(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−ヒドロキシステアリン酸の活性共融混合物であって、L−メントールのL−メンチルラクテートに対する重量比が2:8から9:1であり;前記共融混合物の総重量に基づいて計算した12−ヒドロキシステアリン酸の濃度が0.1から17重量%であり;前記共融混合物が40℃より低い融点を有する、活性共融混合物。
洗い流さないスキンローションおよびクリーム、シャンプー、毛髪コンディショナー、シャワージェル、化粧石鹸、発汗抑制剤、デオドラント、シェービングクリーム、口紅、ファンデーションおよび日焼け止め剤ローションより選択される、請求項5から9のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物。
L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−ヒドロキシステアリン酸の前記事前に生成した活性共融混合物を前記パーソナルケア組成物の残りの成分の一部または全部と混合するステップを含む、請求項5から11のいずれか一項に記載のパーソナルケア組成物を調製する方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
すべての量は、別途規定しない限り、組成物全体の重量による。室温は、摂氏約20度の温度として定義する。
【0017】
共融混合物
共融系は、同じ成分より成る他のいずれの混合物のうち最も低い融点を有する化学化合物または元素の混合物であり、この最も低い融点にて平衡である液体および固体の組成は同じである。本組成は「共融組成」として公知であり、対応する溶融温度は「共融温度」として公知である。
【0018】
本発明は、三元共融組成物を生じる3つの構成成分の混合物、すなわち構成成分のうちいずれか2つのいずれかの二元混合物の共融組成物を含む、3つの構成成分より成る他のいずれの組成物よりも低い融点を有する三元組成物に関する。
【0019】
本発明の目的のために、「活性共融混合物」は、所与の溶融温度より上で液体状態にある本発明の3つの構成成分のいずれの三元混合物としても定義される。
【0020】
本発明の活性共融混合物は、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−ヒドロキシステアリン酸の混合物であり、L−メントールのL−メンチルラクテートに対する重量比は2:8から9:1であり;共融混合物の総重量に基づいて計算した12−ヒドロキシステアリン酸の濃度は、0.1から17重量%であり;該共融混合物は40℃より低い融点を有する。
【0021】
L−メントールおよびL−メンチルラクテートはゆえに、2:8から9:1の重量比で存在する。好ましくは、L−メントールのL−メンチルラクテートに対する重量比は2:8から8:2、より好ましくは3:7から7:3、さらにより好ましくは3:7から6:4、なおより好ましくは3:7から5:5、さらになおより好ましくは4:6から5:5である。
【0022】
共融混合物の総重量に基づいて計算した12−ヒドロキシステアリン酸の濃度は、0.1から17重量%である。好ましくは、共融混合物の総重量に基づいて計算した12−ヒドロキシステアリン酸の濃度は、0.1から15重量%、より好ましくは0.1から10重量%、さらにより好ましくは0.2から5重量%、なおより好ましくは0.5から3重量%である。
【0023】
例えば39.6重量%のL−メントール、59.4重量%のL−メンチルラクテートおよび1.0重量%の12−HSAの好ましい活性共融混合物は、3つの構成成分を合せた総重量に対して、99重量%の、重量比が4:6の(L−メントール+L−メンチルラクテート)および1重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度に相当する。
【0024】
好ましい共融混合物は、3:7から6:4のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および1重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度を、例えば3:7のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および1重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;ならびに4:6のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および1重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度を有する。
【0025】
