【実施例1】
【0033】
本実施例の旋回式クランプ装置1について、
図1〜
図10に基づいて説明する。
この旋回式クランプ装置1は、油圧シリンダ2(流体圧シリンダに相当する)と、この油圧シリンダ2の出力ロッド6の上端部に固定したクランプアーム3と、出力ロッド6をその軸心回りに設定角度(本実施例では90度)旋回させる旋回機構8とを備えている。クランプアーム3の基端部が出力ロッド6のテーパ軸部6aに外嵌されて出力ロッド6の上端部に螺合させたナット3aにより固定されている。
【0034】
この旋回式クランプ装置1は、出力ロッド6がアンクランプ状態(
図2参照)から所定ストローク以上退入した状態で、クランプアーム3によりクランプ対象物(ワーク)を下方に押圧するクランプ状態(
図7参照)になる。アンクランプ状態から
図5に示す旋回中の状態を経てクランプ状態に移行する際に、出力ロッド6がその軸心の回りに平面視にて例えば反時計回り方向へ90度旋回する。クランプ状態からアンクランプ状態に移動する際には上記とは逆に時計回り方向へ90度旋回する。尚、
図1において、クランプアーム3(X)がクランプ状態のクランプアームを示し、クランプアーム3(Y)がアンクランプ状態のクランプアームを示す。
【0035】
最初に、油圧シリンダ2について説明する。
図2、
図5、
図7、
図9に示すように、この油圧シリンダ2は、クランプ本体10と、ピストン部材4と、アンクランプ用の油圧作動室12aと、クランプ用の油圧作動室12bと、補助ロッド7と、第1,第2開閉弁機構22,23と、第1,第2加圧エア通路24,25と、排気通路33などを備えている。クランプ本体10は、主シリンダ本体10Aと、ヘッド側端壁部材10Bとを有する。
【0036】
主シリンダ本体10Aは、平面視矩形の矩形シリンダ本体部10aと、この矩形シリンダ本体部10aの下端から下方へ延びる筒形の筒形シリンダ本体部10bとを有する。矩形シリンダ本体部10aの下端にベース部材13の上面に据え付けるための据え付け面10cが形成されている。主シリンダ本体10Aは、4つのボルト孔17に挿通される4本のボルトでベース部材13に固定される。
【0037】
クランプ本体10には出力ロッド6が貫通するロッド孔9が形成され、このロッド孔9は上部の小径孔9aと、下部の大径孔9bとからなる。出力ロッド6は、小径孔9aを貫通してクランプ本体10の上方へ延びる小径部6cと、この小径部6cの下端から下方へ一体的に延び且つ大径孔9bに挿入された大径部6dとを備えている。筒形シリンダ本体部10bの内部には、シリンダ孔11が大径孔9bの下端に連通するように形成され、このシリンダ孔11の下端側は、クランプ本体10のうちの後述するピストン部5に対向しているヘッド側端壁部材10Bで閉塞されている。
【0038】
ヘッド側端壁部材10Bの上端部はシリンダ孔11に連なる嵌合孔11aに嵌合されてシール部材10dでシールされている。ヘッド側端壁部材10Bの下端部分に形成された雄ネジ部10mがネジ穴10nに螺合され、ヘッド側端壁部材10Bが筒形シリンダ本体部10bに固定されている。ヘッド側端壁部材10Bの中心部分には、上方のシリンダ孔11内の上端近傍まで突出する補助ロッド7であって、シリンダ孔11の直径の約1/4〜1/3の外径の補助ロッド7が一体形成されている。尚、補助ロッド7は、ヘッド側端壁部材10Bと別部材に形成して固定的に取り付けてもよい。
【0039】
旋回式クランプ装置1を取り付けるベース部材13には装着穴21が形成され、筒形シリンダ本体部10bとヘッド側端壁部材10Bが上方から装着穴21に挿入装着されている。
【0040】
次に、ピストン部材4について説明する。
図2、
図3に示すように、ピストン部材4は、シリンダ孔11内に上下方向に摺動自在に装着されたピストン部5と、このピストン部5から上方へクランプ本体10外まで延びる出力ロッド6と、ピストン部材4の基端側部分(下端側部分)の中心部分に基端(下端)開放状に形成されたロッド挿入穴20とを備えている。ピストン部5の外周部にはシール部材5aが装着されている。出力ロッド6の上端にはレンチ挿入用の六角穴6bが形成されている。
【0041】
