【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、総務省、マルチバンド・マルチモード対策センサー無線通信基盤技術に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ホスト装置は、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へとネゴシエーションを順次試行することによって、前記ホスト側デバイス通信部との通信に使用する前記ホスト側通信方式を決定する装置である、
請求項4に記載のデータ転送装置。
前記ホスト側デバイス通信部において、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーション情報が取得されたとき、取得された前記ネゴシエーション情報を格納するデバイス情報格納部、を更に有し、
前記ホスト側デバイス通信部は、
使用する前記ホスト側通信方式が、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へと切り替わるとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションを実施せずに、前記デバイス情報格納部に格納された前記ネゴシエーション情報を使用する、
請求項4に記載のデータ転送装置。
前記データ転送装置は、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へとネゴシエーションを順次試行することによって、前記ホスト装置との通信に使用する前記ホスト側通信方式を決定する装置であり、
前記ホスト通信部は、
前記データ転送装置と前記第1のホスト側通信方式での通信を開始するとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションが実施されるまで、前記ホスト通信部が前記第1のホスト側通信方式に対応していることを、前記データ転送装置に対して秘匿にする、
請求項10に記載のホスト装置。
複数のホスト側通信方式に対応し、ホスト装置と通信を行うホスト側デバイス通信部と、前記複数のホスト側通信方式の通信速度にそれぞれ適合する複数の網側通信方式に対応し、通信デバイスと通信を行うデバイス通信部と、前記ホスト側デバイス通信部と前記デバイス通信部との間でデータの転送を行うデータ転送部と、を有するデータ転送装置における通信方式設定方法であって、
前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式を切り替えるステップと、
前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式の切り替わりに対応して、前記ホスト側デバイス通信部が使用する前記ホスト側通信方式を切り替えるステップと、
第1のホスト側通信方式で前記ホスト装置と通信を行う第1リンク確立要求があった場合、且つ、前記第1リンク確立要求が初回である場合に、前記第1リンク確立要求に応答せず、第2のホスト側通信方式で前記ホスト装置と通信を行う第2リンク確立要求の有無を判定するステップと、を有する、
通信方式設定方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、本発明を、USB3.0のホストインタフェースを搭載したデバイス装置に適用した場合の、具体的態様の一例である。
【0018】
<ハードウェア構成>
図1は、本実施の形態に係るデータ転送システムのハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【0019】
図1において、データ転送システム100は、ホスト装置200、デバイス装置300、およびケーブル400を有する。
【0020】
ホスト装置200は、デバイス装置300を介して、図示しないホスト通信相手と、通信を行う装置である。以下、ホスト装置200とホスト通信相手との間での伝送の対象となるデータは、「通信データ」という。ホスト装置200は、USBホストI/F部201、演算部202、および記憶部203を有する。USBホストI/F部201および記憶部203は、それぞれ、演算部202に接続されている。
【0021】
USBホストI/F部201は、USB3.0のホストコントローラおよびソケットを含み、USBホストの動作を行う。より具体的には、USBホストI/F部201は、デバイス装置300から受信したパケットから、通信データを抽出して演算部202へ出力し、演算部202から入力された通信データを、パケットに格納してデバイス装置300へ送信する。
【0022】
なお、高速シリアル転送技術として挙げられるUSB3.0は、USB2.0と互換性を保っている。このため、USBホストI/F部201は、USB2.0のホストインタフェースとして動作させる事も可能である。USB3.0のデータ転送速度は、5Gbpsであり、USB2.0のデータ転送速度は、480Mbpsである。
【0023】
演算部202は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置である。演算部202は、アプリケーション層等の上位層の機能を有し、通信データに関する処理を行う。また、演算部202は、後述するが、USBにおけるネゴシエーション情報の再利用の処理を行う。
【0024】
記憶部203は、フラッシュメモリ等の情報記録媒体である。記憶部203は、後述するが、USBにおけるネゴシエーション情報を格納する。
【0025】
デバイス装置300は、本発明に係るデータ転送装置を含み、ホスト装置200とホスト通信相手との間で通信データの転送を行う装置である。デバイス装置300は、USBデバイスI/F(InterFace)部301、MAC部302、WiFiPHY部303、およびWiGigPHY部304を有する。USBデバイスI/F部301、WiFiPHY部303、およびWiGigPHY部304は、それぞれ、MAC部302に接続されている。
【0026】
USBデバイスI/F部301は、USB3.0のデバイスコントローラおよびソケットを含み、USBデバイスの動作を行う。USBデバイスI/F部301は、ケーブル400を介して、ホスト装置200のUSBホストI/F部201と通信を行う。すなわち、USBデバイスI/F部301は、USB3.0のホストインタフェースである。より具体的には、USBデバイスI/F部301は、ホスト装置200から受信したパケットから通信データを抽出してMAC部302へ出力し、MAC部302から入力された通信データを、パケットに格納してホスト装置200へ送信する。
【0027】
WiFiPHY部303は、WiFi(Wireless Fidelity)のPHY(PHYsical layer)チップおよびアンテナを含み、WiFi通信の送信データおよび受信データの物理層についての動作を行う。より具体的には、WiFiPHY部303は、受信したアナログ信号に対して、A/D変換処理および所定の復調処理を行い、得られた受信フレームをMAC部302へ出力する。また、WiFiPHY部303は、MAC部302から入力された送信フレームに対して、所定の変調処理およびD/A変換処理を行い、無線送信する。WiFiPHY部303は、ホスト通信相手を含む通信ネットワークに配置された他のWiFi端末(図示せず)と、無線通信を行う。
【0028】
WiGigPHY部304は、WiGig(Wireless Gigabit)のPHYチップおよびアンテナを含み、WiGig通信の送信データおよび受信データの物理層についての動作を行う。より具体的には、WiGigPHY部304は、受信信号に対して、A/D変換処理および所定の復調処理を行い、受信フレームをMAC部302へ出力する。また、WiGigPHY部304は、MAC部302から入力された送信フレームに対して、所定の変調処理およびD/A変換処理を行い、得られたアナログ信号を無線送信する。WiGigPHY部304は、ホスト通信相手を含む通信ネットワークに配置された他のWiGig端末(図示せず)と、無線通信を行う。
