(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め定められた調時関係は、(a)次に期待される有効な心周期の電気的V事象を予想するもの、および(b)最後に感知された有効な心周期の電気的V事象を追従するもののうちの1つである、請求項2に記載のシステム。
前記システムは、(a)単一の総合ユニットとしての自己完結型、および(b)間隔を置いて配置され連絡リード構造によって動作接続された1対の部品組立体に分散された型のうちの1つであり、前記選択された表面領域は、前記横隔膜の(a)下面および(b)上面のうちの1つに配置される、請求項2に記載のシステム。
前記システムは、(a)単一の総合ユニットとしての自己完結型、および(b)間隔を置いて配置され連絡リード構造によって動作接続された1対の部品組立体に分散された型のうちの1つであり、前記選択された表面領域は、前記横隔膜の(a)下面および(b)上面のうちの1つに配置される、請求項6に記載のシステム。
前記回路構造は、アルゴリズム的にプログラムされたコンピュータ構造を含み、前記コンピュータ構造は、伝達された確認信号の波形を基準波形と比較し、かつ後で精査するために確認信号波形を記録するための、波形監視および記録下位構造を有する、請求項6に記載のシステム。
前記回路構造は、アルゴリズム的にプログラムされたコンピュータ構造を含み、前記コンピュータ構造は、予め定められた調時関係の調整を行うことのできるタイミング調整下位構造を有する、請求項6に記載のシステム。
前記システムは、(a)単一の総合ユニットとしての自己完結型、および(b)間隔を置いて配置され連絡リード構造によって動作接続された1対の部品組立体に分散された型のうちの1つであり、前記選択された表面領域は、前記横隔膜の(a)下面および(b)上面のうちの1つに配置される、請求項12に記載のシステム。
前記加速度計は、電気的横隔膜刺激の結果として被検者の横隔膜に生じる運動に応答すると共に、かつそのような応答に対し、そのような運動を直接表す波形を処理する横隔膜運動確認信号を前記回路構造に伝達するように追加的に構成される、請求項12に記載のシステム。
前記回路構造は、アルゴリズム的にプログラムされたコンピュータ構造を含み、前記コンピュータ構造は、伝達された確認信号の波形を基準波形と比較し、かつ後で精査するために確認信号波形を記録するための、波形監視および記録下位構造を有する、請求項15に記載のシステム。
前記横隔膜への電気刺激の印加に関連する前記選択された調時方式が、(a)次に予想される有効な心周期の電気的V事象を予測するもの、および(b)前記横隔膜への電気刺激の印加に関連する前記選択された調時方式が、最後に感知された有効な心周期の電気的V事象を追従するもののうちの1つである、請求項18に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0042】
ここで図面に目を向け、最初に
図1〜
図5を参照すると、一般的に20で示されているのは、被検者の心臓の血行動態性能を改善するために本発明に従って構成された自己完結自蔵動力型の完全埋込型医療システムの1つの好適な形態である。システム20は、説明する通り特別にタイミングを合わせ心周期に同期した無症候性電気刺激を被検者の横隔膜に直接印加して、横隔膜の非常に短い持続時間で比較的高い周波数(上述した通り)の二相性運動を生じることを通して、そのような改善を達成する。この運動は心臓の左心室の下面に直接伝達され/加えられ、基本的に横隔膜運動の後に続く二相性「ポンピング」運動を左心室の下面およびしたがって左心室内に生じる。
【0043】
図1〜
図4から分かるように、システム20は、本書で単一カプセル形態22と呼ばれるものを有する。この形態は、小型で容易に埋込可能な細長い薄型の非導電性でありかつ適切に生体適合性を持つカプセル体、つまりここでは長さが約1.25インチ、幅が約0.5インチ、厚さが約0.125インチの図示する形状を有するカプセル24を特徴とする。カプセル体24は中空内部24a(
図3および
図4参照)を有し、本書では電極面とも呼ばれる細長い外側の横隔膜接触面24b(
図1および
図2参照)を持ち、その両端付近には、本書でまとめて双峰型電極構造と呼ばれる、間隔(約1インチ)を置いて配置されかつ外側に露出した2つの双峰型電極26、28がある。電極26、28は露出した円形の面26a、28aを呈し、各々が本書では約0.15インチの直径を有する。一般的に、これらの電極は、システム20が埋め込まれた状態で動作中に、心臓関係の電気的活動を感知し(いわゆる第1動作モードまたは1つの動作モードで行われる)、かつ制御された無症候性電気刺激を横隔膜に印加する(いわゆる第2動作モードまたは他の独立動作モードで行われる)という両方の機能を果たす。
【0044】
図1〜
図4に示す特定のカプセル形状、および上述した特定の寸法は必須ではなく、様々な特定の埋込用途に適合するようにユーザの希望に応じて選択的に変化させることができる。言うまでもなく、重要なことは、カプセル24の形状および寸法が、被検者の身体内に動作状態で滞留するのに適合し、快適であり、かつそのために最小侵襲性配置用に設計されることである。以下で説明するように、好適な配置は、被検者の横隔膜の上部付近の表面領域(下面または上面)への効果的に安定した付着を含むが、配置に適する他の横隔膜部位がある場合がある。今論じている発明のカプセル形状に関して本書で特に最初に取り上げた、形状および大きさに関し今行ったばかりの記述と同じ内容が、
