(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285547
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】光ビームの偏光状態を調節するためのデバイスの位相シフトのドリフトを補償するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01J 4/04 20060101AFI20180215BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20180215BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20180215BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
G01J4/04 A
G02B5/30
G01N21/21 Z
G02B27/28 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-524862(P2016-524862)
(86)(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公表番号】特表2016-533496(P2016-533496A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】FR2014051539
(87)【国際公開番号】WO2015004358
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年5月25日
(31)【優先権主張番号】1356803
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509257684
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ ストラスブール
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100141081
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 庸良
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】ジハード ザラット
(72)【発明者】
【氏名】マルク トルジンスキ
(72)【発明者】
【氏名】アレク ラルマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン アンリッシュ
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−093289(JP,A)
【文献】
特開2002−269797(JP,A)
【文献】
特開平04−241304(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/084707(WO,A1)
【文献】
米国特許第06795184(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0130717(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 4/00− 4/04
G01N 21/00−21/61
G02B 5/30
G02B 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体の測定点の偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイスであって、
− 入射光波から、所定の方向に直線偏光された光ビームを選択する、偏光子と、
− 前記光ビームによって通過される、第1の複屈折素子と、
− 前記第1の複屈折素子と同一であり、前記光ビームによって通過される、第2の複屈折素子であって、前記光ビームは次に、前記対象物体に向かって直接的または間接的に方向付けられて、反射ビームの形態で反射される、第2の複屈折素子と、
を備え、
1つ以上の光学素子から成る光学アセンブリが、前記第1の複屈折素子と前記第2の複屈折素子との間にある光路上に位置し、前記光学アセンブリが、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡及び2分の1波長板
から成ることを特徴とする、
前記デバイス。
【請求項2】
前記第1の複屈折素子及び/または前記第2の複屈折素子は、
− 回転移動可能な複屈折板、または
− ネマチック液晶素子である、
請求項1に記載の前記デバイス。
【請求項3】
前記デバイスは、光ビームを発する、光源を備え、前記光源は、前記偏光子の上流にビームを発するのに好適である、
請求項1〜2のいずれか一項に記載の前記デバイス。
