(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着され、上記目地内の中央側に位置する芯部と、上記芯部から突設されて外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と、上記芯部から突設されて上記外壁面材の裏面側に位置する2次止水部と、上記1次止水部を上記芯部から裂き取るのを可能にする裂き取り領域と、を備えるガスケットを用いる目地構造の修繕方法であって、上記目地内に埋め込まれている上記ガスケットを取り出し、このガスケットから上記1次止水部を裂き取ったガスケットを上記目地に埋め戻し、上記1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部の端面にシーリングバッカーを設け、このシーリングバッカー上に不定形のシーリング材を塗布することを特徴とする目地構造の修繕方法。
隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着され、上記目地内の中央側に位置する芯部と、上記芯部から突設されて外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と、上記芯部から突設されて上記外壁面材の裏面側に位置する2次止水部と、上記1次止水部を上記芯部から裂き取るのを可能にする裂き取り領域と、を備えるガスケットにおける上記1次止水部が裂き取られたガスケットを隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着するためのガスケット挿入具であって、上記芯部から突設された上記2次止水部の根元部を押す2枚の板部材を備えており、上記根元部に当たる上記板部材の先端側が略円弧形状に形成されていることを特徴とするガスケット挿入具。
隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着され、上記目地内の中央側に位置する芯部と、上記芯部から突設されて外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と、上記芯部から突設されて上記外壁面材の裏面側に位置する2次止水部と、上記1次止水部を上記芯部から裂き取るのを可能にする裂き取り領域と、を備えるガスケットにおける上記1次止水部が裂き取られたガスケットを隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着するためのガスケット挿入具であって、上記芯部から突設された上記2次止水部の根元部を押す2枚の板部材を備えるとともに、上記1次止水部が裂き取られたガスケットの芯部よりも上記2枚の板部材の先端側を広くさせた状態を維持する弾性部材を備えることを特徴とするガスケット挿入具。
隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着され、上記目地内の中央側に位置する芯部と、上記芯部から突設されて外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と、上記芯部から突設されて上記外壁面材の裏面側に位置する2次止水部と、上記1次止水部を上記芯部から裂き取るのを可能にする裂き取り領域と、を備えるガスケットにおける上記1次止水部が裂き取られたガスケットを隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着するためのガスケット挿入具であって、上記芯部から突設された上記2次止水部の根元部を押す2枚の板部材を備えるとともに、上記外壁面材の屋外面に接触し、当該屋外面から上記2枚の板部材の先端部までの距離を決定する当たり部を備えることを特徴とするガスケット挿入具。
請求項4に記載のガスケット挿入具において、上記当たり部は、上記外壁面材の小口面の間を視認することを可能にするように分離状態に設けられていることを特徴とするガスケット挿入具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記縦目地の幅と上記第1フィンの幅との差異が大きいと、当該縦目地に上記第1フィンが嵌まらない問題、或いは当該縦目地と上記第1フィンとの間に隙間が生じるといった問題が生じる。この場合、新たにサイズが異なるガスケットを手配するとなると、工期が遅延するなどの別の問題が生じる。
【0005】
