(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、ハイブリッド式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0029】
図1ないし
図4は本発明の第1の実施の形態を示している。
図1において、1はハイブリッド式の建設機械の代表例としてのハイブリッド式油圧ショベルを示している。ハイブリッド式油圧ショベル1(以下、油圧ショベル1という)は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に設けられた旋回軸受装置3と、該旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載され該下部走行体2と共に車体(基体)を構成する上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に取付けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置5とを含んで構成されている。
【0030】
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2D(いずれも左側のみ図示)とにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、油圧アクチュエータとしての左,右の走行油圧モータ2E,2F(
図2参照)によって回転駆動される。一方、トラックフレーム2Aの中央部の上側には、旋回軸受装置3が取付けられている。
【0031】
作業装置5は、後述する旋回フレーム6の前側に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)からなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
【0032】
上部旋回体4は、支持構造体をなす旋回フレーム6を含んで構成されている。旋回フレーム6は、旋回軸受装置3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載されている。このために、旋回フレーム6の下面側には、旋回軸受装置3が取付けられている。一方、旋回フレーム6上には、後述のキャブ7、カウンタウエイト8、エンジン9、アシスト発電モータ10、油圧ポンプ11、蓄電装置19、旋回装置20、電力変換装置23等が設けられている。
【0033】
キャブ7は、旋回フレーム6の左前側に設けられ、キャブ7内にはオペレータが着座する運転席(図示せず)が設けられている。運転席の周囲には、後述の操作装置14、キースイッチ29、表示装置30等が配設されている。
【0034】
カウンタウエイト8は、旋回フレーム6の後端側に取付けられ、作業装置5との重量バランスをとるものである。
【0035】
エンジン9は、キャブ7とカウンタウエイト8との間に位置して旋回フレーム6上に設けられている。このエンジン9は、例えばディーゼルエンジンを用いて構成され、ハイブリッド式油圧ショベル1の内燃機関として、上部旋回体4に左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン9の出力側には、後述するアシスト発電モータ10と油圧ポンプ11が機械的に接続されている。
【0036】
ここで、エンジン9の作動はエンジンコントロールユニット9A(以下、ECU9Aという)によって制御され、例えば、燃料の供給量が燃料噴射装置(図示せず)により可変に制御される。即ち、ECU9Aは、後述のメインコントローラ28から出力される制御信号に基づいてエンジン9のシリンダ(図示せず)内に噴射される燃料の噴射量(燃料噴射量)を可変に制御する。これにより、エンジン9は、オペレータの運転操作や車両の作動状態等に応じた回転数で作動する。また、ECU9Aは、後述するキースイッチ29の停止操作がされると、メインコントローラ28の指令により燃料噴射装置の燃料噴射を停止し、エンジン9を停止させる。
【0037】
アシスト発電モータ10は、エンジン9と油圧ポンプ11との間に機械的に接続され、発電電動機として設けられている。このアシスト発電モータ10は、例えば永久磁石式の同期電動機によって構成され、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行い、または電力が供給されることによりエンジン9の駆動を補助(アシスト)するものである。即ち、アシスト発電モータ10は、エンジン9によって回転駆動されることにより発電を行う作用(発電機作用)と、後述の電力変換装置23を介して電力供給されることにより電動機としてエンジン9の駆動を補助する作用(電動機作用)とを有するものである。
【0038】
アシスト発電モータ10の発電電力は、後述する第1のインバータ24を介して、第2のインバータ25およびチョッパ26に供給され、旋回電動モータ22の駆動、蓄電装置19の充電(蓄電)が行われる。一方、エンジン9の駆動を補助するときは、アシスト発電モータ10は、蓄電装置19に充電された電力(ないし旋回電動モータ22の回生電力)により駆動される。
【0039】
油圧ポンプ11は、アシスト発電モータ10とパイロットポンプ12との間に位置して、アシスト発電モータ10を介してエンジン9に機械的に接続されている。この油圧ポンプ11は、パイロットポンプ12、作動油タンク13と共に油圧源を構成している。油圧ポンプ11は、例えば斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式等のような各種の油圧ポンプによって構成され、エンジン9およびアシスト発電モータ10により駆動されるものである。油圧ポンプ11は、走行油圧モータ2E,2F、シリンダ5D〜5F、後述の旋回油圧モータ21等を駆動するための動力源として、作動油タンク13内の作動油を昇圧して後述のコントロールバルブ16に向けて吐出する。
【0040】
パイロットポンプ12は、油圧ポンプ11に連なって設けられている。このパイロットポンプ12は、後述する操作装置14を操作したときに油圧信号としてコントロールバルブ16に供給されるパイロット用の圧油(パイロット圧)を吐出するものである。
【0041】
操作装置14は、キャブ7内に位置して、流量制御弁15に接続されている。操作装置14は、走行用の操作レバー・ペダルや作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)により構成されている。この操作装置14を用いて流量制御弁15を操作することにより、パイロットポンプ12から吐出する圧油の流量と方向を制御し、パイロット圧をコントロールバルブ16に供給する。これにより、コントロールバルブ16は、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fに対する圧油の方向が切り換え制御される。即ち、操作装置14は、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令として、コントロールバルブ16に対するパイロット圧を出力するものである。
【0042】
コントロールバルブ16は、旋回フレーム6上に設けられ、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fを制御する複数個の方向制御弁を含んで構成されている。コントロールバルブ16は、油圧ポンプ11から供給される圧油の供給と排出を、操作装置14の操作に基づく駆動指令(パイロット圧)に応じて切り換える(圧油の吐出量および吐出方向を制御する)。これにより、油圧ポンプ11からコントロールバルブ16に供給された圧油は、それぞれの油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fに適宜分配され、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fを駆動(回転、伸長、縮小)する。
【0043】
