特許第6285537号(P6285537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285537把手付き容器の成形用金型ユニット及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285537
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】把手付き容器の成形用金型ユニット及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20180215BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B29C49/48
   B29C49/20
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-510502(P2016-510502)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2015059465
(87)【国際公開番号】WO2015147207
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-68648(P2014-68648)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】坂部 祐二
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−108195(JP,A)
【文献】 特開2006−103003(JP,A)
【文献】 特開2002−172682(JP,A)
【文献】 特開平08−072131(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C49/00−49/80
B29C45/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最終成形品である容器本体よりも小さい中間成形体と容器用把手とを成形用金型内に配置した状態で前記中間成形体をブロー成形することで、前記容器本体と前記容器用把手とを備える把手付き容器を成形する成形用金型ユニットであって、
前記成形用金型が、
前記中間成形体が内部に収容される一対の割型本体と、
前記割型本体のそれぞれに、前記割型本体の開閉方向とは直交する方向にスライド可能に設けられ、前記容器用把手を狭持する一対の把手保持割型と、
前記把手保持割型にそれぞれ接続されて各把手保持割型を個別にスライドさせる駆動手段と、を備える
ことを特徴とする成形用金型ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の成形用金型ユニットにおいて、
前記一対の把手保持割型のスライド移動を同調させる同調機構を備える
ことを特徴とする成形用金型ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の成形用金型ユニットにおいて、
前記同調機構は、前記把手保持割型の一方に設けられる係合凸部と、前記把手保持割型の他方に設けられて前記係合凸部が係合する係合凹部と、で構成されている
ことを特徴とする成形用金型ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一つに記載の成形用金型ユニットを備えることを特徴とする把手付き容器の製造装置。
【請求項5】
請求項4に記載の把手付き容器の製造装置において、
前記成形用金型からの前記把手付き容器の搬出と、前記成形用金型への前記中間成形体の搬送とを、前記割型本体の開閉方向とは直交する方向で同時に行う搬送手段を備える
ことを特徴とする把手付き容器の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手付き容器を成形する成形用金型ユニット及びそれを備える把手付き容器の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ミネラルウォーター用リフィラブルボトル等として、3ガロン程度(約12リットル)、或いは5ガロン程度(約20リットル)の大型容器が世界中で採用されている。このような大型容器は、一般的に樹脂材料で形成されており、空の状態であれば軽量であるため持ち運びは比較的容易である。しかしながら、ミネラルウォーターが充填された状態では、容器はかなりの高重量となり持ち運びが大変である。そこで、大型容器の持ち運びを容易にするために、容器本体(プラスチックボトル)の外周部に、胴部の軸方向(上下方向)に沿って延びる把手を設けたものがある。
【0003】
