(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285896
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】線香、線香に自然消炎性を付与する方法及び線香の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20180215BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20180215BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q13/00 202
A61Q13/00 201
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-145257(P2015-145257)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-25023(P2017-25023A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2016年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 龍太
(72)【発明者】
【氏名】東 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】藤川 匠
【審査官】
松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−209201(JP,A)
【文献】
特開2014−148503(JP,A)
【文献】
特開平10−226602(JP,A)
【文献】
特開平07−187905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 13/00
A01N 25/18− 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブ粉12.5〜30質量%、ココナッツ粉19〜30質量%、並びにタブ粉及びココナッツ粉以外の木粉44〜60質量%を含有することを特徴とする、線香。
【請求項2】
タブ粉10〜30質量%とココナッツ粉10〜30質量%を含有し、ココナッツ粉/タブ粉(質量比)が1.00であることを特徴とする、線香。
【請求項3】
線香の組成中に、タブ粉12.5〜30質量%、ココナッツ粉19〜30質量%、並びにタブ粉及びココナッツ粉以外の木粉44〜60質量%を含有させることを特徴とする、線香に自然消炎性を付与する方法。
【請求項4】
線香の組成中に、タブ粉10〜30質量%とココナッツ粉10〜30質量%を、ココナッツ粉/タブ粉(質量比)を1.00で含有させることを特徴とする、線香に自然消炎性を付与する方法。
【請求項5】
タブ粉12.5〜30質量%、ココナッツ粉9〜30質量%、並びにタブ粉及びココナッツ粉以外の木粉44〜60質量%を混合することを特徴とする、線香の製造方法。
【請求項6】
タブ粉10〜30質量%とココナッツ粉10〜30質量%を、ココナッツ粉/タブ粉(質量比)を1.00で混合することを特徴とする、線香の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線香に着火時の炎の自然消炎性を付与する方法、自然消炎性線香の製造方法及び自然消炎性線香に関する。
【背景技術】
【0002】
蚊取り線香や仏壇線香等の線香は、着火するとまず炎をあげて燃える(有炎燃焼)。有炎のままで線香が燃焼すると、付近の燃焼物に火移りし火災の原因となったり、火傷の原因となりえる。また、渦状の線香を用いる場合は渦の複数点に着火したり、複数本の線香を用いる場合は各線香に同時に着火したり、多点着火がおこり、より炎が大きくなる危険性がある。そこで、通常は、線香を着火した直後に、炎を手で扇いだり、線香を振るなどして人為的に炎を消して、炎のない状態で燃焼させる(無炎燃焼)ことがなされている。
【0003】
線香の着火後に炎を手で扇いだり、線香を振る等の行為は、手の動かし方によっては十分に消炎させることができない等の不都合があるため、線香の炎を簡単に消すことができる技術が幾つか提案されている。
例えば、特許文献1には、ほぼ水平に支持され、線香を載置するホルダーの端縁に、線香先端が突出可能で、線香先端に着火された炎の消炎が可能な消炎孔を設けた線香着火具が提案されている。また、特許文献2には、一端が開放され、他端が閉塞された筒状体を支持体により支持した線香の炎消し具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭59−5422号公報
【特許文献2】実開昭62−63080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2は、いずれも線香の炎を消すための道具に関する技術であり、使用者が火を消す行為を必須とするため、火の消し忘れ等により炎が上がる状態が持続するおそれがある。
