(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フッ素非含有ビニル系化合物が、5官能以上の(メタ)アクリレートと4官能以下の(メタ)アクリレートとを含み、両者のモル比が、前者/後者=95/5〜10/90である請求項1〜7のいずれかに記載のハードコートフィルム。
フッ素非含有ビニル系化合物が、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを含み、この多官能(メタ)アクリレートの割合が、フッ素非含有ビニル系化合物全体に対して80重量%以上である請求項1〜8のいずれかに記載のハードコートフィルム。
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの割合が、フッ素非含有ビニル系化合物100重量部に対して0.1〜9重量部である請求項1〜9のいずれかに記載のハードコートフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のハードコートフィルムは、特定のフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート及びフッ素非含有ビニル系化合物を含むラジカル重合性組成物の硬化物で形成されたハードコート層を含む。このハードコート層は、水接触角が100°以上に調整されており、耐擦傷性に優れる。従来、フッ素系やシリコーン系レベリング剤(表面の平滑性を調整するための添加剤)を配合すると、表面が平滑になるとともに、濡れ性の改良による防汚性の向上などが見られる反面、膜強度の低下によるためか、耐擦傷性が低下するのが技術常識であった。これに対して、本発明では、特定のフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートとフッ素非含有ビニル系化合物とを組み合わせることにより、防汚性の向上でき、かつ耐擦傷性も向上できる。本発明のハートコート層の耐擦傷性が向上する理由は明らかではないが、次のように推定できる。すなわち、従来のフッ素系レベリング剤では、表面側に集まる性質により表面付近のフッ素系レベリング剤の密度が上昇した結果、(メタ)アクリレートなどのビニル化合物の硬化物上にフッ素系薄膜が形成された状態となり、擦傷により硬化物から凝集破壊したフッ素系材料が容易に剥がれ落ちるため、耐擦傷性が低下していると推定できる。これに対して、本発明では、特定のフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートとフッ素非含有ビニル系化合物とを組み合わせることにより、通常のレベリング剤と同様に、フッ素含有基がハードコート層の表面に分布するが、前記フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、ハードコート層の上層部で適度な弾性を有する被膜を形成するとともに、下層のビニル系化合物とも強固に結合すると推定される。特に、前記フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートが硬化することにより、適度な硬さの被膜を形成するとともに、フッ素含有基による表面平滑性を有するため、表面での引っ掛かりや、表面の剥離を抑制でき、耐擦傷性が向上していると推定できる。また、従来のフッ素系材料は、主としてポリエーテル骨格を有しているが、前記フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、フッ素非含有アルキレンエーテル骨格を実質的に含まず、より強固なエステル骨格を有していることも影響していると推定できる。
【0019】
(フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート)
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合と、硬化物を形成するための(メタ)アクリロイル基と、表面平滑性又は滑り性を発現するための所定量のフッ素原子とを含有していればよい。
【0020】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、(A)フッ素含有ポリオール類に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート類を反応させて得られるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート、(B)フッ素含有ポリイソシアネート類に活性水素原子を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート、(C)フッ素含有ポリイソシアネート類とポリオール類とを反応させた後、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート類又は活性水素原子を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート、(D)ポリイソシアネート類とフッ素含有ポリオール類とを反応させた後、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート類又は活性水素原子を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0021】
フッ素含有ポリオール類及びフッ素含有ポリイソシアネート類は、フルオロ脂肪族炭化水素基を有していればよく、フルオロ脂肪族炭化水素基は側鎖であってもよく、主鎖であってもよい。
【0022】
側鎖のフルオロ脂肪族炭化水素基としては、例えば、フルオロイソプロピル、フルオロイソブチル、フルオロs−ブチル、フルオロt−ブチル、フルオロイソペンチル、フルオロネオペンチル、フルオロt−ペンチル、フルオロイソヘキシル、フルオロ2−エチルヘキシル基などのフルオロC
3−16アルキル基、フルオロネオペンタン−1−イル基、フルオロネオペンタン−2−イル基、フルオロt−ペンタン−1−イル基、フルオロt−ペンタン−2−イル基などのフルオロC
3−16アルケニル基などが挙げられる。
【0023】
主鎖のフルオロ脂肪族炭化水素基としては、例えば、フルオロメチレン、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロイソプロピレン、フルオロブチレン、フルオロヘキシレン基などのフルオロC
1−10アルキレン基などが挙げられる。
【0024】
さらに、主鎖のフルオロ脂肪族炭化水素基は、エーテル結合を介した繰り返し単位であるポリフルオロアルキレンエーテルを形成していてもよい。繰り返し単位としてのフルオロ脂肪族炭化水素基は、フルオロメチレン、フルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロイソプロピレンなどのフルオロC
1−4アルキレン基からなる群より選択された少なくとも1種であってもよい。これらのフルオロ脂肪族炭化水素基は、同一であってもよく、複数種の組み合わせであってもよい。フルオロアルキレンエーテル単位の繰り返し数(重合度)は、例えば、10〜100(特に30〜80)程度であってもよい。
【0025】
