特許第6285718号(P6285718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285718広域管理システム、広域管理装置、建物管理装置、および広域管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285718
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】広域管理システム、広域管理装置、建物管理装置、および広域管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20180215BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G06Q50/16 300
   H02J13/00 301A
   H02J13/00 311T
【請求項の数】12
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-552775(P2013-552775)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2013073196
(87)【国際公開番号】WO2015029194
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】特許業務法人湘洋内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和夫
(72)【発明者】
【氏名】緒方 祐次
(72)【発明者】
【氏名】延命 史雄
(72)【発明者】
【氏名】金子 実
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−279238(JP,A)
【文献】 特開2011−114423(JP,A)
【文献】 特開2002−010532(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/004113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各建物で消費される電力を管理する広域管理システムであって、
広域管理装置と、
各建物に対応して設けられた建物管理装置と
を備え、
前記広域管理装置は、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する第1の管理テーブル保持部と、
前記第1の管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信部と
を有し、
それぞれの前記建物管理装置は、
前記管理テーブルを保持する第2の管理テーブル保持部と、
前記制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部と、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記第2の管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、当該制御指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム保持部から抽出するイベントプログラム抽出部と、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行部と
を有することを特徴とする広域管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の広域管理システムであって、
前記送信部は、
前記第1の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを送信し、
前記受信部は、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記管理テーブルを受信した場合に、受信した管理テーブルを前記第2の管理テーブル保持部に保持させ、
前記転送部は、
前記第2の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して前記下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを転送することを特徴とする広域管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の広域管理システムであって、
それぞれの前記建物管理装置は、
自建物管理装置および前記下位の建物管理装置に対応付けて、それぞれの建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を保持する電力情報保持部と、
自建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させると共に、前記下位の建物管理装置から当該建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させる電力情報収集部と、
前記受信部が受信した前記制御指令を前記転送部が前記下位の建物管理装置のそれぞれへ転送し、かつ、当該制御指令に対応するイベントプログラムを自建物管理装置内の前記イベントプログラム実行部が実行した後に、前記電力情報保持部を参照して、自建物管理装置に対応する建物および前記下位の建物管理装置に対応する建物の消費電力の合計を算出し、算出した消費電力の合計が、前記制御指令で削減が指示されている消費電力以上の場合に、さらなる消費電力の削減を指示する追加指令を生成し、生成した追加指令を、自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部、または、前記下位の建物管理装置の、少なくともいずれかへ送信する追加指令送信部と
をさらに有することを特徴とする広域管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の広域管理システムであって、
前記追加指令送信部は、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部および前記下位の建物管理装置の中から、前記追加指令の送信先を1つ選択し、選択した建物管理装置へ前記追加指令を送信することを特徴とする広域管理システム。
【請求項5】
請求項3に記載の広域管理システムであって、
前記追加指令送信部は、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部および前記下位の建物管理装置のそれぞれへ前記追加指令を送信することを特徴とする広域管理システム。
【請求項6】
各建物で消費される電力を管理する広域管理システムに用いられる広域管理装置であって、
それぞれの建物に対応して設けられた建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する管理テーブル保持部と、
前記管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信部と
を備え
前記建物管理装置は、
前記管理テーブルを保持する第2の管理テーブル保持部と、
前記制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部と、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記第2の管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、当該制御指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム保持部から抽出するイベントプログラム抽出部と、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行部とを有する
ことを特徴とする広域管理装置。
【請求項7】
各建物に対応して設けられる建物管理装置であって、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する管理テーブル保持部と、
各建物の消費電力の削減を指示する制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部と、
域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、当該制御指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム保持部から抽出するイベントプログラム抽出部と、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行部と
を備えることを特徴とする建物管理装置。
【請求項8】
広域管理装置と、各建物に対応して設けられた建物管理装置とを備え、各建物で消費される電力を管理する広域管理システムにおける広域管理方法であって、
前記広域管理装置が、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する第1の管理テーブル保持部を参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信ステップを実行し、
それぞれの前記建物管理装置が、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで前記制御指令を受信した場合に、前記管理テーブルを保持する第2の管理テーブル保持部を参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送ステップと、
前記受信ステップにおいて前記制御指令を受信した場合に、前記制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部を参照して、当該制御指令に対応するイベントプログラムを抽出するイベントプログラム抽出ステップと、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行ステップと