【0006】
本発明は、線香に着火した後に使用者が炎を消す行為をしなくても、着火時の炎が自然に消炎して無炎燃焼の状態となる性質(自然消炎性)を線香に付与する方法を提供することを課題とする。
また、本発明の別の課題は、上記のような着火時の炎が自然消炎する性質を有する線香を適正で、簡便に、かつ低コストで製造することのできる自然消炎性線香の製造方法、及び自然消炎性線香を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、線香の組成中にタブ粉とココナッツ粉を特定量範囲で含有させることにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は以下の(1)〜(3)によって達成される。
(1)線香の組成中に、タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を含有させることを特徴とする、線香に自然消炎性を付与する方法。
(2)タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を混合することを特徴とする、自然消炎性線香の製造方法。
(3)タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を含有することを特徴とする、自然消炎性線香。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、線香の組成中に、タブ粉を10〜50質量%、ココナッツ粉を9〜30質量%となるように含有させることで、線香に自然消炎性を付与することができる。よって、着火後に人為的に消炎しなくとも線香の炎が自然に消えるので、安全に使用可能な線香を提供できる。
また、本発明の自然消炎性線香の製造方法によれば、自然消炎性を有する線香を良好な製造適正で、簡便に、かつ低コストで製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の線香に自然消炎性を付与する方法(以下、単に「本発明の方法」と言うことがある)は、線香の組成中に、タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を含有させることを特徴としている。
【0011】
タブ粉は、クスノキ科タブノキ属の常緑高木の葉や樹皮の乾燥粉末である。タブ粉は一般に市販されているものを用いることができる。
【0012】
本発明の方法では、タブ粉は線香組成中、乾燥粉末の状態で10〜50質量%となるように含有させる。タブ粉を線香組成中10質量%以上含有させることで、組成の練合性、金型からの離型性などの製造適正が良好となり、50質量%以下含有させることで、線香に着火時の炎の自然消炎性を付与することができる。タブ粉を50質量%より多く含有させると、燃焼されにくくなるため、立ち消えし(無炎燃焼しない状態になり)やすくなる。タブ粉は線香組成中に10〜30質量%となるように含有させることが好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0013】
ココナッツ粉はココヤシ果実の乾燥粉末であり、一般に市販されているものを用いることができる。
【0014】
本発明の方法では、ココナッツ粉は線香組成中、乾燥粉末の状態で9〜30質量%となるように含有させる。ココナッツ粉を線香組成中9質量%以上含有させることで、着火性が高まり、製造適正も良好となり、30質量%以下で含有させることで、燃焼されにくくなるため、線香に着火時の炎の自然消炎性を付与することができる。ココナッツ粉は線香組成中に10〜25質量%となるように含有させることが好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
【0015】
本発明において、タブ粉とココナッツ粉の比率は、ココナッツ粉/タブ粉(質量比)が0.20〜3.00の比率となるように線香組成中に含有させるのが好ましい。タブ粉とココナッツ粉の配合比率が前記範囲であると、燃焼されにくくなるため、本発明の所望の効果を発揮することができる。タブ粉とココナッツ粉の配合比率は、製造適正が良好となり、効率的に製造するという観点からココナッツ粉/タブ粉(質量比)が1.00〜2.00であることがより好ましい。
【0016】
本発明において、線香にはタブ粉及びココナッツ粉以外の成分を含有することができる。その他の成分は、線香成分として使用できる従来公知の各種成分を使用することができ、例えば、燃焼基材(支燃剤)、粘結剤、増量剤、乳化剤、防黴剤、殺虫・忌避剤、消臭剤、着色剤、着香剤等が挙げられる。
【0017】
燃焼基材(支燃剤)としては、例えば、木粉、茶葉粉、コーヒー豆殻の内皮粉末、トウモロコシの芯の粉末、スガ、ツガ、カシ、ヤシ、タケ、ミカン等の木本類の粉末等が挙げられる。
【0018】
本発明において、燃焼性、成形性の観点から木粉を使用するのが好ましい。木粉としては、マツ、スギ、ヒノキ、ウバメガシ、カシ、クヌギ、ナラ、イタヤカエデ、ゴム、ラワン、ミツマタ、オガ、タケ、ヤシ等の原木を粉末化したものを挙げることができる。