【請求項4】
前記第1の複屈折素子は、前記所定の方向と直交する第1の平面(P1)に延在する第1の面を備え、第2の平面(P2)に延在する鏡は、前記第1の平面(P1)に対して20°〜80°の角度αで交差し、
前記第2の複屈折素子は、前記所定の方向と直交する第3の平面(P3)に延在する第3の面を備え、前記第2及び第3の平面は、値がαに等しい角度α’の角度で交差する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の前記デバイス。
【請求項5】
前記光学アセンブリは、偶数の複数の複屈折素子を備える、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の前記デバイス。
【請求項6】
前記デバイスは、前記反射ビームを電気信号に変換する、感光性センサをさらに備える、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の前記デバイス。
【請求項7】
対象物体の測定点の偏光状態を生成するための方法であって、
− 入射光波から、所定の方向に直線偏光された入射ビームを選択するステップ、
− 前記入射ビームを、第1の複屈折素子、次に第2の複屈折素子に連続して通過させるステップ、
− 前記入射ビームを、前記対象物体に向かって前記第2の複屈折素子の上流に直接的または間接的に方向付けるステップであって、前記入射ビームは次に、反射ビームを発する、方向付けるステップ、
を含み、
前記方法が、1つ以上の光学素子から成り、前記第1の複屈折素子と前記第2の複屈折素子との間にある前記入射ビームの光路上に位置する光学アセンブリの包含によって、前記第1の複屈折素子及び前記第2の複屈折素子の位相ドリフトを補償することに存するステップをさらに含み、
前記光学アセンブリは、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡及び2分の1波長板
から成ることを特徴とする、
方法。
【請求項8】
対象物体の測定点の偏光状態を分析するための方法であって、
− 前記対象物体から反射ビームを発し、それを第2の複屈折素子の下流に直接的または間接的に方向付けるステップ、
− 前記反射ビームを、前記第2の複屈折素子、次に第1の複屈折素子に連続して通過させるステップ、
− 前記反射ビームを電気信号に変換するステップ、
を含み、
前記第1の複屈折素子と前記第2の複屈折素子との間にある前記反射ビームの光路上の1つ以上の光学素子から成る光学アセンブリの包含によって、前記第1の複屈折素子及び前記第2の複屈折素子の位相ドリフトを補償することに存するステップをさらに含み、
前記光学アセンブリは、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡及び2分の1波長板
から成ることを特徴とする、
方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析及び/または生成デバイスを備える、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、対象物体の測定点の偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイスに関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、医療分野に適用される分析及び/または生成に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野において、対象物体の測定点の偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイスは既知であり、
本デバイスは、
− 入射光波から、所定の方向に直線偏光された光ビームを選択するのに好適な偏光子と、
− 該光ビームによって通過されるのに好適な第1の複屈折素子と、
− 第1の素子と同一であり、該光ビームによって通過されるのに好適な第2の複屈折素子であって、該光ビームは次に、該物体に向かって直接的または間接的に方向付けられて、反射した放射の形態で反射されるよう意図される、第2の複屈折素子と、
を備える。
【0004】
光ビームによって通過されるのに好適な第1及び第2の複屈折素子は、その環境条件に敏感である。例えば、第1及び第2の素子は温度に敏感な可能性があり、その結果、分析及び/または生成デバイスが使用される度に繰り返しの較正手順を必要とする。これらの較正手順の目的は、第1及び第2の複屈折素子のうちの一方の温度ドリフトの影響を補正することである。
【0005】