このような把手を容器本体に取り付けることで大型容器の持ち運びが容易となる。ただし、容器本体に対する把手の取付強度を十分に高めることができないという問題がある。例えば、大型容器の材料としてはポリカーボネート樹脂が一般的であるが、近年はポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が用いられてきており、大型容器の材料としてPET樹脂を用いる場合にも、上記のような点が問題となる。例えば、ミネラルウォーター用リフィラブルボトル等の大型容器は、通常、使用後に消費者から回収し、65℃程度の洗浄液によって洗浄(温水洗浄)されて複数回再利用される。このため、容器本体の材料としてPET樹脂を用いる場合、容器本体に耐熱性を付与しつつ把手を容器本体に強固に取り付ける必要がある。しかしながら、容器本体に耐熱性を付与しつつ把手を容器本体に強固に取り付けることは難しかった。
【0004】
このような問題を解決するために、把手付きの大型容器を成形する際に、所定のタイミングで把手を金型本体内に押し込むようにした装置が提案されている。例えば、ブロー金型(金型本体)と、把手インサート装置と、を備え、プリフォームがエアブローにより延伸膨張している最中に、把手インサート装置によりブロー金型内に把手を挿入するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−103003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように所定のタイミングで金型本体内に把手を挿入することにより、樹脂製の容器本体に対する把手の取付強度を高めることができると考えられる。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、ブロー金型とは別途設けられた把手インサート装置によって把手を金型本体内に挿入しているため、製造効率が悪いという問題がある。
【0008】
例えば、特許文献1に記載の装置では、インサート装置がブロー金型の側部に設置されている。このため、把手付き容器のブロー金型からの搬出と、プリフォームを含む中間成形体のブロー金型への搬入とを、型開きした状態のブロー金型の側方から同時に行うことはできない。つまり把手付き容器のブロー金型からの搬出と、プリフォームを含む中間成形体のブロー金型への搬入とを、異なるタイミングで実施する必要があり、把手付き容器の製造に時間がかかってしてしまうという問題がある。
【0009】
上記のような装置で、把手付き容器のブロー金型からの搬出と、プリフォームを含む中間成形体のブロー金型への搬入とを同時に行うとすれば、ブロー金型の上方等から行うことが必要となり、型開きした状態のブロー金型の側方から行う場合に比べて、把手付き容器或いはプリフォームを含む中間成形体の搬送距離が長くなり、製造時間が長くなってしまうという問題は残る。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、樹脂製の容器本体に対する把手の取付強度を向上することができると共に製造効率の向上を図ることができる把手付き容器の成形用金型ユニット及びそれを備える把手付き容器の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、最終成形品である容器本体よりも小さい中間成形体と容器用把手とを成形用金型内に配置した状態で前記中間成形体をブロー成形することで、前記容器本体と前記容器用把手とを備える把手付き容器を成形する成形用金型ユニットであって、前記成形用金型が、前記中間成形体が内部に収容される一対の割型本体と、前記割型本体のそれぞれに、前記割型本体の開閉方向とは直交する方向にスライド可能に設けられ、前記容器用把手を狭持する一対の把手保持割型と、前記把手保持割型にそれぞれ接続されて各把手保持割型を個別にスライドさせる駆動手段と、を備えることを特徴とする成形用金型ユニットにある。
【0012】
かかる第1の態様では、把手付き容器の金型本体からの搬出と、中間成形体の金型本体への搬入とを、型開きした状態の金型本体の側方から同時に行うことができる。なおここでいう「中間成形体」には、プリフォームをブロー成形したものだけでなく、プリフォーム自体も含まれるものとする。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様の成形用金型ユニットにおいて、前記一対の把手保持割型のスライド移動を同調させる同調機構を備えることを特徴とする成形用金型ユニットにある。
【0014】
かかる第2の態様では、一対の把手保持割型のスライド移動を同調させることで、把手の位置決めを高精度に行うことができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様の成形用金型ユニットにおいて、前記同調機構は、前記把手保持割型の一方に設けられる係合凸部と、前記把手保持割型の他方に設けられて前記係合凸部が係合する係合凹部と、で構成されていることを特徴とする成形用金型ユニットにある。
【0016】
かかる第3の態様では、比較的簡易な構造で同調機構を実現することができる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか一つの態様の成形用金型ユニットを備えることを特徴とする把手付き容器の製造装置にある。
【0018】
かかる第4の態様では、把手付き容器の製造効率を向上することができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、第4の態様の把手付き容器の製造装置において、前記成形用金型からの前記把手付き容器の搬出と、前記成形用金型への前記中間成形体の搬送とを、前記割型本体の開閉方向とは直交する方向で同時に行う搬送手段を備えることを特徴とする把手付き容器の製造装置にある。
