特許第6285740号(P6285740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285740
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】建物の屋根構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20180215BHJP
   E04B 7/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   E04B1/348 L
   E04B7/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-25162(P2014-25162)
(22)【出願日】2014年2月13日
(65)【公開番号】特開2015-151728(P2015-151728A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 一挙
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−037413(JP,U)
【文献】 特開2011−214322(JP,A)
【文献】 特開2007−016508(JP,A)
【文献】 特開2013−019139(JP,A)
【文献】 特開平07−127177(JP,A)
【文献】 特開2002−081137(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0162293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/38 − 1/61
E04B 7/00 − 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根上にソーラパネルが設置されている建物に適用され、
並べて設けられるとともに、野地板を下方から支える複数の屋根フレームと、
隣り合う前記屋根フレームの境界部に沿って延び、それら各屋根フレームの荷重をそれぞれ支える支持梁とを備える建物の屋根構造であって、
前記支持梁には、前記各屋根フレームの並ぶ並び方向に当該支持梁から張り出すようにしてブラケットが固定されており、
前記ブラケット上には、前記屋根フレームが載置された状態で支持されており、
前記支持梁の上面のうち一部は、前記隣り合う屋根フレームのいずれもが載置されていない非載置部となっており、
前記非載置部上には、前記ソーラパネルの荷重を下方から支える機器支持部が設けられていることを特徴とする建物の屋根構造。
【請求項2】
前記支持梁には、前記並び方向のいずれか一方側に当該支持梁から張り出すようにして前記ブラケットが固定されており、
前記隣り合う屋根フレームのうち一方の屋根フレームは前記ブラケット上に載置された状態で支持されており、
他方の屋根フレームは前記支持梁上に載置された状態で支持されていることを特徴とする請求項1に記載の建物の屋根構造。
【請求項3】
屋根部の一部が外壁よりも屋外側に張り出した屋根張出部となっており、
前記屋根張出部は、前記隣り合う屋根フレームと、それら各屋根フレームをそれぞれ支持する張出フレームとを備え、
前記張出フレームは、前記外壁よりも屋外側に張り出して設けられる複数の張出梁と、それら各張出梁にそれぞれ連結して設けられる複数の連結梁とを有し、
前記複数の連結梁は前記外壁から離間した位置にそれぞれ設けられ、それら各連結梁のうち最も前記外壁寄りに位置する前記連結梁が前記支持梁であり、
前記隣り合う屋根フレームは、前記屋根張出部の張出方向に並べて設けられているとともに、それら各屋根フレームの境界部に当該連結梁が位置するように配置されており、
当該連結梁には前記ブラケットが固定され、そのブラケット上に前記屋根フレームが載置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の屋根構造。
【請求項4】
前記外壁には、当該外壁に設けられた開口部を開閉するシャッタ装置が設けられ、
前記シャッタ装置は、少なくとも一部が前記屋根張出部に埋め込まれるようにして配設されており、その配設状態において最も前記外壁寄りの前記連結梁と前記外壁との間に位置していることを特徴とする請求項に記載の建物の屋根構造。
【請求項5】
前記隣り合う屋根フレームを支持する支持フレームを備え、
前記支持フレームは、前記隣り合う屋根フレームの境界部に設けられた前記支持梁を有しており、
前記支持梁には、前記並び方向のいずれか一方側に当該支持梁から張り出すようにして前記ブラケットが固定されており、
前記隣り合う屋根フレームのうち一方の屋根フレームは、前記ブラケット上に載置された状態で支持されており、
他方の屋根フレームは前記支持梁上に載置された状態で支持されており
前記機器支持部は、製造工場において予め前記支持梁に固定されるものであり、
前記他方の屋根フレームは、製造工場において予め前記支持梁上に載置された状態で前記支持フレームに組み付けられるものであり、
前記一方の屋根フレームは、施工現場において前記ブラケット上に載置されることで設置されるものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の建物の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、屋根部が陸屋根(フラットルーフ)として構成されている場合がある(例えば特許文献1参照)。陸屋根は、例えば横並びに設けられた屋根フレーム上に野地板が敷き詰められ、その野地板上に下葺き材や屋根仕上げ材等が敷設されることにより形成される。
【0003】
また、建物には、バルコニーが設けられている場合がある。バルコニーを備える建物では、陸屋根の一部を外壁よりも屋外側に張り出させ、その張出部分(以下、屋根張出部という)によりバルコニーを上方から覆うことがある。
【0004】