より一般的には、第1及び第2の素子が環境的な条件に敏感であるため、位相ドリフトが第1及び第2の複屈折素子で発生することがあり、それはその後、このドリフトを補償するために、時間のかかる較正手順の実行を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この文脈において、本明細書に提起される問題は、このデバイスの較正に費やされる時間を低減する、偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提案される解決策は、第1の素子と第2の素子との間にある光路上に位置する、1つ以上の光学素子から成る光学アセンブリであって、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡もしくは2分の1波長板
から成る、光学アセンブリに関する。
【0008】
本発明の一実施形態では、第1の素子及び/または第2の素子は、
− 回転移動可能な複屈折板、または
− ネマチック液晶素子
である。
【0009】
本発明の別の実施形態では、本デバイスは、光ビームを発するのに好適な光源をさらに備え、該光源は、偏光子の上流にビームを発するのに好適である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、
− 第1の素子は、該所定の方向と直交する第1の平面に延在する第1の面を備え、第2の平面に延在する該鏡は、その第1の平面に対して20°〜80°の角度αで交差し、
− 第2の素子は、該所定の方向と直交する第3の平面に延在する第3の面を備え、第2及び第3の平面は、値がαに等しい角度α’の角度で交差する。
【0011】
一実施形態では、光学アセンブリは、偶数の複数の複屈折素子を備える。
【0012】
一実施形態によると、本デバイスは、反射ビームを電気信号に変換するのに好適な感光性センサをさらに備える。
【0013】
本発明の第2の目的によると、別の狙いは、対象物体の測定点の偏光状態を生成するための方法であって、
− 入射光波から、所定の方向に直線偏光された入射ビームを選択するステップ、
− 該入射ビームを、第1の複屈折素子、次に第2の複屈折素子に連続して通過させるステップ、
− そのビームを、該物体に向かって第2の複屈折素子の上流に直接的または間接的に方向付けるステップであって、該ビームは次に、反射ビームを発する、方向付けるステップ、
を含む、方法である。
【0014】
本方法は、1つ以上の光学素子から成り、該第1の素子と第2の素子との間にあるビームの光路上に位置する光学アセンブリの包含によって、該第1及び第2の素子の位相ドリフトを補償することに存するステップをさらに含み、該光学アセンブリは、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡もしくは2分の1波長板
から成る。
【0015】
本発明の第3の目的によると、別の狙いは、対象物体の測定点の偏光状態を分析するための方法であって、
− 該物体から反射ビームを発し、それを第2の複屈折素子の下流に直接的または間接的に方向付けるステップ、
− 該反射ビームを、第2の複屈折素子、次に第1の複屈折素子に連続して通過させるステップ、
− 反射ビームを電気信号に変換するステップ、
を含む、方法である。
【0016】
本方法は、該第1の素子と第2の素子との間にあるビームの光路上の1つ以上の光学素子から成る光学アセンブリの包含によって、該第1及び第2の素子の位相ドリフトを補償することに存するステップをさらに含み、該光学アセンブリは、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡もしくは2分の1波長板
から成る。
【0017】
他の特徴及び利点はまた、示唆的及び非限定的な様式で、添付の図面への参照とともに本明細書において下記に付与される説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】光学アセンブリが1つの鏡から成る、偏光状態を生成するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図2】光学アセンブリが1つの鏡から成る、偏光状態を分析するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図3】光学アセンブリが1つの2分の1波長板から成る、偏光状態分析及び/または生成するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図4】光学アセンブリが3つの2分の1波長板から成る、偏光状態を分析及び/または生成するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図5】光学アセンブリが3つの鏡から成る、偏光状態を分析及び/または生成するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図6】角度配向θ、ψ
1、及びψ
2が参照される、先行技術による偏光状態を分析及び/または生成するための例示的なデバイスの理論図を示す。
【