【0020】
かかる第5の態様では、把手付き容器と中間成形体との搬送時間を短縮することができ、ひいては把手付き容器の製造時間の短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、把手付き容器の製造効率を向上することができる。また適切なタイミングで把手を金型本体内に挿入することで、樹脂製の容器本体に対する把手の取付強度も向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】把手付き容器の一例を示す図であって、(a)は側面図、(b)は把手側から視た正面図である。
図2】把手付き容器の把手部分を拡大した一部断面図である。
図3】把手付き容器の製造方法を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係る把手付き容器の製造装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る成形用金型ユニットの上面側を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る割型本体の正面側を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る成形用金型ユニットの左側面側を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る成形用金型ユニットの動作を説明する概略図である。
図9】本発明の一実施形態に係る同調機構を説明する成形用金型ユニットの概略図である。
図10】本発明の一実施形態に係る調芯機構を説明する成形用金型ユニットの概略図である。
図11】本発明の一実施形態に係る成形用金型ユニットの動作を説明する概略図である。
図12】本発明の一実施形態に係る成形用金型ユニットの変形例を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
まずは、本発明に係る把手付き容器の製造装置によって成形される把手付き容器について説明する。
【0025】
図1に示すように、把手付き容器10は、容器本体20と、把手(容器用把手)30とを備えている。容器本体20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されている。容器本体20は、筒状に形成された胴部21と、胴部21の底面を構成する底部22と、胴部21の上部を構成する肩部23と、を有している。また容器本体20は、その上部中央に口部24を有しており、肩部23は、この口部24と胴部21との間に設けられている。容器本体20内には、口部24から液体が流入される。また、容器本体20内の液体は、口部24から流出される。口部24には、蓋部(図示なし)が着脱可能とされており、口部24に蓋部を装着することで、容器本体20が密閉されるようになっている。
【0026】
胴部21は、その周面における一部に、把手装着部25を有している。把手装着部25は、側面視で略凹状に窪む形状に形成されている。把手装着部25には、正面視における中央部に、把手30が取り付けられている。
【0027】
把手30は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されている。把手30は、図2に示すように、棒状に形成された把持部31と、把持部31に連結された固定部32とを有している。把持部31は、把手付き容器10の運搬等の際に作業者が把持する部分である。固定部32は、容器本体20に固定される部分である。
【0028】
固定部32は、把持部31と略平行に間隔を空けて配置された取付棒部33と、取付棒部33の上下端から把持部31の上下端へ向かって延びて把持部31の上下端に連結する連結部34と、を有している。また、取付棒部33には、その上下端部に、略上下方向へ向かって突出する係止部35が形成されている。また、取付棒部33には、上下方向の中間部分に、把持部31と反対側へ突出する係合突起部36が形成されている。この係合突起部36には、その先端部分に、上下左右に張り出す張り出し部37が形成されている。また取付棒部33の上下方向の中間部分には、その幅方向(左右両側)に向けて張り出す押圧片38が形成されている(図1(b)参照)。
【0029】
図1及び図2に示すように、把手30は、容器本体20における把手装着部25に取り付けられる。容器本体20の把手装着部25には、複数の山状突起26が形成されている。これらの山状突起26は、把手30の押圧片38よりも上方側及び下方側にそれぞれ形成されている。これらの山状突起26は、取付棒部33の幅方向における両側において、容器本体20の一部が外側(把持部側)へ膨出することで形成されている。そして、これらの山状突起26は、把手30の固定部32を構成する取付棒部33の上下端部分及び連結部34の左右両側を係止する。これにより、把手30は、容器本体20に対して水平方向への移動が規制されている。
【0030】