かかる屋根張出部では、その骨格(骨組み)を構成する張出フレームに屋根フレームを支持させる場合がある。張出フレームは、例えば外壁から屋外側に張り出して設けられる一対の張出梁と、それら各張出梁を連結する複数の連結梁とを有して構成される。この場合、屋根フレームは、例えば屋根張出部の張出方向に並べて設けられ、隣り合う屋根フレームの間の境界部に連結梁が位置するように配置される。このような配置状態では、隣り合う屋根フレーム(の端部)同士がそれぞれ連結梁上に載置されることで共通に支持されることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−214322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した構成において、屋根張出部の上にソーラパネルが設置される場合、ソーラパネルの荷重を下方から支える支持部材が張出フレーム上に設けられることが考えられる。例えば、支持部材が連結梁上に設けられることが考えられる。
【0007】
しかしながら、隣り合う屋根フレームをそれぞれ連結梁上に支持させる上述の構成では、隣り合う屋根フレーム(の端部)がそれぞれ連結梁上に載置されているため、連結梁上には支持部材を配設するためのスペースが存在しないことが想定される。この場合、連結梁上に支持部材を配設しようとしても、支持部材が連結梁上の屋根フレームと干渉してしまい、支持部材を安定した状態で配設することができないおそれがある。そのため、ソーラパネルの設置を断念せざるを得なくなってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、隣り合う屋根フレームがそれぞれ共通の支持梁に対して支持される構成にあって、さらにその支持梁上に屋根フレーム以外の部材を支持させることができる建物の屋根構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の屋根構造は、並べて設けられるとともに、野地板を下方から支える複数の屋根フレームと、隣り合う前記屋根フレームの境界部に沿って延び、それら各屋根フレームの荷重をそれぞれ支える支持梁とを備える建物の屋根構造であって、前記支持梁には、前記各屋根フレームの並ぶ並び方向に当該支持梁から張り出すようにしてブラケットが固定されており、前記ブラケット上には、前記屋根フレームが載置された状態で支持されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、隣り合う屋根フレームの境界部に沿って設けられた支持梁にそれら各屋根フレームがそれぞれ支持されている。このような構成にあって、支持梁には、隣り合う屋根フレームの並び方向に当該支持梁から張り出すようにしてブラケットが固定されており、そのブラケット上に屋根フレームが載置された状態で支持されている。この場合、その屋根フレームについては支持梁上に載置されないため、その分支持梁上に屋根フレームが載置されていない領域(非載置部)を広く確保することができる。これにより、隣り合う屋根フレームがそれぞれ(共通の)支持梁に対して支持される構成にあって、さらに支持梁上にて屋根フレーム以外の部材を支持させることが可能となる。
【0011】
第2の発明の建物の屋根構造は、第1の発明において、前記支持梁には、前記並び方向のいずれか一方側に当該支持梁から張り出すようにして前記ブラケットが固定されており、前記隣り合う屋根フレームのうち一方の屋根フレームは前記ブラケット上に載置された状態で支持されており、他方の屋根フレームは前記支持梁上に載置された状態で支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、隣り合う屋根フレームのうち一方の屋根フレームがブラケット上に載置された状態で支持され、他方の屋根フレームが支持梁上に載置された状態で支持されている。この場合、隣り合う各屋根フレームのうち一方の屋根フレームを支持するブラケットだけを支持梁に設ければよいため、両屋根フレームを支持するブラケットをそれぞれ支持梁に設ける場合と比べてブラケットの個数を少なくすることができる。そのため、部品点数の削減を図りながら、上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0013】
ここで、ブラケットによる屋根フレームの支持構成としては、ブラケットを支持梁の長手方向に沿って所定の間隔で複数配置し、それら複数のブラケット上に跨がるようにして屋根フレームを載置支持する構成が考えられる。このような構成に本発明を適用すれば、部品点数(ブラケット)の削減を大いに図ることが可能となる。
【0014】
第3の発明の建物の屋根構造は、第1又は第2の発明において、屋根上に機器が設置されている建物に適用され、前記支持梁の上面のうち一部は、前記隣り合う屋根フレームのいずれもが載置されていない非載置部となっており、前記非載置部上には、前記機器の荷重を下方から支える機器支持部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
住宅等の建物では、屋根部にソーラパネル等の機器が設置される場合がある。かかる機器は一般に重量が大きいため、機器の荷重を下方から支える機器支持部が屋根部を構成する骨組み(フレーム)上に設けられることが考えられる。その場合、機器支持部が例えば支持梁上に設けられることが考えられる。この点、本発明では、隣り合う屋根フレームのうち少なくともいずれかをブラケット上に載置することで支持梁の上面に各屋根フレームのいずれもが載置されていない非載置部を形成し、その非載置部上に機器支持部を設けるようにしている。これにより、隣り合う屋根フレームがそれぞれ共通の支持梁により支持される構成にあって、さらに、その支持梁上に機器支持部ひいては機器の荷重を支持させることが可能となる。
【0016】
