特許第6285827号(P6285827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285827
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   H05K13/02 U
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-179067(P2014-179067)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-54193(P2016-54193A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
(72)【発明者】
【氏名】山田 一亮
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−245788(JP,A)
【文献】 特開2012−186321(JP,A)
【文献】 特開2007−116021(JP,A)
【文献】 特開2013−074086(JP,A)
【文献】 特開2003−204192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、前記基板を搬送するとともに前記基板を固定して前記部品を実装させる実装レーンと、前記基板を搬送する搬送レーンとをそれぞれ含む複数の部品実装装置と、
前記複数の部品実装装置の間に配置され、上流の前記部品実装装置の前記搬送レーンから搬出される前記基板を、下流の複数の前記実装レーンを含む前記部品実装装置の少なくとも2つの実装レーンにそれぞれ振り分ける振分コンベアとを備え、
前記振分コンベアより上流の前記搬送レーンを搬送される前記基板に対応する前記振分コンベアより下流の全ての前記実装レーン上の前記基板の状態に基づいて、前記複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置の前記搬送レーンへの前記基板の搬入が規制されるように構成されている、部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装装置の前記搬送レーンは、前記基板を搬送する専用の搬送専用レーンを含み、
上流の前記部品実装装置の前記搬送専用レーンには、実装面が互いに異なる種類の複数の前記基板が搬送されるとともに、前記上流の部品実装装置の前記搬送専用レーンにより搬送された異なる種類の複数の前記基板は、それぞれ、前記振分コンベアにより下流の前記部品実装装置の異なる前記実装レーンに振り分けられ、前記実装レーンに振り分けられた後の同一の種類の前記基板の搬送に対応する下流の全ての前記実装レーンのいずれかの前記実装レーン上の前記基板に対する部品実装動作が停止した場合に、前記複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置の前記搬送レーンへの、部品実装動作が停止した前記基板と同一の種類の前記基板の搬入が、行われないように構成されている、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記複数の部品実装装置の上流に配置され、前記基板に半田を印刷する印刷機をさらに備え、
前記振分コンベアより上流の前記搬送レーンを搬送される前記基板に対応する前記振分コンベアより下流の全ての前記実装レーン上の前記基板の状態に基づいて、前記複数の部品実装装置の上流の前記印刷機への前記基板の搬入が規制されるように構成されている、請求項2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記振分コンベアの下流側における前記複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置と前記振分コンベアとの間に前記基板を滞留可能なバッファコンベアをさらに備え、
前記振分コンベアにより振り分けられた後に前記基板が下流側における前記複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置から、前記バッファコンベアに、前記基板の搬送または待機の指示が送信されるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記バッファコンベアから、前記振分コンベアの上流側の一つまたは複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置よりも上流の待機位置の装置に、前記基板の搬送または待機の指示が送信されるように構成されている、請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記部品実装装置の前記搬送レーンに実装面が互いに異なる種類の複数の前記基板が搬送される場合に、前記振分コンベアにより前記基板の種類毎に前記部品実装装置の異なる前記実装レーンにそれぞれ振り分けられるまでの上流の前記搬送レーンには、前記基板が1枚以下になるように搬送されるように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装システムに関し、特に、部品実装装置を備える部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装装置を備える部品実装システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基板に対して部品を実装する装着ヘッドと、基板を搬送するとともに基板を保持して部品を実装させる基板搬送保持装置と、基板を搬送するバイパスレーンとをそれぞれ含む複数の部品実装装置と、複数の部品実装装置の間に配置され、基板の搬送ルートを振り分ける接続搬送部とを備える部品実装システムが開示されている。この特許文献1の部品実装システムでは、部品実装装置のバイパスレーンには、ストック可能な枚数分の基板がストックされている。また、特許文献1の部品実装システムでは、下流の部品実装装置からの基板要求信号に応じて、上流の部品実装装置のバイパスレーンの基板が下流の部品実装装置の基板搬送保持装置に対して接続搬送部によって振り分けられて送られるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4762480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の部品実装システムは、上流の部品実装装置のバイパスレーンにストックされた基板が、下流の部品実装装置からの基板要求信号に応じて、下流の部品実装装置の基板搬送保持装置に送られるため、複数の部品実装装置に搬入される仕掛基板の数が増加するという不都合がある。このため、下流の部品実装装置が段取り替えなどで長時間停止した場合には、仕掛基板の半田が乾くなどして不良となり、基板の部品実装の歩留りが悪くなるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、仕掛基板の増加に起因して基板の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することが可能な部品実装システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における部品実装システムは、基板に対して部品を実装する実装ヘッドと、基板を搬送するとともに基板を固定して部品を実装させる実装レーンと、基板を搬送する搬送レーンとをそれぞれ含む複数の部品実装装置と、複数の部品実装装置の間に配置され、上流の部品実装装置の搬送レーンから搬出される基板を、下流の複数の実装レーンを含む部品実装装置の少なくとも2つの実装レーンにそれぞれ振り分ける振分コンベアとを備え、振分コンベアより上流の搬送レーンを搬送される基板に対応する振分コンベアより下流の全ての実装レーン上の基板の状態に基づいて、複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置の搬送レーンへの基板の搬入が規制されるように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による部品実装システムでは、上記のように、振分コンベアより上流の搬送レーンを搬送される基板に対応する振分コンベアより下流の全ての実装レーン上の基板の状態に基づいて、複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置の搬送レーンへの基板の搬入が規制されるように構成する。これにより、振分コンベアより下流の全ての実装レーン上の基板のうち一部の基板の部品実装動作が停止するなどして対応する全ての実装レーン上の基板の搬送が停止された場合でも、最上流の部品実装装置への基板の搬入が規制されるので、仕掛基板が増加するのを抑制することができる。これにより、長時間基板の搬送を停止した場合でも、半田が乾くなどして不良となる基板の数を少なくすることができる。その結果、仕掛基板の増加に起因して基板の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置の搬送レーンは、基板を搬送する専用の搬送専用レーンを含み、上流の部品実装装置の搬送専用レーンには、実装面が互いに異なる種類の複数の基板が搬送されるとともに、上流の部品実装装置の搬送専用レーンにより搬送された異なる種類の複数の基板は、それぞれ、振分コンベアにより下流の部品実装装置の異なる実装レーンに振り分けられ、実装レーンに振り分けられた後の同一の種類の基板の搬送に対応する下流の全ての実装レーンのいずれかの実装レーン上の基板に対する部品実装動作が停止した場合に、複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置の搬送レーンへの、部品実装動作が停止した基板と同一の種類の基板の搬入が、行われないように構成されている。このように構成すれば、振分コンベアにより一方の実装レーンに振り分けられた基板の部品実装動作が停止した場合でも、上流の搬送専用レーンには部品実装動作が停止された基板と同一の種類の基板が搬入されないので、他方の実装レーンに振り分けられる他の種類の基板を詰まらせることなく他方の実装レーンまで搬送専用レーンにより搬送することができる。これにより、他方の実装レーンの基板の部品実装動作を停止させる必要がないので、基板への部品実装を効率よく行うことができるとともに、仕掛基板の増加に起因して基板の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0010】