上記のロッド挿入穴20は、下から順に、下端部の環状の第1カム部20aと小径穴20bと大径穴20cと小径穴20dとを有する。小径穴20bと大径穴20cと小径穴20dは、夫々、ロッド挿入穴20の全高の約1/3の長さに形成されている。第1カム部20aの内径は小径穴20b,20dの内径よりも小径であり、小径穴20b,20dは大径穴20cよりも小径である。前記補助ロッド7は、ロッド挿入穴0に挿入可能に形成されている。
【0042】
ここで、出力ロッド6の進退動作に連動して出力ロッド6(つまり、ピストン部材4)をその軸心回りに設定角度(本実施例では90度)旋回させる旋回機構8であって、出力ロッド6の大径部6dとクランプ本体10とに組み込まれた旋回機構8について説明する。
【0043】
図2、
図3に示すように、旋回機構8は、3つの保持穴8aと、これら保持穴8aに保持された3つの鋼球8bと、3本のカム溝8cとを有する。大径孔9bの周壁部の下端近傍部の周方向3等分位置に半球状の3つの保持穴8aが形成され、大径部6dの外周壁部には3つの保持穴8aに保持された3つの鋼球8bが係合する3本のカム溝8cが形成されている。カム溝8cは、出力ロッド6を90°旋回させるための螺旋溝8dと、螺旋溝8dの上端から上方へストレートに延びる直線溝8eとを有する。
【0044】
この旋回機構8により、ピストン部材4がアンクランプ位置(上限位置)からフルストロークの約半分下降する際に、ピストン部材4が平面視にて反時計回り方向へ90度旋回し、その後旋回することなく下降する途中においてクランプ対象物の厚さに依存したクランプ位置になる。その反対に、クランプ位置からアンクランプ位置に切換える際には、上記とは逆の動作で時計回り方向へ90度旋回してアンクランプ位置になる。
【0045】
シリンダ孔11はピストン部5で上下に仕切られ、ピストン部5の上側にクランプ用の油圧作動室12bが形成され、ピストン部5の下側にアンクランプ用の油圧作動室12aが形成されている。尚、上記の油圧作動室12a,12bが流体圧作動室に相当する。
矩形シリンダ本体部10aには、油圧ポート14,15が形成され、油圧ポート14はクランプ本体10に形成した油路14aにより油圧作動室12aに連通され、油圧ポート15はクランプ本体10に形成した油路15aにより油圧作動室12bに連通され、油圧ポート14,15は油圧供給源(図示略)に油圧ホース等で接続される。
【0046】
第
1加圧エア通路2
4は、ヘッド側端壁部材10Bと補助ロッド7
の内部に形成され且つ他端部が排気通路33に接続されている。
第2加圧エア通路25は、ヘッド側端壁部材10Bの内部に形成され且つ他端部が排気通路33に接続されている。第1加圧エア通路24の上流端にはエアホース26に接続された接続金具26aが接続され、エアホース26は外部エア通路26bを介して加圧エア供給源27に接続され、外部エア通路26bには圧力スイッチ28(又は圧力センサ)が接続されている。
【0047】
第2加圧エア通路25の上流端にはエアホース29に接続された接続金具29aが接続され、エアホース29は外部エア通路29bを介して加圧エア供給源27に接続され、外部エア通路29bには圧力スイッチ30(又は圧力センサ)が接続されている。加圧エア供給源27は制御ユニット31により駆動制御される。
【0048】
前記第1,第2開閉弁機構22,23は、それらの軸心が同軸となるようにヘッド側端壁部材10Bと補助ロッド7
の内部に夫々組み込まれている。第1開閉弁機構22は、第1加圧エア通路24の途中部を開閉可能であり、ピストン部材4がアンクランプ位置に位置したときだけ閉弁される。第2開閉弁機構23は、第2加圧エア通路25の途中部を開閉可能であり、ピストン部材4がクランプ位置に位置したときだけ閉弁される。
【0049】
次に、第1,第2開閉弁機構22,23と第1,第2加圧エア通路24,25について
図2、
図4に基づいて詳しく説明する。
第1,第2開閉弁機構22,23は、補助ロッド7
とヘッド側端壁部材10Bに形成された収容穴34と、この収容穴34に可動に収容され且つ外周部に環状係合凹部35aを有する弁体35と、補助ロッド7に可動に装着されて環状係合凹部35aに係合可能な複数(例えば、3又は4個)の鋼球36(球体)とを共有している。
【0050】
収容穴34は、補助ロッド7とヘッド側端壁部材10Bとを上下に貫通する状態に形成され、上部の小径穴34aと、途中穴34bと、中段部の中径穴34cと、下部の大径穴34dと、下端部のネジ穴34eなどを有する。弁体35は、上半部の大径軸部35bと、中段部の中径軸部35cと、下部の小径軸部35dとを一体形成したものである。弁体35の大径軸部35bが小径穴34aに摺動自在に装着され、シール部材37でシールされている。小径穴34aの上端にバネ受け部材38が装着されて止め輪で抜け止めされ、バネ受け部材38と弁体35の上端間に装着された圧縮スプリング39により弁体35が下方へ付勢されている。
