特許第6285889号(P6285889)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285889
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】力検知装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/18 20060101AFI20180215BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   G01L1/18 A
   H01L29/84 B
   H01L29/84 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-87324(P2015-87324)
(22)【出願日】2015年4月22日
(65)【公開番号】特開2016-205982(P2016-205982A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 理恵
(72)【発明者】
【氏名】水野 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】勝間田 卓
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−304997(JP,A)
【文献】 特開2002−257645(JP,A)
【文献】 特開2006−058266(JP,A)
【文献】 特開平06−201492(JP,A)
【文献】 特開平11−094666(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0001652(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/18
G01L 9/00
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源配線、基準配線、第1出力配線、第2出力配線及び複数のメサ型ゲージが主面に設けられている基板と、
前記基板に接合する力伝達ブロックと、を備え、
前記複数のメサ型ゲージは、第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージを有し、
前記第1メサ型ゲージと前記第2メサ型ゲージは、前記電源配線と前記基準配線の間に直列に接続されており、前記第1メサ型ゲージが前記電源配線側に接続されており、前記第2メサ型ゲージが前記基準配線側に接続されており、
前記第3メサ型ゲージと前記第4メサ型ゲージは、前記電源配線と前記基準配線の間に直列に接続されており、前記第3メサ型ゲージが前記電源配線側に接続されており、前記第4メサ型ゲージが前記基準配線側に接続されており、
前記第1メサ型ゲージと前記第2メサ型ゲージの組と前記第3メサ型ゲージと前記第4メサ型ゲージの組は、前記電源配線と前記基準配線の間で並列に接続されており、
前記第1メサ型ゲージと前記第2メサ型ゲージの間に前記第1出力配線が接続されており、
前記第3メサ型ゲージと前記第4メサ型ゲージの間に前記第2出力配線が接続されており、
前記第1メサ型ゲージ、前記第2メサ型ゲージ、前記第3メサ型ゲージ及び前記第4メサ型ゲージはいずれも、第1方向に沿って伸びており、
前記第1メサ型ゲージ及び前記第4メサ型ゲージの第1組に対する前記力伝達ブロックの接触面積と前記第2メサ型ゲージ及び前記第3メサ型ゲージの第2組に対する前記力伝達ブロックの接触面積が異なっており、
前記基板は、前記複数のメサ型ゲージが設けられている検知部の周囲を一巡して前記力伝達ブロックに接合する封止部を有し、
前記第1方向に直交する第2方向において、前記力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる一方の前記メサ型ゲージの前記封止部に対する位置関係と前記力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる他方の前記メサ型ゲージの前記封止部に対する位置関係が等しい、力検知装置。
【請求項2】
前記力伝達ブロックは、前記第1組と前記第2組のいずれか一方の組に接し、他方の組に接しない、請求項1に記載の力検知装置。
【請求項3】
前記力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる前記メサ型ゲージの各々は、前記封止部で囲まれる領域の中心点を間に置いて前記第2方向に並んで配置されている、請求項1又は2に記載の力検知装置。
【請求項4】
前記第1メサ型ゲージ、前記第2メサ型ゲージ、前記第3メサ型ゲージ及び前記第4メサ型ゲージは、矩形の角に対応して配置されており、
前記第1メサ型ゲージと前記第4メサ型ゲージが対角に配置されており、
前記第2メサ型ゲージと前記第3メサ型ゲージが対角に配置されている、請求項1又は2に記載の力検知装置。
【請求項5】