これらのフルオロ脂肪族炭化水素基は、少なくとも一部の水素原子がフッ素原子に置換されていればよいが、耐擦傷性及び防汚性を向上できる点から、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロ脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0026】
フッ素含有ポリオール及びフッ素含有ポリイソシアネートは、前記フルオロ脂肪族炭化水素基及び/又はポリフルオロアルキレンエーテル骨格の他に、アルキレン骨格(例えば、メチレン、エチレン、プロピレンなどのC
1−16アルキレン骨格など)、エステル結合などを有していてもよく、例えば、ポリフルオロアルキレンエーテル骨格の両末端に、エステル結合を含んでいてもよいアルキレン骨格を有していてもよい。
【0027】
フッ素含有ポリオール類の1分子中におけるヒドロキシル基の数は、複数であればよく、特に限定されないが、例えば、2〜10個、好ましくは2〜5個、さらに好ましくは2〜4個程度であり、通常、両末端にヒドロキシル基を有する場合が多い。
【0028】
フッ素含有ポリイソシアネート類の1分子中におけるイソシアネート基の数は、複数であればよく、特に限定されないが、例えば、2〜10個、好ましくは2〜5個、さらに好ましくは2〜4個程度であり、通常、両末端にイソシアネート基を有する場合が多い。
【0029】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート類としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネートなどの(メタ)アクリロイルオキシC
2−6アルキルイソシアネートなどが挙げられる。
【0030】
活性水素原子を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−6アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのC
2−6アルカングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルコキシC
2−6アルキル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0031】
ポリオール類としては、ポリウレタンの製造に利用される慣用のポリオール、例えば、ポリエステルジオール、脂肪族ジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコールなどのC
2−10アルカンジオールなど)、脂環族ジオール(1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカンジオール類、水添ビスフェノールAなどの水添ビスフェノール類、又はこれらのC
2−4アルキレンオキサイド付加体など)、芳香族ジオール(キシリレングリコールなどの芳香脂肪族ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどのビスフェノール類など)などのジオール類、トリオール類(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリエタノールアミンなど)、テトラオール類(ペンタエリスリトール、ソルビタン又はこれらの誘導体など)、ヘキサオール類(ジペンタエリスリトール類など)などが挙げられる。ポリオール類は、耐擦傷性を向上させる点から、ポリエーテルポリオールを実質的に含まないのが好ましい。
【0032】
ポリイソシアネート類としては、ポリウレタンの製造に利用される慣用のポリイソシアネート、例えば、脂肪族ポリイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)など]、脂環族ポリイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)など]、芳香族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)など]、これらのポリイソシアネートの誘導体(イソシアヌレート環を有するトリマーなど)などが挙げられる。
【0033】
これらの単量体を用いて得られるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、慣用の製造方法により得ることができ、例えば、特開2006−45362号公報、特開2008−74891号公報、特開2011−57603号公報、特開2012−72296号公報などに開示の製造方法などを利用できる。
【0034】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの1分子中におけるウレタン結合の数は、通常、2個以上であり、例えば、2〜20個、好ましくは2〜15個、さらに好ましくは2〜10個(特に2〜8個)程度である。
【0035】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート類又は活性水素原子を有する(メタ)アクリレート由来のエステル結合を少なくとも有しており、強固なエステル結合の存在により耐擦傷性を向上できる。フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの1分子中におけるエステル結合の数は、通常、2個以上であり、例えば、2〜30個、好ましくは2〜20個、さらに好ましくは2〜15個(特に2〜10個)程度である。
【0036】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、耐擦傷性の点から、アルキレンエーテル骨格(フッ素非含有アルキレンエーテル骨格)、特にポリエーテル骨格(フッ素非含有ポリエーテル骨格)を実質的に有さない(特に全く有さない)のが好ましい。特に、フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、フルオロアルキレンエーテル骨格(特にパーフルオロアルキレンエーテル骨格)を有するのが好ましい。特に、本発明では、アルキレンエーテル骨格を実質的に含まず(特に完全に含まず)、パーフルオロアルキレンエーテル骨格(特にポリパーフルオロアルキレンエーテル骨格)を含むことにより、耐擦傷性を向上できる。ポリパーフルオロアルキレンエーテル骨格を有するフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、特開2012−72296号公報に開示されたフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
【0037】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートのフッ素含量は、2重量%以上であってもよく、例えば、2〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%(特に6〜10重量%)程度である。特に、本発明では、フッ素含量が前記範囲(例えば、6.5〜9重量%)にあると、防汚性の発現と、適度な滑り性による耐擦傷性の向上効果とのバランスに優れる。フッ素含量が少なすぎると、耐擦傷性及び防汚性が低下する。本明細書では、フッ素含量は、燃焼−イオンクロマトグラフ法を利用して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0038】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基含量も重要であり、(メタ)アクリロイル基含量は0.0005モル/g以上であればよく、例えば、0.0005〜0.02モル/g、好ましくは0.001〜0.015モル/g、さらに好ましくは0.002〜0.01モル/g(特に0.003〜0.009モル/g)程度である。(メタ)アクリロイル基含量が少なすぎると、耐擦傷性が低下する傾向がある。特に、本発明では、(メタ)アクリロイル基含量が前記範囲(例えば、0.005〜0.01モル/g)にあると、高い架橋密度を保持しながら、フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートを上層に分布し易く、耐擦傷性と防汚性とを向上できる。本明細書では、(メタ)アクリロイル基含量は、