【0051】
弁体35の大径軸部35bの中段部には半断面が横向き台形状で且つ外側程広幅の環状係合凹部35aが形成され、この環状係合凹部35aに部分的に係合する複数の鋼球36は、補助ロッド7に形成した複数の保持孔7aに水平方向へ可動に装着され、弁体35が圧縮スプリング39で下方へ付勢されている関係上、複数の鋼球36は、常に環状係合凹部35aの上部の部分円錐面に当接している。
【0052】
第1開閉弁機構22は、弁座形成部材40と、可動弁体41と、圧縮スプリング42と、環状段部35eとを備えている。弁座形成部材40は途中穴34bと中径穴34cと大径穴34dに固定的に装着され、弁座形成部材40の上端部には環状内鍔40aが形成され、この環状内鍔40aの下面に環状弁座40bが形成されている。弁座形成部材40の大径部40cが大径穴34dに内嵌され、ネジ穴34eに螺合された弁座部材44で固定されている。大径部40cの環状の上端面はヘッド側端壁部材10Bに密着している。
【0053】
弁体35の小径軸部35dが弁座形成部材40に上から挿入され、環状内鍔40aの下側において、可動弁体41が小径軸部35dに上下動可能に外装されて環状弁座40bに接近対向し、小径軸部35dの下端部にはバネ受け部材43が装着されて止め輪で抜け止めされ、可動弁体41とバネ受け部材43の間において小径軸部35dには圧縮スプリング42が外装され、可動弁体41が環状弁座40bの方へ弾性付勢されている。可動弁体41の内周部にはシール部材41aが装着されている。
図4の状態では、中径軸部35cと小径軸部35dの境界の環状段部35eと可動弁体41との間には隙間があるため、第1開閉弁機構22は閉弁状態になっている。尚、環状段部35eで可動弁体41を下方へ押動すれば第1開閉弁機構22が開弁される。
【0054】
第1加圧エア通路24は、L形通路24aと、弁座形成部材40の外周近傍の筒状通路24bと、中径軸部35cの外周側において弁座形成部材40に形成された横断通路24cと、中径軸部35cと環状内鍔40aの間の筒状通路24dと、弁座形成部材40の内側の内側通路24eとを備えている。第1加圧エア通路24の下流端は、弁座形成部材40に形成した横断通路24fを介して排気通路33に接続され、排気通路33は、接続金具32aとエアホース32と外部エア通路32bを介して大気開放されている。
【0055】
筒状通路24dと内側通路24eとの境界部に、環状弁座40bと可動弁体41により、第1開閉弁機構22の開閉弁部が構成され、第1開閉弁機構22が開弁状態のとき筒状通路24dと内側通路24eとが連通し、第1加圧エア通路24は全長に亙って連通状態となり、エアホース26から供給される加圧エアが排気通路33へ排出される。第1開閉弁機構22が閉弁状態のとき、エアホース26から供給される加圧エアが排気通路33へ排出されない。
【0056】
第2加圧エア通路25は、弁座部材44に形成した中心通路25aと、前記の内側通路24eとを備えており、第2加圧エア通路25の下流端は前記の横断通路24fを介して排気通路33に接続されている。第2開閉弁機構23は、弁体35の先端(小径軸部35dの下端)に形成した弁面35fと、この弁面35fに接近対向する弁座44aであって収容穴34の端部を塞ぐ弁座部材44の上端に形成された環状の弁座44aとを備え、弁面35fと弁座44aとで第2開閉弁機構23の開閉弁部が構成されている。
【0057】
次に、以上説明したクランプ装置1の作用、効果について説明する。
図2、
図4はピストン部材4がアンクランプ位置(上限位置)にある状態を示す。第1,第2加圧エア通路24, 25には加圧エア供給源27から加圧エアが供給されている。
【0058】
このアンクランプ状態のとき、第1,第2開閉弁機構22,23の第1カム部20aが複数の鋼球36を補助ロッド7の軸心側へ押すため、それら鋼球36によって弁体35が補助ロッド7に対して相対的に最大限上方へ押動され、環状段部35eが可動弁体41から離れ、第1開閉弁機構22が閉弁状態になる。このとき、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「低」を示す信号から圧力「高」を示す信号に切換わるため、制御ユニット31において、圧力スイッチ28からの検出信号に基づいて、アンクランプ状態になったことを検知することができる。
