特許第6285692号(P6285692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285692
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】蒸気タービン設備
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20180215BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180215BHJP
   F01D 17/10 20060101ALI20180215BHJP
   F01D 17/22 20060101ALI20180215BHJP
   F01D 17/24 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   F01D25/24 G
   F01D25/00 H
   F01D25/24 T
   F01D17/10 C
   F01D17/22 A
   F01D17/24 N
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-229512(P2013-229512)
(22)【出願日】2013年11月5日
(65)【公開番号】特開2015-90087(P2015-90087A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑介
(72)【発明者】
【氏名】李 宏元
(72)【発明者】
【氏名】緒方 康二
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 望
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−161698(JP,A)
【文献】 特開昭57−203805(JP,A)
【文献】 米国特許第02235547(US,A)
【文献】 英国特許出願公告第00530022(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/24
F01D 17/10
F01D 17/22
F01D 17/24
F01D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生源と、
この蒸気発生源で発生させた蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気管と、
この主蒸気管に設けられた蒸気加減弁と、
前記蒸気発生源で発生させた蒸気を、前記蒸気加減弁をバイパスして前記主蒸気管よりも前記蒸気タービンの低圧側につなげるために前記主蒸気管から分岐したオーバーロード蒸気管と、
このオーバーロード蒸気管に設けられたオーバーロード弁と、
前記オーバーロード蒸気管と蒸気タービン段落部との間に形成され、前記蒸気タービンの周方向に延びる流路と、
前記周方向に延びる流路と前記蒸気タービン段落部との間に形成され、前記オーバーロード弁を通過して前記周方向に延びる流路に流入した蒸気が蒸気タービン段落部に流入する際に通過するタービン軸方向の間隙で構成されたスリット部とを備え、
前記スリット部タービン軸方向の幅は、前記オーバーロード蒸気管の内径よりも小さい
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【請求項2】
請求項1記載の蒸気タービン設備において、
前記スリット部は、ダイヤフラム外輪とケーシングとの間に形成されたタービン軸方向の間隙によって構成されている
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【請求項3】
請求項1記載の蒸気タービン設備において、
前記スリット部は、2つのケーシングの間に形成されたタービン軸方向の間隙によって構成されている
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【請求項4】
請求項1記載の蒸気タービン設備において、
前記スリット部は、タービン軸方向に連続する2つの段落のダイヤフラム外輪の間に形成されたタービン軸方向の間隙によって構成されている
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【請求項5】
請求項1に記載の蒸気タービン設備において、
前記オーバーロード蒸気管は、ケーシングに嵌合されている
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【請求項6】
請求項1に記載の蒸気タービン設備において、
前記オーバーロード蒸気管は、ケーシングに溶接されている
ことを特徴とする蒸気タービン設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン設備に関する。
【背景技術】
【0002】
主蒸気圧力を押さえながら蒸気タービンの出力を増加させることのできる蒸気タービンの過負荷運転装置として、特許文献1には、蒸気タービン高圧部および蒸気タービン再熱部を備え、高圧蒸気を主蒸気加減弁を介して蒸気タービン高圧部に導入し、再熱蒸気を再熱蒸気弁を介して蒸気タービン再熱部に導入した蒸気タービンにおいて、主蒸気加減弁の入口側から分岐して蒸気タービン再熱部の入口側にオーバーロード弁を介して連通させた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−161698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蒸気タービンを備える火力発電プラントでは、想定される電力需要の変動に基づき、発電出力を定格値から変更することが望まれる場面がある。
