(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無機繊維の構成材料は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択された少なくとも一種からなる請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の保持シール材が用いられた排ガス処理装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、ケーシングに、本発明の保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を収容する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の保持シール材を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、従来の金属製触媒担体自身を発熱抵抗体とした排気浄化用触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
【0026】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0027】
図1は、本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。
【0028】
図1に示す本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置100は、ケーシング110と、ケーシング110に収容された電気伝導性を有する排ガス処理体120と、排ガス処理体120及びケーシング110の間に配設された保持シール材130とを備えている。
排ガス処理体120は、多数のセル121がセル壁122を隔てて長手方向に並設された柱状のものである。なお、ケーシング110の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と排ガス浄化装置100を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
また、保持シール材130は、本発明の保持シール材の一例である。
【0029】
保持シール材130を構成するマットの主面131には、一対の電極160が配設されており、さらに、一対の電極160を覆うように有機シート137が貼付されている。
そして、有機シート137が貼付されている保持シール材130のマットの主面131が、排ガス処理体120と接するように、保持シール材130が排ガス処理体120に巻き付けられている。
【0030】
一対の電極160には、導線136が接続されている。導線136は、排ガス処理体120とケーシング110との間にある空間を通って、ケーシング110に配設された端子取り出し口140を介してケーシング110から取り出され外部電源150と接続されている。
導線136は、排ガス処理体120とケーシング110との間にある空間において、排ガス浄化装置100の長手方向に伸縮可能な形状をしていることが望ましい。導線136が、排ガス処理体120とケーシング110との間にある空間において排ガス浄化装置100の長手方向に伸縮可能であると、外部から衝撃が加わったとしても衝撃を吸収することができるので導線136が切断しにくくなる。伸縮可能な形状としては、特に限定されないが、コイル状、ジグザク状又は波線状であることが望ましく、コイル状であることがより望ましい。
【0031】
上記の構成を有する排ガス浄化装置100を排ガスが通過する場合について、
図1を参照して以下に説明する。
内燃機関から排出された排ガスが(
図1中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)、排ガス浄化装置100の内部の排ガス処理体120に到達すると、排ガス流入側の端面に開口したセル121に流入し、セル121に担持された触媒124と接しながら、セル121中を通過し、排ガス流出側の端面から排出される。この際、排ガス中のCOやHC、NO
X等の有害なガス成分がセル壁122に担持された触媒124により浄化される。
このように、触媒124が担持された排ガス処理体120は、触媒担体として好適に使用することができる。
【0032】
有機シート137が存在している場合、一対の電極160と、排ガス処理体120とは有機シート137により隔てられているので、一対の電極160に電気を流したとしても、排ガス処理体120に通電することはできない。
しかし、排ガスが排ガス浄化装置100を通過する際、排ガスは高温なので、排ガスが有機シート137に接触すると有機シート137は熱分解により消失する。そうすると、一対の電極160と排ガス処理体120とが直接接触することになる。このような状態で、一対の電極160に電気を流すことにより、排ガス処理体120に通電することができる。
【0033】
次に、本発明の保持シール材130について説明する。
【0034】
図2は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す保持シール材130のマットは、所定の長手方向の長さ(以下、
図2中、矢印L
1で示す)、幅(以下、
図2中、矢印W
1で示す)及び厚さ(以下、
図2中、矢印T
1で示す)を有する、平面視形状略矩形状のマットである。保持シール材130のマットは、主面131を有している。また、保持シール材130のマットは、第1の側面132と、第1の側面132の反対の側面である第2の側面133を有している。
【0035】
図2に示す保持シール材130では、保持シール材130のマットの長さ方向側の端部のうち、一方の端部には凸部134が形成されており、他方の端部には凹部135が形成されている。保持シール材130のマットの凸部134及び凹部135は、後述する排ガス浄化装置100を組み立てるために排ガス処理体120に保持シール材130を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
【0036】
保持シール材130のマットの主面131には、第1の電極160a及び第2の電極160bからなる一対の電極160が配設されている。
【0037】
第1の電極160aは、短辺161aと、短辺161aに略垂直な長辺162aからなる平面視矩形の形状をしている。短辺161aの長さは、保持シール材130のマットの長手方向の長さL
