特許第6285622号(P6285622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285622
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   E04F13/08 E
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-32025(P2012-32025)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-167124(P2013-167124A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年12月8日
【審判番号】不服2016-19611(P2016-19611/J1)
【審判請求日】2016年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】岡本 義孝
【合議体】
【審判長】 小野 忠悦
【審判官】 前川 慎喜
【審判官】 井上 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−278497(JP,A)
【文献】 特開平3−2441160(JP,A)
【文献】 特開2010−144384(JP,A)
【文献】 特開平10−159308(JP,A)
【文献】 特開2002−21290(JP,A)
【文献】 特開2004−190437(JP,A)
【文献】 特開2001−241163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に印刷による着色部を形成した建築板であって、
前記基板の表面に、当該基板の長手方向に並ぶように複数の凸柄が設けられ、これら凸柄の前記基板の短手方向における幅は、互いに略同一であり、
前記着色部は前記基板の長手方向と略平行に長い帯状に形成され、
前記着色部は明度、彩度、色相の群から選ばれる少なくとも一つが異なる複数種からなる色で着色されて形成されており、
前記着色部の前記色は、前記基板の長手方向に並ぶ前記複数の凸柄の表面において、当該基板の長手方向の全長に亙って印刷されており、
前記複数の凸柄の各々の高さはばらついて形成され、
前記凸柄の各々の表面は凹凸面により構成されるものであり、
前記建築板は、前記基板の短手方向に並ぶ別の建築板と突き合わせ可能に構成されており、
前記複数の凸柄は、前記基板の長手方向の全長にわたって設けられ、
前記基板の長手方向にわたって設けられた前記複数の凸柄は、前記基板の短手方向に複数並設されており、
前記基板の短手方向に並設された複数の凸柄の間には、前記基板の長手方向の全長にわたる凹溝が形成されている
ことを特徴とする建築板。
【請求項2】
前記基板の表面に凸柄が形成され、この凸柄の幅寸法とこの凸柄の表面に形成される着色部の幅寸法とが略同一に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の外装材などとして用いられる建築板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板の表面に凹凸模様を形成し、この表面にインクジェット塗装などで印刷して着色することにより建築板を形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、長手方向に通し目地を有する建築板において、隣接する建築板の通し目地の位置ずれによる違和感を低減することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−170014号公報
【特許文献2】特開2003−184262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献2に記載の発明では、隣接する建築板の突き合わせ部分を目立たないようにすることは難しかった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、隣接する建築板の突き合わせ部分を目立たないようにすることができる建築板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建築板は、基板の表面に印刷による着色部を形成した建築板であって、前記基板の表面に、当該基板の長手方向に並ぶように複数の凸柄が設けられ、これら凸柄の前記基板の短手方向における幅は、互いに略同一であり、前記着色部は前記基板の長手方向と略平行に長い帯状に形成され、前記着色部は明度、彩度、色相の群から選ばれる少なくとも一つが異なる複数種からなる色で着色されて形成されており、前記着色部の前記色は、前記基板の長手方向に並ぶ前記複数の凸柄の表面において、当該基板の長手方向の全長に亙って印刷されており、前記複数の凸柄の各々の高さはばらついて形成され、前記凸柄の各々の表面は凹凸面により構成されるものであり、前記建築板は、前記基板の短手方向に並ぶ別の建築板と突き合わせ可能に構成されており、前記複数の凸柄は、前記基板の長手方向の全長にわたって設けられ、前記基板の長手方向にわたって設けられた前記複数の凸柄は、前記基板の短手方向に複数並設されており、前記基板の短手方向に並設された複数の凸柄の間には、前記基板の長手方向の全長にわたる凹溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明にあっては、前記基板の表面に凸柄が形成され、この凸柄の幅寸法とこの凸柄の表面に形成される着色部の幅寸法とが略同一に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、明度、彩度、色相の群から選ばれる少なくとも一つが異なる複数種の着色部が、基板の長手方向と略平行に長い帯状に形成されているので、着色部の長手端部と隣接する建築板の突き合わせ部分とが略平行に形成されることになり、突き合わせ部分が着色部の長手端部と区別しにくくなって目立たないようにすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態の一例を示す一部を拡大した正面図である。