ゲートロックレバー17は、ロック装置を構成し、キャブ7内に位置して、パイロットカット弁18に接続されている。このゲートロックレバー17は、流量制御弁15に付加されるパイロット圧を遮断することで操作装置14による油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令の有効と無効とを切り換えるものである。ゲートロックレバー17がロック位置(上げ位置)に移動されると、パイロットカット弁18がパイロットポンプ12から流量制御弁15への圧油を遮断し、操作装置14を介しての油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fの操作が不能となる。一方、ゲートロックレバー17がロック解除位置(下げ位置)に移動されると、パイロットカット弁18がパイロットポンプ12からの圧油を連通し、操作装置14による油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fの操作が可能になる。また、ゲートロックレバー17がロック解除状態のときは、スタータカットリレー(図示せず)が作動し、スタータとして機能するアシスト発電モータ10への電力供給が遮断され、エンジン9が始動されないように構成されている。なお、ロック装置は、上,下方向に回動するレバー式のゲートロックレバー17に限らず、例えば各種のスイッチ、ペダル等によって構成してもよい。
【0044】
蓄電装置19は、旋回フレーム6上に設けられ、後述するチョッパ26、第1のインバータ24、第2のインバータ25を介して、アシスト発電モータ10、旋回電動モータ22に電気的に接続されている。蓄電装置19は、電力を蓄えるものであり、例えば、リチウムイオンバッテリ、ニッケル水素バッテリ等の二次電池、または、電気二重層のキャパシタを用いて構成されている。即ち、蓄電装置19は、アシスト発電モータ10による発電電力、旋回電動モータ22による旋回減速時の発電電力(回生電力)によって充電(蓄電)され、または、充電された電力をアシスト発電モータ10、旋回電動モータ22に放電(給電)するものである。
【0045】
ここで、蓄電装置19には、バッテリコントロールユニット19A(以下、BCU19Aという)が設けられ、該BCU19Aにより充電動作や放電動作が制御される。また、BCU19Aは、電力残量検出手段を構成し、蓄電装置19の電力残量としての蓄電率(SOC)を検出して後述のメインコントローラ28に出力する。
【0046】
旋回装置20は、上部旋回体4(旋回フレーム6)に設けられ、減速機(図示せず)、旋回油圧モータ21、旋回電動モータ22等によって構成されている。旋回装置20は、旋回軸受装置3に回転力を伝達することにより、上部旋回体4を下部走行体2に対して旋回させるものである。ここで、旋回装置20は、旋回油圧モータ21と旋回電動モータ22とが協働して上部旋回体4を旋回駆動する、いわゆるハイブリッド型の旋回装置として構成されている。
【0047】
旋回電動モータ22は、旋回油圧モータ21と一緒に、減速機の上部側に取付けられている。旋回電動モータ22は、例えば永久磁石型同期電動機を用いて構成され、アシスト発電モータ10による発電電力と蓄電装置19の電力により駆動される。さらに、旋回電動モータ22は、旋回動作を減速するときに発生するエネルギを電気エネルギに変換し発電を行う。即ち、旋回電動モータ22は、後述の電力変換装置23を介して電力が供給されることにより旋回油圧モータ21を補助(アシスト)して上部旋回体4を旋回させる作用(旋回アシスト作用)と、旋回減速時に上部旋回体4の運動エネルギ(回転エネルギ)を電気エネルギに変換(回生発電)する作用(旋回回生作用)とを有するものである。旋回電動モータ22の発電電力(回生電力)は、後述する第2のインバータ25および直流母線27A,27Bを介して、後述する第1のインバータ24およびチョッパ26に供給され、アシスト発電モータ10の駆動、蓄電装置19の充電(蓄電)が行われる。
【0048】
次に、ハイブリッド式油圧ショベル1の電動システムの構成について説明する。
【0049】
図2に示すように、油圧ショベル1の電動システムは、上述したアシスト発電モータ10、蓄電装置19、旋回電動モータ22に加えて、後述する第1のインバータ24、モータジェネレータコントロールユニット24A(以下、MGCU24Aという)、第2のインバータ25、旋回電動モータコントロールユニット25A(以下、RMCU25Aという)、チョッパ26等によって構成されている。この場合、例えば、第1のインバータ24とMGCU24Aと第2のインバータ25とRMCU25Aとチョッパ26とは、電力変換装置(PCU:パワーコントロールユニット)23を構成し、電力変換装置23は上部旋回体4に搭載されている。
【0050】
第1のインバータ24は、アシスト発電モータ10に電気的に接続され、アシスト発電モータ10の駆動を制御するものである。具体的には、第1のインバータ24は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数(例えば6個)のスイッチング素子を用いて構成され、一対の直流母線27A,27Bに接続されている。第1のインバータ24のスイッチング素子は、その開・閉がMGCU24Aから出力される三相(U相、V相、W相)PWM信号によって制御される。アシスト発電モータ10の発電時には、第1のインバータ24は、アシスト発電モータ10による発電電力を直流電力に変換して直流母線27A,27Bに供給する。一方、アシスト発電モータ10のモータ駆動時には、第1のインバータ24は、直流母線27A,27Bの直流電力から三相の交流電力を生成し、アシスト発電モータ10に供給する。
【0051】
第2のインバータ25は、旋回電動モータ22に電気的に接続され、旋回電動モータ22の駆動を制御するものである。具体的には、第2のインバータ25は、第1のインバータ24とほぼ同様に、複数(例えば6個)のスイッチング素子を用いて構成され、一対の直流母線27A,27Bに接続されている。第2のインバータ25のスイッチング素子は、その開・閉がRMCU25Aから出力される三相PWM信号によって制御される。旋回電動モータ22の旋回駆動時には、第2のインバータ25は、直流母線27A,27Bの直流電力から三相の交流電力を生成し、旋回電動モータ22に供給する。一方、旋回電動モータ22の旋回減速時(回生時)には、第2のインバータ25は、旋回電動モータ22による回生電力を直流電力に変換して直流母線27A,27Bに供給する。
【0052】
チョッパ26は、一端が蓄電装置19に接続され、他端が直流母線27A,27Bに接続されている。チョッパ26と第1,第2のインバータ24,25は、一対の直流母線27A,27Bを介して互いに電気的に接続されている。チョッパ26は、例えばIGBT等からなる複数(例えば2個)のスイッチング素子とリアクトルとを備える。チョッパ26は、チョッパコントロールユニット26A(以下、CCU26Aという)によってスイッチング素子の開・閉が制御される。そして、蓄電装置19の充電時には、チョッパ26は、降圧回路(降圧チョッパ)として機能し、例えば直流母線27A,27Bから供給される直流電圧を降圧して蓄電装置19に供給する。一方、蓄電装置19の放電時には、チョッパ26は、昇圧回路(昇圧チョッパ)として機能し、蓄電装置19から供給される直流電圧を昇圧して例えば直流母線27A,27Bに供給する。
【0053】
第1,第2のインバータ24,25およびチョッパ26は、正極側(プラス側)と負極側(マイナス側)で一対の直流母線27A,27Bを通じて相互に接続されている。直流母線27A,27Bには、該直流母線27A,27Bの電圧を安定させるために、平滑用のコンデンサ(図示せず)が接続されている。直流母線27A,27Bには、例えば数百V程度の所定の直流電圧が印加される。
【0054】
メインコントローラ28は、例えばキャブ7内に設けられ、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、RMCU25A、CCU26A等に接続されている。このメインコントローラ28は、例えばマイクロコンピュータ等により構成され、不調監視・不調処理制御部28A、エネルギマネジメント制御部28B等を備えている。メインコントローラ28は、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、RMCU25A、CCU26A等に対する制御指令を生成し、アシスト発電モータ10、旋回電動モータ22の駆動制御、電動システムの不調監視、エネルギマネジメント等の制御を行う。