【0029】
MAC部302は、MAC(Media Access Control)チップを含み、WiFiおよびWiGigのそれぞれの送信データおよび受信データのMAC層についての動作を行う。より具体的には、MAC部302は、WiFiPHY部303あるいはWiGigPHY部304のうち使用している装置部(以下「物理層」という)から入力される受信フレームから、MACヘッダの除去等の所定の処理により通信データを組み立て、組み立てられた通信データをUSBデバイスI/F部301へ出力する。また、MAC部302は、USBデバイスI/F部301から入力される通信データから、通信データの分割およびMACヘッダの付加等の所定の処理により送信フレームを生成し、生成された送信フレームを物理層へ出力する。MAC部302は、WiFiPHY部303およびWiGigPHY部304を切り替えて使用して、ホスト通信相手あるいはホスト通信相手との間の通信を中継する通信デバイスとの間で、データ転送を行う。
【0030】
なお、MAC部302は、後述するが、網側通信の通信方式(網側通信方式)の切り替えに応じて、デバイス装置300とホスト装置200との間の通信(以下「ホスト側通信」という)の通信方式(ホスト側通信方式)を切り替えるための動作を行う。
【0031】
ケーブル400は、両端にプラグを有するUSB3.0のUSBケーブルであり、ホスト装置200のUSBホストI/F部201とデバイス装置300のUSBデバイスI/F部301とを接続する。
【0032】
このようなデータ転送システム100によれば、デバイス装置300は、ホスト装置200とホスト通信相手と間の通信(以下「データ通信」という)に、介在することができる。また、デバイス装置300は、網側通信に使用する通信方式を、WiFiおよびWiGigから選択することができる。
【0033】
<網側通信の切り替え>
WiFiは、約200m以下の距離において、1.3Gbps(ギガビット毎秒)の最大データ伝送速度を実現する、無線通信方式である。これに対し、WiGigは、約10m以下の距離において、
7Gbpsの最大データ伝送速度を実現する、無線通信方式である。すなわち、WiGigは、WiFiに比べて、データ伝送速度がより高い通信方式である。
【0034】
そこで、MAC部302は、例えば、まず、WiGigで網側通信を行い、通信状況の悪化等により通信速度が低下した場合には、WiFiに切り替える。より具体的には、MAC部302は、例えば、WiGigにおけるパケットロスが所定の閾値以上となったとき、これを検出し、網側通信をWiFiに切り替える。また、MAC部302は、例えば、WiFiにおけるパケットロスが所定の閾値以下となったとき、これを検出し、網側通信をWiGigに切り替える。
【0035】
これにより、デバイス装置300は、WiFiおよびWiGigの双方の利点を利用して、網側通信を行うことができる。
【0036】
<ホスト側通信の切り替え>
ところで、USB3.0のホストインタフェースは、上述の通り、USB2.0のホストインタフェースとして動作させる事ができる。USB3.0の最大データ伝送速度は、5Gbpsであり、USB2.0の最大データ伝送速度は、480Mbps(メガビット毎秒)である。すなわち、最大データ伝送速度の観点において、USB3.0は、WiGigに適合し、USB2.0は、WiFiに適合している。
【0037】
網側通信がWiGigで行われているにもかかわらず、ホスト側通信がUSB2.0で行われると、WiGigの高速性を活かすことができない。一方で、網側通信がWiFiで行われているにもかかわらず、ホスト側通信がUSB3.0で行われると、ホスト側通信が不必要に高速で行われることになり、消費電力が高くなる。
【0038】
そこで、デバイス装置300は、網側通信で使用する通信方式(WiGig、WiFi)に応じて、ホスト側通信で使用する通信方式(USB3.0、USB2.0)を、動的に切り替える。すなわち、デバイス装置300は、WiFiPHY部303を使用するとき、USBデバイスI/F部301をUSB2.0で動作させ、WiGigPHY部304を使用するとき、USBデバイスI/F部301をUSB3.0で動作させる。
【0039】
<通信切り替えに伴う課題および解決策>
網側通信で使用する通信方式の変更は、データ通信の最中に行われることがある(以下、このような通信方式の切り替えを「通信切り替え」という)。したがって、デバイス装置300は、例えば、網側通信の通信方式をWiGigからWiFiに切り替えるとき、速やかに、ホスト側通信の通信方式をUSB3.0からUSB2.0へと切り替える。
【0040】
ところが、ホスト側通信の通信方式の切り替えは、システム全体の通信切り替え時間に影響を及ぼし、その結果、データ通信の品質を低下させるおそれがある。USB通信において新たな通信方式での通信を可能にするためには、USBホストとUSBデバイスとの間で、通信に必要な設定情報を交換する処理(以下「ネゴシエーション」という)が必要であるためである。すなわち、ホスト側通信の通信方式の切り替えに時間が掛かるためである。ネゴシエーションに要する時間は、USB3.0からUSB2.0へと切り替わる場合で約75ms(ミリ秒)、USB2.0からUSB3.0へと切り替わる場合で約180msである。
【0041】
そこで、データ転送システム100は、ネゴシエーションにおいてネゴシエーションの相手先から取得する必要がある情報(以下「ネゴシエーション情報」という)を、事前に取得しておくようにする。これにより、データ転送システム100は、ネゴシエーションを実施せずにホスト側通信の通信方式の切り替えを素早く行う。
【0042】
<システムの動作>
ここで、
図2および
図3を用いて、データ転送システム100の動作の概要について説明する。
図2は、データ転送システム100の動作の一例を示すシーケンス図である。また、
図3は、データ転送システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0043】
まず、ホスト装置200およびデバイス装置300は、ケーブル400を介して接続されると、USB2.0において、USBホストI/F部201とUSBデバイスI/F部301との間でリンク確立を行う(S1010)。リンク確立後、ネゴシエーションが実施され、USBデバイスI/F部301は、USB2.0におけるネゴシエーション情報(USB2.0用ネゴシエーション情報)を、USBホストI/F部201へ送信する(S1020)。
【0044】
なお、本実施の形態におけるネゴシエーション情報とは、デバイスディスクリプタ、エンドポイントディスクリプタ、コンフィグレーションディスクリプタ等の、ディスクリプタ情報である。また、ネゴシエーション情報の送信は、USBデバイスからUSBホストへの一方向でのみ必要である。
【0045】
ホスト装置200は、デバイス装置300から受信したネゴシエーション情報を、記憶部203に保存する(S1030)。なお、この処理は、例えば、ホスト装置200の演算部202により行われる。また、デバイス装置300は、ネゴシエーションが完了し、USB2.0での転送が可能な状態に遷移すると(S1040)、USB2.0のリンクを一旦切断し、ホスト側通信の通信方式をUSB3.0へと切り替える(S1050)。
【0046】
