(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ブーム、旋回体、又は走行体を含む第一作動部、及びアーム、バケット、又はエンジンアシスト用油圧モータを含む第二作動部が作動液体によって駆動される建設機械のエネルギ回生装置において、
前記建設機械に設けられ、上下方向に移動可能な可動ウエイトと、
前記ブームが重力方向に移動するときのエネルギによって、前記可動ウエイトを上方向に移動させ、この可動ウエイトの位置エネルギを前記旋回体、前記走行体又は前記第二作動部を駆動するためのエネルギとして利用する力伝達用液圧回路と、
前記ブームの回路と前記可動ウエイトの回路とを連通させるとともに、前記旋回体、前記走行体、又は前記第二作動部の回路と前記可動ウエイトの回路とを連通させる連通路と、
前記連通路に設けられ、当該連通路内の作動液体の流れの方向を切り換える切換弁と、を備え、
前記ブームが重力方向に移動するときに、前記切換弁が第一位置側に切り換り、作動液体が前記連通路及び前記切換弁を通って、前記可動ウエイトを上方向に移動させ、更に、
前記可動ウエイトが重力方向に移動するときに、前記切換弁が第二位置側に切り換り、作動液体が前記連通路及び前記切換弁を通って、前記旋回体、前記走行体又は前記第二作動部を駆動することを特徴とする建設機械用エネルギ回生装置。
前記可動ウエイト及び前記力伝達用液圧回路の一部は、前記建設機械のカウンタウエイトとしての機能を有し、前記可動ウエイト及び前記力伝達用液圧回路の一部の合計質量は、前記建設機械に必要とされるカウンタウエイトの質量と略同一であることを特徴とする請求項1に記載の建設機械用エネルギ回生装置。
ブーム、旋回体、又は走行体を含む第一作動部、及びアーム、バケット、又はエンジンアシスト用油圧モータを含む第二作動部が作動液体によって駆動される建設機械のエネルギ回生装置において、
前記建設機械に設けられ、上下方向に移動可能な可動ウエイトと、
前記ブーム、アーム、若しくはバケットが重力方向に移動するときのエネルギによって、又は前記旋回体若しくは走行体が制動するときのエネルギによって、前記可動ウエイトを上方向に移動させ、この可動ウエイトの位置エネルギを前記第一作動部又は第二作動部を駆動するためのエネルギとして利用する力伝達用液圧回路とを備え、
前記可動ウエイトは、所定の支点部で支持され当該支点部を中心にして液圧シリンダによって上下方向に揺動可能に設けられ、
前記液圧シリンダは、リフト用シリンダとアシスト用シリンダを有し、
前記リフト用シリンダ及びアシスト用シリンダが前記可動ウエイトに連結するそれぞれの連結部と前記支点部との間の距離は、リフト用シリンダの距離の方がアシスト用シリンダの距離よりも大きく設定され、
前記力伝達用液圧回路は、前記ブームが重力方向に移動するとき、又は前記旋回体若しくは走行体が制動するときに前記リフト用シリンダを作動させることによって前記可動ウエイトを上方向に揺動させ、且つ、前記可動ウエイトが下方向に揺動するときに前記アシスト用シリンダを作動させることによって前記第一作動部又は第二作動部を駆動する、建設機械用エネルギ回生装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の油圧ショベルでは、回生電力を蓄積して、この蓄積された回生電力を旋回体の旋回時に利用するための設備として、蓄電器及びインバータが必要であるので、その分の費用が嵩むし、故障する可能性が高く、しかも、嵩が大きくなり、重量も増加するという問題がある。更に、旋回体の力学的エネルギを電気エネルギに変換して一旦蓄積した後、再度力学的エネルギに変換するという多くの工程を経るので、全体としてエネルギ回生率があまり高くないという問題もある。また、上記従来の油圧ショベルでは、旋回以外の動作(ブーム下げ、アーム引き、又は、バケット引き)については位置エネルギを回生することができなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、蓄電器及びインバータを不要とすることによって、その分の費用が掛からず低廉であり故障が少なく、しかも、嵩張らず重量の増加を抑制することができる建設機械用エネルギ回生装置及びそれを備える建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る建設機械のエネルギ回生装置は、ブーム、旋回体、又は走行体を含む第一作動部、及びアーム、バケット、又はエンジンアシスト用油圧モータを含む第二作動部が作動液体によって駆動される建設機械のエネルギ回生装置において、前記建設機械に設けられ、上下方向に移動可能な可動ウエイトと、前記ブーム、アーム、若しくはバケットが重力方向に移動するときのエネルギによって、又は前記旋回体若しくは走行体が制動するときのエネルギによって、前記可動ウエイトを上方向に移動させ、この可動ウエイトの位置エネルギを前記第一作動部又は第二作動部を駆動するためのエネルギとして利用する力伝達用液圧回路とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置によると、ブーム等が重力方向に移動するとき、又は旋回体等が制動されるときのエネルギによって、可動ウエイトを上方向に移動(揺動を含む)させることができる。これによって、ブーム等の位置エネルギや旋回体等の運動エネルギを可動ウエイトの位置エネルギとして蓄積することができる。
【0009】
そしてこの可動ウエイトの位置エネルギを利用してブームや旋回体等を駆動することができる。
【0010】
