(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記全周形状算出部は、前記測定範囲が重複する領域において、前記管の一方側の外周形状と前記管の他方側の外周形状とが一致するように、前記管の一方側の外周形状と前記管の他方側の外周形状とを合成することで、前記管の全周形状を算出するように構成される請求項1に記載の管の全周形状測定システム。
前記一方側測定装置は、前記管の一方側の外周面に探査波を照射する複数の測定センサを含み、前記複数のセンサの各々は、前記管の一方側の外周面に対して互いに異なる角度で探査波を照射可能に構成され、
前記他方側測定装置は、前記管の他方側の外周面に探査波を照射する複数の測定センサを含み、前記複数のセンサの各々は、前記管の他方側の外周面に対して互いに異なる角度で探査波を照射可能に構成されている請求項1から5の何れか一項に記載の管の全周形状測定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の形状測定装置は、ボイラ炉壁等のボイラチューブの片面の形状をレーザで測定することは出来るが、管の全周の形状(全周寸法)を測定することは出来ないものであった。
【0006】
本発明の少なくとも一つの実施形態は、このような従来技術の状況の基になされた発明であって、その目的とするところは、複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を正確に測定するための管の全周形状測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一つの実施形態にかかる管の全周形状測定システムは、
複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を測定するための、管の全周形状測定システムであって、
前記管群の配列方向と直交する方向側である一方側から前記管の外周面に探査波を照射することで、前記管の一方側の外周形状を測定する一方側測定装置と、
前記管群の配列方向と直交する方向側であって前記一方側と前記管群を挟んで対向する他方側から前記管の外周面に探査波を照射することで、前記管の他方側の外周形状を測定する他方側測定装置であって、前記他方側測定装置の測定範囲が、前記管の他方側の外周形状の両端部において、前記一方側測定装置の測定範囲と重複するように構成される他方側測定装置と、
前記一方側測定装置で測定された前記管の一方側の外周形状と、前記他方側測定装置で測定された前記管の他方側の外周形状であって、前記一方側の外周形状と同一断面上に位置する前記管の他方側の外周形状とから、前記管の全周形状を算出する全周形状算出部、を含むコントローラと、
を備える。
【0008】
上記(1)に記載の管の全周形状測定システムは、管の一方側の外周形状を測定する一方側測定装置と、管の他方側の外周形状を測定する他方側測定装置と、一方側測定装置で測定された管の一方側の外周形状と、他方側測定装置で測定された管の他方側の外周形状とから、管の全周形状を算出する全周形状算出部、を含むコントローラと、を備えている。このため、複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群において、隣接する管の隙間が狭く、ノギスなどの測定器具を挿入することができない場合であっても、管の全周形状を正確に測定することが出来るようになっている。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の管の全周形状測定システムにおいて、上記全周形状算出部は、測定範囲が重複する領域において、管の一方側の外周形状と管の他方側の外周形状とが一致するように、管の一方側の外周形状と管の他方側の外周形状とを合成することで、管の全周形状を算出するように構成される。
【0010】
上記(2)に記載の管の全周形状測定システムによれば、一方側測定装置の測定範囲と他方側測定装置の測定範囲とが重複する領域において、管の一方側の外周形状と管の他方側の外周形状とが一致するように、管の一方側の外周形状と管の他方側の外周形状とを合成することで、管の全周形状を正確に算出することが出来る。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の管の全周形状測定システムにおいて、上記一方側測定装置は、一方側測定装置で測定される管の一方側の外周形状に対応する管の長手方向における位置を検出可能な一方側エンコーダを有する。また、上記他方側測定装置は、他方側測定装置で測定される管の他方側の外周形状に対応する管の長手方向における位置を検出可能な他方側エンコーダを有する。そして、コントローラは、一方側エンコーダが検出する管の一方側の外周形状に対応する管の長手方向における位置と、他方側エンコーダが検出する管の他方側の外周形状に対応する管の長手方向における位置とを照合し、管の一方側の外周形状と同一断面上に位置する管の他方側の外周形状を認識するように構成される位置照合部をさらに含む。
【0012】