次に、ホスト装置200およびデバイス装置300は、USBホストI/F部201とUSBデバイスI/F部301との間でトレーニングを実施し、USB3.0において、リンク確立を行う(S1060)。そして、USB2.0のときと同様に、ホスト装置200は、ネゴシエーションを実施して、USB3.0におけるネゴシエーション情報(USB3.0用ネゴシエーション情報)をデバイス装置300から受信し(S1070)、受信したネゴシエーション情報を記憶部203に保存する(S1080)。
【0047】
そして、デバイス装置300は、USB3.0での転送が可能な状態に遷移すると(S1090)、WiGigを起動させる。そして、デバイス装置300は、WiGigを使用して網側通信を行い、USB3.0を使用してホスト側通信を行いながら、これらの通信の間でデータ転送を行う(S1100)。
【0048】
ここで、デバイス装置300のMAC部302が、WiGigからWiFiへと通信切り替えを行ったとする(S1110)。すなわち、デバイス装置300は、WiFiを起動させ、WiGigを停止させたとする。
【0049】
この切り替えを行う時、MAC部302は、通信切り替えが行われることを示すトリガ(以下「無線通信切り替えトリガ」という)を、USBデバイスI/F部301へ出力する。すなわち、USBデバイスI/F部301は、MAC層から、無線通信切り替えトリガを受信する(S1120)。USBデバイスI/F部301は、このトリガを受けて、USB3.0のリンクの切断を実施し、ホスト側通信の通信方式をUSB2.0へと切り替える(S1130)。
【0050】
すなわち、ホスト装置200およびデバイス装置300は、USB2.0において、リンク確立を再び行う(S1140)。但し、ホスト装置200は、ネゴシエーションを実施せずに、記憶部203に保存しておいたUSB2.0用ネゴシエーション情報を読み出し、その情報を基に、USBホストI/F部201の設定を実施する(S1150)。そして、デバイス装置300は、USB2.0での転送が可能な状態に遷移すると(S1160)、WiFiを使用して網側通信を行い、USB2.0を使用してホスト側通信を行いながら、これらの通信の間でデータ転送を行う(S1170)。
【0051】
このように、データ転送システム100は、通信切り替えの際にネゴシエーションを行うことなく、通信切り替えを行うことができる。したがって、データ転送システム100は、WiGigおよびUSB3.0を用いてデータ転送を行うことができるモード(以下「高速モード」という)から、WiFiおよびUSB2.0を用いてデータ転送を行うことができるモード(以下「低速モード」という)への切り替えを、より短時間に行うことができる。
【0052】
なお、データ転送システム100は、高速モードから低速モードへの切り替えの場合と同様に、低速モードから高速モードへの切り替えのときにも、保存されたUSB3.0用ネゴシエーション情報を利用し、ネゴシエーションを省略することができる。すなわち、データ転送システム100は、低速モードから高速モードへの切り替えについても、より短時間に行うことができる。
【0053】
<各装置の詳細>
以下、上述のシステム動作を実現するための、各装置の機能構成および動作の詳細について説明する。なお、低速モードから高速モードへの切り替えにおけるネゴシエーション情報の再利用に関する処理の図示および説明については、省略する。
【0054】
<各装置の機能構成>
まず、各装置の機能構成について説明する。
【0055】
図4は、各装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0056】
図4に示すように、ホスト装置200は、ホスト通信部210およびホスト情報格納部220を有する。また、デバイス装置300は、ホスト側デバイス通信部310、デバイス通信部320、データ転送部330、およびデバイス通信切替部340を有する。
【0057】
ホスト通信部210は、USB3.0(第1の通信方式)およびUSB2.0(第2の通信方式)に対応し、ホスト側デバイス通信部310と通信を行う。そして、ホスト通信部210は、USB2.0用ネゴシエーション情報が取得されたとき、かかる情報を、ホスト情報格納部220に格納させる。
【0058】
そして、ホスト通信部210は、USB3.0での通信を開始する前に、USB2.0においてネゴシエーションを実施し、上述の通信切り替えのとき、USB2.0についてのネゴシエーションを実施せずに、ホスト情報格納部220に格納されたUSB2.0用ネゴシエーション情報を読み出して使用する。
【0059】
ホスト情報格納部220は、ホスト通信部210によって格納された、USB2.0用ネゴシエーション情報を保持する。
【0060】
ホスト装置200のうち、ホスト通信部210は、例えば、
図1のUSBホストI/F部201、演算部202、および記憶部203に係るハードウェアに対応している。特に、ホスト通信部210のうち、ネゴシエーション情報の再利用に関する処理は、演算部202で行われる。この場合、ホスト通信部210の機能は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。また、ホスト情報格納部220は、例えば、
図1の記憶部203に係るハードウェアに対応している。
【0061】
ホスト側デバイス通信部310は、USB3.0(第1の通信方式)およびUSB2.0(第2の通信方式)に対応し、ホスト通信部210と通信を行う(ホスト側通信)。
【0062】
デバイス通信部320は、WiGigおよびWiFiを切り替えて通信を行う(網側通信)。
【0063】
データ転送部330は、ホスト側デバイス通信部310とデバイス通信部320との間でデータの転送を行う。すなわち、ホスト側デバイス通信部310がホスト側通信で受信したデータを、デバイス通信部320から網側通信で送信させ、デバイス通信部320が網側通信で受信したデータを、ホスト側デバイス通信部310からホスト側通信で送信させる。
【0064】
デバイス通信切替部340は、デバイス通信部320が使用する通信方式の切り替えに対応して、ホスト側デバイス通信部310が使用する通信方式を切り替える。より具体的には、デバイス通信切替部340は、デバイス通信部320が、網側通信をWiGigからWiFiへと切り替えたとき(通信切り替え)、ホスト側デバイス通信部310に対して、ホスト側通信をUSB3.0からUSB2.0へと切り替えさせる。
【0065】
デバイス装置300のうち、ホスト側デバイス通信部310は、例えば、
図1のUSBデバイスI/F部301に対応し、デバイス通信部320は、例えば、
図1のWiFiPHY部303、WiGigPHY部304、およびMAC部302に対応している。そして、デバイス通信切替部340は、例えば、MAC部302に対応している。
【0066】
上述の機能構成を有するデバイス装置300は、網側通信の通信切り替えがあったとき、速やかに、ホスト側通信の通信方式の切り替えを開始することができる。また、上述の機能構成を有するホスト装置200は、ネゴシエーションを実施することなく、ホスト側通信の通信方式の切り替えを行うことができる。したがって、これらの装置から構成されるデータ転送システム100は、高速モードから低速モードへの切り替えを、短時間で行うことができる。
【0067】
<各装置の動作>
次に、各装置の動作について説明する。
【0068】
図5は、デバイス装置300の動作の一例を示すフローチャートである。
【0069】
まず、ステップS2010において、ホスト側デバイス通信部310は、ホスト装置200から、USB3.0でのリンク確立要求があったか否かを判断する。ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求があった場合(S2010:YES)、処理をステップS2020へ進める。また、ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求がない場合(S2010:NO)、処理を後述のステップS2040へ進める。
