特許第6285540号(P6285540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285540再設定されることができる安全装置を有する電池及び前記電池のための好適な極スタッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285540
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】再設定されることができる安全装置を有する電池及び前記電池のための好適な極スタッド
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/34 20060101AFI20180215BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20180215BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01M2/34 A
   H01M2/30 D
   H01M10/42 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-512272(P2016-512272)
(86)(22)【出願日】2014年4月24日
(65)【公表番号】特表2016-521445(P2016-521445A)
(43)【公表日】2016年7月21日
(86)【国際出願番号】EP2014058314
(87)【国際公開番号】WO2014180665
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2016年12月7日
(31)【優先権主張番号】102013208555.9
(32)【優先日】2013年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512023029
【氏名又は名称】ファオヴェー−ファオエム フォルシュングスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ゴーグラー, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ホル, コンラッド
(72)【発明者】
【氏名】ストック, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】シュレイバー, ヴェルナー
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−101889(JP,A)
【文献】 特開2013−101890(JP,A)
【文献】 特開2007−149433(JP,A)
【文献】 特表2004−517440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0098410(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20− 2/34
H01M 10/42
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
少なくとも一つの正電極と少なくとも一つの負電極を持ち、かつハウジング内に配置された少なくとも一つの個別のセルと、
ハウジングを貫通し、かつ少なくとも一つの正電極に電気的に接続される正極スタッド、及び/又はハウジングを貫通し、かつ少なくとも一つの負電極に電気的に接続される負極スタッドと、
空気圧で作動されることができ、かつしきい値を越えるハウジング内の圧力の増加の場合にその切り換え状態を変化し、工程中に極スタッドの少なくとも一つと関連する少なくとも一つの電極との間の電気的接続を遮断する、少なくとも一つの電気スイッチと、
を有する電池において、
電池が再設定装置を含み、再設定装置により切り換え状態の変化の結果として遮断される電気的接続が、この目的のためにハウジングを開放する必要なしで再確立されることができること、及び電池が表示手段を含み、表示手段が、切り換え状態の変化の結果として遮断される電気的接続を示すことを特徴とする電池。
【請求項2】
少なくとも一つのスイッチが、互いに物理的に分離される二つの電気接点要素と、第一状態では二つの接点要素を接続し、圧力の増加のために、接点要素の少なくとも一つへの接触が遮断される第二状態に動かされることができる、電気伝導性の、好ましくは双安定性の、接続要素とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
接続要素がガス不透過性隔膜であることを特徴とする請求項2に記載の電池。
【請求項4】
極スタッドが、隔膜によって部分的に画定される中間空間を持つことを特徴とする請求項3に記載の電池。