上記(3)に記載の管の全周形状測定システムによれば、一方側エンコーダが検出する管の長手方向における位置と、他方側エンコーダが検出する管の長手方向における位置とを照合することで、管の一方側の外周形状と同一断面上に位置する管の他方側の外周形状を認識することが出来る。このため、一方側測定装置および他方側測定装置が互いに別々に管の一方側の外周形状および他方側の外周形状を夫々測定する場合であっても、測定後に管の一方側の外周形状に対応した位置における管の他方側の外周形状を認識することが出来るため、管の外周形状を正確に算出することが出来る。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(3)の何れかに記載の管の全周形状測定システムにおいて、
前記管群の一方側において前記管の長手方向に延在する、前記一方側測定装置を案内するための一方側ガイド部材と、
前記管群の他方側において前記管の長手方向に延在する、前記他方側測定装置を案内するための他方側ガイド部材と、
前記管群の一方側において前記管の長手方向と直交する方向に延在する、前記一方側ガイド部材の一端側を支持するための一方側第1サポート部材と、
前記管群の一方側において前記管の長手方向と直交する方向に延在する、前記一方側ガイド部材の他端側を支持するための一方側第2サポート部材と、
前記管群の他方側において前記管の長手方向と直交する方向に延在する、前記他方側ガイド部材の一端側を支持するための他方側第1サポート部材と、
前記管群の他方側において前記管の長手方向と直交する方向に延在する、前記他方側ガイド部材の他端側を支持するための他方側第2サポート部材と、をさらに備える。
【0014】
上記(4)に記載の管の全周形状測定システムによれば、一方側ガイド部材および他方側ガイド部材によって、一方側測定装置および他方側測定装置の各々を管の長手方向に沿って移動させることが出来る。また、一方側第1サポート部材および一方側第2サポート部材によって一方側ガイド部材を支持する構成とすることで、管の長手方向と直交する方向における一方側ガイド部材の位置を変更可能に構成することが出来る。同様に、他方側第1サポート部材および他方側第2サポート部材によって他方側ガイド部材を支持する構成とすることで、管の長手方向と直交する方向における他方方側ガイド部材の位置を変更可能に構成することが出来る。
すなわち、上記実施形態によれば、一方側測定装置および他方側測定装置の各々を、管の長手方向および管の長手方向に直交する方向の夫々の方向に沿って移動可能に構成することが出来る。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の管の全周形状測定システムにおいて、一方側第1サポート部材の少なくとも一端と他方側第1サポート部材の少なくとも一端とを連結するための第1連結部材と、一方側第2サポート部材の少なくとも一端と他方側第2サポート部材の少なくとも一端とを連結するための第2連結部材と、管の外周形状に沿った円弧状を有する固定バンド、及び固定バンドを管の外周面に当接させた状態で固定するための固定用ネジであって、一方側第1サポート部材、一方側第2サポート部材、他方側第1サポート部材、及び他方側第2サポート部材の夫々に形成されているネジ穴に螺合可能な固定用ネジ、を含む固定治具と、をさらに備える。
【0016】
上記(5)に記載の管の全周形状測定システムによれば、上述した一方側ガイド部材、一方側第1サポート部材、一方側第2サポート部材、並びに他方側ガイド部材、他方側第1サポート部材、他方側第2サポート部材の各々を、第1連結部材、第2連結部材、及び固定治具によって、簡単に組み立てることが出来る。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)から(5)に記載の管の全周形状測定システムにおいて、上記一方側測定装置は、管の一方側の外周面に探査波を照射する複数の測定センサを含み、複数のセンサの各々は、管の一方側の外周面に対して互いに異なる角度で探査波を照射可能に構成される。また、上記他方側測定装置は、管の他方側の外周面に探査波を照射する複数の測定センサを含み、複数のセンサの各々は、管の他方側の外周面に対して互いに異なる角度で探査波を照射可能に構成されている。
【0018】
上記(6)に記載の管の全周形状測定システムによれば、管の外周形状を測定する際に死角が出来難いため、隣接する管の隙間が管の外径に対して小さいような場合であっても、管の外周形状を正確に測定することが出来る。
【0019】
(7)本発明の少なくとも一つの実施形態にかかる管の全周形状測定方法は、
複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を測定するための、管の全周形状測定方法であって、
前記管群の配列方向と直交する方向側である一方側から前記管の外周面に探査波を照射することで、前記管の一方側の外周形状を測定する一方側測定ステップと、
前記管群の配列方向と直交する方向側であって前記一方側と前記管群を挟んで対向する他方側から前記管の外周面に探査波を照射することで、前記管の他方側の外周形状を測定する他方側測定ステップであって、前記他方側測定ステップにおける測定範囲が、前記管の他方側の外周形状の両端部において、前記一方側測定ステップにおける測定範囲と重複する他方側測定ステップと、
前記一方側測定ステップで測定された前記管の一方側の外周形状と、前記一方側の外周形状と対応した位置における前記他方側測定ステップで測定された前記管の他方側の外周形状とから、前記管の全周形状を算出する全周形状算出ステップと、
を備える。
【0020】
