特許第6285719号(P6285719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285719制御展開可能な医療デバイス及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285719
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】制御展開可能な医療デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20180215BHJP
   A61F 2/95 20130101ALI20180215BHJP
【FI】
   A61F2/07
   A61F2/95
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-621(P2014-621)
(22)【出願日】2014年1月6日
(62)【分割の表示】特願2011-512472(P2011-512472)の分割
【原出願日】2009年6月4日
(65)【公開番号】特開2014-111146(P2014-111146A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年2月5日
【審判番号】不服2016-4759(P2016-4759/J1)
【審判請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】61/058,776
(32)【優先日】2008年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ズコウスキー,スタニスラウ エル.
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6945990(US,B2)
【文献】 国際公開第98/53761(WO,A1)
【文献】 特表2007−514498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/95 - 2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位末端部分及び遠位末端部分を有するカテーテル、
前記カテーテルの前記近位末端部分に配置された、内面及び外面を有するステント部材、
前記ステント部材を被覆し、前記ステント部材を、腔内輸送に適した第一の直径に維持することができる一つの第一のシース材料(850)、および
前記ステント部材を被覆し、前記ステント部材を、前記第一の直径より大きく、かつ完全に膨張させたときの展開済み直径より小さい第二の直径に維持することができる一つの第二のシース材料(852)、
を含む医療装置であって、
前記ステント部材が、幹及びレッグ部分を含み、
前記第一のシース材料が、前記幹部分を被覆し、
該医療装置が、前記レッグ部分の少なくとも一部を被覆する第三のシース材料を含み、前記第三のシース材料が、前記ステント部材の前記レッグ部分を前記第一の直径に維持することができる、医療装置
【請求項2】
前記第一のシース材料が、前記ステント部材及び前記第二のシース材料の両方の外側に延びる、請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第二のシース材料が、前記ステント部材及び前記第一のシース材料の間に配置されており、前記第一のシース材料の開放により、前記ステント部材が前記第二の直径に膨張可能であるとともに、前記第二のシース材料によって前記第二の直径に維持可能である、請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記第二のシース材料が、前記幹部分を被覆する、請求項に記載の医療装置。
【請求項5】
前記第二のシース材料が、前記ステント部材及び前記第一のシース材料の間に配置されており、前記第一のシース材料の開放により、前記幹部分が前記第二の直径に膨張可能であるとともに、前記第二の直径に維持可能である、請求項に記載の医療装置。
【請求項6】
前記ステント部材が、血管に係合するためのアンカーを前記ステント部材の遠位末端に沿って含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
前記アンカーが、前記第一のシース材料の開放の後に前記第二のシース材料によって拘束され、完全な展開の前に前記ステント部材の最終操作及び配置を可能とする、請求項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記第二のシース材料が、ePTFEフィルムで形成されている、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第一のシース材料が、ePTFEフィルムで形成されている、請求項に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2008年6月4日に出願した米国仮出願第61/058,776号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、身体通路内に保留されるデバイスに関し、1つの特定の用途において、動脈拡張症、たとえば、動脈瘤を修復するのに使用される脈管デバイスに関する。より詳細には、本発明は、展開の際に調節でき、そのため、デバイスの最終配置の前にデバイスを長手方向又は半径方向の少なくともいずれかの方向で再配置することができるデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の議論
本発明は、一般に、腹部大動脈中の二股ステントグラフトの展開に関して議論されるが、それに限定されず、他の身体管腔中のデバイス展開に応用できる。ステントグラフトを腔内法又は血管内法により輸送する際に、脈管構造内におけるデバイスの正確な位置を知ることは重要である。この正確な位置を制御することは、分岐血管に近接して又は大動脈壁の弱くなった部分に隣接してデバイスを展開しようとする際には特に重要である。大動脈瘤を修復するために使用される典型的なステントグラフトはステントグラフトの長手方向の移動を制限することを目的とする近位(心臓に最も近いステントグラフトの部位)係留装置を含む。しばしば、この係留装置は分岐血管の閉塞を避け又は大動脈壁の不全及び損傷部位内の配置をさけるために、正確に配置されなければならない。
【0004】
このようなステントグラフトのための改良された輸送装置はステントグラフト及び係留装置の正確な長手方向及び回転方向の配置を可能にするための手段を含むであろう。ステントグラフト及び係留装置の正確な位置はデバイスの完全な展開の前に調節されそして視覚化されるであろう。理想的には、輸送装置は、もし事前展開位置が望ましくなければデバイスの再配置を可能にするであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の要旨