【請求項5】
極スタッドが、再設定装置の一部分として内腔を有し、前記内腔が、中空空間及び隔膜をハウジングの外側に接続することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電池。
【請求項6】
再設定装置が、流体作動再設定装置又は機械的再設定装置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電池。
【請求項7】
再設定装置が、内腔に取り付けられているピンを含み、ピンによって接続要素が、第二状態から第一状態に動かされることができることを特徴とする請求項5又は6に記載の電池。
【請求項8】
内腔を介して接続要素を第二状態から第一状態に動かすことができるピンが、表示手段として機能するか、又は表示手段を制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電池。
【請求項9】
電池、特に請求項1〜のいずれかに記載の電池のための極スタッドであって、
二つの対向する平坦側を持つヘッドと、
平坦側の一つから外に延び、かつ自由軸端を持つ軸と
を含むものにおいて、
極スタッドが、ヘッド内の中空空間、中空空間を画定するガス不透過性隔膜、及び軸内を通り中空空間内に出る通路内腔を備えること、及び極スタッドが、内腔に取り付けられ、かつ隔膜上に直接着座するピンを備えることを特徴とする極スタッド。
【請求項10】
軸の外側上にねじを備えることを特徴とする請求項に記載の極スタッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの正電極と少なくとも一つの負電極を有する少なくとも一つの個別のセルが配置されるハウジングを有する電池に関する。少なくとも一つの正電極又は少なくとも一つの負電極に電気的に接続される極スタッドが、ハウジングを貫通する。電池は、空気圧で作動されることができ、かつしきい値を越えるハウジング内の圧力の増加の場合にその切り換え状態を変化し、工程中に極スタッドの少なくとも一つと関連する少なくとも一つの電極との間の電気的接続を遮断する、電気スイッチを有する。第二の態様によれば、電池は、この種の電池のために好適な極スタッドに関する。
【背景技術】
【0002】
用語「電池(battery)」は、元来、直列に接続された複数の電気化学セルを意味した。しかし、個別の電気化学セル(個別のセル)は、今日、電池と呼ばれることも多い。電気化学セルが放電されるとき、互いに電気的に結合されているが互いに物理的に分離されている二つの部分反応からなるエネルギー供給化学反応が起こる。酸化工程では、電子が負電極で放出され、これは、外部負荷によって対応する量の電子を引き取る正電極への電子の流れをもたらす。従って、還元工程が正電極で起こる。同時に、電極反応に対応するイオン流がセル内で発生する。このイオン流はイオン伝導性の電解質によって確保される。二次セル及び電池内では、この放電反応は可逆的である。従って、放電時に起こる電気エネルギーへの化学エネルギーの変換を逆転することが可能である。
【0003】
既知の二次セルの中から、比較的高いエネルギー密度が特にリチウムイオンセルによって、すなわち充電工程及び放電工程時にリチウムイオンが一つの電極から他の電極へ移動するセルによって、達成される。この種のセルは、ノートブック及び携帯電話のような携帯装置での使用のために特に適している。しかし、それらはまた、自動車のためのエネルギー源として特に重要性を持つものである。
【0004】
一般的に、リチウムイオン電池のセルは、可燃性成分を持つ。例えば、リチウムイオンセルの電解質は、主成分として、例えばエチレンカーボネートのような有機溶剤を含むことが多い。この種のセルの高エネルギー密度に関して、これは、過小評価されるべきでない潜在的危険を構成する。従って、使用者に対する危険を排除すること、または少なくとも前記危険をできるだけ小さく保つことができるために特別な安全予防措置を取ることが必要である。
【0005】
リチウムイオンセルは、臨界状態に入ることができ、そこではある環境下では、特にそれらが機械的に損傷を受けるとき、または過剰に充電された結果として、火災の危険がある。リチウムイオンセルの過剰充電は、負電極の表面上の金属リチウムの付着、そしておそらくセル内に含まれる電解質の分解を導きうる。後者は、セルの深刻なガス発生を導きうる。極端な場合には、これは、セルを取り囲むハウジングへの損傷を導く。結果として、湿気及び酸素がセルに入ることができ、これは爆発状の燃焼をもたらしうる。
【0006】