上記(7)に記載の管の全周形状測定方法は、管の一方側の外周形状を測定する一方側測定ステップと、管の他方側の外周形状を測定する他方側測定ステップと、一方側測定ステップで測定された管の一方側の外周形状と、一方側の外周形状と対応した位置における他方側測定ステップで測定された管の他方側の外周形状とから、管の全周形状を算出する全周形状算出ステップを備えている。このため、複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を正確に測定することが出来るようになっている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、複数の管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を正確に測定するための管の全周形状測定システムを提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムが適用されるボイラの概略構成を示す概略図である。
図1において、符号1はボイラ、符号2はバーナ、3は火炉、4は過熱器及び再熱器管群、6は蒸発管群を示す。
本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システム10は、例えば過熱器及び再熱器管群4や蒸発管群6などのような、複数の伝熱管が互いに隙間を有して配列されてなる管群における管の全周形状を測定するためのものである。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムの全体構成を示した構成図である。
図2の(a)は、管の全周形状測定システム10によって管群12Gにおける管12の外周形状を測定している状態を示した斜視図、
図2の(b)は、管の全周形状測定システム10によって管群12Gにおける管12の外周形状を測定している状態を示した上面図である。
図3は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムにおける管の外周形状の測定方法を説明するための図である。
図3の(a)は、管12の外周形状を測定している状態を示した拡大上面図、
図3の(b)は、一方側測定装置22Aによって測定された管12の一方側の外周形状を示した図、
図3の(c)は、他方側測定装置22Bによって測定された管12の他方側の外周形状を示した図である。
【0026】
図2に示したように、管群12Gは、その配列方向(
図2の(a)におけるY方向)に沿って複数の管12が隙間aを有して一列に配列している。隙間aの大きさは、約15mm以下、管12の外径Dに対して例えば15%〜150%程度であり、ノギスなどの測定器具が挿入し難い大きさとなっている。
また、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システム10は、管12の外周に探査波Wを照射することで、管12の外周形状を測定する一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bと、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの各々で測定された管12の外周形状に関するデータが送信されるコントローラ40と、を備える。
【0027】
図示した実施形態では、探査波Wはレーザ光であり、測定装置22は、レーザ光を利用することで対象物の形状を測定するレーザセンサである。しかしながら、本発明における測定装置22はレーザセンサに限定されず、超音波によって対象物の形状を測定する超音波センサや、対象物を複数の異なる方向により同時に撮影可能なステレオカメラなどであってもよいものである。
【0028】
一定側測定装置22Aは、管群12Gの配列方向と直交する方向(
図2の(a)におけるX方向)側である一方側から管12の外周面に探査波Waを照射することで、管12の一方側の外周形状12aを測定するように構成される。
【0029】
同様に、他方側測定装置22Bは、管群12Gの配列方向と直交する方向側であって、一方側と管群12Gを挟んで対向する他方側から管12の外周面に探査波Wbを照射することで、管12の他方側の外周形状12bを測定するように構成される。
【0030】
また、他方側測定装置22Bは、その測定範囲が、管12の他方側の外周形状の両端部において、上述した一方側測定装置22Aの測定範囲と点又は領域を持って重複するように構成される。
図3に示した実施形態では、一方側測定装置22Aの測定範囲と、他方側測定装置22Bの測定範囲とは、各々の両端部における領域R1、R2において重複している。
【0031】
すなわち、一方側測定装置22Aと、他方側測定装置22Bの少なくともいずれか一方の測定装置22は、管12の外周の半周以上(180度以上)の範囲を測定可能なように構成される。一方の測定装置22が、管12の外周の半周以上の範囲を測定可能にするための手段としては、幾つかの手段が考えられる。例えば、測定装置22が管12の円周方向(
図2の(a)におけるY方向)に沿って移動可能に構成することや、後述するように、測定装置22が管12の外周面に探査波Wを照射する測定センサ22aを複数備えることなどが考えられる。
【0032】
コントローラ40は、中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、およびI/Oインターフェイスなどを有するマイクロコンピュータからなる。そして、