前記力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる前記メサ型ゲージの各々は、前記封止部で囲まれる領域の中心点を間に置いて前記第1方向に並んで配置されている、請求項1又は2に記載の力検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ピエゾ抵抗効果を利用する力検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピエゾ抵抗効果を利用する力検知装置が開発されており、その一例が特許文献1に開示されている。この種の力検知装置は、基板及び力伝達ブロックを備える。基板の主面には、ブリッジ回路を構成する複数のメサ型ゲージが設けられている。例えば、ブリッジ回路を構成する複数のメサ型ゲージは、矩形の辺に対応して配置されている。力伝達ブロックは、複数のメサ型ゲージの頂面に接するように設けられている。力伝達ブロックがメサ型ゲージを押圧すると、メサ型ゲージに加わる圧縮応力が増大し、メサ型ゲージの電気抵抗値がピエゾ抵抗効果によって変化する。この電気抵抗値の変化から力伝達ブロックに加わる力が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−304997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の力検知装置では、オフセット電圧を低減することが望まれている。オフセット電圧を低減するためには、メサ型ゲージに圧縮応力が加わっていないときに、ブリッジ回路を構成する複数のメサ型ゲージの各々の抵抗値を等しくする必要がある。通常、この種の力検知装置では、対称性を考慮し、複数のメサ型ゲージの各々の幅及び長さは共通形状とされている。このため、複数のメサ型ゲージの各々の抵抗値は、一致すると考えられていた。しかしながら、本発明者らの検討の結果、複数のメサ型ゲージを共通形状としても、複数のメサ型ゲージの各々の抵抗値が一致しないことが分かってきた。これは、ブリッジ回路を構成する複数のメサ型ゲージにおいて、結晶方向が異なることが理由であると考えられる。本明細書は、オフセット電圧が低減される力検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する力検知装置の一実施形態は、基板及び力伝達ブロックを備える。基板の主面には、電源配線、基準配線、第1出力配線、第2出力配線及び複数のメサ型ゲージが設けられている。力伝達ブロックは、基板に接合する。複数のメサ型ゲージは、第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージを有する。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージは、電源配線と基準配線の間に直列に接続されている。第1メサ型ゲージが電源配線側に接続されており、第2メサ型ゲージが基準配線側に接続されている。第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージは、電源配線と基準配線の間に直列に接続されている。第3メサ型ゲージが電源配線側に接続されており、第4メサ型ゲージが基準配線側に接続されている。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージの組と第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージの組は、電源配線と基準配線の間に並列に接続されている。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージの間に第1出力配線が接続されている。第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージの間に第2出力配線が接続されている。第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージはいずれも、第1方向に沿って伸びている。第1メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージの第1組に対する力伝達ブロックの接触面積と第2メサ型ゲージ及び第3メサ型ゲージの第2組に対する力伝達ブロックの接触面積が異なる。
【0006】
上記実施形態の力検知装置では、ブリッジ回路を構成する複数のメサ型ゲージのいずれも第1方向に沿って伸びているので、それらのメサ型ゲージの結晶方向が同一となる。このため、複数のメサ型ゲージの各々の抵抗値が等しくなり、オフセット電圧が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施例の力検知装置の分解斜視図を模式的に示しており、半導体基板と力伝達ブロックが接合する縁を破線で示すとともに、半導体基板と力伝達ブロックで構成される封止空間の範囲を破線で示す。
図2図2は、実施例の力検知装置が備える半導体基板の平面図を模式的に示しており、半導体基板と力伝達ブロックが接合する縁を破線で示すとともに、半導体基板と力伝達ブロックで構成される封止空間の範囲を破線で示す。
図3図3は、図2のIII-III線に対応した断面図を模式的に示す。
図4図4は、実施例の力検知装置が備える力伝達ブロックを示しており、半導体基板に接合する面を模式的に示す。
図5図5は、変形例の力検知装置が備える半導体基板の平面図を模式的に示しており、半導体基板と力伝達ブロックが接合する縁を破線で示すとともに、半導体基板と力伝達ブロックで構成される封止空間の範囲を破線で示す。
図6図6は、変形例の力検知装置が備える半導体基板の平面図を模式的に示しており、半導体基板と力伝達ブロックが接合する縁を破線で示すとともに、半導体基板と力伝達ブロックで構成される封止空間の範囲を破線で示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
【0009】