また好ましいのは、3:7から6:4のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および3重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度を、例えば5:5のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および3重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;ならびに6:4のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比および3重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度を有する共融混合物である。
【0026】
本発明による共融混合物の融点は、40℃より低い。好ましくは、混合物は、37℃より低い、より好ましくは30℃より低い、さらにより好ましくは25℃より低い、なおより好ましくは20℃より低い、さらになおより好ましくは15℃より低い、よりそのように好ましくは10℃より低い融点を有する。例えば、共融混合物は、5または0(ゼロ)℃より低い融点を有してよい。好ましくは、共融混合物は、マイナス70(−70)℃を超える融点を有する。
【0027】
本発明の三元共融混合物の3つの成分の量は、前記混合物の溶融を決定し、本明細書の実施例部に記載するような周知の方法を使用して好適に決定できる。
【0028】
好ましい共融混合物は、3:7から7:3のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比;0.1から10重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;および35℃より低い融点を有する。このような好ましい共融混合物の例は、3:7から7:3のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比;0.1から10重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;および30℃より低い融点を有する共融混合物である。このような好ましい共融混合物の別の例は、3:7から7:3のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比;0.1から10重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;および25℃より低い融点を有する共融混合物である。このような好ましい共融混合物のさらなる例は、3:7から7:3のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比;1から7重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;および20℃より低い融点を有する共融混合物である。このような好ましい共融混合物のまたさらなる例は、3:7から7:3のL−メントールとL−メンチルラクテートの重量比;0.5から5重量%の12−ヒドロキシステアリン酸濃度;および20℃より低い融点を有する共融混合物である。
【0029】
12−HSA
本発明の三元共融混合物は12−HSAを含む。12−HSAが酸形態で使用されるのは、これがL−メントールおよびL−メンチルラクテートと共に三元共融混合物を形成するためである。さらなる利点は、その酸形態の12−HSAが、とりわけ12−HSAがヒトの皮膚温度(すなわち約37℃)または室温にて液体である共融混合物の一部であるならば、より良好な生物学的利用能を有し得ることである。他の脂肪酸と同様に、12−HSAの見かけのpKaは、8より大であると予想される。好ましくは、本発明の活性共融混合物は、3から4の間のpHを有する。
【0030】
L−メントールおよびL−メンチルラクテート
メントールは、透明または白色であり、室温にて固体である、ろう状の結晶性物質である。メントールは、皮膚を和らげ冷やすため、公知のように、スキンケア製品および毛髪ケア製品などのパーソナルケア製品に使用される。
【0031】
メントールおよびメンチルラクテートの二元共融混合物は、米国特許第6897195号明細書に記載されている。共融組成物は、狭い処方空間を有する。2つの成分の組合せが共融組成物を形成することがひとたび判明すると、その共融特性を損なうことなく、特定の成分を置き換えるまたはさらなる成分を添加する許容度はほとんどないか、全くない。
【0032】
驚くべきことに、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−ヒドロキシステアリン酸の特定の組合せが三元共融混合物を形成することが判明した。
【0033】
本発明の活性共融混合物は、従来の技法を使用して好適に作製することができ、例えば要求される量の成分を均質な混合物が得られるまで粉砕することで単に混合することによって作製することができる。
【0034】
パーソナルケア組成物