【0055】
また、メインコントローラ28は、
図3に示すエンジン始動制御処理のプログラム等を格納する記憶部(図示せず)を備えている。これにより、メインコントローラ28は、エンジン9を始動するときに、BCU19A、MGCU24A、CCU26A等の制御を行い、アシスト発電モータ10によりエンジン9を始動するエンジン始動制御装置を構成する。
【0056】
不調監視・不調処理制御部28Aは、アシスト発電モータ10、蓄電装置19、旋回電動モータ22、電力変換装置23等の電動システムに故障、異常、警告等の不調状態が発生したか否かを判定する。そして、不調監視・不調処理制御部28Aは、不調が発生したと判定した場合に、その旨の信号となる電動システム不調信号(不調の旨の信号)を、MGCU24A等に出力する。
【0057】
エネルギマネジメント制御部28Bは、例えば、旋回電動モータ22が加速時に消費するエネルギと減速時に回生するエネルギとの差によって増減する蓄電装置19のSOCを、アシスト発電モータ10に発電指令またはアシスト指令を出力することにより所定の充放電範囲(例えば、SOCが30%〜70%程度の範囲)に保つ制御を行う。即ち、エネルギマネジメント制御部28Bは、蓄電装置19の充放電が可能なSOCの使用範囲を充放電範囲として定める充放電範囲設定手段を構成する。
【0058】
この場合、エネルギマネジメント制御部28Bは、蓄電装置19においてSOCが過度に上昇や低下するのを防止するために、蓄電装置19の充放電範囲に所定の上限値と下限値を設けている。エネルギマネジメント制御部28Bは、この上限値と下限値との範囲内で蓄電装置19の充放電制御を行うことで、蓄電装置19の過剰な充放電を抑制する。
【0059】
このとき、充放電範囲の下限値(SOC下限値)は、通常の充放電範囲の下限値である第1の下限値min1(例えばmin1=SOC:30%)と、エンジン始動時にアシスト発電モータ10によりエンジン9を始動するために引き下げられる充放電範囲の第2の下限値min2(例えばmin2=SOC:20%)とを有する。ここで、第1の下限値min1は、直ちに蓄電装置19の劣化や寿命の低下につながる限界値に対して、一定のマージンが設けられた値である。また、第2の下限値min2は、SOCが第1の下限値min1付近であっても、少なくとも一度はアシスト発電モータ10によりエンジン9を始動することができる電力量分だけ第1の下限値min1より小さい値(低い値)をとり、かつ、直ちに蓄電装置19の劣化や寿命の低下につながる限界値よりも大きい値(高い値)をとっている。この場合、エンジン始動にかかる短い時間に充放電範囲の第2の下限値をmin2に引き下げても、エンジン9の始動にかかる時間は比較的短い。このため、エンジン始動時に第2の下限値min2に引き下げても、直ちに蓄電装置19の劣化や寿命の低下につながる可能性は低くなっている。
【0060】
キースイッチ29は、キャブ7内の運転席付近に設けられている。このキースイッチ29は、メインコントローラ28に接続され、エンジン9の始動と停止とを切り換えるためのスイッチを構成している。キースイッチ29が例えばSTART位置に操作されると、メインコントローラ28は、ECU9A、MGCU24A、CCU26A、BCU19A等にエンジン始動用の制御指令を出力し、スタータとなるアシスト発電モータ10を用いてエンジン9を始動する。また、キースイッチ29が停止操作されると、メインコントローラ28は、ECU9A等に停止信号を出力し、エンジン9を停止させる。
【0061】
表示装置30は、キャブ7内で運転席の前方に設けられ、メインコントローラ28に接続されている。この表示装置30は、例えば液晶モニタにより構成され、燃料の残量、エンジン冷却水の水温、稼動時間、車内温度等のように車体に関する各種の情報を表示する。これに加え、表示装置30は、エンジン9の始動中や始動後に、後述の充電促進情報、エンジン始動中止情報、エンジン停止禁止情報を表示するものである。
【0062】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0063】
まず、オペレータは、キャブ7に搭乗して運転席に着座し、ゲートロックレバー17をロック位置に固定した状態で、キースイッチ29をSTART位置に回動させる。これにより、アシスト発電モータ10が回転駆動すると共に、エンジン9に燃料が供給され、エンジン9を始動する。そして、エンジン回転数が所定の回転数(例えば、アイドル回転数)以上となり、エンジン始動完了状態になったら、オペレータは、ゲートロックレバー17をロック位置からロック解除位置に切り換える。この状態で、オペレータが操作装置14の走行用操作レバー・ペダルを操作すると、コントロールバルブ16を通じて油圧ポンプ11からの圧油が下部走行体2の走行用油圧モータ2E,2Fに供給され、油圧ショベル1は前進、後退等のような走行動作を行う。また、オペレータが操作装置14の作業用操作レバーを操作すると、コントロールバルブ16を通じて油圧ポンプ11からの圧油が旋回油圧モータ21やシリンダ5D〜5Fに供給され、油圧ショベル1は旋回動作や作業装置5の俯仰動による掘削動作等を行う。
【0064】
次に、
図3および
図4を用いて、メインコントローラ28により実行されるエンジン始動制御処理について説明する。
【0065】
まず、ステップ1では、BCU19Aによって検出される蓄電装置19のSOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。
【0066】
ステップ1で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1よりも低下しているので、ステップ2に進む。ステップ2では、メインコントローラ28から表示装置30に充電促進情報を表示する指令を出力する。ここで、充電促進情報とは、エンジン9を始動して蓄電装置19の充電を促す情報をいう。なお、例えば、燃料切れやエンジン9に異常がある場合のように、アシスト発電モータ10を駆動してもエンジン9が始動しない状況では、充電促進情報を出力しない構成としてもよい。
【0067】
一方、ステップ1で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、ステップ3に進む。ステップ3では、エンジン9が始動中か否かを判定する。ここで、エンジン始動中とは、例えば、キースイッチ29がSTART位置に操作され、かつ、エンジン9の回転数が所定の回転数(例えば、アイドル回転数)よりも低い状態をいう。
【0068】
ステップ3で「NO」と判定した場合は、例えば、キースイッチ29がOFF位置にあってエンジン9が停止している状態のように、エンジン9が始動中ではない。このため、エンジン始動制御処理を終了する。
【0069】
一方、ステップ3で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動中であるので、ステップ4に進む。ステップ4では、メインコントローラ28の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1よりも一時的に低下させ、SOC下限値を第2の下限値min2に設定する。
【0070】
ステップ5では、蓄電装置19に充電された電力を用いてアシスト発電モータ10を駆動し、エンジン9を始動する。この場合、エンジン始動中は、SOCの下限値を第1の下限値min1から第2の下限値min2へと低下させるので、SOCが第1の下限値min1以下でもアシスト発電モータ10を駆動することができる。
【0071】