本明細書で開示される力検知装置の一実施形態は、各種圧力を検知するセンサであり、一例では、気圧又は液圧を検知対象としてもよい。この力検知装置は、基板と力伝達ブロックを備えていてもよい。基板の材料は、圧縮応力に応じて電気抵抗が変化するピエゾ抵抗効果が現われるものが望ましい。例えば、基板としては、半導体基板及びSOI基板が例示される。基板の主面には、電源配線、基準配線、第1出力配線、第2出力配線及び複数のメサ型ゲージが設けられている。電源配線、基準配線、第1出力配線及び第2出力配線は、基板の主面の一部に構成されてもよく、基板の主面上に配設されてもよい。力伝達ブロックは、基板に接合する。複数のメサ型ゲージは、第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージを有する。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージは、電源配線と基準配線の間に直列に接続されている。第1メサ型ゲージが電源配線側に接続されており、第2メサ型ゲージが基準配線側に接続されている。第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージは、電源配線と基準配線の間に直列に接続されている。第3メサ型ゲージが電源配線側に接続されており、第4メサ型ゲージが基準配線側に接続されている。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージの組と第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージの組は、電源配線と基準配線の間に並列に接続されている。第1メサ型ゲージと第2メサ型ゲージの間に第1出力配線が接続されている。第3メサ型ゲージと第4メサ型ゲージの間に第2出力配線が接続されている。第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージはいずれも、第1方向に沿って伸びている。第1メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージの第1組に対する力伝達ブロックの接触面積と第2メサ型ゲージ及び第3メサ型ゲージの第2組に対する力伝達ブロックの接触面積が異なる。上記実施形態の力検知装置では、4つのメサ型ゲージがいずれも同一方向に沿って伸びているので、4つのメサ型ゲージの電気抵抗値は応力に対して同様に変化する。第1メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージの第1組に対する力伝達ブロックの接触面積と第2メサ型ゲージ及び第3メサ型ゲージの第2組に対する力伝達ブロックの接触面積が異なるので、これらのメサ型ゲージで構成されるブリッジ回路は、力伝達ブロックに加わる力に対して出力を変化させることができる。
【0010】
力伝達ブロックは、第1メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージの第1組と第2メサ型ゲージ及び第3メサ型ゲージの第2組のいずれか一方の組に接し、他方の組に接しなくてもよい。この力伝達装置では、第1組と第2組のいずれか一方の組のメサ型ゲージのみに力伝達ブロックを介して力が伝達され、その組のメサ型ゲージがブリッジ回路の可変抵抗体として機能し、他方の組のメサ型ゲージがブリッジ回路の固定抵抗体として機能する。この力伝達装置は、高感度な特性を有することができる。
【0011】
基板は、複数のメサ型ゲージが設けられている検知部の周囲を一巡して力伝達ブロックに接合する封止部を有していてもよい。この場合、第1方向に直交する第2方向において、力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる一方のメサ型ゲージの封止部に対する位置関係と力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれる他方のメサ型ゲージの封止部に対する位置関係が等しい。この力検知装置では、力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれるメサ型ゲージの各々に伝達される力が等しくなり、力に対する出力の線形性が向上する。
【0012】
力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれるメサ型ゲージの各々は、封止部で囲まれる領域の中心点を間に置いて第2方向に並んで配置されていてもよい。
【0013】
第1メサ型ゲージ、第2メサ型ゲージ、第3メサ型ゲージ及び第4メサ型ゲージは、矩形の角に対応して配置されていてもよい。この場合、第1メサ型ゲージと第4メサ型ゲージが対角に配置されており、第2メサ型ゲージと第3メサ型ゲージが対角に配置されている。
【0014】
力伝達ブロックとの接触面積が相対的に大きい方の組に含まれるメサ型ゲージの各々は、封止部で囲まれる領域の中心点を間に置いて第1方向に並んで配置されていてもよい。
【実施例1】
【0015】
図1に示されるように、力検知装置1は、例えば、圧力容器の容器内圧を検知する半導体圧力センサであり、半導体基板2及び力伝達ブロック4を備える。
【0016】
図1,2に示されるように、半導体基板2は、n型の単結晶シリコンであり、その主面2Sが(110)結晶面である。半導体基板2の主面2Sには複数の溝11が形成されている。複数の溝11は、半導体基板2の主面2Sの検知部10内に形成されており、その検知部10内に複数のメサ型ゲージ12,14,16,18を画定する。
【0017】
図1,2,3に示されるように、メサ型ゲージ12,14,16,18は、溝11の底面からメサ状に突出しており、その高さは約0.5〜5μmである。メサ型ゲージ12,14,16,18の頂面は、溝11の周囲の半導体基板2の主面2Sと同一面に位置する。即ち、メサ型ゲージ12,14,16,18は、例えばドライエッチング技術を利用して、半導体基板2の主面2Sに複数の溝11を形成した残部として形成される。
【0018】
図1,2に示されるように、検知部10のメサ型ゲージ12,14,16,18はいずれも、半導体基板2の<110>方向に沿って伸びている。半導体基板2の<110>方向に伸びるメサ型ゲージ12,14,16,18は、圧縮応力に応じて電気抵抗値が大きく変化することを特徴としており、ピエゾ抵抗効果を有する。また、メサ型ゲージ12,14,16,18の各々の幅及び長さは共通である。なお、メサ型ゲージ12,14,16,18の幅とは、長手方向に直交する方向の幅であり、この例では、半導体基板2の<100>方向の幅となる。