このように、ブーム等の位置エネルギや旋回体等の運動エネルギを可動ウエイトの位置エネルギとして蓄積し、これを利用することができるので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることが可能である。
【0011】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記第一作動部又は前記第二作動部の回路と前記可動ウエイトの回路とを互いに連通させる連通路と、前記連通路に設けられ、当該連通路内の作動液体の流れの方向を切り換える切換弁とを有し、前記ブーム、アーム、若しくはバケットが重力方向に移動するとき、又は前記旋回体若しくは走行体が制動するときに、前記切換弁が第一位置側に切り換り、作動液体が前記連通路及び前記切換弁を通って、前記可動ウエイトを上方向に移動させ、更に、前記可動ウエイトが重力方向に移動するときに、前記切換弁が第二位置側に切り換り、作動液体が前記連通路及び前記切換弁を通って、前記第一作動部又は第二作動部を駆動する構成とするとよい。
【0012】
この力伝達用液圧回路によると、第一作動部又は第二作動部の回路と可動ウエイトの回路とを互いに連通させる連通路上に、連通路内の作動液体の流れの方向を切り換える切換弁が設けられることによって、第一作動部又は第二作動部の位置エネルギ又は運動エネルギを回生して、第一作動部又は第二作動部を駆動するために利用することができる。
【0013】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記可動ウエイト及び前記力伝達用液圧回路の一部は、前記建設機械のカウンタウエイトとしての機能を有し、前記可動ウエイト及び前記力伝達用液圧回路の一部の合計質量は、前記建設機械に必要とされるカウンタウエイトの質量と略同一である構成とするとよい。
【0014】
このようにすると、エネルギ回生装置を油圧ショベルに設けても、この油圧ショベルの全体の質量が、エネルギ回生装置が設けられていない油圧ショベルの全体の質量よりも増加しないように製作することが可能である。よって、作動部である旋回体又は走行体を作動させるための動力の増加及び燃料消費量の増加を防ぐことができ、その結果、より効果的にエネルギを回生して利用することができる。
【0015】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記可動ウエイトは、所定の支点部で支持され当該支点部を中心にして液圧シリンダによって上下方向に揺動可能に設けられているとよい。
【0016】
この様にすると、以下のような技術的作用効果を奏する。例えば可動ウエイトについて大きな位置エネルギを確保するためには、可動ウエイトの上下方向の移動距離を大きくすることが必要であり、そのためには、液圧シリンダのストロークを大きくする必要がある。しかし、液圧シリンダの構造上、そのストロークは、或る程度小さい方が安定した動作が得られ、望ましいとされている。よって、可動ウエイトを支点部を中心にして上下方向に揺動可能に設け、液圧シリンダが可動ウエイトに連結する連結部と支点部との間の距離が短くなるように適切に設定することによって、可動ウエイトの重心の上下方向の移動距離を比較的大きくすることができ、しかも、可動ウエイトを上下方向に所定の角度だけ揺動させるための液圧シリンダのストロークが比較的小さくなるように設定することができる。
【0017】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記可動ウエイトは、直線方向に移動可能に設けられているものとするとよい。
【0018】
このようにすると、構造が簡単で故障が少なく、低廉な建設機械用エネルギ回生装置を提供することができる。
【0019】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記可動ウエイトは、所定の支点部で支持され当該支点部を中心にして液圧シリンダによって上下方向に揺動可能に設けられ、前記液圧シリンダは、リフト用シリンダとアシスト用シリンダを有し、前記リフト用シリンダ及びアシスト用シリンダが前記可動ウエイトに連結するそれぞれの連結部と前記支点部との間の距離は、リフト用シリンダの距離の方がアシスト用シリンダの距離よりも大きく設定され、前記力伝達用液圧回路は、前記ブームが重力方向に移動するとき、又は前記旋回体若しくは走行体が制動するときに前記リフト用シリンダを作動させることによって前記可動ウエイトを上方向に揺動させ、且つ、前記可動ウエイトが下方向に揺動するときに前記アシスト用シリンダを作動させることによって前記第一作動部又は第二作動部を駆動するように構成されているとよい。
【0020】
この様にすると、以下のような技術的作用効果を奏する。リフト用シリンダとアシスト用シリンダが可動ウエイトに連結するそれぞれの連結部と支点部との間の距離について、リフト用シリンダの距離の方がアシスト用シリンダの距離よりも大きく設定されている。このため、可動ウエイトを上昇させるためにリフト用シリンダへ供給される圧力よりも、可動ウエイトが下降するときのアシスト用シリンダから吐出される圧力の方を高くすることができる。したがって、第一作動部又は第二作動部を駆動するための作動液体の圧力を高くすることができ、可動ウエイトの位置エネルギを利用する圧力範囲を大きくすることができる。
【0021】