図1に示すように、管12の全周形状を算出する全周形状算出部40Aを含む。全周形状算出部40Aは、一方側測定装置22Aで測定された管12の一方側の外周形状12aと、他方側測定装置22Bで測定された管12の他方側の外周形状12bであって、一方側の外周形状12aと同一断面上に位置する管12の他方側の外周形状12bとから、管12の全周形状を算出するように構成される。
【0033】
ここで、全周形状算出部40Aが、一方側の外周形状12aと同一断面上に位置する他方側の外周形状12bを認識するための手段としては、幾つかの手段が考えられる。例えば、一方側測定装置22Aと他方側測定装置22Bとを管群12Gを挟んで同一高さ位置に配置し、両者を管12の長手方向に沿って同時に移動させることで、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとは常に同一断面上における管の外周形状を測定するように構成してもよい。また、後述するように、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの各々が管12の長手方向における位置を検出可能なエンコーダを備えることなどが考えられる。
【0034】
このように構成される本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システム10は、上述したように、管12の一方側の外周形状12aを測定する一方側測定装置22Aと、管12の他方側の外周形状を測定する他方側測定装置22Bと、一方側測定装置22Aで測定された管12の一方側の外周形状12aと、他方側測定装置22Bで測定された管12の他方側の外周形状12bとから、管12の全周形状を算出する全周形状算出部40A、を含むコントローラ40と、を備えている。このため、複数の管12が互いに隙間を有して配列されてなる管群12Gにおいて、隣接する管12、12の隙間が狭く、ノギスなどの測定器具を挿入することができ場合であっても、管12の全周形状を正確に測定することが出来るようになっている。
【0035】
図4は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムにおいて、管の一方側の外周形状と他方側の外周形状とを合成することで、管の全周形状を算出する過程を説明するための図である。
幾つかの実施形態では、
図4に示したように、上述した全周形状算出部40Aは、測定範囲が重複する領域R1、R2において、管12の一方側の外周形状12aと管12の他方側の外周形状12bとが一致するように、管12の一方側の外周形状12aと管12の他方側の外周形状12bとを合成することで、管12の全周形状を算出するように構成される。
【0036】
図4の(a)は、一方側の外周形状12aにおける端点a1、a2と、他方側の外周形状12bにおける端点b1、b2を重ね合わせた状態を示している。一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが点でのみ重複する場合は、一方側の外周形状12aにおける端点a1、a2と、他方側の外周形状12bにおける端点b1、b2とを重ね合わせることで、管12の全周形状を算出することが出来る。これに対して、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが領域を持って重複する場合は、測定範囲が重複する領域R1、R2において、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが一致するように、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bを合成する必要がある。
【0037】
図4の(b)は、
図4の(a)に対して、測定範囲が重複する領域R1、R2において、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが一致するように、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bの相対位置を調整している状態を示している。一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが一致しているか否かの判定は、例えば最小二乗法などによって両者の相対誤差が最も小さい相対位置を算出し、この位置を一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとが一致している位置を見なすことが出来る。また例えば、一方側の外周形状12aおよび他方側の外周形状12bを微分してその接線方向の傾きを夫々算出し、両者の傾きが一致している部分が測定範囲の重複している領域R1、R2であると見做して、一方側の外周形状12aと他方側の外周形状12bとを合成することが出来る。
【0038】
このような実施形態によれば、一方側測定装置22Aの測定範囲と他方側測定装置22Bの測定範囲とが重複する領域R1、R2において、管12の一方側の外周形状12aと管12の他方側の外周形状12bとが一致するように、管12の一方側の外周形状12aと管12の他方側の外周形状12bとを合成することで、管12の全周形状を正確に算出することが出来る。
【0039】
幾つかの実施形態では、
図2に示したように、上述した一方側測定装置22Aは、一方側測定装置22Aで測定される管12の一方側の外周形状12aに対応する管12の長手方向(