本発明のパーソナルケア組成物は:i)本発明による活性共融混合物およびii)化粧品的に許容される担体を含む。
【0035】
本発明のパーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物全体に基づいて計算した、20重量%までの、より好ましくは10重量%までの、さらにより好ましくは7重量%までの、なおより好ましくは5重量%までの、なおさらにより好ましくは2重量%までの共融混合物を含んでよい。好ましくは、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物全体に基づいて計算した、少なくとも0.1重量%の、より好ましくは少なくとも0.5重量%の、さらにより好ましくは少なくとも1重量%の、なおより好ましくは少なくとも2重量%の共融混合物を含む。パーソナルケア組成物中の共融混合物の好ましい量は、0.1から20重量%、より好ましくは0.2から10重量%、さらにより好ましくは0.3から7重量%、なおより好ましくは0.4から5重量%、なおさらにより好ましくは0.5から2重量%である。
【0036】
パーソナルケア組成物は好ましくは、パーソナルケア組成物全体に基づいて計算した、0.005から15重量%の、より好ましくは0.01から12重量%、なおより好ましくは0.1から10重量%、さらにより好ましくは0.5から8重量%、なおさらにより好ましくは1から5重量%の12−ヒドロキシステアリン酸を含む。本発明によるパーソナルケア組成物中の12−ヒドロキシステアリン酸の代表的な量は、0.005から10重量%、0.005から2重量%、0.01から1重量%である。12−HSAの量は、本明細書の界面活性剤の量に含まれているものではない。
【0037】
他の脂肪酸と同様に、12−HSAの見かけのpKaは、8より大であると予想される。pKaにおいて、脂肪酸は50%の石鹸および50%の酸として存在する。したがって、好ましくは、パーソナルケア組成物のpHは、約8未満であり、より好ましくは3.5から8.0の、さらにより好ましくは5から7.8の、なおより好ましくは5.5から7の範囲にある。
【0038】
共融混合物の一部として存在する構成成分に加えて、パーソナルケア組成物中の活性共融混合物を構成する構成成分のいずれか1つもパーソナルケア組成物に添加してよいことが理解されるべきである。該構成成分に割り当てられる量は、パーソナルケア組成物中のその総量である。好ましくは、パーソナルケア組成物中の活性共融混合物の構成成分は、活性共融混合物の一部として存在するのみである。
【0039】
市販されている従来のビヒクルを、本発明の活性共融混合物および本明細書に記載する添加剤のための、ならびにその他の必須ではないが、しばしば好ましい添加剤のための、希釈剤、分散化剤および/または担体として作用するように使用してよいことを認識すべきである。したがって、本発明での使用に好適な化粧品的に許容される担体は、水性ベース、無水またはエマルジョンであってよく、油中水型エマルジョンまたは水中油型エマルジョンが一般に好ましい。水の使用が所望である場合、水は通例、化粧用組成物の残量を構成し、好ましくはパーソナルケア組成物の総量に基づいて5から99重量%、最も好ましくは40から80重量%を構成し、そこに包含されるすべての範囲を含む。
【0040】
水に加えて、本発明の組成物中に有機溶媒が含まれていてもよい。本発明での使用に好適な有機溶媒の種類の例示的で非制限的な例としては、アルカノール、例えばエチルアルコールおよびプロピルアルコール、その混合物などが挙げられる。
【0041】
使用に好適な他の必須ではない添加剤としては、エステル油、例えばイソプロピルミリステート、セチルミリステート、2−オクチルドデシルミリステート、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ネオペンチルグリコールジカプレート、その混合物などが挙げられる。通例、このようなエステル油は、本発明のパーソナルケア組成物の乳化を助け、安定な、最も好ましくは油中水型エマルジョンを得るために有効量がしばしば使用される。
【0042】
皮膚軟化剤も、所望ならば本発明のパーソナルケア組成物中で使用してよい。アルコール、例えば1−ヘキサデカノール(すなわちセチルアルコール)およびフェノキシエタノールは、一般にシリコーン油および合成エステルとして分類される皮膚軟化剤と同様に、しばしば所望である。使用に好適なシリコーン油としては、3から9個の、好ましくは4から5個のケイ素原子を含有する環式または直鎖ポリジメチルシロキサンが挙げられる。本明細書に記載する本発明のパーソナルケア組成物中で皮膚軟化剤材料として有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えばポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0043】
使用されてもよいエステル皮膚軟化剤は以下の通りである:
(1)10から20個の炭素原子を有する、脂肪酸のアルケニルエステルまたはアルキルエステル。その例としては、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレートおよびオレイルオレエートが挙げられる。
【0044】
(2)エーテルエステル、例えばエトキシ化脂肪アルコールの脂肪酸エステル。
【0045】
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、十分な多価アルコールエステルである。
【0046】
(4)ろうエステル、例えばミツロウ、鯨ろう、ステアリルステアレートおよびアラキジルベヘネート。
【0047】
(5)ステロールエステル、そのコレステロール脂肪酸エステルが例である。
【0048】
皮膚軟化剤は、使用する場合、通例、組成物全体の0.1から50重量%を構成し、そこに包含されるすべての範囲を含む。
【0049】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸も、化粧品的に許容される担体として本発明の組成物に含まれていてよい。このような脂肪酸の例示的な例としては、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸またはエルカ酸およびその混合物が挙げられる。これらの脂肪酸は、活性共融混合物の一部として存在する12−HSAに加えて存在する。
【0050】
ジメチルスルホキシドのように皮膚への浸透を向上させると考えられる化合物も、必須ではない担体として使用してよい。
【0051】
多価アルコール型の湿潤剤も、本発明のパーソナルケア組成物に用いられてよい。保湿剤は、皮膚軟化剤の有効性の向上を助け、落屑を低減し、蓄積した鱗屑の除去を刺激して、皮膚感触を改善する。代表的な多価アルコールとしては、グリセロール、ポリアルキレングリコールおよびより好ましくはアルキレンポリオールならびにその誘導体が挙げられ、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキセントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロールおよびその混合物を含む。最良の結果のために、湿潤剤は、好ましくはプロピレングリコールまたはナトリウムヒアルロネートである。湿潤剤の量は、概して化粧品組成物全体の0.2から25重量%、好ましくは0.5から15重量%の範囲に及んでよく、そこに包含されるすべての範囲を含む。
【0052】
増粘剤も、本発明のパーソナルケア組成物における化粧品的に許容される担体の一部として利用されてよい。代表的な増粘剤としては、架橋アクリレート(例えばカルボポール982)、疎水性修飾アクリレート(例えばカルボポール1382)、セルロース系誘導体および天然ゴムが挙げられる。有用なセルロース系誘導体には、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に好適な天然ゴムとしては、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラギナン、ペクチンおよびこれらのゴムの組合せが挙げられる。増粘剤の量は、組成物全体の0から5重量%の、通常0.001から1重量%の、最適には0.01から0.5重量%の範囲に及んでよい。
【0053】
水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、湿潤剤および/または増粘剤は集合的に化粧品的に許容される担体を、組成物全体の1から99.9重量%の、好ましくは80から99重量%の量で構成する。
【0054】
界面活性剤も、本発明の化粧品組成物中に存在してよい。界面活性剤の総濃度は、組成物全体の0から40重量%、好ましくは0から20重量%の、最適には0から5重量%の範囲に及ぶ。界面活性剤は、アニオン性活性剤、非イオン性活性剤、カチオン性活性剤および両性活性剤から成る群より選択されてよい。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モルに付き2から100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10−C20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質を有するもの;2から20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2−C10アルキルフェノール;エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノおよびジC8−C20脂肪酸;ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);およびポリオキシエチレンソルビタンならびにその組合せである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪アミド(例えばメチルグルコンアミド)も、好適な非イオン性界面活性剤である。