1H−NMR法を利用して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0039】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの1分子中における(メタ)アクリロイル基の数は、(メタ)アクリロイル基含量が前記範囲にあれば特に限定されず、1〜30個程度の範囲から選択でき、例えば、2〜25個、好ましくは2〜20個、さらに好ましくは2〜15個(特に3〜10個)程度である。
【0040】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、100〜100000、好ましくは200〜20000(例えば、250〜10000)、さらに好ましくは300〜2000(特に400〜1000)程度であってもよい。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、100〜100000、好ましくは300〜50000、さらに好ましくは400〜10000(特に500〜5000)程度であってもよい。分子量が小さすぎると、適度な弾性を保持するのが困難となり、耐擦傷性が低下し、大きすぎると、適度な架橋密度や剛性を保持するのが困難となり、耐擦傷性が低下する。
【0041】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1〜10、好ましくは1.1〜5、さらに好ましくは1.2〜3(特に1.3〜2)程度である。
【0042】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の鉛筆硬度(500g荷重)は、JIS K5400に準拠した測定方法で、3B以上(例えば、3B〜5H)であり、好ましくはB以上(例えば、B〜4H)、さらに好ましくはF以上(特にF〜3H)である。鉛筆硬度が小さすぎると、耐擦傷性が低下する。
【0043】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の水接触角は90°以上であってもよく、例えば、90〜130°、好ましくは92〜120°、さらに好ましくは95〜115°(特に100〜110°)程度であってもよい。水接触角が小さすぎると、防汚性が低下するとともに、滑り性の低下により、耐擦傷性も低下する傾向がある。一方、水接触角が大きすぎると、耐擦傷性が低下し易い。本明細書では、水接触角は、自動・動的接触角計を用いて測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0044】
なお、本発明では、鉛筆硬度及び水接触角を測定する硬化物の硬化条件は100mJ/cm
2以上(例えば、100〜1000mJ/cm
2程度であり、特に300mJ/cm
2)の条件で硬化される。紫外線照射時間は、例えば、0.1〜10秒(特に1秒)である。さらに、フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートは、良溶媒を用いて30〜40重量%程度(特に40重量%)に希釈され、乾燥厚みを1〜10μm(特に5μm)となるように塗布した後、80℃のオーブンなどを用いて乾燥した後、紫外線照射に供される。
【0045】
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの割合は、フッ素非含有ビニル系化合物100重量部に対して、0.01〜10重量部(例えば、0.03〜8重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部、さらに好ましくは0.3〜1.5重量部(特に0.5〜1重量部)程度である。フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートの割合が少なすぎると、耐擦傷性及び防汚性が低下し、多すぎると、耐擦傷性が低下する。
【0046】
(フッ素非含有ビニル系化合物)
ラジカル重合性組成物は、フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートに加えて、フッ素非含有ビニル系化合物を含む。
【0047】
フッ素非含有ビニル系化合物は、フッ素原子を含まず、α,β−エチレン性不飽和二重結合を有する化合物(ラジカル重合性化合物)である限り、特に限定されない。α,β−エチレン性不飽和二重結合[特に(メタ)アクリロイル基]の数は、1分子中に1以上(例えば、1〜20、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10程度)であってもよい。
【0048】
ビニル系化合物は、モノマーであっても、オリゴマー(又はプレポリマー)であってもよく、モノマー及びオリゴマーを組み合わせて使用してもよい。
【0049】
ビニル系モノマーには、単官能ビニル系モノマー[単官能(メタ)アクリレート(又はモノ(メタ)アクリレート)類など]、2官能ビニル系モノマー[2官能(メタ)アクリレート(又はジ(メタ)アクリレート)類など]、3官能以上のビニル系モノマー[3官能以上の多官能(メタ)アクリレート(又はポリ(メタ)アクリレート)類など]が含まれる。
【0050】
単官能ビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのC
1−24アルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの橋架け環式(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレートなどのアラルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC
2−10アルキル(メタ)アクリレート又はC
2−10アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどのフルオロC
1−10アルキル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアリールオキシアルキル(メタ)アクリレート;フェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアリールオキシ(ポリ)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;グリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート;2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0051】