この発明は、上記の事情に鑑み、外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と当該小口面の幅との差異が大きい場合に、1次止水側を湿式のシーリングに切り替えて対処することを容易にするガスケット、このガスケットを用いた目地構造の施工方法、目地構造の修繕方法およびガスケット挿入具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のガスケットは、上記の課題を解決するために、隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着されるガスケットにおいて、上記目地内の中央側に位置する芯部と、上記芯部から突設されて外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と、上記芯部から突設されて上記外壁面材の裏面側に位置する2次止水部と、上記1次止水部を上記芯部から裂き取るのを可能にする裂き取り領域と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、上記1次止水部を上記芯部から裂き取ることができるので、外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する上記1次止水部と当該小口面の幅との差異が大きい場合には、上記1次止水部を上記芯部から裂き取り、この1次止水側を湿式のシーリングに切り替えて施工することが容易になる。
【0008】
上記2次止水部は、上記外壁面材の裏面に設けられている胴縁の間の上記目地となる空間内で上記芯部から目地幅方向に突出し、上記空間内へ侵入した水を受け止めて流すレインバリヤ部と、上記胴縁の裏面に設けられている板材の小口面の間の箇所で上記芯部から目地幅方向に突出し、当該箇所と上記空間との間を封じるウインドバリヤ部と、を備えてもよい。
【0009】
また、この発明の目地構造の施工方法は、上記ガスケットを用いる目地構造の施工方法であって、上記1次止水部を上記芯部から裂き取り、上記2次止水部を上記目地に埋め込み、上記1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部の端面にシーリングバッカーを設け、このシーリングバッカー上に不定形のシーリング材を塗布することを特徴とする。かかる施工方法であれば、上記1次止水部を上記芯部から裂き取り、この1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部の端面に上記シーリングバッカーを設けるので、上記不定形のシーリング材の塗布による湿式のシーリングへの切り替えが容易になる。
【0010】
また、この発明の目地構造の修繕方法は、上記ガスケットを用いる目地構造の修繕方法であって、上記目地内に埋め込まれている上記ガスケットから上記1次止水部を裂き取り、上記1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部の端面にシーリングバッカーを設け、このシーリングバッカー上に不定形のシーリング材を塗布することを特徴とする。かかる修繕方法であれば、元々目地内に埋め込まれていた上記ガスケットから上記1次止水部を裂き取り、上記不定形のシーリング材の塗布による湿式のシーリングへの切り替えが行える。元々目地内に埋め込まれていた上記ガスケットの2次止水部は再利用するので、低コストで目地構造の修繕が行える。
【0011】
また、この発明の目地構造の修繕方法は、上記ガスケットを用いる目地構造の修繕方法であって、上記目地内に埋め込まれている上記ガスケットを取り出し、このガスケットから上記1次止水部を裂き取ったガスケットを上記目地に埋め戻し、上記1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部の端面にシーリングバッカーを設け、このシーリングバッカー上に不定形のシーリング材を塗布することを特徴とする。
かかる修繕方法であれば、上記目地内に埋め込まれていた上記ガスケットを一旦取り出して、このガスケットから上記1次止水部を裂き取るので、この裂き取りの作業が容易に行える。
【0012】
また、この発明のガスケット挿入具は、上記1次止水部が裂き取られた上記ガスケットを隣り合う外壁パネルの間に形成される目地に装着するためのガスケット挿入具であって、上記芯部から突設された上記2次止水部の根元部を押す2枚の板部材を備えることを特徴とする。
【0013】
かかる構成であれば、上記2枚の板部材によって上記2次止水部の根元部が押されるので、押し込む力を確実にガスケットに与えることができるとともに、上記1次止水部が裂き取られた箇所の上記芯部を上記2枚の板部材によって挟持する形となるので、上記ガスケットが目地内で傾くのを防止できる。したがって、上記1次止水部が裂き取られたガスケットの目地への装着作業を迅速且つ的確に行えるようになる。
【0014】
上記1次止水部が裂き取られたガスケットの芯部よりも上記2枚の板部材の先端側を広くさせた状態を維持する弾性部材を備えてもよい。これによれば、上記芯部よりも上記2枚の板部材の先端側が広いことで、上記1次止水部が裂き取られたガスケットの芯部を挟む際に上記板部材の先端を広げる操作が不要になる等、上記ガスケットの装着作業が行い易くなる。
