特許第6285936号(P6285936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285936
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】配電センタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   H01R13/631
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-531960(P2015-531960)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-531983(P2015-531983A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013058185
(87)【国際公開番号】WO2014046877
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年8月3日
(31)【優先権主張番号】61/702,334
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ジョツウィアック,アンドリュー・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】アイコーン,ダニエル・エス
(72)【発明者】
【氏名】モラレス,ヘスス・エーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,エリック・アー
(72)【発明者】
【氏名】ナネズ,エドゥアード
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0040535(US,A1)
【文献】 米国特許第6824406(US,B1)
【文献】 米国特許第6305957(US,B1)
【文献】 特開2003−031303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629−13/635
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車内で使用するように構成された電気装置(10)であって、
コネクタ本体(14)であって、第2の側壁(34)から離間された第1の側壁(24)と、前記コネクタ本体(14)に強固に係合された導電性の第1の端子と、を有するコネクタ本体(14)と、
ベース(12)であって、前記ベース(12)に強固に係合されるとともに前記第1の端子と電気的に接続するように構成された導電性の第2の端子を有し、前記コネクタ本体(14)に機械的に連結するように構成された第1のスタッド(22)および第2のスタッド(22)を形成し、ワイヤハーネスの対合コネクタに取り付けられるように構成された電気コネクタをさらに有する基部ベース(12)と、
前記第1の側壁(24)によって形成された第1のチャネル(26)内で摺動可能に支持され、前記第1の側壁(24)から内方向に離間され、前記第1のスタッド(22)と係合するように構成された第1のくの字形状の長穴(36)を形成する第1の摺動部(28)と、
前記第2の側壁(34)によって形成された第2のチャネル(32)内で摺動可能に支持され、前記第2の側壁(34)から内方向に離間され、前記第2のスタッド(22)と係合するように構成された第2のくの字形状の長穴を形成する第2の摺動部(30)と、
前記コネクタ本体(14)の前記第1および第2の側壁(24,34)と、前記第1の摺動部(28)と、前記第2の摺動部(30)と、に枢動可能に連結され、第1のアーム(42)を有する摺動レバー(40)と
を備え、
前記第1のアーム(42)は、該第1のアーム(42)から離間された第2のアーム(44)にハンドルによって連結され、
前記第1のアーム(42)および前記第2のアーム(44)の各々の自由端は、アーム長穴(50)を有するフォーク型形状を形成し、
前記第1の摺動部(28)および前記第2の摺動部(30)は、前記第1のアーム(42)および前記第2のアーム(44)の前記アーム長穴(50)内にそれぞれ配置され、
前記摺動レバー(40)は、前記第1および第2のくの字形状の長穴(36,38)を前記第1および第2のスタッド(22)に対して同時に摺動可能に移動させるように作動可能であり、それによって、前記コネクタ本体(14)を前記ベース(12)に連結する
電気装置(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(10)であって、
前記第1のアーム(42)は、前記第1の側壁(24)の中央部分に枢動可能に連結され、
前記第2のアーム(44)は、前記第2の側壁(34)の中央部分に枢動可能に連結される