1の約1/4である。また、長辺162aの長さは、保持シール材130のマットの幅W
1よりも少し短い。
第1の電極160aの短辺161aと保持シール材130のマットの長手方向とが略平行となるように第1の電極160aは保持シール材130のマットの主面131に配置されている。
【0038】
第2の電極160bは、第1の電極160aと同様の形状である。すなわち、第2の電極160bは、短辺161bと、短辺161bに略垂直な長辺162bからなる平面視矩形の形状をしている。短辺161bの長さは、保持シール材130のマットの長手方向の長さL
1の約1/4である。また、長辺162bの長さは、保持シール材130のマットの幅W
1よりも少し短い。
第2の電極160bの短辺161bと保持シール材130のマットの長手方向とが略平行となるように第2の電極160bは保持シール材130のマットの主面131に配置されている。
【0039】
第1の電極160aと、第2の電極160bとの位置関係は以下の通りである。
保持シール材130のマットの凹部135側の長辺162aと、保持シール材130のマットの凹部135側の長辺162bとの間の距離は、保持シール材130のマットの長手方向の長さL
1の約1/2であり、第1の電極160aは、第2の電極160bよりも保持シール材130のマットの凹部135側に位置している。
後述するように排ガス処理体120の形状は略円柱状である。そのため、第1の電極160aと、第2の電極160bとの位置関係が上記の関係であると、保持シール材130を排ガス処理体120に巻き付けた際、第1の電極160aと、第2の電極160bとは排ガス処理体120の円の中心を軸に対向する位置に配置されることになる。
【0040】
一般に、電流は両電極間の最短経路で流れる傾向がある。第1の電極160aと、第2の電極160bとが、上記大きさ及び上記位置関係であると、電流は、排ガス処理体120の円の中心が属する領域近傍に流れやすくなる。その結果、排ガス処理体120の円の中心が属する領域近傍を発熱させることができる。
【0041】
本発明の保持シール材130では、第1の電極160a及び第2の電極160bの構成材料は、白金、金、銀、ケイ素及びケイ素−炭化ケイ素からなる群から選択された少なくとも1種からなることが望ましい。
第1の電極160a及び第2の電極160bの構成材料が、白金、金、銀、ケイ素及びケイ素−炭化ケイ素からなる群から選択された少なくとも1種からなると、導電性向上に効果がある。また、種々の物質を組み合わせることにより、要求される排ガス処理体120の特性に応じて種々の特性を有する第1の電極160a及び第2の電極160bとすることができ、この第1の電極160a及び第2の電極160bを用いて排ガス処理体120に通電することにより、排ガス処理体120を好適に発熱させることができる。
第1の電極160a及び第2の電極160bの形状は、箔状、線状等が挙げられる。線状の場合は、その断面形状として円形、楕円形、扇形、長方形等が挙げられる。これらの中では、箔状であることが望ましい。
【0042】
本発明の保持シール材130では、導線136aと、第1の電極160aの短辺161aとが略垂直になるように、導線136aが、第1の側面132側の短辺161aにロー付されている。また、導線136aは、第1の側面132側に突き出ている。
同様に、別の導線136bと第2の電極160bの短辺161bとが略垂直になるように、別の導線136bが第1の側面132側の短辺161bにロー付されている。また、別の導線136bは、第1の側面132側に突き出ている。
【0043】
導線136a及び別の導線136b(以下、「導線136」という)の構成材料は、特に限定されないが、ニッケル、白金、銀、銅、鉄及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましく、ニッケルであることがより望ましい。導線136の構成材料がニッケルであると、強度に優れ、充分な電気伝導性を有する。
【0044】
また、保持シール材130のマットの主面131には、一対の電極160を覆うように有機シート137が貼付されている。
【0045】
保持シール材130のマットの主面131に、一対の電極160を覆うように有機シート137が貼付されていると、有機シート137が一対の電極160を保護することになるので、外部からの衝撃等により一対の電極160が損傷することを防ぐことができる。
また、保持シール材130を排ガス処理体120に巻き付ける際に、有機シート137が貼付されていない場合には、一対の電極160と、排ガス処理体120とが直接接触するので、一対の電極160と、排ガス処理体120とが擦れ一対の電極160が破損することがある。しかし、保持シール材130のマットの主面131に、一対の電極160を覆うように有機シート137が貼付されていると、一対の電極160と、排ガス処理体120とが直接接触することはない。従って、一対の電極160が破損することを防ぐことができる。
また、保持シール材130では、一対の電極160が、有機シート137により保持シール材130のマットの主面131に固定されることになるので、保持シール材130をそのまま排ガス処理体120の周囲に巻き付け、保持シール材130のマットと排ガス処理体100との間に一対の電極160を配設することができ、容易に一対の電極160を備えた排ガス浄化装置100を作製することができる。
さらに、保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、上記のように有機シート137は熱分解により消失する。そうすると、一対の電極160と排ガス処理体120とが直接接触することになるので、一対の電極160に電気を流すことにより排ガス処理体120に通電することができ、排ガス処理体120を発熱させることができる。
【0046】
本発明の保持シール材130では、有機シート137の厚さは、20〜200μmであることが望ましい。有機シート137の厚さが20μm未満であると、有機シート137の厚さが薄すぎて貼付する際等に破れるおそれがある。一方、有機シート137の厚さが200μmを超えると、有機シート137の厚さが厚すぎて、無機繊維単位重量当たりの貼付量が多くなりすぎ、ケーシング110への圧入は問題なく行うことができるものの、分解により発生する炭化水素ガス等の量が多くなりすぎ好ましくない。
【0047】
有機シート137の構成材料は、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、スチロール樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなることが望ましい。