この発明に係る建設機械用エネルギ回生装置において、前記切換弁のパイロットポートへパイロット圧液を供給する電磁パイロット弁と、前記第一作動部又は前記第二作動部へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するコントロール弁と、前記コントロール弁のパイロットポートへとパイロット圧液を供給するリモートコントロール弁と、前記第一作動部若しくは前記第二作動部における作動液体の供給圧及び排出圧を計測し、又は前記リモートコントロール弁の出力圧を計測し、各圧力信号を生成する圧力センサと、前記各圧力信号が入力される制御装置であって、前記各圧力信号に基づいて前記電磁パイロット弁に指令信号を送信する制御装置と、を備えるように構成されているものとするとよい。
【0022】
このように、ブームや旋回体等を操作するためのリモートコントロール弁の操作量及びブームや旋回体等における作動液体の給排圧に基づいて、制御装置が電磁パイロット弁を介して切換弁の開口制御を行うため、ブームや旋回体等の位置エネルギ又は運動エネルギを効率的に可動ウエイトの位置エネルギとして回生できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る建設機械用エネルギ回生装置によると、作動部の位置エネルギや慣性力に基づく運動エネルギを回生して、作動部を駆動するために利用することができる構成としたので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることができる。
【0024】
そして、本発明に係る建設機械用エネルギ回生装置によると、作動部の位置エネルギや慣性力に基づく運動エネルギを回生するための例えば蓄電器及びインバータを不要とすることができるので、その分の費用が掛からず低廉であり故障が少なく、しかも、嵩張らず、建設機械の重量の増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る建設機械用エネルギ回生装置の第1実施形態を、
図1〜図
7を参照して説明する。この建設機械用エネルギ回生装置11は、例えば
図1及び
図2に示すブーム12、旋回体13、及び走行体14を含む作動部が
図3に示す油圧ポンプ28(駆動部)から吐出される作動液体によって駆動される油圧ショベル15等の建設機械に設けられ、上下方向に移動可能な可動ウエイト16と、力伝達用液圧回路17A(
図3参照)とを備えている。
【0027】
本明細書では、ブーム12、旋回体13、又は走行体14を第一作動部と言い、アーム19、バケット20、又はエンジンアシスト用油圧モータ52(
図9参照)を第二作動部と言う。
【0028】
そして、
図3に示すこの力伝達用液圧回路17Aは、例えばブーム12、アーム19、若しくはバケット20が重力方向に移動するときのエネルギによって、又は旋回体13若しくは走行体14が制動するときのエネルギによって、可動ウエイト16を上方向に移動させ、この可動ウエイト16の位置エネルギを、ブーム12等の第一作動部又はアーム19等の第二作動部を駆動するためのエネルギとして利用する構成としたものである。
【0029】
図1に示す油圧ショベル15は、走行体14の上に旋回機構18を介して旋回体13が旋回自在に載置されている。旋回体13にはその前方中央部にブーム12が俯仰可能に取り付けられている。更に、ブーム12の先端部にアーム19が鉛直面内で回動自在に取り付けられ、該アーム19の先端部にバケット20が鉛直面内で回動自在に取り付けられている。
【0030】
図2は、油圧ショベル15の旋回体13の後部に設けられている可動ウエイト16を誇張して示す模式図である。この可動ウエイト16は、ブーム12等の重力を位置エネルギとして蓄積することができる機能と、油圧ショベル15のカウンタウエイトとしての機能を果たすものである。
【0031】
つまり、可動ウエイト16及び力伝達用液圧回路17Aの一部は、油圧ショベル15のカウンタウエイトとしての機能を有し、可動ウエイト16及び力伝達用液圧回路17Aの一部の合計質量は、油圧ショベル15に必要とされるカウンタウエイトの質量と略同一に設定されている。
【0032】
図2に示す可動ウエイト16は、従来のカウンタウエイトと同等の形状及び材質であり、旋回体13の後部であって、旋回機構18を基準にしてブーム12側と反対側の部分に設けられている。そして、この可動ウエイト16は、案内部25に沿って上下直線方向に移動可能に設けられ、この可動ウエイト16の下部には、ウエイト用油圧シリンダ21が設けられている。
【0033】
ウエイト用油圧シリンダ21は、可動ウエイト16を上下直線方向に移動可能に支持するものであり、可動ウエイト16の下部と、旋回体13のフレーム部13aとの間に設けられている。このウエイト用油圧シリンダ21は、そのシリンダ部21aの基端部が旋回体13のフレーム部13aに固定して取り付けられ、そのピストンロッド21bの先端部が、可動ウエイト16の下部と連結部26を介して揺動自在に互いに連結している。
【0034】
図3は、油圧ショベル15の力伝達用液圧回路17Aを含む油圧回路27を示し、この油圧回路27は、連通路22(22a、22b、22c)と、ウエイト用切換弁24とを有している。なお、
図3では、ブーム12及びアーム19以外の回路を省略している。
【0035】
連通路22は、ブーム用連通路53(53a、53b)やアーム用連通路54(54a、54b)を含む第一作動部及び第二作動部の回路と可動ウエイト用連通路55(55a、55b)とを互いに連通させる連通路である。
【0036】
ウエイト用切換弁24は、連通路22に接続し、当該連通路22内の作動液体の流れの方向を切り換えるためのものである。
【0037】
このウエイト用切換弁24は、ブーム12、アーム19、若しくはバケット20が重力方向に移動するとき、又は旋回体13若しくは走行体14が制動されるときに、このウエイト用切換弁24が第一位置(ロ)側に切り換り、作動液体が連通路22及びウエイト用切換弁24を通って、可動ウエイト16を上方向に移動させことができる。