図8に示すまだ記述していない第2の好適な実施形態にも適用可能である。本書に開示する本発明のシステムの2つの主要な形状の各々に関して、そのユーザ/設置者は、被検者の体内に埋込を実行するために、様々な異なる適切な、かつ好ましくは最小侵襲性の、外科手技を容易に選択することができるが、横隔膜の下面にシステムを配置する場合には、腹腔鏡手術が適正な選択肢であると考えられ、横隔膜の上面に配置する場合には、開胸術が適正な選択肢であると考えられる。
【0045】
システムの埋込後の配置安定化を図って、被検者の横隔膜の選択された表面領域(下面または上面)への自然な生体結合プロセスを促進するために、適切な従来型の非導電性の生体適合性メッシュ30(
図1および
図2参照)がカプセル面24bに取り付けられる。そのようなメッシュを含めることは随意であるが、有用である。後でさらに考察する通り、横隔膜の下面領域の配置が好ましく、かつ被検者の身体の左側の横隔膜部位も好ましいが、必須ではない。さらに、上面領域の配置を含むあらゆる状況下で、そのような配置は、カプセル24が心臓と直接接触しない部位でなければならない。
【0046】
カプセル体24の中空内部24a内に収容されたシステム20に含まれるのは、論理を含む内部制御回路構成(まだ図面に示されていない)の存在を介して全てのシステムの電気的性能活動を管理する電気回路構造32、システムに必要な全ての動作電力を供給する電池34、ならびにシステムが適切な体内埋込状態のときに横隔膜運動の活動および心音のような種々の機械的活動および音響活動を感知する多軸(ここでは三次元)加速度計または機械的感知構造36をはじめとする、様々な電気的および機械電気的システム動作部品である。横隔膜運動活動の加速度計の感知に関して、感知能力は、本書で運動感知関係と呼ばれる関係の提案および意図された埋込配置を直接横隔膜に行うことによって高められ、それは、電気回路構造32に送達される重要な電気的横隔膜運動確認信号を生成し、該信号はそのような運動の波形を直接表す。この信号は、実際に印加される電気的横隔膜刺激が、血行動態性能向上を最大化するように意図された所望の二相性横隔膜運動をトリガするのにできる限り最もよく適していることを確実にするのに著しく有用である。この確実化は、本発明の方法論に従って、加速度計が供給する確認信号によって表される波形が。本発明のシステムに「既知」の基準波形と定期的に比較されることから起きる。
【0047】
含まれる加速度計によって感知される心音は多くの目的に有用であり、特にS1心音はすでに(上で)述べた本発明の変化形態で使用され、横隔膜刺激の印加のための適切なタイミングを計るときの基準となる有効な機械的V事象として働き、かつそのように認識される。
【0048】
希望する場合、システムに含まれる加速度計の応答から得ることのできる、本発明の実施および方法論に直接関係しないが、それにもかかわらず例えば、様々な方法で血行動態性能に関係する場合がある様々な被検者の状態を監視する医師が利用できる、他の興味深い情報として、被検者の活動レベル、被検者の身体姿勢、呼吸数のような呼吸情報睡眠障害呼吸事象、心雑音等がある。
【0049】
回路構造32と加速度計36との間の動作接続は、
図5では導体36a、36bによって表される。
【0050】
電極26、28は、それぞれ双方向的に使用される導体26b、28bと考えられるものを介して、双峰型(感知/刺激)動作を行うように回路構造32に動作接続され、これらの電極、回路構造32、電池34、および加速度計36は全て、この後すぐに説明する方法で協力して機能するように適切に相互動作接続される。
【0051】
図面には特に示されていないが、適切な従来型のアナログデジタル変換器およびデジタルアナログ変換器が、必要な場所で相互接続される。
【0052】
上で概説した電気回路構造32は、波形監視および記録下位構造40、および任意選択的に(ここでは表象的に提示する)タイミング調整下位構造42を有する、論理を含む内部制御回路構成と呼ばれ、また本書ではコンピュータ構造、もしくは単にコンピュータとも呼ばれるもの38を特徴とする。希望する場合、意図された機能を実行するように完全に結線接続することのできるコンピュータ38がここに組み込まれ、完全ではなくとも、少なくとも部分的に、アルゴリズム的にソフトウェアプログラム可能な構造―(今記載しているシステムにおいて、当初からだけでなく、希望する場合には後からでも、システムに含まれているアンテナ44aを有する従来の短距離無線装置44を介してもたらされる近接テレメトリ通信によってプログラム可能)となるように、マイクロプロセッサ等で設定されることが好ましい。コンピュータ38はまた、以下で説明するように、様々な重要なタイミング制御を実現するために適切な従来設計の「状態機械」(図面には特に分離して示さない)をも含む。
【0053】
論理構造コンピュータ関連要素、および結線接続により管理されかつ/またはソフトウェアにより命令かつ管理され、本発明のシステムおよび方法論の機能性を制御する全てのオペレーショナル「プログラミング」を含む、特定の電気回路構成要素の選択および適切な編成は、従来の最新装置、アルゴリズム、および当業者が有する他の知識を使用して設計可能であり、かつ含めることができ、したがって本書では特に詳述しない。本書に提示するシステム構造の説明は、記載する本発明の方法論の操作上の特徴と同様に、当業者が本発明の全ての態様を実施するのを充分に可能にする。