を実行することを特徴とする広域管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の広域管理方法であって、
前記広域管理装置は、前記送信ステップにおいて、
前記第1の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを送信し、
それぞれの前記建物管理装置は、前記受信ステップにおいて、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記管理テーブルを受信した場合に、受信した管理テーブルを前記第2の管理テーブル保持部に保持させ、
それぞれの前記建物管理装置は、前記転送ステップにおいて、
前記第2の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して前記下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを転送することを特徴とする広域管理方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の広域管理方法であって、
それぞれの前記建物管理装置は、
自建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して電力情報保持部に保持させると共に、前記下位の建物管理装置から当該建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させる電力情報収集ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記制御指令を前記転送ステップにおいて前記下位の建物管理装置のそれぞれへ転送し、かつ、当該制御指令に対応するイベントプログラムを自建物管理装置内の前記イベントプログラム実行ステップにおいて実行した後に、前記電力情報保持部を参照して、自建物管理装置に対応する建物および前記下位の建物管理装置に対応する建物の消費電力の合計を算出し、算出した消費電力の合計が、前記制御指令で削減が指示されている消費電力以上の場合に、さらなる消費電力の削減を指示する追加指令を生成し、生成した追加指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム抽出ステップにおいて抽出するか、または、前記下位の建物管理装置の少なくともいずれかへ送信する追加指令送信ステップと
をさらに実行することを特徴とする広域管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の広域管理方法であって、
それぞれの前記建物管理装置は、前記追加指令送信ステップにおいて、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置および前記下位の建物管理装置の中から、前記追加指令の送信先を1つ選択し、選択した建物管理装置へ前記追加指令を送信することを特徴とする広域管理方法。
【請求項12】
請求項10に記載の広域管理方法であって、
それぞれの前記建物管理装置は、前記追加指令送信ステップにおいて、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置および前記下位の建物管理装置のそれぞれへ前記追加指令を送信することを特徴とする広域管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広域管理システム、広域管理装置、建物管理装置、および広域管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ビル、病院、学校や工場などの建物には、設備機器を管理する管理装置が存在しており、また、複数の建物における設備機器の情報を、通信ネットワークを介して遠隔の場所からモニタリングするシステムが存在している。
【0003】
このように、通信ネットワークの高速化、広帯域化によって、広域に点在する建物間でのデータの比較を容易かつリアルタイムに行い、複数の建物内の設備機器を連動させて自動制御する技術が開示されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−53549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の広域管理装置は、イベントプログラム選択手段において複数の建物に指令を出すことができるものの、管理対象の建物の数が増加すると、それぞれの建物毎に出す指令を作成するためのイベントプログラムも増加し、そのイベントプログラムを管理することが困難になる。例えば1時間単位などの短い時間間隔で各建物の消費電力を制御することが必要となる場合があるが、上記特許文献1の広域管理装置は複数の建物の消費電力を集中管理するため、管理対象の建物の数が多いと、その都度、建物毎に個別に指令を作成することは時間的に困難な場合がある。
【0006】
また、上記特許文献1の広域管理装置は、管理対象となる建物の電力を制御する個別の指示を、それぞれの建物を管理している全ての管理装置にそれぞれ送信している。そのため、管理対象の建物が多くなると、制御指示の送信にかかる通信トラフィックが増大し、制御指示の到達に遅延が生じたり、ネットワーク上を流れる他の通信データの送受信に支障をきたす場合がある。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、管理対象の建物が多い場合であっても、個々の建物の消費電力を制御する処理を広域管理装置と建物管理装置で分担することで広域管理装置の処理量を低減し、消費電力を制御する指令を送信する際の通信トラフィックの増加を低く抑えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第一の態様は、例えば、各建物で消費される電力を管理する広域管理システムであって、
広域管理装置と、
各建物に対応して設けられた建物管理装置と
を備え、
前記広域管理装置は、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する第1の管理テーブル保持部と、
前記第1の管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信部と
を有し、
それぞれの前記建物管理装置は、
前記管理テーブルを保持する第2の管理テーブル保持部と、
前記制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部と、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記第2の管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、当該制御指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム保持部から抽出するイベントプログラム抽出部と、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行部と
を有する。
【0009】
また、上記した広域管理システムにおいて、
前記送信部は、
前記第1の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを送信してもよく、
前記受信部は、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記管理テーブルを受信した場合に、受信した管理テーブルを前記第2の管理テーブル保持部に保持させてもよく、
前記転送部は、
前記第2の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して前記下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを転送するようにしてもよい。
【0010】
また、上記した広域管理システムにおいて、
それぞれの前記建物管理装置は、
自建物管理装置および前記下位の建物管理装置に対応付けて、それぞれの建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を保持する電力情報保持部と、
自建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させると共に、前記下位の建物管理装置から当該建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させる電力情報収集部と、
前記受信部が受信した前記制御指令を前記転送部が前記下位の建物管理装置のそれぞれへ転送し、かつ、当該制御指令に対応するイベントプログラムを自建物管理装置内の前記イベントプログラム実行部が実行した後に、前記電力情報保持部を参照して、自建物管理装置に対応する建物および前記下位の建物管理装置に対応する建物の消費電力の合計を算出し、算出した消費電力の合計が、前記制御指令で削減が指示されている消費電力以上の場合に、さらなる消費電力の削減を指示する追加指令を生成し、生成した追加指令を、自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部、または、前記下位の建物管理装置の、少なくともいずれかへ送信する追加指令送信部と
をさらに有してもよい。
【0011】
また、上記した広域管理システムにおいて、
前記追加指令送信部は、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部および前記下位の建物管理装置の中から、前記追加指令の送信先を1つ選択し、選択した建物管理装置へ前記追加指令を送信するようにしてもよい。
【0012】
また、上記した広域管理システムにおいて、