ステップ6では、SOCが第2の下限値min2以上か否かを判定する。ステップ6で「NO」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2よりも低下しているので、ステップ7に進む。ステップ7では、SOC不足によりアシスト発電モータ10を駆動できないので、アシスト発電モータ10の動作を停止する。そして、ステップ8では、メインコントローラ28から表示装置30にエンジン始動中止情報を表示する指令を出力する。ここで、エンジン始動中止情報とは、エンジン9の始動を中止し、例えばサポートセンタ等に蓄電装置19の交換やメンテナンスを連絡する旨の情報をいう。
【0072】
一方、ステップ6で「YES」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2以上であるので、ステップ9に進む。ステップ9では、エンジン9が始動完了したか否かを判定する。即ち、エンジン回転数が所定の回転数(例えば、アイドル回転数)以上であるか否かを判定する。
【0073】
ステップ9で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動完了していないので、ステップ6の処理に戻る。そして、エンジン9が始動完了するまで、待機する。
【0074】
一方、ステップ9で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動完了したので、ステップ10に進む。そして、ステップ10では、メインコントローラ28の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第2の下限値min2から上昇させ、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。
【0075】
続くステップ11では、SOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。即ち、メインコントローラ28は、BCU19Aにより検出されるSOCが次回エンジン始動に必要なSOCに対して十分か否かを判定する。ステップ11で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、次回エンジン始動の際に、アシスト発電モータ10でエンジン9が始動可能なSOCが確保されていると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0076】
一方、ステップ11で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1よりも低下している。この場合、BCU19Aにより検出されるSOCが、蓄電装置19の充放電範囲の第1の下限値min1を下回っているので、次回エンジン始動に必要なSOCに対して不十分であると判定する。このため、ステップ11で「NO」と判定した場合は、ステップ12に移行する。
【0077】
ステップ12では、メインコントローラ28から表示装置30にエンジン停止禁止情報を表示する指令を出力する。ここで、エンジン停止禁止情報とは、このエンジン停止禁止情報が消えるまではエンジン9を停止させずに、蓄電装置19の充電を推奨する旨の情報をいう。そして、ステップ12が終了すると、ステップ11の処理に戻り、ステップ11以降の処理を繰り返す。一方、エンジン停止禁止情報が表示された状態で、ステップ11で、SOCが第1の下限値min1以上であると判定した場合には、エンジン始動制御処理を終了すると共に、表示装置30によるエンジン停止禁止情報の表示を停止する。
【0078】
なお、エンジン停止禁止情報を出力する際に、次回エンジン始動のためのSOCが充電される時間を演算し、演算結果を表示装置30に出力する構成としてもよい。この場合、充電時間演算方法は、例えば、充電によって増加するSOCと充電時間の関係を表すマップを予め用意し、現在のSOCと第1の下限値min1までのSOCの差分を算出し、対応する充電時間をマップから読み出すようにすればよい。また、充電時間演算方法は、マップに限らず、現在のSOCと第1の下限値min1までのSOCの差分とに基づいて、各種の演算処理によってSOCが第1の下限値min1に到達するまでの残り時間を算出してもよい。
【0079】
次に、
図4に示す特性線図を用いて、充電促進情報、エンジン始動中止情報、エンジン停止禁止情報の出力タイミングについて説明する。
【0080】
まず、
図4中の期間Iについて説明する。期間Iにおいて、エンジン9が始動中である場合は、エネルギマネジメント制御部28BがSOC下限値を第2の下限値min2に設定する。そして、メインコントローラ28は、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、CCU26A等の制御を行い、アシスト発電モータ10を駆動して、エンジン9を始動する。
【0081】
エンジン9がアイドル回転数以上となり、エンジン始動完了状態になったら、エネルギマネジメント制御部28Bは、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。このとき、期間Iでは、エンジン始動完了状態になった直後はSOCが第1の下限値min1を下回っているので、メインコントローラ28は、エンジン停止禁止情報を表示装置30に表示する。これにより、次回のエンジン9の始動に必要なSOCが充電されるまでの間は、オペレータがエンジン9を停止しないように促し、次回のエンジン9の始動を確実に行えるようにする。
【0082】
次に、
図4中の期間IIについて説明する。期間IIでは、事前のエンジン始動動作がエンジン9の始動完了前に中止された状態を想定している。このため、エンジン9の始動前の段階でSOCが第1の下限値min1よりも低下している。
【0083】
期間IIにおいて、エンジン9が停止した状態でSOCが第1の下限値min1を下回っているので、メインコントローラ28は、充電促進情報を表示装置30に表示する。これにより、エンジン9を始動して蓄電装置19を充電するようオペレータを促し、そのまま長時間に亘って停車状態となり、SOCが低下してエンジン9を始動できなくなる事態を回避する。そして、オペレータがエンジン9を始動中に切り換えると、エネルギマネジメント制御部28Bは、SOC下限値を第2の下限値min2に設定し、メインコントローラ28は、アシスト発電モータ10を駆動して、エンジン9を始動する。
【0084】
その後、エンジン9が始動完了した場合は、エネルギマネジメント制御部28Bは、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。この場合、SOCが第1の下限値min1を下回っているので、メインコントローラ28は、エンジン停止禁止情報を表示装置30に表示する。なお、エンジン9が始動中でも充電促進情報を表示する構成としたが、エンジン9が始動中の場合は、既にエンジン9の始動動作が開始されているため、充電促進情報を表示しない構成としてもよい。
【0085】
次に、
図4中の期間IIIについて説明する。期間IIIにおいて、エンジン9が始動中である場合は、エネルギマネジメント制御部28Bは、SOC下限値を第2の下限値min2に設定する。そして、メインコントローラ28は、アシスト発電モータ10を駆動して、エンジン9を始動する。この場合、何らかの要因でエンジン9が始動完了せず、SOCが第2の下限値min2を下回ると、メインコントローラ28は、エンジン始動中止情報を表示装置30に表示する。これにより、オペレータに対して、SOC不足によりエンジン9の始動が不能であること、およびサポートセンタ等に連絡することを通知する。
【0086】
かくして、第1の実施の形態では、エンジン9を始動するときに蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1から第2の下限値min2に下げる。これにより、例えばエンジン9を始動するときに蓄電装置19のSOCが第1の下限値min1付近になっているときでも、蓄電装置19からアシスト発電モータ10に電力を供給することができ、アシスト発電モータ10を用いてエンジン9を始動することができる。このため、エンジン始動時に蓄電装置19の充放電範囲の下限値を下げない建設機械に比べて、エンジン9の始動性を高めることができる。
【0087】