2官能ビニル系モノマーとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンなどのビスフェノール類(ビスフェノールA、Sなど)のC
2−4アルキレンオキサイド付加体のジ(メタ)アクリレート;脂肪酸変性ペンタエリスリトールなどの酸変性アルカンポリオールのジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどの橋架け環式ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0052】
多官能ビニル系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオール(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリンなどのアルカンポリオールのC
2−4アルキレンオキサイド付加体のトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのトリアジン環を有するトリ(メタ)アクリレートなどが例示できる。
【0053】
これらのモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0054】
ビニル系オリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート[例えば、多価カルボン酸とポリオールと(メタ)アクリル酸及び/又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応により生成するポリエステル(メタ)アクリレートなど];アルキド樹脂;エポキシ(メタ)アクリレート[例えば、複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物(多価アルコール型、多価カルボン酸型、ビスフェノールA、F、Sなどのビスフェノール型、ノボラック型などのエポキシ樹脂)に(メタ)アクリル酸が開環付加したエポキシ(メタ)アクリレートなど];ポリアクリル(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル系単量体とグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体に(メタ)アクリル酸をエポキシ基に開環付加したポリアクリル(メタ)アクリレートなど];ポリエーテル(メタ)アクリレート;ポリブタジエン系(メタ)アクリレート;メラミン(メタ)アクリレート;ポリアセタール(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらのオリゴマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、本発明では、耐擦傷性を向上させる点から、フッ素非含有ビニル系化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートを実質的に含まないのが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートの割合は、フッ素非含有ビニル系化合物全体に対して30重量%以下、好ましくは10重量%、さらに好ましくは5重量%以下(特に1重量%)であってもよい。
【0055】
これらのビニル系化合物のうち、耐擦傷性の点から、多官能ビニル系化合物(特に多官能(メタ)アクリレート)を含むのが好ましく、少なくとも4官能以上(特に5官能以上)の(メタ)アクリレートを含むのが特に好ましい。5官能以上の(メタ)アクリレートとしては、5〜8官能(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの5官能以上の(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に、ジペンタエリスリトール骨格を有する5官能以上の(メタ)アクリレートは、分子中のエステル結合の割合が大きくなるためか、耐擦傷性を向上できる。
【0056】
さらに、本発明では、5官能以上の(メタ)アクリレートと4官能以下の(メタ)アクリレートとを組み合わせることにより、ハードコートフィルムのカールの発生を抑制するとともに、架橋密度を高め、未反応のラジカル重合性基の残存も抑制できるためか、ハードコート層の耐擦傷性も向上できる。4官能以下の(メタ)アクリレートとしては、2〜4官能(特に3〜4官能)(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールジ乃至テトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの4官能以下の(メタ)アクリレートは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に、ペンタエリスリトール骨格を有する4官能以下の(メタ)アクリレートは、分子中のエステル結合の割合が大きくなるためか、耐擦傷性を向上できる。
【0057】
5官能以上の(メタ)アクリレートと4官能以下の(メタ)アクリレートとの割合は、両者のモル比が、前者/後者=100/0〜1/99程度の範囲から選択でき、例えば、99/1〜5/95、好ましくは97/3〜10/90(例えば、95/5〜10/90)、さらに好ましくは95/5〜20/80(特に90/10〜30/70)程度である。5官能以上の(メタ)アクリレートの割合が少なすぎると、ハードコート層の耐擦傷性が低下し、多すぎると、ハードコートフィルムのカールが発生し易くなり、耐擦傷性も低下する。
【0058】
フッ素非含有ビニル系化合物は、耐擦傷性の点から、前記多官能(メタ)アクリレート(前記5官能以上の(メタ)アクリレート及び前記4官能以下の(メタ)アクリレート)を主成分として含むのが好ましく、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能(メタ)アクリレートを主成分として含むのが特に好ましい。このような多官能(メタ)アクリレート(特に、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能(メタ)アクリレート)の割合は、フッ素非含有ビニル系化合物全体に対して50重量%以上(例えば、50〜100重量%)、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上(特に90重量%以上)であってもよい。多官能(メタ)アクリレートの割合が少なすぎると、耐擦傷性が低下する。
【0059】
(重合開始剤)