これを避けるために、リチウムイオンセルに安全装置を与えることが知られている。再充電可能なリチウムイオンセルの作動上の安全性を電子的に監視するための好適な回路装置は、例えばDE10104981A1から知られている。リチウムイオン電池の安全性を高めるためのヒューズの使用は、DE102008020912A1から知られている。DE102007020905A1は、薄いプラスチックフィルム上に配置されかつ予め決められた破壊点を持つ放電導体を持つセルを開示する。もしフィルムが、例えばセルのガス発生の結果として変形するなら、放電導体は予め決められた破壊点で破壊され、その結果としてセルは不可逆的にかつ永久的に不活化される。
【0007】
電気接点が破壊又は遮断されるヒューズ及び安全手段は、極めて信頼できることが知られている。しかしながら、一つの問題は、電池が、この種の安全装置が作動された後に最初に臨界的な状態、おそらく危険な状態のままであることである。さらに、前記安全装置は不可逆的に作動されるので、一般的にこの状態で積極的に何かを変化することが不可能である。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、上記の問題を考慮に入れる、信頼性がありかつ簡単な安全解決策が実現される、電池、特にリチウムイオン電池を提供する目的に基づく。
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を持つ電池によって達成される。本発明による電池の好適な実施態様は、従属請求項2〜9に記載される。さらに、請求項10に記載の極スタッドはまた、上述の問題を解決することに寄与する。本発明による極スタッドの好ましい実施形態は、従属請求項11及び12に示される。全ての請求項の用語は、これにより本明細書中に参考として含まれる。
【0010】
冒頭の部分で述べた一般的なタイプの電池のように、本発明による電池はまた、少なくとも一つの正電極及び少なくとも一つの負電極を持つ少なくとも一つの個別のセルが配置されるハウジングを持つ。個別のセルは、好ましくはリチウムイオン系セルである。従って、本発明による電池は、好ましくはリチウムイオン電池である。本発明による電池のための適応分野は、特に自動車部門で見出される。従って、本発明による電池は、好ましくは自動車用電池である。
【0011】
個別のセルは、正電極/セパレータ/負電極の順序で電極とセパレータ箔を含む複合体の形で存在することが好ましい。この場合、電極は、通常、二次元又は三次元のシート状構造の形で存在する金属電流コレクタを含むことが好ましい。リチウムイオン電池では、アルミニウムから、例えば押し出しアルミニウムまたは有孔アルミニウム箔から構成される網または箔が、ほぼ正電極の側に設けられることが好ましい。銅から構成される網または箔は、通常、負電極の側で電流コレクタとして使用される。原則として、電池は、複数の平坦な個別のセルを含むセルスタック、及びまた巻かれた個別のセル(コイル)の両方を含むことができる。
【0012】
ハウジングは、少なくとも一つの個別のセルを、それを包囲する領域から遮断し、気密かつ液密であることが好ましい。
【0013】
本発明による電池の固定された構成部分は、一般的に正及び負の極スタッドであり、それらは、それぞれ本発明による電池のハウジングを通ってハウジング内部に突出する。この場合、本発明による電池は、正及び負の極スタッドの両方を持つ。しかしながら、ハウジング自体が正又は負の極として作用することも可能である。前記ハウジングは、この目的のために電気伝導性でなければならない。しかしながら、前記ハウジングは、金属、特にアルミニウム又はアルミニウム合金から構成されることが好ましい。この場合、本発明による電池はまた、正極スタッドだけ又は負極スタッドだけを持つことができる。
【0014】
正極スタッド、特にハウジング内に配置される正極スタッドの部分は、おそらく少なくとも一つの正電極に電気的に接続される。負極スタッド、特にハウジング内に配置される負極スタッドの部分は、おそらく少なくとも一つの負電極に接続される。極スタッドは、一般的に、例えばDE10047206A1に記載されるように絶縁化合物によってハウジングから電気的にかつ機械的に分離される。もし両極がこのようにして絶縁されるなら、ハウジング自体は電位がない。
【0015】
極スタッドの好ましい実施形態は、以下にさらに詳細に記載されるだろう。しかしながら、最初に、極スタッド又は極スタッドの少なくとも一つがその外側上にねじを持つことが特に好ましいことが述べられるべきである。このようにして形成される極スタッドは、本発明による電池のハウジングの壁を通る代替通路又は内腔を貫通されることができ、例えばねじ上に締め付けられるナットによって通路又は内腔に固定されることができる。
【0016】
本発明による電池は、空気圧で作動されることができ、かつしきい値を越える、初期値から出発した、ハウジング内の圧力の増加の場合にその切り換え状態を変化し、工程中に極スタッドの少なくとも一つと関連する少なくとも一つの電極との間の電気的接続を遮断する、少なくとも一つの電気スイッチを含む。従って、本発明では、例えば過剰な充電の場合に起こるセルのガス発生もまた、利用される。生成されるガスは、「作用媒体」として役立ち、空気圧で作動可能な電気スイッチの上に前記切り換え状態の変化が起こるまで圧力を及ぼすことができる。空気圧で作動可能な電気スイッチを設計するための特定の説明が以下に続く。