第4の発明の建物の屋根構造は、第1乃至第3のいずれかの発明において、屋根部の一部が外壁よりも屋外側に張り出した屋根張出部となっており、前記屋根張出部は、前記隣り合う屋根フレームと、それら各屋根フレームをそれぞれ支持する張出フレームとを備え、前記張出フレームは、前記外壁よりも屋外側に張り出して設けられる複数の張出梁と、それら各張出梁にそれぞれ連結して設けられる複数の連結梁とを有し、前記複数の連結梁は前記外壁から離間した位置にそれぞれ設けられ、それら各連結梁のうち最も前記外壁寄りに位置する前記連結梁が前記支持梁であり、前記隣り合う屋根フレームは、前記屋根張出部の張出方向に並べて設けられているとともに、それら各屋根フレームの境界部に当該連結梁が位置するように配置されており、当該連結梁には前記ブラケットが固定され、そのブラケット上に前記屋根フレームが載置されていることを特徴とする。
【0017】
屋根張出部では、張出梁と連結梁とを有してなる張出フレームが設けられ、その張出フレームにより屋根フレームが支持される場合がある。ここで、外壁にシャッタ装置等の機器が取り付けられる場合、屋根張出部内のデッドスペースの有効利用を図る等の目的で、機器の少なくとも一部が屋根張出部に埋め込まれるように取り付けられることが考えられる。この場合、かかる機器が(外壁寄りの)連結梁と干渉するのを回避するために、当該連結梁が外壁から屋外側に離間させて配置されることが考えられる。
【0018】
ここで、かかる構成において、張出フレームに屋根フレームを支持させる場合、屋根フレームを上記連結梁の位置で複数に分割(分断)して配置する必要が生じる場合が考えられる。この場合、分断されて隣り合う屋根フレーム同士が、互いの境界部に連結梁が位置するように配置されることになるため、これら各屋根フレームを共通の連結梁に対して支持させる事情が発生する。そこで本発明では、このような点に鑑みて、かかる構成(詳しくは当該連結梁)に第1の発明を適用している。この場合、屋根張出部において分断された(隣り合う)各屋根フレームをそれぞれ共通の連結梁により支持することができ、またその連結梁上にさらに屋根フレーム以外の別の部材を支持させる事情が生じた場合には、その別の部材についても支持させることが可能となる。
【0019】
第5の発明の建物の屋根構造は、第4の発明において、前記外壁には、当該外壁に設けられた開口部を開閉するシャッタ装置が設けられ、前記シャッタ装置は、少なくとも一部が前記屋根張出部に埋め込まれるようにして配設されており、その配設状態において最も前記外壁寄りの前記連結梁と前記外壁との間に位置していることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、屋根張出部に少なくとも一部が埋め込まれるようにしてシャッタ装置が設けられるため、屋根張出部内のスペースの有効利用を図りながらシャッタ装置を設置することができる。また、このようにシャッタ装置を埋め込み式としたことで、(外壁寄りの)連結梁がシャッタ装置との干渉を回避すべく外壁から離間して配置され、さらにはそれに伴って屋根フレームが当該連結梁により分断配置される事情が発生するが、この点については上記第4の発明を適用することで、隣り合う屋根フレームをそれぞれ当該連結梁に支持させながら、それ以外の部材を連結梁に支持させることができる。
【0021】
第6の発明の建物の屋根構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記隣り合う屋根フレームを支持する支持フレームを備え、前記支持フレームは、前記隣り合う屋根フレームの境界部に設けられた前記支持梁を有しており、前記支持梁には、前記並び方向のいずれか一方側に当該支持梁から張り出すようにして前記ブラケットが固定されており、前記隣り合う屋根フレームのうち一方の屋根フレームは、前記ブラケット上に載置された状態で支持されており、他方の屋根フレームは前記支持梁上に載置された状態で支持されており、前記支持梁の上面において前記他方の屋根フレームが載置されていない部分には、屋根上に設置された機器の荷重を下方から支える機器支持部が設けられており、前記機器支持部は、製造工場において予め前記支持梁に固定されるものであり、前記他方の屋根フレームは、製造工場において予め前記支持梁上に載置された状態で前記支持フレームに組み付けられるものであり、前記一方の屋根フレームは、施工現場において前記ブラケット上に載置されることで設置されるものであることを特徴とする。
【0022】
隣り合う屋根フレームを支持する支持フレームを備える構成では、それら屋根フレームのうち一方を製造工場で支持フレームに組み付け(先付けし)、他方を施工現場で設置(後付け)する場合が考えられる。ここで、施工現場で屋根フレームを後付けする場合には、屋根フレームをクレーン等で吊り下げ支持しながら後付けすることが考えられる。そのため、後付けの屋根フレームを支持梁上に載置する構成とすると、屋根フレームが同じく支持梁上に設けられた機器支持部と干渉し、機器支持部が破損する等の不都合が生じるおそれがある。そこで本発明では、この点に鑑みて、先付けの屋根フレーム(他方の屋根フレーム)を支持梁上に載置し、後付けの屋根フレーム(一方の屋根フレーム)をブラケット上に載置するようにしている。これにより、現場で後付けの屋根フレームを設置する際に、屋根フレームが機器支持部と干渉するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ユニット式建物の全体を示す斜視図。
図2】建物ユニットの斜視図。
図3】バルコニー上方の屋根部周辺の構成を示す縦断面図。
図4】屋根部に設けられた屋根フレームを示す平面図。
図5】建物ユニットに張出フレームが連結された状態を示す平面図。
図6】各張出屋根フレームの境界部周辺の構成を示す縦断面図。
図7】屋根張出部の製造手順を説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物が複数の建物ユニットにより構築されたユニット式建物となっている。図1は、そのユニット式建物の全体を示す斜視図である。
【0025】
図1に示すように、建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建てとなっている。建物本体12は、複数の建物ユニット20が互いに組み合わされることにより構成されている。
【0026】
