斗形のカップとして形成されている、
形態1ないし3のいずれか一に記載の装置。
[形態5]
それぞれ少なくも1つの流出口、または、充填ノズルを有する流出口を備えた複数の中間容器が設けられている、
形態1ないし4のいずれか一に記載の装置。
[形態6]
充填装置の流出口または充填ノズルのすべての個数および/または配置は、蓄電池の注入口の個数および/または配置に対応している、
形態1ないし5のいずれか一に記載の装置。
[形態7]
気密性容器の内部を負圧排気するための負圧排気装置、特に真空ポンプ、および/または、気密性容器の内部を大気超過圧とするための圧力源、特に圧力ポンプを備える、
形態1ないし6のいずれか一に記載の装置。
[形態8]
気密性容器の内部における圧力は、圧力源および/または負圧排気装置によって、特に10ミリバールから2500ミリバールの範囲で、好ましくは100ミリバールから大気圧の範囲で制御可能および/または調整可能である、
形態1ないし7のいずれか一に記載の装置。
[形態9]
気密性容器は、底板と、底板を気密封止する取り外し可能な上部とを備え、上部は、好ましくは昇降装置を用いて蓄電池および/または充填装置の上に降ろすことができ、または、被せることができる、
形態1ないし8のいずれか一に記載の装置。
[形態10]
充填装置の少なくとも一部、特に少なくとも充填ノズルおよび/または少なくとも中間容器は、気密性容器の上部によって弾性的に保持される、
形態1ないし9のいずれか一に記載の装置。
[形態11]
充填装置は、流出口または充填ノズルを蓄電池の注入口に正確な位置で流出入可能に接続するために、機械式の案内手段、特に調整ボルトを備えている、
形態1ないし10のいずれか一に記載の装置。
[形態12]
形態1ないし11のいずれか一に記載の気密性容器に配置するための充填装置。
[形態13]
特に形態1ないし12のいずれか一に記載の装置を用いて、気密性容器の内部において蓄電池の少なくとも1つのセルを電解液で充填する方法であって、
(a)気密性容器の内部に負圧を生成することによって、充填すべきセルの注入口を介してセル内部を負圧排気するステップと、
(b)中間容器が電解液面の上部において気密性容器の内部と圧力平衡状態となるように、気密性容器の内部に配置された少なくとも1つの中間容器を電解液で充填するステップと、
(c)気密性容器の内部とセルの内部の圧力差により、電解液が中間容器から少なくとも流出口を介してセルに供給されるように、気密性容器の内部における圧力を上昇させるステップと、を含み、
中間容器は、前記充填を行う前に、セルの内部が気密性容器の内部に対して気密封止された状態で、流出口を経由して、セルの注入口に対して流出入可能に接続される、
ことを特徴とする電解液の充填方法。
[形態14]
気密性容器の内部における圧力は、大気圧または大気超過圧に上昇させられる、
形態13に記載の方法。
[形態15]
気密性容器の内部における圧力を段階的に、特に大気圧に上昇させてから大気超過圧に上昇させる、
形態13または14に記載の方法。
[形態16]
気密性容器の内部の圧力を、圧力上昇の際、2つの値の間で、特に大気圧と大気超過圧との間で変更する、
形態13または14に記載の方法。
[形態17]
前記方法のステップ経過を複数回繰り返す、
形態13ないし16のいずれか一に記載の方法。


【符号の説明】
【0058】
1 充填用装置
2 蓄電池セル
3 蓄電池
4 注入口
5 セル内部
10 充填装置
11 供給装置
12 流出口
13 中間容器
14 シール手段
15 案内手段
16 充填ノズル
17 固定装置
20 気密性容器
21 容器壁
22 気密性容器内部
23 底板
24 上部
27 固定アーム
28 ポンプ接続部
29 底封止要素
30 電解液
31 電解液面
図1
図2
図3
図4