上記搬送専用レーンに実装面が互いに異なる種類の複数の基板が搬送される構成において、好ましくは、複数の部品実装装置の上流に配置され、基板に半田を印刷する印刷機をさらに備え、振分コンベアより上流の搬送レーンを搬送される基板に対応する振分コンベアより下流の全ての実装レーン上の基板の状態に基づいて、複数の部品実装装置の上流の印刷機への基板の搬入が規制されるように構成されている。このように構成すれば、対応する基板が実装レーンに搬入可能となるまで、基板への半田の印刷をせずに待機させることができるので、下流の実装レーンにおいて基板の部品実装動作が停止された場合でも、基板に半田が印刷された仕掛基板を長時間放置して不良となるのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、振分コンベアの下流側における複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置と振分コンベアの間に基板を滞留可能なバッファコンベアをさらに備え、振分コンベアにより振り分けられた後に基板が下流側における複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置から、バッファコンベアに、基板の搬送または待機の指示が送信されるように構成されている。このように構成すれば、最上流の部品実装装置が基板を必要とする際、近くのバッファコンベアから基板を搬入することができ、基板の部品実装の効率を向上できる。
【0012】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、バッファコンベアから、振分コンベアの上流側の一つまたは複数の部品実装装置のうち最上流の前記部品実装装置よりも上流の待機位置の装置に、前記基板の搬送または待機の指示が送信されるように構成されている。このように構成すれば、バッファコンベアと基板の待機位置の装置との途中の装置を介さずに直接基板の搬送または待機の指示を送信することができるので、基板の搬送または待機の制御を簡素化することができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装システムにおいて、好ましくは、部品実装装置の搬送レーンに実装面が互いに異なる種類の複数の基板が搬送される場合に、振分コンベアにより基板の種類毎に部品実装装置の異なる実装レーンにそれぞれ振り分けられるまでの上流の搬送レーンには、基板が1枚以下になるように搬送されるように構成されている。このように構成すれば、搬送レーンには仕掛基板が1枚以下となるので、容易に仕掛基板を減少させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記のように、仕掛基板の増加に起因して基板の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態による部品実装システムの全体構成を概略的に示した平面図である。
図2】本発明の第1実施形態による部品実装システムのバッファコンベアによる処理を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の第1実施形態による部品実装システムの第1動作例を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態による部品実装システムの第2動作例を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態による部品実装システムの第3動作例を説明するための図である。
図6】本発明の第1実施形態による部品実装システムの第4動作例を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態による部品実装システムの第5動作例を説明するための図である。
図8】本発明の第2実施形態による部品実装システムのバッファコンベアによる処理を説明するためのフローチャートである。
図9】本発明の第2実施形態による部品実装システムの印刷機または部品実装装置による処理を説明するためのフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態による部品実装システムの第6動作例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装システム100の構成について説明する。
【0018】
第1実施形態による部品実装システム100は、基板10に部品を実装して、部品が実装された基板を製造するように構成されている。部品実装システム100は、図1に示すように、ホストコンピュータ1と、ローダ2と、印刷機3と、振分コンベア4と、部品実装装置5と、バッファコンベア6と、リフロー炉7と、アンローダ8とを備えている。ローダ2、印刷機3およびアンローダ8は、基板10の種類毎に複数設けられている。振分コンベア4(4a、4b、4c、4d、4e)は、複数設けられている。部品実装装置5(5a、5b、5c)は、基板の製造ラインに沿って印刷機3とリフロー炉7との間に複数設けられている。バッファコンベア6(6a、6b)は、振分コンベア4(4b、4c)と部品実装装置5(5b、5c)との間に2つ設けられている。
【0019】
また、部品実装システム100では、基板製造ラインに沿って上流側(X1側)から下流側(X2側)に向かって基板10が搬送されるように構成されている。また、部品実装システム100を構成する各装置(ローダ2、印刷機3、振分コンベア4、部品実装装置5、バッファコンベア6、リフロー炉7およびアンローダ8)は、各々が制御部を有する自立型の装置であり、各装置の動作は、各々の制御部により個別に制御されている。また、ホストコンピュータ1は、制御プログラム(生産プログラム)を実行して部品実装システム100全体を統括する役割を有している。つまり、ホストコンピュータ1と各装置とが生産計画に関する情報を随時送受信することにより、部品実装システム100において部品が実装された基板の生産が行われるように構成されている。
【0020】
次に、部品実装システム100を構成する各装置の構成について説明を行う。
【0021】
ローダ2は、部品が実装される前の基板(配線基板)10を保持するとともに基板製造ラインに搬入する役割を有する。また、ローダ2は、基板10の種類毎に設けられている。なお、基板10の種類は、基板10の実装面が異なる場合は、異なる種類とする。たとえば、同一の基板10であっても、部品を実装する面が表裏であり互いに異なる場合は、実装面が互いに異なる種類の基板となる。また、部品は、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を含む。
【0022】
印刷機3は、スクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板10の実装面上に塗布する機能を有する。また、印刷機3は、基板10の種類毎に設けられている。また、複数の印刷機3は、上流のローダ2からそれぞれ基板10を受け取り、印刷後下流の振分コンベア4(4a)に受け渡すように構成されている。
【0023】
振分コンベア4は、製造ラインに沿って(X方向に沿って)搬送される基板10を、直交する方向(Y方向)に移動させて、複数の実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aに基板10を振り分けるように構成されている。つまり、振分コンベア4(4b、4c)は、上流の部品実装装置5の実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aから搬出される基板10を、下流の部品実装装置5の実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aのいずれかに振り分けるように構成されている。また、振分コンベア4は、搬送レーン41を含んでいる。搬送レーン41は、基板10のY方向の幅に応じて間隔を調整可能に構成されている。つまり、搬送レーン41は、搬送する基板10の種類に応じてY方向の間隔が調整される。また、振分コンベア4は、印刷機3と最上流の部品実装装置5との間の振分コンベア4a、部品実装装置5aと部品実装装置5bとの間の振分コンベア4b、部品実装装置5bと部品実装装置5cとの間の振分コンベア4c、最下流の部品実装装置5とリフロー炉7との間の振分コンベア4d、および、リフロー炉7とアンローダ8との間の振分コンベア4eを含む。
【0024】
振分コンベア4aは、基板10の種類毎に設けられた複数の印刷機3からそれぞれ基板10を受け取り、部品実装装置5aに受け渡すように構成されている。また、振分コンベア4aは、生産プログラムに基づいて、基板10の種類に応じて部品実装装置5aの実装レーン52a〜52cと搬送専用レーン53aとに基板10を振り分けるように構成されている。振分コンベア4bは、部品実装装置5aの実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aからそれぞれ基板10を受け取り、部品実装装置5bの実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aに振り分けてバッファコンベア6aを介して受け渡すように構成されている。振分コンベア4cは、部品実装装置5bの実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aからそれぞれ基板10を受け取り、部品実装装置5cの実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aに振り分けてバッファコンベア6bを介して受け渡すように構成されている。
【0025】
振分コンベア4dは、最下流の部品実装装置5cの実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aからそれぞれ基板10を受け取り、リフロー炉7に受け渡すように構成されている。振分コンベア4eは、リフロー炉7から基板10を受け取り、基板10の種類毎に設けられた複数のアンローダ8に振り分けて受け渡すように構成されている。