ラジカル重合性組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤は、熱重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物などの熱ラジカル発生剤)であってもよく、光重合開始剤(光ラジカル発生剤)であってもよい。好ましい重合開始剤は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、フェニルケトン類[例えば、アセトフェノン類(例えば、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなど)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなどのアルキルフェニルケトン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのシクロアルキルフェニルケトン類など]、アミノアセトフェノン類{2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなど)、チオキサントン類(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、キサントン類、ホスフィンオキサイド類(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなど)などが例示できる。これらの光重合開始剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0060】
重合開始剤の割合は、重合成分(フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート及びフッ素非含有ビニル系化合物の合計)100重量部に対して0.1重量部〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部(特に3〜8重量部)程度であってもよい。
【0061】
なお、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、慣用の成分、例えば、第3級アミン類[例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミルなどのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノンなど]、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、N,N−ジメチルトルイジンなどのトルイジン類、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどのアントラセン類などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
【0062】
光増感剤の割合は、前記光重合開始剤100重量部に対して、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、さらに好ましくは1〜50重量部程度であってもよい。
【0063】
重合開始剤(特に光重合開始剤及び光増感剤)は、電子線を照射して重合性組成物を硬化する場合には、実質的に含有しないのが好ましい。重合開始剤を含有しない場合、耐候性、特に、長期間の使用に対する難黄変性が向上する。
【0064】
(高分子)
ラジカル重合性組成物は、耐カール性や塗工性を向上させるために、さらにラジカル重合反応に関与するエチレン性不飽和結合を有さない高分子を含んでいてもよい。
【0065】
このような高分子としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン樹脂、ゴム又はエラストマーなどが例示できる。これらの高分子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0066】
これらの高分子のうち、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル、セルロース誘導体などが汎用されるが、透明性及び耐熱性に優れるとともに、耐カール性や塗工性も向上できる点から、セルロース誘導体が好ましい。
【0067】
セルロース誘導体には、セルロースエステル類、セルロースエーテル類、セルロースカーバメート類が含まれる。これらのセルロース誘導体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロース誘導体のうち、セルロースエステル類が好ましい。
【0068】
セルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC
2−6アシレートなど)などが例示できる。
【0069】
これらのセルロースエステル類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのセルロースエステル類のうち、溶剤への溶解性が高く、塗工液の調製がし易い上に、少量の添加によって塗工液の粘度調節が容易にできるため、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC
3−4アシレートが好ましい。
【0070】
前記高分子の割合は、重合成分(フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート及びフッ素非含有ビニル系化合物の合計)100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部(特に1〜5重量部)程度である。本発明では、前記高分子の割合を調整することにより、ハードコート性と耐カール性とのバランスを調整でき、この範囲にあると、両者のバランスに優れる。
【0071】
(他の添加剤)
ラジカル重合性組成物は、耐擦傷性や透明性を損なわない範囲で、重合開始剤以外にも、慣用の添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤などの安定化剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0072】
さらに、ラジカル重合性組成物は、有機溶媒、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などを含有していてもよい。
【0073】
(ハードコート層)
ハードコート層は、前記ラジカル重合性組成物の硬化物で形成されており、表面の水接触角が100°以上であり、例えば、100〜130°、好ましくは102〜125°、さらに好ましくは103〜120°(特に105〜110°)程度である。水接触角が低すぎると、滑り性が低下するためか、耐擦傷性が低下する。
【0074】
ハードコート層は、耐擦傷性に優れており、5kg/cm
2の荷重をかけてスチールウール♯0000でハードコート層の表面を10回往復摺動しても(擦っても)傷がつかない。さらに、2kg/cm
2の荷重をかけてスチールウール♯0000でハードコート層の表面を5000回往復摺動しても(擦っても)傷がつかないのが好ましい。耐擦傷性の評価は、後述する実施例に記載の方法で評価でき、傷の判別は、目視観察により評価する。
【0075】
ハードコート層は、特に、微粒子を含まずに、このような耐擦傷性を発現できる。そのため、ハードコート層は、高度な透明性を要求される光学用途などにも利用できる点から、微粒子を実質的に含まないのが好ましく、微粒子を含まないのが特に好ましい。
【0076】
ハードコート層のヘイズは、例えば、0.1〜10%、好ましくは0.2〜8%、さらに好ましくは0.3〜5%(特に0.5〜3%)程度である。ハードコートコート層の全光線透過率は、例えば、70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは85〜100%(例えば、85〜98%)、特に90〜100%(例えば、90〜95%)程度である。本明細書では、ヘイズ及び全光線透過率は、JIS K7105に準拠して、日本電色工業(株)製、NDH−5000Wヘイズメーターを用いて測定できる。
【0077】
