特許第6285928号(P6285928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サフラン・エアクラフト・エンジンズの特許一覧

特許6285928ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム
<>
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000002
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000003
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000004
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000005
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000006
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000007
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000008
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000009
  • 特許6285928-ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285928
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】ターボ機械部品の製造用であるプリフォームを切断するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/00 20060101AFI20180215BHJP
   B26D 5/32 20060101ALI20180215BHJP
   B26D 5/34 20060101ALI20180215BHJP
   B23K 26/38 20140101ALN20180215BHJP
【FI】
   B26D5/00 F
   B26D5/32
   B26D5/34 Z
   !B23K26/38 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-522141(P2015-522141)
(86)(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公表番号】特表2015-524750(P2015-524750A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】FR2013051558
(87)【国際公開番号】WO2014013157
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】1256870
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルシャル,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】マロル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,クレール
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−112132(JP,A)
【文献】 特開2011−005579(JP,A)
【文献】 特開2003−166165(JP,A)
【文献】 特開平11−229269(JP,A)
【文献】 特開2011−167786(JP,A)
【文献】 特開平06−170787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/00 − 5/34
B23K 26/38 − 26/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械部品の製造用であり、視覚的特定可能糸(3)を含む複数の織り糸(9)の織りを含むプリフォーム(1)を、織り糸(9)が基準レイアウトを有するプリフォームモデルから計算された切断輪郭(5)に従って切断するための方法であって、
プリフォーム(1)の画像を撮影するステップと、
基準レイアウトに対する視覚的特定可能糸(3)のレイアウトにおけるずれを決定するように画像を処理するステップと、
前記ずれに応じて切断輪郭(5)を補正するステップと、
補正済み切断輪郭(13)に従ってプリフォームを切断するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
織り糸(9)が、プリフォーム(1)の縦軸に従って配置された糸と、プリフォーム(1)の横軸に従って配置された糸とを含み、
基準レイアウトは、これら縦糸がこれら横糸に対して直角に配置されたレイアウトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターボ機械部品の製造用であり、視覚的特定可能糸(3)を含む複数の織り糸(9)の織りを含むプリフォーム(1)を切断機(4)によって切断するための方法であって、
前記切断機(4)は、切断輪郭(5)に従ったプリフォーム(1)の切断を行うために調整され、
プリフォーム(1)の画像を撮影するステップと、