【0054】
適宜、参考として引き続き
図1〜
図5を参照しながら、ここで
図6A、
図6B、
図7A、
図7Bに着目すると、
図6Aは、先に述べた通り、被検者の身体の内部46の正面図を提示し、
図1〜
図4に示したシステム20に対し提案される好適な埋込位置を一般的に48で示している。
図6Aでは、システム20は単に、非常に明白な、略水平方向に配置された太く濃い線で示され、特に図示されているのは、このシステムのカプセル24が被検者の横隔膜50の下面の選択された表面領域48aに配置されていることである。さらに詳しくは、カプセル24は、被検者の身体の左側方に、明らかに被検者の心臓52とは接触することなく、横隔膜50の下面と、54で一部分だけが一般的に示された真下にある被検者の肝臓との間で事実上適度な圧縮状態で配置される。非常に明確にいうと、カプセル24は、その電極面24b(
図6Aでは特に示されず標記されない)を横隔膜の下面に向け、電極26、28(同じくこの図では特に示されない)が横隔膜表面領域48aに直接接触する状態で、配置される。
【0055】
図6Aに示されたものに関連して、かつ本書で先に示した通り、カプセル24は従来の腹腔鏡手術(本発明の一部を構成しない外科的処置)を介して埋め込まれている。
【0056】
図6Bに着目すると、この図もまた、今述べたばかりの身体内部46を示しており、システム20のカプセル24のための被検者の身体内の代替的配置を示すことを除いては、
図6Aと同様である。
図6Bでは、カプセル24は、横隔膜50の上面の一般的に56で示された埋込位置、厳密には選択された横隔膜表面領域56aに配置されており、該領域は、
図6Aで横隔膜50の下面に示された左側方の埋込位置と同様に、被検者の身体の左側方の位置を有する。ここで、カプセル24は、その電極面24b(特に図示または標記されず)を横隔膜の上面に向け、かつ電極26、28(同じく
図6Bに特に示されない)が横隔膜に直接接触する状態で配置される。
【0057】
カプセル24のための
図6Bに示す配置では、カプセルは横隔膜50の上面と被検者の左肺58の下側との間でわずかに圧縮される。
【0058】
カプセル24について
図6Bに示し、かつ本書で前に述べた配置に関連して、このカプセルは、本発明の一部を構成しない別の外科手技すなわち従来の開胸術を通して埋め込まれたものである。
【0059】
ここで
図8、
図9A、
図9Bに目を向け、ここで最初に
図8に示されるものに注目すると、これらの3つの図に一般的に60で示されているのは、本発明の第2の上述した主要な形態であり、それは本発明の自蔵動力型の埋込可能な分散形態であり、それが1対の間隔を置いて配置された部品組立体62、64を含み、それらが適切な細長い連絡用リード構造66によって相互に動作接続されているという意味で分散されている。本発明のこの形態は今述べた分散性を有すること、およびさらにその分散された構成部品は、
図9A、
図9Bに一般的に示すように被検者の体内に埋め込まれたときに、この分散型実施形態と一意に関連付けられることを除いて、それはシステム形態20について上述した、相互に動作接続された(
図5に概略的に示すように相互接続された)全ての電気的および機械電気的構成部品を含む。加えて、システム60の性能はシステム20の性能と本質的に同一である。
【0060】
部品組立体62内に含まれるのは片方の面から螺旋状の横隔膜取付電極70が突出しかつ
図8に短く太い暗線によって表された三次元加速度計72が装着された筒状筐体68、および筐体68に隣接して適切に装着され、小さい矩形によって表された別の電極74であり、該電極は電極70と共に前述の双峰型電極を形成する。集合的に、電極70、74は上述した双峰型電極構造を構成する。
【0061】
図8で部品組立体62のすぐ右側に示され、かつ湾曲した両方向矢印76によってこの部品組立体の形象に視覚的に連結されているのは、組立体62の象徴的表現78であり、この象徴的表現は(見て分かる通り)
図9A、
図9Bの各々に使用されており、これらの2つの図に提示される身体的形象における組立体62のそれぞれの存在をより簡単に示すことを可能にする。
【0062】
電極70すなわち螺旋状電極は、加速度計72が横隔膜に対し適切な運動感知関係になりかつ横隔膜に効果的に接触する状態で、両方の電極70、74が本質的に横隔膜の選択された表面領域と接触するように、部品組立体62を適所に固定するために、被検者の横隔膜の構造内に螺着可能に埋め込むことができるように設計される。
【0063】
リード構造66は、電極70、74および加速度計72に適切に接続される導体(特に詳細には示されない)を含み、該導体はリード構造内を部品組立体64まで延びる。
【0064】
部品組立体64は、
図5に示されたのと同じ要素のような、全てのシステム電気回路構成、システム電池、ならびにシステム無線装置およびアンテナ(
図8には特に示されない)を含む。リード構造66の長さはユーザが選択することができ、典型的には、言うまでもなく、特定の被検者の体内におけるシステム60の意図された埋込配置ができるように選択される。
【0065】
次に
図9Aおよび
図9Bに注目し、最初に
図9Aに示されたものを見ると、システム20について