装置(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の装置(10)であって、
前記第1のアーム(42)は、前記第1の側壁(24)まで延在するとともに前記第1の側壁(24)と係合する第1の枢動ピン(52)を備え
前記第2のアーム(44)は、前記第2の側壁(34)まで延在するとともに前記第2の側壁(34)と係合する第2の枢動ピン(52)を備える
装置(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の装置(10)であって、
前記第1および第2の枢動ピン(52)の各々は、前記第1および第2のくの字形状の長穴(36,38)が移動される方向における前記第1および第2の側壁(24,34)の各々の各端部から実質的に等距離である
装置(10)。
【請求項5】
請求項2に記載の装置(10)であって、
前記コネクタ本体(14)は、主軸線(X)と副軸線(Y)とを有する矩形形状を形成し、
前記第1および第2の摺動部(28,30)は、前記主軸線(X)に対して実質的に平行に配置される
装置(10)。
【請求項6】
請求項2に記載の装置(10)であって、
前記コネクタ本体(14)は、主軸線(X)と副軸線(Y)とを有する矩形形状を形成し、
前記第1および第2の摺動部(28,30)は、前記副軸線(Y)に対して実質的に平行に配置される
装置(10)。
【請求項7】
請求項2に記載の装置(10)であって、
前記第1のくの字形状の長穴(36)の開放端部(60)は、前記第1のくの字形状の長穴(36)の閉鎖端部(64)と約74度の角度をなす
装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して、車両に使用するように構成され得る配電センタに関し、より詳細には、複数の摺動部と、コネクタ本体をベースに固定するように構成された単一のレバーと、を有する配電センタに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]簡単な電気コネクタまたは多機能配電センタなどの電気コネクタ組立体が、幅広く使用されている。配電センタは、一般的には、独立設置型組立体として構成された中央接続箱またはブロックシステムである。電気コネクタは、通常、少なくとも2つのワイヤハーネスを電気的に接続し、したがって連結された複数の雄型端子および雌型端子を収容する。配電センタは、電気コネクタに類似する機能を実行するが、さまざまなヒューズ、継電器および他の電気装置を中央場所内に収容することもできる。配電センタは、さまざまな機能および/または電気接続部を1つのブロックに統合することによってコストを低減させるだけでなく、センタは、切断されスプライス接続されたリードの数も低減させる(これによって、信頼性が増大する)。そのような配電センタは、電力および制御信号をさまざまな電気システムに供給するために、接続ブロック内に収容された電源および電気装置を電気ワイヤハーネスコネクタに電気的に接続するための設備を備えている。
【0003】
[0003]参照によってその開示全体が本明細書に組み込まれる、Brussalisに付与された米国特許第5,715,135号に開示された、車両のエンジン区画内に使用されるものなどの数多くの配電センタ用途では、配電センタのヒューズおよび継電器などの装置は、ベースが底側から突出した状態で上部からアクセス可能である。残念なことに、この向きによって、コネクタへのアクセスは、対合(連結)および対合解除(連結解除)するのが難しいことが多い。多くの場合、配電センタを上下に反転し、コネクタを組み立てて、ワイヤハーネスが突出した状態で組立体全体を最終位置に再度反転させることが必要である。
【0004】
[0004]Brussalisの特許で開示されたものなどの公知の配電センタでは、通常、ヒューズ、継電器および電気装置が上側配電パネルの上部側に装着される。両端型の複数の端子が、パネルの下方に位置するトレイに係合され、当該トレイを通り抜けて延在する。各々の端子の上端部は、ヒューズ、継電器または電気装置と係合するために、上側パネルのそれぞれの長穴を通って突出する。雄型端子の下端部は、配電センタの下側支持構造に係合される少なくとも1つの電気コネクタ本体に係止された端子と電気的に係合するために、さらに第2の下側トレイのそれぞれの長穴を通って下方向に突出する。残念なことに、パネル、トレイおよびコネクタ本体は、すべて、複数のねじ式締付具によってすべて一緒に保持され、それによって製造コストが高くなり、組立および保全目的の特別な工具が必要となる。
【0005】