プリフォーム(1)の織りにおける少なくとも1つの基準点(8)を特定するように画像を処理するステップであり、前記基準点(8)が、プリフォームにおける2つの視覚的特定可能糸(3)の交点に対応し、切断機(4)は、この基準点(8)の特定からプリフォーム(1)に対する切断機の位置を自動的に補正する、ステップと、
切断輪郭(5)に従ってプリフォーム(1)を切断するステップと、
を含む方法。
【請求項4】
ターボ機械部品の製造用であり、視覚的特定可能糸(3)を含む複数の織り糸(9)の織りを含むプリフォーム(1)を切断機(4)によって切断するための方法であって、
前記切断機(4)は、切断輪郭(5)に従ったプリフォーム(1)の切断を行うために調整され、切断輪郭の形状は、織り糸(9)が基準レイアウトを有すると想定して計算され、
請求項3に記載のステップに従って、プリフォーム(1)に対する切断機(4)の位置決めを自動的に補正するステップと、
請求項1または2のいずれか一項に記載のステップに従って、切断輪郭(5)を補正するステップと、
を含む方法。
【請求項5】
ターボ機械部品を製造するための方法にして、プリフォームはこの部品から切り抜かれる方法であって、このプリフォームの切断は請求項1からのいずれか一項に記載の方法に従って実施され、前記部品は、羽根、ファンプラットフォーム、ウェッジ、ノズル案内羽根、またはプロペラから選択されることを特徴とする、方法。
【請求項6】
プリフォーム(1)の切断システム(12)であって、
プリフォーム(1)の切断機(4)と、
プリフォーム(1)の予備計算済み切断輪郭(5)が記録されたメモリ(13)と、
プリフォーム(1)の撮像装置(10)と、
切断機(4)および撮像装置(10)が請求項1からのいずれか一項に記載の切断方法を実行するように、切断機および撮像装置を制御するように構成された処理ユニット(11)と、
を備えることを特徴とする切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームの切断方法、および切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば複合材で作られたファンブレードなどのいくつかのターボ機械部品はプリフォームから作られることが可能である。
【0003】
このプリフォームは、縦糸および横糸を含む複数の織り糸または繊維の織りを含む。これら2つの群の糸は、プリフォームの構造を保証する構造糸と、他のものから視覚的に特定可能であり少なくともプリフォームの表面に均一に配置されたトレーサ糸とを提供する。
【0004】
このようなプリフォームの製造の一例は、文献欧州特許第1526285号明細書から知られている。
【0005】
プリフォームは、ブレードを構成する部品の形状および寸法に従って切り抜かれ、金型内に載置される。
【0006】
プリフォーム全体に含浸させるために、熱硬化樹脂を含む結合材がその後金型内に注入される。金型の加熱の後、成型品は金型から取り出される。
【0007】
プリフォームの切断ステップは、切断輪郭に従ってプリフォームを切断することを必要とし、したがって、形状は、製造全体にわたって期待されるものに対応する。
【0008】
図1は、縦糸および横糸として分配された織り糸を含むプリフォーム101を示す。これらの織り糸は、構造糸102および視覚的特定可能糸103を含む。
【0009】
予備計算済み切断輪郭105も図示されている。この切断輪郭105は、縦糸および横糸が互いに対して90°で配置されていると想定して計算される。
【0010】
切断段階において、プリフォームはまだ凝固しておらず、したがって可鍛性かつ変形可能であり、このことはプリフォームが織りによって絡まった糸の塊に過ぎないということに起因する。
【0011】
したがって、プリフォームは変形していない、つまり縦糸および横糸は90°とは異なる相対角度を表すことを検証する必要がある。
【0012】
実際には、作業者は、このような変形が存在するか否かを確認するために、視覚的特定可能糸を観察する。変形が存在する場合には、図2に示されているように、縦糸および横糸は作業者によって調整される。
【0013】
以下のステップは、切断機に対してプリフォームを位置決めすることからなる。この操作は、プリフォームが切断機の原点のレベルおよび切断軸に配置されるように、プリフォームを位置決めする作業者によって実施される。
【0014】
この方法およびこの切断システムは、いくつかの不都合を有する。
【0015】
プリフォームの変形の検証ステップは長くて複雑であり、これにより製造時間を増加させ費用を上昇させる。エラーの危険性もある。
【0016】
また、切断機に対してプリフォームを位置決めするためのステップは、製造時間を増加させ、切断における欠陥の危険性を増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許第1526285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記の不都合を排除することを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このために、本発明は、ターボ機械部品の製造用であり、視覚的特定可能糸を含む複数の織り糸の織りを含むプリフォームを、織り糸が基準レイアウトを有するプリフォームモデルから計算された切断輪郭に従って切断する方法であって、
プリフォームの画像を撮影するステップと、
基準レイアウトに対する視覚的特定可能織り糸のレイアウトにおけるずれを決定するように画像を処理するステップと、