【0026】
部品実装装置5は、クリーム半田が印刷された基板10の所定の実装位置に部品を実装(搭載)する機能を有する。また、部品実装装置5(5a〜5c)は、X方向に沿って複数配置されている。また、部品実装装置5は、2つのヘッドユニット51と、実装レーン52a〜52cと、搬送専用レーン53aと、部品供給部54とを含んでいる。ヘッドユニット51は、Y1側とY2側とに1つずつ設けられている。また、それぞれのヘッドユニット51は、複数の実装ヘッド511を有している。実装ヘッド511は、部品供給部54から供給される部品を吸着して基板10に実装するように構成されている。ヘッドユニット51は、水平方向(XY方向)に移動可能に構成されている。なお、搬送専用レーン53aは、本発明の「搬送レーン」の一例である。
【0027】
実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aは、Y方向に沿って配列されている。具体的には、Y1方向からY2方向に向かって、実装レーン52a、52b、搬送専用レーン53a、実装レーン52cの順に配置されている。実装レーン52a〜52cは、基板10をX方向に搬送するとともに、実装レーン52aのX方向途中に設けられた図示しない基板保持装置により基板10を固定(保持)して部品を実装させるように構成されている。搬送専用レーン53aには基板保持装置は設けられておらず、もっぱらX方向に基板10を搬送するように構成されている。つまり、実装レーン52a〜52cに搬入される基板10には、部品が実装されるように構成されている。一方、搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、部品が実装されずにそのまま部品実装装置5を通過して下流に搬送されるように構成されている。また、実装レーン52a〜52cおよび搬送専用レーン53aは、それぞれ、搬送する基板10のY方向の幅に応じて間隔を調整可能に構成されている。
【0028】
部品供給部54は、基板10に実装される部品を供給するように構成されている。また、部品供給部54は、基板10の搬送方向(X方向)に対して直交する方向(Y方向)の両側(Y1方向側およびY2方向側)に配置されている。また、部品供給部54には、複数のテープフィーダが配置されている。各テープフィーダは、複数の部品を所定の間隔を隔てて保持したテープが巻回されたリールを保持している。そして、リールが回転されてテープが送出されることにより、先端部から部品が供給されるように構成されている。
【0029】
バッファコンベア6は、上流の振分コンベア4から基板10を受け取り、下流の部品実装装置5に受け渡すように構成されている。また、バッファコンベア6は、下流の部品実装装置5のレーン数に対応したバッファレーン61、62、63、64を有している。第1実施形態では、バッファコンベア6には、部品実装装置5の3つの実装レーン52a〜52cおよび1つの搬送専用レーン53aに対応して、4つのバッファレーン61〜64が設けられている。なお、上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aを搬送されて来て、振分コンベア4により振り分けられる基板10は、下流の部品実装装置5の実装レーン52a〜52cに搬入されるのであるが、これが遅れると、実装効率が低下してしまう。このため、振り分けられた基板10をバッファコンベア6に待機させ、下流の部品実装装置5が基板受け入れ可能となった時から、短時間で基板10を供給できるように構成されている。
【0030】
リフロー炉7は、加熱処理を行うことにより半田を溶融させて部品を基板10上の電極部に接合する役割を有する。リフロー炉7は、1つのレーン71を有し、レーン71上の基板10を搬送しながら、加熱処理を行うように構成されている。
【0031】
アンローダ8は、部品が実装されリフロー炉7で加熱処理が行われた後の基板10を基板製造ラインから排出する役割を有する。また、アンローダ8は、基板10の種類毎に複数設けられている。つまり、リフロー炉7から排出される基板10は、振分コンベア4eにより種類毎に振り分けられてアンローダ8に搬入される。
【0032】
ここで、第1実施形態では、ホストコンピュータ1は、搬送される基板10に対応する下流の全ての実装レーン52a〜52c上の基板10の状態に基づいて、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aへの基板10の搬入が規制されるように制御するように構成されている。具体的には、ホストコンピュータ1は、上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aにより搬送された異なる種類の複数の基板10が、それぞれ、振分コンベア4bまたは4cにより下流の部品実装装置5の異なる実装レーン52a〜52cに振り分けられるように振分コンベア4bおよび4cを制御するように構成されている。また、ホストコンピュータ1は、実装レーン52a〜52cに振り分けられた後の同一の種類の基板10の搬送に対応する下流の全ての実装レーン52a〜52cのいずれかの実装レーン52a〜52c上の基板10に対する部品実装動作が停止した場合に、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aへの部品実装動作が停止した基板10と同一の種類の基板10の搬入が行われないように制御するように構成されている。
【0033】
また、ホストコンピュータ1は、搬送される基板10に対応する下流の全ての実装レーン52a〜52c上の基板10の状態に基づいて、複数の部品実装装置5の上流の印刷機3への基板10の搬入が規制されるように制御するように構成されている。また、部品実装システム100では、振分コンベア4bまたは4cにより振り分けられた後に基板10が搬入される装置(バッファコンベア6aまたは6b)から、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aよりも上流の待機位置の装置(ローダ2)に、基板10の搬送または待機の指示が送信されるように構成されている。
【0034】
また、ホストコンピュータ1は、部品実装装置5の搬送専用レーン53aに実装面が互いに異なる種類の複数の基板10が搬送される場合に、振分コンベア4bまたは4cにより基板10の種類毎に部品実装装置5の異なる実装レーン52a〜52cにそれぞれ振り分けられるまでの上流の搬送専用レーン53aには、基板10が1枚以下になるように搬送されるように制御するように構成されている。つまり、ホストコンピュータ1は、上流の搬送専用レーン53aにおいて複数の種類の基板10が搬送される場合は、1枚ずつ基板10を搬送させるように制御するように構成されている。また、ホストコンピュータ1は、1枚の基板10が上流側の搬送専用レーン53aを通過中は、次の基板10を上流側の搬送専用レーン53aに搬入せずに待機させるように制御するように構成されている。
【0035】
次に、図2を参照して、第1実施形態による部品実装システム100のバッファコンベア6(6aまたは6b)による処理について説明する。なお、この処理は、部品実装システム100の部品実装動作中継続して行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4bまたは4c)により上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aから下流の部品実装装置5の実装レーン52a〜52cに振り分けられる位置のバッファコンベア6により行われる。たとえば、振分コンベア4bにより基板10が搬送専用レーン53aから実装レーン52a〜52cに振り分けられる場合、バッファコンベア6aによりこの処理が行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4b、4c)により基板10が搬送専用レーン53aから実装レーン52a〜52cに振り分けられる対象の種類の基板10について行われる。また、対象の種類の基板10が複数種類ある場合は、基板10の種類毎に処理が行われる。
【0036】
図2のステップS1において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がOFFにされる。この基板10を搬入される信号がOFFの場合は、上流のローダ2から印刷機3への基板10の搬入が行われない。つまり、印刷機3の下流の部品実装装置5aにも対象の種類の基板10が搬入されない(搬入が規制される)。ステップS2において、所定時間経過したか否かが判断される。つまり、ローダ2から印刷機3へ対象の種類の基板10が搬入されてから所定時間経過したか否かが判断される。なお、所定時間は、ローダ2から対象の基板10が搬出されてから、振り分け後のバッファコンベア6(6aまたは6b)に到着するまでに必要な時間に基づいて設定される。所定時間が経過するまでステップS2の判断が繰り返される。
【0037】
所定時間経過後、ステップS3において、下流の全ての部品実装装置5の信号がチェックされる。つまり、振り分け後のバッファコンベア6(6aまたは6b)よりも下流の部品実装装置5の対象の実装レーン52a〜52cのうちいずれかの実装レーン52a〜52cにおいて、部品実装動作が停止しているか否かがチェックされる。いずれの実装レーン52a〜52cにおいても部品実装動作が停止されていない場合、信号はONになり、いずれかの実装レーン52a〜52cにおいて部品実装動作が停止されている場合、信号はOFFになる。
【0038】
ステップS4において、チェックした下流の部品実装装置5の信号がOFFの場合(NOの場合)ステップS1に戻る。信号がONの場合(YESの場合)ステップS5において、在荷チェックが行われる。ステップS6において、処理を行っているバッファコンベア6aまたは6bに対象の種類の基板10があるか否かが判断される。
【0039】
