特許第6285961号(P6285961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6285961膜モジュール装置、包装体、液体処理システム、蒸気滅菌方法及びシステム構成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6285961
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】膜モジュール装置、包装体、液体処理システム、蒸気滅菌方法及びシステム構成方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20180215BHJP
   A61L 2/07 20060101ALI20180215BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20180215BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B01D63/02
   A61L2/07
   A61L2/26
   B01D65/02 500
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-554985(P2015-554985)
(86)(22)【出願日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】JP2014084248
(87)【国際公開番号】WO2015099015
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年5月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-272996(P2013-272996)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507365204
【氏名又は名称】旭化成メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深田 誠司
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−277370(JP,A)
【文献】 特開平08−266618(JP,A)
【文献】 特開昭61−143072(JP,A)
【文献】 特開昭57−049468(JP,A)
【文献】 特表2013−516315(JP,A)
【文献】 特開2007−197858(JP,A)
【文献】 特開平02−005963(JP,A)
【文献】 特開2010−259992(JP,A)
【文献】 特開昭62−164469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 53/22
C02F 1/44
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
A61M 1/00− 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気滅菌が施される膜モジュール装置であって、
液体が充填されている中空糸膜モジュールと、
膜モジュール装置を他の管路に無菌接続するための無菌接続用部材と、
前記中空糸膜モジュールの通液口と前記無菌接続用部材とを接続する接続チューブと、
前記接続チューブを挟んで閉止可能な閉止部材と、を有し、
前記無菌接続用部材が、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタであり、
前記接続チューブは、蒸気滅菌に対する耐熱性を有し、
前記閉止部材は、前記無菌接続コネクタよりも前記中空糸膜モジュール側の位置に取り付けられ、閉止する、膜モジュール装置。
【請求項2】
前記閉止部材は、ネジ機構により前記接続チューブを押圧して閉止する構造を有する、請求項1に記載の膜モジュール装置。
【請求項3】
前記接続チューブの前記閉止部材よりも前記無菌接続用部材側の内部空間を外気に対して開閉する開閉部を有する、請求項1又は2に記載の膜モジュール装置。
【請求項4】
前記接続チューブ又は前記無菌接続用部材の少なくともいずれかを固定する固定装置をさらに有する、請求項1〜3のいずれかに記載の膜モジュール装置。
【請求項5】
前記固定装置は、固定用板と、前記固定用板に前記接続チューブ又は前記無菌接続用部材の少なくともいずれかを固定する固定具とを有する、請求項4に記載の膜モジュール装置。
【請求項6】
前記接続チューブが、シリコン樹脂またはフッ素系樹脂からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の膜モジュール装置。
【請求項7】
前記中空糸膜モジュールは、複数の通液口を有し、そのうちの少なくとも一つの通液口には、蒸気滅菌時の中空糸膜モジュールの内圧の上昇により膨張する膨張部材が接続されている、請求項1〜6のいずれかに記載の膜モジュール装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の膜モジュール装置を密封包装した、膜モジュール装置入り包装体。
【請求項9】
通気透過性部材で包装する、請求項8に記載の膜モジュール装置入り包装体。
【請求項10】
蒸気滅菌が施される膜モジュール装置を密封包装した包装体であって、
前記膜モジュール装置は、
液体が充填されている中空糸膜モジュールと、
蒸気滅菌に対する耐熱性を有し、前記中空糸膜モジュールの通液口と接続された接続チューブと、
前記接続チューブを挟んで閉止可能な閉止部材と、