【0015】
上記外壁面材の屋外面に接触し、当該屋外面から上記2枚の板部材の先端部までの距離を決定する当たり部を備えてもよい。これによれば、上記1次止水部が裂き取られたガスケットを目地内の適切な位置(深さ)に装着することが容易に行える。
【0016】
上記当たり部は、上記外壁面材の小口面の間を視認することを可能にするように分離状態に設けられていてもよい。これによれば、上記小口面の間から上記ガスケットを、その姿勢を確認しながら装着することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明であれば、外壁パネルの外壁面材の小口面の間に位置する1次止水部と当該小口面の幅との差異が大きい場合でも、1次止水側を湿式のシーリングに切り替えて施工することが容易になるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1および
図2に示すように、外壁パネル1は、外壁面材2と、縦胴縁3と、板材(グラスウール板等)4と、上記外壁面材2を取り付ける支持材となるフレーム5とを備えている。上記縦胴縁3は上記外壁面材2の裏面側(屋内側)に位置しており、上記板材4は上記縦胴縁3の裏面側(屋内側)に位置している。
【0020】
上記縦胴縁3および上記板材4は、図示しない釘によって上記フレーム5に固定されている。また、上記板材4には沈み込み防止用の樹脂ピン6が設けられており、上記縦胴縁3に上記釘が打ち込まれるときに上記板材4が沈み込むのが防止される。また、上記外壁面材2の裏面には図示しない係合穴が形成されている。そして、上記フレーム5には、図示しない裏面固定ビスがねじ込まれており、この裏面固定ビスの突出頭部を上記係合穴に係合することで上記外壁面材2が上記フレーム5に支持される。
【0021】
左右に隣り合う外壁パネル1間には縦目地が形成される。そして、この縦目地において、上記縦胴縁3の間の目地となる空間の幅は、上記外壁面材2の小口面の間の目地となる空間の幅および上記板材4の小口面の間の目地となる空間の幅よりも広くなっている。
【0022】
上記縦目地には、当該縦目地をシールするガスケット7が設けられている。このガスケット7は、例えば、EPDM(エチレン・プロピレンゴム)などの合成ゴムからなる。もちろん、このような素材に限るものではない。また、TPO(オレフィン系エラストマー)のような熱可塑性エラストマーや、PVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂でもよい。このガスケット7の素材としてはゴム様弾性体が好ましく、特にガスケットの芯部はポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの柔軟性の低い素材を用いることも可能である。
【0023】
上記ガスケット7は、上記外壁面材2の小口面の間の目地となる空間から入れることができる。このガスケット7の装着には図示しない治具を用いることができ、この治具によって屋外側からガスケット7を押し込むと、このガスケット7が規定の位置まで押し込まれるようになっている。
【0024】
上記ガスケット7は、上記目地の中央側に位置する芯部70を有している。この芯部70は、その長手方向に直交する断面の形状が上記目地の奥行方向に長くされる形状を有しており、屋内側(奥側)から屋外側(手前側)の方向に順に、第1フィン71、第2フィン72、第3フィン73、第4フィン74、第5フィン75および第6フィン76を備えている。これらフィンは、上記芯部70から目地幅方向両側に突出するように形成されている。
【0025】
そして、例えば、上記第4フィン74、第5フィン75および第6フィン76によって、1次止水部701(
図3参照)が構成されており、上記第1フィン71、第2フィン72および第3フィン73によって2次止水部702が構成されている。上記1次止水部701は、上記芯部70から突設されて外壁パネル1の外壁面材2の小口面の間に位置するものとなり、上記2次止水部702は、上記芯部70から突設されて上記外壁面材2の裏面側に位置するものとなる。また、上記第4フィン74の奥側箇所の上記芯部70には、上記1次止水部701を上記芯部70から手で裂き取るのを可能にする裂き取り領域としてのノッチ部703が形成されている。このノッチ部703は、U溝状あるいはV溝状等に形成されており、上記芯部70を部分的に薄肉化している。また、上記ノッチ部703は上記第4フィン74の近傍位置に形成されており、上記第3フィン73よりも屋外側となる位置に上記芯部70が残されるようにしている。なお、フィンの根元部の近傍は、当該根元部よりも厚みが薄いので、上記ノッチ部703が特に形成されていなくても、裂き取り領域となることができる。また、上記ガスケット7の端部において、上記根元部の近傍に鋏で切込をいれると、この切込がきっかけとなって、裂き取りを容易に行うことができる。