ステップS6において、処理を行っているバッファコンベア6aまたは6b(自機)に基板10(在荷)がある場合は、ステップS1に戻り、自機に基板10がない場合は、ステップS7に進む。ステップS7において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がONにされる。ステップS8において、基板搬入許可信号が対象の種類の基板10のローダ2に送信される。これにより、ローダ2から対象の種類の基板10が印刷機3に搬入される。その後、ステップS2に戻る。
【0040】
なお、ローダ2から対象の種類の基板10が印刷機3に搬入されると、印刷が実施され、その基板10は振分コンベア4aにより、部品実装プログラムに基づきその基板10に対応した部品実装機5aの実装レーン52a〜52cに振り分けられるか、その基板10に対応した搬送専用レーン53aに振り分けられる。実装レーン52a〜52cに振り分けられた基板10は、部品の実装を経て振分コンベア4bに搬送される。バッファコンベア6aにおいて基板10のないバッファレーンが61、62、あるいは64のいずれかの場合、振分コンベア4bは基板10を、基板10のないバッファレーン61、62、あるいは64のいずれかに振り分ける。バッファコンベア6aにおいて基板10のないバッファレーンが63の場合、振分コンベア4bは基板10を、基板10のないバッファレーン63に振り分ける。
【0041】
振分コンベア4aにより、部品実装機5aの搬送専用レーン53aに振り分けられた基板10は、短時間で振分コンベア4bに到達する。そして、直ちに振分コンベア4bは、バッファコンベア6aにおいて基板10のないバッファレーンが61、62、あるいは64のいずれかの場合、基板10のないバッファレーン61、62、あるいは64のいずれかに基板10を振り分ける。バッファコンベア6aにおいて基板10のないバッファレーンが63の場合、振分コンベア4bは、基板10のないバッファレーン63に基板10を振り分ける。これにより、上流の部品実装機5aの搬送専用レーン53aの下流側端部、振分コンベア4bの上流側に基板10は滞留することはない。振分コンベア4bが部品実装機5aの実装レーン52a〜52cで実装を終えたいずれかの基板10が振り分け途中にある状態では、部品実装機5aの搬送専用レーン53aの下流側端部、振分コンベア4bの上流側に基板10が1枚滞留することになるが、振り分け途中の振り分けが終わり次第、搬送専用レーン53aの下流側端部で待機する基板10は振り分けられ、上流の搬送専用レーン53aには基板10は滞留しなくなる。
【0042】
次に、図3図6を参照して、第1実施形態による部品実装システム100の部品実装動作について説明する。
【0043】
図3に示す第1動作例は、4種類の基板A、基板B、基板Cおよび基板Dに対して部品が実装される。第1動作例では、4種類の基板10に対応して、4つのローダ2、4つの印刷機3および4つのアンローダ8が設けられている。
【0044】
上流の部品実装装置5aでは、図3の上側に示すように、3つの実装レーン52a〜52cのうち、実装レーン52aおよび52bにおいて、基板Aに部品が実装される。また、実装レーン52cにおいて、基板Dに部品が実装される。また、基板BおよびCは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。なお、図3の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aには、基板BおよびCを便宜的に並べて記載しているが、上流の搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、1枚以下であるので、どちらか1枚またはどちらも搬入されない状態である。つまり、バッファコンベア6aの基板BおよびCの有無、下流の部品実装装置5bおよび5cの実装レーン52aおよび52bの状態(部品実装動作)に応じて、バッファコンベア6aからローダ2に基板10(基板BおよびC)の搬入・待機の信号が送信される。なお、上流の搬送専用レーン53aに、搬入される基板10がどちらか1枚ある状態とは、下流のバッファコンベア6aの空のバッファレーン61〜64のいずれかへ搬送途中の状態のことである。
【0045】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A〜D)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aおよび52bから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板BおよびCは、それぞれ、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aおよび52bに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの実装レーン52cにより部品が実装された基板Dは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板B、CおよびDに部品が実装され、基板Aが搬送される。
【0046】
ここで、部品実装装置5cにおいて、基板Cの部品実装動作が停止した場合、図3の下側に示すように、基板Cがローダ2から印刷機3に供給されない。つまり、基板Cについて、部品実装動作が停止しているため、バッファコンベア6aからローダ2に待機信号が送信される。また、さらに下流の部品実装装置5aにも基板Cは、搬入されない。部品実装装置5cにおいて、基板Cの部品実装動作が停止した時、バッファコンベア6aのバッファレーン62には基板C存在する場合と存在しない場合が有り得るが、存在する場合には、そもそも、基板搬入許可信号が基板Cのローダ2に送信されることはなく、印刷機3から振分コンベア4bの上流側までの部品実装装置5aの搬送専用レーン53aに基板Cは存在しない。一方、バッファコンベア6aのバッファレーン62には基板Cが存在しない場合で、既にバッファコンベア6aからローダ2に基板搬入許可信号が基板Cのローダ2に送信された後に、部品実装動作が停止したことによる待機信号がバッファコンベア6aからローダ2に送信されることも有り得る。しかしながら、基板Cは印刷機3、搬送専用レーン53aおよび振分コンベア4bを経てバッファコンベア6aのバッファレーン62に送られるので、基板Cは搬送専用レーン53aに滞留することはない。
【0047】
したがって、上流の部品実装装置5aでは、3つの実装レーン52a〜52cのうち、実装レーン52aおよび52bにおいて、基板Aに部品が実装される。また、実装レーン52cにおいて、基板Dに部品が実装される。また、バッファコンベア6aから基板Bの基板搬入許可信号がローダ2に送信されて、ローダ2から印刷機3に搬入された基板Bは、搬送専用レーン53aに滞留しない基板Cが障害となることもなく、印刷機3から搬送専用レーン53aおよび振分コンベア4bを経てバッファコンベア6aのバッファレーン61に順次搬送され振り分けられ、部品実装装置5b、5cで部品実装が行われる。
【0048】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A、BおよびD)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aおよび52bから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Bは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aに振り分けられてレーンが変更される。また、実装レーン52bの基板Cは、下流の部品実装装置5cにおいて、部品実装動作が停止されているため、部品実装後または実装前にそのまま実装レーン52bにおいて待機となる。また、上流の部品実装装置5aの実装レーン52cにより部品が実装された基板Dは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板BおよびDに部品が実装され、基板Aが搬送される。
【0049】
図4に示す第2動作例は、3種類の基板A、基板Bおよび基板Cに対して部品が実装される。なお、3種類の基板のうち基板AおよびBは、表裏に実装面を有する。つまり、基板AおよびBの表裏を考慮すると、部品を実装する基板10の種類は、基板AT(表)、基板AB(裏)、基板BT(表)、基板BB(裏)および基板Cの5種類となる。第2動作例では、裏表を考慮した5種類の基板10に対応して、5つのローダ2、5つの印刷機3および5つのアンローダ8が設けられている。
【0050】
上流の部品実装装置5aでは、図4の上側に示すように、実装レーン52aにおいて、基板ATに部品が実装される。また、実装レーン52bにおいて、基板BTに部品が実装される。また、実装レーン52cにおいて、基板Cに部品が実装される。また、基板ABおよびBBは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。なお、図4の部品実装装置5aおよび5bの搬送専用レーン53aには、基板ABおよびBBを便宜的に並べて記載しているが、上流の搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、1枚以下であり、搬送が終わった状態では上流の搬送専用レーン53aに基板ABおよびBBのどちらも滞留しない。
【0051】
つまり、バッファコンベア6bの基板ABおよびBBの有無、下流の部品実装装置5cの実装レーン52aおよび52bの状態(部品実装動作)に応じて、バッファコンベア6bからローダ2に基板10(基板ABおよびBB)の搬入・待機の信号が送信される。すなわち、基板ABについて、バッファコンベア6bのバッファレーン61に基板ABがない場合、基板搬入許可信号が基板ABのローダ2に送信される。ローダ2から基板ABが印刷機3に搬入されると、印刷が実施され、その基板ABは振分コンベア4aにより部品実装機5aの搬送専用レーン53aに振り分けられ、さらに部品実装機5aの搬送専用レーン53aから振分コンベア4aを経てバッファコンベア6aのバッファレーン63に搬送され、バッファコンベア6aのバッファレーン63に停滞することなく、基板ABは部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに搬入され、搬送専用レーン53を部品実装されることなく搬送され、振分コンベア4cによりバッファコンベア6bのバッファレーン61に振り分けられる。