図6Aに提供した図の場合と同様に、システム60はここで、前述の埋込位置48で同じく前述の横隔膜下面領域50aに配置されることが分かる。システム60内で部品組立体62だけが
図9Aに示されており、リード構造66は途中で切れており、部品組立体64は特に示されていないことに気付くであろう。システム60、すなわち部品組立体64の他端の埋込は、被検者の身体の横隔膜50より下であればどこでもユーザの選ぶ場所に適切に配置することができるという認識の下、
図9Aに示されるものに関して注目すべき重要なものは、横隔膜における部品組立体62の位置であることがその理由である。
【0066】
既述の通り、
図6Bと非常に類似した
図9Bは、前述した埋込位置56の横隔膜50の上側に位置する同じく前述した横隔膜表面領域50bに配置されたシステム60を示す。
【0067】
ここでも、システム60の設置者が部品組立体64のための横隔膜上部の適切な配置を選択することが認識して、リード構造66は途中で切れ、部品組立体64は
図9Bから省かれている。
【0068】
ここで手短に、それぞれシステム20、60について
図6A、
図6B、および
図9A、
図9Bに示す埋込位置に注目すると、これらの位置は、被検者の身体の左側方であって、かつ横隔膜に対して下部(好適)または上部のいずれかであり、これらの配置の各々で、電極および加速度計は本質的に、心臓とは直接接触することなく、記載しかつ図示した横隔膜の表面領域と直接接触する。加えて、これらの4つの図に示すシステム配置の各々において、それぞれのシステムの電極は、心臓関連の電気的活動を容易に検出するようによく配置され、かつ加速度計は同様に、心音および言うまでもなく横隔膜の動き/運動を容易に検出するように配置される。
【0069】
ここで
図6A、
図6B、
図9A、
図9Bに示されたものの説明を完了して、
図7Aおよび
図7Bに注目する。繰返しになるが、図面の説明に関して上記本文で指摘した通り、
図7A、
図7Bの各々で、本発明のシステムの動作によって生じる横隔膜電気刺激の運動誘発性およびそれに関連する挙動に注目が集まり易くなるように、本発明のシステム部品は省かれている。これらの2つの図の各々において、それらが、
図6A、
図6B、および
図9A、
図9Bに示された解剖学的表現から引き出された非常小さい断片的領域を拡大して提示することを認識して、横隔膜50の解剖学的左側は、隣接する解剖学的構成部分に対して、特に心臓52およびその左心室に対して、非刺激状態で実線の輪郭線で示されている。
【0070】
図7Aの下向き矢印80によって示される通り、横隔膜50に印加される電気的刺激パルスが開始すると、横隔膜は尾側方向に、この図で50Aに破線で多少誇張して示された描かれた位置まで、急速に下向きに移動する。横隔膜のこの尾側の移動は、心臓52の左心室の底部と横隔膜の緊密な関係のため、この心室を下向きに引張り、
図7Aで52Aに破線で示す心臓の下部および心室の位置を生じる。
【0071】
図7Bは、
図7Aに示した状態のすぐ後に存在する、関連移動関係を示す。さらに詳しくは、
図7Bの上向き矢印82は、横隔膜50が頭側方向に、50Bに破線で示す横隔膜の誇張された移動位置まで上向きに移動した状態を示し、心臓の左心室の下面を上向きに駆動する横隔膜の移動は、52Bに破線で示す心臓および左心室移動状態を生み出す。
【0072】
図7A、
図7Bに示された時系列の移動状態は、動作接続された電気回路構造32によって確立される「1つの」感知モードで機能する双峰型電極構造によって電気的に、または含まれるシステム加速度計によって機械的に感知される、有効な電気的または機械的V事象の発生の感知に関連付けられ、かつそれによってトリガされる、予め定められたタイミングを構成するものに従って、本質的に被検者の心臓の各心周期に同期して繰り返される。間もなく説明するように、本発明のシステムが被検者の体内に埋め込まれて作動し、例えば有効な電気的V事象を「探し」、かつ心周期に同期してすぐ後に続く横隔膜刺激を実現するための「トリガ」としてそれを使用するように設定することにより、心周期に同期する刺激に誘発される、上述の通り双峰性である横隔膜の運動が周期毎に発生するが、予想外にその心周期の関連不応期中に現れる、適切で有効な電気的V事象である「ように見えるが」そうではない電気的V事象が発生する、非正常心周期と呼ばれるものの発生時は除く。この特殊な状況については、まもなく
図10に示すものに関連して、さらに説明する。心周期の不応期内のそのような非有効な電気的V事象の発生は、効率性の欠如および潜在的問題を防止するために、関連する次の後続電気刺激が横隔膜に印加されない状況を生み出す。
【0073】
図10および
図11は、前述の通り、本書でそれぞれ(a)早期または先行横隔膜刺激(PIDS)、および(b)後期または後続横隔膜刺激(PIDS)と呼ばれるものを示す従来型のラダー図を提示する。前段落、これらの2つの図に関してこれから述べる説明、および
図12および
図13に関してまだ提示されていない説明で述べる通り、前に明らかにされた用語PIDSは時折、本文で(および例証図で)横隔膜刺激を識別するために使用される。
【0074】
図10および