【0038】
そして、このウエイト用切換弁24は、可動ウエイト16が重力方向に移動するときに、このウエイト用切換弁24が第二位置(ハ)側に切り換り、作動液体が連通路22及びウエイト用切換弁24を通って、ブーム12を含む第一作動部又はアーム19を含む第二作動部を駆動することができる。
【0039】
つまり、例えば
図3に示すウエイト用切換弁24のポートA、Bは、ウエイト用油圧シリンダ21のヘッド側ポートとロッド側ポートと可動ウエイト用連通路55a、55bを介して接続している。そして、ウエイト用切換弁24のポートB及びCは、互いに接続している。また、ウエイト用切換弁24のポートTはタンク32と接続し、ポートPは、油圧ポンプ28の吐出口と連通路22を介して接続している。ポートDは、連通路22aを介してアーム用連通路54aに接続している。そして、この連通路22aには、逆止弁が設けられている。
【0040】
そして、
図3に示す油圧回路27は、ブーム12を含む第一作動部用のコントロール弁、並びに、アーム19を含む第二作動部用のコントロール弁を備えている。これらコントロール弁は、第一作動部又は第二作動部へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するためのものである。
【0041】
そして、
図3には、さらにアーム用コントロール弁56、及びブーム用コントロール弁57を示す。
【0042】
アーム用コントロール弁56は、アーム用油圧シリンダ37へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するためのものである。このアーム用コントロール弁56のポートA、Bは、アーム用油圧シリンダ37の2つの各ポート(ロッド側とヘッド側)とアーム用連通路54a及び54bを介して接続している。そして、アーム用コントロール弁56のポートTは、タンク32とタンク用連通路60を介して接続し、アーム用コントロール弁56のポートPは、油圧ポンプ28の吐出口とポンプ用連通路61を介して接続している。
【0043】
ブーム用コントロール弁57は、ブーム用油圧シリンダ39へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するためのものである。このブーム用コントロール弁57のポートA、Bは、ブーム用油圧シリンダ39の2つの各ポート(ロッド側とヘッド側)とブーム用連通路53a及び53bを介して接続している。そして、ブーム用コントロール弁57のポートTは、タンク32とタンク用連通路62を介して接続し、ブーム用コントロール弁57のポートPは、油圧ポンプ28の吐出口とポンプ用連通路63を介して接続している。
【0044】
図3に示すリモートコントロール弁(以下、単に「リモコン弁」と言う。)は、上記各コントロール弁のパイロットポートへとパイロット圧液を供給するためのものである。
【0045】
ただし、
図3には、アーム用リモコン弁64、及びブーム用リモコン弁65を示す。
【0046】
アーム用リモコン弁64は、操縦者に操作されて、アーム用コントロール弁56のパイロットポートX、Yへとパイロット圧液を連通路64b、64aを介して供給するためのものである。
【0047】
ブーム用リモコン弁65は、操縦者に操作されて、ブーム用コントロール弁57のパイロットポートX、Yへとパイロット圧液を連通路65b、65aを介して供給するためのものである。
【0048】
第1〜第10圧力センサPS1〜PS10は、第一作動部若しくは第二作動部における作動液体の供給圧及び排出圧を計測し、更に、リモコン弁の出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。ただし、
図3には、第1〜第6圧力センサPS1〜PS6を示す。
【0049】
第1及び第2圧力センサPS1、PS2は、ブーム用リモコン弁65の各連通路65a、65bに現れる出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。
【0050】
第3及び第4圧力センサPS3、PS4は、アーム用リモコン弁64の各連通路64a、64bに現れる出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。
【0051】
第5及び第6圧力センサPS5、PS6は、ブーム用油圧シリンダ39に接続するブーム用連通路53b、53aに現れる出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。
【0052】
更に、
図3に示す油圧回路27は、
図4に示す制御回路70を更に備えている。この
図4に示す制御回路70は、第1及び第2電磁パイロット弁71、72、及び制御装置73を備えている。
【0053】
図4に示す第1電磁パイロット弁71は、
図3に示すウエイト用切換弁24のパイロットポートPiaへとパイロット圧液を第1信号線71aに流れる電流に応じて供給するためのものである。このパイロット圧液の圧源は、制御用油圧ポンプ74から吐出された液圧による。
【0054】
第2電磁パイロット弁72は、
図3に示すウエイト用切換弁24のパイロットポートPibへとパイロット圧液を第2信号線72aに流れる電流に応じて供給するためのものである。このパイロット圧液の圧源は、制御用油圧ポンプ74から吐出された液圧による。
【0055】