図2の(a)におけるZ方向)における位置を検出可能な一方側エンコーダ24Aを有する。また、上述した他方側測定装置22Bは、他方側測定装置22Bで測定される管12の他方側の外周形状12bに対応する管12の長手方向における位置を検出可能な他方側エンコーダ24Bを有する。そして、コントローラ40は、一方側エンコーダ24Aが検出する管12の一方側の外周形状12aに対応する管12の長手方向における位置と、他方側エンコーダ24Bが検出する管12の他方側の外周形状12bに対応する管12の長手方向における位置とを照合し、管12の一方側の外周形状12aと同一断面上に位置する管12の他方側の外周形状12bを認識するように構成される位置照合部40Bをさらに含む。
【0040】
例えば、これら一方側エンコーダ24Aおよび他方側エンコーダ24Bの各々は、共通の基準高さからの管12の長手方向における離間距離を夫々検出可能に構成される。そして、検出した離間距離を測定装置22で測定される管12の外周形状に関するデータと関連づけて、コントローラ40に送信するように構成されている。
【0041】
このような実施形態によれば、一方側エンコーダ24Aが検出する管12の長手方向における位置と、他方側エンコーダ24Bが検出する管12の長手方向における位置とを照合することで、管12の一方側の外周形状12aと同一断面上に位置する管12の他方側の外周形状12bを認識することが出来る。このため、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bが互いに別々に管12の一方側の外周形状12aおよび他方側の外周形状12bを夫々測定する場合であっても、測定後に管12の一方側の外周形状12aに対応した位置における管12の他方側の外周形状12bを認識することが出来るため、管12の外周形状を正確に算出することが出来る。
【0042】
幾つかの実施形態では、上述した
図2に示したように、管の全周形状測定システム10は、管群12Gの一方側において管12の長手方向に延在する、一方側測定装置22Aを案内するための一方側ガイド部材30Aと、管群12Gの他方側において管12の長手方向に延在する、他方側測定装置22Bを案内するための他方側ガイド部材30Bと、管群12Gの一方側において管12の長手方向と直交する方向に延在する、一方側ガイド部材30Aの一端側を支持するための一方側第1サポート部材32Aと、管群12Gの一方側において管12の長手方向と直交する方向に延在する、一方側ガイド部材30Aの他端側を支持するための一方側第2サポート部材34Aと、管群12Gの他方側において管12の長手方向と直交する方向に延在する、他方側ガイド部材30Bの一端側を支持するための他方側第1サポート部材32Bと、管群12Gの他方側において管12の長手方向と直交する方向に延在する、他方側ガイド部材30Bの他端側を支持するための他方側第2サポート部材34Bと、をさらに備える。
【0043】
図示した実施形態では、管12は上下方向に延在しており、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bも上下方向に延在している。また、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bの一端側とは、
図2の(a)における上側を指し、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bの他端側とは、
図2の(a)における下側を指している。すなわち、一端側第1サポート部材32Aおよび他端側第1サポート部材32Bの各々は、一端側第2サポート部材34Aおよび他端側第2サポート部材34Bの各々に対して、管12の延在方向の上側に位置するように配置されている。
【0044】
幾つかの実施形態では、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bには、不図示のガイドレールやガイド溝などが軸方向に沿って形成されている。また幾つかの実施形態では、測定装置22は、例えばモータなどの出力部、及びこの出力部によって駆動する駆動輪などの駆動部を有している。そして、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bの軸方向に沿って自走可能に構成されている。
【0045】
このような実施形態によれば、一方側ガイド部材30Aおよび他方側ガイド部材30Bによって、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの各々を管12の長手方向に沿って移動させることが出来る。また、一方側第1サポート部材32Aおよび一方側第2サポート部材34Aによって一方側ガイド部材30Aを支持する構成とすることで、管12の長手方向と直交する方向における一方側ガイド部材30Aの位置を変更可能に構成することが出来る。同様に、他方側第1サポート部材32Bおよび他方側第2サポート部材34Bによって他方側ガイド部材30Bを支持する構成とすることで、管12の長手方向と直交する方向における他方方側ガイド部材30Bの位置を変更可能に構成することが出来る。
すなわち、上記実施形態によれば、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの各々を、管の長手方向および管の長手方向に直交する方向の夫々の方向に沿って移動可能に構成することが出来る。
【0046】