ハードコート層の厚みは、例えば、0.1〜100μm、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは3〜20μm(特に4〜10μm)程度である。
【0078】
[ハードコートフィルム]
ハードコート層は、通常、二次元又は三次元形状の基材の表面に形成されており、フィルム(又はシート)状の二次元形状の基材の場合は、フィルム状基材の少なくとも一方の面にハードコート層が形成されていればよく、フィルム状基材の片面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。フィルム状基材は、透明基材フィルムであってもよい。
【0079】
透明基材フィルムは、プラスチックで形成されており、プラスチックは、熱硬化性樹脂であってもよいが、ハードコート層が要求される透明基材フィルムは、通常、熱可塑性樹脂である場合が多い。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、セルロースエステル系樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらのプラスチックは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのプラスチックのうち、透明性や機械的特性などのバランスの点から、ポリエステル系樹脂、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのC
2−4アルキレンC
6−12アリレート単位を含むホモ又はコポリアルキレンアリレート系樹脂が好ましい。
【0080】
透明基材フィルムは、単層フィルムであってもよく、同系統又は異種の樹脂層が互いに積層された積層フィルムであってもよい。
【0081】
透明基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよく、延伸(一軸又は二軸)フィルムであってもよい。また、透明基材フィルムの表面には、接着性を向上させるため、例えば、アンカーコート層などの密着層(接着層)を形成してもよく、コロナ放電やグロー放電などの放電処理、酸処理、焔処理などの表面処理を施してもよい。好ましい表面処理はコロナ放電処理である。
【0082】
透明基材フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、1〜300μm、好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは40〜200μm(特に50〜150μm)程度であってもよい。
【0083】
なお、透明基材フィルムには、必要に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤などを添加してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0084】
透明基材フィルムの上にハードコート層が形成されたハードコートフィルムは、ハードコート層の高い透明性を生かして、透明基材のフィルムにハードコート層を形成することにより、高い透明性を有するフィルムを作製できる。ハードコートフィルムのヘイズは、例えば、0.1〜10%、好ましくは0.2〜5%、さらに好ましくは0.3〜3%(特に0.5〜1%)程度である。ハードコートフィルムの全光線透過率は、例えば、70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは85〜100%(例えば、85〜98%)、特に90〜100%(例えば、90〜95%)程度である。
【0085】
本発明のハードコートフィルムは、基材フィルム(特に透明基材フィルム)の上にラジカル重合性組成物を塗布する工程、及び塗布した前記組成物を硬化させる硬化工程を経て製造される。
【0086】
塗布工程において、ラジカル重合性組成物の塗布方法としては、慣用の方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。
【0087】
重合性組成物が有機溶媒を含有する場合など、塗布後は、必要に応じて乾燥を行ってもよい。乾燥は、例えば、50〜150℃、好ましくは60〜140℃、さらに好ましくは70〜130℃程度の温度で行ってもよい。
【0088】
硬化工程において、重合性組成物は、重合開始剤の種類に応じて加熱して硬化させてもよいが、通常、活性エネルギー線を照射することにより硬化できる。活性エネルギー線として、熱及び/又は光エネルギー線を利用でき、特に光エネルギー線を利用して光照射するのが有用である。光エネルギー線としては、放射線(ガンマー線、X線など)、紫外線、可視光線、電子線(EB)などが利用でき、通常、紫外線、電子線である場合が多い。特に、重合開始剤を使用せずに重合ができ、高い耐候性を有するシートを製造する場合には、電子線で照射してもよい。
【0089】
光源としては、例えば、紫外線の場合は、Deep UV ランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、レーザー光源(ヘリウム−カドミウムレーザー、エキシマレーザーなどの光源)などを用いることができる。照射光量(照射エネルギー)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、50〜10000mJ/cm
2、好ましくは70〜5000mJ/cm
2、さらに好ましくは100〜1000mJ/cm
2程度であってもよい。
【0090】
電子線の場合は、電子線照射装置などの露光源によって、電子線を照射する方法が利用できる。照射量(線量)は、塗膜の厚みにより異なるが、例えば、1〜200kGy(グレイ)、好ましくは5〜150kGy、さらに好ましくは10〜100kGy(特に20〜80kGy)程度である。加速電圧は、例えば、10〜1000kV、好ましくは50〜500kV、さらに好ましくは100〜300kV程度である。
【0091】
なお、活性エネルギー線(特に電子線)の照射は、必要であれば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)雰囲気中で行ってもよい。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で使用した原料の詳細は下記の通りであり、実施例及び比較例で得られたフッ素含有アクリレート及びハードコートフィルムを以下の項目で評価した。
【0093】
[原料の略号]
(フッ素非含有ビニル系化合物)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:ダイセル・オルネクス(株)製「DPHA」
ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート:東亜合成(株)製「アロニックスM−305」
多官能ウレタンアクリレートA:ダイセル・サイテック(株)製「KRM8200」
多官能ウレタンアクリレートB:新中村化学工業(株)製「U−33H」。
【0094】
(フッ素含有アクリレート)
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA(表中のエステルA):ダイセル・オルネクス(株)製「EBECRYL8110」、フッ素含量7.6重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00773モル/g