【0019】
木粉の粒径は約40〜350μmとするのが、製造時の舞い上がりがなく、線香の強度を確保できるため好ましい。
【0020】
燃焼基材(支燃剤)は、線香の組成中に20〜60質量%の割合で混合することが好ましい。前記配合割合で燃焼基材(支燃剤)を混合することにより、立ち消えが起こりにくく、成形しやすくなる効果を奏する。
【0021】
粘結剤としては、例えば、デンプン、コーンスターチ、グァーガム、松脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、マンナン、各種ガム類、カゼイン、水溶性高分子、等が挙げられる。
【0022】
増量剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪藻土、ガラス粉末、カオリン、クレー、タルク等が挙げられる。
【0023】
乳化剤としては、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等の界面活性剤が挙げられる。
【0024】
防黴剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル、PCMX、IPBC、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、またこれらの塩等が挙げられる。
【0025】
殺虫・忌避剤としては、例えば、除虫菊エキス、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、エムペントリン、メトフルトリン,プロフルトリン等のピレスロイド系化合物、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物、カルバリル、プロポクスル、メソミル、チオジカルブ等のカーバメート系化合物、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物、アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド等のニコチノイド系化合物、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長制御化合物、クロルフェナピル等のピロール系化合物、ベンジルアルコール、ハッカ油等の殺虫性精油類、ディート、ジ−n−ブチルサクシネート、ヒドロキシアニソール、シトロネラ油、ユーカリ油、ゲラニウム油、蚊連草等の殺虫・忌避剤等が挙げられる。
【0026】
消臭剤としては、例えば、メタクリル酸ラウリル、ゲラニルクロトネート、カテキン、ポリフェノール、茶葉等が挙げられる。
【0027】
着色剤としては、例えば、赤色106号、赤色102号、青色1号、青色2号、黄色5号、黄色4号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、橙色207号、黒色401号等の法定色素等が挙げられる。
【0028】
着香剤としては、様々な植物や動物から抽出された天然香料や、化学的に合成される合成香料、さらにはこれらの香料成分を多数混合して作られる調合香料等が挙げられる。例えば、ピネン、リモネン、リナロール、メントール、オイゲノール、ラベンダー、シトラール、シトロネラール、キャラ、ビャクダン、ローズ、カモミール、ヒノキチオール、青葉アルコール等が挙げられる。着香剤は、1種単独で使用されても、2種以上を任意に組み合わせてもよく、溶剤、香料安定化剤などを含有してもよい。
【0029】
本発明において、線香に着火の際の炎を自然に消炎する性質を付与するためには流動パラフィンや植物油のようなオイル成分を実質的に配合しないことが好ましい。具体的には、オイル成分は線香組成中、3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、オイル成分を含有させないことが最も好ましい。
【0030】
次に、自然消炎性線香の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」と言うことがある)について説明する。
本発明の製造方法は、線香の組成中に、タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を混合する工程を有する。タブ粉とココナッツ粉以外の組成としては、上記した従来公知の各種成分を用いることができる。
線香の製造は従来公知の方法により製造することができ、例えば、線香成分と水もしくは温水と混練し、押出成形機、打抜機によって成形した後、乾燥して製造すればよい。線香の形状としては、棒状、渦巻き状、コーン状、プレート状等、使用目的に応じて適宜選択可能である。
【0031】
前記のようにして得られた本発明の自然消炎性線香は、線香が着火した際の炎が手で扇いで風を送ったり、線香を振ったりせずとも自然に消炎する性質(自然消炎性)を有する。