図5は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムにおけるサポート部材の端部の連結構造を示した図である。
幾つかの実施形態では、
図5に示したように、一方側第1サポート部材32Aの少なくとも一端と他方側第1サポート部材32Bの少なくとも一端とを連結するための第1連結部材36と、一方側第2サポート部材34Aの少なくとも一端と他方側第2サポート部材34Bの少なくとも一端とを連結するための第2連結部材38と、管12の外周形状に沿った円弧状を有する固定バンド52、及び固定バンド52を管12の外周面に当接させた状態で固定するための固定用ネジ54であって、一方側第1サポート部材32A、一方側第2サポート部材34A、他方側第1サポート部材32B、及び他方側第2サポート部材34Bの夫々に形成されているネジ穴56に螺合可能な固定用ネジ54、を含む固定治具50と、をさらに備える。
【0047】
ネジ穴56は、一方側第1サポート部材32A、一方側第2サポート部材34A、他方側第1サポート部材32B、及び他方側第2サポート部材34Bの各々において、固定バンド52の取り付け位置に対応する箇所に形成されている。そして、固定バンド52を管12の外周面に当接させた状態でネジ穴56に固定用ネジ54を螺合させることで、固定用ネジ54の先端が固定バンド52の外側面と当接し、これにより固定バンド52を管12の外周面に当接させた状態で固定するようになっている。幾つかの実施形態では、固定バンド52の形状は管12の外周面と同一の曲率半径を有する円弧形状に形成される。また幾つかの実施形態では、固定バンド52の周方向長さは、60度以上120度以下の範囲で形成される。
【0048】
このような実施形態によれば、上述した一方側ガイド部材30A、一方側第1サポート部材32A、一方側第2サポート部材34A、並びに他方側ガイド部材30B、他方側第1サポート部材32B、他方側第2サポート部材34Bの各々を、第1連結部材36、第2連結部材38、及び固定治具50によって、簡単に組み立てることが出来る。
【0049】
また、上記実施形態によれば、一方側第1サポート部材32Aと他方側第1サポート部材32B、および一方側第2サポート部材34Aと他方側第2サポート部材34Bの高さ位置(管12の長手方向位置)を一致させることが容易である。したがって、これら一方側第1サポート部材32Aおよび他方側第1サポート部材32B、又は一方側第2サポート部材34Aおよび他方側第2サポート部材34Bを基準として、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの高さ位置を測定することが出来るため、一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22Bの高さ位置の測定を容易に行うことが出来る。
【0050】
図6は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムにおける測定装置の構成を示した構成図である。
図7は、本発明の一実施形態にかかる管の全周形状測定システムにおける測定装置の他実施形態を説明するための説明図である。
幾つかの実施形態では、
図6及び
図7に示したように、測定装置22(一方側測定装置22Aおよび他方側測定装置22B)は、管12の外周面に探査波Wを照射する複数の測定センサ22aを含み、複数の測定センサ22aの各々は、管12の外周面に対して互いに異なる角度で探査波Wを照射可能に構成される。
【0051】
図7の(a)に示したように、隙間aに対して比較的大きい外径D1を有する管12Aの外周形状を測定する場合には、例えば各々異なる角度で管12Aの外周面に対して探査波Wを照射可能に配置された4つの測定センサ22aを有する測定装置22が用いられる。また、
図7の(b)に示したように、隙間aに対して比較的小さい外径D2を有する管12Bの外周形状を測定する場合には、例えば各々異なる角度で管12Aの外周面に対して探査波Wを照射可能に配置された2つの測定センサ22aを有する測定装置22が用いられる。
【0052】
このような実施形態によれば、管12の外周形状を測定する際に死角が出来難いため、隣接する管12の隙間aが管12の外径Dに対して小さいような場合であっても、管12の外周形状を正確に測定することが出来る。
【0053】
なお、図示した実施形態では、複数の測定センサ22aは、連結板22dを介して互いに接続されている。連結板22dの両端には、固定ネジ22eを介して、2つの測定センサ22aが夫々回動可能に連結されている。測定センサ22aは、その測定センサ22aの向きを変更することで、探査波Wの照射方向を調整することが出来るようになっている。
【0054】
また、図示した実施形態では、測定装置22は、モータなどの出力部、及びこの出力部によって駆動する駆動輪などの駆動部からなる本体部22bと、本体部22bと連結板22dとを回動可能に吊支持する接続部22cを有している。そして、不図示の出力部によって駆動部が駆動することで、ガイド部材30の軸方向に沿って自走可能に構成されている。
【0055】
以上、本発明の好ましい形態について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではない。例えば上述した実施形態を組み合わせても良く、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。