【0055】
好ましいアニオン性界面活性剤としては、石鹸、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホスクシネート、C8−C20アシルイソチオネート、アシルグルタメート、C8−C20アルキルエーテルホスフェートおよびその組合せが挙げられる。
【0056】
香料は、本発明の化粧品組成物で使用してよい。使用してよい種類の香料の例示的な非制限的な例としては、Bauer,K.,et al.,
Common Fragrance and Flavor Materials,VCH Publishers(1990)に記載されているもののようなテルペンおよびテルペン誘導体を含む香料が挙げられる。本発明で使用してよい種類の芳香剤の例示的でなお非制限的な例としては、ミルセン、ジヒドロミレノール、シトラール、タゲトン、シス−ゲラン酸、シトロネル酸またはシス−ゲラン酸ニトリル、その混合物などが挙げられる。好ましくは、本発明の化粧品組成物で用いる芳香剤の量は、0から10重量%、より好ましくは0.00001から5重量%、最も好ましくは0.0001から2重量%の範囲である。
【0057】
多様な種類の必須ではない追加の活性成分を、本発明の化粧品組成物で使用してよい。活性物質は、皮膚軟化剤以外のおよび組成物の物性を改善するだけの成分以外の皮膚有益剤として定義される。このカテゴリに限定されないが、一般的な例としては、タルクおよびシリカ、ならびにアルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ペルオキシド、亜鉛塩および日焼け止め剤が挙げられる。
【0058】
ベータヒドロキシ酸としては、例えばサリチル酸が挙げられる。亜鉛ピリチオンは、本発明のパーソナルケア組成物で有用な亜鉛塩の例である。
【0059】
好ましくは、本発明のパーソナルケア組成物は日焼け止め剤を含む。好ましくは、有機UVA日焼け止め剤、有機UVB日焼け止め剤、無機日焼け止め剤およびその組合せより選択される。特に好ましいのは、パルソールMCX(登録商標)として入手可能なエチルヘキシルp−メトキシシンナメート、パルソール1789(登録商標)として入手可能なアボベンゼンおよびオキシベンゾンとしても公知のベンゾフェノン−3などの物質である。無機日焼け止め活性物質、例えば超微粒(1から100nm)二酸化チタンおよび酸化亜鉛を用いてよい。焼け止め剤の量は、存在する場合、一般に組成物全体の0.1から30重量%の、好ましくは2から20重量%の、最適には4から10重量%の範囲に及んでよい。
【0060】
多くのパーソナルケア組成物、とりわけ水を含有するものは、潜在的に有害な微生物の増殖から防御すべきである。抗菌化合物、例えばトリクロサンおよび保存料は通例必要である。好適な保存料としては、p−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒダントイン誘導体、プロピオネート塩および多様な第4級アンモニウム化合物が挙げられる。本発明の特に好ましい保存料は、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールである。保存料は通常、組成物全体の0.1から2重量%の範囲に及ぶ量で用いてよい。
【0061】
好ましくは、本発明のパーソナルケア組成物はビタミンを含む。例示的なビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB
2、ビタミンB
3(ナイアシンアミド)、ビタミンB
6、ビタミンC、ビタミンE、葉酸およびビオチンである。ビタミンの誘導体も用いてよい。例えば、ビタミンC誘導体としては、アスコルビルテトライソパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェートおよびアスコルビルグリコシドが挙げられる。ビタミンEの誘導体としては、トコフェリルアセテート、トコフェリルパルミテートおよびトコフェリルリノレートが挙げられる。DL−パンテノールおよび誘導体も用いてよい。ビタミンの総量は、本発明による組成物中に存在する場合、組成物全体の0.001から10重量%の、好ましくは0.01から1重量%の、最適には0.1から0.5重量%の範囲に及んでよい。好ましくは、本発明のパーソナルケア組成物はビタミンを含み、該ビタミンはナイアシンアミドを含む。
【0062】
本発明のパーソナルケア組成物は好ましくは、洗い流さないスキンローションおよびクリーム、シャンプー、毛髪コンディショナー、シャワージェル、化粧石鹸、発汗抑制剤、デオドラント、シェービングクリーム、口紅、ファンデーションおよび日焼け止め剤ローションより選択される。
【0063】