建物本体12の二階部分15にはバルコニー16が設けられている。バルコニー16は、2方の側面が外壁17により囲まれており、残りの2方の側面が屋外に開放されている。外壁17には、掃き出し窓からなる窓部18が形成されている。この窓部18を通じて居室24(図3参照)からバルコニー16への出入りを行うことが可能となっている。また、バルコニー16における屋外への開放部分には腰壁19が設けられている。
【0027】
なお、バルコニー16は、二階部分15において建物ユニット20を一部設けないようにすることで形成された一階部分14の建物ユニット20上の空間を利用して形成されている。また、これに代えて、二階部分15の建物ユニット20を一階部分14の建物ユニット20に対してセットバック(後退)させて配置し、それによって形成される一階部分14の建物ユニット20上の空間をバルコニー16の形成に利用するようにしてもよい。
【0028】
屋根部13は、陸屋根(フラットルーフ)として構成されており、その周縁部にはパラペット31が設けられている。屋根部13には、建物本体12よりも屋外側に張り出してバルコニー16を上方から覆う屋根張出部32(軒部)が設けられている。屋根張出部32の荷重の一部はバルコニー16の出隅部分に立設された支持柱33により支持されている。
【0029】
図2には建物ユニット20の斜視図を示す。図2に示すように、建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備えている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。
【0030】
建物ユニット20の長辺部の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
【0031】
次に、屋根部13の構成について図3及び図4に基づいて説明する。図3は、バルコニー16上方の屋根部13周辺の構成を示す縦断面図である。図4は、屋根部13に設けられた屋根フレームを示す平面図である。
【0032】
図3に示すように、バルコニー16は外壁17によって居室24と仕切られている。外壁17は、横並びに設けられた複数の外壁パネル35により構成されており、それらの外壁パネル35は建物ユニット20の側面に対して取り付けられている。外壁パネル35は、バルコニー16(屋外)に面して設けられた外壁面材36と、外壁面材36の裏面側に固定された下地フレーム37とを有している。外壁面材36は、窯業系サイディングにより構成されている。
【0033】
居室24の天井部には天井面材27が設けられている。天井面材27は2枚重ねの石膏ボードよりなり、野縁29を介して天井大梁22の下面に取り付けられている。天井面材27の上方空間(天井裏空間)には天井断熱材47が設けられ、天井大梁22の溝部には梁断熱材48が設けられている。天井断熱材47と梁断熱材48とはいずれもグラスウールよりなる。
【0034】
図3及び図4に示すように、建物ユニット20の上方にはユニット屋根フレーム40が設けられている。ユニット屋根フレーム40は、複数の梁材が矩形枠状に組み合わせられることにより形成されており、建物ユニット20の各長辺側の天井大梁22上に架け渡されて設けられている。なお、図4では便宜上、建物ユニット20を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0035】
ユニット屋根フレーム40は、互いに対向して設けられた一対の対向梁41(梁材)と、それら各対向梁41の間に架け渡されて設けられた複数の小梁42(梁材)とを備える。各対向梁41はそれぞれ断面L字状の鋼材よりなり、小梁42は角形鋼又は溝形鋼よりなる。各小梁42はそれぞれ対向梁41と直交する向きで各対向梁41の間に架け渡されて固定されている。
【0036】
ユニット屋根フレーム40は、各対向梁41がそれぞれ建物ユニット20の(長辺側の)天井大梁22上に載置されることにより設置されている。対向梁41は天井大梁22に対して複数のボルト81により固定されている。これにより、ユニット屋根フレーム40が各天井大梁22に固定され、ひいては建物ユニット20に固定されている。
【0037】
続いて、屋根張出部32の構成について説明する。
【0038】
屋根張出部32においてその底部には軒天板51が設けられている。軒天板51は、所定の耐火性能を有する板状の不燃材よりなる。軒天板51は、外壁17と屋根張出部32の先端部(屋外側端部)との間に架け渡されて設けられている。
【0039】
外壁17において窓部18よりも上方には、シャッタ装置52が設けられている。シャッタ装置52は、昇降することで窓部18を開閉するシャッタカーテン53と、そのシャッタカーテン53を巻き取り状態で収納するシャッタボックス54とを備える。シャッタカーテン53は、例えばスラット式のシャッタカーテン53である。シャッタボックス54は、そのほぼ全体が屋根張出部32に埋め込まれるようにして外壁17に取り付けられている。そのため、シャッタボックス54は、その下面側の一部のみが下方に露出した状態となっている。この場合、軒天板51の上方の空間(軒天裏空間)を有効利用してシャッタ装置52の設置が可能となることに加え、外壁17に形成された窓部18を上方に拡張することが可能となる。
【0040】
屋根張出部32は、当該屋根張出部32の骨格(骨組み)を構成する張出フレーム55を備える。張出フレーム55は、その一端部(屋内側の端部)が建物ユニット20に連結されており、その連結状態で屋外側(バルコニー16の上方位置)に張り出すように設けられている。なお、張出フレーム55が支持フレームに相当する。
【0041】
図5には、建物ユニット20に張出フレーム55が連結された状態を示している。図3及び図5に示すように、張出フレーム55は、全体として矩形形状をなしており、その長手方向の長さが建物ユニット20の長手方向の長さと略同じとされている。張出フレーム55は、一端部が建物ユニット20の柱21に固定され他端側が屋外側へ向けて延びる一対の張出梁56と、それら各張出梁56の間を連結する2本の連結梁57とを備える。各張出梁56は、断面コ字状の溝形鋼よりなる。各張出梁56は外壁17(外壁面)に対して直交する向きで設けられ、互いの溝部を向き合わせた状態で配置されている。