前記追加指令送信部は、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置内のイベントプログラム抽出部および前記下位の建物管理装置のそれぞれへ前記追加指令を送信するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の第二の態様は、例えば、各建物で消費される電力を管理する広域管理システムに用いられる広域管理装置であって、
それぞれの建物に対応して設けられた建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する管理テーブル保持部と、
前記管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信部と
を備える。
【0014】
また、本発明の第三の態様は、例えば、各建物に対応して設けられる建物管理装置であって、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する管理テーブル保持部と、
各建物の消費電力の削減を指示する制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部と、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記管理テーブル保持部が保持している管理テーブルを参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送部と、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、当該制御指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム保持部から抽出するイベントプログラム抽出部と、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行部と
を備える。
【0015】
また、本発明の第四の態様は、例えば、広域管理装置と、各建物に対応して設けられた建物管理装置とを備え、各建物で消費される電力を管理する広域管理システムにおける広域管理方法であって、
前記広域管理装置が、
それぞれの建物管理装置毎に、当該建物管理装置が上位の代表管理装置となって管理する下位の建物管理装置の情報を格納する管理テーブルを保持する第1の管理テーブル保持部を参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、各建物の消費電力の削減を指示する1つの制御指令を送信する送信ステップを実行し、
それぞれの前記建物管理装置が、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記制御指令を受信する受信ステップと、
前記受信部が前記制御指令を受信した場合に、前記管理テーブルを保持する第2の管理テーブル保持部を参照して、自建物管理装置が代表管理装置となって管理している下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置のそれぞれへ、受信した前記制御指令を転送する転送ステップと、
前記受信ステップにおいて前記制御指令を受信した場合に、前記制御指令に対応付けて、当該制御指令を実現するために、当該建物管理装置に対応する建物内の各設備機器に対して行うべき制御内容を記述したイベントプログラムを保持するイベントプログラム保持部を参照して、当該制御指令に対応するイベントプログラムを抽出するイベントプログラム抽出ステップと、
抽出されたイベントプログラムを実行して自建物管理装置に対応する建物内の各設備機器の消費電力を制御するイベントプログラム実行ステップと
を実行する。
【0016】
また、上記した広域管理方法において、
前記広域管理装置は、前記送信ステップにおいて、
前記第1の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して最上位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを送信してもよく、
それぞれの前記建物管理装置は、前記受信ステップにおいて、
前記広域管理装置または上位の代表管理装置から前記管理テーブルを受信した場合に、受信した管理テーブルを前記第2の管理テーブル保持部に保持させてもよく、
それぞれの前記建物管理装置は、前記転送ステップにおいて、
前記第2の管理テーブル保持部が前記管理テーブルを保持した場合に、当該管理テーブルを参照して前記下位の建物管理装置を特定し、特定した建物管理装置へ当該管理テーブルを転送してもよい。
【0017】
また、上記した広域管理方法において、
それぞれの前記建物管理装置は、
自建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して電力情報保持部に保持させると共に、前記下位の建物管理装置から当該建物管理装置に対応する建物の消費電力の情報を収集して前記電力情報保持部に保持させる電力情報収集ステップと、
前記受信ステップにおいて受信した前記制御指令を前記転送ステップにおいて前記下位の建物管理装置のそれぞれへ転送し、かつ、当該制御指令に対応するイベントプログラムを自建物管理装置内の前記イベントプログラム実行ステップにおいて実行した後に、前記電力情報保持部を参照して、自建物管理装置に対応する建物および前記下位の建物管理装置に対応する建物の消費電力の合計を算出し、算出した消費電力の合計が、前記制御指令で削減が指示されている消費電力以上の場合に、さらなる消費電力の削減を指示する追加指令を生成し、生成した追加指令に対応するイベントプログラムを前記イベントプログラム抽出ステップにおいて抽出するか、または、前記下位の建物管理装置の少なくともいずれかへ送信する追加指令送信ステップと
をさらに実行するようにしてもよい。
【0018】
また、上記した広域管理方法において、
それぞれの前記建物管理装置は、前記追加指令送信ステップにおいて、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置および前記下位の建物管理装置の中から、前記追加指令の送信先を1つ選択し、選択した建物管理装置へ前記追加指令を送信するようにしてもよい。
【0019】
また、上記した広域管理方法において、
それぞれの前記建物管理装置は、前記追加指令送信ステップにおいて、
前記制御指令で指示されている消費電力未満となっている建物に対応する自建物管理装置および前記下位の建物管理装置のそれぞれへ前記追加指令を送信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、管理対象の建物が多い場合であっても、個々の建物の消費電力を制御する処理を広域管理装置と建物管理装置で分担することで広域管理装置の処理量を低減し、消費電力を制御する指令を送信する際の通信トラフィックの増加を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る広域管理システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
図2】各建物管理装置30の階層構造を説明するための概念図である。
図3】第1の実施形態における広域管理装置20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4】データベース22に格納される指令テーブル220のデータ構造の一例を示す図である。
図5】データベース22に格納される管理テーブル221のデータ構造の一例を示す図である。
図6】データベース22に格納されるプログラムテーブル222のデータ構造の一例を示す図である。
図7】データベース22に格納される対応表223のデータ構造の一例を示す図である。
図8】データベース22に格納される電力情報テーブル224のデータ構造の一例を示す図である。
図9】建物14毎の制御内容の一例を説明するための概念図である。
図10】第1の実施形態における建物管理装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図11】第1の実施形態における広域管理装置20の動作の一例を示すフローチャートである。
図12】第1の実施形態における建物管理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】第2の実施形態においてデータベース22に格納される管理テーブル221のデータ構造の一例を示す図である。
図14】第2の実施形態における建物管理装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15】第2の実施形態における広域管理システム10の動作の一例を示すシーケンス図である。
図16】広域管理装置20または建物管理装置30の機能を実現するコンピュータ40のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態における広域管理システム10の構成の一例を示すシステム構成図である。広域管理システム10は、広域管理装置20および複数の建物14(14−1、14−2)のそれぞれに設けられた建物管理装置30(30−1、30−2)を備える。広域管理装置20およびそれぞれの建物管理装置30は、通信回線13に接続され、通信回線13を介して通信データの送受信が可能である。
【0024】
本実施形態における広域管理システム10は、例えば図2(各建物管理装置30の階層構造を説明するための概念図)に示すような階層構造を有している。図2において、「C000」は、広域管理装置20を示しており、「B001」〜「B011」は、建物管理装置30に対応する建物の建物IDを示している。本実施形態では、基本的に、図2において線で結ばれた装置同士が通信を行う。図2の例において、最上位の建物管理装置30は、「B001」〜「B003」の建物管理装置30であり、広域管理装置20と通信を行う。
【0025】
本実施形態において、例えば「B001」、「B002」、「B006」、「B007」、または「B010」の建物管理装置30のように、下位に1つ以上の建物管理装置30が存在する建物管理装置30を「代表管理装置」と呼ぶ。「代表管理装置」は、上位の広域管理装置20または上位の代表管理装置から受信したデータを、下位の建物管理装置30または下位の代表管理装置へ送信し、下位の建物管理装置30または下位の代表管理装置から受信したデータを、上位の広域管理装置20または上位の代表管理装置へ送信する。