【0059】
このアンクランプ状態のとき、弁体35は上方に移動しているため、第2開閉弁機構23の弁面35fは弁座44aから離れた位置にあり、第2開閉弁機構23は開弁状態を維持し、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「低」を示す信号を維持する。
【0060】
次に、
図5、
図6に示すように、ピストン部材4が下降開始した旋回中の状態では、複数の鋼球36がロッド挿入穴20の小径穴20bの内周壁面に当接し、複数の鋼球36が僅かに外側へ移動するため、弁体35が僅かに下降し、環状段部35eが可動弁体41を下方へ押動するため、第1開閉弁機構22は開弁状態に切換わり、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「低」を示す信号になる。しかし、弁面35fは弁座44aに当接していないため、第2開閉弁機構23は開弁状態を維持し、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「低」を示す信号を維持する。
【0061】
次に、
図7、
図8に示すように、ピストン部材4がアンクランプ位置から所定ストローク以上下降し、クランプアーム3がクランプ位置になると、複数の鋼球36が大径穴20cの内周壁面に当接して複数の鋼球36が最大限外側へ移動するため、弁体35は補助ロッド7に対して相対的に最大限下降し、第1開閉弁機構22は開弁状態を維持し、第2開閉弁機構23は閉弁状態に切換わる。尚、大径穴20cの内周壁面が「第2カム部」に相当する。それ故、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「低」を示す信号を維持し、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「高」を示す信号に切換わる。制御ユニット31において、圧力スイッチ30の検出信号からクランプ状態になったことを検知することができる。
【0062】
次に、
図9、
図10に示すように、ピストン部材4がクランプ位置からフルストローク位置(下限位置)まで下降すると、複数の鋼球36が小径穴20dの内周壁面に当接するため、複数の鋼球36が軸心側へ僅かに移動するため、弁体35が僅かに押し上げられて、旋回中と同様に、第1開閉弁機構22が開弁状態を維持し、第2開閉弁機構23が開弁状態に切換わる。圧力スイッチ28,30の検出信号は、圧力「低」を示す信号になる。
【0063】
以上のように、第1開閉弁機構22は、ピストン部材4がアンクランプ位置に位置しているときだけ閉弁し、それ以外の位置のときには開弁状態を維持する。第2開閉弁機構23は、ピストン部材4がクランプ位置に位置しているときだけ閉弁し、それ以外の位置のときには開弁状態を維持する。こうして、第1加圧エア通路24のエア圧からアンクランプ状態を確実に検知することができ、第2加圧エア通路25のエア圧からクランプ状態を確実に検知することができる。
【0064】
ピストン部材4にロッド挿入穴20を形成し、ヘッド側端壁部材10Bにシリンダ孔11内に突出する補助ロッド7を設け、このヘッド側端壁部材10Bと補助ロッド7に第1,第2加圧エア通路24,25を形成し、第1,第2開閉弁機構22,23をそれらの軸心が同軸となるようにヘッド側端壁部材10Bと補助ロッド7に組み込んだので、クランプ本体10のシリンダ孔11内のスペースを有効活用して第1,第2開閉弁機構22,23を装備可能になり、クランプ本体10を大型化することなく、アンクランプ位置とクランプ位置の両方を確実に検知可能になった。
【0065】
第1,第2開閉弁機構22,23が、収容穴34と弁体35と複数の球体36とを共有しているため、それらを共有しない場合と比べて、第1,第2開閉弁機構22,23を小型化するすることができ、製作費を節減できる。アンクランプ位置になったとき、弁体35と複数の球体36とロッド挿入穴20の内周壁部の第1カム部20aを介して、第1開閉弁機構22を閉弁するため、簡単な構成で確実に閉弁できる。
【0066】