従来、火力発電プラントの発電出力を調整する方法として、絞り調速、ノズル締切り調速、変圧運転などの方法が用いられてきた。
【0005】
絞り調速は、蒸気加減弁の開度を加減して蒸気を絞り、熱落差と蒸気流量とを変化して出力を調整する方法である。
しかし、この方法では蒸気加減弁が全開となるのは最大発電出力運転時のみであり、それ以外の運転状態においては弁絞り損失による発電効率の低下が生じる。一般に、定格発電出力は最大発電出力よりも小さいため、定格発電出力での運転時は弁絞り損失が発生し、最大発電出力での運転時と比較して発電効率が低下するとの問題がある。
【0006】
ノズル締切り調速は、有効熱落差一定のままで蒸気加減弁の数を加減して蒸気を噴出するノズルの数を増減し、蒸気流量を変化させて発電出力を調整する方法である。
しかし、この方法ではノズル群の一部からだけタービンに送気する機構を有する調速段を蒸気タービン内部に設ける必要があるが、一般的に調速段の設置は発電効率の低下を伴うとの問題がある。
【0007】
変圧運転は、要求される発電出力に応じた蒸気圧力で運転する方法である。
この方法は、蒸気加減弁における弁絞り損失や調速段の設置を伴わないため、発電効率を向上させることができる。しかし、火力発電プラントにおける蒸気発生源は蒸気圧力を急速に変化させることが難しいため、この方法では発電出力を急峻に調整することが困難である、との問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載された技術では、オーバーロード弁6を通過して蒸気タービンに流入する蒸気はタービン周方向に拡散しにくく、段落部における偏流を抑制することが困難である等の問題がある。
【0009】
本発明の目的は、このような事情に鑑みてなされたもので、定格発電出力での運転時における発電効率の向上と、電力需要の変動に基づく発電出力の急峻な調整を両立することができる蒸気タービン設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、蒸気発生源と、この蒸気発生源で発生させた蒸気を蒸気タービンに導く主蒸気管と、この主蒸気管に設けられた蒸気加減弁と、前記蒸気発生源で発生させた蒸気を、前記蒸気加減弁をバイパスして前記主蒸気管よりも前記蒸気タービンの低圧側につなげるために前記主蒸気管から分岐したオーバーロード蒸気管と、このオーバーロード蒸気管に設けられたオーバーロード弁と、前記オーバーロード蒸気管と蒸気タービン段落部との間に形成され、前記蒸気タービンの周方向に延びる流路と、前記周方向に延びる流路と前記蒸気タービン段落部との間に形成され、前記オーバーロード弁を通過して前記周方向に延びる流路に流入した蒸気が蒸気タービン段落部に流入する際に通過するタービン軸方向の間隙で構成されたスリット部とを備え、前記スリット部タービン軸方向の幅は、前記オーバーロード蒸気管の内径よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定格発電出力での運転時における発電効率の向上と、電力需要の変動に基づく発電出力の急峻な調整を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る蒸気タービン設備の全体構成を表す概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る高圧タービンの構成例を表す断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る高圧タービンの段落部における動翼および静翼をタービン径方向外側から見た図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る高圧タービンの構成例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の蒸気タービン設備の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の蒸気タービン設備の第1の実施形態を、図1乃至図3を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る蒸気タービン設備(火力発電プラント)の全体構成を表す概略図、図2は本発明の第1の実施形態に係る高圧タービンの構成例を表す断面図、図3は本発明の第1の実施形態に係る高圧タービンの段落部における動翼および静翼をタービン径方向外側から見た図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の蒸気タービン設備は、ボイラ1、高圧タービン7、中圧タービン10、低圧タービン12、復水器14、発電機16を備えている。
【0016】
ボイラ1は化石燃料焚きボイラであって、蒸気発生源の一例である。ボイラ1で化石燃料を燃焼することで復水器14から供給された復水を加熱し、高温高圧の蒸気を発生させる。
【0017】
主蒸気管2には、主蒸気止め弁3や蒸気加減弁4が設けられている。また、主蒸気管2には、蒸気加減弁4をバイパスして、主蒸気管2よりも蒸気タービンの低圧側につながるオーバーロード蒸気管5が接続されている。このオーバーロード蒸気管5には、オーバーロード弁6が設けられている。
【0018】
ボイラ1で発生した蒸気は主蒸気管2およびオーバーロード蒸気管5を介して高圧タービン7に導かれ、高圧タービン7を駆動する。高圧タービン7を駆動して減圧した蒸気は、高圧タービン排気管8を流下してボイラ1に導かれ、再度加熱されて再熱蒸気となる。
【0019】
ボイラ1で再加熱された再熱蒸気は、高温再熱蒸気管9を介して中圧タービン10に導かれて中圧タービン10を駆動する。
【0020】
中圧タービン10を駆動して減圧した蒸気は、中圧タービン排気管11を介して低圧タービン12に導かれ、低圧タービン12を駆動する。
【0021】