【0026】
本実施形態において、代表管理装置は、図2の点線で示すように、例えば、地理的に近い、あるいは、同一の組織の管理下にある建物に対応する建物管理装置30や、同一の通信ネットワークに属する複数の建物管理装置30等の単位で1つ設けられる。
【0027】
広域管理装置20は、操作端末11を介して管理者12から、それぞれの建物14の消費電力を制御する制御指令を受け付け、受け付けた制御指令を、通信回線13を介して、最上位の建物管理装置30または代表管理装置へ送信する。各代表管理装置は、受信した制御指令を、下位の建物管理装置30または下位の代表管理装置へ転送する。
【0028】
また、広域管理装置20は、通信回線18を介して他の装置から制御指令を受け付けた場合にも、操作端末11を介して管理者12から制御指令を受け付けた場合と同様に動作することができる。「他の装置」とは、例えばCEMS(Cluster/Community Energy Management System)等の地域全体のエネルギーマネジメントシステムにおいて、地域内の各建物の電力を制御すべく制御指令を送信するコミュニティ連携装置17などが考えられる。
【0029】
それぞれの建物管理装置30は、建物14内に設けられているLAN等の通信網16に接続されており、建物14内に設けられている各設備機器15と通信網16を介して通信データの送受信が可能である。また、それぞれの建物管理装置30は、通信回線13を介して広域管理装置20から、制御指令に対応付けられたイベントプログラムを受信して保持する。それぞれの建物管理装置30は、例えば、BEMS(Building Energy and Environmental Management System)に用いられる機器で構成されてもよい。
【0030】
本実施形態において、イベントプログラムとは、建物14内に設けられている各設備機器15の動作を制御してそれぞれの設備機器15の消費電力を制御するためのプログラムである。それぞれの建物管理装置30は、通信回線13を介して広域管理装置20から制御指令の指令IDを受信した場合に、受信した指令IDに対応するイベントプログラムを実行することにより、制御指令に応じて建物14全体の消費電力を制御する。
【0031】
図3は、第1の実施形態における広域管理装置20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態における広域管理装置20は、制御指令受付部21、データベース22、登録情報受付部23、情報出力部24、送信部25、および受信部26を有する。データベース22には、指令テーブル220、管理テーブル221、プログラムテーブル222、対応表223、および電力情報テーブル224が格納される。
【0032】
指令テーブル220には、例えば図4(データベース22に格納される指令テーブル220のデータ構造の一例を示す図)に示すように、それぞれの制御指令を識別する指令ID2200に対応付けて、当該制御指令の内容2201を示す情報が格納される。
【0033】
ここで、「定常運転」とは、例えば予め定められた設定で通常の運転を行う旨の指示であり、「x%省電力化」とは、例えば管理下の全ての建物の消費電力の合計を、定格運転時の消費電力に対してx%とする旨の指示であり、「マニュアル操作優先運転」とは、例えば基本的に定常運転を行い、マニュアル操作があった場合にはその操作に応じた制御を優先する旨の指示である。
【0034】
管理テーブル221には、例えば図5(データベース22に格納される管理テーブル221のデータ構造の一例を示す図)に示すように、それぞれの建物管理装置30に対応する建物を識別する建物ID2210に対応付けて、当該建物管理装置30のアドレス情報2211、および、当該建物管理装置30に対して下位となる他の建物管理装置30の建物IDを示す下位ID2212が格納される。
【0035】
管理テーブル221を参照することにより、下位IDにデータが登録されている建物管理装置30が代表管理装置であることが分かると共に、それぞれの建物管理装置30について、下位や上位の他の建物管理装置30の建物IDやアドレス情報を知ることができる。
【0036】
プログラムテーブル222には、例えば図6(データベース22に格納されるプログラムテーブル222のデータ構造の一例を示す図)に示すように、それぞれのイベントプログラムを識別するプログラムID2220に対応付けて、イベントプログラム本体2221が格納される。
【0037】
対応表223には、例えば図7(データベース22に格納される対応表223のデータ構造の一例を示す図)に示すように、建物ID2230に対応付けて、建物別対応表2231が格納される。それぞれの建物別対応表2231には、それぞれの制御指令を識別する指令ID2232毎に、対応する建物14において、当該制御指令を実現するイベントプログラムのプログラムID2233が格納される。
【0038】
電力情報テーブル224には、例えば図8(データベース22に格納される電力情報テーブル224のデータ構造の一例を示す図)に示すように、建物ID2240に対応付けて、個別電力情報テーブル2241が格納される。それぞれの個別電力情報テーブル2241には、日付2242に対応付けて、それぞれの時間帯毎の消費電力2243が格納される。消費電力2243は、それぞれの時間帯において、建物ID2240に対応する建物14内の設備機器15の消費電力の合計を表わしている。
【0039】
制御指令受付部21は、操作端末11を介して管理者12から制御指令の閲覧を要求された場合に、指令IDおよび対応する制御指令の内容をデータベース22内の指令テーブル220から読み出して操作端末11の画面に表示させる。そして、操作端末11を介して管理者12から制御指令の選択を受け付けた場合、制御指令受付部21は、選択された制御指令の指令IDを送信部25へ送る。
【0040】
登録情報受付部23は、操作端末11を介して管理者12から指令テーブル220、管理テーブル221、プログラムテーブル222、または対応表223のデータを受け付けた場合に、受け付けたこれらのデータをデータベース22内に格納する。
【0041】
送信部25は、データベース22内に管理テーブル221が格納された場合に、格納された管理テーブル221を参照して、最上位の建物管理装置30のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先に、当該管理テーブル221のデータを通信回線13を介して送信する。
【0042】
また、プログラムテーブル222または対応表223がデータベース22内に格納された場合、あるいは、制御指令受付部21から指令IDを受け取った場合、送信部25は、データベース22内の管理テーブル221を参照して、最上位の建物管理装置30のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先に、当該プログラムテーブル222または対応表223のデータ、あるいは、指令IDを、通信回線13を介して送信する。送信されたこれらのデータは、各代表管理装置によって、下位の建物管理装置30へ順次転送され、最終的には全ての建物管理装置30がこれらのデータを受信することができる。
【0043】
受信部26は、通信回線13を介して最上位の建物管理装置30から建物IDと共に、日付および時間帯毎の消費電力の合計値を受信した場合に、受信した建物IDに対応する個別電力情報テーブル2241をデータベース22の電力情報テーブル224内で特定し、特定した個別電力情報テーブル2241内の該当する日付および時間帯の欄に、受信した消費電力の合計値を格納する。
【0044】
情報出力部24は、操作端末11を介して管理者12からデータベース22内のデータの閲覧を指示された場合に、指示されたデータをデータベース22から読み出して操作端末11に表示させる。データベース22内の情報が操作端末11に表示されることにより、管理者12は、制御指令を送信すべきか否か、どのような制御指令を送信すべきか等を判断するための情報や、制御指令を送信した後の各建物の消費電力の変化はどうなったか等の情報を取得することができる。
【0045】
ここで、制御指令と建物14毎に実行されるイベントプログラムの内容とを対応付けて説明すると、例えば図9(建物14毎の制御内容の一例を説明するための概念図)のようになる。
【0046】
図9に例示したように、例えば、建物IDが「B001」の「建物1」には、「10%省電力化」の制御指令「C001」に対して、「照明制御」については制御を行わず、「空調制御」については「設定温度を2℃変更」するという内容の制御を実行する「P001」のイベントプログラムが対応付けられている。なお、「空調制御」における「設定温度を2℃変更」とは、例えば、冷房中であれば設定温度を2℃上昇させ、暖房中であれば設定温度を2℃下降させるという制御を意味する。
【0047】
また、「建物1」には、「20%省電力化」の制御指令「C002」に対して、「照明制御」については「照明1」付近の「ブラインドを開く」、「空調制御」については「設定温度を4℃変更」するという内容の制御を実行する「P002」のイベントプログラムが対応付けられている。なお、「建物1」として昇降機が設けられていない建物を想定したため、昇降機の制御は行われない。
【0048】
また、建物IDが「B002」の「建物2」には、「20%省電力化」の制御指令「C002」に対して、「照明制御」については「照明1」および「照明2」のいずれも近傍の「ブラインドを開く」、「空調制御」については「設定温度を2℃変更」する、「昇降機制御」については「昇降機1」を「停止」させるという内容の制御を実行する「P102」のイベントプログラムが対応付けられている。
【0049】
このように、それぞれの建物について、異なる量の省電力化を指示する制御指令に対応付けて、当該省電力化を実現するための各設備機器15の個別の制御を実現するイベントプログラムが対応付けられている。これにより、広域管理装置20から1つの制御指令がそれぞれの建物管理装置30へ共通に送信されたとしても、各建物管理装置30では、当該建物14内に設けられている各設備機器15に固有の制御方法で消費電力を制御することができる。