【0070】
ステップS2020において、ホスト側デバイス通信部310は、ホスト装置200からのUSB3.0でのリンク確立の要求が初回であるか否かを判断する。ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求が初回である場合(S2020:YES)、処理をステップS2030へ進める。また、ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求が初回ではない場合(S2020:NO)、処理を後述のステップS2090へ進める。
【0071】
後述するが、ホスト装置200は、デバイス装置300と接続されたとき、まず、上位の通信方式であるUSB3.0でのリンク確立を要求するようになっている。そして、ホスト装置200は、USB3.0でのリンク確立が失敗、あるいは、USB3.0でのリンクが切断されると、次に、下位の通信方式であるUSB2.0でのリンク確立を要求するようになっている。したがって、ホスト装置200にデバイス装置300が接続されたとき、処理は、まず、ステップS2030へと進むことになる。
【0072】
ステップS2030において、ホスト側デバイス通信部310は、USB3.0でのリンク確立の要求に対して応答しない。すなわち、ホスト側デバイス通信部310は、USB3.0に対応していることを、ホスト装置200に対して秘匿にする。これは、ホスト装置200に対し、続けて、USB2.0でのリンク確立を要求させるためである。
【0073】
そしてステップS2040において、ホスト側デバイス通信部310は、ホスト装置200から、USB2.0でのリンク確立要求があったか否かを判断する。ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求があった場合(S2040:YES)、処理をステップS2050へ進める。また、ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求がない場合(S2040:NO)、処理を後述のステップS2080へ進める。
【0074】
上述の通り、ホスト装置200は、USB3.0でのリンク確立が失敗すると、次に、USB2.0でのリンク確立を要求する。したがって、ステップS2030でUSB3.0に対応していることを秘匿にした直後の場合、処理は、ステップS2050へ進むことになる。
【0075】
ステップS2050において、ホスト側デバイス通信部310は、USB2.0でのリンク確立の要求に対して応答する。
【0076】
そして、ステップS2060において、ホスト側デバイス通信部310は、ホスト装置200からのUSB2.0でのリンク確立の要求が初回であるか否かを判断する。ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求が初回である場合(S2060:YES)、処理をステップS2070へ進める。また、ホスト側デバイス通信部310は、かかる要求が初回ではない場合(S2060:NO)、処理を後述のステップS2100へ進める。
【0077】
上述の通り、ホスト装置200は、USB3.0でのリンク確立が失敗すると、次に、USB2.0でのリンク確立を要求する。したがって、ステップS2030でUSB3.0に対応していることを秘匿にした直後の場合、処理は、ステップS2070へ進むことになる。
【0078】
ステップS2070において、ホスト側デバイス通信部310は、通常のUSBデバイス動作を行い、ホスト装置200とネゴシエーションを行う。このネゴシエーションにおいて、ホスト側デバイス通信部310は、デバイス装置300のネゴシエーション情報(ディスクリプタ情報)を、ホスト装置200に送信する。そして、ホスト側デバイス通信部310は、ネゴシエーションが完了すると、リンクを切断する。
【0079】
そして、ステップS2080において、ホスト側デバイス通信部310は、ユーザ操作等によりUSBデバイス動作の終了を指示されたか否かを判断する。ホスト側デバイス通信部310は、USBデバイス動作の終了を指示されていない場合(S2080:NO)、処理をステップS2010へ戻す。
【0080】
後述するが、ホスト装置200は、USB2.0でのリンクが切断されると、次に、再びUSB3.0でのリンク確立を要求するようになっている。したがって、USB2.0でのリンクが切断された直後の場合、USB3.0でのリンク確立を要求が再び行われ(S2010:YES)、処理は、ステップS2020へと再び進む。ところが、今回のUSB3.0でのリンク確立の要求は2回目であるため(S2020:NO)、処理は、ステップS2090へ進む。
【0081】
ステップS2090において、ホスト側デバイス通信部310は、USB3.0でのリンク確立の要求に対して応答する。
【0082】
そして、ステップS2100において、デバイス装置300は、データ転送処理を行い、データ転送処理が完了すると、処理をステップS2080へ戻す。データ転送処理の詳細については後述する。
【0083】
そして、ホスト側デバイス通信部310は、USBデバイス動作の終了を指示された場合(S2080:YES)、一連の処理を終了する。
【0084】
なお、処理がステップS2090からステップS2100へと進んだ場合、つまり、ホスト側通信がUSB3.0である場合、デバイス通信部320は、まず、WiGigで網側通信を開始するものとする。一方、処理がステップS2060からステップS2100へと進んだ場合、つまり、ホスト側通信がUSB2.0である場合、デバイス通信部320は、WiFiで網側通信を開始するものとする。
【0085】
図6は、デバイス装置300におけるデータ転送処理の一例を示すフローチャートである。
【0086】
まず、ステップS2101において、データ転送部330は、ホスト側通信と網側通信との間でのデータ転送を開始する。
【0087】
そして、ステップS2102において、デバイス通信部320は、網側通信をWiGigで行っており、かつ、通信速度が所定のレベルまで低下したか否かを判断する。デバイス通信部320は、網側通信をWiFiで行っている場合、あるいは、網側通信をWiGigで行っているが通信速度が低下していない場合(S2102:NO)、処理をステップS2103へ進める。また、デバイス通信部320は、WiGigにおいて通信速度が低下した場合(S2102:YES)、処理を後述のステップS2104へ進める。
【0088】
ステップS2103において、データ転送部330は、データ転送を終了するか否かを判断する。データ転送を終了する場合とは、例えば、ホスト装置200とのリンクが切断した場合である。データ転送部330は、データ転送を終了しない場合(S2103:NO)、処理をステップS2102へ戻す。また、データ転送部330は、データ転送を終了する場合(S2103:YES)、処理を
図5のステップS2080へ進める。
【0089】
すなわち、デバイス装置300は、リンクが切断されるまで、WiGigにおいて通信速度が低下していないかどうかの監視を継続し、WiGigにおいて通信速度が低下すると、処理をステップS2104へ進める。
【0090】
ステップS2104において、デバイス通信部320は、網側通信に使用する通信方式を、WiGigからWiFiへと切り替える。デバイス通信切替部340は、この切り替えを検出する。あるいは、デバイス通信切替部340が、ステップS2102〜S2104の処理を行ってもよい。
【0091】
そして、ステップS2105において、デバイス通信切替部340は、ホスト側デバイス通信部310がUSB3.0でホスト装置200と接続中であるか否かを判断する。デバイス通信切替部340は、USB3.0で接続中ではない場合(S2105:NO)、処理をステップS2103へ進める。デバイス通信切替部340は、USB3.0で接続中である場合(S2105:YES)、処理をステップS2106へ進める。