膜モジュール装置を他の管路に無菌接続するための無菌接続用部材と、を有し、
前記無菌接続用部材が、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタであり、
前記接続チューブと前記無菌接続用部材は、分離されており、連結可能であり
前記閉止部材は、前記無菌接続コネクタよりも前記中空糸膜モジュール側の位置に取り付けられ、閉止する、膜モジュール装置入り包装体。
【請求項11】
前記接続チューブと前記無菌接続用部材が、二分割可能なコネクタによって連結可能である、請求項10に記載の膜モジュール装置入り包装体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の膜モジュール装置の無菌接続用部材と他の管路とを無菌接続して構成された液体処理システム。
【請求項13】
液体が充填されている中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法であって、
前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に耐熱性の接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止し、前記接続チューブに、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタを接続し、前記閉止部材を前記無菌接続コネクタよりも前記中空糸膜モジュール側の位置に取り付けた状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
【請求項14】
液体が充填されている中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法であって、
前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止し、前記接続チューブと、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタを分離した状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
【請求項15】
前記中空糸膜モジュール、前記接続チューブ及び前記無菌接続コネクタを通気透過性部材で密封包装して蒸気滅菌する、請求項13又は14に記載の中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
【請求項16】
前記接続チューブの前記閉止部材より前記無菌接続コネクタ側の内部空間を蒸気雰囲気に開放して蒸気滅菌を行う、請求項13〜15のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法。
【請求項17】
固定装置により前記接続チューブ又は前記無菌接続コネクタの少なくともいずれかを固定した状態で、蒸気滅菌を行う、請求項13〜16のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法。
【請求項18】
液体が充填されている中空糸膜モジュールを他の管路と無菌的に接続して液体処理システムを構成する方法であって、
前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブに、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタを接続し、前記接続チューブの前記無菌接続コネクタよりも前記中空糸膜モジュール側の位置を閉止部材により閉止する工程と、
前記中空糸膜モジュール、前記中空糸膜モジュールに接続された前記接続チューブ、及び、前記接続チューブに接続された無菌接続コネクタを通気透過性部材で密封包装する工程と、
前記密封包装工程後に中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する工程と、
前記無菌接続コネクタと前記他の管路を無菌的に接続する工程と、
を有する液体処理システムを構成する方法。
【請求項19】
液体が充填されている中空糸膜モジュールを他の管路と無菌的に接続して液体処理システムを構成する方法であって、
前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止する工程と、
前記中空糸膜モジュール、前記中空糸膜モジュールに接続された前記接続チューブ、及び、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタを通気透過性部材で密封包装する工程と、
前記密封包装工程後に、前記接続チューブと前記無菌接続コネクタが分離した状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する工程と、
前記蒸気滅菌工程後に、前記接続チューブに前記無菌接続コネクタを接続する工程と、
前記無菌接続コネクタと前記他の管路を無菌的に接続する工程と、
を有する液体処理システムを構成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜モジュール装置、膜モジュール装置入り包装体、液体処理システム、中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法及び液体処理システム構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、細胞培養槽へ培養液を供給する際の濾過処理である培地濾過処理や、製剤の製造工程におけるウィルス除去処理等は、中空糸膜モジュールを液処理回路に接続して行われている。