図11の描き方についての予備的オリエンテーションとして、各図は、縦方向に間隔を置いて配置され、「V」および「P」と標記された1対の水平方向の時間軸を含む。VはV事象を表し、Pは頭字語PIDS(電気的横隔膜刺激)を短縮した形で表す。これらの2つの図における時間軸は事実上4つの代表的心周期をカバーし、各図はその左側下部に自明の図記号の凡例を含み、それは、図中の上の時間軸に沿って配置された幾つかの様々な図形標章に関連付けられる。
【0075】
これらの図に描かれた特定の重要な予め定められたタイミング設定、すなわち本発明のシステムの重要な動作に関連する設定について説明する以下の特定の考察を除き、当業者は、特に本発明のシステムの動作が電気的または機械的な有効なV事象の心周期に同期した感知を含み、かつそのような感知された顕著な事象をその後に続く電気的横隔膜刺激の実現のためのトリガとして使用することを理解していることを背景として、これらの2つの図に示された一連の関連する事象によって伝達される情報を明瞭に理解されるであろう。
【0076】
そうは言っても、これらの図の各々における上の時間軸はとりわけ一連の感知されたV事象を示しており、かつ下の時間軸はそれぞれに関連してその後に生じる関連PIDS刺激を表すことは明確であるべきである。
図10および
図11の各々において上下の時間軸の間で右方向下向きに延びる斜めの破線は、本書でV‐PIDSタイミング周期または遅延と呼ばれるもの、および本発明のシステムの動作中に、(a)これらの遅延のユーザ選択事前設定、(b)ある期間のシステム動作後のこれらの遅延のユーザ再設定、および/または(c)即興のそのような遅延のシステム内部の組織的自己調整(そのようなシステム内部調整が可能な場合、すなわち適切にシステムに含まれる従来の論理プログラミングによってユーザ選択的に受け入れられる場合)のいずれかに従って機能する、予め定められた調時関係パラメータとも呼ばれるものに関係する。現在企図される本発明のシステムの全ての実施形態で、システムが埋め込まれた(または埋め込まれていない)状態における必須の事前設定、および希望する場合に後からシステム埋込後に行われる再設定状況の両方で、V‐PIDS遅延パラメータの調整は、リモートテレメトリを介して、または他の方法で行うことができる。
図10および
図11に斜めの破線によって「表される」グラフ表示されたV‐PIDS遅延は実際に、これらの図でグラフ的に、斜めにではなく、時間軸と平行に水平方向に測定可能であり、すなわち視覚化可能である。
【0077】
図10および
図11に関してオリエンテーションの意味でもう少し説明すると、示された相関的なV事象の感知および関連刺激の発生はここでは、有効な電気的V事象がPIDS刺激のマーカとして、すなわちトリガとして選択された場合の本発明の実現を背景として、さらに考察し実証することを目的として提示されていると考えることができる。
【0078】
図10および
図11に図形的に示されたことに関係して説明を続けると、本発明を実施する際に考慮される2つの重要な、そして重要に関連するタイミング周期が存在する。その1つは、説明したばかりのV‐PIDS遅延期間であり、もう1つは、被検者の各心周期に、その周期で感知されたV事象の直後に存在するいわゆる不応期の長さである。これらの2つの図において、関連する不応期は、時間軸に沿って配置された垂直方向に薄い水平方向の細長い長方形によって図形的に表される。
図10および
図11に提示された図形の凡例からは、示されたどの「長方形」が不応期であるかが分かる。
【0079】
これらの2つの期間に関するタイミング動作は、言わば、電気回路構成に含まれる論理またはコンピュータ構造と協働して、前述した論理を含む状態機械によって、適切にタイミングを追跡するように実現/実施されかつ「動作する」、論理ベースの2つのタイマに制御される。
【0080】
心周期の不応期、つまり今述べた通り、選択された有効なV事象の感知直後に始まる期間の追跡に対処するタイマに関連する期間は、例えばシステムを装備される特定の被検者をよく知る医療従事者には本発明のシステムを使用して事前に分かる、被検者特有のデータに関係する。所与の被検者に対し、かつその被検者に関する本発明のシステムの埋込および確かに作動に典型的なプリカーサとして、被検者に特有の2つの情報は、少なくとも当初は調時される不応期の事前設定期間となるものを確立することに関連する。この決定に必要なのは、(1)被検者の予想見込み心拍数範囲の知識、および(2)次の横隔膜刺激の印加を決定するために観測される測定時間の起点となる有効なV事象として扱われる、被検者の各心周期における、特に選択された事象(現在説明している状況では電気的事象)に関する知識である。
図10および
図11に関して今行われている説明、および実際、後で行われる本発明のシステムおよび方法論の動作説明では、例証を目的として、有効なトリガV事象となる各心周期における電気的R波の発現の感知のために事前選択が行われた場合の全ての動作挙動について説明する。ここでは従来型の適切にプログラムされたECG監視法を使用して、システムの電気回路構造の制御下で、その「1つの」感知モードで機能するシステムの双峰型電極構造によって規則的に検知されるECG電気情報に関連して、この発現を検出する。
【0081】
本発明の実施に企図される2つの代替的V‐PIDS遅延時間の可能性のうち、ほとんどの用途でいわゆる早期PIDS刺激が好ましいことが明らかになり、
図10および
図11の図面で提示するために選択された2図面の図形数値シーケンスで、そのような刺激を表すために