【0019】
図1,2,3に示されるように、メサ型ゲージ12,14,16,18の表面には、p型不純物が導入されたゲージ部12a,14a,16a,18aが形成されている。ゲージ部12a,14a,16a,18aの不純物濃度は、約1×1018〜1×1021cm−3である。ゲージ部12a,14a,16a,18aの不純物濃度及び拡散深さは、メサ型ゲージ12,14,16,18の各々において共通である。ゲージ部12a,14a,16a,18aは、pn接合によって、n型の半導体基板2から実質的に絶縁されている。
【0020】
図1,2に示されるように、半導体基板2は、主面2Sにp型不純物が導入された配線13,17,22,24,26,28を有する。配線13,17,22,24,26,28の不純物濃度は、約1×1018〜1×1021cm−3である。配線13,17,22,24,26,28は、メサ型ゲージ12,14,16,18のゲージ部12a,14a,16a,18aと同一の工程で形成される。
【0021】
メサ型ゲージ12,14,16,18は、検知部10内にフルブリッジ回路を構成する。第1メサ型ゲージ12のゲージ部12aと第2メサ型ゲージ14のゲージ部14aは、電源配線26と基準配線22の間に直列に接続されている。第3メサ型ゲージ16のゲージ部16aと第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aは、電源配線26と基準配線22の間に直列に接続されている。第1メサ型ゲージ12のゲージ部12aと第2メサ型ゲージ14のゲージ部14aの組と第3メサ型ゲージ16のゲージ部16aと第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aの組は、電源配線26と基準配線22の間に並列に接続されている。
【0022】
第1メサ型ゲージ12のゲージ部12aと第2メサ型ゲージ14のゲージ部14aの間の第1接続配線13に第1出力配線24が接続されている。第3メサ型ゲージ16のゲージ部16aと第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aの間の第2接続配線17に第2出力配線28が接続されている。
【0023】
基準配線22は、基準電極32に電気的に接続する。第1出力配線24は、第1出力電極34に電気的に接続する。電源配線26は、電源電極36に電気的に接続する。第2出力配線28は、第2出力電極38に電気的に接続する。これらの電極32,34,36,38は、半導体基板2の主面2S上に設けられており、力伝達ブロック4で覆われる範囲外に配置されている。基準配線22及び電源配線26は幅広に構成されており、それらの抵抗値は、メサ型ゲージ12,14,16,18のゲージ部12a,14a,16a,18aの抵抗値に対して無視できるほどに小さい。第1出力配線24の抵抗値と第2出力配線28の抵抗値は、等しくなるように構成されている。
【0024】
図1,3に示されるように、力伝達ブロック4は、直方体形状を有しており、シリコン層4aと酸化シリコン層4bを有する。半導体基板2と力伝達ブロック4は、常温個相接合技術を利用して接合される。具体的には、アルゴンイオンを用いて半導体基板2の主面2S及び力伝達ブロック4の酸化シリコン層4bの表面を活性化させた後に、超高真空中で半導体基板2の主面2Sと力伝達ブロック4の酸化シリコン層4bの表面を接触させ、両者を接合させる。
【0025】
図3,4に示されるように、力伝達ブロック4の酸化シリコン層4bの一部が除去されており、力伝達ブロック4の半導体基板2と接合する側の面に溝4cが形成されている。溝4cが形成されていることにより、力伝達ブロック4の酸化シリコン層4bは、封止部分40aと押圧部分40bに区画されている。また、このような溝4cが形成されていることにより、半導体基板2と力伝達ブロック4の間には、外部から隔てられた封止空間6が構成される。
【0026】
力伝達ブロック4の封止部分40aは、メサ型ゲージ12,14,16,18の周囲を一巡するように、半導体基板2の主面2Sに接合する。半導体基板2のうちの力伝達ブロック4の封止部分40aが接合する部分を封止部20という。力伝達ブロック4の封止部分40aが矩形状に構成されているので、半導体基板2の封止部20は、メサ型ゲージ12,14,16,18の長手方向と平行な部分とメサ型ゲージ12,14,16,18の長手方向に直交する部分で構成される。半導体基板2の封止部20と力伝達ブロック4の封止部分40aは、気密に接合する。
【0027】
力伝達ブロック4の押圧部分40bは、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18の頂面に選択的に接合しており、第2メサ型ゲージ14と第3メサ型ゲージ16の頂面に接合しない。力伝達ブロック4の押圧部分40bが第1メサ型ゲージ12に接触する接触面積と力伝達ブロック4の押圧部分40bが第4メサ型ゲージ18に接触する面積は等しい。
【0028】
次に、力検知装置1の動作を説明する。まず、力検知装置1は、電源電極36に定電流源が接続され、基準電極32が接地され、第1出力電極34と第2出力電極38の間に電圧測定器が接続して用いられる。力検知装置1では、力伝達ブロック4に加わる容器内圧が変化すると、力伝達ブロック4を介して第1メサ型ゲージ12のゲージ部12a及び第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aに加わる圧縮応力も変化する。第1メサ型ゲージ12のゲージ部12a及び第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aは、ピエゾ抵抗効果が現われるので、その電気抵抗値は圧縮応力に比例して変化する。一方、第2メサ型ゲージ14のゲージ部14a及び第3メサ型ゲージ16のゲージ部16aには圧縮応力が加わらないので、その電気抵抗値は変わらない。このため、第1出力電極34と第2出力電極38の電位差は、第1メサ型ゲージ12のゲージ部12a及び第4メサ型ゲージ18のゲージ部18aに加わる圧縮応力に比例する。これにより、電圧測定器で計測される電圧変化から力伝達ブロック4に加わる容器内圧が検知される。