【0092】
なお、本実施の形態において、ホスト装置200はUSB3.0に対応している。このため、処理がステップS2105へ進む場合には、通常、ホスト側デバイス通信部310は、USB3.0でホスト装置200と接続中である。
【0093】
ステップS2106において、デバイス通信切替部340は、ホスト側デバイス通信部310に対して、ホスト装置200とのUSB3.0でのリンクを切断させ、処理を
図5のステップS2080へ進める。このリンク切断は、例えば、上述の、MAC部302からUSBデバイスI/F部301への無線通信切り替えトリガの出力によって実現される。
【0094】
上述の通り、ホスト装置200は、ホスト装置200は、USB3.0でのリンクが切断されると、USB2.0でのリンク確立を要求するようになっている。したがって、ステップS2106でUSB3.0でのリンクが切断された直後の場合、処理は、
図5のステップS2040〜S2060を経て、USB2.0でのデータ転送処理(
図5のステップS2100、
図6)へと遷移することになる。すなわち、データ転送システム100の動作は、高速モードから、低速モードへと切り替わる。
【0095】
以上のような動作により、デバイス装置300は、ホスト装置200に接続された際に、USB2.0のネゴシエーションを実施してから、USB3.0でのホスト側通信を開始させることができる。また、デバイス装置300は、網側通信の通信速度に応じて、網側通信をWiGigからWiFiへ切り替え、更に、ホスト側通信をUSB3.0からUSB2.0へと切り替えることができる。
【0096】
図7は、ホスト装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0097】
まず、ステップS3010において、ホスト通信部210は、USB3.0でのリンク確立を、デバイス装置300に対して要求する。
【0098】
そして、ステップS3020において、ホスト通信部210は、デバイス装置300から、ステップS3010で行った要求に対する応答を、デバイス装置300から受信したか否かを判断する。ホスト通信部210は、かかる応答を受信しなかった場合(S3020:NO)、処理をステップS3030へ進める。また、ホスト通信部210は、かかる応答を受信した場合(S3020:YES)、処理を後述のステップS3110へ進める。
【0099】
上述の通り、デバイス装置300は、初回のUSB3.0でのリンク確立要求に対しては、応答しない。したがって、ホスト装置200にデバイス装置300が接続されたとき、処理は、まず、ステップS3030へと進むことになる。
【0100】
ステップS3030において、ホスト通信部210は、USB2.0でのリンク確立を、デバイス装置300に対して要求する。
【0101】
そして、ステップS3040において、ホスト通信部210は、デバイス装置300から、ステップS3030で行った要求に対する応答を、デバイス装置300から受信したか否かを判断する。ホスト通信部210は、かかる応答を受信した場合(S3040:YES)、処理をステップS3050へ進める。また、ホスト通信部210は、かかる応答を受信しなかった場合(S3040:NO)、処理を後述のステップS3100へ進める。
【0102】
上述の通り、デバイス装置300は、USB2.0でのリンク確立要求に対しては、初回であっても応答する。したがって、ホスト装置200にデバイス装置300が接続されたとき、処理は、ステップS3050へと進むことになる。
【0103】
ステップS3050において、ホスト通信部210は、デバイス装置300のUSB2.0についてのネゴシエーション情報が、ホスト情報格納部220に格納されているか否かを判断する。ホスト通信部210は、かかるネゴシエーション情報が格納されていない場合(S3050:NO)、処理をステップS3060へ進める。また、ホスト通信部210は、かかるネゴシエーション情報が格納されている場合(S3050:YES)、処理を後述のステップS3140へ進める。
【0104】
ホスト装置200にデバイス装置300が接続された直後には、USB2.0についてのネゴシエーションはまだ実施されていない。したがって、処理は、ステップS3060へと進むことになる。
【0105】
ステップS3060において、ホスト通信部210は、デバイス装置300との間でUSB2.0でのリンクを確立し、ネゴシエーションを実施する。このネゴシエーションにおいて、ホスト通信部210は、デバイス装置300のUSB2.0のネゴシエーション情報(ディスクリプタ情報)を、デバイス装置300から受信する。
【0106】
そして、ステップS3070において、ホスト通信部210は、ステップS3060のネゴシエーションにおいて取得したUSB2.0のネゴシエーション情報を、ホスト情報格納部220に格納し、保存する。
【0107】
そして、ステップS3080において、ホスト通信部210は、デバイス装置300を介して、ホスト通信相手とのデータ通信を開始する。かかるデータ通信は、WiFiとUSB2.0とを使用した、低速モードでの通信である。
【0108】
そして、ステップS3090において、ホスト通信部210は、デバイス装置300とのリンクが切断されたか否かを判断する。なお、かかるリンクの切断は、デバイス装置300によるリンク切断だけでなく、ホスト通信部210によるリンク切断をも含む。ホスト通信部210は、リンクが切断されていない場合(S3090:NO)、かかる判断処理を繰り返す。そして、ホスト通信部210は、リンクが切断されると(S3090:YES)、処理をステップS3100へ進める。
【0109】
ステップS3100において、ホスト通信部210は、ユーザ操作等によりUSBホスト動作の終了を指示されたか否かを判断する。ホスト通信部210は、USBホスト動作の終了を指示されていない場合(S3100:NO)、処理をステップS3010へ戻す。すなわち、ホスト通信部210は、再び、USB3.0でのリンク確立要求を行う。
【0110】
上述の通り、デバイス装置300は、最初にUSB2.0でのネゴシエーションを実施した直後に、ホスト装置200とのリンクを切断し、USB3.0でのリンク確立要求を受け付ける状態に移行する。したがって、ステップS3050〜S3090の後、処理は、ステップS3110へ進む。
【0111】
ステップS3110において、ホスト通信部210は、デバイス装置300との間でUSB3.0でのリンクを確立し、ネゴシエーションを実施する。
【0112】
なお、ここでは図示および説明を省略しているが、ホスト通信部210は、USB3.0でのリンク確立に際しても、USB2.0の場合と同様に、過去に取得されたネゴシエーション情報の再利用を行い、ネゴシエーションを実施しなくてもよい。すなわち、ホスト通信部210は、後述のステップS3050〜S3070、S3140、S3150と同様の処理を、ステップS3110の処理に置き換えて行ってもよい。
【0113】
そして、ステップS3120において、ホスト通信部210は、デバイス装置300を介して、ホスト通信相手とのデータ通信を開始する。かかるデータ通信は、WiGigとUSB3.0とを使用した、高速モードでの通信である。
【0114】
そして、ステップS3130において、ホスト通信部210は、デバイス装置300とのリンクが切断されたか否かを判断する。ホスト通信部210は、リンクが切断されていない場合(S3130:NO)、かかる判断処理を繰り返す。そして、ホスト通信部210は、リンクが切断されると(S3130:YES)、処理をステップS3030へ進める。
【0115】