本発明のパーソナルケア組成物は、いずれの形態でもよい。これらの形態としては、ローション、クリーム、ロールオン処方物、スティック、ムース、エアゾールおよび非エアゾールスプレーならびにファブリック(例えば不織布)適用処方物が挙げられ得る。
【0064】
本発明のパーソナルケア組成物は、好ましくは非固形である。本質的に、組成物の「非固形性」とは、ブルックフィールドDV−I+粘度計(20RPM、RV6、30秒)を使用して測定するような組成物の粘度が、一般に、20℃にて1Pasから500Pasの、好ましくは1Pasから200Pasの、より好ましくは2Pasから100Pasの、最も好ましくは3Pasから50Pasの範囲にあることを意味する。
【0065】
本発明のパーソナルケア組成物は、毛髪および(その一部としての)/または頭皮ケアでの使用にとりわけ適している。12−HSAによって送達され得る頭皮の皮膚有益性に加えて、活性共融混合物の一部であるメントールの冷却効果は、このような製品の使用者によって高度に認識されている。毛髪および/または頭皮ケア組成物は、洗い流し製品または洗い流さない製品でもよい。洗い流さない製品は、使用直後(すなわち組成物の適用後、少なくとも最初の2時間以内に、好ましくは少なくとも4時間)に、使用者の毛髪および/または頭皮から洗い流されるものではない。洗い流さない製品としては、例えば、毛髪および/または頭皮に局所適用されるものであるローション、クリームおよびヘアオイルが挙げられる。洗い流し製品は、使用後に使用者の毛髪および/または頭皮から水によって実質的に洗い流されるものである。洗い流し組成物としては、すすぐ前に毛髪および/または頭皮に30分まで、好ましくは5分残されるものとするシャンプーおよび毛髪コンディショナーならびに毛髪および/または頭皮トリートメント製品が挙げられる。パーソナルケア組成物は、好ましくはシャンプー(すなわち洗い流し毛髪パーソナルケア製品)または毛髪コンディショナー(すなわち洗い流さない毛髪パーソナルケア製品)である。
【0066】
12−HSAの皮膚有益性も洗い流しパーソナルケア組成物の一部として送達されてもよいが、本発明の好ましい組成物は、洗い流さない組成物(すなわち皮膚および/または毛髪のような人体の適切な部位に消費者によって適用された後に残るものとするパーソナルケア組成物)である。本発明の好ましい組成物は、適用されて皮膚に残存するものである。これらの洗い流さない組成物は、皮膚に適用されて、次に洗浄、すすぎ、ふき取りなどのいずれかによって、製品の適用後または適用中のどちらかに除去される組成物とは区別されることになっている。通例、洗い流し組成物に使用される界面活性剤は、すすぎ易い泡沫/泡を使用中に発生する能力を与える物理化学特性を有し、界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性および非イオン性の混合物より成ることができる。洗い流さない組成物中で使用される界面活性剤は他方、このような特性を有する必要はない。むしろ、洗い流さない組成物は洗い流されるものではないため、低刺激である必要があり、したがって界面活性剤の総濃度、特に洗い流さない組成物中のアニオン性界面活性剤の総濃度を最小限に抑える必要がある。したがって、本発明の好ましい洗い流さないパーソナルケア組成物は、界面活性剤に関して、非イオン性界面活性剤を主に含有する。アニオン性界面活性剤は、組成物全体のせいぜい5重量%の、好ましくは0.01から4重量%の、より好ましくは0.01から3重量%の、最も好ましくは0.01から2重量%の量で存在、最適には実質的に存在しない(例えば1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、またはさらに0.01重量%未満)。12−HSAの塩は、本明細書ではアニオン性界面活性剤とは見なされない。本発明の組成物の界面活性剤の総濃度は、好ましくは組成物全体の10重量%以下、より好ましくは8重量%より低く、最も好ましくはせいぜい5重量%である。
【0067】
多種多様のパッケージを用いて、パーソナルケア組成物を保存および送達することができる。パッケージは、パーソナルケア最終用途の種類に依存することが多い。例えば、洗い流さないスキンローションおよびクリーム、シャンプー、毛髪コンディショナーおよびシャワージェルは一般に、閉じ具に覆われた分注端部に開口部を備えたプラスチック容器を用いる。代表的な閉じ具は、スクリューキャップ、非エアゾールポンプおよび跳ね上げ型ヒンジ付き蓋である。発汗抑制剤、デオドラントおよび除毛剤のパッケージは、分注端部にロールオンボールを備えた容器を含んでよい。または、これらの種類のパーソナルケア製品は、繰出し機構を備えた容器内のスティック組成物処方物として送達されていてよく、繰出し機構ではスティックがプラットフォーム上で分注オリフィスに向けて移動する。噴射剤によって加圧され、スプレーノズルを有する金属缶は、発汗抑制剤、シェービングクリームおよび他のスプレー式パーソナルケア製品用のパッケージとして作用する。化粧石鹸は、セルロース系もしくはプラスチック包装紙によって構成された、または厚紙箱に入れられた、もしくはさらにシュリンク包装プラスチックフィルムで包まれたパッケージを有していてよい。