低圧タービン12を駆動して減圧した蒸気は、低圧タービン排気管13を介して復水器14に導かれる。復水器14は冷却水配管(図示せず)を備えており、復水器14に導かれた蒸気と冷却水配管内を流れる冷却水とを熱交換させて蒸気を復水する。復水器14で復水された復水は再びボイラ1に送られる。
【0022】
図1に示した高圧タービン7、中圧タービン10及び低圧タービン12は、タービンロータ15によって同軸上に連結されている。また、タービンロータ15には発電機16が連結されていて、高圧タービン7、中圧タービン10及び低圧タービン12の回転動力によって発電機16が駆動し、高圧タービン7、中圧タービン10及び低圧タービン12の出力が電力(電気エネルギー)として取り出される。
【0023】
本実施形態に係る蒸気タービン設備の大きな特徴は、オーバーロード蒸気管5から流出した蒸気が蒸気タービン段落部に流入する際に通過するスリット部31を備えていることにある。また、このスリット部31は、幅がオーバーロード蒸気管5の内径よりも小さくなるよう構成されている点にある。ここで、本発明におけるスリット部31とは、その幅が蒸気が通過する狭隘な間隙のことをいう。
【0024】
図2に示すように、高圧タービン7のオーバーロード蒸気管5からの蒸気の入場口の付近には、ダイヤフラム外輪24と、ダイヤフラム内輪25と、フィン26と、パッキン27と、ダイヤフラム外輪24を保持するケーシング28と、シールリング30と、スリット部31等が設けられている。
【0025】
高圧タービン7には、タービンロータ15と、このタービンロータ15に取付けられた動翼22とが備えられている。
【0026】
この高圧タービン7のダイヤフラムは、ダイヤフラム外輪24と、ダイヤフラム内輪25と、このダイヤフラム内輪25とダイヤフラム外輪24との間に位置する静翼23を備えている。この静翼23と動翼22とによって蒸気タービンの段落が形成される。
【0027】
ダイヤフラム外輪24は、ケーシング28に固定されるか、隣接する他段落のダイヤフラム外輪24’に固定されている。なお、ダイヤフラム外輪24には、漏洩蒸気を抑えるために、動翼22の先端との間でシールを形成するようにフィン26が設けられている。
【0028】
また、ダイヤフラム内輪25には、漏洩蒸気を抑えるために、ロータ15との間でシールを形成するようにパッキン27が設けられている。
【0029】
オーバーロード蒸気管5は、シールリング30を嵌合したケーシング28に挿入・嵌合され、自己の外面をシールリング30に接触することで、オーバーロード蒸気管5とケーシング28との間隙から蒸気が漏洩することを防止している。
【0030】
スリット部31は、ダイヤフラム外輪24と、ケーシング28とによって形成されるタービン軸方向の間隙であり、上述したように、蒸気が通過する狭隘な間隙のことである。このスリット部31のタービンロータ15の軸方向における幅Cがオーバーロード蒸気管5の内径dよりも小さく(d>C)なるよう、ダイヤフラム外輪24およびケーシング28が配置されている。
【0031】
上述したように、本発明の蒸気タービン設備の第1の実施形態は、ボイラ1と、ボイラ1から蒸気タービンに通じる主蒸気管2に設けられた蒸気加減弁4と、主蒸気管2から蒸気加減弁4をバイパスして、主蒸気管2よりも蒸気タービンの低圧側につながるオーバーロード蒸気管5に設けられたオーバーロード弁6と、オーバーロード蒸気管5から流出した蒸気が蒸気タービン段落部に流入する際に通過するスリット部31とを備え、このスリット部31のタービンロータ15の軸方向における幅Cが、オーバーロード蒸気管5の内径dよりも小さく(d>C)なるよう構成されたものである。
【0032】
上記のように構成される本実施形態に係る蒸気タービン設備では、以下に説明するような作用効果が得られる。以下、その作用効果について説明する。
【0033】
(1)定格発電出力運転時の発電効率向上
定格発電出力での運転を要求される場合には、蒸気加減弁4を全開、オーバーロード弁6を全閉とすることにより、蒸気加減弁4における弁絞り損失をなくすことができ、発電効率を向上させることができる。
【0034】
(2)定格値を超える発電出力への対策
定格値を超える発電出力での運転を要求される場合には、蒸気加減弁4を全開とするとともに、要求される発電出力に応じてオーバーロード弁6を開くことにより、定格値を超える発電出力を容易に達成することができる。
【0035】
(3)発電出力の急峻な調整
発電出力の調整は蒸気加減弁4及びオーバーロード弁6を用いて行うことにより、発電出力を急峻に調整することが可能である。
【0036】
(4)段落部の偏流の抑制
本実施形態では、スリット部31のタービンロータ15の軸方向における幅Cが、オーバーロード蒸気管5の内径dよりも小さく(d>C)なるよう構成されているため、オーバーロード弁6を通過して蒸気タービンに流入する蒸気は、スリット部31を通過する前に減速させられる。このため、蒸気タービンに流入した際に蒸気がタービン周方向に拡散しやすくなり、段落部における偏流を抑制することができる。
【0037】
(5)温度不均一の抑制
一般的に、オーバーロード弁6から蒸気タービンに流入する蒸気は、スリット部31を通過した後の段落部の蒸気よりも温度が高いため、段落部における温度上昇が発生し、当該部における材料強度が低下する。この現象は、段落部における偏流が大きく、局所的な温度上昇が大きい場合において特に顕著に現れる。
これに対し、本実施形態によれば、(4)にて前記のごとく段落部における偏流を抑制することができるため、段落部における局所的な温度上昇を防止することができ、材料強度の低下を抑制することができる。
【0038】
(6)段落効率低下の抑制