【0003】
これらの培地濾過処理やウィルス除去処理は、厳格な無菌状態で行う必要があるため、中空糸膜モジュールは、その出荷前に、中空糸膜モジュール内に液体を充填し、中空糸膜モジュールの通液口に直接キャップを取り付けて閉鎖した状態で蒸気滅菌処理を行う。蒸気滅菌処理後は、その無菌状態を維持したまま出荷されている。
【0004】
なお、膜が乾燥している(ドライ状態の)膜モジュールは、ピンホール検査のために、一旦濡らしたフィルターを乾燥させなければならず、時間と熱(エネルギ)がかかる。これに対し、液充填されている膜モジュールは長期間保管しても使用することができ、また、出荷前のピンホール試験後に膜モジュール内の充填液を取り除く必要がないことから、製造工程の工数を低減できる点でも好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、滅菌された中空糸膜モジュールを用いて、実際に培地濾過処理等を行うときには、ユーザーが中空糸膜モジュールの通液口からキャップを外し、その通液口に液処理回路のチューブを接続しているため、中空糸膜モジュールの無菌性が損なわれる恐れがある。このため、中空糸膜モジュールを液処理回路に接続した後に、浄化液を回路内に流すなどして再度滅菌処理を行うのが一般的であった。このように中空糸膜モジュールの接続時に滅菌処理を行うと、培地濾過処理等の準備に手間と時間がかかる。そこで、ユーザーが中空糸膜モジュールを液処理回路に接続する際に滅菌処理を行う必要がないように、中空糸膜モジュールを液処理回路に、いわゆる無菌接続することを考えている。
【0006】
ところで、チューブ同士を無菌状態で接続する技術として、無菌接続用部材を用いるものがある。この無菌接続用部材には、例えば熱可塑性チューブがあり、チューブ同士を専用のチューブ接合装置で熱溶着して無菌接続できる。また、他には、接続する両方のチューブの先端に取り付ける無菌接続コネクタがあり、無菌接続コネクタの接続面同士を固定し、当該接続面に介在される膜を引き抜くことにより無菌接続できる。
【0007】
しかしながら、上述のように出荷前に中空糸膜モジュール内には液体が充填され、蒸気滅菌が施される。このため、上述の無菌接続用部材を単純に中空糸膜モジュールに適用し通液口に接続した場合、中空糸膜モジュール内の液体が無菌接続用部材に接触することになり好ましくない。例えば上述の熱可塑性チューブの場合には、接続時にチューブ内に液体があると、チューブが熱溶着され難くなり無菌接続の妨げとなる。また、無菌接続コネクタの場合には、膜が液体に濡れて無菌性が低下する恐れがある。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、蒸気滅菌の際に上記無菌接続用部材を液充填されて滅菌される中空糸膜モジュールに適用可能にし、ユーザーが液処理回路に接続後再度滅菌処理を行う必要がないようにする、蒸気滅菌のための膜モジュール装置、包装体、膜モジュール装置を有する液体処理システム、中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法及び液処理システムの構成方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため発明者らが鋭意研究した結果、中空糸膜モジュールと無菌接続用部材とを耐熱性の接続チューブで接続し、その接続チューブに閉止部材を取り付けることで、無菌接続用部材を中空糸膜モジュールに適用できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明の一例として下記(1)〜(22)を提供する。
(1)蒸気滅菌が施される膜モジュール装置であって、液体が充填されている中空糸膜モジュールと、膜モジュール装置を他の管路に無菌接続するための無菌接続用部材と、前記中空糸膜モジュールの通液口と前記無菌接続用部材とを接続する接続チューブと、前記接続チューブを挟んで閉止可能な閉止部材と、を有し、前記接続チューブは、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する、膜モジュール装置。
(2)前記閉止部材は、ネジ機構により前記接続チューブを押圧して閉止する構造を有する、(1)に記載の膜モジュール装置。
(3)前記接続チューブの前記閉止部材よりも前記無菌接続用部材側の内部空間を外気に対して開閉する開閉部を有する、(1)又は(2)に記載の膜モジュール装置。
(4)前記接続チューブ又は前記無菌接続用部材の少なくともいずれかを固定する固定装置をさらに有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の膜モジュール装置。
(5)前記固定装置は、固定用板と、前記固定用板に前記接続チューブ又は前記無菌接続用部材の少なくともいずれかを固定する固定具とを有する、(4)に記載の膜モジュール装置。
(6)前記接続チューブが、シリコン樹脂またはフッ素系樹脂からなる、(1)〜(5)のいずれかに記載の膜モジュール装置。
(7)前記中空糸膜モジュールは、複数の通液口を有し、そのうちの少なくとも一つの通液口には、蒸気滅菌時の中空糸膜モジュールの内圧の上昇により膨張する膨張部材が接続されている、(1)〜(6)のいずれかに記載の膜モジュール装置。
(8)前記中空糸膜モジュールが、中空糸膜の内側に連通する2つの通液口と中空糸膜の外側に連通する2つの通液口を有し、前記中空糸膜の外側に連通する通液口の1つに前記膨張部材が接続され、残りの3つの通液口に前記接続チューブが接続されている、(7)に記載の膜モジュール装置。
(9)前記無菌接続用部材が、熱溶着により無菌接続可能な熱可塑性チューブである、(1)〜(8)のいずれかに記載の膜モジュール装置。