【0042】
各連結梁57は、断面コ字状の溝形鋼よりなる。各連結梁57は、張出梁56に対して直交する向きに延びており、互いの溝部を向き合わせた状態で配置されている。各連結梁57のうち一方の連結梁57(以下、その符号にaを付す)は各張出梁56の先端部(屋外側端部)の間を連結しており、他方の連結梁57(以下、その符号にbを付す)は各張出梁56の中間部の間を連結している。
【0043】
なお、上述のシャッタ装置52は外壁17と屋内側の連結梁57bとの間に配設されている。本実施形態では、シャッタ装置52を張出フレーム55と同じ高さ位置に配置することができるように、連結梁57bを外壁17から屋外側に離間させて配置しており、それによって形成された外壁17と連結梁57bとの間のスペースにシャッタ装置52を配設している。
【0044】
各連結梁57a,57bの間には、張出梁56に平行となる向きで複数の小梁58が架け渡されている。小梁58は、張出梁56や連結梁57よりも小さい断面寸法を有する鉄鋼材よりなり、例えば溝形鋼又は角形鋼からなる。
【0045】
図3に示すように、各小梁58にはそれぞれ、小梁58よりも下方へと延びる吊り下げ支持材67が固定されている。それら各吊り下げ支持材67の下端には軒天板51の下地材68が固定されている。また、連結梁57bには、吊り下げ支持材67とは別の吊り下げ支持材69が固定されている。吊り下げ支持材69は、それよりも屋内側へ延びかつ下方へと延びており、その下端には下地材68が固定されている。これらの下地材68はいずれも、小梁58と直交する方向に延びる長尺材よりなり、これら下地材68の下面に対して軒天板51がビス等で取り付けられている。
【0046】
図3及び図4に示すように、張出フレーム55には、2つの張出屋根フレーム60,70が設けられている。これら各張出屋根フレーム60,70は屋根張出部32の張出方向(屋内外方向)に横並びで設けられており、連結梁57bによって屋内外方向に分断されて配置されている。つまり、これら各張出屋根フレーム60,70は、互いの境界部に連結梁57bが位置するように配置されている。各張出屋根フレーム60,70のうち、屋外側の張出屋根フレーム60は張出フレーム55の各連結梁57a,57bの間に架け渡されて設けられており、屋内側の張出屋根フレーム70は屋内側の連結梁57bと建物ユニット20の天井大梁22との間に架け渡されて設けられている。なお、図4では便宜上、張出フレーム55を二点鎖線(仮想線)で示している。
【0047】
各張出屋根フレーム60,70はいずれも、複数の梁材が矩形枠状に組み合わせられることにより形成されている。各張出屋根フレーム60,70の長手方向(屋根張出部32の幅方向)の長さはいずれも同じ長さとなっており、張出フレーム55の長手方向の長さよりも若干小さくなっている。
【0048】
張出屋根フレーム60は、互いに対向して設けられた一対の対向梁61(梁材)と、それら各対向梁61の間に架け渡されて設けられた複数の小梁62(梁材)とを備える。各対向梁61はそれぞれ断面L字状の鋼材よりなり、互いに平行となる向きで配置されている。各対向梁61はそれぞれ連結梁57a,57b上に支持される被支持部64と、被支持部64のフレーム内側の端部から上方に立ち上がる立ち上がり部65とを有している。
【0049】
小梁62は、鉄鋼材よりなり、例えば角形鋼又は溝形鋼よりなる。各小梁62はそれぞれ対向梁61と直交する向きで各対向梁61の間に架け渡されており、その両端部が各対向梁61の立ち上がり部65に溶接等により固定されている。
【0050】
張出屋根フレーム60は、各対向梁61がそれぞれ張出フレーム55の各連結梁57a,57b上に載置されることにより設置されている。各対向梁61はそれぞれ各連結梁57a,57bに沿って配置され、各々の被支持部64がそれぞれ各連結梁57a,57b上に載置された状態で当該連結梁57a,57bにボルト66により固定されている。なお、ボルト66は対向梁61(連結梁57a,57b)に沿って所定の間隔で複数配置されている。このように、張出屋根フレーム60は各連結梁57a,57bにより支持された状態で設置されており、ひいては張出フレーム55により支持された状態で設置されている。また、以下の説明では、各対向梁61のうち屋外側の対向梁61の符号にaを付し、屋内側の対向梁61の符号にbを付す。
【0051】
張出屋根フレーム70は、張出屋根フレーム60と基本的に同じ構成を有している。すなわち、張出屋根フレーム70は、張出屋根フレーム60と同様、互いに対向して設けられた一対の対向梁71(梁材)と、それら各対向梁71の間に架け渡されて設けられた複数の小梁72(梁材)とを備える。対向梁71は、対向梁61と同じく断面L字状の鋼材よりなり、横向きの被支持部74と縦向きの立ち上がり部75とをそれぞれ有している。
【0052】
小梁72は、小梁62と同じ鉄鋼材よりなる。小梁72は、各対向梁71の間に小梁62と同じピッチで複数架け渡されており、その両端部が各対向梁71の立ち上がり部75に溶接等により固定されている。
【0053】
張出屋根フレーム70は、屋外側の対向梁71aが連結梁57bに固定されたブラケット76上に載置され、かつ、屋内側の対向梁71bが建物ユニット20の天井大梁22に固定されたブラケット83上に載置されることにより設置されている。屋外側の対向梁71aは連結梁57bに沿って配置され、その被支持部74が当該連結梁57bの屋内側に固定されたブラケット76上に載置された状態で当該ブラケット76にボルト84により固定されている。
【0054】
一方、屋内側の対向梁71bは建物ユニット20の天井大梁22に沿って配置され、その被支持部74が天井大梁22上に固定されたブラケット83上に載置された状態で当該ブラケット83にボルト85により固定されている。ブラケット83は、天井大梁22に沿って延びる長尺材であり、天井大梁22上にボルト81でユニット屋根フレーム40の対向梁41とともに(共締め)固定されている。なお、ボルト85は、対向梁71bに沿って所定の間隔で複数配置されている。
【0055】