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートB(表中のエステルB):DIC(株)製「メガファックRS−75」、フッ素含量7.9重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00302モル/g
フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートA(表中のエーテルA):(株)ネオス製「フタージェント601AD」、シリコーン骨格含有、フッ素含量1.5重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00064モル/g
フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートB(表中のエーテルB):(株)ネオス製「フタージェント602A」、フッ素含量7.5重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00064モル/g
フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートC(表中のエーテルC):Omnova Solution社製「ポリフォックス3320」、フッ素含量26重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00048モル/g
フッ素含有ポリエーテルアクリレート(表中のエーテルD):(株)ネオス製「フタージェント650A」、フッ素含量1.3重量%、(メタ)アクリロイル基含量0.00014モル/g。
【0095】
(他の原料)
セルロースアセテートプロピオネート:イーストマン社製「CAP−482−20」、アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75,000
光重合開始剤A:BASFジャパン(株)製「イルガキュア907」
光重合開始剤B:BASFジャパン(株)製「イルガキュア184」
PETフィルム:東洋紡績(株)製「A4300」、厚み100μm。
【0096】
[フッ素含有アクリレートのフッ素含量]
フッ素含量の定量には燃焼−イオンクロマトグラフ法を利用した。詳しくは、自動試料燃焼装置((株)ダイアインスルツメンツ製「AQF−100型」)を用いて、試料中のフッ素をフッ化物イオンとしてイオン化した後、この吸収液をイオンクロマトグラフ(日本ダイオネクス(株)製「Dionex ICS−2000」)へ注入してクロマト分析を行うことによってフッ素含量を定量した。
【0097】
[フッ素含有アクリレートの(メタ)アクリロイル基含量]
(メタ)アクリロイル基含量の定量には
1H−NMR法を利用した。詳しくは、核磁気共鳴装置(ブルカー・バイオスピン(株)製「BRUKER AVANCE 600」)を用い、内標である1,1,1,2,2,3,3−ヘプタクロロプロパンのシグナル(1H)を基準として、多官能アクリレートに相当する5.8及び6.4ppmのシグナル(1H)からの単位重量当りのアクリレートのモル数を定量した。
【0098】
[水接触角]
自動・動的接触角計(協和界面科学(株)製「型式DCA−UZ」)を使用し、塗膜に対し、約5μLの各液の接触角を5点測定して平均した。
【0099】
[鉛筆硬度]
JIS K5400に準拠し、フッ素含有アクリレートの硬化物の鉛筆硬度は荷重500gで測定し、硬化性組成物の硬化物の鉛筆硬度は荷重750gで測定した。
【0100】
[ヘイズ及び全光線透過率]
ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
【0101】
[スチールウール耐性A]
スチールウール耐久性試験機を用いて、直径φ1.0cmのスチールウール#0000でハードコート層表面を1、2、3、4、5kg/cm
2の荷重において一定荷重下で10往復(速度20cm/s)摩擦し、耐擦傷性があった(傷がつかなかった)最大荷重を測定した。
【0102】
[スチールウール耐性B]
スチールウール耐久性試験機を用いて、直径φ1.0cmのスチールウール#0000でハードコート層表面を2kg/cm
2の荷重において、100往復、1000往復、5000往復摩擦後、ハードコートフィルムを黒色アクリル板に光学粘着剤で貼りつけ、3波長蛍光管を装備した蛍光灯下で表面の状態を観察した。
【0103】
A:傷なし
B:線状の傷はないが、表面が薄く削れて色合いが変わる
C:無数の線状傷がある。
【0104】
[防汚性]
指紋の付着又はマジックで書き込みをして、拭取り性を確認した。
【0105】
○:ティッシュを用いて軽い負荷で拭き取れる
△:ティッシュを用いて強い負荷で拭き取れる
×:拭き取りできない。
【0106】
(フッ素含有アクリレートの硬化物の評価)
前記原料を用いてハードコートフィルムを調製する前に、原料のフッ素含有アクリレートを評価した。すなわち、溶液(フッ素含有アクリレート濃度30〜40重量%)として入手したフッ素含有アクリレートは、そのまま硬化に供し、樹脂として入手したフッ素含有アクリレート(フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA及びフッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートC)は、メチルイソブチルケトンで40重量%濃度の溶液に調製した。これらの溶液に、光重合開始剤Aを2重量%添加したコート液を、PETフィルム上にバーコーターを用いて、乾燥厚みが5μmとなるように塗工し、80℃のオーブン内で1分間乾燥した。乾燥後の塗膜に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約1秒間照射し(紫外線照射量:300mJ/cm
2)、硬化膜を得た。得られた硬化膜の水接触角及び鉛筆硬度を測定した結果を表1に示す。なお、フッ素含量、(メタ)アクリロイル基含量、分子量(数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw)及び分子量分布(分散度)Mw/Mnも表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
なお、鉛筆硬度の「6B未満」とは、硬度6Bで塗膜がPETフィルムとの界面から削り取られたことを意味する。
【0109】
また、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートB(エステルB)とフッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートC(エーテルC)との
1H−NMRの分析結果を
図1に示す。
図1から明らかなように、エーテルCでは、3〜4ppm付近において、エーテル構造に含まれるH原子に特有なピークが観察できるが、エステルBでは観察できなかった。他のフッ素含有アクリレートについて、エーテルA,B及びDでは、エーテルCと同様のピークが観察でき、エステルAではエステルBと同様に観察できなかった。
【0110】
実施例1