【0050】
これにより、広域管理装置20は、省電力化が必要になる都度、建物14毎に異なる制御指令を作成して各建物14へ個別に送信しなくても、全体の省電力化を指示する1つの制御指令を対象となる全ての建物14へ共通に送信すれば、複数の建物14全体として所望の省電力化を実現することができる。
【0051】
図10は、第1の実施形態における建物管理装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態における建物管理装置30は、転送部31、受信部32、データベース33、イベントプログラム抽出部34、イベントプログラム実行部35、および電力情報収集部36を有する。データベース33には、管理テーブル330、建物別対応表331、個別プログラムテーブル332、および電力情報テーブル333が格納される。
【0052】
管理テーブル330には、図4で説明したデータが格納される。建物別対応表331には、図7で説明した対応表223の中で、自建物管理装置30に対応する建物の建物IDに対応付けられている建物別対応表2231内のデータが格納される。個別プログラムテーブル332には、図6で説明したプログラムテーブル222の中で、建物別対応表331に格納されているプログラムIDおよびそれに対応するイベントプログラム本体が格納される。
【0053】
電力情報テーブル333は、図8で説明した電力情報テーブル224と同様のデータ構造であり、自建物管理装置30に対応する建物14の電力情報が格納され、自建物管理装置30が代表管理装置であれば下位の建物管理装置30に対応する建物14の電力情報も格納される。
【0054】
受信部32は、広域管理装置20から管理テーブルを受信した場合に、受信した管理テーブルを転送部31へ送ると共に、受信した管理テーブルを管理テーブル330としてデータベース22に格納する。
【0055】
また、広域管理装置20から対応表を受信した場合、受信部32は、受信した対応表を転送部31へ送ると共に、受信した対応表の中で自建物管理装置30に対応する建物14の建物IDに対応付けられている建物別対応表を抽出し、抽出した建物別対応表を建物別対応表331としてデータベース22に格納する。
【0056】
また、広域管理装置20からプログラムテーブルを受信した場合、受信部32は、受信したプログラムテーブルを転送部31へ送ると共に、受信したプログラムテーブルの中で、データベース22内の建物別対応表331に登録されているプログラムIDに対応付けられているイベントプログラム本体を抽出し、抽出したイベントプログラム本体をプログラムIDに対応付けて、個別プログラムテーブル332としてデータベース22に格納する。
【0057】
また、広域管理装置20から指令IDを受信した場合、受信部32は、受信した指令IDを転送部31およびイベントプログラム抽出部34へ送る。また、下位の建物管理装置30から建物IDと共に対応する建物の消費電力を示す電力情報を受信した場合、受信部32は、受信した電力情報を、データベース22内の電力情報テーブル333において、当該建物IDに対応付けられている個別電力情報テーブル内に格納する。
【0058】
転送部31は、受信部32から管理テーブルを受け取った場合に、自建物管理装置30の下位として当該管理テーブルに登録されている他の建物管理装置30のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先へ、当該管理テーブルを転送する。
【0059】
また、受信部32から対応表、プログラムテーブル、または指令IDを受け取った場合、転送部31は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、自建物管理装置30の下位として登録されている他の建物管理装置30のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先へ、受け取ったこれらの情報を転送する。
【0060】
また、データベース33内の電力情報テーブル333に電力情報が登録された場合、転送部31は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、自建物管理装置30が下位として登録されている他の建物管理装置30(上位の代表管理装置)または広域管理装置20のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先へ、当該電力情報を、対応付けられている建物IDと共に転送する。
【0061】
イベントプログラム抽出部34は、受信部32から指令IDを受け取った場合に、データベース33内の建物別対応表331を参照して、受け取った指令IDに対応付けられているプログラムIDを特定する。そして、イベントプログラム抽出部34は、特定したプログラムIDに対応付けられているイベントプログラムを、データベース33内の個別プログラムテーブル332から抽出し、抽出したイベントプログラムをイベントプログラム実行部35へ送る。
【0062】
イベントプログラム実行部35は、イベントプログラム抽出部34から受け取ったイベントプログラムを実行することにより、通信網16を介して建物14内に設けられているそれぞれの設備機器15の動作を制御して、それぞれの設備機器15の消費電力を制御する。
【0063】
電力情報収集部36は、所定のタイミング毎に、建物14内の各設備機器15の消費電力の計測値を通信網16を介して収集する。そして、電力情報収集部36は、所定時間帯毎に全ての設備機器15の消費電力の計測値を合計し、データベース33の電力情報テーブル333内の該当する日付の該当する時間帯の欄に、消費電力の合計値を格納する。
【0064】
図11は、第1の実施形態における広域管理装置20の動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートでは、管理テーブル等のデータの送信に関する動作が示されている。なお、本フローチャートとは別に、広域管理装置20は、通信回線13を介して建物管理装置30から電力情報を随時受信してデータベース22内の電力情報テーブル224に格納し、操作端末11からの要求に応じて電力情報テーブル224内のデータを操作端末11へ出力する。
【0065】
まず、登録情報受付部23は、管理テーブルを受け付けたか否かを判定する(S100)。管理テーブルを受け付けた場合(S100:Yes)、登録情報受付部23は、受け付けた管理テーブルを管理テーブル221としてデータベース22内に格納する(S101)。次に、送信部25は、データベース22内の管理テーブル221を参照して、最上位の建物管理装置30のアドレス情報を特定する。そして、送信部25は、特定したアドレス情報で示される送信先へ管理テーブル221を送信し(S102)、登録情報受付部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0066】
管理テーブルを受け付けていない場合(S100:No)、登録情報受付部23は、プログラムテーブルまたは対応表を受け付けたか否かを判定する(S103)。プログラムテーブルまたは対応表を受け付けた場合(S103:Yes)、登録情報受付部23は、受け付けたプログラムテーブルまたは対応表を、プログラムテーブル222または対応表223としてデータベース22内に格納する(S104)。
【0067】
次に、送信部25は、データベース22内の管理テーブル221を参照して、最上位の建物管理装置30のアドレス情報を特定する。そして、送信部25は、特定したアドレス情報で示される送信先へプログラムテーブル222または対応表223を送信し(S105)、登録情報受付部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0068】
プログラムテーブルまたは対応表のいずれも受け付けていない場合(S103:No)、制御指令受付部21は、制御指令の選択を受け付けたか否かを判定する(S106)。制御指令の選択を受け付けた場合(S106:Yes)、制御指令受付部21は、データベース22内の指令テーブル220を参照して、選択された制御指令に対応する指令IDを特定し、特定した指令IDを送信部25へ送る。
【0069】
次に、送信部25は、データベース22内の管理テーブル221を参照して、最上位の建物管理装置30のアドレス情報を特定し、特定したアドレス情報で示される送信先へ、制御指令受付部21から受け取った指令IDを送信し(S107)、登録情報受付部23は、再びステップS100に示した処理を実行する。
【0070】
図12は、第1の実施形態における各建物管理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。本フローチャートでは、管理テーブル等のデータの受信および転送に関する動作が示されている。なお、本フローチャートとは別に、各建物管理装置30は、対応する建物の各設備機器や下位の建物管理装置30から電力情報を随時収集してデータベース33の電力情報テーブル333内に格納し、通信回線13を介して電力情報テーブル333内の電力情報を広域管理装置20または上位の代表管理装置へ送信する。
【0071】
まず、受信部32は、広域管理装置20または上位の代表管理装置から管理テーブルを受信したか否かを判定する(S200)。管理テーブルを受信した場合(S200:Yes)、受信部32は、受信した管理テーブルを転送部31へ送ると共に、受信した管理テーブルをデータベース22内に格納する(S201)。
【0072】
転送部31は、受信部32から受け取った管理テーブルを参照して、自建物管理装置30の下位として当該管理テーブルに登録されている他の建物管理装置30のアドレス情報を特定する。そして、転送部31は、特定したアドレス情報で示される送信先へ、受け取った管理テーブルを転送し(S202)、受信部32は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0073】