クランプ位置になったとき、弁体35と複数の球体36とロッド挿入穴20の大径穴20cの内周壁部(第2カム部)を介して、第2開閉弁機構23を閉弁するため、簡単な構成で確実に閉弁できる。
第1開閉弁機構22が、環状弁座40bを有する弁座形成部材40と、可動弁体41と、スプリング42と、弁体35に形成した環状段部35eとを備えるため、小型な構造の開閉弁機構となる。
第2開閉弁機構23は、弁体35の先端の弁面35fと、収容穴34の端部に螺合された弁座部材44とを備えるため、簡単で小型な構造の開閉弁機構となる。
【0067】
次に、上記実施例を部分的に変更する変更形態について説明する。
1)油圧シリンダ2の油圧作動室12a,12bの何れか1つを省略し、その皿バネ積層体やコイルスプリング等のスプリング部材でアンクランプ用又はクランプ用の駆動力を発生させるように構成してもよい。
【0068】
2)油圧シリンダ2に代えて加圧エアで駆動するエアシリンダを採用してもよく、本発明は種々の流体圧シリンダを備えたクランプ装置に適用することができる。また、本発明は、旋回式クランプ装置以外の種々の形式のクランプ装置にも同様に適用できる。
3)第1,第2開閉弁機構22,23の構造は一例を示すものであり、第1,第2開閉弁機構22,23の開閉弁部の構造としては、種々の構造(例えば、ポペット弁構造、スプール弁構造等)を採用可能である。
【実施例3】
【0073】
この実施例のクランプ装置1Bについて
図14〜
図21に基づいて説明する。
このクランプ装置1Bは、油圧シリンダ2Bの出力ロッド6Bの外端部に一端部がヒンジ結合されたクランプアーム3Bと、このクランプアーム3Bの途中部をクランプ本体10Bの枢支部10cに連結するリンク部材3bを備えたリンク式クランプ装置である。リンク部材3bの両端部はピン部材3c,3dを介してピン結合されている。枢支部10cは、クランプ本体10Xの一端部の上端部から上方へ突出状に形成されている。
【0074】
クランプ本体10Xには、ロッド挿通孔9Bと、このロッド挿通孔9Bの下端に連通したシリンダ孔11Bが形成されている。ピストン部材4Bは、シリンダ孔11Bに装着されたピストン部5Bと、このピストン部5Bから上方へ延びてロッド挿通孔9Bからクランプ本体10X外へ突出する出力ロッド6Bを備えている。クランプ本体10Xは、シリンダ孔11Bの下端を塞ぐヘッド側端壁部材10Hを有する。シリンダ孔11B内に、ピストン部5Bの下側のクランプ用油圧作動室12cと、ピストン部5Bの上側のアンクランプ用油圧作動室12dとが形成されている。
【0075】
ピストン部材4Bのピストン部側部分には端部開放状のロッド挿入穴20Bが形成されている。ヘッド側端壁部材10Hには、シリンダ孔11B内へ突出状に設けられてロッド挿入穴20Bに挿入された補助ロッド7が形成されている。
ロッド挿入穴20Bは、上部の小径穴20eと、中段部と下部の中径穴20fと、下端側部分の大径穴20gと、下端部の環状の第3カム部20hとを備えている。小径穴20eは中径穴20fよりも小径であり、中径穴20fは大径穴20gよりも小径であり、第3カム部20hの内径は中径穴20fと同径である。尚、小径穴20eの内周壁面が「第1カム部」に相当し、大径穴20gの内周壁面が「第2カム部」に相当する。
【0076】
実施例1のクランプ装置1と同様に、このクランプ装置1Bは、第1,第2加圧エア通路24B,25と、これら第1,第2加圧エア通路24B,25の途中部を夫々開閉可能な第1,第2開閉弁機構22,23とを備えている。第1開閉弁機構22は、ピストン部材4Bがアンクランプ位置に位置したときだけ閉弁され、第2開閉弁機構23は、ピストン部材4Bがクランプ位置に位置したときだけ閉弁される。
【0077】
第1,第2加圧エア通路24B,25と、第1,第2開閉弁機構22,23は、基本的に実施例1のものと同様のものであるので、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について簡単に説明する。
弁体35Bは、大径軸部35bと中径軸部35cと小径軸部35dとを有し、中径軸部35cの下半部の外周部には周方向に適当間隔おきに複数の縦溝24gが形成され、この中径軸部35cの下端部が弁座形成部材40の環状内鍔40aの中心穴に挿入されている。
【0078】