図2】同上の(a)は正面図、(b)は断面図である。
図3】同上の一部を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
本実施形態の建築板Aは、図2に示すように、基板1の表面全体に複数個の凸柄2を設けて形成されている。基板1は従来から建材として用いられているものであれば、特に限定なく用いることができる。基板1は、例えば、セメント硬化物で形成される窯業系基板、合板などの木質系基板、ステンレス鋼板などの金属系基板などを挙げることができる。基板1は正面視において略長方形に形成されている。
【0012】
凸柄2は基板1の表面に突設されている。また、凸柄2は正面視において略長方形に形成されている。凸柄2の長手方向と基板1の長手方向は略平行に形成されている。また、複数個の凸柄2は基板1の長手方向と短手方向とに規則正しく並ぶようにして設けられている。隣接する凸柄2,2の間には断面略V字状の凹溝3が形成されている。また、凸柄2の表面は平坦ではなく、自然石の表面のような凸凹面で形成されている。さらに、凸柄2の高さは一定ではなく、ばらつくように形成されていてもよい。最も高い凸柄2と最も低い凸柄2の高さの差は0〜10mmにすることができる。このように基板1の表面には、凸柄2と凹溝3とからなる凹凸模様が形成されている。尚、凸柄2の長手方向の寸法は10〜3030mm、凸柄2の短手方向の寸法は15〜100mm、凸柄2の基板1の裏面からの高さ寸法は12〜50mm、凹溝3の深さ寸法は2〜20mm、凹溝3の開口部(基板1の表面での開口部分)の幅寸法は2〜15mmとすることができるが、これに限定されるものではない。なお、本実施例では、長手方向で隣接する凸柄2,2の間に凹溝3が形成されている凹凸模様を示したが、凹溝3を設けずに凸柄2が基板1の長手方向の全長にわたって連続する、所謂ボーダー調の凹凸模様に形成されていてもよい。
【0013】
基板1の上記凹凸模様が形成された表面には着色部4が形成されている。着色部4は基板1の長手方向と略平行に略連続するように形成されている。また、着色部4は基板1の長手方向の全長にわたる帯状に形成されている。さらに、着色部4は色の異なる複数種のものが形成されている。ここで、「色が異なる」とは、マンセル表色系における明度、彩度、色相の群から選ばれる少なくとも一つが異なることをいう。そして、色が異なる着色部4,4が隣接するようにして基板1の表面に形成されている。更に、着色部4の色とは、一色のみで表現されていても、また、多数色で表現されていてもよく、多数色の場合は平均化した色を、当該着色部4の色とすることができる。
【0014】
着色部4の太さ(長手方向と直交する方向の寸法)や隣り合う着色部4、4の間隔などの形態は任意に設定することができる。例えば、着色部4の太さは凸柄2の表面の短手方向(長手方向と直交する方向の寸法)の長さと略同等にすることができる。この場合、基板1の長手方向に並ぶ複数の凸柄2が一色の着色部4で印刷されることになる。また、この場合、隣り合う着色部4、4の間隔は隣接する凸柄2,2間に形成された凹溝3の幅寸法で規定されることになる。尚、凹溝3の色はこれと隣接する凸柄2の表面の着色部4と異なる色であればよい。また、凹溝3は総て同じ色であってもよいし、複数の色で凹溝3を着色しても良い。
【0015】
上記のように着色部4は多種多様な形態で形成することができるので、その形態を容易に作成したり変更したりすることができるように、着色部4はインクジェットプリンタで印刷して形成するのが好ましい。この場合、凸版や凹版などの印刷版を用いて印刷する場合に比べて、色変えや柄変えなどを容易に行うことができる。着色部4をインクジェットプリンタで印刷する場合は、着色部4の形態のデータをコンピュータなどの制御手段に入力し、このデータに基いて制御手段でインクジェットプリンタを制御して着色部4を印刷することができる。
【0016】
そして、図1に示すように、基板1の長手端部1aと他の基板1の長手端部1bが隣接するようにして上記の建築板Aと他の建築板Aとを配置し、隣接する長手端部1a、1b同士を突き合わせた場合には、突き合わせにより形成される建築板A、Aの境目(目地)と隣接する凸柄2,2の間の凹溝3とが区別しにくくなる。従って、隣接する建築板A、Aの突き合わせ部分Tが目立ちにくくなって、複数枚の建築板Aを並設して形成される建物の外観が損なわれにくくすることができる。なお、本実施例においては、上下に位置する建築板A、Aどうしの突き合わせ部分Tについて説明してきたが、これに限定されることは無く、例えば、上下端面または左右端面に形成される実部により相決り接合される接合部分(突き合わせ部分)においても同様の効果を有するものである。
【0017】
図3に、隣接する建築板A、Aの突き合わせ部分の一例を写真で示す。このように隣接する建築板A、Aの突き合わせ部分は明確に視認することができないことが判る。尚、図3の建築板Aはインクジェット印刷により、その表面の意匠が帯状石調に形成されている。すなわち、帯状石調は、「夏」をテーマにした海・青空・暑さ・元気でエネルギッシュさをイメージできるものである。また、帯状石調は、色合いと種類が異なりナチュラルな表情のある石を帯状に積み重ねたイメージである。上記の建築板Aでは、本物の石で表現するには手間ひまがかかる表現であり、一見すると明るく、色合いのコントラストが映えるデザインは、細かな小石組みにすることで、遠目では色々な色合いが重なり合ったように見え、近目では華やかで多彩な表現を狙うことができる。
【符号の説明】
【0018】
1 基板
2 凸柄
4 着色部
図1
図2
図3