本発明は、関連技術の制約及び欠点による問題点の1つ以上を実質的に取り除く制御展開可能な医療デバイス及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の実施形態は、近位末端部分及び遠位末端部分を有するカテーテル、そのカテーテルの近位末端部分に配置されたステント部材を含み、そのステント部材は内面及び外面を有する、装置を提供する。グラフト部材はステント部材の少なくとも一部の周囲に配置されうる。さらに、チューブはカテーテルの近位末端部分から遠位末端部分に延在している。第一及び第二の末端を有する第一の移動可能な要素はステント部材と連絡されており、ここで、第一の移動可能な要素の第一及び第二の末端はチューブの遠位末端部分を超えて延びることができ、そして第一の移動可能な要素はステント部材の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。
【0007】
別の実施形態において、本発明は近位末端部分及び遠位末端部分を有するカテーテル、そのカテーテルの近位末端部分に配置されたステント部材を含み、そのステント部材は内面及び外面を有する、装置を提供する。グラフト部材はステント部材の少なくとも一部の周囲に配置されうる。さらに、連続ルーメンを有するチューブはカテーテルの近位末端部分から遠位末端部分に延在している。開放ピンはチューブルーメン内に含まれ、そしてカテーテルの近位末端部分からカテーテルの遠位末端部分に延在している。
【0008】
別の実施形態において、本発明は近位末端部分及び遠位末端部分を有するカテーテルを含む装置を提供する。ステント部材はカテーテルの近位末端部分に配置されており、そのステント部材は内面及び外面を有する。グラフト部材はステント部材の少なくとも一部の周囲に配置されうる。第一のシース材料はステント部材の少なくとも一部を被覆している。第一のシース材料はステント部材を第一の寸法で保持することができる。第二のシース材料はステント部材の少なくとも一部を被覆している。第二のシース材料はステント部材を第二の寸法で保持することができ、ここで、第二の寸法は第一の寸法よりも大きい。
添付の図面は本発明のさらなる理解を提供しそして本発明の特定の態様を例示するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図1B図1Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図1C図1Cは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図1D図1Dは本発明の第二の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図2A図2Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図2B図2Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図2C図2Cは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図2D図2Dは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図3A図3Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図3B図3Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図3C図3Cは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図4A図4Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図4B図4Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図5A図5Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図5B図5Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図6A図6Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図6B図6Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図7A図7Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図7B図7Bは本発明の実施形態に係る医療装置の拡大簡易図である。
図8A図8Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図8B図8Bは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図8C図8Cは本発明の実施形態に係る医療装置である。
図9A図9Aは本発明の実施形態に係る装置である。
図9B図9Bは線A−A’に沿った図9の断面図である。
図10A図10A図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10B図10B図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10C図10C図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10D図10D図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10E図10E図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10F図10F図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10G図10G図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
図10H図10H図2A−2Bに係る装置の展開手順を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本発明は、一般に、身体通路内に保留されうるデバイスを含む新規の医療装置に関し、1つの特定の用途において、脈管デバイスに関する。より詳細には、本発明は、展開の際に調節でき、そのため、デバイスを長手方向又は半径方向の少なくともいずれかの方向で再配置することができるデバイスに関する。
【0011】