また、メインコントローラ28は、エンジン9を始動したときであって、次回のエンジン始動に必要なSOCが不十分と判定したときは、エンジン停止禁止情報を表示装置30に表示する。このとき、オペレータは、エンジン停止禁止情報によって、蓄電装置19のSOCが次回のエンジン始動に対して不足状態であることを把握することができるから、オペレータによる不用意なエンジン9の停止を抑制して、蓄電装置19の充電を促すことができ、次回のエンジン始動に必要な電力を蓄電装置19に確保することができる。また、エンジン9を始動するときに次回のエンジン始動に必要な蓄電装置19のSOCを確保するので、エンジン9を停止するときには、蓄電装置19を充電するために継続運転する必要がなくなる。このため、エンジン停止が必要な場合は、即座にエンジン9を停止することができると共に、燃料消費量の増大や排ガスによる環境汚染を抑えることができる。
【0088】
また、メインコントローラ28は、エンジン9を始動したときであって、蓄電装置19のSOCが、次回のエンジン始動に必要な値として充放電範囲の第1の下限値min1を下回るときは、エンジン停止禁止情報を出力する。このとき、オペレータは、エンジン停止禁止情報によって、蓄電装置19のSOCが充放電範囲の第1の下限値min1を下回ることを把握することができるから、オペレータによる不用意なエンジン9の停止を抑制して、次回のエンジン始動に必要な電力として、第1の下限値min1を上回る電力を蓄電装置19に確保することができる。
【0089】
また、メインコントローラ28は、エンジン9を始動するときに蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1から第2の下限値min2に下げ、SOCが第2の下限値min2よりも低下しているときは、エンジン始動中止情報を出力する。これにより、蓄電装置19のSOCが不足していることをオペレータに速やかに通知することができ、蓄電装置19の交換やメンテナンスを促して、エンジン9の始動不能な期間を短くすることができる。
【0090】
次に、
図1、
図2、
図5、
図6は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、蓄電装置の電力残量が蓄電装置の充放電範囲の下限値より低く設定された閾値を下回るときは、エンジン停止禁止情報を出力する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0091】
第2の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル31は、第1の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体2、上部旋回体4、作業装置5、エンジン9、蓄電装置19、メインコントローラ32等を含んで構成されている。
【0092】
メインコントローラ32は、第1の実施の形態によるメインコントローラ28とほぼ同様に構成され、例えばキャブ7内に設けられ、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、RMCU25A、CCU26A等に接続されている。このメインコントローラ32は、
図5に示すエンジン始動制御処理のプログラム等を格納する記憶部(図示せず)を含んで構成されている。そして、メインコントローラ32は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、エンジン9の始動を制御する。
【0093】
次に、メインコントローラ32が制御周期毎に実行するエンジン始動制御処理について
図5を用いて説明する。なお、ステップ21ないし31,33の処理については、上述した第1の実施の形態によるステップ1ないし12とそれぞれ同様であるので、簡略に説明する。
【0094】
まず、ステップ21では、BCU19Aにて検出される蓄電装置19のSOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。
【0095】
ステップ21で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ22に進む。ステップ22では、メインコントローラ32から表示装置30に充電促進情報を表示する指令を出力する。
【0096】
一方、ステップ21で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、ステップ23に進む。ステップ23では、エンジン9が始動中か否かを判定する。
【0097】
ステップ23で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動中ではないので、エンジン始動制御処理を終了する。
【0098】
一方、ステップ23で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動中であるので、ステップ24に進む。ステップ24では、メインコントローラ32の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1よりも一時的に低下させ、SOC下限値を第2の下限値min2に設定する。
【0099】
ステップ25では、蓄電装置19に充電された電力を用いてアシスト発電モータ10を駆動し、エンジン9を始動する。
【0100】
ステップ26では、SOCが第2の下限値min2以上か否かを判定する。ステップ6で「NO」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2よりも低下しているので、ステップ27に進む。ステップ27では、SOC不足によりアシスト発電モータ10を駆動できないので、アシスト発電モータ10の動作を停止する。そして、ステップ28では、メインコントローラ32から表示装置30にエンジン始動中止情報を表示する指令を出力する。
【0101】
一方、ステップ26で「YES」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2以上であるので、ステップ29に進む。ステップ29では、エンジン9が始動完了したか否かを判定する。
【0102】
ステップ29で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動完了していないので、ステップ26の処理に戻る。
【0103】
ステップ29で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動完了したので、ステップ30に進む。そして、ステップ30では、メインコントローラ32の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第2の下限値min2から上昇させ、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。
【0104】
続くステップ31では、SOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。ステップ31で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、次回エンジン始動の際に、アシスト発電モータ10でエンジン9が始動可能なSOCが十分に確保されていると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0105】
一方、ステップ31で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ32に進む。ステップ32では、SOCが第1の下限値min1より低い閾値min0以上か否かを判定する。
【0106】
このとき、閾値min0は、第1の下限値min1と第2の下限値min2との間の値(min2<min0<min1)であり、第1の下限値min1から所定の許容差ΔSOCを減算した値(min0=min1−ΔSOC)に設定されている。即ち、ステップ31では、第1の下限値min1よりも低いSOCと第1の下限値min1との差が、許容差ΔSOC(例えば、ΔSOCが数%以下)の範囲内か否かを判定する。