【0026】
上記第1フィン71は、上記板材4の小口面の間の箇所で当該小口面の間を封止するとともに、上記芯部70を上記板材4の小口面の間の中央へとガイドするように機能する。上記第1フィン71の屋外側の面には、当該ガスケット7の長手方向に凹溝が形成されており、この凹溝によって上記第1フィン71の先端側が屋外方向に曲がり易くなっている。
【0027】
上記第2フィン72は、上記板材4の小口面を目地幅方向に押圧する第1押圧部72aと、上記板材4の屋外側面を屋内方向に押圧する第2押圧部72bとを備えており、上記板材4の小口面の間の箇所と上記縦胴縁3間の目地となる空間との間を封じるウインドバリヤ部として機能する。すなわち、上記縦胴縁3側の目地空間が上記板材4の屋内側の空間から上記第2フィン72によって遮断されるので、上記縦胴縁3側の目地空間は、外気圧と等しい気圧で気流の生じにくい空間となる。
【0028】
上記第1押圧部72aは、
図3に示すように、自然状態において、屋外方向に斜めに向くように形成されており、上記第2押圧部72bは、上記第1押圧部72aの先端部で屋内方向に斜めに向くように形成されている。また、上記第1押圧部72aおよび上記第2押圧部72bの屋内側の面には、それぞれスポンジ72cが接着されている。上記第1押圧部72aと上記第2押圧部72bの境界部の屋内側の面は上記板材4の屋外側の角に位置する箇所であり、当該箇所にはガスケット7の長手方向に凹溝が形成されており、上記第2押圧部72bが屋内方向に曲がり易くされている。また、上記凹溝の形成箇所にはスポンジは設けられていない。
【0029】
上記第3フィン73は、上記第2フィン72から独立して形成されている。すなわち、上記第3フィン73は、上記第2フィン72の途中部から突出するのではなく、上記芯部70から直に突出している。そして、上記第3フィン73は、上記縦胴縁3の間の目地となる空間内で目地幅方向に突出しており、上記縦胴縁3の間の目地となる空間内へ侵入した水を受け止めて下方へ落とすレインバリヤ部として機能する。また、上記第3フィン73の基部側は、自然状態において、屋外方向に斜めに向くように形成されている。また、上記第3フィン73の屋外側の面上には、当該ガスケット7の長手方向に凹溝が形成されており、上記凹溝よりも先端側の部位は、上記外壁面材2の裏面に近づく方向に屈曲している。なお、上記第3フィン73の先端部は上記外壁面材2の裏面に接触していないが、上記第3フィン73の先端部が上記外壁面材2の裏面に接触する構造を採用してもよい。
【0030】
上記第4フィン74は、上記外壁面材2の小口面の間の目地となる空間内に位置するように形成されており、上記外壁面材2の小口面を目地幅方向に押圧する。上記第4フィン74の上記芯部70を含めた全体幅は、上記第3フィン73の全体幅よりも狭くされる一方、上記外壁面材2の小口面の間の幅よりも広くされている。また、上記第4フィン74は、上記第3フィン73が目地挿入の際に屋外側の曲げられたときに重ならないように、上記第3フィン73から離れて位置している。
【0031】
上記第5フィン75は、上記外壁面材2の小口面の間の目地となる空間内に位置するように形成されており、上記外壁面材2の小口面を目地幅方向に押圧する。上記第5フィン75の上記芯部70を含めた全体幅は、上記第4フィン74の全体幅よりも広く形成されている。また、上記第5フィン75の屋内側の面には、スポンジ75aが接着されている。
【0032】
上記第6フィン76は、上記外壁面材2の小口面の最も屋外側に位置し、上記小口面を目地幅方向に押圧するとともに、屋外に露呈して外壁の外観を形成する。なお、上記第6フィン76は、意匠性を重視して他の部分とは異なる材料を用いて形成されることもある。上記第6フィン76の上記芯部70を含めた全体幅は、上記第5フィン75の全体幅と同程度とされている。また、上記第6フィン76および上記第5フィン75は、上記芯部70に接続されているだけでなく、互いに連結部77によって連結されている。上記連結部77と上記芯部70との間には、空洞が形成されており、目地装着時において上記第5フィン75が無理なく変形できるようになっている。
【0033】
また、上記第5フィン75と上記第6フィン76の間の芯部70には、芯金78Aが設けられている。さらに、上記第2フィン72の基部の近傍の上記芯部70には芯線78Bが設けられている。
【0034】