本発明の実施形態において、医療装置は近位末端部分及び遠位末端部分を有するカテーテルアセンブリーを含む。カテーテルアセンブリーの遠位末端部分には場合によりハブが配置されてよい。カテーテルの近位末端部分にステントが配置されている。ステントは内面及び外面を有する。ステントは任意の適切な形態であることができる。1つの実施形態において、ステントは複数のターンの波形要素から構成される。グラフト部材はステントの少なくとも一部の周囲に配置されうる。ステントは自己膨張型、バルーン膨張型又は自己膨張型とバルーン膨張型の組み合わせであってよい。
【0012】
チューブはカテーテルの近位末端部分から遠位末端部分に延在している。第一及び第二の末端を有する第一の移動可能な要素はステント部材の外面の周囲に配置されている。第一の移動可能な要素の第一及び第二の末端はチューブの遠位末端部分を超えて延びることができ、そして第一の移動可能な要素はステントの少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。
【0013】
場合により、第二の移動可能な要素は第一の移動可能な要素と連絡されていてよく、ここで、第二の移動可能な要素はステントの外面の周囲に配置され、そして第一の移動可能な要素は第二の移動可能な要素の上にループを形成している。シース材料はステントの少なくとも一部を被覆していてよく、シース材料はステントを第一の直径に維持することができる。フィラメントはステントを包囲してよく、そしてピンはチューブから延びていてよく、そしてステントを包囲しているフィラメントを、第一の直径より大きい第二の直径に維持することができる。チューブから延びているピンはステントを包囲しているフィラメントを、第二の直径より大きい第三の直径に開放することができる。
【0014】
幾つかの実施形態において、ステントは患者の人体の部分の内部に医療装置を少なくとも固定するために使用されうる。ステントは可とう性かつ強い材料から製造されうる。ステントは、たとえば、分解性で生体吸収性(bioabsorable)である材料、生体消費性(biodigestible)材料、ポリマー材料、金属材料及びそれらの組み合わせから形成されうる。さらに、これらの材料は、たとえば、ポリマー材料などの他の材料で補強され及び/又はコーティングされていてよい。コーティングは、ePTFEなどの熱可塑性樹脂コーティングなど、消化管の酸性又は塩基性効果を低減させるように選択されてよい。
【0015】
ステントは任意の適切な方法及び材料を用いて製造されうる。たとえば、ステントはMartinらに付与された米国特許第6,042,605号明細書、Martinらに付与された米国特許第6,361,637号明細書及びMartinらに付与された米国特許第6,520,986号明細書に一般に開示されている教示にしたがって製造されうる。たとえば、ステントは当該技術分野において知られているとおりの種々の形態を有することができ、そして、たとえば、カットチューブ、巻ワイヤー(又はリボン)、フラットパターン化シートをチューブ形態にロールしたもの、それらの組み合わせなどから製造されうる。ステントは金属材料、ポリマー材料又は天然材料から形成することができ、そして従来の医療グレードの材料、たとえば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、エラストマーオルガノシリコーンポリマー、金属、たとえば、ステンレススチール、コバルト−クロム合金及びニチノール、及び、生体由来材料、たとえば、牛の動脈及び静脈、心膜及びコラーゲンを含むことができる。ステントは、また、生体吸収性(bioresorbable)材料、たとえば、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸/グリコール酸)ポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(オルトエステル)を含むことができる。
【0016】
ステントは、当該技術分野において知られているとおり、一定及び/又は変更された厚さを有する様々な異なる幾何形態に加工されうる。その幾何形態としては、多くの従来のステント形態、たとえば、螺旋巻きステント、Z−形状ステント、テーパー型ステント、コイルステント、それらの組み合わせなどが挙げられる。ステントは様々なパターン、たとえば、螺旋パターン、リングパターン、それらの組み合わせなどに加工されうる。
【0017】
グラフトは当該技術分野において知られているとおりの様々な形態を有することができ、そしてたとえば、チューブ、シートもしくはフィルムをチューブ形状に加工したもの、織物もしくは編物繊維もしくはリボン、又は、それらの組み合わせから製造されうる。グラフト材料としては、たとえば、従来の医療グレードの材料、たとえば、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルクロリド、ポリウレタン及びエラストマーオルガノシリコーンポリマーを挙げることができる。
【0018】
ステントは単独で用いられても又はグラフト材料との組み合わせで用いられてもよい。ステントはグラフトの外面又は内面上に構成されてよく、又は、グラフトの内部壁構造中に取り込まれてもよい。ステント又はステントグラフトは当該技術分野において知られている種々のカテーテルをベースとする手順により腔内を輸送されうる。たとえば、自己膨張型腔内デバイスは外部シースによって圧縮されそして拘束された状態に維持されることができる。シースは折り畳まれて、圧縮されたデバイスの外部にチューブが配置されたものを形成する。シース縁は展開コードと一緒に縫われて、「チェーンスティッチ」を形成することができる。拘束されたデバイスを開放しそして展開するために、展開コードの1つの末端を引っ張ってチェーンスティッチを破壊することができ、それにより、シース縁を分離させそして拘束されたデバイスを開放することができる。拘束しているシース及び展開コードの縫い合わせは幾つかの様式で自己膨張型デバイスを開放するように構成されうる。たとえば、拘束性シースは近位デバイス末端から始めて遠位デバイス末端で停止するようにデバイスを開放することができる。他の実施形態において、デバイスは遠位末端から開始して開放されうる。自己膨張型デバイスは、また、シースが破壊するときにデバイスの遠位末端及び近位末端に向けてデバイスの中心から開放されうる。
【0019】
拘束シース材料、シース製造方法及びステントグラフト圧縮技術に関する詳細は、たとえば、Leopoldらに付与された米国特許第6,352,561号明細書及びThorntonらに付与された米国特許第6,551,350号明細書に見ることができる。
【0020】
カテーテル及びハブアセンブリーは従来の医療グレード材料、たとえば、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリエーテルブロックアミド又は熱可塑性コポリエーテル、ポリビニルクロリド、ポリウレタン、エラストマーオルガノシリコーンポリマー、金属、たとえば、ステンレススチール及びニチノールを含むことができる。