有機シート137の構成材料が、ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、スチロール樹脂及びポリエステル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種からなると、これらの樹脂は充分な柔軟性を有するので外部からの衝撃を吸収することができる。また、上記構成の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100に排ガスが流入した際に、有機シート137が熱分解しやすくなる。
有機シート137は、フィルム等の不織布であってもよく、上記構成材料を繊維状にしたものを用いた織布であってもよい。
【0048】
有機シート137を保持シール材130のマットの主面131に貼付する方法としては、接着剤、テープ及び糸等の材料を用い貼付する方法や熱圧着により貼付する方法が挙げられる。これらの中では、熱圧着により貼付することが望ましい。
熱圧着により有機シート137を保持シール材130のマットの主面131に貼付すると、一対の電極160及び有機シート137を接着するために他の材料を使用しなくて一対の電極160を固定することができる。そのため、得られる排ガス浄化装置100の価格を安くすることができる。
【0049】
本発明の保持シール材130では、保持シール材130のマットに含まれる無機繊維の構成材料は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種からなることが望ましい。
無機繊維の構成材料が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、シリカ繊維の少なくとも1種からなっていると、これら繊維は、耐熱性に優れているので、通電により排ガス処理体120が発熱し充分な高温になった場合であっても、変質等が発生することはなく、保持シール材130としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維の構成材料が生体溶解性繊維からなっていると、保持シール材130を用いて排ガス浄化装置100を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
【0050】
保持シール材130のマットを構成する無機繊維について、アルミナを用いる場合には、アルミナ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO
2等の添加剤が含まれていてもよい。
【0051】
また、シリカを用いる場合には、シリカ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO
2等の添加剤が含まれていてもよい。
【0052】
さらにアルミナ−シリカを用いる場合、その組成比としては、重量比で、Al
2O
3:SiO
2=60:40〜80:20であることが望ましく、Al
2O
3:SiO
2=70:30〜74:26であることがより望ましい。
【0053】
保持シール材130のマットを構成する無機繊維の平均繊維長は、5〜150mmであることが望ましく、10〜80mmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材130のマットのせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材130のマットの作製時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体120への巻き付け性が低下し、保持シール材130のマットが割れやすくなる。
【0054】
本発明の保持シール材130のマットを構成する無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材130のマットのせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
【0055】
保持シール材130のマットの目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/m
2であることが望ましく、1000〜3000g/m
2であることがより望ましい。保持シール材130のマットの目付量が200g/m
2未満であると、保持力が充分ではなく、保持シール材130のマットの目付量が4000g/m
2を超えると、保持シール材130のマットの嵩が低くなりにくい。そのため、このような保持シール材130を用いて排ガス浄化装置100を製造する場合、排ガス処理体120が脱落しやすくなる。
【0056】
また、保持シール材130のマットの嵩密度(巻き付ける前の保持シール材130のマットの嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cm
3であることが望ましい。保持シール材130のマットの嵩密度が0.10g/cm
3未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材130のマットの形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持シール材130のマットの嵩密度が0.30g/cm
3を超えると、保持シール材130のマットが硬くなり、排ガス処理体120への巻き付け性が低下し、保持シール材130のマットが割れやすくなる。
【0057】
図3は、本発明の保持シール材が用いられた排ガス処理装置を構成する排ガス処理体の一例を模式的に示す斜視図である。
【0058】
図3に示すように、排ガス処理体120の形状は略円柱状である。また、排ガス処理体120の外周には、排ガス処理体120の外周部を補強したり、形状を整えたり、排ガス処理体120の断熱性を向上させたりする目的で、外周コート層123が設けられている。
なお、排ガス処理体120の内部の構成については、上記の本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100の説明で既に述べた通りである(
図1参照)。
なお、
図3では、排ガス処理体120として、各々のセルにおけるいずれ端面にも封止材による目封じがなされていない触媒担体を示しているが、各々のセルにおけるいずれか一方の端面が封止材によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いてもよい。