なお、「自然消炎性を有する」とは、線香を着火し炎が上がってから消炎して無炎燃焼するまでの時間が、例えば、常温(25℃)で、250秒以下であることをいい、線香の立ち消えを防止するという観点からは、50〜220秒程度であるのが好ましい。このような自然消炎性は、タブ粉及び/又はココナッツ粉の混合量を適宜設定することにより調整することができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0033】
(実施例1〜14、比較例1〜3)
<渦巻線香の製造>
下記表1に示す組成の割合に従い、各成分を練合容器に採取して練合粉とし、練合粉100kgに対して、約85℃の水80kgを添加して均一になるまで練合した。練合物を押出成形機(エクストルーダー)を用いてシート状(帯状)に成形した後、打抜機によって渦巻型に打ち抜いた。その後、型抜きした線香を水分率6%程度まで乾燥し、1巻き当たり約13.4g、厚み約3.2mmの渦巻線香を製造した。
【0034】
実施例1〜14、比較例1〜3の渦巻線香の製造時における練合性、帯割れ、打ち抜き速度及び離形性について確認し、製造適正を評価した。
【0035】
<練合性評価>
練合粉の練合開始から所定時間(約10分)後の練合物に練合むらがないかを目視で確認した。その練合性について、下記基準に基づき、「◎」、「〇」、「△」、「×」で評価した。なお、「×」の評価の練合物は、均一に練合されておらず、追加で練合時間を要するため、製造に問題が生じるものである。
〔評価基準〕
◎:練合物表面が滑らかで均一に練合されている
○:均一に練合されている
△:若干のむらが見られるが、製造に問題はない
×:大きなむらがあり、製造に問題が生じる
【0036】
<帯割れ評価>
練合後の練合物から帯状の成形物を得る際に、押出成形機(エクストルーダー)から排出された帯のひび割れ(帯割れ)の有無について目視で確認し、下記基準に基づき、「◎」、「〇」、「△」、「×」で評価した。なお、「×」の評価の帯は、大きなひび割れが見られ、打ち抜き工程を行うことができないため、製造できないものである。
〔評価基準〕
◎:まったくひび割れがない
○:ほとんどひび割れがない(ひびが1cm未満)
△:若干のひび割れが見られるが、製造に問題はない(ひびが1cm以上2cm未満)
×:大きくひび割れ、製造に問題が生じる(ひびが2cm以上)
【0037】
<打ち抜き速度評価>
押出成形機から排出された帯を渦巻型に打ち抜く際の打ち抜き速度について確認した。設定速度30回/分の打ち抜きに対し、下記基準に基づき、「◎」、「〇」、「△」、「×」で評価した。なお、「×」の評価のものは、帯の粘着性が高く金型に付着するため、製造速度が遅くなり、打抜機の動作速度が25回/分以下になるものであり、製造に問題のあるものである。
〔評価基準〕
◎:打抜機の動作速度が設定速度の30回/分である
○:打抜機の動作速度が28〜30回/分である
△:打抜機の動作速度が26〜27回/分である
×:打抜機の動作速度が25回/分以下であり、非常に動作速度が落ち、製造に問題が生じる。
【0038】
<離型性評価>
押出成形機から排出された帯を渦巻型に打ち抜く際に、金型から円滑に離れ、金型に帯が張り付いていないかを目視で確認し、下記基準に基づき、「◎」、「〇」、「△」、「×」で評価した。なお、「×」の評価のものは、帯の粘着性が高く、成型できない、または、製造能力が落ち、製造に問題のあるものである。
〔評価基準〕
◎:帯の金型への張り付きがまったくない
○:帯の金型への張り付きがほとんどない
△:帯の金型への張り付きが多少あるが、製造に問題はない
×:帯の金型への付着が多く見られ、製造に問題が生じる
【0039】
得られた実施例1〜14、比較例1〜3の渦巻線香について、消炎試験を行った。なお、比較例1の渦巻線香は帯がひび割れした状態で成型したものを使用した。
<消炎試験>
製造した実施例1〜14、比較例1〜3の渦巻線香それぞれを吸湿させ、水分含有率を約8%(市場流通品程度の水分率)に調整した。続いて載置棒に渦巻線香の中央部を挿した状態で、線香の渦巻きの先端にアルコールランプの炎を10秒間近づけ、着火させた。着火後、線香の炎が自然に消えるまでの時間を測定した。なお試験はすべて常温(25℃)で測定し、測定時間の上限は5分間とした。なお、試験はそれぞれ3回(各3巻)行い、結果はその平均値とした。
【0040】
製造適正試験及び消炎試験の結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1の結果から、線香の組成中に、タブ粉10〜50質量%とココナッツ粉9〜30質量%を練合した実施例1〜14の線香(ココナッツ粉/タブ粉の質量比=0.20〜2.90)は全て、自然消炎時間が250秒以下を示し、優れた消炎性が付与されていることがわかった。これに対し、比較例2、3は、消炎時間が300秒を超え、自然消炎性が確認できなかった。また、比較例1は消炎と同時に立ち消えし、燃焼せず、さらに製造適正がいずれの評価項目についても満足できるものではなかった。なお、ココナッツ粉/タブ粉の質量比が1.00〜1.88の線香は、練合物の粘着性が低く、打ち抜き速度、離型性など製造適正にも優れることがわかった。