図10が選択されたのは、この理由のためである。早期PIDS刺激、およびそれに関連付けられる関連V‐PIDS時間遅延nは、特定の心周期(後で説明する)における予測されるV事象の発現のプリカーサとして時間的に位置する短い期間間隔の開始時に、横隔膜刺激を与えるための条件を効果的に導く。したがって、ある意味で、そのような早期PIDS刺激とそのすぐ後に続く有効な「予測された」、かつすぐ次に感知される有効なV事象の発現との間に存在する実際の(プリカーソル)時間ギャップが、心周期における負の時間間隔を構成し、そこで刺激が発生することを想像することができる。この理由で、かつそのような刺激はすでに発生し感知された有効なV事象から測定しなければならないので、本発明のシステムおよび方法論は、直前の心周期ですぐ前に感知したばかりの有効なV事象からこの測定を実行する。
【0082】
この考え方を続け、かつ早期PIDSの機能方式でシステム動作が成功するように、刺激活動をトリガするために使用される、感知されたV事象の発生の後に続く適切なV‐PIDS遅延間隔の適切な確立を認識すると、次に予想される有効なV事象をいかにして予測するかを知ることが重要であり、かつこれは平均化技術によって行われる。この目的を達成するために、当業者には周知の従来のアルゴリズム的プログラミングを使用して、ひとたび本発明のシステムがその動作を始めると、その動作に関連する最初の数回の心周期後に、連続する有効なV事象間に予想される平均タイミングを評価するために、(システムのこの実施例では)この4回の先行心周期に基づいて、移動平均が実行される。この平均はシステムの論理構成部品内で、システム動作の開始をマークする最初の4周期後の全ての連続心周期のために「知らされ」、したがって、連続する有効なV事象間で決定されたその時点で利用できる平均タイミングから、予想されるすぐその後に続く次の有効な感知V事象を予期してPIDS刺激Pのトリガの瞬間を画定するように意図された開始点を持つ(上述した)短いプリカーサ間隔を効果的に減算することによって、
図10で前述の斜めの破線によって「表された」言わばV‐PIDSタイミング遅延がその場で計算される。
【0083】
希望するならば、本発明のシステムは従来の方法で、上述した短いプリカーサ(予想減算)間隔を様々に記述する、システムに利用可能な設定を変更することを通して、早期PIDS刺激に関連する変更を行うように構成することができる。
【0084】
図10に示したものに関する考察を続けると、この図は、特定の心周期の不応期内に正常な心臓挙動外で発生する逸脱V事象の潜在的な問題を生じる可能性(先述した)を示す。特に
図10の右側を見ると、上の時間軸に沿って、示された周期の不応期中に生じたそのような逸脱V事象の発生が提示されている。上の時間軸におけるこの表示の右側に、特に対応する下の時間軸の下に、先述の通り、すぐ後に続くPIDS刺激―保護対策が無いことを示すテキストが提示されている。
【0085】
次に
図11に注目すると、
図11は、後期PIDS刺激状況と呼ばれるものを記載し、この図で明白な教示の性質を再度確認させるものとなっている。この状況は、それを実現するために必要なことは、典型的には非常に短い、かつそのすぐ後に感知対称の有効なV事象が一般的心周期内に続く、予め定められたV‐PIDS遅延時間をシステム設定するだけであるという意味で、非常に理解し易い。
【0086】
図10および
図11について触れるべき最後の点に関連して、図示するようにこれらの図のV時間軸に沿って配置された小さい黒の矩形は、従来通りシステムに実現されている短いブランキング期間を示している。それは、刺激パルスが偶発的な心臓の電気活動を生じるのを防止するために生成されかつ存在する。早期PIDSの状況では、これらのブランキング期間は心周期の不応期外にある。後期PIDSの状況では、不応期中に発生する。
【0087】
次に
図12および
図13に注目すると、
図12は、縦方向に間隔を置いて配置された2つの時間関連時間軸に沿って、(1)周期に同期したPIDS刺激の事象の存在を含む非常に多数の被検者の連続心周期を示す、被検者に埋め込まれたシステム電極から受信したECG波形のグラフィカルトレース、および(2)正常な呼吸を表す低周波、および電気的に示された心周期で上に示したPIDS刺激の結果生じた、重ね合わされたより高い周波数の心周期に同期する二相性横隔膜運動の両方を示す、埋め込まれたシステムに含まれる加速度計から受信した関連出力情報の下部グラフィカルトレースを示す。本発明のシステムによって後で報告するためにそのままキャプチャおよび記録されたこれらの二相性横隔膜運動の波形は、医療従事者が二相性の横隔膜刺激により発生する運動を表す波形を実際に見て、最終的に被検者の血行動態性能の質、および本発明によって提供される結構動態性能の向上支援の質の両方を評価する場合に、医療従事者を支援するのに大いに役立つ。
【0088】
図13は、
図12に84と記された
図13の表示領域を表す、横方向に間隔を置いて配置された2つの垂直方向の破線によって標識された
図12の領域から選択された、
図12に提示された2つのトレースの一部分の拡大時間伸長図を提供する。
【0089】