[0005]この従来の配電組立体に対する公知の改良が、1988年8月4日発行のBorziに付与された米国特許第5,788,529号、2004年5月25日発行のDaggettに付与された米国特許第6,739,889号、および、2006年8月22日発行のSenkらに付与差された米国特許第7,094,081号に記載されている。BorziおよびDaggettの特許では、配電組立体は、内部コネクタを組み立てる際に反転されず、ねじ式締付具またはボルトの使用を必要とせず、したがって、配電組立体のさまざまなコネクタ本体を一緒に固定する特別な組立工具を必要としない。その代わりに、4つの独立したカムレバーを有する係合機構またはてこ作用装置が、カムレバーが配電組立体を連結するために回転されるときに垂直力をかける。4つのレバーが同時に回転することによって、モーメントも生成され、このモーメントは、連結中に端子の位置整合を維持するために、この公知の配電組立体に組み込まれたさまざまな構造および位置整合の機構によって対抗される。Senkの特許では、係合機構は、配電組立体を連結するように回転されるときに垂直力を加える2つの独立したカムレバーを有する。
【0006】
[0006]背景技術の欄で論じられた主題は、背景技術の欄で言及していることのみをもって従来技術であると見なされてはならない。同様に、背景技術の欄で述べられた問題、または、背景技術の欄の主題に関連付けられた問題が、以前から従来技術において認識されていると見なされてはならない。背景技術の欄における主題は、単に、それ自体も発明になり得る異なる手法を表しているに過ぎない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007]本発明者は、従来技術の配電センタが、レバー用に配電センタの両端部に割り当てられる実装空間を必要とすることによって生み出される問題を認識した。本発明者は、配電センタの各々の端部における別個のレバーが、レバーを作動させるための人間工学的要求を満たしつつ配電センタを車両内に装着できる場所を制限することも認識した。本発明者は、さらに、レバーが互いから別個に係合されるときに引き起こされる、配電センタのコネクタまたはコネクタ本体同士の間での位置ずれの可能性も認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]本明細書において、配電センタを連結するために回転されたときに垂直力を加えるように構成された単一のレバーを有する配電センタに関する解決策が説明される。単一のレバーは、配電センタ内の中央に位置する。単一のレバーは、レバーの移動に対応するために両端部上に割り当てられる実装空間を必要としない。配電センタは単一のレバーを有しているので、複数のレバーを別々に係合させることによって引き起こされる位置ずれの可能性が低減される。また、単一のレバーは、配電センタに横方向または長手方向に装着されてもよい。これによって、人間工学的要求を満たすことができる、車両内の装着場所に関してより大きな柔軟性をもたらすことができる。
【0009】
[0009]本発明の1つの実施形態によれば、自動車に使用するように構成された配電センタが提供される。配電センタは、コネクタ本体と、ベースと、第1および第2の摺動部と、摺動レバーと、を備える。コネクタ本体は、第2の側壁から離間した第1の側壁と、コネクタ本体に強固に係合された導電性の第1の端子と、を有する。ベースは、ベースに強固に係合された導電性の第2の端子を有する。第2の端子は、第1の端子と電気的に接続するように構成される。ベースは、コネクタ本体と機械的に連結するように構成された第1のスタッドおよび第2のスタッドを形成する。ベースは、さらに、ワイヤハーネスの対合コネクタに取り付けられるように構成された電気コネクタを備える。第1の摺動部は、第1の側壁によって形成された第1のチャネル内で摺動可能に支持される。第1の摺動部は、第1の側壁から内方向に離間され、第1のスタッドと係合するように構成された第1のくの字形状の長穴を形成する。第2の摺動部は、第2の側壁によって形成された第2のチャネル内で摺動可能に支持され、第2の側壁から内方向に離間され、第2のスタッドと係合するように構成された第2のくの字形状の長穴を形成する。摺動レバーは、コネクタ本体の第1および第2の側壁と、第1の摺動部と、第2の摺動部と、に枢動可能に連結される。摺動レバーは、ハンドルによって第2のアームに連結された第1のアームを有し、第2のアームは、第1のアームから離間される。第1のアームは、第1の摺動部と第1の側壁との間を延在し、第2のアームは、第2の摺動部と第2の側壁との間を延在する。摺動レバーは、第1および第2のくの字形状の長穴を第1および第2のスタッドに対して摺動的に同時に移動させるように作動可能であり、それによって、コネクタ本体をベースに連結する。
【0010】
[0010]ベースは、複数の第1のスタッドと、複数の第2のスタッドと、を備えていてもよい。第1の摺動部は、複数の第1の長穴を備えていてもよく、第2の摺動部は、複数の第2の長穴を備えていてもよい。
【0011】