【0052】
基板BBについても同様に、バッファコンベア6bのバッファレーン62に基板BBがない場合、基板搬入許可信号が基板BBのローダ2に送信される。ローダ2から基板BBが印刷機3に搬入されると、印刷が実施され、その基板BBは振分コンベア4aにより部品実装機5aの搬送専用レーン53aに振り分けられ、さらに部品実装機5aの搬送専用レーン53aから振分コンベア4aを経てバッファコンベア6aのバッファレーン63に搬送され、バッファコンベア6aのバッファレーン63に滞留することなく、基板BBは部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに搬入され、搬送専用レーン53aを部品実装されることなく搬送され、振分コンベア4cによりバッファコンベア6bのバッファレーン62に振り分けられる。これらにより、ローダ2から印刷機3に搬入された基板AB、BBは、それぞれ部品実装機5aの搬送専用レーン53a、部品実装機5bの搬送専用レーン53aに滞留することなく、バッファコンベア6bのバッファレーン61、62に搬送される。
【0053】
部品実装装置5bでは、部品実装装置5aと同様に、基板AT、BTおよびCに部品が実装され、基板ABおよびBBが搬送される。部品実装装置5bから排出される基板10(基板AT、AB、BT、BBおよびC)は、振分コンベア4cにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板ATおよびBTは、上流の部品実装装置5bの実装レーン52aおよび52bから、それぞれ、下流の部品実装装置5cの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aにより搬送された基板ABおよびBBは、それぞれ、下流の部品実装装置5cの実装レーン52aおよび52bに振り分けられてレーンが変更される。振り分けが終わった状態では上流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに基板ABおよびBBのどちらも滞留しない。また、上流の部品実装装置5bの実装レーン52cにより部品が実装された基板Cは、下流の部品実装装置5cの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。
【0054】
ここで、部品実装装置5cにおいて、基板ABの部品実装動作が停止した場合、図4の下側に示すように、基板ABがローダ2から印刷機3に供給されない。つまり、基板ABについて、部品実装動作が停止しているため、バッファコンベア6bからローダ2に待機信号が送信される。また、さらに下流の部品実装装置5aおよび部品実装装置5bにも基板ABは、搬入されない。
【0055】
すなわち、部品実装装置5cにおいて、基板ABの部品実装動作が停止した時、バッファコンベア6bのバッファレーン61には基板ABが存在する場合と存在しない場合が有り得るが、存在する場合には、そもそも、バッファコンベア6bからローダ2に基板ABの基板搬入許可信号が出されることはなく、部品実装装置5aの搬送専用レーン53a、バッファコンベア6bのバッファレーン63、および部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに基板ABは存在しない。
【0056】
一方、バッファコンベア6bのバッファレーン61に基板ABが存在しない場合で、既にバッファコンベア6aからローダ2に基板搬入許可信号が基板ABのローダ2に送信された後に、部品実装動作が停止したことによる待機信号がバッファコンベア6aからローダ2に送信されることも有り得る。しかしながら、例えローダ2から印刷機3に基板ABが搬入されていても、基板ABは、印刷機3で印刷され、部品実装装置5aの搬送専用レーン53a、バッファコンベア6bのバッファレーン63、部品実装装置5bの搬送専用レーン53a、および振分コンベア4cを経てバッファコンベア6bのバッファレーン61に送られるので、基板ABは部品実装装置5aの搬送専用レーン53a、バッファコンベア6bのバッファレーン63、部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに滞留することはない。
【0057】
部品実装装置5bでは、部品実装装置5aと同様に、基板AT、BTおよびCに部品が実装され、基板AB、BBが順次搬送される。部品実装装置5bから排出される基板10(基板AT、BT、ABおよびBB)は、振分コンベア4cにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板ATおよびBTは、上流の部品実装装置5bの実装レーン52aおよび52bから、それぞれ、下流の部品実装装置5cの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aにより搬送された基板BBは、下流の部品実装装置5cの実装レーン52bに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5bの実装レーン52cにより部品が実装された基板Cは、下流の部品実装装置5cの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。
【0058】
図5に示す第3動作例は、4種類の基板A、基板B、基板Cおよび基板Dに対して部品が実装される。第3動作例では、4種類の基板10に対応して、4つのローダ2、4つの印刷機3および4つのアンローダ8が設けられている。
【0059】
上流の部品実装装置5aでは、図5の上側に示すように、3つの実装レーン52a〜52cにおいて、基板Aに部品が実装される。また、基板B、CおよびDは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。なお、図5の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aには、基板B、CおよびDを便宜的に並べて記載しているが、上流の搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、1枚以下であるので、いずれか1枚またはいずれも搬入されない状態である。つまり、バッファコンベア6aの基板B、CおよびDの有無、下流の部品実装装置5bおよび5cの実装レーン52a〜52cの状態(部品実装動作)に応じて、バッファコンベア6aからローダ2に基板10(基板B、CおよびD)の搬入・待機の信号が送信される。
【0060】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A〜D)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52a〜52cから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板B、CおよびDは、それぞれ、下流の部品実装装置5bの実装レーン52a〜52cに振り分けられてレーンが変更される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板B、CおよびDに部品が実装され、基板Aが搬送される。
【0061】
ここで、部品実装装置5bにおいて、基板Dの部品実装動作が停止した場合、図5の下側に示すように、基板Dがローダ2から印刷機3に供給されない。つまり、基板Dについて、部品実装動作が停止しているため、バッファコンベア6aからローダ2に待機信号が送信される。また、さらに下流の部品実装装置5aにも基板Dは、搬入されない。したがって、上流の部品実装装置5aでは、実装レーン52a〜52cにおいて、基板Aに部品が実装される。また、基板BおよびCは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。なお、図5の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aには、基板BおよびCを便宜的に並べて記載しているが、上流の搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、1枚以下であるので、いずれか1枚またはいずれも搬入されない状態である。つまり、バッファコンベア6aの基板BおよびCの有無、下流の部品実装装置5bおよび5cの実装レーン52aおよび52bの状態(部品実装動作)に応じて、バッファコンベア6aからローダ2に基板10(基板BおよびC)の搬入・待機の信号が送信される。
【0062】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A、BおよびC)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52a〜52cから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板BおよびCは、それぞれ、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aおよび52cに振り分けられてレーンが変更される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板BおよびCに部品が実装され、基板Aが搬送される。
【0063】
図6に示す第4動作例は、4種類の基板A、基板B、基板Cおよび基板Dに対して部品が実装される。第4動作例では、4種類の基板10に対応して、4つのローダ2、4つの印刷機3および4つのアンローダ8が設けられている。
【0064】
上流の部品実装装置5aでは、図6の上側に示すように、実装レーン52aにおいて、基板Bに部品が実装される。また、実装レーン52bにおいて、基板Cに部品が実装される。また、実装レーン52cにおいて、基板Dに部品が実装される。また、基板Aは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。なお、図6の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aには、基板Aを便宜的に2つ並べて記載しているが、上流の搬送専用レーン53aに搬入される基板10は、1枚以下であるので、1枚搬入または搬入されない状態である。つまり、バッファコンベア6aの基板Aの有無、下流の部品実装装置5bおよび5cの実装レーン52aおよび52bの状態(部品実装動作)に応じて、バッファコンベア6aからローダ2に基板10(基板BおよびC)の搬入・待機の信号が送信される。