また、容器本体20の把手装着部25には、複数の組み付き部27が形成されている。組み付き部27は、係止部35と連結部34に沿って、係止部35よりも連結部34側に入り込むように形成されている。組み付き部27が、把手30の係止部35を係止する。これにより、把手30は、容器本体20に対して上下方向及び離間する方向(把手30が容器から離れる方向、取付棒部33から把持部31へ向かう方向)への移動が規制されている。
【0031】
さらに、容器本体20の一部は、把手30の係合突起部36における張り出し部37よりも取付棒部33側に食い込み、係合突起部36の形状に沿って形成されている。これにより、把手30は、容器本体20に対して上下左右方向及び離間する方向への移動が規制されている。
【0032】
次に、このような把手付き容器10の製造方法について、図3を参照して簡単に説明する。
【0033】
(1)射出成形工程及び温調工程
まず射出成形工程では、図3(a)に示すように、容器本体20となるプリフォーム60を射出成形する。このプリフォーム60は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂から成形されたもので、上端部に口部24が形成された有底円筒状に形成されている。温調工程では、射出成形工程で射出成形されたプリフォーム60を延伸適温まで加熱する。
【0034】
(2)一次ブロー成形工程
一次ブロー成形工程では、温調工程で延伸適温に加熱されたプリフォーム60に対してブロー成形を行うことで、図3(b)に示すように、最終成形品である容器本体20よりも小さい中間成形体61を成形する。具体的には、延伸適温に加熱されたプリフォーム60をブロー成形することにより、中間成形体61よりも大きいサイズの一次ブロー成形品61Aを形成する。その後、一次ブロー成形品61Aが収縮することで、高温かつ軟化状態の中間成形体61が形成される。
【0035】
(3)最終ブロー成形工程
最終ブロー成形工程では、後述する最終ブロー成形型を用いて、把手30と共に中間成形体61をブロー成形することによって、図3(c)に示すように把手付き容器10を形成する。
【0036】
次に、把手付きの容器の製造装置の一例について図4図9を参照して説明する。
【0037】
まず図4(a)に示すように、本実施形態に係る把手付き容器の製造装置100は、上記中間成形体61を製造するための第1製造部200と、中間成形体61から把手付き容器10を製造するための第2製造部300と、を備える。
【0038】
第1製造部200は、射出装置201が連結される射出成形部202と、温調部203と、一次ブロー成形部204と、取り出し部205と、を備える。射出成形部202は、射出装置201から射出される樹脂材料によってプリフォーム60を成形する。温調部203は、一次ブロー前にプリフォーム60の温度を調整する。具体的には、一次ブロー型(図示なし)を、棒状ヒータ等で、PET樹脂の結晶化温度以上(140℃から180℃程度)になるように温度調整を行う。
【0039】
一次ブロー成形部204では、プリフォーム60から一次ブロー成形品61Aを形成する。一次ブロー成形部204は、一次ブロー型とブローノズルとを有し、一次ブロー型の内部に配置されたプリフォーム60の内部にブローノズルを用いて高圧エアーを導入する。高圧エアーが導入されたプリフォーム60は延伸されて一次ブロー型の内壁面に接触し、一次ブロー成形品61Aが形成される。このとき、PET樹脂の残留応力が緩和され、また、結晶化密度が向上する(ヒートセット処理による耐熱性の向上)。その後、高圧エアーを排気し一次ブロー型を開状態にして、高温で軟化状態の一次ブロー成形品61Aを一次ブロー型から取り出す。このとき(主として排気時)、一次ブロー成形品61Aは、その体積が10〜30%程度収縮し、中間成形体61となる。
【0040】
取り出し部205は、このように一次ブロー成形部204で形成された中間成形体61を一時的に収容する。
【0041】
第2製造部300は、装着部301と、ハンドル供給装置302と、最終ブロー成形部303と、回収部304と、を備える。装着部301は、移動手段(図示なし)によって第1製造部200の取り出し部205から供給された中間成形体61を第2製造部300の搬送手段(図示なし)に装着する。ハンドル供給装置302は、複数の把手30を収容し、最終ブロー成形部303に所定のタイミングで把手30を供給する。
【0042】
最終ブロー成形部(成形用金型装置)303は、ハンドル供給装置302から供給された把手30と、搬送手段で搬送されてきた中間成形体61とを、最終ブロー型内にセットした状態で、中間成形体61の内部にブローノズルを用いて高圧エアーを導入することで把手付き容器10を形成する。
【0043】
また回収部304は、最終ブロー成形部303から搬送手段によって搬送されてきた把手付き容器10を回収し、その後、例えば、ベルトコンベアー等にて所定の保管場所まで把手付き容器10を搬送する。
【0044】