(10)前記無菌接続用部材が、接続面に介在される膜を外して無菌接続を行う無菌接続コネクタである、(1)〜(8)のいずれかに記載の膜モジュール装置。
(11)(1)〜(10)のいずれかに記載の膜モジュール装置を密封包装した、膜モジュール装置入り包装体。
(12)通気透過性部材で包装する、(11)に記載の膜モジュール装置入り包装体。
(13)蒸気滅菌が施される膜モジュール装置を密封包装した包装体であって、前記膜モジュール装置は、液体が充填されている中空糸膜モジュールと、蒸気滅菌に対する耐熱性を有し、前記中空糸膜モジュールの通液口と接続された接続チューブと、前記接続チューブを挟んで閉止可能な閉止部材と、膜モジュール装置を他の管路に無菌接続するための無菌接続用部材と、を有し、前記接続チューブと前記無菌接続部材は、分離されており、連結可能である、膜モジュール装置入り包装体。
(14)前記接続チューブと前記無菌接続用部材が、二分割可能なコネクタによって連結可能である、(13)に記載の膜モジュール装置入り包装体。
(15)(1)〜(14)のいずれかに記載の膜モジュール装置の無菌接続用部材と他の管路とを無菌接続して構成された液体処理システム。
(16)液体が充填されている中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法であって、前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に耐熱性の接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止し、前記接続チューブに無菌接続用部材を接続した状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
(17)液体が充填されている中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法であって、前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止し、前記接続チューブと無菌接続部材を分離した状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
(18)前記中空糸膜モジュール、前記接続チューブ及び前記無菌接続部材を通気透過性部材で密封包装して蒸気滅菌する、(16)又は(17)に記載の中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する方法。
(19)前記接続チューブの前記閉止部材より前記無菌接続用部材側の内部空間を蒸気雰囲気に開放して蒸気滅菌を行う、(16)〜(18)のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法。
(20)固定装置により前記接続チューブ又は前記無菌接続用部材の少なくともいずれかを固定した状態で、蒸気滅菌を行う、(16)〜(19)のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法。
(21)液体が充填されている中空糸膜モジュールを他の管路と無菌的に接続して液体処理システムを構成する方法であって、前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブに無菌接続部材を接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止する工程と、前記中空糸膜モジュール、前記中空糸膜モジュールに接続された前記接続チューブ、及び、前記接続チューブに接続された無菌接続部材を通気透過性部材で密封包装する工程と、前記密封包装工程後に中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する工程と、前記無菌接続部材と前記他の管路を無菌的に接続する工程と、を有する液体処理システムを構成する方法。
(22)液体が充填されている中空糸膜モジュールを他の管路と無菌的に接続して液体処理システムを構成する方法であって、前記中空糸膜モジュールの全部又は一部の通液口に、蒸気滅菌に対する耐熱性を有する接続チューブを接続し、前記接続チューブを閉止部材により閉止する工程と、前記中空糸膜モジュール、前記中空糸膜モジュールに接続された前記接続チューブ、及び、無菌接続部材を通気透過性部材で密封包装する工程と、前記密封包装工程後に、前記接続チューブと前記無菌接続用部材が分離した状態で、中空糸膜モジュールを蒸気滅菌する工程と、前記蒸気滅菌工程後に、前記接続チューブに前記無菌接続用部材を接続する工程と、前記無菌接続部材と前記他の管路を無菌的に接続する工程と、を有する液体処理システムを構成する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記無菌接続用部材を中空糸膜モジュールに適用できるので、中空糸膜モジュールを液処理回路に接続する際に再度滅菌処理する必要がなく、培地濾過処理等の準備にかかる手間と時間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】膜モジュール装置の概略を示す説明図である。
図2】固定装置に固定された膜モジュール装置を示す説明図である。
図3】液体処理システムの構成を示す説明図である。
図4】熱可塑性チューブの無菌接続を説明する説明図である。
図5】無菌接続コネクタの構成を示す説明図である。
図6】無菌接続コネクタの無菌接続を説明する説明図である。
図7】膜モジュール装置の他の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面中、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかる蒸気滅菌のための膜モジュール装置1の構成の一例を示す説明図である。