【0068】
パーソナルケア組成物を調製する方法
本発明の共融混合物は、その共融特性、すなわちより低い融点を失うことなくパーソナルケア組成物に処方できることが見出された。このことにより、共融混合物を個別に作製することによって実施することができ、事前に生成した共融混合物をパーソナルケア組成物の他の成分と組合せることができる。
【0069】
本発明はこのため、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−ヒドロキシステアリン酸の事前に生成した活性共融混合物をパーソナルケア組成物の残りの成分の一部または全部と混合するステップを含む、本発明のパーソナルケア組成物を調製する方法にも関する。
【0070】
これにより(共融混合物の一部として)より低い融点を有する12−HSAを含む生成物を生じるが、例えば12−HSAが再結晶しないか、または少なくともより低いペースでおよび/もしくはごく部分的に再結晶するという点で貯蔵安定性である生成物も提供される。L−メントールおよびL−メンチルラクテートなしで12−HSAがパーソナルケア組成物に処方されるとき、またはL−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−HSAが個別の成分として(すなわち事前に生成された共融混合物としてではなく)添加される場合、これらの利点は存在しないか、または少なくともより目立たなくなる。
【0071】
本発明は、パーソナルケア組成物を調製する方法によって得られる本発明のパーソナルケア組成物にも関する。
【0072】
本発明はさらに、本発明のパーソナルケア組成物をヒトの皮膚に適用する方法に関する。
【0073】
本発明をここで以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0074】
融点(DSC曲線)
メトラーDSC823を熱分析に使用して、融点を測定した。「純粋な」、すなわちL−メントール,L−メンチルラクテートおよび12−HSAのみを含む混合物では、温度範囲を−70から100℃に、走査速度を2℃/分にそれぞれ設定した。
【0075】
共融混合物を含むパーソナルケア組成物では、温度範囲を0から120℃に、走査速度を10℃/分にそれぞれ設定した。測定は±0.01℃の精度で行った。測定は大気圧下で動的窒素雰囲気中にて行った。試料をアルミニウムるつぼ(40μl)または中圧るつぼ(120μl)に導入した。るつぼを密閉して、室温にてDSC中に導入した。メトラー装置の標準付属品に含まれる専用るつぼを用いて、温度およびエンタルピー較正を行った。
【0076】
[実施例1]
表1の成分および表2Aおよび2Bに挙げた量を用いて、以下のように調製した、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−HSAの混合物
3つの構成成分、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−HSAを秤量して、次に乳鉢および乳棒によって均質な混合物が得られるまで粉砕することによって混合した。室温にて溶融を始めた混合物を、透明な液体が生成されるまで粉砕によって混合した。
【表1】
【0077】
これらの混合物の融点を測定し、結果を表2Aおよび2Bに示す。特定の混合物がより低い融点を有することが明らかに示されている。重量比が4:6であり、12−HSAの濃度が3つの構成成分をまとめた総重量に対して1重量%であるL−メントールおよびL−メンチルラクテートの共融組成物で、約−52℃の最も低い融点が測定された。この組成物は、本三元系の「真の」共融組成物に近いと考えられる。
【表2】
【表3】
【0078】
[実施例2]
L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−HSAの事前に生成された混合物を含む表3Aによるパーソナルケア組成物(PCC1)を、以下のプロトコルを使用して調製した。
【0079】
1.相Aは、成分を混合して、混合物を70℃まで加熱して成分を溶解させることによって調製した。
【0080】
2.相Bは、ナトリウムポリアクリレートおよび1,3−ブチレングリコールを混合して、これらを相Aに添加することによって調製した。グリセリンを使用してビーカーを洗い流して、相A中に移した。同じことを水で繰り返した。
【0081】
3.相Cは、成分を75℃にて手動撹拌下で、相が透明になるまで混合することによって調製した。
【0082】
4.相Dは、透明液体が得られるまで成分を乳鉢および乳棒で混合することによって調製した。液体を相Cに添加した。
【0083】
5.相EおよびFの成分は、個別に混合して、ステップ4)の後に得た混合物に75℃にて添加して、手動で撹拌した。
【0084】