【0059】
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体120は電気伝導性を有している。また排ガス処理体120の電気抵抗値は、特に限定されいが、1Ω〜10
3Ωであることが望ましい。電気抵抗値が1Ωを下回ると、充分な発熱量を得にくくなる。電気抵抗値が10
3Ωを超えると、抵抗値が高すぎて電流が流れにくくなり、排ガス処理体120が発熱しにくくなる。
【0060】
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体120の断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm
2(200個/inch
2)、望ましい上限は、93.0個/cm
2(600個/inch
2)、より望ましい下限は、38.8個/cm
2(250個/inch
2)、より望ましい上限は、77.5個/cm
2(500個/inch
2)である。
【0061】
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体120は、特に限定されないが、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されたセラミック製のハニカム焼成体であってもよい。
排ガス処理体120がセラミック製のハニカム焼成体であると、セラミックは、脆性材料であるので、機械的な衝撃等により破壊され易いが、排ガス処理体120の周囲には、保持シール材130が介在し、衝撃を吸収するので、機械的な衝撃や熱衝撃により排ガス処理体120にクラック等を発生するのを防止することができる。
【0062】
また、本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では、上記ハニカム焼成体は、炭化ケイ素質の多孔質焼成体からなることが望ましい。
炭化ケイ素質の多孔質焼成体は通電により発熱するので、発熱体として適している。
また、炭化ケイ素質の多孔質焼成体は、耐熱性及び耐蝕性に優れ、強度及び硬度が高いので、排ガス浄化装置100を長期間繰り返し使用しても、熱応力等により排ガス処理体120にクラックが生じにくい。
【0063】
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100では排ガス処理体120は、特に限定されないが、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された金属製のハニカム体であってもよい。
金属製ハニカム体は通電により発熱するので、発熱体として適している。また、圧力損失の低減、低熱容量化に効果がある。さらに、強い衝撃を受けた場合であってもクラックが生じにくい。
【0064】
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100の排ガス処理体120には、排ガスを浄化するための触媒124が担持されている。担持させる触媒124としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、このなかでは、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの触媒が担持されていると、COやHC、NO
X等の有毒な排ガスを好適に浄化することができる。
【0065】
次に、本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100を構成するケーシング110について説明する。
図4は、ケーシングに、本発明の保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体を収容する工程の一例を模式的に示す斜視図である。
【0066】
ケーシング110は、主にステンレス等の金属からなり、その形状は、
図1に示すように、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、また、
図4に示すように、内径が一定である略円筒状であってもよい。
ケーシング110の内径(排ガス処理体120を収容する部分の内径)は、排ガス処理体120の端面の直径と排ガス処理体120に巻付けられた状態の保持シール材130の厚さとを合わせた長さより若干短くなっていることが望ましい。
【0067】
ケーシング110の材質は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属類が挙げられる。
【0068】
次に本発明の保持シール材130の製造方法の一例について説明する。
本発明の保持シール材130の製造方法では、無機繊維を含む平面視矩形状のマットを準備するマット準備工程と、保持シール材のマットの主面に一対の電極を配置する電極配置工程とを含むことを特徴とする。
【0069】
マット準備工程について説明する。
本発明の保持シール材130を構成するマットとして、平面視したときに、長手方向に伸びる長辺とそれにほぼ直角な短辺からなる矩形形状の所定の全長のニードルパンチング処理マットを用意する。ニードルパンチング処理マットは、紡糸用混合物のブローイング法による紡糸工程、紡糸工程により得られた無機繊維前駆体の圧縮によるシート状物の作製工程、シート状物のニードルパンチング処理工程、焼成処理工程、ニードルパンチング処理したシート状物へのバインダーの含浸工程、乾燥工程、及び、裁断工程を経て作製される。なお、ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維前駆体のシート状物に抜き差しすることをいう。
【0070】
マットを構成する無機繊維としては、上記のアルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維を用いることができる。
【0071】
ニードルパンチング処理は、ニードルパンチング装置を用いて行うことができる。ニードルパンチング装置は、無機繊維前駆体のシート状物を支持する支持板と、この支持板の上方に設けられ、突き刺し方向(素地マットの厚さ方向)に往復移動可能なニードルボードとで構成されている。ニードルボードには、多数のニードルが取り付けられている。このニードルボードを支持板に載せた無機繊維前駆体のシート状物に対して移動させ、多数のニードルを無機繊維前駆体のシート状物に対して抜き差しすることで、無機繊維前駆体を構成する繊維を複雑に交絡させることができる。ニードルパンチング処理の回数やニードル数は、目的とする嵩密度や目付量等に応じて変更すればよい。