[0011]コネクタ本体は、主軸線と副軸線とを有する矩形形状を形成してもよい。第1および第2の摺動部は、主軸線または副軸線に対して実質的に平行に配置されてもよい。
【0012】
[0012]本発明のさらなる特徴および利点は、単に非限定的な例として添付の図を参照することによって与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、より明確になるであろう。
【0013】
[0013]次に、本発明について、添付の図を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014]1つの実施形態による配電センタの分解斜視図である。
図2】[0015]1つの実施形態による、ベースから取り外された図1の配電センタのコネクタ本体の斜視図である。
図3】[0016]1つの実施形態による、図2に示された配電センタの部分断面側面図である。
図4】[0017]1つの実施形態による、摺動レバーが開位置にある、ベースに連結された図1の配電センタのコネクタ本体の斜視図である。
図5】[0018]1つの実施形態による、図4に示される配電センタの部分断面側面図である。
図6】[0019]1つの実施形態による、摺動レバーが係止位置にある、ベースに連結された図1の配電センタのコネクタ本体の斜視図である。
図7】[0020]1つの実施形態による、図6に示された配電センタの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0021]本明細書において説明される配電センタは、単一のレバーを利用して、車両内で、ワイヤハーネス電気コネクタから配電センタまでの接続を行う。これは、単一の摺動レバーを有し、この摺動レバーは、ベース上のスタッドと係合する一対の摺動部を駆動させ、それによって、配電センタを電気コネクタ上へと下方向に引っ張る。この構成によって、レバーを作動させるための人間工学的要求を維持しながらも電気センタを複数の向きのうちの1つで装着することができる。
【0016】
[0022]同じ番号が複数の図にわたって同じ要素を指すさまざまな図を参照すれば、図1の分解された組立体は、配電センタ10の非限定的な例を示している。配電センタ10は、ベース12と、コネクタ本体14と、コネクタ本体14に取り付けられたカバー16と、を備える。カバー16は、コネクタ本体14内の継電器、ヒューズおよび制御モジュール(図示せず)を覆い、保護するように構成される。カバー16は、コネクタ本体14にカバー16を係止するいくつかの係止突出部18によってコネクタ本体14に取り付けられる。
【0017】
[0023]ベース12は、ワイヤハーネス(図示されず)の対合コネクタ(図示されず)に取り付けられるように構成された電気コネクタ(図示されず)を備える。電気コネクタはまた、コネクタ本体14内に備えられた電気端子(図示されず)と係合するように構成された電気端子(図示されず)を備える。ベース12は、非ねじ式の第1のスタッド22と、(図の奥行きにより図示されない)ベース12の反対側の対応する非ねじ式の第2のスタッドと、を形成する。各々のスタッド22は、ベース12の両側部から延在するボスまたは柱状の突出部として特徴付けられてもよい。ベース12は、複数の第1のスタッド22と、複数の第2のスタッドと、を形成してもよい。コネクタ本体14は、ベース12と連結するように構成されており、こうして、コネクタ本体14内の電気端子と、ベース12内の電気端子と、の間に電気接続が確立される。
【0018】
[0024]コネクタ本体14は、コネクタ本体14から離間された第1の側壁24を備えている。第1の側壁24は、コネクタ本体14との間に第1のチャネル26を形成する。第1の摺動部28が、第1のチャネル26内に挿入され、第1のチャネル26内で摺動可能に支持され、第1の側壁24から内方向に離間される。コネクタ本体14は、第2の摺動部30も備えており、この第2の摺動部30は、コネクタ本体14の第1の側壁24とは反対の側において、第2の側壁34とコネクタ本体14との間に形成された第2のチャネル32内で同様に摺動可能に支持される。第2の摺動部30は、第2の側壁34から内方向に離間される。第1のチャネル26および第2のチャネル32は、コネクタ本体14の一部分として成形される。第1のチャネル26および第2のチャネル32は、第1の摺動部28および第2の摺動部30をそれぞれ支持するが、コネクタ本体14の第1の側壁24および第2の側壁34からそれぞれ離間した位置にある。
【0019】
[0025]第1の摺動部28は、ベース12の第1のスタッド22を受け入れるように構成された第1のくの字形状の連結長穴36を備えている。第2の摺動部30もまた、ベース12の第2のスタッドを受け入れるように構成された第2のくの字形状の連結長穴38を備えている。摺動レバー40は、コネクタ本体14と、第1の摺動部28および第2の摺動部30の各々と、に枢動可能に相互連結されており、コネクタ本体14をベース12に連結することを容易にするために、第1の摺動部28および第2の摺動部30をコネクタ本体14に対して移動させるように作動可能である。