制御装置73は、第1〜第10圧力センサPS1〜PS10が出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第1及び第2電磁パイロット弁71、72に指令電気信号を送信するためのものである。
【0056】
次に、
図5〜図
7を参照して、建設機械用エネルギ回生装置11の作用を説明する。
図5は、
図3及び
図4に示す油圧ショベル15の油圧回路27及び制御回路70において、ブーム12の上げ動作の状態を示す図である。操縦者が、ブーム用リモコン弁65を操作して、ブーム12の上げ動作を指示すると、ブーム用コントロール弁57のスプールが位置(ハ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線で示すように、ブーム用油圧シリンダ39に供給され、ブーム12を所望の高さに上昇させることができる。
【0057】
このとき、油圧ポンプ28から吐出された圧油は、ウエイト用切換弁24にも供給されるが、ポートPが閉じられているので、圧油は、ウエイト用油圧シリンダ21には供給されず、可動ウエイト16は、昇降せずに停止したままである。
【0058】
図6は、
図3及び
図4に示す油圧回路27及び制御回路70において、ブーム12の下げ動作時にエネルギを回生する状態を示す図である。操縦者が、ブーム用リモコン弁65を操作して、ブーム12の下げ動作を指示すると、ブーム用コントロール弁57のスプールが位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線で示すように、ブーム用油圧シリンダ39に供給され、ブーム12を所望の高さに下降させることができる。このとき、ブーム用油圧シリンダ39から排出された圧油は、ウエイト用切換弁24に供給される。
【0059】
そして、制御装置73は、第5、第6圧力センサPS5、PS6が出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第2電磁パイロット弁72に指令電気信号を送信する。これによって、ウエイト用切換弁24のスプールが位置(ロ)に切り換わり、ブーム用油圧シリンダ39から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24を通ってウエイト用油圧シリンダ21に供給され、可動ウエイト16を上昇させることができる。
【0060】
そしてこのとき、ブーム12を操作するためのブーム用リモコン弁65の操作量及びブーム12における作動液体の給排圧(第5、第6圧力センサPS5、PS6の圧力電気信号)に基づいて、制御装置73が第2電磁パイロット弁72を介してウエイト用切換弁24の開口制御を行うため、ブーム12の位置エネルギを効率的に可動ウエイト16の位置エネルギとして回生できる。
【0061】
ただし、
図6では、ブーム12の位置エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして回生する例を挙げて説明したが、これに代えて、図には示さないが、アーム19やバケット20等の位置エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして回生することもできる。
【0062】
図7は、
図3及び
図4に示す油圧回路27及び制御回路70において、回生エネルギをアーム19の押し動作に利用する状態を示す図である。操縦者が、アーム用リモコン弁64を操作して、アーム19の押し動作を指示すると、アーム用コントロール弁56のスプールが位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線及び太い
二点鎖線で示すように、アーム用油圧シリンダ37に供給され、アーム19を押し方向に揺動させることができる。
【0063】
このとき、制御装置73は、アーム用油圧シリンダ37に接続する図示しない圧力センサが出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第1電磁パイロット弁71に指令電気信号を送信する。これによって、ウエイト用切換弁24のスプールが位置(ハ)に切り換わり、ウエイト用油圧シリンダ21から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24を通ってアーム用油圧シリンダ37に供給され、アーム19を押し方向に揺動させることができる。このようにして、回生エネルギをアーム19の押し動作に利用することができる。
【0064】
つまり、
図6に示すように、ブーム12が重力方向に移動するとき(下げ動作のとき)のエネルギによって、可動ウエイト16を上方向に移動させることができる。これによって、ブーム12の位置エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして蓄積することができる。
【0065】
そして、
図7に示すように、この可動ウエイト16の位置エネルギを利用してアーム19を押し方向に駆動することができる。
【0066】
このように、ブーム12の位置エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして蓄積し、これを利用することができるので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることが可能である。
【0067】
また、
図2に示すように、可動ウエイト16は、油圧ショベル15等の建設機械のカウンタウエイトとしての機能を有し、この可動ウエイト16及び力伝達用液圧回路17A(後述する第3及び第4実施形態では17B,17C)の一部の合計質量は、建設機械に必要とされるカウンタウエイトの質量と略同一である構成としている。