【0072】
ニードルパンチング処理したシート状物にはバインダーを付着させることが望ましい。シート状物にバインダーを付着させることで、無機繊維同士の交絡構造をより強固なものとすることができるとともに、マットの嵩高さを抑えることができる。
【0073】
バインダーとしては、アクリル系ラテックス又はゴム系ラテックス等を水に分散させて調製したエマルジョンを用いることができる。このバインダーをスプレー等を用いてマット全体に均一に吹きかけて、バインダーをマットに付着させる。
【0074】
また、上述したように、バインダー中の水分等を除去するために、マットを圧縮乾燥させる。乾燥条件としては、例えば、95〜150℃で1〜30分間乾燥させればよい。
【0075】
バインダーが付着されたシート状物を所定の大きさに裁断することにより、保持シール材130のマットを作製することができる。
【0076】
次に、作製された保持シール材130のマットの主面131に、一対の電極160を配設する工程を説明する。
【0077】
第1の電極160aの短辺161aと、保持シール材130のマットの長手方向とが平行になるように、第1の電極160aを保持シール材130のマットの主面131に配置する。また、凹部135側の第1の電極160aの長辺162aと凹部135側の第2の電極160bの長辺162bとの距離が保持シール材130のマットの長手方向の長さL
1の1/2となるように、第2の電極160bを保持シール材130のマットの主面131に配置する。この際、第2の電極160bの短辺161bと、保持シール材130のマットの長手方向とが平行になるように、第2の電極160bを保持シール材130のマットの主面131に配置する。
また、第1の電極160aが、第2の電極160bよりも凹部135側に位置するように配置する。
【0078】
次に、第1の電極160a及び第2の電極160bを覆うように有機シート137を保持シール材130のマットの主面131にのせる。その後、熱圧着により保持シール材130のマットに有機シート137を貼付する。
【0079】
これら工程を経て、本発明の保持シール材130を準備することができる。
【0080】
次に、本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100の製造方法の一例について説明する。
本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100の製造方法には、一対の電極160が配設された保持シール材130のマットの主面131が、排ガス処理体120と接するように、保持シール材130を排ガス処理体120に巻き付ける巻き付け工程と、保持シール材130が巻き付けられた排ガス処理体120を、ケーシング110に収容する収容工程とが含まれている。
【0081】
巻き付け工程について説明する。
上記の工程により準備された本発明の保持シール材130を、排ガス処理体120に巻き付ける(以下、保持シール材130が巻き付けられた排ガス処理体120を「巻付体」ともいう)。
この際、保持シール材130のマットの主面131に配置された一対の電極160が、排ガス処理体120と接触するように配置する。
【0082】
収容工程について説明する。
上記巻き付け工程により作製された巻付体をケーシング110に収容する。
収容後に保持シール材130が圧縮して所定の面圧(すなわち、排ガス処理体を保持する力)を発揮するために、ケーシング110の内径は、周囲に保持シール材130が配設された排ガス処理体120の最外径より少し小さくなっている。
収容後、導線136をケーシング110に配設された端子取り出し口140から取り出し、外部電源150と接続する。
【0083】
収容工程に関し、周囲に保持シール材130が配設された排ガス処理体120をケーシング110に収容する方法としては、例えば、ケーシング110の内部の所定の位置まで周囲に保持シール材130が配設された排ガス処理体120を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、周囲に保持シール材130が配設された排ガス処理体120をケーシング110の内部に挿入した後、ケーシング110の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング方式)、並びに、ケーシング110を、第1のケーシング及び第2のケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、周囲に保持シール材130が配設された排ガス処理体120を第1のケーシング上に配置した後に第2のケーシングを被せて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
【0084】
次に、排ガス処理体120が収容されたケーシング110を車両の排気管に配設し、排ガスを流通させるとともに、排ガスの温度を上昇させる。これにより、保持シール材130のマットの主面131に貼付された有機シート137は熱分解により消失する。有機シート137が消失すると、排ガス処理体120と一対の電極160とが接触した状態となるので、排ガス処理体120に通電可能な排ガス浄化装置100が完成する。
【0085】
また、排ガス処理体120が収容されたケーシング110を車両の排気管に配設する前に、排ガス処理体120が収容されたケーシング110を加熱し、有機シート137を熱分解により消失させてもよい。
【0086】
これら工程を経て、本発明の保持シール材130が用いられた本発明の排ガス浄化装置100が製造される。
【0087】
本発明の保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法は、以下の一例のようであってもよい。
【0088】
図5は、本発明の保持シール材を模式的に示す斜視図である。
図5に示す本発明の保持シール材の一例である保持シール材230のマットは、
図2に示した本発明の保持シール材130のマットと同様に、所定の長手方向の長さL
2、幅W
2及び厚さT
2を有する、平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材230のマットは、主面231と、第1の側面232と、第2の側面233を有している。
【0089】
図5に示す保持シール材230では、保持シール材230のマットの長さ方向側の端部のうち、一方の端部には凸部234が形成されており、他方の端部には凹部235が形成されている。