管理テーブルを受信していない場合(S200:No)、受信部32は、広域管理装置20または上位の代表管理装置からプログラムテーブルまたは対応表を受信したか否かを判定する(S203)。プログラムテーブルまたは対応表を受信した場合(S203:Yes)、受信部32は、受信したプログラムテーブルまたは対応表を転送部31へ送る。そして、受信部32は、受信したプログラムテーブルまたは対応表から個別プログラムテーブル332または建物別対応表331を作成してデータベース33内に格納する(S204)。
【0074】
転送部31は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、自建物管理装置30の下位として当該管理テーブルに登録されている他の建物管理装置30のアドレス情報を特定する。そして、転送部31は、特定したアドレス情報で示される送信先へ、受信部32から受け取ったプログラムテーブルまたは対応表を転送し(S205)、受信部32は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0075】
プログラムテーブルおよび対応表を受信していない場合(S203:No)、受信部32は、広域管理装置20または上位の代表管理装置から指令IDを受信したか否かを判定する(S206)。指令IDを受信していない場合(S206:No)、受信部32は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0076】
指令IDを受信した場合(S206:Yes)、受信部32は、受信した指令IDを転送部31およびイベントプログラム抽出部34へ送る。転送部31は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、自建物管理装置30の下位として当該管理テーブルに登録されている他の建物管理装置30のアドレス情報を特定する。そして、転送部31は、特定したアドレス情報で示される送信先へ、受信部32から受け取った指令IDを転送する(S207)。
【0077】
次に、イベントプログラム抽出部34は、受信部32から受け取った指令IDに基づいてデータベース33内の建物別対応表331を参照し、受け取った指令IDに対応付けられているプログラムIDを特定する。そして、イベントプログラム抽出部34は、データベース33内の個別プログラムテーブル332を参照して、特定したプログラムIDに対応付けられているイベントプログラムを抽出し、抽出したイベントプログラムをイベントプログラム実行部35へ送る(S208)。
【0078】
次に、イベントプログラム実行部35は、イベントプログラム抽出部34から受け取ったイベントプログラムを実行し(S209)、建物14内に設けられているそれぞれの設備機器15の動作を制御して、それぞれの設備機器15の消費電力を制御する。そして、受信部32は、再びステップS200に示した処理を実行する。
【0079】
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
【0080】
上記説明から明らかなように、本実施形態の広域管理システム10によれば、管理対象の建物14が多い場合であっても、個々の建物14の消費電力を制御する指令等を送信する際の通信トラフィックの増加を低く抑えることができる。
【0081】
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0082】
本実施形態におけるシステム構成図は、図1に示した第1の実施形態のシステム構成と同様である。また、本実施形態における広域管理装置20の機能構成も図3に示した第1の実施形態の機能構成を同様である。ただし、データベース22内の管理テーブル221のデータ構造が第1の実施形態における電力情報テーブル224とは若干異なる。
【0083】
図13は、第2の実施形態においてデータベース22に格納される管理テーブル221のデータ構造の一例を示す。図13に示すように、管理テーブル221には、建物ID2210、アドレス情報2211、および下位ID2212に加えて、建物ID2210に対応する建物14で定格運転時に消費される電力を示す定格電力2213のデータが格納される。
【0084】
図14は、第2の実施形態における建物管理装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。転送部31、受信部32、データベース33、イベントプログラム抽出部34、イベントプログラム実行部35、電力情報収集部36、および追加指令送信部37を有する。データベース33には、管理テーブル330、建物別対応表331、個別プログラムテーブル332、電力情報テーブル333、および指令テーブル334が格納される。なお、以下に説明する点を除き、図14において、図10と同じ符号を付した構成は、図10における構成と同一または同様の機能を有するためその詳細な説明を省略する。
【0085】
管理テーブル330には、図13で説明した管理テーブル221のデータが格納される。受信部32は、広域管理装置20から指令IDを受信した場合に、受信した指令IDを転送部31、イベントプログラム抽出部34、および追加指令送信部37へ送る。
【0086】
追加指令送信部37は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、下位に他の建物管理装置30が存在するか否かを判定することにより、自建物管理装置30が代表管理装置であるか否かを判定する。自建物管理装置30が代表管理装置である場合、追加指令送信部37は、さらにデータベース33内の管理テーブル330を参照して、下位に他の代表管理装置が存在するか否かを判定する。
【0087】
下位に他の代表管理装置が存在しない場合、追加指令送信部37は、受信部32から受け取った指令IDに対応するイベントプログラムがイベントプログラム実行部35によって実行された後、所定時間(例えば10分)が経過した場合、あるいは電力情報テーブル333を参照し所定の建物IDに対応する消費電力の値が更新された場合に、データベース33内の管理テーブル330および指令テーブル334を参照して、受信部32から受け取った指令IDに対応する制御指令によって達成すべき消費電力の値を、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30の建物14のそれぞれについて算出する。
【0088】
例えば、受信部32から受け取った指令IDに対応する制御指令が、定格運転から消費電力を20%削減する旨の指令であり、自建物管理装置30または下位の建物管理装置30に対応する建物14の定格運転時の消費電力が50kWである場合、追加指令送信部37は、制御指令によって達成すべき消費電力の値を、50kW×0.8=40kWと算出する。
【0089】
次に、追加指令送信部37は、データベース33内の電力情報テーブル333を参照して、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30のそれぞれに対応する建物14の現在の消費電力の値を抽出し、抽出した現在の消費電力の合計値を算出する。また、追加指令送信部37は、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30のそれぞれに対応する建物14が制御指令によって達成すべき消費電力の合計値を算出する。そして、追加指令送信部37は、算出した現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値未満か否かを判定する。
【0090】
現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値未満である場合、追加指令送信部37は、データベース33内の管理テーブル330を参照して、自建物管理装置30が下位として登録されている他の建物管理装置30(上位の代表管理装置)または広域管理装置20のアドレス情報を特定する。そして、追加指令送信部37は、特定したアドレス情報で示される送信先へ、達成を示す情報を含む結果通知を送信する。
【0091】
一方、現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値以上である場合、追加指令送信部37は、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14を検索する。現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14が存在しない場合、追加指令送信部37は、未達成を示す情報を含む結果通知を、上位の代表管理装置または広域管理装置20へ送信する。
【0092】
また、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14が1つ以上存在する場合、追加指令送信部37は、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14の中で、追加指令の送信先を1つ選択する。
【0093】
追加指令の送信先は、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14の中で、ランダムに選択してもよく、1つの建物14に追加指令が集中しないように、前回追加指令の受信回数の実績が少ない建物14を優先的に選択してもよく、定格運転時の消費電力が大きい建物14を優先的に選択するようにしてもよい。あるいは、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている全ての建物14を、追加指令の送信先として選択してもよい。
【0094】
次に、追加指令送信部37は、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30に対応する建物14について、現在の消費電力の合計値と、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値との差分を削減量の不足分として算出する。そして、追加指令送信部37は、算出した不足分に相当する消費電力を、制御指令によって達成すべき消費電力にさらに追加した追加指令を生成し、生成した追加指令に対応する指令IDを、選択した建物14の建物管理装置30へ送信する。