【0068】
このようにすると、エネルギ回生装置11を油圧ショベル15に設けても、この油圧ショベル15の全体の質量が、エネルギ回生装置11が設けられていない油圧ショベル15の全体の質量よりも増加しないように製作することが可能である。よって、作動部である旋回体13又は走行体14を作動させるための動力の増加及び燃料消費量の増加を防ぐことができ、その結果、より効果的にエネルギを回生して利用することができる。
【0069】
更に、
図2に示すように、可動ウエイト16は、直線方向に移動可能に設けられている。このようにすると、構造が簡単で故障が少なく、低廉な建設機械用エネルギ回生装置11を提供することができる。
【0070】
図8は、本発明の第2実施形態の油圧回路を示し、バケット20の駆動に回生エネルギを利用する形態である。
【0071】
バケット用コントロール弁58は、バケット用油圧シリンダ38へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するためのものである。バケット用コントロール弁58は、上記と同様に、バケット用油圧シリンダ38、タンク32、及び油圧ポンプ28と接続している。
【0072】
また、バケット用リモコン弁66は、バケット用コントロール弁58のパイロットポートX、Yに連通路66b、66aを介して接続している。
【0073】
さらに、
図8に示された第7及び第8圧力センサPS7、PS8は、バケット用リモコン弁66の各連通路66a、66bに現れる出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。
【0074】
図8は、
図3及び
図4に示す油圧回路27及び制御回路70において、回生エネルギをバケット20の押し動作に利用する状態を示す図である。この
図8に示す状態と
図7に示す状態とが相違するところは、
図7に示す状態では、回生エネルギをアーム19の押し動作に利用しているのに対して、
図8に示す状態では、回生エネルギをバケット20の押し動作に利用しているところである。
【0075】
図8は、操縦者が、バケット用リモコン弁66を操作して、バケット20の押し動作を指示すると、バケット用コントロール弁58のスプールが位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線及び太い一点鎖線で示すように、バケット用油圧シリンダ38に供給され、バケット20を押し方向に揺動させることができる。
【0076】
このとき、制御装置73は、
図7に示す場合と同様に作動して、ウエイト用油圧シリンダ21から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24を通ってバケット用油圧シリンダ38に供給され、バケット20を押し方向に揺動させることができる。
【0077】
このようにして、回生エネルギ(可動ウエイト16の位置エネルギ)をバケット20の押し動作に利用することができるので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることが可能である。
【0078】
図9は、第3の実施形態の油圧回路75であり、油圧ショベル15の力伝達用液圧回路17Bを含み、
図3に示す油圧回路27にエンジンアシスト用油圧モータ52用の連通路22aを追加して示したものである。この
図9は、回生エネルギによってエンジンアシスト用油圧モータ52を駆動して、回生エネルギをアーム19の押し動作に利用する状態を示す図である。
【0079】
操縦者が、アーム用リモコン弁64を操作して、アーム19の押し動作を指示すると、アーム用コントロール弁56のスプールが位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線で示すように、アーム用油圧シリンダ37に供給され、アーム19を押し方向に揺動させることができる。
【0080】
このとき、制御装置73は、アーム用油圧シリンダ37に接続する図示しない圧力センサが出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第1電磁パイロット弁71に指令電気信号を送信する。これによって、ウエイト用切換弁24のスプールが位置(ハ)に切り換わり、ウエイト用油圧シリンダ21から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24及び連通路22aを通ってエンジンアシスト用油圧モータ52に供給される。これによって、このアシスト用油圧モータ52が回転すると、このアシスト用油圧モータ52の回転軸と連結する油圧ポンプ28の駆動をアシストすることができる。
【0081】
このようにして、回生エネルギ(可動ウエイト16の位置エネルギ)をアーム19の押し動作に利用することができるので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることが可能である。
【0082】
なお、
図9に示すように、ウエイト用切換弁24のポートDは、アシスト用油圧モータ52の油入口と連通路22aを介して接続している。
【0083】
図10は、第4の実施形態の油圧回路76であり、油圧ショベル15の力伝達用液圧回路17Cを含み、
図3に示す油圧回路27において、ブーム用連通路53a、53bに代えて旋回
体用連通路69a、69bを追加し、さらに旋回
体用連通路69a、69bから流出する油を一方向に導くチェック弁78a、78bを追加して示したものであり、旋回