前記ずれに応じて切断輪郭を補正するステップと、
補正済み切断輪郭に従ってプリフォームを切断するステップと、
を含む方法を提案する。
【0020】
切断輪郭に従ったプリフォームの切断を行うために調整される切断機において、本発明はまた、
プリフォームの画像を撮影するステップと、
プリフォームの織りにおける少なくとも1つの基準点を特定するように画像を処理するステップと、
切断輪郭に従ったプリフォームの切断を可能にするために、この基準点の特定からプリフォームに対する切断機の位置を自動的に補正するステップと、
切断輪郭に従ってプリフォームを切断するステップと、
を含む。
【0021】
一実施形態および上記の実施形態によれば、第1のステップは、プリフォームに対する切断機の位置決めを自動的に補正するステップからなり、第2のステップは、先に記載された実施形態によれば、織り糸のレイアウトにおけるずれに応じて切断輪郭を補正するステップからなる。
【0022】
一用途において、本発明は、たとえば、プリフォームが切り抜かれるターボ機械ブレードであって、このプリフォームの切断は、先に記載された内容による方法に従って実施されることを特徴とするターボ機械ブレードに関する。
【0023】
本発明は多くの利点を有する。
【0024】
本発明の利点の1つは、切断の品質および精度を改善する解決策を提案することである。
【0025】
本発明の別の利点は、製造時間を削減するより安価な解決策を提案することである。
【0026】
最後に、本発明の別の利点は、製造の標準化を増進させ、製造の標準化がしっかりとかつ再現可能にされることである。
【0027】
本発明の他の特徴、目的、および利点は以下の説明より明らかになり、以下の説明は純粋に例示的かつ非限定的であり、添付の図面と併せて検討されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術によるプリフォームおよび切断輪郭を示す、すでに言及された図である。
図2】従来技術による切断方法を示す、すでに言及された図である。
図3】織機内のプリフォームを示す図である。
図4】基準レイアウトであるレイアウトの織りを有するプリフォーム4を示す図である。
図5】基準であるレイアウトのシステムを示す図である。
図6】本発明による切断方法の第1の実施形態を示す図である。
図7】本発明による切断方法の第1の実施形態を示す図である。
図8】本発明による切断方法の第2の実施形態を示す図である。
図9】本発明による切断方法の第2の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
切り抜かれるプリフォーム
プリフォーム1は、複数の織り糸9の織りを含む。織り糸9は一般的に縦糸および横糸に分割される。
【0030】
図3は、縦方向(矢印x)に従って配向され垂直方向(矢印z)に従って重ね合わされたいくつかの層の上に延在する縦糸と、横方向(矢印y)に従って配向された横糸とが実装されたジャカードタイプの織機を模式的に示す。
【0031】
このタイプの織りは、たとえば文献フランス特許第2861143号明細書から知られている。一実施形態において、織りは三次元である。
【0032】
織り糸9はたとえば、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維、アルミニウム繊維、アラミド繊維、および芳香族ポリアミドの繊維によって形成される群に属する。
【0033】
図4に模式的に示されているように、織り糸9は、プリフォームの構造を織るために使用される構造糸2、および視覚的特定可能糸3を含む。
【0034】
視覚的特定可能糸3は、本質的にプリフォームの表面に位置する糸であり、構造糸2とは異なる色を有して、糸の視覚的特定を可能にする。
【0035】
糸3は、縦糸として(縦方向)も横糸として(横方向)も配置される。
【0036】
一実施形態において、三次元織り用の構造糸2は炭素繊維であり、視覚的特定可能糸3はガラス繊維またはケブラーから形成される。
【0037】
このようにして、視覚的特定可能糸3は、黒いプリフォームの残部の上で白い色に見え、したがって可視のものである。
【0038】
切断システム
プリフォームの切断は特に、図5に模式的に示されている切断システム12内で行われることが可能である。
【0039】
切断システム12は切断機4を備える。様々な切断機技術が使用できる:水ジェット切断、および/または機械的手段によって、および/またはレーザ切断によってなどである。
【0040】
切断機4は従来のように、切り抜かれるプリフォームを受容および保持するための手段を備える。
【0041】
切断システム12はまた、特に切断機4によって使用されることになる予備計算済み切断輪郭を記憶するためのメモリ13を備える。
【0042】
システム12は、1つ以上の画像を撮影するように構成された撮像装置10を備える。この撮像装置10はたとえば、フォトタイプまたはカメラタイプである。
【0043】
最後に、切断システム12は、以下に記載される切断方法の実施形態を実行するために切断機および撮像装置を制御するように構成された処理ユニット11を備える。処理ユニット11は典型的には、1つ以上の処理プログラムに結合されたプロセッサである。
【0044】
必要であれば、システム12は、スクリーンタイプの表示手段、および作業者によるインタラクション手段(キーボード、コンソールなど)を備える。
【0045】
切断方法
第1の実施形態