【0090】
保持シール材230のマットの主面231には、第1の電極260a及び第2の電極260bからなる一対の電極260が配設されている。さらに一対の電極260を覆うように有機シート237が貼付されている。
【0091】
本発明の保持シール材230では、一対の電極を構成する第1の電極及び第2の電極の形状、並びに、配置される位置が上記本発明の保持シール材130と異なる。
【0092】
第1の電極260aは、長辺261aと、長辺261aに略垂直な短辺262aからなる平面視矩形の形状をしている。長辺261aの長さは、保持シール材230のマットの長手方向の長さL
2よりも少し短い。また、短辺262aの長さは、保持シール材230のマットの幅W
2の約1/4である。
長辺261aと保持シール材230のマットの長手方向とが略平行となるように第1の電極260aは配置されている。
【0093】
第2の電極260bは、第1の電極260aと同様の形状である。すなわち、第2の電極260bは、長辺261bと、長辺261bに略垂直な短辺262bからなる平面視矩形の形状をしている。長辺261bの長さは、保持シール材230のマットの長手方向の長さL
2よりも少し短い。また、短辺262bの長さは、保持シール材230のマットの幅W
2の約1/4である。
長辺261bと保持シール材230のマットの長手方向とは略平行となるように第2の電極260bは配置されている。
【0094】
また、第1の電極260aは、第2の電極260bよりも第1の側面232側に配置されている。
また、第1の電極260aは、保持シール材230の長手方向に垂直な方向に平行移動させた際に、第2の電極260bと丁度重なることがないように、保持シール材230のマットの凹部235側に少し寄っている。
【0095】
本発明の保持シール材230では、導線236aと第1の電極260aの長辺261aとが略垂直になるように、導線236aが、第1の側面232側の長辺261aにロー付されている。また、導線236aは、保持シール材230のマットの第1の側面232側に突き出ている。
また、本発明の保持シール材230では、別の導線236bと第2の電極260bの長辺261bとが略垂直になるように、別の導線236bが、第1の側面232側の長辺261bにロー付されている。
上記の通り、第1の電極260aは、保持シール材230のマットの凹部235側に少し寄っている。そのため、保持シール材230のマットには、第2の電極260bの長辺261bと垂直に交差する直線が、第1の電極260aの長辺261aと交差しない領域が存在する。第2の電極260bの長辺261bにロー付された別の導線236bは、この領域を通って保持シール材230のマットの第1の側面232側に突き出ている。
従って、本発明の保持シール材230では、第1の電極260aと、別の導線236bとが接触し短絡が生じることはない。
【0096】
第1の電極260a及び第2の電極260bが上記のように配置されていると、保持シール材230を排ガス処理体に巻き付けた際に、各電極が、排ガス処理体の所定の領域の外周部全体を覆うように配置されることになる。この場合、排ガス処理体の外周部全体から排ガス処理体を発熱させることができる。
【0097】
本発明の保持シール材230が用いられた排ガス浄化装置は、保持シール材が、保持シール材230が用いられている以外は、本発明の排ガス浄化装置100と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
本発明の保持シール材230の製造方法は、各電極の形状、配置位置、並びに、導線をロー付する位置が異なる以外は、上記本発明の保持シール材130の製造方法と同じである。各電極の形状、配置位置、並びに、導線をロー付する位置は上記の通りである。
本発明の保持シール材230が用いられた排ガス浄化装置の製造方法についても同様である。
【0099】
本発明の保持シール材、及び、本発明の排ガス浄化装置は、以下の特徴を有していてもよい。
【0100】
本発明の保持シール材130及び230のマットの主面には、一対の電極が並設されていたが、本発明の保持シール材では、二対以上の電極が配設されていてもよい。二対以上の電極が配設されていると、1つの電極が損傷し切断したとしても、電流を流すことができる。そのため、フェールセーフに優れる。
【0101】
本発明の保持シール材130及び230では、有機シートを貼付することにより、保持シール材のマットの主面に一対の電極を固定していたが、本発明の保持シール材では、有機シートを用いずに一対の電極を固定してもよい。一対の電極を固定する方法としては、接着剤、テープ及び糸等を用いる方法が挙げられる。
このような保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、最初から一対の電極と排ガス処理体が接触した状態となる。そのため、最初から一対の電極に電流を流すことにより、排ガス処理体に通電し、排ガス処理体を発熱させることができる。
【0102】
本発明の保持シール材130及び230では、一対の電極を覆うように一枚の有機シートが保持シール材のマットの主面に貼付されていたが、本発明の保持シール材では、一対の電極を構成する各電極をそれぞれ覆うように、複数枚の有機シートが保持シール材のマットの主面に貼付されていてもよい。
【0103】
本発明の保持シール材130及び230では、保持シール材のマットの主面に一対の電極を配置し、各電極を覆うように有機シートを貼付していた。しかし、本発明の保持シール材では、有機シートに一対の電極を接着してから、保持シール材のマットの主面に、一対の電極が接するように有機シートを貼付してもよい。一対の電極を接着する方法としては、接着剤、テープ及び糸等を用いる方法が挙げられる。
【0104】
本発明の保持シール材130及び230では、保持シール材のマットの主面に一対の電極を配設し、一対の電極を覆うように有機シートが貼付されていた。しかし、本発明の保持シール材では、有機シートに一対の電極の元となる導体ペーストをスクリーン印刷し、導体ペーストがスクリーン印刷された有機シートの主面と、保持シール材のマットとが接触するように、有機シートが保持シール材のマットの主面に貼付されていてもよい。
このような保持シール材が用いられた排ガス浄化装置を、500〜1000℃で加熱することにより、導体ペーストは焼結して一対の電極となる。また、有機シートは熱分解により消失する。
【0105】
上記導体ペーストには、導電性を有する金属粒子と、樹脂と、溶剤と、増粘剤とが含まれることが望ましい。