体用コントロール弁59を示す。
【0084】
旋回体用コントロール弁59は、旋回体用油圧モータ36へと供給される作動液体の圧力及び流量を制御するためのものである。旋回体用コントロール弁59は、上記と同様に、旋回体用油圧モータ36、タンク32、及び油圧ポンプ28と接続している。
【0085】
更に、旋回体用リモコン弁67も、旋回体用コントロール弁59のパイロットポートX、Yに連通路67b、67aを介して接続している。
【0086】
さらに、
図10に示された第9及び第10圧力センサPS9、PS10は、旋回体用リモコン弁67の各連通路67a、67bに現れる出力圧を計測し、各圧力信号を電気信号として生成するためのものである。この
図10は、旋回体13の制動時にエネルギを回生する状態を示す図である。
【0087】
操縦者が、旋回体用リモコン弁67を操作して、例えば逆転方向に回転する旋回体13に制動の指示をすると、旋回体用コントロール弁59のスプールが位置(ロ)から(イ)側に切り換わり、旋回体用油圧モータ36の出口側が旋回体用コントロール弁59でブロックされる。
【0088】
そして、上記動作と並行して、制御装置73は、第9、10圧力センサPS9、PS10が出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第2電磁パイロット弁72に指令電気信号を送信する。これによって、ウエイト用切換弁24のスプールが位置(ロ)に切り換わり、旋回体用油圧モータ36から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24を通ってウエイト用油圧シリンダ21に供給され、可動ウエイト16を上昇させることができる。なお、このとき旋回体用油圧モータ36はタンク32から圧油を吸い込む。
【0089】
このようにして、旋回体13が制動されるときのエネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして蓄積することができる。
【0090】
そしてこのとき、旋回体13を操作するための旋回体用リモコン弁67の操作量や旋回体13における作動液体の給排圧(第9、第10圧力センサPS9、PS10
の信号)に基づいて、制御装置73が第2電磁パイロット弁72を介してウエイト用切換弁24の開口制御を行うため、旋回体13の運動エネルギを効率的に可動ウエイト16の位置エネルギとして回生できる。
【0091】
ただし、
図10では、旋回体13の運動エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして回生する例を挙げて説明したが、これに代えて、図には示さないが、走行体14の運動エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして回生することもできる。
【0092】
なお、
図10に示すように、ウエイト用切換弁24のポートPは、旋回体用油圧モータ36の油の出入口と連通路36aを介して接続している。そして、77は、油圧
モータ36の吐出圧を制御するためのリリーフ弁である。
【0093】
図11は、
図10に示す油圧ショベル15の油圧回路76において、回生エネルギをアーム19の押し動作に利用する状態を示す図である。
【0094】
操縦者が、アーム用リモコン弁64を操作して、アーム19の押し動作を指示すると、アーム用コントロール弁56のスプールが位置(ロ)に切り換わり、油圧ポンプ28から吐出された圧油が、太い実線及び一点鎖線で示すように、アーム用油圧シリンダ37に供給され、アーム19を押し方向に揺動させることができる。
【0095】
このとき、制御装置73は、アーム用油圧シリンダ37に接続する図示しない圧力センサが出力する各圧力電気信号が電気的に入力され、各圧力電気信号に基づいて第1電磁パイロット弁71に指令電気信号を送信する。これによって、ウエイト用切換弁24のスプールが位置(ハ)に切り換わり、ウエイト用油圧シリンダ21から排出された圧油が、太い一点鎖線で示すように、ウエイト用切換弁24及び連通路22a、54aを通ってアーム用油圧シリンダ37に供給される。これによって、このアーム19を押し方向に揺動させることができ、油圧ポンプ28の駆動をアシストすることができる。
【0096】
このようにして、回生エネルギ(可動ウエイト16の位置エネルギ)をアーム19の押し動作に利用することができる。
【0097】
つまり、
図10に示すように、旋回体13が制動されるときの運動エネルギによって、可動ウエイト16を上方向に移動させることができる。これによって、旋回体13の運動エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして蓄積することができる。
【0098】
そしてこの可動ウエイト16の位置エネルギを利用してアーム19を駆動することができる。
【0099】
このように、旋回体13の運動エネルギを可動ウエイト16の位置エネルギとして蓄積し、これを利用することができるので、建設機械の燃料消費量を従来よりも低減させることが可能である。
【0100】
次に、本発明に係る建設機械用エネルギ回生装置の第5実施形態を、
図12を参照して説明する。この
図12に示す第
5実施形態の建設機械用エネルギ回生装置43と、
図2に示す第1実施形態の建設機械用エネルギ回生装置11とが相違するところは、
図2に示す第1実施形態では、可動ウエイト16を案内部25に沿って上下直線方向に移動可能に設けたのに対して、
図12に示す第5実施形態では、可動ウエイト16を所定の支点部44で支持し、当該支点部44を中心にして上下方向に揺動可能に設けたところである。