【0029】
力検知装置1では、メサ型ゲージ12,14,16,18はいずれも、半導体基板2の<110>方向に沿って伸びている。このため、ブリッジ回路を構成する4つのメサ型ゲージ12,14,16,18がいずれも同一方向に沿って伸びているので、それら4つのメサ型ゲージ12,14,16,18の結晶方向が同一となる。4つのメサ型ゲージ12,14,16,18の幅及び長さが共通なので、圧縮応力が加わっていないときの4つのメサ型ゲージ12,14,16,18の各々の抵抗値は、極めて良好に一致する。これにより、力検知装置1では、オフセット電圧が低減される。
【0030】
力検知装置1は、力伝達ブロック4によって半導体基板2の検知部10が封止される封止型構造を有する。このような力検知装置1では、第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18に加わる圧縮応力は、封止空間6内の第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の位置に依存する。この例では、図2に示されるように、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が半導体基板2の<110>方向に沿って伸びているので、第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18に加わる圧縮応力は、半導体基板2の<100>方向における封止空間6内の第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の位置に依存する。
【0031】
力検知装置1では、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12と半導体基板2の封止部20(第1メサ型ゲージ12の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図2の紙面右側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離と第4メサ型ゲージ18と半導体基板2の封止部20(第4メサ型ゲージ18の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図2の紙面左側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離が等しい。さらに、力検知装置1では、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12と半導体基板2の封止部20(第1メサ型ゲージ12の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図2の紙面左側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離と第4メサ型ゲージ18と半導体基板2の封止部20(第4メサ型ゲージ18の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図2の紙面右側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離が等しい。即ち、力検知装置1では、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12の封止部20に対する位置関係と第4メサ型ゲージ18の封止部20に対する位置関係が等しい。これにより、力伝達ブロック4に加わる力に対して第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の各々に伝達される力が等しくなるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性が向上する。また、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、半導体基板2の<100>方向において、封止空間6を3等分した位置関係に配置されていると、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性がさらに向上する。
【0032】
さらに、力検知装置1では、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、封止空間6の中心点6aを間に置いて半導体基板2の<100>方向に並んで配置されている。第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、封止空間6の中心点6aに対して点対称に設けられている。このため、力伝達ブロック4に加わる力が、第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の頂面の各々に均等に伝達されるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性がさらに向上する。
【0033】
さらに、力検知装置1の検知部10では、複数のメサ型ゲージ12,14,16,18及び接続配線13,17が封止空間6の中心点6aに対して点対称に配置されている。これにより、ブリッジ回路を構成する各抵抗体の抵抗値が等しくなるので、力検知装置1のオフセット電圧はさらに低減される。