図7】提案される構造を2回使用する、偏光状態の完全な分析及び/または生成のための例示的なデバイスの理論図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
理論的正当性
図を参照すると、対象物体の測定点の偏光状態を分析するためのデバイスの場合、物体の各ピクセルから発生する光のストークスベクトルにアクセスすることによって、対象物体から発生する光の偏光を測定することが可能である。これは、機械的素子を必要とせず、ビデオ速度に近い取得速度を可能にするという利点を提供する回転移動可能な4分の1波長板またはネマチック液晶素子などの、複屈折素子の使用によって行われる。
【0020】
偏光状態を分析するための構成では、種々の光学素子を通過した後の、感光性センサS’’’に対する偏光子から発生する光の偏光状態は、入来するストークスベクトルSを用いたシステム全体のミュラー行列の生成(偏光状態を分析するためのデバイスを構成する光学素子のミュラー行列の生成)によって説明される。
【0021】
したがって、種々の光学素子を通過した後の入射光波から発生する光ビームの偏光は、そのミュラー行列の生成によって説明され、その結果、関係:
S’’’=M
p(θ).M
R(δ
2,ψ
2).M
R(δ
1,ψ
1).S
をもたらす。M
R(δ
1,ψ
1)及びM
R(δ
2,ψ
2)は、第1及び第2の複屈折素子のミュラー行列であり、M
P(θ)は、偏光子のミュラー行列である。ψ
1、ψ
1は、水平軸に対する第1及び第2の複屈折素子の高速軸(rapid axes)の配向である。θは、線形偏光子の配向に対応する。δ
1、δ
2は、電圧V1及びV2を印加することによって得られる位相シフトである。これらの位相シフトは、望ましい。位相ドリフトがこれらの位相シフトに加算され、これらの位相ドリフトは補正される必要があるものである。
【0022】
S’’’は、通常4つの構成要素I’’’、Q’’’、U’’’、及びV’’’を有する。これらは、測定されるストークスベクトルの構成要素に対応し、特に、強度I’’’は、感光性センサによって測定される強度に対応する。
(I’’’,Q’’’,U’’’,V’’’)=(s
0,s
1,s
2,s
3)
であることが分かるであろう。
【0023】
Sは、4つの構成要素I、Q、U、及びVを有する。物体に由来する強度Iは:
I(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ)=s
0+f(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ).s
1+g(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ).s
2
+h(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ).s
3
(I)
の形式で表される。
【0024】
物体から発生する波のストークスパラメータは、偏光状態を分析するためのデバイスを特徴付ける位相シフト及び配向、すなわち、パラメータδ
1、δ
2、ψ
1、ψ
2、及びθを選択することによって得ることができる。実践では、配向ψ
1、ψ
2、及びθは、偏光状態を分析するためのデバイスに由来する強度の調節を最大にするように選択される。
【0025】
したがって、提案される解決策は、第1の複屈折素子と第2の複屈折素子との間に、
− 奇数の鏡、または
− 奇数の2分の1波長板、または
− 組み合わされた奇数の鏡もしくは2分の1波長板、
から成る光学アセンブリを位置付けることによる。
【0026】
そのように構築されると、光学アセンブリは、以下の形式:
【数1】
を有するミュラー行列を有する。
【0027】
入射光波から発生する光ビームの偏光は、光学アセンブリをさらに備える種々の光学素子を通過した後、そのミュラー行列の生成によって説明し、その結果、関係:
S’’’=M
P(θ).M
R(δ
2,ψ
2).M
I.M
R(δ
1,ψ
1)S
をもたらす。
【0028】
次に、分析デバイスの強度の調節を最大にするようにψ
1、ψ
2、及びθを選択することが適切である。
【0029】
一例として、関係(I)から開始し、配向θ=π/2、ψ
1=π/8、及びψ
2=3π/8を選択することによって、測定される強度は:
I(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ)=1/4.(2.s
0−s
1−s
2+(−s
1+s
2).cos(δ1−δ2)+√2.s
3.sin(δ1−δ2))
によって求められる。
【0030】
この場合、温度がT
0からT
1に変化すると、δ
1は、Δ
1だけ屈折し、δ
2は、Δ
2だけ屈折する。第1及び第2の複屈折素子は同一であるため、Δ
1=Δ
2であると考えられる。
【0031】
したがって、上述のような第1の素子と第2の素子との間にある光路上の光学アセンブリの配置は、表現I(δ
1,δ
2,ψ
1,ψ
2,θ)内の表現(δ1−δ2)を明らかにすることを有利に可能にし、それは、この表現からドリフトΔ