【0101】
この
図12に示す可動ウエイト16を支持する支点部44は、旋回体13のフレーム部13aに設けられている。また、可動ウエイト16の下部には、ウエイト用油圧シリンダ21が設けられている。
【0102】
ウエイト用油圧シリンダ21は、伸縮動作するときに、可動ウエイト16が支点部44を中心にして上下方向に揺動することができるように設けられている。
【0103】
このウエイト用油圧シリンダ21は、可動ウエイト16の下部と、旋回体13のフレーム部13aとの間に設けられている。そして、そのシリンダ部21aの基端部が旋回体13のフレーム部13aに連結部45を介して揺動自在に互いに連結し、そのピストンロッド21bの先端部が、可動ウエイト16の下部と連結部26を介して揺動自在に互いに連結している。
【0104】
この
図12に示す第5実施形態の建設機械用エネルギ回生装置43によると、以下のような技術的作用効果を奏する。例えば可動ウエイト16について大きな位置エネルギを確保するためには、可動ウエイト16の上下方向の移動距離を大きくすることが必要であり、そのためには、ウエイト用油圧シリンダ21のストロークを大きくする必要がある。しかし、ウエイト用油圧シリンダ21の構造上、そのストロークは、或る程度小さい方が安定した動作が得られ、望ましいとされており、また可動ウエイト16を上下させるときの油圧をある程度高くすることができる。
【0105】
よって、可動ウエイト16を、支点部44を中心にして上下方向に揺動可能に設け、ウエイト用油圧シリンダ21が可動ウエイト16に連結する連結部26と支点部44との間の距離L1が短くなるように適切に設定することによって、可動ウエイト16の重心の上下方向の移動距離を比較的大きくすることができ、しかも、可動ウエイト16を上下方向に所定の角度だけ揺動させるためのウエイト用油圧シリンダ21のストロークが比較的小さくなるように設定することができ、且つ可動ウエイト16を上下させるときの油圧をある程度高くなるように設定することができる。
【0106】
これ以外は、
図2に示す第1実施形態と同等であり、同等部分を同一の図面符号で示し、それらの説明を省略する。
【0107】
次に、本発明に係る建設機械用エネルギ回生装置の第6実施形態を、
図13を参照して説明する。この
図13に示す第6実施形態の建設機械用エネルギ回生装置48と、
図12に示す第5実施形態の建設機械用エネルギ回生装置43とが相違するところは、
図12に示す第5実施形態では、可動ウエイト16と旋回体13のフレーム部13aとの間に1つのウエイト用油圧シリンダ21を設けたのに対して、
図13に示す第6実施形態では、可動ウエイト16と旋回体13のフレーム部13aとの間にリフト用油圧シリンダ(ウエイト用油圧シリンダ)21とアシスト用油圧シリンダ49とを例えば1つずつ合計2つ設けたところである。
【0108】
図13に示す可動ウエイト16は、
図12に示す第5実施形態と同様に、所定の支点部44で支持され、当該支点部44を中心にして上下方向に揺動可能に設けられている。この可動ウエイト16には、リフト用油圧シリンダ21及びアシスト用油圧シリンダ49が2つの各連結部26、50を介して連結している。
【0109】
これらリフト用及びアシスト用油圧シリンダ21、49の各ピストンロッド21b、49bのそれぞれ先端部には、連結部26、50が設けられ、これら各連結部26、50が可動ウエイト16に対して揺動自在に連結している。そして、これら2つの各連結部26、50と支点部44との間のそれぞれの距離L2、L3は、リフト用油圧シリンダ21の距離L2の方がアシスト用油圧シリンダ49の距離L3よりも大きく設定されている。なお、
図13に示すGは、可動ウエイト16の重心位置である。
【0110】
そして、図には示さないが、力伝達用液圧回路は、可動ウエイト16を上方向に揺動させるときにウエイト用油圧シリンダ21に圧油を導いて伸長動作させ、可動ウエイト16が下方向に揺動するときにアシスト用油圧シリンダ49から圧油を吐出させて短縮動作するように構成されている。
【0111】
また、リフト用及びアシスト用油圧シリンダ21、49の各シリンダ部21a、49aの各基端部は、それぞれ連結部45、51を介して揺動自在に旋回体13のフレーム部13aと連結している。
【0112】
このようにリフト用及びアシスト用油圧シリンダ21、49の可動ウエイト16に連結するそれぞれの連結部26、50と支点部44との間の各距離L2、L3について、ウエイト用油圧シリンダ21の距離L2の方をアシスト用油圧シリンダ49の距離L3よりも大きく設定すると、可動ウエイト16を上昇させるためにリフト用油圧シリンダ21へ供給される圧油の圧力よりも、可動ウエイト16が下降するときのアシスト用シリンダ49から吐出される圧油の圧力の方を高くすることができる。したがって、第一作動部又は第二作動部を駆動するための作動液体の圧力を高くすることができ、可動ウエイトの位置エネルギを有効に利用することができる。
【0113】
これ以外は、
図2に示す第1実施形態と同等であり、それらの説明を省略する。
【0114】
ただし、上記実施形態では、本発明を油圧ショベルに適用したが、これ以外の例えばクレーン等の建設機械に適用することができる。
【0115】
そして、上記実施形態では、作動液体として、作動油を例に挙げたが、作動油以外の液体を使用してもよい。
【0116】
また、
図7、
図8、
図9及び
図11では、回生したエネルギをアーム19又はバケット20の駆動に利用した例を示したが、回生したエネルギを例えばブーム12の駆動に利用することも可能である。