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート90重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート10重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA0.5重量部、光重合開始剤B2重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#14を用いて、PETフィルム上に流延した後、70℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約5秒間照射し(紫外線照射量:120mJ/cm
2)、ハードコートフィルムを作製した。
【0111】
実施例2
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート60重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート40重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA0.5重量部、光重合開始剤B2重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法で流延及び紫外線照射を行い、ハードコートフィルムを作製した。
【0112】
実施例3
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート70重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA0.5重量部、光重合開始剤B2重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法で流延及び紫外線照射を行い、ハードコートフィルムを作製した。
【0113】
参考例1
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート90重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA0.5重量部、光重合開始剤B2重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法で流延及び紫外線照射を行い、ハードコートフィルムを作製した。
【0114】
実施例
4
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートAの割合を2.0重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0115】
参考例2
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートAの割合を5.0重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0116】
実施例
5
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートA0.5重量部の代わりに、フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートB2.0重量部を用いる以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0117】
参考例3
フッ素及びエステル含有ウレタンアクリレートBの割合を5.0重量部に変更する以外は実施例
5と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0118】
比較例1
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAの割合を10.0重量部に変更する以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0119】
比較例2
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートBの割合を10.0重量部に変更する以外は実施例5と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0120】
比較例3
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAの代わりに、フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートAを用いる以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0121】
比較例4
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAの代わりに、フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートBを用いる以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0122】
比較例5
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAの代わりに、フッ素含有ポリエーテルアクリレートを用いる以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0123】
比較例6
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAの代わりに、フッ素含有ポリエーテル型ウレタンアクリレートCを用いる以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0124】
比較例7
多官能ウレタンアクリレートA90重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート10重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートA1重量部、光重合開始剤B3重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法で流延及び紫外線照射を行い、ハードコートフィルムを作製した。
【0125】
比較例8
多官能ウレタンアクリレートB90重量部、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート10重量部、セルロースアセテートプロピオネート2重量部、フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートA1重量部、光重合開始剤3重量部を、メチルエチルケトン170重量部とメチルイソブチルケトン170重量部との混合溶剤に溶解した。この溶液を用いて、実施例1と同様の方法で流延及び紫外線照射を行い、ハードコートフィルムを作製した。
【0126】
比較例9
フッ素含有ポリエステル型ウレタンアクリレートAを配合しない以外は実施例1と同様の方法でハードコートフィルムを作製した。
【0127】
実施例
、参考例及び比較例で得られたハードコートフィルムの評価結果を表2及び3に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
表2及び3の結果から明らかなように、実施例のハードコートフィルムはスチールウール耐性及び防汚性ともに優れていた。これに対して、比較例のハードコートフィルムはスチールウール耐性が低く、比較例4〜6及び9は防汚性も低かった。