【0106】
上記導体ペーストに含まれる金属粒子としては、特に限定されないが、白金、金及び銀からなる群から選択される少なくとも1種を含む金属粒子であることが望ましい。
【0107】
これら金属粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなる。
【0108】
上記導体ペーストに含まれる樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、溶剤としては、特に限定されないが、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。増粘剤としては、特に限定されないが、セルロースなどが挙げられる。
【0109】
これまで、排ガス処理体としては、一体型の排ガス処理体について説明を行ったが、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、複数のユニットが接着材層を介して結束されてなる集合型の排ガス処理体であってもよい。
【0110】
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の形状は、円柱形状に限定されるものでなく、例えば、楕円柱形状、角柱形状等の任意の形状であっても良い。
【0111】
これまで、排ガス処理体としては、各々のセルの両端面が封止材による目封じをされていない触媒担体について説明を行ったが、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体としては、セルのいずれか一方の端部が封止された多孔質体であってもよい。このような排ガス処理体は、PMを捕集するフィルタとして好適に使用することが可能となる。
【0112】
排ガス処理体が、セルのいずれか一方の端部が封止された多孔質体である場合、多孔質体としては、炭化ケイ素質の多孔質体であることが望ましい。
【0113】
排ガス処理体が炭化ケイ素質の多孔質体である場合、排ガス処理体の気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
気孔率が35%未満であると、排ガス処理体がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体の強度が低下して容易に破壊されることがあるからである。
また、上記排ガス処理体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
平均気孔径が5μm未満であると、PMが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の従来公知の方法により測定することができる。
【0114】
以下に、本発明の保持シール材、及び、本発明の排ガス浄化装置の作用効果について列挙する。
(1)本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、保持シール材のマットに孔を形成して保温面積を減少させる必要がないので、保持シール材の反発力の総和が低下することがなく、保持シール材により充分に排ガス処理体を保温することが可能な排ガス浄化装置を提供することができる。
(2)本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、該保持シール材が電極を備えているため、任意のタイミングで電気伝導性を有する排ガス処理体に通電し、電気伝導性を有する排ガス処理体を発熱させることができる。
従って、このような排ガス浄化装置では、エンジン等の内燃機関を始動した直後の排ガス処理体(触媒担体)の昇温のみでなく、ハイブリッド車両等のモータ及びエンジンを搭載した車両がモータを稼働させ、エンジンが稼働していない時にも、所定の温度以上の温度を保つように排ガス処理体を発熱させることができる。そのため、エンジンが稼働し始めた際、直ぐに排ガス処理体を排ガス浄化装置として機能させることができる。
(3)本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、保持シール材のマットに配設されている電極は、保持シール材のマットからの面圧を受けることにより、保持シール材のマットと、排ガス処理体との間に固定されることになる。また、排ガス処理体が熱膨張することにより体積が増加した場合であっても、保持シール材のマットはその体積の増加を吸収することができる。そのため、電極は、排ガス処理体の体積が増加して形状が変化した場合であっても、排ガス処理体から離れにくく、接続不良になりにくい。
(4)本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、従来の排ガス浄化装置のように電極部材をケーシングの外から挿入する必要がないので、ケーシング及び保持シール材のマットに孔を形成する必要がない。そのため、排ガス浄化装置を製造する際に、ケーシングと、保持シール材とを位置合わせする必要がないので、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシング内部に収容する方法として圧入方式、サイジング方式等を用いることができる。
【0115】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0116】
(実施例1)
(1)保持シール材準備工程
(a)マット準備工程
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al
2O
3:SiO
2=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維長が100mm、平均繊維径が5.1μmである無機繊維前駆体を作製した。
【0117】
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
【0118】
(a−3)ニードルパンチング処理工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cm
2の密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
【0119】
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを含む無機繊維からなる焼成シート状物を作製した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られたアルミナ繊維製シートは、嵩密度が0.15g/cm