【0065】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A〜D)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板BおよびCは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aおよび52bから、それぞれ、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Aは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aおよび52bに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの実装レーン52cにより部品が実装された基板Dは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板AおよびDに部品が実装され、基板BおよびCが搬送される。
【0066】
ここで、部品実装装置5cにおいて、基板A(実装レーン52a)の部品実装動作が停止した場合、図6の下側に示すように、基板Aのローダ2から印刷機3への供給が半分になる。したがって、上流の部品実装装置5aでは、実装レーン52aにおいて、基板Bに部品が実装される。また、実装レーン52bにおいて、基板Cに部品が実装される。また、実装レーン52cにおいて、基板Dに部品が実装される。また、基板Aは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。この搬送専用レーン53aを搬送される基板Aの数は、図6の上側に示す場合に比べて半数となるので、搬送専用レーン53aの下流側端部に滞留することなく、振分コンベア4bによりバッファコンベア6aのバッファレーン62に振り分けられる。
【0067】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A〜D)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板BおよびCは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aおよび52bから、それぞれ、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Aは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52bに振り分けられてレーンが変更される。また、実装レーン52aの基板Aは、下流の部品実装装置5cにおいて、部品実装動作が停止されているため、部品実装後または実装前にそのまま実装レーン52aにおいて待機となる。また、上流の部品実装装置5aの実装レーン52cにより部品が実装された基板Dは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52cに振り分けられて引き続き部品が実装される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板BおよびDに部品が実装され、基板Aが搬送される。
【0068】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第1実施形態では、上記のように、上流の部品実装機5の搬送専用レーン53aを搬送され、振分コンベア4bあるいは4cにより下流の部品実装機5の実装レーン52a〜52cのいずれかに振り分けられる基板10に対し、対応する下流の全ての実装レーン52a〜52c上の基板10の状態に基づいて、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aへの基板10の搬入が規制されるように構成する。これにより、実装レーン52a〜52c上の基板10のうち一部の基板10の部品実装動作が停止するなどして対応する全ての実装レーン52a〜52c上の基板10の搬送が停止された場合でも、最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aへの基板10の搬入が規制されるので、仕掛基板が増加するのを抑制することができる。これにより、長時間基板10の搬送を停止した場合でも、半田が乾くなどして不良となる基板10の数を少なくすることができる。その結果、仕掛基板の増加に起因して基板10の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aには、実装面が互いに異なる種類の複数の基板10が搬送されるとともに、上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aにより搬送された異なる種類の複数の基板10は、それぞれ、振分コンベア4bまたは4cにより下流の部品実装装置5の異なる実装レーン52a〜52cに振り分けられ、実装レーン52a〜52cに振り分けられた後の同一の種類の基板10の搬送に対応する下流の全ての実装レーン52a〜52cのいずれかの実装レーン52a〜52c上の基板10に対する部品実装動作が停止した場合に、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aへ、部品実装動作が停止した基板10と同一の種類の基板10の搬入が行われないように構成する。これにより、振分コンベア4bまたは4cにより一方の実装レーンに振り分けられた基板10の部品実装動作が停止した場合でも、上流の搬送専用レーン53aには部品実装動作が停止された基板10と同一の種類の基板10が搬入されないので、他方の実装レーンに振り分けられる他の種類の基板10を詰まらせることなく他方の実装レーンまで搬送専用レーン53aにより搬送することができる。これにより、他方の実装レーンの基板10の部品実装動作を停止させる必要がないので、基板10への部品実装を効率よく行うことができるとともに、仕掛基板の増加に起因して基板10の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、上流の部品実装機5の搬送専用レーン53aを搬送され、振分コンベア4bあるいは4cにより下流の部品実装機5の実装レーン52a〜52cのいずれかに振り分けられる基板10に対し、搬送される基板10に対応する下流の全ての実装レーン52a〜52c上の基板10の状態に基づいて、複数の部品実装装置5の上流の印刷機3への基板10の搬入が規制されるように構成する。これにより、対応する基板10が実装レーン52a〜52cに搬入可能となるまで、基板10への半田の印刷をせずに印刷機3の上流側に待機させることができるので、下流の実装レーン52a〜52cにおいて基板10の部品実装動作が停止された場合でも、基板10に半田が印刷された仕掛基板を長時間放置して不良となるのを抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、実装レーン52aあるいはさらに52bあるいはさらに52cから搬送専用レーン53aへ、搬送専用レーン53aから、実装レーン52aあるいはさらに52bあるいはさらに52cへそれぞれ基板10の振り分けを行う振分コンベア4bまたは4cの、下流側における複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5bまたは5cと振分コンベア4bまたは4cの間に基板を滞留可能なバッファコンベア6aまたは6bを設け、振分コンベア4bまたは4cにより振り分けられた後に基板10が下流側における複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5bまたは5cから、バッファコンベア6aまたは6bに、基板10の搬送または待機の指示が送信されるように構成する。これにより、最上流の部品実装装置5bまたは5cが基板を必要とする際、近くのバッファコンベア6aまたは6bから基板10を搬入することができ、基板10の部品実装の効率を向上できる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、バッファコンベア6aまたは6bから、振分コンベア4bまたは4cより上流の一つまたは複数の部品実装装置5のうち最上流の前記部品実装装置5aよりも上流の待機位置の装置(ローダ2)に、基板10の搬送または待機の指示が送信されるように構成する。このように構成すれば、バッファコンベア6aまたは6bと基板10の待機位置の装置(ローダ2)との途中の装置を介さずに直接基板の搬送または待機の指示を送信することができるので、基板10の搬送または待機の制御を簡素化することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置5の搬送専用レーン53aに実装面が互いに異なる種類の複数の基板10が搬送される場合に、振分コンベア4bまたは4cにより基板10の種類毎に部品実装装置5の異なる実装レーン52a〜52cにそれぞれ振り分けられるまでの上流の搬送専用レーン53aには、基板10が1枚以下になるように搬送されるように構成する。これにより、搬送専用レーン53aには仕掛基板が1枚以下となるので、容易に仕掛基板を減少させることができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態による部品実装システム100について説明する。この第2実施形態では、それぞれの部品実装装置に3つの実装レーンおよび1つの搬送専用レーンが設けられていた上記第1実施形態と異なり、それぞれの部品実装装置に1つの実装レーンおよび1つの搬送専用レーンが設けられている構成について説明する。
【0076】
第2実施形態による部品実装システム100の部品実装装置5は、図7に示すように、1つの実装レーン52aと、1つの搬送専用レーン53aとを含んでいる。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