図3に、オーバーロード弁6が全閉している場合に静翼23’から流出する蒸気の絶対速度V、オーバーロード弁6が全閉している場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度W、オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の絶対速度V’、オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度W’、動翼22’の回転速度U、オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度W’と動翼入口部とがなす角θとを各々示す。
【0039】
図3において、オーバーロード弁6が全閉している場合には、蒸気加減弁4を通過した蒸気が流入する段落入口部と、オーバーロード弁6を通過した蒸気が流入する段落入口部との間においては、オーバーロード弁6が全閉している場合よりも有効熱落差が減少する。これにより、オーバーロード弁6を通過した蒸気が流入する段落よりも高圧側の段落においては、静翼23’から流出する蒸気の速度が減少する(V>V’)。これにより、静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度W’と動翼入口部とがなす角θが大きくなり、蒸気の持つエネルギーの損失が増大する。この現象は、段落部の偏流が大きい場合に顕著に現れる。
これに対し、本実施形態によれば、(4)において前記したごとく、段落部における偏流を抑制することができるため、蒸気の持つエネルギーの損失を抑制し、発電効率を向上させることができる。
【0040】
なお、上記の第1の実施形態では、スリット部31がダイヤフラム外輪24とケーシング28とによって構成されている場合について説明してきたが、スリット部を2つのケーシングによって構成することができる。また、スリット部を連続する2つの段落のダイヤフラム外輪によって構成することもできる。あるいは、これらのスリット部の構成のうちいずれか2つ以上を併用することもできる。
【0041】
また、オーバーロード蒸気管5がケーシング28に嵌合されている場合について説明してきたが、オーバーロード蒸気管5がケーシング28に溶接されている場合にも、本発明は適用することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
本発明の蒸気タービン設備の第2の実施形態を図4を用いて説明する。
図4は本発明の第2の実施形態に係る高圧タービンの構成例を表す断面図である。
【0043】
図4に示す本実施形態の蒸気タービン設備は、第1の実施形態の蒸気タービン設備と相違する点は、スリット部の構成、およびオーバーロード蒸気管と蒸気タービンとの接続方法にある。
【0044】
第1の実施形態のスリット部31は、ダイヤフラム外輪24と、ケーシング28とのタービン軸方向の間隙により構成されていた。
これに対し、図4に示すように、本実施形態のスリット部41は、第1の内部ケーシング42と第2の内部ケーシング42’とのタービン軸方向の間隙、およびダイヤフラム外輪43とダイヤフラム外輪43’とのタービン軸方向の間隙により構成されている。
【0045】
また、第1の実施形態のオーバーロード蒸気管5は、ケーシング28に嵌合されていたのに対し、本実施形態では、オーバーロード蒸気管5Aは、外部ケーシング45に溶接されている。
【0046】
本発明の蒸気タービン設備の第2の実施形態においても、前述した蒸気タービン設備の第1の実施形態とほぼ同様な効果が得られる。
【0047】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の実施形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施形態に係る構成の一部を、他の実施形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、連結された高圧タービン7、中圧タービン10及び低圧タービン12が発電機16を駆動する場合について例示したが、各タービン7,10,12のシャフトに発電機を連結して個別に発電しても良いし、3つのタービン7,10,12のうち任意の2つを連結したもので発電機を駆動しても良い。更にコンバインドサイクルシステムの蒸気タービンに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…ボイラ(蒸気発生源)、
2…主蒸気管、
3…主蒸気止め弁、
4…蒸気加減弁、
5,5A…オーバーロード蒸気管、
6…オーバーロード弁、
7…高圧タービン、
8…高圧タービン排気管、
9…高温再熱蒸気管、
10…中圧タービン、
11…中圧タービン排気管、
12…低圧タービン、
13…低圧タービン排気管、
14…復水器、
15…タービンロータ、
16…発電機、
22,22’…動翼、
23,23’…静翼、
24,24’…ダイヤフラム外輪、
25…ダイヤフラム内輪、
26…フィン、
27…パッキン、
28…ケーシング、
30…シールリング、
31…スリット部、
41…スリット部、
42,42’…内部ケーシング、
43,43’…ダイヤフラム外輪、
45…外部ケーシング、
d…オーバーロード蒸気管の内径、
C…スリット部の幅、
V…オーバーロード弁6が全閉している場合に静翼23’から流出する蒸気の絶対速度、
W…オーバーロード弁6が全閉している場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度、
V’…オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の絶対速度、
W’…オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度、
U…動翼22’の回転速度、
θ…オーバーロード弁6が開いている場合に静翼23’から流出する蒸気の動翼22’に対する相対速度W’と動翼入口部とがなす角。
図1
図2
図3
図4