1及びΔ
2を排除し、したがってそれらを決定するために設計される特定の較正手順を排除することを可能にする。第1の素子の(例えば、温度の変動に起因する)位相ドリフトは、第2の素子の位相ドリフトによって補償される(δ1+Δ
1−δ2−Δ
2=δ1−δ2)。
【0032】
例示的な実施形態の説明
図1〜5を参照すると、これらの図は、入射光波を発するのに好適な光源S、及び対象物体の測定点の偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイス1a、1bであって、
− 入射光波から、所定の方向に直線偏光された入射光ビームF
iを選択するのに好適な偏光子2、
− 該入射光ビームF
iによって、かつ対象物体によって反射される反射ビームF
rによって通過されるのに好適な第1の複屈折素子3、
− 第1の素子3と同一であり、該入射光ビームF
iによって、かつ反射光ビームF
rによって通過されるのに好適な第2の複屈折素子4であって、該入射光ビームF
iは、該物体に向かって直接的または間接的に方向付けられて、該反射光ビームF
rの形態で反射されるよう意図される、第2の複屈折板素子4、
− 反射光ビームF
rを電気信号に変換するのに好適な感光性センサ5、
を備える、デバイス1a、1bを示す。
【0033】
対象物体から反射される反射光ビームF
rから偏光情報を計算する手段も存在する。
【0034】
本明細書においてこれ以降、入射光ビームF
iは、光源から対象物体までの全経路にわたって「入射ビームF
i」と称され、対象物体からセンサ5までの全経路にわたって「反射ビームF
r」と称される。
【0035】
光源Sは、所定の方向に直線偏光された入射光ビームF
iを発するよう意図される。この光源Sは、例えば、半導体レーザーまたはハロゲンランプ型の広帯域光源から成り得る。
【0036】
従来、光ビームを発するのに好適なこの光源Sは、その上流の偏光子2と関連している。
【0037】
偏光子2は、光源の下流に位置し、その結果、それは入射光波から直線偏光された光ビームを選択することができる。それは次に、入射光波によって通過されるのに好適である。
【0038】
1つ以上の光学素子から成る光学アセンブリ6は、第1の素子3と第2の素子4との間にある光路上に位置し、
− 奇数の鏡7、または
− 奇数の2分の1波長板8、または
− 組み合わされた奇数の鏡7もしくは2分の1波長板8
から成る。
【0039】
図1〜5において、第1の複屈折素子3は、光ビームの光路上の偏光子2と光学アセンブリ6との間に配置される。第2の複屈折素子4は、光学アセンブリ6と光源Sとの間に配置される。
【0040】
本発明の一実施形態では、第1の複屈折素子3は、回転移動可能な複屈折板である。好ましくは、複屈折板は、遅延板である。第1の複屈折素子3はまた、ネマチック液晶素子であってもよい。
【0041】
本発明の一実施形態では、第2の複屈折素子4は、回転移動可能な複屈折板である。好ましくは、複屈折板は、遅延板である。第2の複屈折素子4はまた、ネマチック液晶素子であってもよい。
【0042】
第1及び第2の複屈折素子3、4は、いずれも遅延板であるか、またはいずれもネマチック液晶遅延ユニットである。
【0043】
第1及び第2の複屈折素子3、4は、遅延ユニットを定義する。好ましくは、それらは、液晶遅延ユニットである。これらの第1及び第2の複屈折素子3、4の各々は、例えば、回転などの機械的動作をデバイスに要することなく入射ビームの偏光状態を修正することを可能にする。ストークスパラメータの概算は、より正確でより高速である。これらの第1及び第2の複屈折素子の制御変数パラメータは、遅延δである。この遅延δは、制御盤を介してコンピュータを使用して調整される実効電圧値によって制御される。
【0044】
一実施形態では、光学アセンブリ6は、偶数の複数の複屈折素子を備える。複屈折素子の各対に関して、該対の第1の部分は、
【数2】
により求められるミュラー行列を有する光学アセンブリの上流に位置し、この対の第2の部分は、同じミュラー行列MIを有するこの光学アセンブリ6の下流に位置する。
【0045】
好ましくは、分析1a及び/または生成1bデバイスは、正確に2つの複屈折素子3、4を備える。2つの複屈折素子3、4の使用は、遅延δ
iの数及び値にかかわらず、偏光測定行列P(δ
i,ψ,θ)が不適切な(I
i=P(δ
i,ψ,θ).S)であるという事実により正当化される。
【0046】
図1は、偏光状態生成構成において、入射光波が、偏光子2を通過し、該偏光子2は、所定の方向に直線偏光された入射ビームF
iを選択することを示す。
【0047】
入射ビームF
iは、第1の複屈折素子3を通って連続して通過して、第2の素子4と第1の素子3との間にある光路上に位置する鏡7から成る光学アセンブリ6によって反射される。入射ビームF
iは次に、第2の複屈折素子4を通過する。
【0048】