プリフォームは切り抜かれなければならない。この切断は一般的に、切断システム12内の切断機4によって行われる。
【0046】
切断機4は従来のように、切断輪郭5に従った切断を行うために調整される。この輪郭は、二次元表面の輪郭であるが、二次元表面の輪郭は、一般的に三次元であるプリフォームの切断を可能にする。
【0047】
この切断輪郭5は、プリフォームから構築されるように意図された構造にとって好適な最終形態に応じて、シミュレーションによって予備計算され、切断システム12のメモリ13内に記録される。
【0048】
この切断輪郭5は特に、織り糸が基準レイアウトを表すプリフォームモデルから予備計算される。
【0049】
この輪郭を計算するためのシミュレーションの間、織り糸が基準レイアウトを有するプリフォームモデルが使用される。この基準レイアウトは、たとえば図1に示されているように、プリフォームの縦軸に従って配置された糸(縦糸)、およびプリフォームの横軸に従って配置された糸(横糸)が互いに直角に配置されているのに対応する。この基準レイアウトにおいて、視覚的特定可能糸3は曲線を有さず、直線的である。
【0050】
プリフォーム1は変形可能であるので、この基準レイアウトは、切断ステップを進める時間の間、必ずしも保存されているのではない。
【0051】
第1のステップによれば、プリフォーム1の画像が撮影される。この画像は、切断システムの撮像装置10によって撮影される。一般的に、これは少なくともプリフォーム1の上面を含む画像である。
【0052】
撮像装置10がプリフォーム1の画像をいくつか撮影することも可能であるが、これは必須ではない。
【0053】
一実施形態において、撮像装置10は、プリフォームに向かって配向された照明具14によって完備され、照明具は後の処理のために画像の品質およびコントラストを改善する。
【0054】
画像はその後、基準レイアウトに対する織り糸のレイアウトにおけるずれを決定するように処理される。
【0055】
この処理は、システム12の処理ユニット11によって、および/または任意の知られている通信手段によりシステム12と通信する外部処理ユニットによって実施される。
【0056】
処理の間、プリフォーム1の画像は、プリフォーム1の織り糸が基準レイアウトを有する基準画像(プリフォームモデルの画像)と比較される。
【0057】
特に、処理ユニットはまず画像内で、視覚的特定可能糸3を画像処理によって特定する。これらの糸3の特定の後、これらの糸3のレイアウトは、主にプリフォーム1の縦軸に従って配置された糸3の配向を、主にプリフォーム1の横軸に従って配置された糸3と比較することによって決定される。このレイアウトはその後、レイアウトにおけるずれを決定するために、基準レイアウトと比較される。
【0058】
たとえば、図6に示されているように、処理ユニットは、横軸に従って配置された糸3が縦軸に従って配置された糸3との角度が90°とは異なることを表し、このことは基準レイアウトと一致しないと決定する。
【0059】
レイアウトにおけるずれはたとえば、視覚的特定可能糸3について、一連のずれの角度によって特徴付けられる。
【0060】
次のステップは、前記ずれに応じて切断輪郭5を補正することからなる。
【0061】
図6に示されているように、予備計算されメモリ13内に記録された切断輪郭5は、プリフォーム1の変形を考慮に入れて、補正済み切断輪郭13を与えるために補正される。
【0062】
一実施形態において、補正済み切断輪郭13は以下のように計算される。
【0063】
処理ユニット11は:
織り糸9が基準レイアウトを有するプリフォームの画像と、
撮像装置10によって撮影されたプリフォームの画像と
を重ね合わせる。
【0064】
処理ユニット11は、装置10によって撮影された画像の場合の視覚的特定可能糸3の交点の相対位置を、基準レイアウトにおける視覚的特定可能糸3の交点の相対位置と比較する。
【0065】
また、処理ユニット11はまた:
基準レイアウトを示す視覚的特定可能糸3と切断輪郭5との間の交点の位置を、
撮影された画像の視覚的特定可能糸3と切断輪郭5との間の交点の位置と
比較する。
【0066】
処理ユニット11が間隙の存在を検出した場合、補正済み切断輪郭5は、切断輪郭13を与えるためにこれらの間隙の値に従って修正および平滑化される。
【0067】
必要であれば先の実施形態と組み合わせて実施されることが可能である一実施形態において、処理ユニット11は、プリフォームの画像から、1つ以上の視覚的特定可能糸3の曲線を決定する。実際、糸は変形可能であり、直線的であることができない。
【0068】
処理ユニットは、事前に予備調整された、完成要素による計算においてこの曲線を実施し、これが基準レイアウトに対するプリフォームの完全なずれを決定する。糸3の曲線は特に、基準レイアウトの理論曲線と比較される。
【0069】
使用されるアルゴリズムは従来技術から知られており、特に切断輪郭5の計算にすでに使用されている(これはたとえばフィッシュネットアルゴリズムである)。
【0070】
計算は、20秒程度である。
【0071】
したがって、糸が変形していると仮定すると、輪郭はこの変形に適応するように変形させられる。
【0072】
補正済み切断輪郭13のため、プリフォームが切断前に作業者によって手動で調整されたかのように同じ切断が結果として生じる。
【0073】
特に、糸と輪郭との間の同じ相対位置決めが得られる。
【0074】
これは、作業者とは無関係に、方法の再現性を生み出す。
【0075】