このように、張出屋根フレーム70は対向梁71b及び天井大梁22に対しそれぞれブラケット76,83を介して固定されている。これにより、張出屋根フレーム70はそれらブラケット76,83を介して対向梁71b及び天井大梁22に支持された状態で設置されており、ひいては張出フレーム55及び建物ユニット20に支持された状態で設置されている。
【0056】
上述したユニット屋根フレーム40及び各張出屋根フレーム60,70の設置状態において、それら各屋根フレーム40,60,70は横並びで配置されている。これら各屋根フレーム40,60,70(詳しくは小梁42,62,72)の上面はいずれも同一平面上に位置しており、各屋根フレーム40,60,70の上には複数の野地板77が横並びで設けられている。これら野地板77は、各屋根フレーム40,60,70の小梁42,62,72上に載置された状態で当該小梁42,62,72に対しビス等で固定されている。それら野地板77の上には屋根断熱材78が敷設されている。屋根断熱材78は硬質ウレタンフォーム等からなる。また、屋根断熱材78の上には葺き材79が敷設されている。葺き材79は耐水皮膜が施された鋼板よりなる。葺き材79は、屋根部13の屋根面を形成しており、さらにはパラペット31側の端部で上方に立ち上げられてパラペット31の内側面を形成している。
【0057】
ここで、上述したように、各張出屋根フレーム60,70の境界部には張出フレーム55の連結梁57bが位置しており、その連結梁57bに対して各張出屋根フレーム60,70がそれぞれ支持されている。以下では、かかる連結梁57bに対する各張出屋根フレーム60,70の支持構成について図4に加え図6を用いながら詳しく説明する。図6は、各張出屋根フレーム60,70の境界部周辺の構成を示す縦断面図である。
【0058】
図4及び図6に示すように、連結梁57bの屋外側にはブラケット76が固定されている。ブラケット76は、鋼板により断面L字状に形成されており、連結梁57bから屋内側に張り出すようにして設けられている。ブラケット76は、連結梁57bの(ウェブの)屋内側面に溶接固定された固定部76aと、固定部76aの上端部から屋内側へ延びる(張り出す)支持部76bとを有する。なお、固定部76aは連結梁57bにボルト等の締結具により固定してもよい。
【0059】
支持部76bは、その上面が連結梁57bの上面と同じ高さ位置に設定されている。支持部76bは、その幅詳しくは屋内外方向の長さ(換言すると両張出屋根フレーム60,70の並び方向の長さ)が、連結梁57bの幅よりも小さくなっており、具体的には連結梁57bの幅の約半分となっている。
【0060】
また、ブラケット76には、その幅方向の両端部にそれぞれ固定部76aと支持部76bとを連結する三角板状の補強部76c(補強リブ)が設けられている。この補強部76cによりブラケット76の支持強度が高められている。
【0061】
ブラケット76は、連結梁57bの長手方向に沿って所定の間隔で複数配置されている。これら各ブラケット76の支持部76b上には張出屋根フレーム70の対向梁71aが設けられている。対向梁71aの被支持部74はこれら各ブラケット76の支持部76b上に跨がる状態で載置されており、その載置状態でそれら各支持部76bにボルト84により固定されている。詳しくは、このボルト84は、被支持部74に形成された孔部74aと支持部76bに形成された孔部94とにそれぞれ挿通されており、その挿通状態で支持部76bの裏面に溶接固定されたナット95(ウェルディングナット)に締結されている。
【0062】
一方、連結梁57b上には、張出屋根フレーム60の対向梁61b(被支持部64)が載置された状態で設けられている。被支持部64は、連結梁57b(上フランジ)の上面における屋外側の部分に載置されており、連結梁57bの上面における屋内側の部分は被支持部64(及び対向梁71aの被支持部74)が載置されていない非載置部97となっている。より詳しくは、被支持部64は、連結梁57bの上面における屋外側の略半分を占めるように載置されており、それ故連結梁57bの上面における屋内側の略半分が非載置部97となっている。
【0063】
ここで、非載置部97は、張出屋根フレーム70の対向梁71aが連結梁57bから屋内側に張り出したブラケット76上に載置されることにより形成されている。つまり、本建物10では、各張出屋根フレーム60,70のうち一方の張出屋根フレーム70(対向梁71a)が連結梁57b上に載置されていない分、連結梁57b上に各張出屋根フレーム60,70のいずれもが載置されていない領域が発生し、その領域が非載置部97となっている。
【0064】
被支持部64は、連結梁57b(非載置部97)上に載置された状態で当該連結梁57bに複数のボルト66により固定されている。詳しくは、このボルト66は、被支持部64に形成された孔部64aと、連結梁57bの上フランジに形成された孔部92とにそれぞれ挿通され、その挿通状態で上フランジの下面に溶接固定されたナット93(ウェルディングナット)に締結されている。
【0065】
ところで、本実施形態の建物10には、屋根部13上にソーラパネル(図示略)が設置されており、そのソーラパネル(機器に相当)の荷重を下方から支える支持ブラケット98が連結梁57b上に設けられている。つまり、本建物10では、連結梁57bに、上述した2つの張出屋根フレーム60,70が支持されていることに加え、支持ブラケット98が支持されている。
【0066】
支持ブラケット98は、断面L字状の鋼板により形成された縦板部98a及び横板部98bを有している。縦板部98aの下端部は連結梁57bの上面に溶接により固定されている。横板部98bは縦板部98aの上端部から屋外側に向けて延びている。また、支持ブラケット98には、幅方向の両端部にそれぞれ縦板部98a及び横板部98bを連結する矩形平板状の一対の補強板部98cが設けられている。これら補強板部98cにより支持ブラケット98の支持強度が高められている。各補強板部98cの下端部はそれぞれ連結梁57bの上面に溶接により固定されている。なお、支持ブラケット98が機器支持部に相当する。
【0067】