【0020】
[0026]摺動レバー40は、作業者によって把持されるように構成された中央ハンドル部分46に取り付けられた、第1のアーム42と、離間された第2のアーム44と、を有する。第1のアーム42および第2のアーム44の自由端部48、すなわち、中央ハンドル部分46に取り付けられていない端部は、フォーク形状の歯同士の間にアーム長穴50を有するフォーク型形状を形成する。第1の摺動部28および第2の摺動部30は、第1のアーム42および第2のアーム44のアーム長穴50内にそれぞれ配置される。第1のアーム42および第2のアーム44の自由端部48は、それぞれ、第1の側壁24および第2の側壁34の開口部54と、コネクタ本体の側部の開口部(図示されず)と、に枢動可能に係合する一対の枢動ピン52を形成する。枢動ピン52とコネクタ本体14の開口部とによって、摺動レバー40がコネクタ本体14との関係で枢動することができる。各々の枢動ピン52は、各々の側壁24,34の各々の端部から実質的に等距離であってもよい。本明細書では、実質的に等距離とは、絶対的な等距離の±10ミリメートルを意味する。
【0021】
[0027]図2は、摺動レバー40が開位置にある組み立てられた状態の配電センタ10を示す。摺動レバー40が開位置にあるとき、第1の摺動部28および第2の摺動部30の一部分は、第1のチャネル26および第2のチャネル32から突出する。
【0022】
[0028]図3は、図2に示されるような配電センタ10の部分断面図を示しており、第1の側壁24、および、第1のアーム42の外側歯は取り除かれている。図3に示されるように、第1のアーム42は、摺動ピン56を形成する。摺動ピン56は、組み立て中に第1の摺動部28との係合を容易にするテーパ形状の表面を有する。第1の摺動部28は、枢動ピン52の頭部を受け入れるようにサイズ設定されたU字形状の摺動ピン長穴58を形成する。任意の特定の作動原理に従うことなく、摺動ピン56は、摺動ピン長穴58と接面し、それにより、レバーが枢動ピンを中心として枢動するときに、摺動ピン56は、第1の摺動部28を第1のチャネル26内で長手方向に、すなわち、長手方向軸線Xに沿って押し出す。同様に、第2のアーム44は、同様のU字形状の摺動ピン長穴と接面して第2のチャネル32内で第2の摺動部30を長手方向に押し出す同様の摺動ピンを形成する。摺動レバー40と、第1の摺動部28および第2の摺動部30は、第1の摺動部28および第2の摺動部30が、第1のチャネル26および第2のチャネル32内で実質的に同時に移動するように構成される。本明細書では、実質的に同時とは、第1および第2の摺動部が、互いに250ミリ秒内で移動の開始および終了を行い、一方の摺動部の移動が、他方の摺動部の±5ミリメートル以内にあることを意味する。図3で最もよく分かるように、第1の連結長穴36は、コネクタ本体14がベース12に対合されたときに第1のスタッド22が第1の連結長穴36に入ることを可能にするように構成された開放端部60すなわち口部を有するくの字形状を形成する。第1の連結長穴36は、長穴が閉鎖端部64へと湾曲する「ひざ部」62を形成し、第1のスタッド22は、第1の摺動部28が摺動レバー40によって係止位置に移動されたときに保持される。長穴の閉鎖端部64の軸線は、長穴の開放端部60に対して、略90°よりも大きい(好ましくは約106°)角度を形成する。
【0023】
[0029]図4は、配電センタ10の例を示しており、コネクタ本体14は、ベース12上に置かれ、摺動レバー40は、開位置にある。
【0024】
[0030]図5は、図4に示されるような配電センタ10の部分断面図を示しており、第1の側壁24、および、第1のアーム42の外側の歯は取り除かれている。図5に示されるように、第1のスタッド22の各々は、第1の連結長穴36の各々の開放端部60の始点のところにある。第1の摺動部28が移動するにつれて、これは、第1のスタッド22を、長穴の口部のところにある始点から第1の連結長穴36の反対側端部またはその近くの終点まで引き寄せる。この作用(本質的にはカム作用である)は、ベース12を、コネクタ本体14に対してより緊密に引き寄せ、これをこうした緊密関係で保持する。
【0025】
[0031]図6は、配電センタ10の例を示しており、摺動レバー40は閉位置にあり、コネクタ本体14は、ベース12に緊密に固定される。図6の非限定的な例に示されるように、摺動レバー40は、第1の摺動部28および第2の摺動部30を移動させており、それにより、第1の摺動部28および第2の摺動部30は、第1のチャネル26および第2のチャネル32からもはや突出していない。