後のステップにおいて、プリフォーム1は、図7に模式的に示されているように、補正済み切断輪郭13に従って切り抜かれる。このステップは一般的に切断機4によって実施される。処理ユニット11はたとえば、切断機4がこの輪郭13に従ってプリフォームを切り抜くように、切断機を制御することができる。適切であれば、ステップはこの補正済み切断輪郭13に基づいて手動切断手段によって実施されることが可能である。
【0076】
第2の実施形態
この実施形態において、プリフォーム1は、切断システム12内の切断機4によって切り抜かれなければならない。
【0077】
切断機4は、たとえば第1の実施形態において記載されたタイプの予備計算済み切断輪郭5に従ったプリフォーム1の切断を行うために調整される。
【0078】
図8に模式的に示されているように、第1のステップは、切断機4内に配置されたプリフォーム1の画像を撮影することからなる。このステップは、第1の実施形態を参照して記載された画像の撮影と同一である。
【0079】
第2のステップは、プリフォーム1の織りにおける少なくとも1つの基準点8を決定するために、画像を処理することからなる。基準点8は、位置決めのためにプリフォーム1の織りにおける基準点に対応する、画像内で特定可能な点である。
【0080】
一実施形態において、基準点8は、視覚的特定可能糸3の交点に対応する。
【0081】
基準点8はたとえば、プリフォームの縦軸に従った視覚的特定可能糸3と、プリフォームの横軸に従った視覚的特定可能糸3との交点である。横軸に従った視覚的特定可能糸3は、一実施形態において、プリフォーム1の先端の側に配置された糸である。
【0082】
一旦この基準点8が特定されると、処理ユニット11の制御下にある切断機4は、予備計算済み切断輪郭5に従ったプリフォームの切断を可能にするために、プリフォーム1に対する切断機の位置決めを自動的に補正する。
【0083】
このように、切断機4は、基準点8の特定によって、切断機の切断軸をプリフォーム1と位置合わせする。
【0084】
一実施形態において、処理ユニット11は、予備計算済み切断輪郭5とともに予備記録されている機械4の基準点の位置をプリフォーム1の基準点8の位置と比較し、これによって切断機4内のプリフォーム1の位置を、プリフォームを切り抜くために機械4がそれを用いて調整されている切断輪郭5と位置合わせする。
【0085】
したがってプリフォーム1に対する切断機4の相対位置決めは、作業者がプリフォーム1を位置決めする必要性を伴わずに、自動的になされる。
【0086】
プリフォーム1に対する切断機4の相対位置決めの自動補正の後、プリフォーム1は予備計算済み切断輪郭5に従って切り抜かれる。
【0087】
第3の実施形態
この実施形態において、第1および第2の実施形態が実施される。
【0088】
切断機4は、織り糸9が基準レイアウトを表すプリフォームモデルからの予備計算済み切断輪郭5に従ったプリフォーム1の切断を行うために調整される。
【0089】
プリフォーム1が切断機4内に載置された後、プリフォーム1の画像が撮像装置10によって撮影される。
【0090】
第1のステップは、プリフォーム1に対する切断機4の位置決めを自動的に補正することからなる。
【0091】
このステップは、プリフォーム1の基準点8が画像内で特定されてプリフォーム1に対する切断機4の相対位置決めの自動補正を可能にする第2の実施形態に従って行われる。特に、機械4の基準点は、プリフォーム1の織りにおいて特定された基準点8と位置合わせされる。
【0092】
プリフォーム1の画像はまた、予備計算済み切断輪郭5を補正するために第1の実施形態に従って処理される。したがって、上記で説明されたように、織り糸3のレイアウトにおけるずれは、前記ずれに応じて切断輪郭5を補正するために、基準レイアウトに対して決定される。
【0093】
後のステップにおいて、機械4は補正済み切断輪郭13に従ってプリフォーム1を切り抜く。
【0094】
この実施形態において、切断を可能にするステップは自動化され、作業者はプリフォームの再位置決めまたはプリフォームのレイアウトの補正を行う必要がない。
【0095】
製造の例
一用途において、方法の実施形態のうちの1つは、ターボ機械ブレードを製造するための方法において実行される。
【0096】
このブレードのプリフォームは、ブレードを構成する部品の形状および寸法を有するように、先に記載された方法の実施形態に従って切り抜かれる。
【0097】
プリフォームはその後、金型内に載置される。
【0098】
知られているように、プリフォーム全体に含浸させるために、熱硬化樹脂を含む結合材が金型内に注入される。金型の加熱の後、成型品は金型から取り出される。成型品は機械加工されて、成型品にその最終的な形状を与え、結果としてブレードとなる。
【0099】
切断方法および製造方法は、平織りされ切断を必要とする異なる織りのプリフォームに適用される。これらはたとえば以下の部品である:ファンブレード(ファン)、ファンプラットフォーム(ファン)、ウェッジ(ファンブレードのウェッジはファンディスク内のブレードの根元部の下に収容された部品である)、OGV(出口案内羽根)、プロペラ、特にオープンロータとして知られているもの、および技術試験に使用される様々な部品。
【0100】
一般的に、提案された解決策は、切断の品質および精度を改善する。また、提案された解決策は製造時間を削減し、したがってより安価である。
【0101】
最後に、プリフォームの自動化処理は製造の標準化を高め、製造の標準化はしっかりとかつ再現可能にされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9