【0021】
図面に戻り、図1Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図1B図1Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0022】
図1A及び1Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号100Aとして記載されている。医療装置100Aはカテーテルアセンブリー102、カテーテルアセンブリー102の近位末端部分に配置されたステント104を含む。ステント104は内面及び外面を有し、そしてこの実施形態では、複数のターンの波形要素105から構成されている。波形要素105は、たとえば、リングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0023】
ステント104は近位末端部分106及び遠位末端部分108を有する。遠位末端部分108は第一のレッグ110及び第二のレッグ112を有するブランチへと加工されている。
【0024】
グラフト部材114はステント104の周囲に配置されている。
【0025】
ステント104及びグラフト部材114は第一のシース116及び第二のシース118により密の輸送状態に拘束されている。図1Aに示すとおり、第一のシース116は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント104の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース118は図示されるとおり、第二のレッグ112をカテーテルアセンブリー102に結合している。
【0026】
チューブ120はカテーテルアセンブリー102の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。図面において、チューブ120はステント104及びグラフト114の外面に隣接して配置されている。チューブ120はカテーテルアセンブリー102に取り付けられており、ステント104又はグラフト114には取り付けられていない。第一の末端124及び第二の末端126を有する移動可能な要素122(たとえば、繊維コード、ストリング、ワイヤーなど)はステント104及びグラフト部材114を包囲している。移動可能な要素122の第一の末端124及び第二の末端126はチューブ120の遠位末端部分から外に延びている。たとえば、移動可能な要素122は遠位末端から近位末端にチューブを通して通され、そしてグラフト部材114及びステント104の近位末端部分106の周囲にループを形成している。図1Bに示すとおり、第一の末端124及び第二の末端126を遠位方向に引っ張ることにより、移動可能な要素122は、矢印128により示すとおり、ステント104の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。
【0027】
図1Cは本発明の実施形態に係る医療装置である。図1D図1Cに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0028】
図1C及び1Dを参照すると、医療装置は一般に参照番号100Bとして記載されている。図1C及び1Dの医療装置は図1A及び1Bに示す医療装置と類似している。医療装置はカテーテルアセンブリー102、カテーテルアセンブリー102の近位末端部分に配置されたステント104を含む。ステント104は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素105から構成されている。波形要素105は、たとえば、リングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0029】
ステント104は近位末端部分106及び遠位末端部分108を有する。遠位末端部分108は第一のレッグ110及び第二のレッグ112を有するブランチへと加工されている。
【0030】
グラフト部材114はステント104の周囲に配置されている。
【0031】
ステント104及びグラフト部材114は第一のシース116及び第二のシース118により密の輸送状態に拘束されている。図1Cに示すとおり、第一のシース116は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント104の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース118は図示されるとおり、第二のレッグ112をカテーテルアセンブリー102に結合している。
【0032】
チューブ120はカテーテルアセンブリー102の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。チューブ120はステント104及びグラフト114の外面に隣接して配置されている。チューブ120はカテーテルアセンブリー102に取り付けられており、ステント104又はグラフト114には取り付けられていない。第一の末端124及び第二の末端126を有する移動可能な要素122Aはステント104及びグラフト部材114を包囲している。移動可能な要素122Aの第一の末端124及び第二の末端126はチューブ120の遠位末端から外に延びている。たとえば、移動可能な要素122Aは遠位末端から近位末端にチューブを通して通され、そしてグラフト部材114及びステント104の近位末端部分106の周囲にループを形成している。
【0033】
さらに、第一の末端132及び第二の末端134を有する追加の移動可能な要素122Bはステント104及びグラフト部材114を包囲している。追加の移動可能な要素122Bの第一の末端132及び第二の末端134はチューブ120の遠位末端から外に延びている。追加の移動可能な要素122Bは遠位末端から中間開口部136までチューブ120中を通して通され、そしてステント104の中間部分及びグラフト部材114の周囲にループを形成している。図1Dに示すとおり、移動可能な要素の末端を遠位方向に引っ張ることにより、移動可能な要素122A及び追加の移動可能な要素122Bは、矢印128により示すとおり、ステント104の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。複数の移動可能な要素が提供されうることが理解されるべきである。
【0034】
図2Aは本発明の実施形態に係る医療装置であり、部分的に展開された状態で示されている。図2B図2Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0035】