なお上述の実施形態では、一次ブロー成形部204でヒートセット処理を行っているが、図4(b)に示すように、例えば、装着部301と最終ブロー成形部303との間に、ヒートセット処理を専用に行う熱処理ブロー成形部305を別途設けてもよい。この場合、一次ブロー成形部204にある一次ブロー型では冷却されて剛直な一次ブロー成形品61Aが成形され、熱処理ブロー成形部305の熱処理ブロー型で、高温軟化状態の中間成形体61が成形される。熱処理ブロー型は一次ブロー型と略同一形状及びサイズのブローキャビティを有し、上述の一次ブロー型と同様の加熱機構を備える。熱処理ブロー成形部305では、熱処理ブロー型内に収容した剛直な一次ブロー成形品61Aに高圧エアーを導入しつつキャビティ面に接触させてヒートセット処理を施す。その後、ブローエアが排気されて収縮した中間成形体61が成形される。このように加熱成形された中間成形体61の温度低下を極力避けるため、熱処理ブロー成形部305は最終ブロー成形部303の直前に配置するのが望ましい。
【0045】
ここで、図5図7を参照して最終ブロー成形部(成形用金型ユニット)303の構成についてさらに説明する。なお図5は、最終ブロー成形部(成形用金型ユニット)の上面側を示す図であり、パーティングラインPLの紙面左側に型閉後で把手押し込み工程前の待機状態を示し、紙面右側に押し込み工程後の押圧状態を模式的に示している。また、図6は、最終ブロー割型の正面側を示す図であり、図7は、最終ブロー成形部の左側面側を示す図である。なお図7中右側の最終ブロー割型は、把手保持割型が外された状態を示している。
【0046】
これら図5図7に示すように、最終ブロー成形部303は、最終ブロー成形型(金型本体)311と、最終ブロー成形型311に設けられる一対の把手保持割型312と、把手保持割型312をそれぞれスライド移動させる二つのアクチュエータ装置(駆動手段)313と、を備えている。
【0047】
最終ブロー成形型311は、中間成形体61が収容される成形空間314を画成する一対の最終ブロー割型315(315A,315B)と、中間成形体61の底部に対応する上底型316とを備える。
【0048】
最終ブロー割型315には、温調媒体が供給される供給管317及び温調媒体が排出される排出管318と、が接続されており、各最終ブロー割型315に設けられた供給路(図示は省略)内に温調媒体を循環させることで、成形空間314内に配置された中間成形体61が所定温度に加熱されるようになっている。また上底型316も、最終ブロー割型315と同様、温調媒体により加熱されるようになっている。
【0049】
把手保持割型312(312A,312B)は、このような最終ブロー割型315のそれぞれに、スライド移動可能に設けられている。具体的には、各最終ブロー割型315には、型開き方向(第1の方向)とは直交する方向(第2の方向)における成形空間314の一方の側部に、把手保持割型312が装着される凹部319がそれぞれ形成されている。凹部319内には、第2の方向に沿って複数本のガイドシャフト320が設けられており(図6参照)、把手保持割型312には、このガイドシャフト320が挿通される挿通孔321が形成されている。そして把手保持割型312は、挿通孔321にガイドシャフト320が挿通された状態で最終ブロー割型315の凹部319に装着され、この凹部319内をガイドシャフト320に沿って所定距離だけ移動可能に構成されている。例えば、本実施形態では、図5に示すように、把手保持割型312は、待機位置(待機状態)から押込位置(押込状態)までの所定距離d1だけスライド移動可能に構成されている。
【0050】
各アクチュエータ装置313(313A,313B)は、このように各最終ブロー割型315(315A,315B)の凹部319に装着された把手保持割型312にそれぞれ接続されている。各把手保持割型312は、これらアクチュエータ装置313によって個別にスライド可能に構成されている。なおアクチュエータ装置313は、例えば、油圧シリンダ等によって構成される。勿論、このアクチュエータ装置313の構成は、特に限定されず、各把手保持割型312を所定圧力で押圧することができるものであればよい。
【0051】
このような構成の最終ブロー成形部303では、例えば、図8(a)に模式的に示すように、最終ブロー割型315が型開きした状態で、中間成形体61が、装着部301から搬送手段によって最終ブロー割型315の間に搬入され、またハンドル供給装置302によって、把手保持割型312の一方に、把手30が装着される。
【0052】
この状態で、図8(b)に示すように、最終ブロー割型315が型閉じされ、成形空間314内に中間成形体61が収容される。同時に把手保持割型312が型閉じされ、把手30が一対の把手保持割型312によって強固に保持される。
【0053】
その後、中間成形体61の内部にブローノズルを用いて高圧エアーを導入することで把手付き容器10を形成する。その際、図8(c)に示すように、エアブローにより中間成形体が膨張しているタイミングで各把手保持割型312をアクチュエータ装置313によって、成形空間314側の所定位置までスライド移動させる。これにより、把手保持割型312に保持されている把手30が、膨張している中間成形体61に対して所定のタイミングで押し付けられる。なお把手保持割型312は、容器本体20の把手装着部25を形成する金型であり、把手30を中間成形体61に押し付けると同時に把手保持割型312によって把手装着部25が形成される(図1参照)。