【0095】
例えば、定格運転時に対して一律に消費電力を20%削減する旨の最初の制御指令に対する制御の結果、定常運転時に対して21%の消費電力となった建物14が追加指令の送信先として選択された場合、その建物14の定格運転時の消費電力が40kWであり、不足分の消費電力が3.1kWであれば、追加指令送信部37は、当該建物管理装置30に対して不足分の電力を追加して、定格運転時に対して消費電力を30%削減する旨の制御指令を生成し、生成した制御指令に対応する指令IDを当該建物14の建物管理装置30へ送信する。
【0096】
また、下位に他の代表管理装置が存在する場合、追加指令送信部37は、下位の全ての代表管理装置から結果通知を受信するまで待機する。下位の全ての代表管理装置から結果通知を受信した場合、追加指令送信部37は、データベース33内の電力情報テーブル333を参照して、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30のそれぞれに対応する建物14の現在の消費電力の値を抽出し、抽出した現在の消費電力の合計値を算出する。そして、追加指令送信部37は、算出した現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値未満か否かを判定する。
【0097】
現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値未満である場合、追加指令送信部37は、上位の他の代表管理装置または広域管理装置20へ、達成を示す情報を含む結果通知を送信する。
【0098】
一方、現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値以上である場合、追加指令送信部37は、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14、または、達成を示す結果通知を送信した下位の代表管理装置を検索する。現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14も、達成を示す結果通知を送信した下位の代表管理装置も存在しない場合、追加指令送信部37は、未達成を示す情報を含む結果通知を、上位の代表管理装置または広域管理装置20へ送信する。
【0099】
また、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14、または、達成を示す結果通知を送信した下位の代表管理装置が1つ以上存在する場合、追加指令送信部37は、その中で、追加指令の送信先を1つ選択する。
【0100】
なお、下位の代表管理装置は、その更に下位の建物管理装置30に対して既に追加指令を送信している可能性があるため、下位の代表管理装置は、追加指令の送信先としては選択しないようにすることが好ましい。
【0101】
次に、追加指令送信部37は、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30(下位の代表管理装置およびその更に下位の建物管理装置30を含む)に対応する建物14について、現在の消費電力の合計値と、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値との差分を削減量の不足分として算出する。そして、追加指令送信部37は、算出した不足分に相当する消費電力を、制御指令によって達成すべき消費電力にさらに追加した追加指令を生成し、生成した追加指令に対応する指令IDを、選択した建物14の建物管理装置30へ送信する。
【0102】
次に、第2の実施形態における広域管理システム10全体の動作について図15を用いて説明する。図15は、第2の実施形態における広域管理システム10の動作の一例を示すシーケンス図である。なお、図15では、建物管理装置30aおよびbは代表管理装置として動作し、建物管理装置30b〜dのそれぞれに対応する建物14の定格運転時の消費電力は、それぞれ、50kW、50kW、および40kWであると仮定する。
【0103】
まず、広域管理装置20の送信部25または建物管理装置30aの転送部31は、指令IDを送信する(S300)。図15の例では、定格運転時に対して一律に消費電力を20%に削減する旨の制御指令の指令IDが送信される。建物管理装置30bの転送部31は、受信した指令IDを、下位の建物管理装置30cおよびdへそれぞれ転送する(S301、S302)。
【0104】
次に、各建物管理装置30b〜dにおいて、イベントプログラム実行部35は、受信した指令IDに対応するイベントプログラムを実行し(S303)、電力情報収集部36は、各建物14の電力情報を収集してデータベース33内の電力情報テーブル333に格納する(S304)。そして、建物管理装置30cおよびdの転送部31は、電力情報テーブル333内に格納された電力情報を代表管理装置である建物管理装置30bへ転送する(S305、S306)。
【0105】
ここで、イベントプトグラム実行後の建物管理装置30bに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−20%(80%)となり、建物管理装置30bに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−14%(86%)となり、建物管理装置30cに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−21%(79%)となったものと仮定する。
【0106】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、データベース33内の電力情報テーブル333を参照して、自建物管理装置30bならびに下位の建物管理装置30cおよびdのそれぞれに対応する建物14の現在の消費電力の値を抽出し、抽出した現在の消費電力の合計値を算出する(S307)。
【0107】
図15に示す例では、建物管理装置30b〜dのそれぞれに対応する建物14の定格運転時の消費電力が、それぞれ、50kW、50kW、および40kWであので、自建物管理装置30bに対応する建物14の現在の消費電力の値は、50kW×0.8=40kW、下位の建物管理装置30cに対応する建物14の現在の消費電力の値は、50kW×0.86=43kW、下位の建物管理装置30dに対応する建物14の現在の消費電力の値は、40kW×0.79=31.6kWとなる。よって、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、40kW+43kW+31.6kW=114.6kWを、現在の消費電力の合計値として算出する。
【0108】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、自建物管理装置30bならびに下位の建物管理装置30cおよびdのそれぞれに対応する建物14が制御指令によって達成すべき消費電力の合計値を算出する(S308)。図15に示す例では、建物管理装置30b〜dのそれぞれに対応する建物14の定格運転時の消費電力が、それぞれ、50kW、50kW、および40kWであので、定格運転時に対して一律に消費電力を20%に削減する旨の制御指令によって達成すべき消費電力の合計値は、50kW×0.8+50kW×0.8+40kW×0.8=112kWとなる。
【0109】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、算出した現在の消費電力の合計値が、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値未満か否かを判定する(S309)。図15の例では、現在の消費電力の合計値が114.6kWなので、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値である112kW以上であると判定する。
【0110】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14の中で、追加指令の送信先となる建物14を1つ選択する。図15の例では、現在の消費電力の値が、制御指令によって達成すべき消費電力の値未満となっている建物14は、建物管理装置30bとdのそれぞれに対応する建物14であるので、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、例えば建物管理装置30dに対応する建物14を、追加指令の送信先として選択する。
【0111】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、自建物管理装置30bならびに下位の建物管理装置30cおよびdに対応する建物14について、現在の消費電力の合計値と、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値との差分を削減量の不足分として算出する。図15の例では、現在の消費電力の合計値が114.6kWであり、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値が112kWであるので、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、114.6kW−112kW=2.6kWを、削減量の不足分として算出する。
【0112】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、算出した不足分に相当する消費電力を、制御指令によって達成すべき消費電力にさらに追加した追加指令を生成し、生成した追加指令に対応する指令IDを、選択した建物14に対応する建物管理装置30へ送信する。図15の例では、建物管理装置30dの定格運転時の消費電力が40kWなので、不足分に相当する削減量は、2.6kW÷40kW×100=6.5%となり、既に20%削減の制御指令を送信しているので、20%+6.5%=26.5%以上に削減する制御指令を送信すればよいことになる。
【0113】