【0107】
ここで、許容差ΔSOCは、蓄電装置19の充電時間に応じて変更可能であり、例えば、エンジン始動後に第1の下限値min1よりも低いSOCが第1の下限値min1を上回るまでに必要な時間が数秒以内(例えば10秒以内)となるようなSOCの差に設定する。例えば、エンジン始動後にSOCが第1の下限値min1を上回るまでの時間が5秒以内程度となるようにするために、許容差ΔSOCは2%程度の値に設定される。このとき、第1の下限値min1が30%(SOC:30%)とすると、閾値min0は28%(SOC:28%)に設定される。
【0108】
ステップ32で「YES」と判定した場合は、SOCが閾値min0以上であるので、数秒程度の短時間でSOCがアシスト発電モータ10で次回のエンジン始動ができる値に達すると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。具体的に説明すると、例えば
図6に示すように、タイミングT1において、エンジン状態が始動中から始動完了となるので、エネルギマネジメント制御部28Bは、SOC下限値を第2の下限値min2から第1の下限値min1に変更する。このとき、SOCは第1の下限値min1を下回っているが、閾値min0を下回っていないので、メインコントローラ32はエンジン停止禁止情報を出力しないこととなる。
【0109】
一方、ステップ32で「NO」と判定した場合は、SOCが閾値min0を下回っているので、ステップ33に進む。この場合、BCU19Aにより検出されるSOCが、蓄電装置19の充放電範囲の第1の下限値min1より低く設定された閾値min0よりも低下しているので、次回エンジン始動に必要なSOCに対して不十分と判定する。
【0110】
そこで、続くステップ33では、メインコントローラ32から表示装置30にエンジン停止禁止情報を表示する指令を出力する。そして、ステップ33が終了すると、ステップ31の処理に戻り、ステップ31以降の処理を繰り返す。また、エンジン停止禁止情報が表示された状態で、ステップ31,32で「YES」と判定した場合は、エンジン始動制御処理を終了すると共に、表示装置30によるエンジン停止禁止情報の表示を停止する。
【0111】
かくして、第2の実施の形態では、メインコントローラ32は、エンジン9を始動したときであって、蓄電装置19のSOCが充放電範囲の第1の下限値min1よりも低く設定された閾値min0を下回るときは、エンジン停止禁止情報を出力する。このとき、オペレータは、エンジン停止禁止情報によって、蓄電装置19のSOCが閾値min0を下回ることを把握することができるから、オペレータによる不用意なエンジン9の停止を抑制して、次回のエンジン始動に必要な電力として、閾値min0を上回る電力を蓄電装置19に確保することができる。
【0112】
また、蓄電装置19のSOCが充放電範囲の第1の下限値min1より低い場合でも、SOCが閾値min0を下回らないときは、SOCの不足分が十分に小さく、SOCの不足分を短時間の充電で補うことができる。そこで、SOCが閾値min0を下回らないときは、メインコントローラ32はエンジン停止禁止情報を出力しない。このため、オペレータへのエンジン停止禁止情報の通知を最小限に抑えることができる。
【0113】
次に、
図1、
図2、
図7は本発明の第3の実施の形態を示している。第3の実施の形態の特徴は、油圧アクチュエータへの駆動指令が有効なときは、エンジン停止禁止情報を出力しない構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0114】
第3の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル41は、第1の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体2、上部旋回体4、作業装置5、エンジン9、蓄電装置19、メインコントローラ42等を含んで構成されている。
【0115】
メインコントローラ42は、第1の実施の形態によるメインコントローラ28とほぼ同様に構成され、例えばキャブ7内に設けられ、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、RMCU25A、CCU26A等に接続されている。このメインコントローラ42は、
図7に示すエンジン始動制御処理のプログラム等を格納する記憶部(図示せず)を含んで構成されている。そして、メインコントローラ42は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、エンジン9の始動を制御する。
【0116】
次に、メインコントローラ42が制御周期毎に実行するエンジン始動制御処理について
図7を用いて説明する。なお、ステップ41ないし52,54の処理については、上述した第1,第2の実施の形態によるステップ1ないし12,32とそれぞれ同様であるので、簡略に説明する。
【0117】
まず、ステップ41では、BCU19Aにて検出されるSOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。
【0118】
ステップ41で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ42に進む。ステップ42では、メインコントローラ42から表示装置30に充電促進情報を表示する指令を出力する。
【0119】
一方、ステップ41で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、ステップ43に進む。ステップ43では、エンジン9が始動中か否かを判定する。
【0120】
ステップ43で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動中ではないので、エンジン始動制御処理を終了する。
【0121】
一方、ステップ43で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動中であるので、ステップ44に進む。ステップ44では、メインコントローラ42の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1よりも一時的に低下させ、SOC下限値を第2の下限値min2に設定する。
【0122】
ステップ45では、蓄電装置19に充電された電力を用いてアシスト発電モータ10を駆動し、エンジン9を始動する。
【0123】
ステップ46では、SOCが第2の下限値min2以上か否かを判定する。ステップ46で「NO」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2より低下しているので、ステップ47に進む。ステップ47では、SOC不足によりアシスト発電モータ10を駆動できないので、アシスト発電モータ10の動作を停止する。そして、ステップ48では、メインコントローラ42から表示装置30にエンジン始動中止情報を表示する指令を出力する。
【0124】
一方、ステップ46で「YES」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2以上であるので、ステップ49に進む。ステップ49では、エンジン9が始動完了したか否かを判定する。
【0125】
ステップ49で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動完了していないので、ステップ46の処理に戻る。
【0126】
ステップ49で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動完了したので、ステップ50に進む。そして、ステップ50では、メインコントローラ42の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第2の下限値min2から上昇させ、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。
【0127】