上記2次止水部702において、上記レインバリヤ部となる第3フィン73と上記ウインドバリヤ部となる第2フィン72とが独立して存在する構成例であれば、上記ウインドバリヤ部となる第2フィン72を上記板材4の小口面の間の箇所に設ける一方で、上記レインバリヤ部となる第3フィン73を上記外壁面材の裏面側に近づけて設けることができる。このため、上記第3フィン73を長く形成する必要がなくなり、当該ガスケット7を目地に押し込む際の上記第3フィン73と上記外壁面材2の小口面との接触による抵抗の発生状態を短くできるので、ガスケット装着の作業効率が向上する。また、上記独立構造によって上記第3フィン73と第2フィン72とが相互に影響し合わなくなるため、上記第2フィン72を上記板材4に適切に圧接させることが可能になる。
【0035】
上記第1押圧部72aを有する構成例であれば、上記板材4の小口面の間を押圧して気密を確保することができ、上記第2押圧部72bを有する構成例であれば、上記板材4の屋外側面を押圧して気密を確保することができる。上記第1押圧部72aおよび上記第2押圧部72bの両方を有すると、一方の押圧部による気密が不十分となる場合でも、他方の押圧部による気密を確保することが可能である。例えば、
図1に示したように、目地幅が狭い場合では、上記第2押圧部72bによる気密が不十分となるおそれがあるが、このような場合でも、上記第1押圧部72aによる気密を確保することが可能である。一方、
図2に示したように、目地幅が広い場合では、上記第1押圧部72aによる気密が不十分となるおそれがあるが、このような場合でも、上記第2押圧部72bによる気密を確保することが可能である。また、隣り合う上記板材4の屋外側の面に段差があったとしても、一方の板材4の側では上記第1押圧部72aによる気密が確保され、他方の板材4の側では上記第2押圧部72bによる気密が確保されることが可能である。
【0036】
このように、上記ガスケット7による目地構造の施工においては、上記外壁面材2の小口面の間(目地)が多少狭い場合であっても、また、多少広い場合であっても、共通のガスケット7で対応可能である。さらに、上記外壁面材2の小口面の間に位置する上記1次止水部701と当該小口面の幅との差異がかなり大きいような場合でも、
図4に示すように、上記1次止水部701を上記芯部70から裂き取って、このガスケット7(2次止水部702)を上記目地に埋め込むことができる。そして、
図5に示すように、上記1次止水部701が裂き取られた箇所の上記芯部70の端面にシーリングバッカー91を設けることができる。このシーリングバッカー91は、例えば、断面が方形状の発泡樹脂の一面に粘着面が形成されたものであり、上記目地の幅に合せて選定することができる。そして、上記粘着面を屋内側に向けて上記シーリングバッカー91を目地に挿入し、上記粘着面を上記芯部70の端面に接着する。その後、上記シーリングバッカー91上に、不定形のシーリング材92を塗布することができる。
【0037】
上記ガスケット7であれば、外壁面材2の小口面の間に位置する上記1次止水部701と当該小口面の幅との差異が大きい場合には、上記1次止水部701を上記芯部70から手で裂き取ることができるので、この1次止水側を湿式のシーリングに切り替えて施工することが容易になる。そして、上記施工方法であれば、上記1次止水部701が裂き取られた箇所の上記芯部70の端面に上記シーリングバッカーを設けるので、上記不定形のシーリング材の塗布が容易になる。なお、上記第2フィン72の基部の近傍の上記芯部70には芯線78Bが設けられているので、上記1次止水部701が裂き取られても、上記2次止水部702において不所望な伸び等が抑制される。
【0038】
また、この実施形態では、
図4に示したように、上記1次止水部701が裂き取られたガスケット7を目地に挿入するのにガスケット挿入具8を用いている。このガスケット挿入具8は、上記2次止水部702を構成するフィンのうち最も屋外側に位置する上記第3フィン73の根元部を押す2枚の板部材81を備える。上記根元部に当たる上記板部材81の先端側は、
図6に示すように、略円弧形状に形成されており、当該根元部を過度に変形させないようになっている。また、上記ガスケット挿入具8には、持ちやすいように角筒状の持ち手部81aが形成されている。
【0039】
上記2枚の板部材81によって、上記2次止水部702の根元部を押して上記ガスケット7を目地に押し込むことができるので、押し込む力を確実にガスケット7に与えることができるとともに、上記1次止水部701が裂き取られた箇所の上記芯部70を上記2枚の板部材81によって挟持する形となるので、上記ガスケット7が目地内で傾くのを防止できる。したがって、上記1次止水部701が裂き取られたガスケット7の目地への装着作業が迅速且つ的確に行える。
【0040】