建物管理装置30bの追加指令送信部37は、データベース33内の指令テーブル334を参照し、定格運転時に対して消費電力を26.5%以上削減する制御指令に最も近い制御指令として、30%削減の制御指令を特定する。そして、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、生成した制御指令に対応する指令IDを建物管理装置30dへ送信する(S310)。建物管理装置30dのイベントプログラム実行部35は、受信した指令IDに対応するイベントプログラムを実行する(S311)。
【0114】
次に、各建物管理装置30b〜dの電力情報収集部36は、各建物14の電力情報を収集してデータベース33内の電力情報テーブル333に格納する(S312)。そして、建物管理装置30cおよびdの転送部31は、電力情報テーブル333内に格納された電力情報を代表管理装置である建物管理装置30aへ転送する(S313、S314)。
【0115】
ここで、ステップS312において測定された建物管理装置30bに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−20%(80%)となり、建物管理装置30cに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−14%(86%)となり、建物管理装置30dに対応する建物14の消費電力は、定格運転時に対して−28%(72%)となったものと仮定する。
【0116】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、再びデータベース33内の電力情報テーブル333を参照して、自建物管理装置30bならびに下位の建物管理装置30cおよびdのそれぞれに対応する建物14の現在の消費電力の値を抽出し、抽出した現在の消費電力の合計値を算出する(S315)。
【0117】
ステップS312の時点では、自建物管理装置30bに対応する建物14の現在の消費電力の値は、50kW×0.8=40kW、下位の建物管理装置30cに対応する建物14の現在の消費電力の値は、50kW×0.86=43kW、下位の建物管理装置30dに対応する建物14の現在の消費電力の値は、40kW×0.72=28.8kWとなる。よって、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、ステップS312の時点での消費電力の合計は、40kW+43kW+28.8kW=111.8kWを、現在の消費電力の合計値として算出する。
【0118】
次に、建物管理装置30bの追加指令送信部37は、算出した現在の消費電力の合計値が111.8kWなので、制御指令によって達成すべき消費電力の合計値である112kW未満であると判定し(S316)、達成を示す情報を含む結果通知を広域管理装置20または上位の代表管理装置へ送信する(S317)。
【0119】
このように、各代表管理装置が、自建物管理装置30および下位の建物管理装置30の中で、広域管理装置20または上位の代表管理装置から送信された指令IDに対応する制御指令を実現するように、追加指令を作成して送信するため、一部の建物管理装置30に対応する建物14の消費電力が、制御指令通りに削減されなかったとしても、管理者12が広域管理装置20を介して制御指令を選択し直す手間を省くことができる。そのため、より利便性の高い広域管理システム10を提供することができる。また、各代表管理装置は、まず現在の消費電力の合計値を算出し、次に達成すべき消費電力の合計値を算出し、次に達成できていないときに追加の指令を建物管理装置に送信することで、各代表管理装置の配下に接続された建物の消費電力を適正に低減することができる。
【0120】
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
【0121】
なお、上記第1または第2の実施形態における広域管理装置20または各建物管理装置30は、例えば図16に示すような構成のコンピュータ40によって実現される。
【0122】
図16は、広域管理装置20または各建物管理装置30の機能を実現するコンピュータ40のハードウェア構成の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ40は、CPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、通信インターフェイス(I/F)45、入出力インターフェイス(I/F)46、およびメディアインターフェイス(I/F)47を備える。
【0123】
CPU41は、ROM43またはHDD44に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM43は、コンピュータ40の起動時にCPU41によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ40のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0124】
HDD44は、CPU41によって実行されるプログラムおよび当該プログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス45は、通信回線13を介して他の機器からデータを受信してCPU41へ送ると共に、CPU41が生成したデータを、通信回線13を介して他の機器へ送信する。
【0125】
CPU41は、入出力インターフェイス46を介して、ディスプレイ等の出力装置、および、マウスやキーボード等の入力装置を制御する。CPU41は、入出力インターフェイス46を介して、入力装置から信号を取得する。また、CPU41は、生成した信号を、入出力インターフェイス46を介して出力装置へ出力する。
【0126】
メディアインターフェイス47は、記録媒体48に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM42を介してCPU41に提供する。CPU41は、当該プログラムを、メディアインターフェイス47を介して記録媒体48からRAM42上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体48は、例えばDVD(Digital Versatile Disk)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0127】
コンピュータ40が第1または第2の実施形態における広域管理装置20として機能する場合、コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、制御指令受付部21、データベース22、登録情報受付部23、情報出力部24、送信部25、および受信部26の各機能を実現する。また、データベース22内のデータは、ROM43やHDD44内に格納されてもよく、ネットワーク上のデータベースに格納されてもよい。
【0128】
また、コンピュータ40が第1の実施形態における建物管理装置30として機能する場合、コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、転送部31、受信部32、データベース33、イベントプログラム抽出部34、イベントプログラム実行部35、および電力情報収集部36の各機能を実現する。また、データベース33内のデータは、ROM43やHDD44内に格納されてもよく、ネットワーク上のデータベースに格納されてもよい。
【0129】
また、コンピュータ40が第2の実施形態における建物管理装置30として機能する場合、コンピュータ40のCPU41は、RAM42上にロードされたプログラムを実行することにより、転送部31、受信部32、データベース33、イベントプログラム抽出部34、イベントプログラム実行部35、電力情報収集部36、および追加指令送信部37の各機能を実現する。また、データベース33内のデータは、ROM43やHDD44内に格納されてもよく、ネットワーク上のデータベースに格納されてもよい。
【0130】
コンピュータ40のCPU41は、これらのプログラムを、記録媒体48から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信回線13を介してこれらのプログラムを取得してもよい。なお、広域管理装置20や建物管理装置30には、HDD44を設けずに、プログラムやデータ等は書き換え可能なROM43内に格納するようにしてもよい。
【0131】
また、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0132】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現されてもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0133】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0134】
10:広域管理システム、11:操作端末、12:管理者、13:通信回線、14:建物、15:設備機器、16:通信網、17:コミュニティ連携装置、18:通信回線、20:広域管理装置、21:制御指令受付部、22:データベース、220:指令テーブル、221:管理テーブル、222:プログラムテーブル、223:対応表、224:電力情報テーブル、23:登録情報受付部、24:情報出力部、25:送信部、26:受信部、30:建物管理装置、31:転送部、32:受信部、33:データベース、330:管理テーブル、331:建物別対応表、332:個別プログラムテーブル、333:電力情報テーブル、334:指令テーブル、34:イベントプログラム抽出部、35:イベントプログラム実行部、36:電力情報収集部、37:追加指令送信部、40:コンピュータ、41:CPU、42:RAM、43:ROM、44:HDD、45:通信インターフェイス、46:入出力インターフェイス、47:メディアインターフェイス、48:記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16