続くステップ51では、SOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。ステップ51で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、次回エンジン始動の際に、アシスト発電モータ10でエンジン9が始動可能なSOCが十分に確保されていると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0128】
一方、ステップ51で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ52に進む。ステップ52では、SOCが第1の下限値min1より低い閾値min0以上か否かを判定する。
【0129】
ステップ52で「YES」と判定した場合は、SOCが閾値min0以上であるので、数秒程度の短時間で、SOCがアシスト発電モータ10で次回のエンジン始動ができる値に達すると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0130】
一方、ステップ52で「NO」と判定した場合は、SOCが閾値min0を下回っているので、ステップ53に進む。
【0131】
次に、ステップ53では、ゲートロックレバー17がロック解除状態か否かを判定する。ステップ53で「YES」と判定したときには、ゲートロックレバー17がロック解除位置にあり、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fに対する駆動指令が有効であるので、ステップ51の処理に戻り、ステップ51以降の処理を繰り返す。このとき、ロック解除状態となるのは、エンジン9の始動後にオペレータがゲートロックレバー17をロック位置からロック解除位置に操作したときであり、オペレータによる作業開始の意思があるものと考えられる。このため、エンジン9が即座に停止されることはなく、蓄電装置19の充電が継続されると判定し、メインコントローラ42はエンジン停止禁止情報を出力しない。
【0132】
一方、ステップ53で「NO」と判定したときには、ゲートロックレバー17がロック位置にあり、ロック状態になっているので、ステップ54に進む。ステップ54では、メインコントローラ42から表示装置30にエンジン停止禁止情報を表示する指令を出力する。そして、ステップ54が終了すると、ステップ51の処理に戻り、ステップ51以降の処理を繰り返す。ステップ51,52で「YES」と判定した場合は、エンジン始動制御処理を終了すると共に、表示装置30によるエンジン停止禁止情報の表示を停止する。
【0133】
かくして、第3の実施の形態では、メインコントローラ42は、ゲートロックレバー17によって油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令が有効なときは、エンジン停止禁止情報を出力しない。ここで、ゲートロックレバー17によって油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令が有効なときは、オペレータが油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fを駆動させるときであるから、直ぐにエンジン9を停止させることはなく、蓄電装置19の充電が継続されるものと考えられる。このため、ゲートロックレバー17によって油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fへの駆動指令が有効なときは、蓄電装置19のSOCが次回エンジン始動に必要なSOCに対して不十分なときでも、メインコントローラ42はエンジン停止禁止情報を出力しない。この結果、オペレータへのエンジン停止禁止情報の通知を最小限に抑えることができる。
【0134】
なお、第3の実施の形態では、メインコントローラ42が制御周期毎に実行するエンジン始動制御処理のステップ52において、SOCが第1の下限値min1より低い閾値min0以上か否かを判定する構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ステップ52を省いて、ステップ51の後にステップ53のゲートロックレバーを解除したか否かを判定する構成としてもよい。
【0135】
次に、
図1、
図2、
図8は本発明の第4の実施の形態を示している。第4の実施の形態の特徴は、操作装置が操作されているときは、エンジン停止禁止情報を出力しない構成としたことにある。なお、第4の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0136】
第4の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル51は、第1の実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1とほぼ同様に、下部走行体2、上部旋回体4、作業装置5、エンジン9、蓄電装置19、メインコントローラ52等を含んで構成されている。
【0137】
メインコントローラ52は、第1の実施の形態によるメインコントローラ28とほぼ同様に構成され、例えばキャブ7内に設けられ、ECU9A、BCU19A、MGCU24A、RMCU25A、CCU26A等に接続されている。このメインコントローラ52は、
図8に示すエンジン始動制御処理のプログラム等を格納する記憶部(図示せず)を含んで構成されている。そして、メインコントローラ52は、この制御プログラムを所定の制御周期毎に実行することによって、エンジン9の始動を制御する。
【0138】
次に、メインコントローラ52が制御周期毎に実行するエンジン始動制御処理について
図8を用いて説明する。なお、ステップ61ないし73,75の処理については、上述した第1,第2,第3の実施の形態によるステップ1ないし12,32,53とそれぞれ同様であるので、簡略に説明する。
【0139】
まず、ステップ61では、BCU19Aにて検出されるSOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。
【0140】
ステップ61で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ62に進む。ステップ62では、メインコントローラ52から表示装置30に充電促進情報を表示する指令を出力する。
【0141】
一方、ステップ61で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、ステップ63に進む。ステップ63では、エンジン9が始動中か否かを判定する。
【0142】
ステップ63で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動中ではないので、エンジン始動制御処理を終了する。
【0143】
一方、ステップ63で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動中であるので、ステップ64に進む。ステップ64では、メインコントローラ52の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第1の下限値min1よりも一時的に低下させ、SOC下限値を第2の下限値min2に設定する。
【0144】
ステップ65では、蓄電装置19に充電された電力を用いてアシスト発電モータ10を駆動し、エンジン9を始動する。
【0145】
ステップ66では、SOCが第2の下限値min2以上か否かを判定する。ステップ66で「NO」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2よりも低下しているので、ステップ67に進む。ステップ67では、SOC不足によりアシスト発電モータ10を駆動できないので、アシスト発電モータ10の動作を停止する。そして、ステップ68では、メインコントローラ52から表示装置30にエンジン始動中止情報を表示する指令を出力する。
【0146】
一方、ステップ66で「YES」と判定した場合は、SOCが第2の下限値min2以上であるので、ステップ69に進む。ステップ69では、エンジン9が始動完了したか否かを判定する。