図2A及び2Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号200Aとして記載されている。医療装置200Aはカテーテルアセンブリー202、カテーテルアセンブリー202の近位末端部分に配置されたステント204を含む。ステント204は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素205から構成されている。波形要素205は、たとえば、リングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0036】
ステント204は近位末端部分206及び遠位末端部分208を有する。遠位末端部分208は第一のレッグ210及び第二のレッグ212を有するブランチへと加工されている。
【0037】
グラフト部材214はステント204の周囲に配置されている。
【0038】
ステント204及びグラフト部材214は第一のシース216及び第二のシース218により密の輸送状態に拘束されている。図2Aに示すとおり、第一のシース216は開放されており、それにより、ステントの少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース218は図示されるとおり、第二のレッグ212をカテーテルアセンブリー202に結合している。
【0039】
チューブ220はカテーテルアセンブリー202の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。この実施形態では、チューブ220はステント204及びグラフト214の外面に隣接して配置されている。この実施形態では、チューブ220はカテーテルアセンブリー202に取り付けられており、ステント204又はグラフト214には取り付けられていない。
【0040】
第二の移動可能な要素236は第一の移動可能な要素222と連絡されている。第二の移動可能な要素236はステント204を包囲しており、そして第一の移動可能な要素222は第二の移動可能な要素236を通してループを形成している。
【0041】
第一の移動可能な要素222の第一の末端224及び第二の末端226はチューブ220の遠位末端部分から外に延びている。たとえば、第一の移動可能な要素222は遠位末端から近位末端にチューブを通して通され、そして第二の移動可能な要素236を通してループを形成している。
【0042】
図2Bに示すとおり、第一の移動可能な要素の2つの末端224及び226を遠位方向に引っ張るときに、移動可能な要素222は第二の移動可能な要素236を引っ張り、それにより、矢印228により示すとおり、ステント204の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。
【0043】
図2Cは本発明の実施形態に係る医療装置である。図2D図2Cに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0044】
図2C及び2Dを参照すると、医療装置は一般に参照番号200Bとして記載されている。図2C及び2Dの医療装置は図2A及び2Bに示しているとおりの医療装置と類似している。
【0045】
図2C及び2Dに示すように、第二の移動可能な要素236Aは第一の移動可能な要素222Aと連絡されている。第二の移動可能な要素236Aはステント204を包囲しており、そして第一の移動可能な要素222Aは第二の移動可能な要素236Aを通してループを形成している。
【0046】
追加の第二の移動可能な要素236Bとともに、追加の第一の移動可能な要素222Bが医療装置200Bに含まれている。
【0047】
図2Dに示すとおり、第一の移動可能な要素222Aの2つの末端224及び226に張力を加えるときに、第一の移動可能な要素222Aは第二の移動可能な要素236Aを引っ張り、それにより、矢印228により示すとおり、ステント204の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。同様に、追加の第一の移動可能な要素222Bの2つの末端232及び234に張力を加えるときに、追加の第一の移動可能な要素222Bは追加の第二の移動可能な要素236Bを引っ張り、それにより、矢印228により示すとおり、ステント204の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。
【0048】
図3Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図3B図3Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0049】
図3A及び3Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号300Aとして記載されている。医療装置300Aはカテーテルアセンブリー302、カテーテルアセンブリー302の近位末端部分に配置されたステント304を含む。ステント304は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素305から構成されている。波形要素305はリングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0050】
ステント304は近位末端部分306及び遠位末端部分308を有する。遠位末端部分308は第一のレッグ310及び第二のレッグ312を有するブランチへと加工されている。
【0051】
グラフト314はステント304の周囲に配置されている。
【0052】
1つの好ましい実施形態において、ステント304及びグラフト314は第一のシース316及び第二のシース318により密の輸送状態に拘束されている。図3Aに示すとおり、第一のシース316は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント304の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース318は図示されるとおり、第二のレッグ312をカテーテルアセンブリー302に結合している。
【0053】
チューブ320はカテーテルアセンブリー302の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。チューブ320はステント304の内部にあり、そしてステント304によって包囲されている。チューブ320はカテーテルアセンブリー302に取り付けられており、ステント304又はグラフト314には取り付けられていない。第一の末端324及び第二の末端326を有する移動可能な要素322はステント304及びグラフト314を包囲している。移動可能な要素322の第一の末端324及び第二の末端326はチューブ320の遠位末端部分から外に延びている。移動可能な要素322は遠位末端から近位末端にチューブを通して通され、そしてグラフト314及びステント304の近位末端部分306の周囲にループを形成している。移動可能な要素によりステントを「包囲すること」に関するさらなる実施形態として、図3Bに示すとおり、グラフト314を通し又はステント304を通して移動可能な要素322を通すことが挙げられる。図3Bに示すとおり、移動可能な要素322は、移動可能な要素の末端324及び326に張力を加えるときに、矢印328により示すとおり、ステント304の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。追加の移動可能な要素も図1D及び2Dにおいて記載した形態と同様にして追加されうる。