これにより、ホスト通信部210は、USB2.0でのリンク確立を再び要求する(S3030)。上述の通り、デバイス装置300は、最初にUSB3.0でのリンク確立要求を無視した後は、USB3.0およびUSB2.0のいずれのリンク確立要求に対しても応答する(S3040:YES)。また、USB2.0でのネゴシエーションが一旦実施されると、ホスト情報格納部220には、USB2.0のネゴシエーション情報が格納された状態となっている(S3050)。したがって、ステップS3130の後、処理は、ステップS3140へ進むことになる。
【0116】
ステップS3140において、ホスト通信部210は、デバイス装置300との間でUSB2.0でのリンクを確立する。但し、ホスト通信部210は、ステップS3060の処理とは異なり、USB2.0のネゴシエーションを実施しない。
【0117】
そして、ステップS3150において、ホスト通信部210は、ホスト情報格納部220に保存されているUSB2.0のネゴシエーション情報を読み出して、使用する。そして、ホスト通信部210は、処理をステップS3080へ進め、ホスト通信相手との低速モードでのデータ通信を開始する。
【0118】
そして、ホスト通信部210は、ステップS3010〜S3150の処理を繰り返す間に、USBホスト動作の終了を指示されると(S3100:YES)、一連の処理を終了する。
【0119】
以上のような動作により、ホスト装置200は、デバイス装置
300とのUSB2.0のネゴシエーションが実施されたときに、ネゴシエーション情報を保存しておくことができる。そして、ホスト装置200は、ホスト側通信がUSB3.0からUSB2.0へと切り替わった際に、再度ネゴシエーションを行うことなく、データ通信を、高速モードから低速モードへと切り替えることができる。
【0120】
すなわち、データ転送システム100は、網側通信の通信切り替えがあったとき、速やかに、ホスト側通信の通信方式を切り替えることができる。
【0121】
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、網側通信に使用する通信方式がWiGigからWiFiへと切り替わるとき、かかる切り替えに同期して、ホスト側通信に使用する通信方式を、USB3.0からUSB2.0へと切り替える。これにより、デバイス装置300は、デバイス通信部320の通信速度が高いときには、より高速な通信方式でホスト装置との通信を行い、デバイス通信部320の通信速度が低いときには、より低速な通信方式でホスト装置との通信を行うことができる。
【0122】
網側通信の通信速度が低い場合、ホスト側通信の通信速度も低くなり、ホスト側通信のデータ転送速度を低くして電力消費を抑えたとしても、データ通信への影響は少ない。したがって、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、ホスト装置200の機能的価値を維持しつつ、データ転送に伴う電力消費を抑制することができる。
【0123】
また、本実施の形態に係るデバイス装置
300は、上述の従来技術のように、ホスト通信相手の転送レートに関する情報を、必ずしも必要としない。また、本実施の形態に係るデバイス装置
300は、ホスト側と網側とで対応する通信方式が異なるような、各種のデータ転送装置に適用することができる。このため、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、より広い用途において、上述の効果を得ることができる。
【0124】
また、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、WiGigおよびUSB3.0を使用した高速モードでのデータ通信を開始する前に、USB2.0のネゴシエーションを実施し、ホスト装置200に、ネゴシエーション情報を保存しておく。
【0125】
これにより、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、上述の高速モードから低速モードへの切り替えの際に、USB2.0のネゴシエーションを不要とすることができ、通信切り替えに要する時間を短縮することができる。すなわち、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、高速モードから低速モードへの切り替えを、ホスト装置200のデータ通信への影響を抑えた状態で行うことができる。したがって、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、ホスト装置200の機能的価値を、更に積極的に維持しつつ、データ転送に伴う電力消費を抑制することができる。
【0126】
また、本実施の形態に係るデバイス装置300は、従来のUSBデバイス装置に対する軽微な変更により、実現することができる。かかる変更とは、例えば、通信切り替えに対応してホスト側通信を切り替える機能、USB3.0に対応している旨を秘匿にする機能、およびUSB2.0のネゴシエーション情報送信後にリンクを切断する機能の追加である。また、本実施の形態に係るホスト装置200も、従来のUSBホスト装置に対する軽微な変更により、実現することができる。かかる変更とは、例えば、ネゴシエーション情報を保存して再利用する機能の追加である。
【0127】
したがって、本実施の形態に係るデータ転送システム100は、簡単に、かつ、安価に、実現することが可能である。
【0128】
<本実施の形態の変形例>
なお、データ転送システム100は、USB2.0のネゴシエーション情報の再利用と同様の手法により、USB3.0のネゴシエーション情報を再利用してもよい。この場合、データ転送システム100は、低速モードから高速モードへの切り替えについても、ホスト装置200のデータ通信への影響を抑えた状態で行うことができる。また、この場合、データ転送システム100は、例えば、USB2.0のネゴシエーション情報の再利用を行わないようにしてもよい。
【0129】
また、以上説明した技術は、それぞれが複数の通信方式に対応した2つの通信部の間でデータ転送を行うデバイス装置を含むデータ転送システムのうち、ホスト装置のみがネゴシエーション情報を必要とするような各種システムに適用可能である。
【0130】
(実施の形態2)
実施の形態1では、ホスト装置のみがネゴシエーション情報を必要とするシステムについて説明した。本発明の実施の形態2では、ホスト装置およびデバイス装置の両方がネゴシエーション情報を利用するシステムについて説明する。
【0131】
実施の形態2は、本発明を、PCI Express(PCIe)のホストインタフェースを搭載したデータ転送システムに適用した場合の、具体的態様の一例である。
【0132】
<ハードウェア構成>
図8は、本実施の形態に係るデータ転送システムのハードウェア構成の一例を示す構成図であり、実施の形態1の
図1と対応するものである。
図1と同一部分には同一符号を付し、これについての説明を適宜省略する。
【0133】
図8において、データ転送システム100aは、ホスト装置200a、デバイス装置300a、およびケーブル400aを有する。
【0134】
ホスト装置200aは、
図1のUSBホストI/F部201に代えて、PCIルートI/F部201aを有している。PCIルートI/F部201aは、演算部202に接続されている。
【0135】
PCIルートI/F部201aは、PCI Expressのルート・コンプレックスを含み、PCI Expressホストの動作を行う。PCI Expressにおいては、Gen1、Gen2、Gen3という複数の規格を切り替えて適用する事が可能となっている。リンク幅がx1の場合、Gen1、Gen2、Gen3のデータ転送速度は、順に、2.5Gbps、5Gbps、8Gbpsである。
【0136】