【0026】
[0032]図7は、図5に示されるような配電センタ10の部分断面図を示しており、第1の側壁24、および、第1のアーム42の外側の歯は、取り除かれている。図7に示されるように、第1のスタッド22の各々は、摺動レバー40が第1の摺動部28を第1のスタッド22に対して移動させた後、第1の連結長穴36の各々の閉鎖端部64の終点のところにある。
【0027】
[0033]第2の摺動部30、第2のスタッドおよび第2のアーム44は、図3図5および図7に示される第1の摺動部28、第1のスタッド22および第1のアーム42の特徴のすべてを備えている。第2の摺動部30は、第1の摺動部28と同様に機能するとともに、実質的に同時に機能する。
【0028】
[0034]第1のアーム42および第2のアーム44は、それぞれ、先端部分で終端する。第1のアーム42および第2のアーム44は、それぞれ、先端部分に隣接して配置された当接部を備えており、この当接部は、各々のアームの長さに沿った仮想軸線に対して先端部分から外方向に延在している。換言すれば、先端部分は、当接部を有するアームの部分よりも狭い。
【0029】
[0035]各々のチャネルは、支持長穴を形成しており、この支持長穴は、先端部分に隙間を提供しているが、当接部には隙間を提供しておらず、それにより、先端部分は、当接部がチャネルに当接するまで支持長穴を通過する。支持長穴は、チャネルの中断部として見なすこともできる。
【0030】
[0036]コネクタ本体14は、支持長穴に隣接する偏向長穴を形成する。偏向長穴は、支持長穴と連続している。偏向長穴の目的は、組み立て中に摺動レバー40が第1の摺動部28および第2の摺動部30に連結されるときに、コネクタ本体14の側壁を外方向に偏向させることを可能にするためである。
【0031】
[0037]配電センタ10は、主軸線と副軸線とを有する矩形形状を形成してもよい。第1の摺動部28および第2の摺動部30は、主軸線X(長手方向)に対して実質的に平行に配置されてよく、代替的には、副軸線Y(横方向)に対して実質的に平行に配置されてもよい。本明細書では、実質的に平行とは、絶対的な平行の±15°である。したがって、摺動部を横方向または長手方向に装着できることによって、摺動レバー40を作動させる作業者のための人間工学的要求を満たすことができる、車両内での配電センタ10の装着場所を見出すことに関してより大きい柔軟性がもたらされ得る。
【0032】
[0038]コネクタ本体14と、ベース12と、第1の摺動部28および第2の摺動部30と、摺動レバー40と、を含む配電センタ10の構成要素部分は、ポリアミド(PA、NYLON)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)などの適切な射出成形プラスチックから作製される。
【0033】
[0039]それにしたがって、配電センタ10が提供される。コネクタ本体14は、単一の摺動レバー40を作動させることによって配電センタ10のベース12に取り付けられ得る。単一の摺動レバー40は、摺動レバー40の移動に対応するために配電センタ10の両端部に割り当てられる実装空間を必要としない。配電センタ10は単一の摺動レバー40を有しているので、複数のレバーを別個に係合させることによって引き起こされる位置ずれの可能性が低減される。また、単一の摺動レバー40は、配電センタ10に横方向または長手方向に装着されてもよい。これによって、人間工学的要求を満たすことができる車両内の装着場所に対するより大きな柔軟性をもたらすことができる。
【0034】
[0040]本発明について、その好ましい実施形態に関して説明したが、そのように限定されることは意図されておらず、後続の特許請求の範囲に記載された範囲にのみ限定されることが意図されている。さらに、第1、第2などの用語の使用は、重要度の順番を示すものではなく、第1、第2などの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されている。さらに、「a」、「an」などの用語の使用は、量の限定を示すものではなく、言及された物品の少なくとも1つが存在することを示している。
【符号の説明】
【0035】
10…配電センタ
12…ベース
14…コネクタ本体
16…カバー
18…係止突出部
22…第1のスタッド
24…第1の側壁
26…第1のチャネル
28…第1の摺動部
30…第2の摺動部
32…第2のチャネル
34…第2の側壁
36,38…連結長穴
40…摺動レバー
42…第1のアーム
44…第2のアーム
46…中央ハンドル部分
48…自由端部
50…アーム長穴
52…枢動ピン
54…開口部
56…摺動ピン
58…摺動ピン長穴
60…開放端部
64…閉鎖端部
X…主軸線
Y…副軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7