次に、図8を参照して、第2実施形態による部品実装システム100のバッファコンベア6(6aまたは6b)による処理について説明する。なお、この処理は、部品実装システム100の部品実装動作中継続して行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4bまたは4c)により上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aから下流の部品実装装置5の実装レーン52aに振り分けられる位置のバッファコンベア6により行われる。たとえば、振分コンベア4bにより基板10が搬送専用レーン53aから実装レーン52aに振り分けられる場合、バッファコンベア6aによりこの処理が行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4b、4c)により基板10が搬送専用レーン53aから実装レーン52aに振り分けられる対象の種類の基板10について行われる。また、対象の種類の基板10が複数種類ある場合は、基板10の種類毎に処理が行われる。
【0078】
図8のステップS11において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がOFFにされる。この基板10を搬入される信号のON・OFFは、上流の装置によりチェックされる。ステップS12において、在荷チェックが行われる。ステップS13において、処理を行っているバッファコンベア6aまたは6bに対象の種類の基板10があるか否かが判断される。
【0079】
ステップS13において、処理を行っているバッファコンベア6aまたは6b(自機)に基板10(在荷)がある場合は、ステップS11に戻り、自機に基板10がない場合は、ステップS14に進む。ステップS14において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がONにされる。その後、ステップS11に戻る。
【0080】
次に、図9を参照して、第2実施形態による部品実装システム100の印刷機3または部品実装装置5による処理について説明する。なお、この処理は、部品実装システム100の部品実装動作中継続して行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4bまたは4c)により上流の部品実装装置5の搬送専用レーン53aから下流の部品実装装置5の実装レーン52aに振り分けられる位置のバッファコンベア6よりも上流の装置(部品実装装置5および印刷機3)により行われる。また、この処理は、振分コンベア4(4b、4c)により基板10が搬送専用レーン53aから実装レーン52aに振り分けられる対象の種類の基板10について行われる。また、対象の種類の基板10が複数種類ある場合は、基板10の種類毎に処理が行われる。
【0081】
図9のステップS21において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がOFFにされる。この基板10を搬入される信号のON・OFFは、上流の装置によりチェックされる。ステップS22において、下流の装置(部品実装装置5またはバッファコンベア6)の信号がチェックされる。
【0082】
ステップS23において、チェックした下流の装置(部品実装装置5またはバッファコンベア6)の信号がOFFの場合(NOの場合)ステップS21に戻る。信号がONの場合(YESの場合)ステップS24において、在荷チェックが行われる。具体的には、処理を行っている部品実装装置5または印刷機3に対象の種類の基板10があるか否かが判断される。
【0083】
ステップS25において、処理を行っている部品実装装置5または印刷機3(自機)に基板10(在荷)がある場合は、ステップS21に戻り、自機に基板10がない場合は、ステップS26に進む。ステップS26において、対象の種類の基板10を搬入させるための信号がONにされる。ステップS27において、基板搬入許可信号が上流の装置に送信される。これにより、処理を行っている装置に対象の種類の基板10が搬入される。その後、ステップS22に戻る。
【0084】
上記のように、第2実施形態では、下流の装置から上流の装置に順々に基板搬入のための信号が伝達されていくように構成されている。つまり、対象の種類の基板10において、いずれかの部品実装装置5において、部品実装動作が停止している場合には、信号がOFFになり、対象の種類の基板10の搬入が停止される。
【0085】
次に、図7を参照して、第2実施形態による部品実装システム100の部品実装動作について説明する。
【0086】
図7に示す第5動作例は、2種類の基板Aおよび基板Bに対して部品が実装される。第5動作例では、2種類の基板10に対応して、2つのローダ2、2つの印刷機3および2つのアンローダ8が設けられている。
【0087】
上流の部品実装装置5aでは、図7の上側に示すように、実装レーン52aにおいて、基板Aに部品が実装される。また、基板Bは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。
【0088】
部品実装装置5bでは、部品実装装置5aと同様に、基板Aに部品が実装され、基板Bが搬送される。部品実装装置5bから排出される基板10(基板AおよびB)は、振分コンベア4cにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5bの実装レーン52aから、下流の部品実装装置5cの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Bは、下流の部品実装装置5cの実装レーン52aに振り分けられてレーンが変更される。
【0089】
ここで、部品実装装置5cにおいて、基板Bの部品実装動作が停止した場合、図7の下側に示すように、基板Bがローダ2から印刷機3に供給されない。つまり、基板Bについて、部品実装動作が停止しているため、バッファコンベア6aから順々に待機信号(OFF信号)が送信される。また、さらに下流の部品実装装置5aにも基板Bは、搬入されない。したがって、上流の部品実装装置5aでは、実装レーン52aにおいて、基板Aに部品が実装される。また、搬送専用レーン53aは使用されない。
【0090】
部品実装装置5bでは、部品実装装置5aと同様に、基板Aに部品が実装される。部品実装装置5bから排出される基板10(基板A)は、振分コンベア4cにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5bの実装レーン52aから、下流の部品実装装置5cの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。
【0091】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0092】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
上記のように、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、上流の部品実装機5bの搬送専用レーン53aを搬送され、振分コンベア4cにより下流の部品実装機5cの実装レーン52aに振り分けられる基板Bに対し、対応する下流の実装レーン52a上の基板Bの状態に基づいて、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aへの基板Bの搬入が規制されるように構成する。これにより、下流の部品実装機5cの実装レーン52a上の基板Bの部品実装動作が停止され、実装レーン52a上の基板Bの搬送が停止された場合でも、最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aへの基板Bの搬入が規制されるので、上流側の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aから下流側の部品実装装置5cの実装レーン52aへ振り分けする振分コンベア4cより上流側の部品実装装置5a、5bの搬送専用レーン53aに基板10が滞留するのを抑制することができる。これにより、長時間基板10の搬送を停止した場合でも、半田が乾くなどして不良となる基板10の数を少なくすることができる。その結果、上流側の部品実装装置5a、5bの搬送専用レーン53aに基板10が滞留することに起因して基板10の部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0094】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0095】
(第3実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第3実施形態による部品実装システム100について説明する。この第3実施形態では、それぞれの部品実装装置に3つの実装レーンおよび1つの搬送専用レーンが設けられていた上記第1実施形態と異なり、それぞれの部品実装装置に2つの実装レーンおよび2つの搬送専用レーンが設けられている構成について説明する。
【0096】
第3実施形態による部品実装システム100の部品実装装置5は、図10に示すように、2つの実装レーン52aおよび52bと、2つの搬送専用レーン53aおよび53bとを含んでいる。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0097】
次に、図10を参照して、第3実施形態による部品実装システム100の部品実装動作について説明する。
【0098】
図10に示す第6動作例は、4種類の基板A、基板B、基板Cおよび基板Dに対して部品が実装される。第6動作例では、4種類の基板10に対応して、4つのローダ2、4つの印刷機3および4つのアンローダ8(図1参照)が設けられている。
【0099】
上流の部品実装装置5aでは、図10の上側に示すように、実装レーン52aにおいて、基板Aに部品が実装される。また、実装レーン52bにおいて、基板Dに部品が実装される。また、基板BおよびCは、それぞれ、搬送専用レーン53aおよび53bにより部品が実装されずに搬送される。