これらの2つの図を見ることによって非常に明確に分かることは、短期間でありかつパルス的性質を持つ、示された各PIDS刺激が、提示された被検者の横隔膜の運動に、関連する心周期に同期する比較的高い周波数の横隔膜の二相性の尾側の後に続く頭側の運動を発生させることである。横隔膜の適切な波形形状の運動が存在する状況で、前に説明したように、横隔膜運動を心臓の左心室の下側に効果的に送達すること通して、被検者の血行動態性能を向上させるのは、この比較的高い周波数の尾側の後に頭側が続く性質の二相性の横隔膜運動である。
【0090】
本書で前に述べた通り、結線接続されかつ/またはアルゴリズム的にプログラムされ/プログラム可能である内部プログラミングは、本発明のシステムの動作中に実行可能な特定のタスクに関していろいろな意味で全く従来通りである。既述の通り、本発明のシステムに設けられた、すなわちシステムユーザ/設置者/埋込者によってそこに置かれた、回路構成の論理構造に導入される初期設定として導入することが好ましい特定の状況が存在するが、時間が経過すると、無線装置44によって提供される短距離テレメトリを介して、またはシステムがそれ自体の活動の様々な側面を自己監視しかつ自己調整するシステムの能力に関連して、そのような能力が選択的に設けられている場合には、内部で自動的に、調整かつ/または導入することのできる特定の動作機能および再設定が存在する。テレメトリで実施される動作変更のみならず、潜在的に内部で自動的に実現される動作変更に関しても、再び、当業者は、本書に提示しかつ関連する図面に図示した本発明のシステムおよび方法論の説明に基づいて、これをいかに実行すればよいかが分かるであろう。
【0091】
そのような潜在的な変更および様々な関連活動に関して、上で明らかにしかつ考察したV‐PIDS時間遅延設定の変更を行うことが、容易に達成可能な自己修正の非常に興味深いカテゴリであることに気付いた。また本書で前にも指摘した通り、重要なことに、自己実現される動作変更に関して、本発明のシステムおよび方法論は、電気的横隔膜刺激の特性について何らかの変更を自己実現することに備えていない。言うまでもなく、被検者の血行動態性能状態を監視するシステムユーザが、そのような変更をテレメトリによって遠隔的に行うことは全く可能である。
【0092】
本発明の重要かつ特殊な特徴は、刺激に誘発される横隔膜の実際の二相性運動の性質に関連する加速度計データを収集しかつ記録することに関係する。この収集および記録は、大事に実現されかつ独自に企図される、収集した実際の横隔膜運動波形とシステムに保存され注意深く選択された基準波形との比較とあいまって、システムユーザが問題を改善するために刺激調整を始めることを可能にする、報告可能な情報を生み出す。この比較活動は、システムに保存される比較データを生成し、それはテレメトリによって検索可能であり、実現された横隔膜刺激の血行動態性能の最大化および向上達成に関する能力の重要な補強証拠をもたらす。
【0093】
特定の被検者に関してシステムの典型的な動作を説明する前に、本発明の方法論のアーキテクチャの基本形態および修正形態の両方をブロック/略図形式で示す、
図14に注目する。
図14に示すように、「全体的」アーキテクチャは一般的に86で示される。それは、ブロック形式で提示されるステップとして、ブロック88(感知)、ブロック90(印加)、ブロック92(監視)、ブロック94(比較)、ブロック96(記録)、およびブロック98(選択)を含む、6つの異なるブロックを含む。ブロック88〜96は、各々実線の輪郭線で描かれており、それらが効果的に本発明の基本的または中核的方法論を記載していることを表している。輪郭が破線で描かれたブロック98は、本発明の方法論の1つの修正形態を表している。
図14を左から右に読むと、そこに描かれた幾つかのブロックは、示される通り、方法論の活動の流れを象徴するように、これらのブロックを接続する右向き矢印付きの線により、関連する挙動の順番に接続されている。
【0094】
このように本発明は、心臓に接触していない被検者の横隔膜の選択された表面領域の隣接部から、(1)被検者の心周期における、(a)周期毎の有効な電気的V事象、および(b)周期毎の有効な機械的V事象のうちの選択された1つの存在を感知し注目するステップ(ブロック88)と、(2)そのような感知に基づいて、かつそのような選択されたV事象の存在の各々に注目した後、横隔膜の二相性の尾側の後に続く頭側の運動をトリガする目的で、そのような注目に対して予め定められた調時関係で、関連する無症候性電気刺激を横隔膜に直接、好ましくは選択された横隔膜表面領域に印加するステップ(ブロック90)と、(3)印加ステップの後に続いて、結果的に得られた横隔膜運動の波形を監視するステップ(ブロック92)と、(4)監視ステップを実行した後で、監視された横隔膜運動波形を基準の横隔膜運動波形と比較するステップ(ブロック94)と、(5)比較ステップの完了後に、監視された横隔膜運動波形を後で精査するために記録するステップ(ブロック96)とを含む、被検者の心臓の血行動態性能を向上するための方法を提供する。
【0095】
本発明の方法論は、修正形態では、さらに、(1)選択される横隔膜表面領域が横隔膜の(a)下面、または(b)上面になるように選ぶステップ(ブロック98)と、(2)選択される周期毎の有効なV事象を選び、それによって、電気的事象の場合、それが(a)R波、および(b)Q波のうちの一方となり、機械的事象の場合、それがS1心音となるようにすることを含む。
【0096】
次に、特定の選択された被検者に関して、典型的なシステムの準備、埋込、および動作を説明するが、この説明は、