図2は、偏光状態分析構成において、反射ビームが、第2の複屈折素子4を連続して通過した後、第2の素子4と第1の素子3との間にある光路上に位置する鏡7から成る光学アセンブリ6によって反射され、第1の複屈折素子3を通過し、該第1の複屈折素子3の後に偏光子2が続くことを示す。次に、結果として得られる光強度が、対象物体によって反射される放射を電気信号に変換するのに好適な感光性センサによって測定される。
【0049】
対象物体によって反射されたビームは、第2の複屈折素子4を連続して通過した後、ミュラー行列MIを有し、また鏡7によって定義される、光学アセンブリ6に向かって方向付けられ、次に第1の複屈折素子3を通過した後に偏光子2が続く、光路を有することが分かる。光路の末端において、感光性センサ5は、反射ビームF
rをアナログ電気信号に変換することができる。この信号は次に、対象物体の測定点の偏光状態を分析するために、増幅された後にアナログ−デジタル変換器によってデジタル化され、偏光情報計算手段によって処理される。
【0050】
有利なことに、分析及び/または生成デバイス1a、1bは、入射光波を規定の波長に集中させるために、単色フィルタ9を備えることができる。
【0051】
図1及び2は、光学アセンブリ6が鏡7から成る解決策を示す。したがって、第1及び第2の素子3、4の位相ドリフトの補償の原理は、πラジアンのグローバルな位相シフトを導入する1つ以上の光学素子を、第1及び第2の複屈折素子3、4の間で光路上に導入することである。このπラジアンの位相シフトは、第2の複屈折素子4の位相ドリフトによって第1の複屈折素子3の位相ドリフトを補償する効果がある。
【0052】
図3及び4は、光学アセンブリ6が2分の1波長板から成る解決策を示す。取られる光路は、入射及び反射ビームが2分の1波長板を通過するという点が異なる。
図3及び4に見られる通り、偏光状態の分析及び/または生成の原理は同じであるが、光路に付与される配向は異なる。鏡7の使用は、光学アセンブリ6の両側で、すなわち、入力及び出力において、光路の角度配向に影響を及ぼすであろう。反対に、2分の1波長板の使用は、光学アセンブリ6の両側で、すなわち、入力及び出力において、光路の角度配向を修正しない。例えば、その使用位置において2分の1波長板を通過するビームは、光学アセンブリ6の入力から、また光学アセンブリ6の出力後に直線的な軌道を有するであろう。
【0053】
これらの条件では、2分の1波長板の使用(
図3及び4)は、スペクトル帯が狭い場合、直線的な構成に好適であり、一方、鏡7の使用(
図1、2、及び5)は、多スペクトル構成または広帯域測定に特に好適である。
【0054】
図3に描写される実施形態では、光学アセンブリ6は、2分の1波長板から成る。
【0055】
図4に描写される実施形態では、光学アセンブリ6は、3つの連続した2分の1波長板から成る。それらは、互いに向かい合っている。
【0056】
ここでは、第1の複屈折素子と第2の複屈折素子との間の奇数の2分の1波長板は、πラジアンのグローバルな位相シフトを導入することが狙いであるため、不可欠である。
【0057】
図1及び2に示される実施形態によると、第1の素子3は、該所定の方向と直交する第1の平面(P1)に延在する第1の面11を備え、該鏡7は、その第1の平面(P1)に対して、20〜80°の角度αでずらされた第2の平面(P2)に延在する。第2の素子4は、該所定の方向と直交する第3の平面(P3)に延在する第3の面12を備え、第2及び第3の平面(P2、P3)は、値がαに等しい角度α’でずらされている。
【0058】
図5に示される実施形態では、光学アセンブリ6が3つの鏡7から成る、偏光状態を分析及び/または生成するためのデバイス1a、1bが描写されている。より具体的には、鏡7は、光ビームが、第1の鏡7a、次に第2の鏡7b、また次に第3の鏡7cによって連続して反射されるように配向される。奇数の鏡により、ミュラー行列MIは、所望の形態のものである。複数の鏡7の使用は、鏡7間の角度を変動させること、ならびに光学アセンブリを分析及び/または生成デバイスが組み込まれる機械の筐体に適用することを可能にする。
【0059】
図7に示される実施形態では、4つの複屈折素子3、4、13、14が使用される、分析及び/または生成デバイス1a、1bが描写されている。
【0060】
より具体的には、第3の複屈折素子13は、光ビームの光路上で第2の複屈折素子4と向かい合っている。光ビームは次に、第2の鏡17に向かって直接的または間接的に方向付けられて、反射されるよう意図される。その結果、光ビームは、(少なくとも)2回反射される。第2の鏡17に面することで、第2の鏡17によって反射される光ビームの光路上に、第4の複屈折素子14が配置される。この構成は、偏光を測定するための器具の最適な調節を保証する。偏光子2は、デバイス1a、1bが対象物体の測定点の偏光状態を分析するよう意図されるか、または対象物体の測定点の偏光状態を生成するよう意図されるかに応じて、第1の複屈折素子3の上流または第4の複屈折素子14の下流に配置され得る。