デバイス装置300aは、本発明に係るデータ転送装置を含む。デバイス装置300aは、
図1のUSBデバイスI/F部301に代えて、PCIエンドポイントI/F部301aを有し、更に、デバイス演算部305aおよびデバイス記憶部306aを有している。PCIエンドポイントI/F部301aおよびデバイス記憶部306aは、それぞれ、デバイス演算部305aに接続されている。
【0137】
PCIエンドポイントI/F部301aは、PCI Expressのエンドポイントを含み、PCI Expressデバイスの動作を行う。PCIエンドポイントI/F部301aは、ケーブル400aを介して、ホスト装置200aのPCIルートI/F部201aと通信を行う。すなわち、PCIエンドポイントI/F部301aは、PCI Expressのホストインタフェースである。
【0138】
デバイス演算部305aは、CPU等の演算処理装置である。
【0139】
デバイス記憶部306aは、フラッシュメモリ等の情報記録媒体である。
【0140】
ケーブル400aは、両端にプラグを有するPCIコネクタであり、ホスト装置200aのPCIルートI/F部201aとデバイス装置300aのPCIエンドポイントI/F部301aとを接続する。
【0141】
PCI Expressでは、デバイス側は、ホスト側から、ネゴシエーション情報の設定を受ける必要がある。そこで、本実施の形態では、デバイス装置300aも、ネゴシエーション情報の保存と再利用を行う。本実施の形態におけるネゴシエーション情報とは、コンフィグレーションレジスタが示すデバイス情報や電力情報等の、レジスタ情報である。
【0142】
なお、PCI ExpressのGen2(以下、単に「Gen2」という)は、USB3.0に対応し、PCI ExpressのGen1(以下、単に「Gen1」という)は、USB2.0に対応する。
【0143】
データ転送システム100aは、基本的に、実施の形態1で説明したデータ転送システム100と同様の機能および動作を実現する。すなわち、データ転送システム100aの機能および動作は、基本的に、データ転送システム100の機能および動作において、USB3.0をGen2に置き換え、USB2.0をGen1に置き換えたものと同様である。したがって、以下、主に、実施の形態1との差異について説明する。
【0144】
<システムの動作>
図9は、データ転送システム100aの動作の一例を示すシーケンス図であり、実施の形態1の
図2に対応するものである。また、
図10は、データ転送システムの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の
図3に対応するものである。
図2および
図3と対応する部分には、同一シーケンス番号を付し、これについての説明を適宜省略する。
【0145】
図9および
図10に示すように、デバイス装置300aのPCIエンドポイントI/F部301aは、Gen1のネゴシエーションにおいて、ホスト装置200aから、ネゴシエーション情報の設定を受ける。そして、デバイス装置300aのデバイス演算部305aは、設定されたGen1のネゴシエーション情報(Gen1用ネゴシエーション情報)を、デバイス記憶部306aに保存する(S1031a)。
【0146】
そして、Gen1でネゴシエーション情報の設定が完了すると、PCIエンドポイントI/F部301aは、リンクが一時的に不調になったときに復旧するためのリカバリ状態を経由して、ホスト側通信のGen2への切り替え(スピードチェンジ)を行う(S1050)。
【0147】
同様に、次いで行われるGen2のネゴシエーションにおいても、デバイス装置300aは、Gen2のネゴシエーション情報(Gen2用ネゴシエーション情報)の設定を受け、Gen2のネゴシエーション情報を保存する(S1081a)。
【0148】
通信切り替えが発生し、無線通信切り替えトリガをMAC部302から受信すると、PCIエンドポイントI/F部301aは、リカバリ状態を経由して、ホスト側通信のGen1への切り替え(スピードチェンジ)を行う(S1130)。
【0149】
そして、デバイス装置300aのデバイス演算部305aは、デバイス記憶部306aに保存されたGen1のネゴシエーション情報を読み出し、PCIエンドポイントI/F部301aに使用させる(S1151a)。すなわち、データ転送システム100aは、通信切り替えの際に、Gen1のネゴシエーションを実施することなく、高速モードから低速モードへと切り替える。
【0150】
<各装置の機能構成>
図11は、各装置の機能構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態1の
図4に対応するものである。
図4と対応する部分には同一の符号を付し、これについての説明を適宜省略する。
【0151】
図11に示すように、デバイス装置300aは、
図4のホスト側デバイス通信部310に代えて、ホスト側デバイス通信部310aを有し、更に、デバイス情報格納部350aを有している。デバイス情報格納部350aは、ホスト側デバイス通信部310aに接続されている。
【0152】
ホスト側デバイス通信部310aは、Gen2(第1の通信方式)およびGen1(第2の通信方式)に対応し、ホスト通信部210と通信を行う。そして、ホスト側デバイス通信部310aは、ホスト装置200aからGen1用ネゴシエーション情報の設定を受けたとき、設定された情報を、デバイス情報格納部350aに格納させる。
【0153】
デバイス情報格納部350aは、ホスト側デバイス通信部310aによって格納された、Gen1用ネゴシエーション情報を保持する。
【0154】
ホスト側デバイス通信部310aは、例えば、
図8のPCIエンドポイントI/F部301a、デバイス演算部305a、およびデバイス記憶部306aに係るハードウェアに対応している。この場合、ホスト側デバイス通信部310aの機能は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。また、デバイス情報格納部350aは、例えば、
図8のデバイス記憶部306aに係るハードウェアに対応している。
【0155】
<デバイス装置の動作>
図12は、デバイス装置300aの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態1の
図5に対応するものである。
図5と対応する部分には同一のステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
【0156】
図12に示すように、ホスト側デバイス通信部310aは、ホスト装置200から初回のGen1でのリンク確立要求があった場合(S2060:YES)、ステップS2061aを経てから、処理をステップS2070へ進める。また、ホスト側デバイス通信部310aは、ホスト装置200から2回目以降のGen1でのリンク確立要求があった場合(S2060:NO)、ステップS2091aを経てから、処理をステップS2100へ進める。
【0157】
ステップS2061aにおいて、ホスト側デバイス通信部310aは、Gen1のネゴシエーションにおいてホスト装置200aから設定を受けたネゴシエーション情報を、デバイス情報格納部350aに保存する。
【0158】
また、ステップS2091aにおいて、ホスト側デバイス通信部310aは、デバイス情報格納部350aに保存されたGen1のネゴシエーション情報を読み出し、ネゴシエーションを実施せずに、ホスト側通信をGen1に切り替える。
【0159】
なお、ここでは図示および説明を省略しているが、ホスト側デバイス通信部310aは、Gen2でのリンク確立に際しても、Gen1の場合と同様に、過去に取得されたネゴシエーション情報の再利用を行い、ネゴシエーションを実施しなくてもよい。すなわち、ホスト側デバイス通信部310aは、