図1〜
図5に示された形態の本発明のシステムであって、
図6Aに示されたように設置されたシステムを被検者に埋め込むことに基づいて行われる。さらに、この説明は、横隔膜刺激のトリガが被検者の心周期における有効な電気的V事象を検知することに基づいて行われ、選択された有効な電気的V事象がR波の発現であるという事前の設定に基づいて行われる。また、この後に続く動作説明は、早期PIDS刺激が行われ、かつこの後ですぐに説明するように、厳密なV‐PIDS遅延間隔を画定するためのより具体的なアイデアに到達するまで、システム論理構造、すなわち事実上この構造の状態機械部が、ゼロのV‐PIDS遅延時間から始めるように指示されるという事前決定に依存する。
【0097】
最初に、システムの埋込前に決定されることは、状態機械によって操作される不応期タイマに対しいかなる種類のタイミング間隔が事前に割り当てられるかであり、このタイミング間隔は、被検者の予想見込み心拍数範囲、およびR波の発現で始まりかつ不応期の終わりで終了する典型的な不応期時間の長さに関する事前の知識から引き出される、被検者特有の情報に基づいて選択される。
【0098】
また、完全に事前決定されるのは、明らかに無症候性になるように設計された基本的に一定の電気的PIDS刺激の特性を確立するシステム設定である。
【0099】
選択された被検者に対し最良可能に機能するように本発明のシステムを準備することに関連する、この埋込前の情報の多くは、システムの動作により最大限に達成可能な血行動態性能の向上をいかに評価するかに関する、適切な医療関係者には知られているさらなるカテゴリの情報に関係する。
【0100】
今説明した予備的選択に基づくシステムの事前設定が行われると、システムは、
図6Aに示すように適切に埋め込まれ、スイッチで作動が開始され、システムユーザは即座に適切なデータを収集して零から必要な調整を評価し、重要なV‐PIDS遅延期間の周期毎の計算のために「リセット」されるべき最も適切な早期PIDS時間間隔を状態機械で確立する。当業者にはこの評価をどのように行うかがよく分かるであろう。そして、この知識を手にして、短距離テレメトリを通して、先述の通り、状態機械の論理構造に適切なV‐PIDS遅延情報を導入するであろう。
【0101】
こうして早期PIDS、V‐PIDS遅延期間が設定されると、本発明のシステムは次に単純に、上述したその場での平均化技術を通して、1つの心周期における有効な電気的V事象の感知に続いて、次の心周期で、次に感知される有効な電気的V事象のすぐ前に横隔膜刺激を適切に印加する適切な時間点を規則的に推定する。心周期の不応期中に感知される電気的逸脱V事象は、刺激をトリガするために使用されない。有効な電気的V事象の感知はシステムの電気回路構造によって配置されたシステムに含まれる双峰型電極構造を通して、その「1つの」感知モードで行われ、システムの電気回路構造の制御された影響下で横隔膜に送達された電気刺激は、その「もう1つの」刺激モードで動作する同じ、効率的に使用される双峰型電極によって送達される。ここで特に興味深いことは、記載した双峰型電極構造を本発明のシステムに組み込むことにより、単に1対の電極を利用して、電気的活動感知および電気的横隔膜刺激を順次実行する単純さがもたらされることである。
【0102】
感知された各々の有効な電気的V事象は、結果的に被検者の横隔膜の無症候性電気刺激を引き起こし、高周波の二相性の尾側の後に続く頭側の横隔膜運動を発生させ、この周期毎の活動は、二相性ポンピング補助動作により被検者の心臓の左心室を同期して駆動させ、それは上述の通り、血行動態性能を向上させる。
【0103】
システム加速度計は各横隔膜刺激に関連付けられる刺激に誘発される二相性横隔膜運動を正確に追従し、周期毎に上述した関連横隔膜運動確認信号を電気回路構造に伝達し、それに関連する波形は、上述の通り注意深く選択された基準波形と比較され、保存し後で精査するために心周期毎の波形比較データを生成する。
【0104】
この活動は全て、被検者の心周期毎の心拍数と完全に同期して発生する。
【0105】
事前選択された有効なV事象が電気的事象であり、かつ特に心周期R波の発現の検出に関連付けられるように選択された場合についての上述した動作説明は厳密に、(a)有効な電気的V事象としてQ波の選択に基づく代替的システム動作、および(b)機械的V事象の感知に基づいており、選択される有効な機械的V事象がS1心音であり、事象がシステムに含まれる加速度計によって感知される、別の代替的システム動作の両方についても記載している。後者の代替的動作の場合、加速度計が、有効なV事象を感知し、かつ刺激により生じる横隔膜運動を追跡かつ報告する二重の役割を果たす。
【0106】
したがって、本発明の2つの重要な主たるシステム実施形態について本書で詳しく説明し、かつ図示し、特定の変形例を示唆する一方、該システムにより実現される方法論およびシステム動作の好適な形態および変化形態についても説明し、かつ図示したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、他の変形例および修正例が可能であり、当業者はそれを思いつくことができ、かつ実施することができる場合があると認識される。したがって、以下に記載する本発明の請求の範囲は全て、そのような他の変形および修正を含むものと解釈されることを意図している。