【0054】
図3Cは本発明の実施形態に係る医療装置の一部の拡大簡易図である。図3Cに示すとおり、第二の移動可能な要素336は第一の移動可能な要素322と連絡されている。第二の移動可能な要素336はステント部材304を包囲しており、そして第一の移動可能な要素322は第二の移動可能な要素336を通してループを形成している。第二の移動可能な要素336はまた、図3Cに示すとおり、グラフト314を通されていても又はステント304を通されていてもよい。
【0055】
第一の移動可能な要素322の第一の末端324及び第二の末端326はチューブ320の遠位末端部分から外に延びている。たとえば、第一の移動可能な要素322は遠位末端から近位末端にチューブを通して通され、そして第二の移動可能な要素336を通してループを形成している。
【0056】
図3Cに示すとおり、第一の移動可能な要素322の2つの末端324及び326に張力を加えるときに、第一の移動可能な要素322は第二の移動可能な要素336を引っ張り、それにより、矢印328により示すとおり、ステント304の少なくとも一部を半径方向に圧縮することができる。追加の移動可能な要素も図1D及び2Dにおいて記載した形態と同様にして追加されうる。
【0057】
図4Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図4B図4Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0058】
図4A及び4Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号400として記載されている。医療装置400はカテーテルアセンブリー402、及び、カテーテルアセンブリー402の近位末端部分に配置されたステント404を含む。ステント404は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素405から構成されている。波形要素405はリングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0059】
ステント404は近位末端部分406及び遠位末端部分408を有する。遠位末端部分408は第一のレッグ410及び第二のレッグ412を有するブランチへと加工されている。
【0060】
グラフト414はステント404の周囲に配置されている。
【0061】
ステント404及びグラフト414は第一のシース416及び第二のシース418により密の輸送状態に拘束されている。図4Aに示すとおり、第一のシース416は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント404の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース418は図示されるとおり、第二のレッグ412をカテーテルアセンブリー402に結合している。
【0062】
チューブ420はカテーテルアセンブリー402の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。チューブ420はステント404及びグラフト414の外面に隣接して配置されている。チューブ420はカテーテルアセンブリー402に取り付けられており、ステント404又はグラフト414には取り付けられていない。第二の移動可能な要素436は第一の移動可能な要素422と連絡されている。第二の移動可能な要素436はステント404を包囲している。第二の移動可能な要素436は第一の移動可能な要素422を通してループが形成されている。開放ピン450は第二の移動可能な要素436を通して通されており、それにより、第二の移動可能な要素436を第一の移動可能な要素422に開放可能に結合している。
【0063】
第一の移動可能な要素422の第一の末端424及び第二の末端426は開放ピン450の遠位末端とともにチューブ420の遠位末端部分から外に延びている。
【0064】
図4Bに示すとおり、第一の移動可能な要素422の2つの末端424及び426に張力を加えるときに、第一の移動可能な要素422は第二の移動可能な要素436を引っ張り、たとえば、図2Bにおいて既に示したとおり、ステントの少なくとも一部を半径方向に圧縮する。
【0065】
開放ピン450は方向矢印452に示されるとおり、遠位方向に移動でき、それにより、第二の移動可能な要素436を第一の移動可能な要素422から開放する。
【0066】
図5Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図5B図5Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0067】
図5A及び5Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号500として記載されている。医療装置500はカテーテルアセンブリー502、及び、カテーテルアセンブリー502の近位末端部分に配置されたステント504を含む。ステント504は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素505から構成されている。波形要素505はリングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0068】
ステント504は近位末端部分506及び遠位末端部分508を有する。遠位末端部分508は第一のレッグ510及び第二のレッグ512を有するブランチへと加工されている。
【0069】
グラフト514はステント504の周囲に配置されている。
【0070】
好ましい実施形態において、ステント504及びグラフト514は第一のシース516及び第二のシース518により密の輸送状態に拘束されている。図5Aに示すとおり、第一のシース516は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント504の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース518は図示されるとおり、第二のレッグ512をカテーテルアセンブリー502に結合している。
【0071】