上記ガスケット挿入具8は、上記1次止水部701が裂き取られたガスケット7の芯部70の幅よりも上記2枚の板部材81の先端側を広くさせた状態を維持する弾性部材82を備えている。この弾性部材82は、例えば、略U字状の板バネからなり、図示しない螺子等によって上記板部材81に固定されている。上記ガスケット挿入具8は、いわゆるトングのように操作することができる。この弾性部材82を備える構成であれば、上記芯部70よりも上記2枚の板部材81の先端側が広いことで、上記1次止水部701が裂き取られたガスケットの芯部70を挟む際に上記板部材81の先端を広げる操作が不要になり、上記ガスケットの装着作業が行い易くなる。また、上記芯部70を上記2枚の板部材81によって挟持する形をとりつつ上記ガスケット挿入具8を移動させる操作も容易になる。なお、上記弾性部材82は、そのU字における折り返し部を板部材81の先端側に向けて設けられているが、これに限らず、上記折り返し側を持ち手部81a側に向けて設けた構造としてもよい。
【0041】
また、上記ガスケット挿入具8は、上記外壁面材2の屋外面に接触し、当該屋外面から上記2枚の板部材81の先端部までの距離を決定する当たり部83を備えている。この当たり部83は、第1面が上記板部材81に対向し、第2面が外壁面材2の屋外面に対向する断面略L字状の支持部材83aを備える。この支持部材83aは、上記第1面に装着された螺子83cによって上記板部材81に固定されている。また、上記第2面には、上記外壁面材2の屋外面を傷つけない樹脂やゴム素材等からなる接触部材83bが接着されている。上記当たり部83を備える構成であると、上記1次止水部701が裂き取られたガスケット7(2次止水部702)を目地内の適切な位置(深さ)に装着することが容易になる。
【0042】
上記接触部材83bは、上記外壁面材2の屋外面の意匠の凹凸の影響によって当該屋外面から上記板部材81の先端側までの距離が極力変化しないように、上記縦目地方向に長く形成されるのが望ましい。その一方、上記接触部材83bが存在することで、上記外壁面材2の小口面の間(目地)を視認することが妨げられる。この実施形態では、例えば、上記接触部材83bおよび上記第2面の中央側部分を取り除いて分離状に形成し、上記接触部材83bの実質的な長さを長くしつつ、当該当たり部83の中央側から上記外壁面材2の小口面の間(目地)を視認できるようにしている。このような視認が可能であると、上記1次止水部701が裂き取られたガスケット7の姿勢を上記小口面の間から確認しながら、当該ガスケット7を装着することができるようになり、ガスケット7(2次止水部702)の装着不具合を確実に防止できる。
【0043】
また、上記支持部材83aの第1面には調整孔83dが形成されており、上記外壁面材2の屋外面から上記2枚の板部材81の先端部までの距離を3段階で調整できるようになっている。これにより、例えば、上記外壁パネル1の仕様で上記外壁面材2の厚みが異なる場合においても、共通のガスケット挿入具8を用いて対処することが可能になる。なお、調整は3段階に限らず、2段階等でもよい。また、3段階調整のための孔形状は、例えばE字状の形状としてもよい。
【0044】
図1および
図2に示したように、上記1次止水部701が裂き取られていない本来の形のガスケット7によって上記目地構造が施工された後、上記1次止水部701が経年変化で劣化したり、或いは汚損のために交換することが望まれる場合がある。また、地震等の影響で上記1次止水部701による止水に不具合が生じるおそれもある。そこで、上記目地構造を修繕する方法を以下に述べる。
【0045】
例えば、上記目地内に埋め込まれている上記ガスケット7から上記1次止水部701を裂き取る。そして、
図5に示したように、上記1次止水部701が裂き取られた箇所の上記芯部70の端面にシーリングバッカー91を設け、このシーリングバッカー91上に不定形のシーリング材92を塗布する。かかる修繕方法であれば、元々目地内に埋め込まれていた上記ガスケット7から上記1次止水部701を裂き取るので、上記不定形のシーリング材92の塗布による湿式のシーリングへの切り替えが容易に行える。また、元々目地内に埋め込まれていた上記ガスケットの2次止水部702は再利用するので、低コストで目地構造の修繕が行える。
【0046】
上記の修繕方法では、上記ガスケット7が上記目地内に埋め込まれている状態のまま、このガスケット7から上記1次止水部701を裂き取ったが、これに限らず、一旦、上記目地内に埋め込まれている上記ガスケット7を取り出し、このガスケット7から上記1次止水部701を裂き取り、上記2次止水部702を上記目地に埋め戻すようにしてもよい。かかる修繕方法であれば、上記目地内に埋め込まれていた上記ガスケット7を一旦取り出して、このガスケット7から上記1次止水部701を裂き取るので、この裂き取りの作業が容易に行える。なお、2次止水部702を目地に戻すときには、上記ガスケット挿入具8を用いることができる。
【0047】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。