【0054】
このように中間成形体61をブロー成形して把手付き容器10を形成する際に、中間成形体61に対して把手30を押し付けるようにすることで、ブロー成形によって膨張する中間成形体61(容器本体20)に把手30を食い込ませることができ、容器本体20に対する把手30の取付強度が向上する。
【0055】
ここで、本実施形態に係る最終ブロー成形部303は、一対の把手保持割型312のスライド移動を同調させる同調機構を備えていることが好ましい。これにより、アクチュエータ装置313による各把手保持割型312のスライド量のずれを抑制することができ、容器本体20に対して把手30を高精度に位置決めすることができる。例えば、図9に示すように、この同調機構330は、一方の把手保持割型312Bに設けられる複数個(例えば、二つ)の係合凸部331と、他方の把手保持割型312Aに設けられる係合凹部332とで構成される。そして、最終ブロー割型315を型閉じした際に、複数の係合凸部331が係合凹部332に係合されることで、二つの把手保持割型312A,312Bが連結される(図9(b))。この状態では、各把手保持割型312A,312Bは、それぞれに接続されたアクチュエータ装置313A,313Bによって独立してスライド移動することはできない。つまり両把手保持割型312A,312Bのスライド移動を同調させることができる。
【0056】
このように同調機構330を設けることで、比較的簡易な構造で一対の把手保持割型312のスライド移動を同調させることができ、容器本体20に対する把手30の位置決めを高精度に行うことができる。
【0057】
なおこの同調機構330の構造は、特に限定されるものではない。例えば、上述の例では、同調機構330を把手保持割型312の二箇所に設けた構成を例示したが、同調機構330の数は特に限定されず、一箇所に設けられていてもよいし、三箇所以上に設けられていてもよい。また例えば、同調機構330は、一方の把手保持割型312に上下方向に連続して設けられる凸条と、他方の把手保持割型312に設けられてこの凸条が係合する溝部とで構成されていてもよい。
【0058】
また最終ブロー成形部303には、把手保持割型312をスライド移動させた際に、容器本体20に対する把手30の位置が一定となるように、本実施形態では、常に容器本体20の上下方向及び左右方向(第1の方向)の中央付近に配置されるように、把手保持割型312のスライド移動を規制する調芯機構が設けられていることが好ましい。
【0059】
例えば、図10に示すように、調芯機構340は、最終ブロー割型315に形成されている凹部319の内面の一部を構成する第1の傾斜面341と、各把手保持割型312に形成され、把手保持割型312をスライド移動させた際に第1の傾斜面341に当接する第2の傾斜面342とで構成される。すなわち、把手保持割型312をスライド移動させた際に、把手保持割型312の第2の傾斜面342が、最終ブロー割型315の第1の傾斜面341に当接し、第2の傾斜面342が第1の傾斜面341上を摺動することで、把手保持割型312が所定位置(容器本体20の中央付近)に移動する。したがって、容器本体20に対する把手30の位置精度がさらに向上する。
【0060】
なお図10に示す例では、最終ブロー割型315の幅方向(第1の方向)の両縁部に設けられた調芯機構340について説明したが、この調芯機構340を設ける位置は特に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、調芯機構340は、最終ブロー割型315の幅方向(第1の方向)の両縁部に設けられていると共に(図5参照)、最終ブロー割型315の上下方向の両縁部(上縁部及び下縁部)にも設けられている(図6参照)。
【0061】
また、このような最終ブロー成形部303では、最終ブロー成形型311によって把手付き容器10が成形されると、搬送手段(図示なし)によって把手付き容器10のネック部等を保持し、図11に示すように、一対の最終ブロー割型315を型開きして、把手付き容器10を搬送手段によって型開きした一対の最終ブロー割型315の間を通過させて回収部304まで搬送する。
【0062】
本発明に係る最終ブロー成形部(成形用金型装置)303では、上述したように、各最終ブロー割型315に設けられた一対の把手保持割型312によって把持するように把手30を保持し、且つ各把手保持割型312に対してそれぞれアクチュエータ装置313を設けるようにした。このため、把手付き容器10の製造効率を向上することができる。
【0063】
具体的には、本実施形態に係る把手付き容器の製造装置100では、最終ブロー割型315を型開きした状態で、最終ブロー成形型311の側方に把手30を搬入するための装置を設ける必要がない。このため、最終ブロー成形型311の一方の側方から型開きした最終ブロー割型315の間に中間成形体61を搬入することができる(図8(a))。また最終ブロー成形型311で成形した把手付き容器10を、最終ブロー成形型311の他方の側方から最終ブロー成形型311の外側に搬出することができる(図11)。したがって、第2製造部300において、装着部301から最終ブロー成形部303への中間成形体61の搬送と、最終ブロー成形部303から回収部304への把手付き容器10の搬送とを同期させることができ、且つ搬送距離も比較的短く抑えることができる。