【0100】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A〜D)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、部品の実装が完了した基板Dは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52bから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53bに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Bは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bにより搬送された基板Cは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52b振り分けられてレーンが変更される。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板BおよびCに部品が実装され、基板AおよびDが搬送される。
【0101】
ここで、部品実装装置5cにおいて、基板Cの部品実装動作が停止した場合、図10の下側に示すように、基板Cがローダ2から印刷機3に供給されない。つまり、基板Cについて、部品実装動作が停止しているため、バッファコンベア6aからローダ2に待機信号が送信される。また、さらに下流の部品実装装置5aにも基板Cは、搬入されない。したがって、上流の部品実装装置5aでは、実装レーン52aおよび52bにおいて、それぞれ、基板AおよびDに部品が実装される。また、基板Bは、搬送専用レーン53aにより部品が実装されずに搬送される。
【0102】
部品実装装置5aから排出される基板10(基板A、BおよびD)は、振分コンベア4bにより振り分けられる。部品の実装が完了した基板Aは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52aから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。部品の実装が完了した基板Dは、上流の部品実装装置5aの実装レーン52bから、下流の部品実装装置5bの搬送専用レーン53aに振り分けられてレーンが変更される。また、上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53aにより搬送された基板Bは、下流の部品実装装置5bの実装レーン52aに振り分けられてレーンが変更される。また、実装レーン52bの基板Cは、下流の部品実装装置5cにおいて、部品実装動作が停止されているため、部品実装後または実装前にそのまま実装レーン52bにおいて待機となる。部品実装装置5cでは、部品実装装置5bと同様に、基板Bに部品が実装され、基板AおよびDが搬送される。
【0103】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0105】
上記のように、第3施形態では、第2実施形態と同様に、上流の部品実装機5bの搬送専用レーン53cを搬送され、振分コンベア4bにより下流の部品実装機5bの実装レーン52dに振り分けられる基板Cに対し、対応する下流の実装レーン52d上の基板Cの状態に基づいて、複数の部品実装装置5のうち最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bへの基板Cの搬入が規制されるように構成する。これにより下流の部品実装機5cの実装レーン52b上の基板Cの部品実装動作が停止され、部品実装機5bおよび5cの各実装レーン52b上の基板Bの搬送が停止された場合でも、最上流の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bへの基板Cの搬入が規制されるので、上流側の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bから下流側の部品実装装置5bの実装レーン52bへ振り分けする振分コンベア4bより上流側の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bに基板Cが滞留するのを抑制することができる。これにより、長時間基板Cの搬送を停止した場合でも、半田が乾くなどして不良となる基板Cの数を少なくすることができる。その結果、上流側の部品実装装置5aの搬送専用レーン53bに基板Cが滞留することに起因して基板Cの部品実装の歩留りが悪くなるのを抑制することができる。
【0106】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0107】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0108】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、搬送される基板に対応する下流の全ての実装レーン上の基板の状態に基づいて、複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置への基板の搬入を規制する制御を部品実装システムのホストコンピュータにより行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送される基板に対応する下流の全ての実装レーン上の基板の状態に基づいて、複数の部品実装装置のうち最上流の部品実装装置への基板の搬入を規制する制御を、部品実装システムの他の装置により行ってもよい。たとえば、複数の部品実装装置のうちの1つの部品実装装置の制御部により行ってもよい。
【0109】
また、上記第1実施形態では、部品実装装置が3つの実装レーンと1つの搬送専用レーンとを含む例を示し、第2実施形態では、部品実装装置が1つの実装レーンと1つの搬送専用レーンとを含む例を示し、第3実施形態では、部品実装装置が2つの実装レーンと2つの搬送専用レーンとを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置は、1つ以上の実装レーンと1つ以上の搬送レーンとを含んでいればよい。たとえば、部品実装装置が3つの実装レーンと2つの搬送レーンとを含む構成であってもよいし、部品実装装置が2つの実装レーンと1つの搬送レーンとを含む構成でもよい。また、部品実装システムの部品実装装置および振分コンベアの数は、基板の部品実装枚数および部品実装点数等の実装負荷などに応じて適宜変更してもよい。
【0110】
また、上記第1〜第3実施形態では、振分コンベアに振り分けられた後に基板がバッファコンベアに搬入され、基板が搬入されたバッファコンベアから基板の搬送または待機の指示信号が送信される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振分コンベアに振り分けられた後に基板が部品実装装置に搬入され、基板が搬入された部品実装装置から基板の搬送または待機の指示信号が送信される構成でもよい。
【0111】
また、上記第1〜第3実施形態では、部品実装装置の搬送専用レーン(搬送レーン)は、基板を搬送する専用のレーンとして用いられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送レーンを実装レーンとして用いることが可能であってもよい。
【0112】
また、上記第1〜第3実施形態では、部品供給部が複数のテープフィーダを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給部が、部品供給トレイを含んでいてもよい。
【0113】
また、上記第1〜第3実施形態では、振分コンベアが1つの搬送レーンを含む構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振分コンベアが搬送方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に配列された複数の搬送レーンを含む構成であってもよい。これにより、複数の種類の基板(たとえば、基板A〜D)の基板幅が異なる場合に、搬送レーンの幅を振り分ける基板に対応した幅に予め設定して置くことで、振り分けの効率を上げることが可能である。この場合、複数の搬送レーンを互いに干渉しないように独立してY方向に移動させるようにしてもよい。なお、複数の種類の基板の基板幅が異なる場合であっても、基板が順に流れる上流側の部品実装装置の実装レーンおよび下流側の部品実装装置の搬送専用レーン、上流側の部品実装装置の搬送専用レーンおよび下流側の部品実装装置の実装レーン、あるいは上流側の部品実装装置の実装レーンおよび下流側の部品実装装置の実装レーンは、それぞれ搬送される基板に対応し同幅に設定されてもよい。
【0114】
また、上記第1〜第3実施形態では、1つの部品実装装置には2つのヘッドユニットが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つの部品実装装置にヘッドユニットを1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0115】
また、上記第1〜第3実施形態では、リフロー炉に1つのレーンが設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リフロー炉に複数のレーンを設けてもよい。また、複数のリフロー炉を並行して設けてもよい。
【0116】
また、上記第1〜第3実施形態では、2つの振分コンベアの間に1つの部品実装装置が配置されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2つの振分コンベアの間に複数の部品実装装置が配置されていてもよい。また、複数の印刷機の下流にそれぞれ印刷検査装置を設けてもよい。また、部品実装装置の下流に基板検査装置を設けてもよい。
【0117】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0118】
3 印刷機
4、4b、4c 振分コンベア
5、5a、5b、5c 部品実装装置
10 基板
52a、52b、52c 実装レーン
53a、53b 搬送専用レーン(搬送レーン)
100 部品実装システム
511 実装ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10