【0017】
本発明による電池は、それが再設定装置を含み、再設定装置により切り換え状態の変化の結果として遮断される電気的接続が、この目的のためにハウジングを開放する必要なしで再確立されることができることを特徴とする。
【0018】
換言すれば、前記空気圧で作動可能な電気スイッチは、極スタッドの一つと関連する少なくとも一つの電極との間に電気的接続がある第一切り換え状態を持ち、さらに前記電気的接続が遮断される第二切り換え状態を持つ。再設定装置は、それがスイッチを第二切り換え状態から第一切り換え状態に戻すことができるような方法で設計及び/又は配置されなければならず、そこでは遮断された電気的接続は、ハウジングが述べられているように開放されずに再確立される。この手段によれば、例えば空気圧で作動可能な電気スイッチが作動された後に臨界状態にある電池を制御された態様で放電することを可能にする。
【0019】
少なくとも一つの空気圧で作動可能な電気スイッチは、互いに物理的に分離されている二つの電気接点要素を含むことが好ましい。接点要素の一方は、少なくとも一つの正電極に又は少なくとも一つの負電極に接続されることが好ましく、他方の接点要素は、極性に関してそれぞれ対応する極スタッドに接続されることが好ましい。特に好ましい実施形態では、接点要素の少なくとも一つはまた、極スタッドの一部であるか、又は極スタッド自体であることができる。さらに、スイッチは、電気伝導性接続要素を含み、それは、第一状態(前記第一切り換え状態に相当する状態)では、二つの接点要素を接続し、圧力増加によって、接点要素の少なくとも一つに対する接触が遮断される第二状態(前記第二切り換え状態に相当する状態)に動かされることができる。
【0020】
接続要素は、いわゆる双安定接続要素であることが好ましい。双安定接続要素は、二つの可能な安定状態(この場合には第一状態及び第二状態)をとることができる接続要素を意味することが理解されるべきである。第一状態から第二状態への切り換えは、第一外部パルス、例えば前述のハウジング内の圧力増加によってのみ可能である。切り換え後、接続要素は、第一パルスがもはや接続要素に作用しないときであっても第二状態のままである。第一状態への戻りは、接続要素が第一外部パルスとは異なる第二外部パルスを受けるとき(例えば初期値より下への圧力の低下)にのみ、起こる。
【0021】
接続要素は、ガス不透過性隔膜が特に好ましく、特に双安定ガス不透過性隔膜である。もし圧力がこの種の隔膜の一方の側に付与されるなら、隔膜は、圧力が付与されない側の方向に曲がる。前記電気接点要素の対応する配置が与えられると、工程中に起こる形状形成は、前記電気接点要素間の電気的接続の遮断に導きうる。
【0022】
双安定隔膜の場合には、前記隔膜は、圧力のために、第一安定状態(例えば凸(又は凹)配置)から第二安定状態(例えば凹(又は凸)配置)に動かされ、そこではそれは、圧力の付与が停止し、初期圧力が再確立されるときであってもそのままである。
【0023】
少なくとも一つの極スタッドは、接続要素によって部分的に画定される中空空間を有することが特に好ましい。従って、接続要素は、極スタッドの構成部分である。特に、空気圧で作動可能な電気スイッチは、同時に、上述のように、接触要素の一方が極スタッドの一部であるか又は極スタッド自体であるときに極スタッドに少なくとも部分的に一体化されるということができる。換言すれば、極スタッドは、空気圧で作動可能な電気スイッチの少なくとも一部分(第二接点要素を除く)を含む。
【0024】
中空空間は、接続要素が本発明による電池のハウジングの内部から中空空間を画定するようにハウジング内に配置される極スタッドの部分に配置されることが特に好ましい。
【0025】
もし接続要素が隔膜、特に双安定隔膜であるなら、前記隔膜は、上記第一状態(又は前記第一切り換え状態)で内部の方へ凸状に曲がり、上記第二状態(又は前記第二切り換え状態)への移行時に凹状構成に変化し、その移行がハウジング内の圧力増加の結果であることが好ましい。少なくとも一つの極スタッドと関連する少なくとも一つの電極との間の電気的接続に意図した遮断がこの場合に起こることを確実にするため、前記接点要素の一つは、前記隔膜が第一状態(凸状態)であるときにのみ隔膜と接触するように配置されることが好ましい。
【0026】
極スタッドは、再設定装置の一部として内腔を有し、前記内腔は、中空空間及び前記隔膜をハウジングの外側に接続することが特に好ましい。内腔は、接続要素、特に隔膜を前記第二状態から前記第一状態に動かすのに役立つ。
【0027】