図12のステップS2060、S2061a、S2091aと同様の処理を、ステップS2090の処理の後に行ってもよい。
【0160】
<本実施の形態の効果>
以上のような構成および動作により、データ転送システム100aは、デバイス装置300においてもネゴシエーション情報の保存および再利用を行うことができる。すなわち、本実施の形態に係るデータ転送システム100aは、PCI Expressのホストインタフェースを搭載したデータ転送システム100aにおいて、網側通信の通信切り替えがあったとき、速やかに、ホスト側通信の通信方式を切り替えることができる。
【0161】
したがって、本実施の形態に係るデータ転送システム100aは、PCI Expressにおいても、より広い用途において、ホスト装置200aの機能的価値を維持しつつ、データ転送に伴う電力消費を抑制することができる。
【0162】
<本実施の形態の変形例>
なお、以上説明した技術は、それぞれが複数の通信方式に対応した2つの通信部の間でデータ転送を行うデバイス装置を含むデータ転送システムのうち、ホスト装置およびデバイス装置の双方でネゴシエーション情報を利用するような各種システムに適用可能である。
【0163】
また、以上説明した技術は、それぞれが複数の通信方式に対応した2つの通信部の間でデータ転送を行うデバイス装置を含むデータ転送システムのうち、デバイス装置のみがネゴシエーション情報を利用するような各種システムにも、適用可能である。
【0164】
本開示に係るデータ転送装置は、複数のホスト側通信方式に対応し、ホスト装置と通信を行うホスト側デバイス通信部と、前記複数のホスト側通信方式の通信速度にそれぞれ適合する複数の網側通信方式に対応し、通信デバイスと通信を行うデバイス通信部と、前記ホスト側デバイス通信部と前記デバイス通信部との間でデータの転送を行うデータ転送部と、前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式の切り替わりに対応して、前記ホスト側デバイス通信部が使用する前記ホスト側通信方式を切り替えるデバイス通信切替部と、を有する。
【0165】
なお、上記データ転送端末において、前記デバイス通信切替部は、前記通信デバイスと前記デバイス通信部との間の通信状況に応じて、前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式を切り替えてもよい。
【0166】
また、上記データ転送装置において、前記ホスト側デバイス通信部は、第1のホスト側通信方式での通信を開始する前に、第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションを実施してもよい。
【0167】
また、上
記データ転送装置において、前記ホスト装置は、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へとネゴシエーションを順次試行することによって、前記ホスト側デバイス通信部との通信に使用する前記ホスト側通信方式を決定する装置であり、前記ホスト側デバイス通信部は、前記ホスト装置と前記第1のホスト側通信方式での通信を開始するとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションが実施されるまで、前記ホスト側デバイス通信部が前記第1のホスト側通信方式に対応していることを、前記ホスト装置に対して秘匿にしてもよい。
【0168】
また、上記データ転送装置は、前記ホスト側デバイス通信部において、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーション情報が取得されたとき、取得された前記ネゴシエーション情報を格納するデバイス情報格納部、を更に有し、前記ホスト側デバイス通信部は、使用する前記ホスト側通信方式が、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へと切り替わるとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションを実施せずに、前記デバイス情報格納部に格納された前記ネゴシエーション情報を使用してもよい。
【0169】
また、上記データ転送装置において、前記第1のホスト側通信方式は、前記第2のホスト側通信方式に比べて、データ転送速度がより高い通信方式であってもよい。
【0170】
また、上記データ転送装置において、前記複数の網側通信方式は、WiGigおよびWiFiを含み、前記WiGigに対応する前記第1のホスト側通信方式は、USB3.0であり、前記WiFiに対応する前記第2のホスト側通信方式は、USB2.0であってもよい。
【0171】
また、上記データ転送装置において、前記複数の網側通信方式は、WiGigおよびWiFiを含み、前記WiGigに対応する前記第1のホスト側通信方式は、PCI ExpressのGen2であり、前記WiFiに対応する前記第2のホスト側通信方式は、PCI ExpressのGen1であってもよい。
【0172】
本開示のホスト装置は、上記データ転送装置を利用するホスト装置であって、第1のホスト側通信方式および第2のホスト側通信方式に対応し、前記ホスト側デバイス通信部と通信を行うホスト通信部と、前記ホスト通信部において、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーション情報が取得されたとき、取得された前記ネゴシエーション情報を格納するホスト情報格納部と、を有し、前記ホスト通信部は、前記第1のホスト側通信方式での通信を開始する前に、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションを実施し、使用する前記ホスト側通信方式が前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へと切り替わるとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションを実施せずに、前記ホスト情報格納部に格納された前記ネゴシエーション情報を使用する。
【0173】
なお、上記ホスト装置において、前記データ転送装置は、前記第1のホスト側通信方式から前記第2のホスト側通信方式へとネゴシエーションを順次試行することによって、前記ホスト
装置との通信に使用する前記ホスト側通信方式を決定する装置であり、前記ホスト通信部は、前記データ転送装置と前記第1のホスト側通信方式での通信を開始するとき、前記第2のホスト側通信方式についてのネゴシエーションが実施されるまで、前記ホスト通信部が前記第1のホスト側通信方式に対応していることを、前記データ転送装置に対して秘匿にしてもよい。
【0174】
また、上記ホスト装置において、前記第1のホスト側通信方式は、前記第2のホスト側通信方式に比べて、データ転送速度がより高い通信方式であってもよい。
【0175】
本開示のデータ転送システムは、上記データ転送装置と、上記ホスト装置と、を含む。
【0176】
本開示の通信方式設定方法は、複数のホスト側通信方式に対応し、ホスト装置と通信を行うホスト側デバイス通信部と、前記複数のホスト側通信方式の通信速度にそれぞれ適合する複数の網側通信方式に対応し、通信デバイスと通信を行うデバイス通信部と、前記ホスト側デバイス通信部と前記デバイス通信部との間でデータの転送を行うデータ転送部と、を有するデータ転送装置における通信方式設定方法であって、前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式を切り替えるステップと、前記デバイス通信部が使用する前記網側通信方式の切り替わりに対応して、前記ホスト側デバイス通信部が使用する前記ホスト側通信方式を切り替えるステップと、を有する。