【0034】
上記の複数のメサ型ゲージ12,14,16,18のレイアウトに代えて、以下のようなレイアウトであってもよい。なお、以下の説明では、共通する構成要素に共通の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
図5に示す例では、第1メサ型ゲージ12、第2メサ型ゲージ14、第3メサ型ゲージ16及び第4メサ型ゲージ18が、矩形の角に対応して配置されている。第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、対角に配置されている。第2メサ型ゲージ14と第3メサ型ゲージ16が、対角に配置されている。力伝達ブロック4は、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18の頂面に選択的に接合しており、第2メサ型ゲージ14と第3メサ型ゲージ16の頂面に接合しない。
【0036】
この例でも、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12と半導体基板2の封止部20(第1メサ型ゲージ12の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図5の紙面右側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離と第4メサ型ゲージ18と半導体基板2の封止部20(第4メサ型ゲージ18の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図5の紙面左側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離が等しい。さらに、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12と半導体基板2の封止部20(第1メサ型ゲージ12の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図5の紙面左側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離と第4メサ型ゲージ18と半導体基板2の封止部20(第4メサ型ゲージ18の長手方向と平行な封止部20の部分であり、図5の紙面右側の封止空間6の縁に相当する)の間の最短距離が等しい。即ち、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12の封止部20に対する位置関係と第4メサ型ゲージ18の封止部20に対する位置関係が等しい。
【0037】
これにより、力伝達ブロック4に加わる力に対して第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の各々に伝達される力が等しくなるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性が向上する。さらに、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、封止空間6の中心点6aに対して点対称に設けられている。このため、力伝達ブロック4に加わる力が、第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の頂面の各々に均等に伝達されるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性がさらに向上する。
【0038】
図6に示す例では、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、封止空間6の中心点6aを間に置いて半導体基板2の<110>方向に並んで配置されている。力伝達ブロック4は、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18の頂面に選択的に接合しており、第2メサ型ゲージ14と第3メサ型ゲージ16の頂面に接合しない。
【0039】
この例では、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18の双方が、半導体基板2の<100>方向において、封止空間6を2等分した位置関係に配置されている。即ち、半導体基板2の<100>方向において、第1メサ型ゲージ12の封止部20に対する位置関係と第4メサ型ゲージ18の封止部20に対する位置関係が等しい。
【0040】
これにより、力伝達ブロック4に加わる力に対して第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の各々に伝達される力が等しくなるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性が向上する。さらに、第1メサ型ゲージ12と第4メサ型ゲージ18が、封止空間6の中心点6aに対して点対称に設けられている。このため、力伝達ブロック4に加わる力が、第1メサ型ゲージ12及び第4メサ型ゲージ18の頂面の各々に均等に伝達されるので、力伝達ブロック4に加わる力に対する出力の線形性がさらに向上する。
【0041】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0042】
1:力検知装置
2:半導体基板
4:力伝達ブロック
10:検知部
12:第1メサ型ゲージ
14:第2メサ型ゲージ
16:第3メサ型ゲージ
18:第4メサ型ゲージ
22:基準配線
24:第1出力配線
26:電源配線
28:第2出力配線
32:基準電極
34:第1出力電極
36:電源電極
38:第2出力電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6