第1加圧エア通路24Bは、L形通路24aと、筒状通路24bと、横断通路24cと、環状内鍔40aに挿入された複数の縦溝24gと、内側通路24eとを備えている。第1開閉弁機構22の可動弁体41Bは筒体状に構成され、この可動弁体41Bの内側において小径軸部35dにシール部材41bが装着されている。
【0079】
次に、クランプ装置1Bの作用、効果について簡単に説明する。
図14、
図15はアンクランプ状態のクランプ装置1Bを示す。ピストン部材4Bがアンクランプ位置(下限位置)に位置したとき、複数の鋼球36が小径穴20eの内周壁面(第1カム部)に当接するため、複数の鋼球36が弁体35Bの軸心側へ押され、弁体35Bが上へ移動する。それ故、第1開閉弁機構22が閉弁状態に切換わり、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「高」を示す信号となる。また、第2開閉弁機構23は開弁状態を維持し、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「低」を示す信号となる。
【0080】
図16、
図17は、ピストン部材4Bがクランプ位置に向って上昇する上昇途中の状態を示す。このとき、複数の鋼球36は中径穴20fの内周壁面に当接するため、弁体35Bは僅かに下方へ移動し、第1開閉弁機構22が開弁状態に切換わり、第2開閉弁機構23が開弁状態を維持する。それ故、圧力スイッチ28,30の検出信号は圧力「低」を示す信号となる。
【0081】
図18、
図19は、ピストン部材4Bがクランプ位置になった状態を示す。このとき、複数の鋼球36は、大径穴20gの内周壁面(第2カム部に相当する)に当接するため、弁体35Bが下限位置まで下降し、第1開閉弁機構22は開弁状態を維持し、第2開閉弁機構23は閉弁状態に切換わる。それ故、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「低」 を示す信号となり、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「高」を示す信号となる。
【0082】
図20、
図21は、ピストン部材4Bがフルストロークして上限位置になった状態を示す。このとき、複数の鋼球36は第3カム部20hに当接し、第1,第2開閉弁機構22,23は開弁状態を維持し、圧力スイッチ28,30の検出信号は圧力「低」を示す信号となる。このように、第1開閉弁機構22は、ピストン部材4Bがアンクランプ位置に位置したときだけ閉弁し、第2開閉弁機構23は、ピストン部材4Bがクランプ位置に位置したときだけ閉弁する。その他、実施例1と同様の作用、効果を奏する。本実施例のクランプ装置1Bについても、実施例1と同様に、種々の変更形態を採用可能である。
【実施例4】
【0083】
本実施例のクランプ装置1Cについて、
図22〜
図29に基づいて説明する。
このクランプ装置1Cの第1,第2加圧エア通路24C,25Cと、第1,第2開閉弁機構22C,23C以外の構成は、実施例1のクランプ装置1と同様であるので、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。ピストン部材4に形成されたロッド挿入穴20Cは、小径穴20bと大径穴20cと小径穴20dとを有し、ロッド挿入穴20Cの下端部には大径穴20cより大径の環状の第4カム部20iが形成されている。
【0084】
次に、第1,第2開閉弁機構22C,23Cについて
図22、
図23に基づいて説明する。補助ロッド7、収容穴34、弁体35、複数の鋼球36は、実施例1のものと同様である。弁座形成部材40Cの上端部分は筒部40dに形成され、この筒部40dに弁体35の中径軸部35cが挿通され、中径軸部35cと筒部40dの間には筒状通路56が形成されている。
【0085】
可動弁体41は小径軸部35dに上下に可動に装着され、圧縮スプリング42により上方へ付勢されている。弁座部材44Cは弁座形成部材40Cの下部内に収容される弁ケース44bを有し、弁ケース44bの上端壁には挿通穴44cが形成され、弁ケース44b内には上下方向に可動の小弁体48が収容されている。小弁体48の弁軸部48aが挿通穴44cを挿通して上方へ突出し、小弁体48は圧縮スプリング49で上方へ付勢され、小弁体48の上端は小径軸部35dの下端に接近対向している。小弁体48の外周部には複数の縦溝が形成されている。