【0147】
ステップ69で「NO」と判定した場合は、エンジン9が始動完了していないので、ステップ66の処理に戻る。
【0148】
ステップ69で「YES」と判定した場合は、エンジン9が始動完了したので、ステップ70に進む。そして、ステップ70では、メインコントローラ52の指令により、エネルギマネジメント制御部28Bが蓄電装置19の充放電範囲の下限値を第2の下限値min2から上昇させ、SOC下限値を第1の下限値min1に設定する。
【0149】
続くステップ71では、SOCが第1の下限値min1以上か否かを判定する。ステップ71で「YES」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1以上であるので、次回エンジン始動の際に、アシスト発電モータ10でエンジン9が始動可能なSOCが十分に確保されていると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0150】
一方、ステップ71で「NO」と判定した場合は、SOCが第1の下限値min1より低下しているので、ステップ72に進む。ステップ72では、SOCが第1の下限値min1より低い閾値min0以上か否かを判定する。
【0151】
ステップ72で「YES」と判定した場合は、SOCが閾値min0以上であるので、数秒程度の短時間で、SOCがアシスト発電モータ10で次回のエンジン始動ができる値に達すると判断し、エンジン始動制御処理を終了する。
【0152】
一方、ステップ72で「NO」と判定した場合は、SOCが閾値min0を下回っているので、ステップ73に進む。
【0153】
次に、ステップ73では、ゲートロックレバー17がロック解除状態か否かを判定する。ステップ73で「NO」と判定したときには、ゲートロックレバー17がロック位置にあり、ロック状態になっているので、ステップ75に進む。ステップ75では、メインコントローラ52から表示装置30にエンジン停止禁止情報を表示する指令を出力する。そして、ステップ71の処理に戻り、ステップ71以降の処理を繰り返す。
【0154】
一方、ステップ73で「YES」と判定したときには、ゲートロックレバー17がロック解除位置にあり、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fに対する駆動指令が有効であるので、ステップ74に進む。続くステップ74では、操作装置14が操作中か否かを判定する。ステップ74で「YES」と判定したときには、操作装置14が操作中であり、油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fに対する駆動指令が出力中であるので、ステップ71の処理に戻り、ステップ71以降の処理を繰り返す。ここで、操作装置14が操作されるときは、オペレータによる旋回動作や掘削動作の途中である為、エンジン9が即座に停止されることはなく、蓄電装置19の充電が継続されると判定し、メインコントローラ52はエンジン停止禁止情報を出力しない。
【0155】
一方、ステップ74で「NO」と判定したときは、操作装置14が操作されていないので、ステップ75に進む。続くステップ75では、メインコントローラ52から表示装置30にエンジン停止禁止情報を表示する指令を出力する。そして、ステップ71の処理に戻り、ステップ71以降の処理を繰り返す。ステップ71,72で「YES」と判定した場合は、エンジン始動制御処理を終了すると共に、表示装置30によるエンジン停止禁止情報の表示を停止する。
【0156】
かくして、第4の実施の形態では、メインコントローラ52は、操作装置14が操作されているときは、エンジン停止禁止情報を出力しない。ここで、操作装置14が操作されているときは、オペレータによって油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fが駆動中であるから、直ぐにエンジン9を停止させることはなく、蓄電装置19の充電が継続されるものと考えられる。このため、操作装置14が操作されているときは、蓄電装置19のSOCが次回エンジン始動に必要なSOCに対して不十分なときでも、メインコントローラ52はエンジン停止禁止情報を出力しない。この結果、オペレータへのエンジン停止禁止情報の通知を最小限に抑えることができる。
【0157】
また、メインコントローラ52は、ゲートロックレバー17が解除されたか否かを判定するのに加えて、操作装置14が操作中か否かを判定している。これにより、ゲートロックレバー17がロック解除状態か否かを判定する場合に比べて、オペレータが油圧モータ2E,2F,21、シリンダ5D〜5Fの操作を行っているかを確実に判定でき、蓄電装置19への充電が継続されるか否かを正確に判断できる。
【0158】
なお、第4の実施の形態では、メインコントローラ52が制御周期毎に実行するエンジン始動制御処理のステップ72において、SOCが第1の下限値min1より低い閾値min0以上か否かを判定する構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではなく、ステップ72を省いて、ステップ71の後にステップ73のゲートロックレバーを解除したか否かを判定する構成としてもよい。
【0159】
ここで、第1ないし第4の実施の形態では、
図3中のステップ9〜12、
図5中のステップ29〜33、
図7中のステップ49〜54、
図8中のステップ69〜75が情報出力手段の具体例を示している。
【0160】
第1ないし第4の実施の形態では、エンジン9を始動したときとして、エンジン9の始動を完了したときを例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば
図3中のステップ3で「YES」と判定したときのように、エンジン9の始動を開始したときを、エンジンを始動したときとしてもよい。これにより、エンジン9の始動中にSOCが次回のエンジン始動に必要な値よりも不足するときには、その旨をオペレータに通知することができる。
【0161】
第1ないし第4の実施の形態では、アシスト発電モータ10によってエンジン9を始動する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、アシスト発電モータに加えてエンジンを始動するためのスタータモータを設け、スタータモータとアシスト発電モータとによってエンジンを始動してもよい。この場合、アシスト発電モータは、スタータモータによるエンジンの始動をアシストするものである。
【0162】
第1ないし第4の実施の形態では、旋回装置20を、旋回油圧モータ21と旋回電動モータ22とにより構成したハイブリッド型の旋回装置とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、旋回油圧モータ単独で構成した油圧型の旋回装置としてもよいし、旋回装置を旋回電動機(電動モータ)単独で構成した(油圧モータを有しない)電動型の旋回装置としてもよい。
【0163】
第1ないし第4の実施の形態では、表示装置30に、充電促進情報、エンジン始動中止情報、エンジン停止禁止情報を表示する構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば音声やブザーを用いて各情報をオペレータに通知する構成としてもよい。
【0164】
なお、蓄電装置19を二次電池によって構成する場合には、チョッパ26を省いて、蓄電装置19を直流母線27A,27Bに接続してもよい。
【0165】
第1ないし第4の実施の形態では、建設機械として、自走可能なクローラ式の油圧ショベル1,31,41,51を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、自走可能なホイール式油圧ショベル、移動式クレーン、さらには、走行しない基体上に旋回可能に旋回体が搭載された設置式のショベル、クレーン等に適用してもよい。また、建設機械として、例えばホイールローダ、フォークリフト等のように、旋回体を備えない各種の作業車両、作業機械等にも広く適用することができるものである。