支持ブラケット98は、連結梁57bの上面のうち非載置部97に配設されている。この場合、支持ブラケット98は、張出屋根フレーム60の対向梁61(被支持部64)と連結梁57bの幅方向に並んで配置されており、対向梁61(被支持部64)との干渉が回避されている。詳しくは、支持ブラケット98は、連結梁57b上において幅方向(短手方向)の略中央部に配置されており、被支持部64に対して近接した位置にある。なお、支持ブラケット98は、被支持部64に対して当接させて配置されていてもよい。
【0068】
支持ブラケット98は、連結梁57b上にその長手方向に沿って所定の間隔で複数配置されている。詳しくは、支持ブラケット98は、連結梁57bの長手方向において各張出屋根フレーム60,70の小梁62,72と同位置に配置されている。
【0069】
支持ブラケット98の横板部98bには、上下に延びるアンカーボルト101の下部が固定されている。アンカーボルト101の上部には、葺き材79上に設けられた架台99が固定されている。架台99は葺き材79上にて複数箇所に点在させて設けられている。それら複数の架台99の上には、支持レール102が架け渡されて設けられている。支持レール102は互いに平行となるよう複数本配設され、それら複数の支持レール102に架け渡されるようにしてソーラパネル(図示略)が設置されている。
【0070】
なお、連結梁57の上方にある野地板77及び屋根断熱材78には支持ブラケット98との干渉を回避すべく、支持ブラケット98の配置箇所に対応させて孔部104が形成されている。
【0071】
次に、建物10の製造手順について説明する。ここでは、屋根張出部32に関する製造手順を中心として図7に基づいて説明する。なお、図7は、屋根張出部32の製造手順を説明するための説明図である。
【0072】
まず製造工場では、建物本体12を構成する各建物ユニット20を製造する。この際、二階部分15を構成する各建物ユニット20上にはユニット屋根フレーム40を設置する。また、バルコニー16と隣接配置される(換言すると居室24を形成する)建物ユニット20の天井大梁22上にはブラケット83を取り付けておく。
【0073】
製造工場では、図7(a)に示すように、建物ユニット20の他に、屋根張出部32を構成する張出フレーム55及び各張出屋根フレーム60,70を製造する。張出フレーム55の連結梁57bには、各ブラケット76をそれぞれ溶接固定するとともに、各支持ブラケット98をそれぞれ溶接固定する。また、各張出屋根フレーム60,70のうち屋外側の張出屋根フレーム60については張出フレーム55に予め組み付けておく。
【0074】
建物ユニット20、張出フレーム55(張出屋根フレーム60を含む)及び張出屋根フレーム70をそれぞれ製造した後、それらをトラック等により施工現場へ搬送する。
【0075】
施工現場では、まず各建物ユニット20を所定位置に設置するとともに、それら各建物ユニット20を連結部材(ドッキングプレート等)を介して互いに連結する作業を行う。その作業を終えた後、図7(b)に示すように、建物ユニット20に張出フレーム55を組み付ける作業を行う。この作業は、クレーンにより張出フレーム55を吊り下げ支持しながら行う。
【0076】
張出フレーム55を建物ユニット20に組み付けた後、図7(c)に示すように、張出フレーム55に対して張出屋根フレーム70を設置する作業を行う。この作業も、クレーンにより張出屋根フレーム70を吊り下げ支持しながら行う。この設置の際、張出屋根フレーム70の対向梁71bを各ブラケット76の支持部76b上に跨がるように載置し、その載置状態で各ブラケット76(支持部76b)にボルト84により固定する。また、対向梁71aを、建物ユニット20の天井大梁22に固定されたブラケット83上に載置し、その載置状態でブラケット83にボルト85により固定する。これにより、張出屋根フレーム70が張出フレーム55(及び建物ユニット20)に組み付けられる。
【0077】
その後、張出フレーム55に軒天板51等を組み付ける作業を行う。また、各屋根フレーム40,60,70上に野地板77を敷き詰めて、それら野地板77上に屋根断熱材78や葺き材79を敷設する作業を行う。さらには、パラペット31を設置する作業を行う。これらの作業を行うことで屋根部13が形成され、建物10が構築される。なお、野地板77や屋根断熱材78については、製造工場にて予め屋根フレーム40,60,70上に組み付けるようにしてもよい。
【0078】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0079】
隣り合う張出屋根フレーム60,70をそれぞれ張出フレーム55の連結梁57bに支持させる構成にあって、その連結梁57bに当該連結梁57bから屋内側に張り出すようにしてブラケット76を固定した。そして、そのブラケット76上に張出屋根フレーム70(一方の屋根フレームに相当)を載置した状態で支持させるようにし、連結梁57b上に張出屋根フレーム60(他方の屋根フレームに相当)を載置した状態で支持させるようにした。この場合、張出屋根フレーム70が連結梁57b上に載置されていない分、連結梁57b上に張出屋根フレーム60,70が載置されていない領域(非載置部97)を広く確保することができる。これにより、隣り合う張出屋根フレーム60,70がそれぞれ共通の連結梁57bにより支持される構成にあって、さらに連結梁57b上に張出屋根フレーム60,70以外の部材を支持させることが可能となる。
【0080】
具体的には、連結梁57bにおける非載置部97上に、屋根部13上に設置されたソーラパネルの荷重を支える支持ブラケット98を載置して支持させた。これにより、隣り合う張出屋根フレーム60,70がそれぞれ共通の連結梁57bにより支持される構成にあって、さらに、その連結梁57bにソーラパネルの荷重を支持させることができる。
【0081】
隣り合う張出屋根フレーム60,70のうち一方の張出屋根フレーム70をブラケット76上に載置して支持させ、他方の張出屋根フレーム60が連結梁57b上に載置して支持させるようにしたため、隣り合う張出屋根フレーム60,70のうち一方の張出屋根フレーム70を支持するブラケット76だけを連結梁57bに設ければよい。そのため、両張出屋根フレーム60,70を支持するブラケットをそれぞれ連結梁57bに設ける場合と比べてブラケットの個数を少なくすることができる。これにより、部品点数の削減を図りながら、上述した各効果を得ることができる。