チューブ520はカテーテルアセンブリー502の近位末端部分から遠位末端部分に延在している。チューブ520はステント504及びグラフト514の外面に隣接して配置されている。チューブ520はカテーテルアセンブリー502に取り付けられており、ステント504又はグラフト514には取り付けられていない。
【0072】
移動可能な要素522はチューブ520を通して通されており、そしてステント504の周囲を包囲して配置されている。移動可能な要素522は開放ピン550上にループを形成しており、それにより、移動可能な要素522を開放ピン550に開放可能に結合している。
【0073】
図5Bに示すとおり、移動可能な要素の2つの末端524及び526に張力を加えるときに、移動可能な要素522は、たとえば、図2Bにおいて既に示したとおり、ステントの少なくとも一部を半径方向に圧縮する。所望の場合には、開放ピン550は方向矢印552に示されるとおり、遠位方向に移動でき、それにより、移動可能な要素522を開放ピン550から開放し、移動可能な要素522を抜き取ることができる。
【0074】
図6Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図6B図6Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0075】
図6A及び6Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号600として記載されている。医療装置600はカテーテルアセンブリー602、及び、カテーテルアセンブリー602の近位末端部分に配置されたステント604を含む。ステント604は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素605から構成されている。波形要素605はリングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0076】
ステント604は近位末端部分606及び遠位末端部分608を有する。遠位末端部分608は第一のレッグ610及び第二のレッグ612を有するブランチへと加工されている。
【0077】
グラフト614はステント604の周囲に配置されている。ステント604及びグラフト614は第一のシース616及び第二のシース618により密の輸送状態(又は第一の直径)に拘束されている。図6Aに示すとおり、第一のシース616は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント604の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース618は図示されるとおり、第二のレッグ612をカテーテルアセンブリー602に結合している。
【0078】
第一のシース616を開放した後に、ステント604は初期の密になった第一の直径よりも大きな第二の直径へと自己膨張することができる。第二の直径は第二の拘束体654によって決定される。第二の拘束体654は、たとえば、グラフト及びステントの近位末端部分606を取り囲む可とう性フィラメントを含んでなることができる。第二の拘束体654はさらなるステントの自己膨張を防止している。
【0079】
図6Bに示すとおり、第二の拘束体654はステント(図示せず)の周囲にループを形成しており、第二の拘束体654の第一の末端を通されている。第二の拘束体654の第二の末端は開放ピン650上にループを形成している。一旦、装置600が血管の標的部位内に適切に配置されると、第二の拘束体654は方向矢印652により示されるとおりに遠位方向に開放ピン650を移動させることにより開放されうる。開放ピン650を移動させることにより、ステントは第二の拘束体から開放され、それにより、第二の直径及び第一の直径よりも大きい第三の直径へとさらに膨張されうる。
【0080】
場合により、回収コードもしくはフィラメント656を用いて第二の拘束体654を開放ピン650に結合することができる。それゆえ、開放ピンを遠位方向に移動させたときに、第二の拘束体654は開放ピン650とともに抜き取られる。
【0081】
図7Aは本発明の実施形態に係る医療装置である。図7B図7Aに示す医療装置の一部の拡大簡易図である。
【0082】
図7A及び7Bを参照すると、医療装置は一般に参照番号700として記載されている。医療装置700はカテーテルアセンブリー702、及び、カテーテルアセンブリー702の近位末端部分に配置されたステント704を含む。ステント704は内面及び外面を有し、そして複数のターンの波形要素705から構成されている。波形要素705はリングもしくは螺旋パターンで構成されうる。
【0083】
ステント704は近位末端部分706及び遠位末端部分708を有する。遠位末端部分708は第一のレッグ710及び第二のレッグ712を有するブランチへと加工されている。
【0084】
グラフト714はステント704の周囲に配置されている。ステント704及びグラフト714は第一のシース716及び第二のシース718により密の輸送状態(又は第一の直径)に拘束されている。図7Aに示すとおり、第一のシース716は開放されており、それにより、図示されるとおりにステント704の少なくとも一部を膨張させることができる。第二のシース718は図示されるとおり、第二のレッグ712をカテーテルアセンブリー702に結合している。
【0085】
第一のシース716を開放した後に、ステント704は初期の密になった第一の直径よりも大きな第二の直径へと自己膨張することができる。第二の直径は第二の拘束体754によって決定される。第二の拘束体754は、ステントグラフトの近位末端部分706を取り囲む可とう性バンドを含んでなる。第二の拘束体はステントグラフトのさらなる自己膨張を防止している。
【0086】
図7Bに示すとおり、第二の拘束体754はステントの周囲にループを形成しており、第二の拘束体754の第一の末端付近にあるラッチ758を通されている。開放ピン750はラッチ758を通されており、それにより、第二の拘束体754のさらなる膨張を防止している。一旦、装置700が血管の標的部位内に適切に配置されると、第二の拘束体754は方向矢印752により示されるとおりに遠位方向に開放ピン750を移動させることにより開放されうる。開放ピン750を移動させることにより、ステント704は第二の拘束体754から開放され、それにより、第二の直径及び第一の直径よりも大きい第三の直径へとさらに膨張されうる。場合により、回収コードもしくはフィラメント756を用いて第二の拘束体754を開放ピン750に結合することができる。それゆえ、開放ピンを遠位方向に移動させたときに、第二の拘束体754は開放ピン650とともに抜き取られる。
【0087】
図8A〜8Cは本発明の実施形態に係る医療装置を描いている。
【0088】