6.相Gは、ステップ5)の後に得た混合物に添加し、該混合物を速度設定4のシルバーソンミキサーで3分間混合することによって均質化した。
【0085】
7.ステップ6)の後に得た混合物を、ステップ2)の後に得た、合せた相A+Bに添加した。相Hを使用してビーカーを洗い流し、ステップ6)からの混合物をステップ2)からの合せた相A+B中に完全に移した。得られた混合物を、設定7のシルバーソンミキサーを使用して、均質混合物が得られるまで10分間均質化した。
【0086】
8.ナトリウムポリアクリレートおよび1,3−ブチレングリコールを混合して、75℃まで加熱し、相Iが形成されるまで溶解させた。粘度を上昇させるために、得られた液体をステップ7)からの主混合物に添加した。水を使用してビーカーを洗い流した。相Iを完全に移した後、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して、混合物を5分間均質化した。次に、混合物を45℃以下に冷えるまで撹拌した。
【0087】
9.相Jの成分を混合して、ステップ8)の後に得た主混合物が35℃以下に冷えてから添加した。得られた混合物は、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して3分間均質化した。
【0088】
10.相Kの成分をステップ9の後に得られた混合物に添加して、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して5分間均質化した。
【表4】
【0089】
[実施例3]
を含む表3Bによるパーソナルケア組成物を、以下のプロトコルを使用して調製した。PCC2は、12−HSAを含むが、L−メントールおよびL−メンチルラクテートを含んでいない。PCC3において、L−メントール、L−メンチルラクテートおよび12−HSAを(すなわち事前に生成された共融混合物としてではなく)個別に添加した。
【0090】
1.相Aは、成分を混合して、混合物を70℃まで加熱して成分を溶解させることによって調製した。
【0091】
2.相Bは、ナトリウムポリアクリレートおよび1,3−ブチレングリコールを混合して、これらを相Aに添加することによって調製した。グリセリンを使用してビーカーを洗い流して、相A中に移した。同じことを水で繰り返した。
【0092】
3.相Cは、成分を75℃にて手動撹拌下で、相が透明になるまで混合することによって調製したによって調製した。PCC3の場合、12−HSA、L−メントールおよびL−メンチルラクテートを分散物中に1つずつ最後の成分として添加した。
【0093】
4.相DおよびEの成分を個別に添加して、次にステップ3)で得られた混合物に添加した。
【0094】
5.相Fを次にステップ4)の後に得た混合物に添加し、得られた分散物を速度設定4のシルバーソンミキサーを使用して均質化した。
【0095】
6.ステップ5)の後に得た混合物を次に、ステップ2)の後に得た、合せた相AおよびBに添加した。相Gを使用してビーカーを洗い流し、ステップ5)からの混合物をステップ2)からの合せた相AおよびB中に完全に移した。得られた混合物を、設定7のシルバーソンミキサーを使用して、均質混合物が得られるまで10分間均質化した。
【0096】
7.ナトリウムポリアクリレート 1,3−ブチレングリコールを混合して、75℃まで加熱し、相Hが形成されるまで溶解させた。粘度を上昇させるために、得られた液体をステップ6)からの主混合物に添加した。水を使用してビーカーを洗い流した。相HIを完全に移した後、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して、混合物を5分間均質化した。次に、混合物を45℃以下に冷えるまで撹拌した。
【0097】
8.相Iの成分を混合して、ステップ7)の後に得た主混合物が35℃以下に冷えてから添加した。得られた混合物は、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して3分間均質化した。
【0098】
9.相Jの成分をステップ8の後に得られた混合物に添加して、速度設定7のシルバーソンミキサーを使用して5分間均質化した。
【表5】
【0099】
PCC1およびPCC2のDSC曲線を測定して(中圧るつぼ(120μl))、
図1に示した。
【0100】
PCC1では発熱ピークは認められず、活性三元混合物を含有する本発明による処方物中には結晶が存在しないことを示した。
【0101】
12−HSAのみを含むPCC2によって、80℃付近に発熱ピークが示され、このピークは結晶性12−HSAの溶融温度に一致する。
【0102】
50℃にて1週間保存した後に、PCC1およびPCC3のDSC曲線を測定して(中圧るつぼ(120μl)、
図2に示した。PCC1では12−HSAの発熱ピークがまだないが、PCC3では発熱ピークがある。このことは、本発明による活性共融混合物が12−HSAの結晶化を阻害できることを示している。