再設定装置は、流体作動(即ち、空気圧式又は油圧式)再設定装置又は機械的再設定装置のいずれかであることが好ましい。第一の場合において、内腔及び/又は中空空間は、作用媒体として液体又はガスを満たされる。第一状態への戻りは、圧力を作用媒体に付与することによって実施され、これは、ハウジングの外側から容易に可能である。第二の場合において、再設定装置は、内腔に取り付けられるピンを含むことが好ましく、それによって接続要素を第二状態から第一状態に動かすことができる。この方法では、例えば記載された双安定隔膜は、この種のピンによって凹状構成から押されることができ、それは、圧力増加の結果として元の凸状構成に戻る。
【0028】
ピンの一端は、接続要素、特に隔膜に固定されることが特に好ましい。
【0029】
本発明による電池は、切り換え状態における変化の結果として遮断される電気的接続を示す表示手段を含むことが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、前記ピンは、表示手段として作用する。前記ピンは、例えば電池の内部の圧力増加の結果として内腔から外に押される着色チップを持つことができる。
【0030】
本発明による極スタッドは、記載された電池の構成部分であることが好ましいが、別個に販売されることもできる。前記極スタッドは、以下の部分に小分割されることができる:
・ 二つの対向する平坦側を持つヘッド、但しヘッドは、円板もしくは板の形であることが好ましく、及び/又は平坦側は、互いに平行に配置されることが好ましい。
・ 平坦側の一つから外に延び、かつ自由軸端を持つ軸、但し軸は、好ましくは円柱形であり、及び/又は平坦側から垂直な態様で延びる。
【0031】
従って、ヘッド及び軸は、極スタッドの主本体を一緒に形成する。前記ヘッド及び軸は、金属、特に鋼から製造されることが好ましく、他の導電性金属もまた、もちろんベース材料として使用されることができる。
【0032】
ヘッド及び軸は、ワンピース(即ち、一つの同じ部分の構成部分)で製造されることが好ましい。又は換言すれば、主本体は、一体的に形成され、ヘッド及び軸は、主本体の小領域を形成する。
【0033】
極スタッドは、ヘッド内の中空空間、中空空間を画定するガス不透過性隔膜、及び好ましくは自由軸端から出発して、軸の内部を通り中空空間内に出る通路内腔を備える。この場合において、隔膜は、軸からそむけられた平坦側上に中空空間を画定することが好ましい。さらに、通路内腔が軸の内部を軸方向に延びることが好ましい。
【0034】
中空空間は、もっぱら通路内腔によってアクセス可能であることが好ましく、他の方法では気密態様で封止される。
【0035】
隔膜は、双安定ガス不透過性隔膜であることが特に好ましい。これの意図される意味は、上で既に説明された。隔膜は、二つの安定状態(凸状配置及び凹状配置)をとることができ、圧力の付与によって、一方の状態から他方の状態に動かされることができ、そこではそれは、圧力の付与が停止しかつ初期圧力が再確立されるときであってもそのままである。
【0036】
上で説明したように、双安定隔膜は、空気圧で作動可能な電気スイッチの接続要素として作用することができ、そこでは安定状態の一方は、第一切り換え位置に相当し、他方の安定状態は、第二切り換え位置に相当する。従って、双安定ガス不透過性隔膜を有する極スタッドは、この種のスイッチの一部であることができる。ヘッド及び軸を含む主本体は、この場合のスイッチの二つの上述の電気接点要素の一つとして作用する。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明による極スタッドはまた、スイッチの前記電気接点要素の第二のものを含むことができる。これらの実施形態では、極スタッドは、それ自体、空気圧で作動可能な電気スイッチとして機能することができる。換言すれば、本発明の主題はまた、極スタッドの形の空気圧で作動可能な電気スイッチである。この目的のため、極スタッドは、例えば極スタッドのヘッドの上に置かれるキャップを持つことができ、キャップは、第二の前記電気接点要素を形成するか、又はキャップの中に第二接点要素が一体化される。キャップは、カップ又はボウルの形であり、かつ電気的に伝導性でない材料から構成されることが特に好ましく、そこではそれは、第二接点要素が一体化されるベースを持つ。
【0038】
極スタッドは、内腔に取り付けられかつ隔膜上に直接着座するピンを含むことが好ましい。上述の文章によれば、前記ピンは、凹状構成から隔膜を押すための再設定手段として作用することができ、それは、圧力増加の結果として元の凸状構成をとる。
【0039】
さらに好ましい実施形態では、極スタッドは、軸の外側上にねじを含む。
【0040】