【0064】
さらに、ハンドル供給装置302による把手保持割型312への把手30の供給も、中間成形体61の最終ブロー割型315への搬入、及び成形された把手付き容器10の最終ブロー割型315からの搬出と同期して行うことができる。したがって、把手付き容器10を、把手無し容器とほぼ同じ時間で成形することができ、生産ライン上の重要な一要件である製造時間の短縮を図ることができる。
【0065】
ところで、把手付き容器の製造装置100が、装着部301と、最終ブロー成形部303との間に熱処理ブロー成形部305を備える場合(図4(b)参照)、図12に示すように、熱処理ブロー成形部305は、最終ブロー成形部303及び回収部304と共に、直線状に配置されていることが好ましい。すなわち搬送路が直線状(リニア式)になっていることが好ましい。これにより、熱処理ブロー成形部305と最終ブロー成形部303とを近接して配置することができ、中間成形体61の移動距離・移動時間を短縮することができ、ひいては把手付き容器10の製造時間の短縮を図ることができる。また、搬送時に生じる中間成形体61の温度や保有熱の減少が最小限に抑えられ、最終ブローでの賦形性も向上する。
【0066】
さらに大型容器の透明性を向上することもできる。例えば、3〜5ガロンサイズ(約12〜20リットル)のミネラルウォーター用リフィラブルボトル等の大型容器は、0.5〜2リットルサイズの中小型容器より倍以上も肉厚である。このため、大型容器を製造する際、熱処理ブロー後に中間成形体61が徐冷されると、球晶結晶化により白化が生じ透明性が損なわれやすい。特に肉厚な肩部において、このような現象が生じ易い。しかしながら、上記構成の把手付き容器の製造装置100によれば、このような現象を回避することができる。
【0067】
また最終ブロー成形部303は、占有スペースの大きいアクチュエータ装置(駆動手段)313が回収部304側となるように配置されていることが好ましい。これにより、熱処理ブロー成形部305と最終ブロー成形部303とをより近接して配置することができる。したがって、中間成形体61の移動距離・移動時間をさらに短縮することができる。
【0068】
また把手付き容器の製造装置100は、上述のようにハンドル供給装置302によって把手保持割型312の一方に把手30を装着させる構成である。このためハンドル供給装置302による把手30の把手保持割型312への供給時間は比較的短い。このため、熱処理ブロー成形部305、最終ブロー成形部303及び回収部304を上述した配置とすることで(図12参照)、最終ブロー成形部303への中間成形体61の搬入及び把手30の供給と、最終ブロー成形部303からの把手付き容器10の搬出と、同期して実施することができるようになる。したがって、把手付き容器10の製造時間のさらなる短縮を図ることができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能なものである。
【0070】
例えば、上記実施形態では、一次ブロー成形工程でプリフォーム60をブロー成形し、その後、最終ブロー成形工程で中間成形体61をブロー成形して把手付き容器10を形成したが、成形安定性や成形品質向上を図るために、一次ブロー成形工程の前にプリフォーム60の予備ブロー処理を行ってもよい。
【0071】
また本実施形態では、一次ブロー成形して中間成形体を形成後に最終ブロー成形を行ったが、一次ブロー成形は、必ずしも実行しなくてもよい。つまり、最終ブロー成形部では、中間成形体の替わりにプリフォームを把手と共に成形して把手付き容器を形成するようにしてもよい。
【0072】
また、本発明は、特に、3ガロンや5ガロン(約12リットル〜20リットル)等の大型容器の製造に好適なものであるが、勿論、これより小さい容器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
10 容器
20 容器本体
21 胴部
22 底部
23 肩部
24 口部
25 把手装着部
26 山状突起
27 組み付き部
30 把手
31 把持部
32 固定部
33 取付棒部
34 連結部
35 係止部
36 係合突起部
37 張り出し部
38 押圧片
60 プリフォーム
61 中間成形体
61A 一次ブロー成形品
100 把手付き容器の製造装置
200 第1製造部
201 射出装置
202 射出成形部
203 温調部
204 一次ブロー成形部
205 取り出し部
300 第2製造部
301 装着部
302 ハンドル供給装置
303 最終ブロー成形部(成形用金型ユニット)
304 回収部
311 最終ブロー成形型(成形用金型)
312 把手保持割型
313 アクチュエータ装置(駆動手段)
314 成形空間
315 最終ブロー割型(割型本体)
316 上底型
317 供給管
318 排出管
319 凹部
320 ガイドシャフト
321 挿通孔
330 同調機構
331 係合凸部
332 係合凹部
340 調芯機構
341 第1の傾斜面
342 第2の傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12