3であり、目付量が1400g/m
2である。
【0120】
(a−5)切断工程
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物を切断し、切断シート状物を作製した。
【0121】
(a−6)含浸工程
上記工程(a−5)で得られた切断シート状物に、有機バインダとしてアクリル系樹脂を含む有機バインダ溶液(アクリル系ラテックス)をフローコートして、切断シート状物に有機バインダを含浸させることにより、含浸シート状物を作製した。
【0122】
(a−7)乾燥工程
上記工程(a−6)で得られた含浸シート状物から過剰な有機バインダ溶液を吸引除去した後に、圧縮乾燥させてその厚さを薄くし、その厚さが8.2mmのニードルパンチング処理マットを作製した。
【0123】
(a−8)裁断工程
このようにして得られたマットを、平面視寸法が全長330mm×幅100mmであって、一端に、長さが35mm、幅が33mmの凸部134が形成され、他端にこの凸部134と嵌合する凹部135が成形されるように裁断することにより、保持シール材130のマットを成形した。
【0124】
(b−1)電極準備工程
短辺が82.5mmであり、長辺が90mmである平面視矩形の白金箔を2つ作製した。これらが第1の電極160a及び第2の電極160bである。
【0125】
(b−2)電極配置工程
保持シール材130のマットの凹部135が形成されている端部と、凹部135側の第1の電極160aの長辺162aとの距離が135mmとなるように保持シール材130のマットの主面131に第1の電極160aを配置した。この際、第1の電極160aの短辺161aと、保持シール材130のマットの長手方向とが平行になるようにした。
凹部135側の第1の電極160aの長辺162aと、凹部135側の第2の電極160bの長辺162bとの距離が165mmとなるように第2の電極160bを保持シール材130のマットの主面131に配置した。この際、第2の電極160bの短辺161bと、保持シール材130のマットの長手方向とが平行になるようにした。
【0126】
(b−3)ロー付工程
第1の側面132側の短辺161aの中央部と、導線136aであるニッケル線とを、構成材料がニッケルからなるロー材によりロー付した。この際、ニッケル線が、短辺161aと略垂直になるように、かつ、保持シール材130のマットの第1の側面132側に突き出るように配置した。
次に、ニッケル線が保持シール材130の第1の側面132と接する部分から、ニッケル線が突き出している側に5mmのニッケル線の部分を始点として、その始点からニッケル線が突き出している側に20mmまでのニッケル線の部分をコイル状にした。
第2の電極160bについても同様に導線136bをロー付した。
【0127】
(b−4)有機シート貼付工程
第1の電極160a及び第2の電極160bが配置された保持シール材130のマットの主面131に、第1の電極160a及び第2の電極160bが覆われるように、全長270mm×幅95mmのポリエチレン製有機シート137を配置し、熱圧着によりポリエチレン製有機シート137を保持シール材130のマットの主面131に貼付した。これにより、第1の電極160a及び第2の電極160bを保持シール材130のマットの主面131に固定した。
【0128】
このようにして作製された保持シール材130は、本実施例の保持シール材となる。
【0129】
(2)排ガス処理体準備工程
(c−1)成形体作製工程
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する押出成形工程を行い、
図3に示す排ガス処理体120の成形体を作製した。
【0130】
(c−2)乾燥工程
上記工程(c−1)で得られた排ガス処理体120の成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて上記生の排ガス処理体120の成形体を乾燥させ、排ガス処理体120の乾燥体とした。
【0131】
(c−3)脱脂工程
上記工程(c−2)で得られた排ガス処理体120の乾燥体を400℃で脱脂し、排ガス処理体120の脱脂体とした。
【0132】
(c−4)焼成工程
上記工程(c−3)で得られた排ガス処理体120の脱脂体を常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行い、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、セルの数(セル密度)が300個/inch
2、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)の排ガス処理体120の炭化ケイ素焼結体を製造した。
【0133】
(c−5)触媒担持工程
上記工程(c−4)で得られた排ガス処理体120の炭化ケイ素焼結体を、硝酸白金溶液に浸漬した後、600℃で1時間保持することにより、排ガス処理体120の炭化ケイ素焼結体のセル壁122に白金触媒124を担持させた。
このようにして作製された炭化ケイ素焼結体は、本実施例の保持シール材130が巻き付けられる排ガス処理体120となる。排ガス処理体120は全長100mmの略円柱状であり、外径は100mmであった。
【0134】
(3)巻き付け工程
上記工程により得られた保持シール材130を、上記工程により得られた排ガス処理体120の外周面全体に巻き付けた。
【0135】
(4)収容工程
圧入方式(スタッフィング方式)により、保持シール材130が巻き付けられた排ガス処理体120をケーシング110に圧入した。保持シール材130のマットの隙間嵩密度(GBH)は0.4g/cm
3とした。
ケーシング110に配設された端子取り出し口140から導線136を取り出し、外部電源150と接続した。
【0136】
このようにして作製された排ガス浄化装置は、本実施例の排ガス浄化装置となる。
【0137】
本発明の保持シール材は、保持シール材のマットの主面に、少なくとも一対の電極が配設されていることを必須の構成要素としている。
係る必須の構成要素に、本発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、有機シートの貼付、有機シートの構成材料、有機シートの貼付方法、電極の構成材料、電極の形状、電極の配置位置等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。