極スタッドが上記電池の構成部分であるとき、特にそれが上で述べたように本発明による電池のハウジングの壁を通る代替通路又は内腔を通って延びるとき、ヘッドは、軸の少なくとも一部、特にねじを与えられる軸の部分がハウジングの外側に配置されながらハウジング内に配置されることが好ましい。同様に既に述べたように、ナットは、極スタッドを固定するためにねじの上に締め付けられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明のさらなる特徴及び本発明から得られる利点は、本発明が示される図面の以下の記載で見出されることができる。この点で本願に記載された本発明による方法の任意選択的な態様の全てが第一にそれら自身で実施され、第二に本発明の実施形態における一つ以上のさらなる特徴と組み合わせても実施されることができることが注意されるべきである。以下に記載される好ましい実施形態は、本発明の説明及びより良い理解のために作用するにすぎず、いかなる方法でも限定するものと理解されるべきでない。
図1図1は、本発明による電池の好ましい実施形態の空気圧で作動可能な電気スイッチの作動及び再設定装置による前記スイッチの再設定を概略的に示す。
図2図2は、本発明の極スタッドの好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明による電池100の好ましい実施形態の空気圧で作動可能な電気スイッチの作動、及び再設定装置による前記スイッチの再設定を概略的に示す。図1aは、圧力増加前の状況を示す。正極スタッド101は、ハウジング102を貫通し、かつ電位差計103を介して負極スタッド104に電気的に接続される。電流は二つの極スタッド間に流れる。前記図は、中空空間105を明確に示し、それは、極スタッド101内に配置され、かつ金属のガス不透過性隔膜106によってハウジング102の内部から画定される。中空空間105は、内腔107によってハウジング102の外側に接続される。隔膜106は、ハウジング102内に配置されるリチウムイオンセルの正電極に結合される電気接点108に対して圧迫する。
【0043】
図1bは、ハウジング102内の圧力増加後の状況を示す。隔膜106は、圧力増加のために中空空間中に曲げられている。ハウジング内の正電極に対する電気接点は遮断される。従って、電位差計によって示される電圧はまた、0である。
【0044】
もし次の工程(図1c)において圧力が外側から中空空間105及び内腔107に位置される作用媒体(例えば空気)に付与されるなら、隔膜106は、再び接点108に対して圧迫するまで中空空間105から外側に押し戻されることができる。従って、結果として制御された態様で示された電池100を放電することが可能である。
【0045】
図2は、本発明による好ましい鋼極スタッド200の実施形態を示す。前記極スタッドは、円板状ヘッド201、及び自由軸端203を持つ軸202に小分割されることができる。ヘッド201は、二つの対向する平坦側(上側204及び下側205)を有する。軸202は、平坦側204の中心から外に垂直な態様で延び、好ましくは円柱形である。前記軸はまた、もし望むならその自由端203の方向に円錐状に先細になってもよい。もし要求されるなら、ねじ206が軸の小部分にフライス削りされる。意図されるように使用されるとき、軸202は、電池ハウジングの開口を通って内側から外側に延びる。その開口は、この目的のために意図され、おそらく好適なナットで前記電池ハウジングの外側上に固定される。
【0046】
同様に円板の形であり、かつ軸202からそむけられる平坦側205上で外側から金属のガス不透過性隔膜208によって画定される中空空間207は、ヘッド201内に位置される。前記隔膜の一方の側は、金属接点要素209と直接接触し、金属接点要素209は、他の方法で電気的に非伝導性のカップ又はボウル状キャップ210のベースに一体化され、キャップ210は、ヘッド201の上に置かれ、前記ヘッドを平坦側204を除いて実質的に完全にカバーする。他の側上では、隔膜204は、極スタッド200の主本体に電気的に結合されている。中空空間207からそむけられた隔膜204の側上の圧力の増加の場合には、隔膜204は、中空空間207中に曲げることができる。これは、隔膜204と接点要素208の間の接触が破壊されることをもたらす。
【0047】
軸202の自由端203で前記軸に入りかつ中空空間207に出る軸内腔211は、軸202内に位置される。ピン212は、軸内腔210に取り付けられ、前記ピンの一端は、中空空間207内に突出し、隔膜204上に直接着座する。他方の端は、着色マーキング213を与えられている。もし隔膜204が中空空間207中に曲がるなら、ピン212の着色端213は、内腔211から外に押し出され、極スタッド200に一体化される空気圧で作動可能なスイッチが作動されたことを示す。もしピン212が内腔211内に押し戻されるなら、隔膜204は、接点要素208との直接接触が再確立されるように中空空間207から外に押し戻されるだろう。
図1
図2