【0082】
特に、上記の実施形態では、ブラケット76を連結梁57bの長手方向に複数配置し、それら複数のブラケット76上に跨がる状態で張出屋根フレーム70を支持させる構成を採用しているため、部品点数の削減効果を大きな効果として得ることができる。
【0083】
張出屋根フレーム60を製造工場にて張出フレーム55に組み付け(先付けし)、張出屋根フレーム70を施工現場にて設置する(後付けする)構成にあって、張出屋根フレーム70をブラケット76上に載置支持し、張出屋根フレーム60を連結梁57b上に載置支持するようにした。この場合、施工現場において張出屋根フレーム70をクレーン等で吊り下げ支持しながら設置する際、張出屋根フレーム70の対向梁71aをブラケット76上に載置すればよいため、対向梁71aを連結梁57b上に予め固定された支持ブラケット98に干渉させてしまい支持ブラケット98を破損させてしまうといった不都合の発生を抑制することができる。
【0084】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0085】
(1)上記実施形態では、ブラケット76を連結梁57bから屋内側に張り出すように設け、そのブラケット76上に屋内側の張出屋根フレーム70(対向梁71a)を支持させるようにしたが、これを変更して、ブラケット76を連結梁57bから屋外側に張り出すように設け、そのブラケット76上に屋外側の張出屋根フレーム60(対向梁61b)を支持させるようにしてもよい。その場合でも、連結梁57b上に張出屋根フレーム60が載置されていない分、連結梁57b上にて非載置部97を広く確保することができ、その結果連結梁57b上に支持ブラケット98を支持させることが可能となる。
【0086】
また、ブラケット76を連結梁57bの屋内側及び屋外側のそれぞれに設け、それら各ブラケット76により両張出屋根フレーム60,70をそれぞれ支持するようにしてもよい。この場合、連結梁57b上に各張出屋根フレーム60,70のいずれも載置されないため、連結梁57b上にて非載置部97をより一層広く確保することが可能となる。
【0087】
(2)上記実施形態では、ブラケット76を短尺状に形成し、それを連結梁57bの長手方向に所定間隔で複数配置したが、これを変更して、ブラケット76を連結梁57bの長手方向に沿った長尺状に形成してもよい。その場合、ブラケット76の個数削減を図ることができる。
【0088】
(3)上記実施形態では、ブラケット76をL字状に形成したが、ブラケット76の形態は必ずしもこれに限定されない。例えば、ブラケット76を、四角筒状に形成したり、コ字状に形成したりすることが考えられる。
【0089】
(4)上記実施形態では、張出屋根フレーム70を施工現場にて屋根フレーム55(及び建物ユニット20)に組み付けるようにしたが、これを変更して、張出屋根フレーム70を製造工場にて屋根フレーム55に組み付けるようにしてもよい。例えば、張出屋根フレーム70の両端の小梁72をそれぞれ張出フレーム55の各張出梁56と連結部材を介して連結し一体化すれば、製造工場にて張出屋根フレーム70を張出フレーム55に組み付けることが可能となる。この場合、施工現場にて張出屋根フレーム70を設置しなくても済むため、その分施工工数の削減を図ることができる。
【0090】
(5)上記実施形態では、連結梁57b上にソーラパネルの荷重を支える支持ブラケット98を設けたが、連結梁57b上に支持ブラケット98以外の部材を設けてもよい。例えば、屋根部13上には、空調装置の室外機(機器に相当)が設置されることが考えられるが、その場合にその室外機の荷重を支える支持ブラケット(機器支持部に相当)を連結梁57b上に設けるようにしてもよい。
【0091】
(6)ソーラパネルは、建物10の施工後に後付けで屋根部13上に設置される場合が考えられる。その場合でも、施工時に、張出屋根フレーム70をブラケット76上に載置することで連結梁57b上に非載置部97を形成しておけば、ソーラパネルを設置する際に連結梁57b(非載置部97)上に支持ブラケット98を配設することができる。
【0092】
(7)上記実施形態では、屋根張出部32において横並びに設けられる2つ張出屋根フレーム60,70に本発明の屋根構造を適用したが、建物ユニット20上において横並びに設けられる2つのユニット屋根フレーム40に本発明を適用してもよい。例えば、建物ユニット20上の屋根構成として、建物ユニット20の対向する一対の(長辺側の)天井大梁22間に支持梁を架け渡し、その支持梁を挟んで隣り合う2つの屋根フレーム40をその支持梁に共通に支持させる構成が考えられる。そこで、そのような構成に対して本発明を適用してもよい。
【0093】
(8)上記実施形態では、陸屋根を構成する屋根部13に本発明の屋根構造を適用したが、例えば切妻屋根や寄棟屋根等の傾斜屋根を構成する屋根部(傾斜屋根部)に本発明を適用してもよい。傾斜屋根部においては、その屋根傾斜に沿って屋根フレームが並べて設けられることが考えられるが、その場合にもそれ各屋根フレーム間に支持梁が配置されている場合には、本発明の屋根構造を適用することができる。
【0094】
(9)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0095】
10…建物、13…屋根部、17…外壁、18…開口部としての窓部、20…建物ユニット、32…屋根張出部、40…ユニット屋根フレーム、52…シャッタ装置、55…支持フレームとしての張出フレーム、56…張出梁、57…連結梁、57b…支持梁としての連結梁、60…屋根フレームとしての張出屋根フレーム、70…屋根フレームとしての張出屋根フレーム、76…ブラケット、97…非載置部、98…機器支持部としての支持ブラケット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7