図8A〜8Cを参照すると、医療装置は一般に参照番号800として記載されている。医療装置800はカテーテルアセンブリー802、及び、カテーテルアセンブリー802の近位末端部分に配置されたステントを含む。図8Aに示すとおり、医療装置800は小さい輸送直径856に拘束されたステントを有する。ステントは拘束性シース850及び854によって、この小さい輸送直径に保持されている。シース850はステントの幹を拘束しており、一方、シース854はステントの延びたレッグ部分を拘束している。第三の拘束シース852はシース850内に含まれている。
【0089】
図8Bを参照すると、医療装置800が標的部位内に配置されたときに、シース850を開放し、それにより、ステントの少なくとも一部を、初期の小さい輸送直径856よりも大きい直径858に膨張させることができる。シース852は、それゆえ、ステント804を中間直径に拘束している。シース854は、ステントの延びたレッグ部分をカテーテルアセンブリー802上に拘束し、それにより、医療装置を再配置し、回転し又は標的部位に正確に位置合わせすることができる。図8Cに示すとおり、医療装置を正確に配置したときに、シース852を開放し、それにより、ステントを大きな展開済み直径860にまで完全に膨張させることができる。展開済み直径860は中間直径858よりも大きい。図8A〜8Cに示すとおり、中間直径858は輸送直径856よりも大きい。ステントアンカー突起(barb)もしくはフック862(提供される場合には)は、それゆえ、医療装置の最終操作及び配置の間に中間直径858に拘束されており、そして拘束性シース852が開放されたときに、膨張しそして血管に係合することができる。
【0090】
図9Aはカテーテルアセンブリー962の遠位末端又はその付近にある拘束された医療デバイス960を有する医療装置900の部分側面図である。カテーテルアセンブリー962はカテーテルシャフト964及び遠位ガイドワイヤーポート966を有する。図9Bはカテーテルシャフト964の断面図である。ガイドワイヤー970、開放部材972及び調節部材974がカテーテルシャフト964内に含まれていることが示されている。開放部材は拘束体からステント(又は他の医療デバイス)を開放するために使用し、それにより、そのデバイスを第一の密になった輸送プロファイルから第二のより大きなプロファイルに膨張させることができるコード、スレッド、ワイヤー、ピン、チューブ又は他の要素であってよい。調節部材は医療デバイスの少なくとも一部の第二のプロファイルを変更するために使用されるコード、スレッド、ワイヤー、ピン、チューブ又は他の要素であってよい。医療装置を輸送するために使用されるカテーテルは、1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つ又はそれ以上の開放部材を、1つ、2つ、3つ、4つもしくは5つ又はそれ以上の調節部材と組み合わせて含んでよい。開放部材及び調節部材はカテーテルシャフト964内の別個の又は共有のルーメン内に含まれてよい。
【0091】
図10A及び10Bは本発明の実施形態に係る医療装置(上記に図2A及び2Bに記載)の概念図を示している。図10Aには、係留突起もしくはフック1004を有するステント1002を含んでなる医療装置1000が示されている。第一の移動可能な要素1008を内部に有するチューブ1006が示されている。第一の移動可能な要素1008は第二の移動可能な要素1010を通してループを形成していることを示している。図10Bに示すとおり、第一の移動可能な要素1008の末端に張力1012を加えると、第二の移動可能な要素1010はチューブ1006中に引き込まれる。第二の移動可能な要素1010がチューブ1006中に引き込まれるときに、ステントグラフトは矢印1014により示された方向に圧縮される。それゆえ、アンカー又は突起1004は血管壁から内側に向けて離れるように縮まり又は引っ込められる。アンカー又は突起が引っ込められることで、医療装置1000を長手方向及び/又は回転方向に調節できる。正確な標的部位にあるときに、移動可能な要素に対する張力1012を取り除き、それにより、ステントを自己膨張させそして血管壁中にアンカー又は突起を係合させることができる。
【0092】
図10C〜10Hは本発明の実施形態に係る輸送シーケンスの概念図を示している。図10Cには、第一の拘束性シース1020、第二の拘束性シース1022及びカテーテルアセンブリー1024を有する医療装置1000が示されている。幹、第一の短いレッグ及び第二の長いレッグを有する二股ステントが第一のシース及び第二のシース1020、1022内に拘束されそして閉じ込められている。図10Dに示すとおり、医療装置が標的部位にあるときに、第一の拘束性シース1020は開放され、それにより、ステントの一部分及び第一の短いレッグが自己膨張することができる。ステントの一部分は移動可能な要素1026により拘束された小さい直径の状態に維持されている。移動可能な要素1026はチューブ1028内にある。ステントアンカー又は突起1030は移動可能な要素1026によって拘束されそして内側に向けて引っ張られており、それにより、アンカー又は突起は血管壁と係合しない。第二の拘束性シース1022はステントグラフトの第二の長いレッグをカテーテルアセンブリー1024上に圧縮している。このようにして、医療装置はカテーテルアセンブリーによって捉えられており、それにより、次に行う医療装置の再配置が可能になる。
【0093】
図10Eに示すとおり、医療装置1000は、ここで、カテーテルアセンブリー1024の操作により、長手方向1032及び/又は角度方向1034で再調整できる。
【0094】
図10Fに示すとおり、医療装置を正確に配置したときに、第一の移動可能な要素1036に対する張力を緩和させ、それにより、第二の移動可能な要素1038を伸ばすことができる。第二の移動可能な要素1038が伸びると、ステントは方向1040にさらに膨張することが可能になり、アンカー又は突起1030を血管壁に係合させることができる。
【0095】
図10Gに示すとおり、第二の拘束性シース1022を開放させ、それにより、第二の長いレッグが自己膨張することができる。
【0096】
図10Hに示すとおり、第一の移動可能な要素1036の1つの末端に張力を加え、それにより、第一の移動可能な要素1036を第二の移動可能な要素1038からアンループすることができる。その後、第一の移動可能な要素1036はチューブ1028を通して抜き取ることができる。膨張したステントグラフトは、その際、カテーテルアセンブリーから外れ、カテーテルアセンブリーの抜き取り1042が可能になる。
【0097】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が本発明になされうることは当業者に明らかであろう。このため、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲に当たるかぎり、本発明の修正及び変更を網羅することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H