【0086】
第1開閉弁機構22Cは、ピストン部材4がアンクランプ位置に位置したときだけ開弁するように構成されている。この第1開閉弁機構22Cは、弁体35の小径軸部35dと、弁ケース44bと、小弁体48とを備えており、第1開閉弁機構22Cの開閉弁部は、弁ケース44bの上端壁の下面の環状の弁座50に小弁体48の環状の弁面48bが当接すると閉弁状態となり、弁面48bが弁座50から下方へ離れると開弁状態となる。
【0087】
第2開閉弁機構23Cは、ピストン部材4がクランプ位置に位置したときだけ開弁するように構成されている。この第2開閉弁機構23Cは、上開閉弁部23aと下開閉弁部23bとを備えている。上開閉弁部23aは、筒部40dの上端の環状弁座51と、大径軸部35bの下端の環状の弁面52とからなる。下開閉弁部23bは筒部40dの下端の環状弁座40bと、可動弁体41の上端の環状弁面41bとからなる。
【0088】
第1加圧エア通路24Cは、弁座部材44Cの下部通路53と、弁ケース44b内の内部通路54と、弁軸部48aの外周側の環状通路(挿通穴44cの外周側部分)と、弁座形成部材40の内側の内側通路24eとを備えている。第2加圧エア通路25Cは、L形通路24aと、弁座形成部材40Cの外周側の筒状通路24bと、筒部40dの外周側の環状通路55と、中径軸部35cの外周側の筒状通路56と、弁座形成部材40Cの内側の内側通路24eとを備えている。内側通路24eは横断通路24fを介して排気通路33に接続されている。
【0089】
図22、
図23は、ピストン部材4がアンクランプ位置にある状態を示し、このとき、複数の鋼球36が第4カム部20iに当接するまで外側へ移動するため、弁体35が最大限下降する。その結果、第1開閉弁機構22Cは開弁状態になるため、第1加圧エア通路24Cが全体に亙って連通し、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「低」を示す信号になる。第2開閉弁機構23Cにおいては、下開閉弁部23bは開弁状態になるが、上開閉弁部23aが閉弁状態になるため、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。
【0090】
図24、
図25は、ピストン部材4がアンクランプ位置から下降開始した旋回中の状態を示し、このとき、複数の鋼球36が小径穴20bの内周壁面に当接するため、弁体35が最大限上方へ移動する。その結果、第1開閉弁機構22Cが閉弁状態になるため、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。第2開閉弁機構23Cの上開閉弁部23aは開弁状態となるが、下開閉弁部23bが閉弁状態となるため、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。
【0091】
図26、
図27は、ピストン部材4がアンクランプ位置から所定ストローク以上下降し、クランプ位置になった状態を示し、このとき、複数の鋼球36が大径穴20cの内周壁面に当接するため、弁体35が僅かに下降する。その結果、第1開閉弁機構22Cは閉弁状態を維持するため、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。第2開閉弁機構23Cにおいては、下開閉弁部23bも上開閉弁部23aも開弁状態になるため、第2加圧エア通路25Cが全体に亙って連通状態となり、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「低」を示す信号になる。
【0092】
図28、
図29は、ピストン部材4がフルストローク下降して下限位置になった状態を示し、このとき、複数の鋼球36が小径穴20dの内周壁面に当接するため、弁体35が僅かに上昇する。その結果、第1開閉弁機構22Cが閉弁状態を維持するため、圧力スイッチ28の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。第2開閉弁機構23Cにおいては、上開閉弁部23aは開弁状態となるが、下開閉弁部23bが閉弁状態になるため、圧力スイッチ30の検出信号は圧力「高」を示す信号になる。
その他、実施例1と同様の作用、効果を奏する。本実施例のクランプ装置1Cについても、実施例1と同様に、種々の変更形態を採用可能である。