【0014】
図1に示すように膜モジュール装置1は、例えば蒸気滅菌時に液体が充填される中空糸膜モジュール10と、膜モジュール装置1を他の管路に無菌接続するための無菌接続用部材としての熱可塑性チューブ11と、中空糸膜モジュール10の通液口と熱可塑性チューブ11とを接続する接続チューブ12と、接続チューブ12を挟んで閉止可能な閉止部材13と、蒸気滅菌時の中空糸膜モジュール10の内圧の上昇により膨張する膨張部材14と、を有している。
【0015】
中空糸膜モジュール10は、例えば円筒状に形成され、側面部に2つの通液口(ノズル)20、21が形成され、長手方向(図1の左右方向)の各端部にそれぞれ通液口(ノズル)22、23が形成されている。
【0016】
中空糸膜モジュール10内には、長手方向に向けて中空糸膜Aが収容され、中空糸膜Aの管路内の空間(一次側)が通液口22、23に連通し、中空糸膜Aの壁面外側の空間(二次側)が通液口20、21に連通している。通液口22、23が通じる中空糸膜Aの一次側空間10aと、通液口20、21が通じる中空糸膜Aの二次側空間10bは、中空糸膜モジュール10の長手方向の両端付近に設けられたポッティング剤30により遮断されている。
【0017】
接続チューブ12は、蒸気滅菌に対する耐熱性を有している。すなわち、蒸気滅菌の温度、例えば少なくとも121℃で溶解及び変形しない材質で構成されている。また、接続チューブ12は、後述の閉止部材13で閉止が可能なように柔軟性を有している。接続チューブ12の材質としては、例えばシリコン樹脂またはフッ素系樹脂などが好ましい。接続チューブ12は、例えば融点が蒸気滅菌温度より高いものを用いることができ、好ましくは融点が165℃より高いものであり、より好ましくは融点が250℃以上のものである。また、好ましくは150℃条件下で使用可能なものであり、より好ましくは200℃条件下で使用可能なものである。
【0018】
接続チューブ12は、例えば3カ所の通液口、例えば通液口20、22、23に接続されている。接続チューブ12は、例えば各通液口20、22、23に設けられたコネクタ40に一端に接続され、チューブバンド41により固定されている。コネクタ40は、例えば円筒形のネジ締め構造のクランプ42により各通液口20、22、23のノズル部に固定されている。なお、接続チューブ12と各通液口20、22、23との接続方法は、特に限定されるものではなく、気密に接続できるものであれば他の機構を用いてもよい。
【0019】
熱可塑性チューブ11は、熱溶着により無菌接続可能な熱可塑性チューブである。熱可塑性チューブ11の材質には、例えば121℃での蒸気滅菌処理は可能であるが、融点が165℃以下のものが用いられてもよい。
【0020】
熱可塑性チューブ11は、一端が接続チューブ12に接続されている。例えば熱可塑性チューブ11と接続チューブ12は、I型コネクタ50を介して接続されている。熱可塑チューブ11と接続チューブ12は、I型コネクタ50に対しチューブバンド51により固定されている。なお、この熱可塑性チューブ11と接続チューブ12との接続方法は、特に限定されるものではなく、気密に接続できるものであれば他のものであってもよい。
【0021】
熱可塑性チューブ11の先端の開口部には、開閉部としての開閉キャップ52が設けられおり、適宜接続チューブ12と熱可塑性チューブ11の内部空間を外気に開閉できる。
【0022】
閉止部材13は、例えばネジ機構により接続チューブ12を押圧して閉止する構造を有している。例えば閉止部材13には、金属製のホフマン式ピンチコックが用いられる。
【0023】
膨張部材14は、例えばバルーン状に膨縮自在なゴムにより形成されている。膨張部材14は、例えば円筒形のネジ締め構造のクランプ60により通液口21のノズル部に固定されている。なお、この膨張部材14と通液口21との接続方法は、特に限定されるものではなく、気密に接続できるものであれば他のものであってもよい。
【0024】
また膜モジュール装置1は、図2に示すように蒸気滅菌時に接続チューブ12又は熱可塑性チューブ11の少なくともいずれかを固定する固定装置70を備えている。
【0025】
固定装置70は、例えば固定用板80と、固定用板80にチューブを固定する複数の固定具81を有している。固定用板80は、略方形状を有し、下部中央に中空糸膜モジュール10を配置する凹状の切欠き80aが形成されている。固定具81は、例えばチューブバンドであり、例えば固定用板80の上部の複数個所、例えば右端部付近、中央付近、左端部付近に設けられている。固定用板80には、例えばポリプロピレン製の平板が用いられる。
【0026】
次に、以上のように構成された膜モジュール装置1を用いた中空糸膜モジュール10の蒸気滅菌方法について説明する。
【0027】
初め、例えば熱可塑性チューブ11と接続チューブ12が互いに接続され、その状態で中空糸膜モジュール10から取り外されている。
【0028】
そして、先ず、中空糸膜モジュール10内に液体としての純水Hを充填し、各通液口20〜23を仮栓する。
【0029】
次に、閉止部材13により接続チューブ12の中央付近を閉止する。次に接続チューブ12の開口端を上に向け、接続チューブ12内に純水Hを入れる。これにより、接続チューブ12における閉止部材13より開口端側の内部空間に純水Hが充填される。その後、これを、純水Hがこぼれないように凍らせる。
【0030】
次に、図1に示したように中空糸膜モジュール10内の純水Hが漏れないように、中空糸膜モジュール10の一つの通液口21に膨張部材14を接続する。なお、このとき、膨張部材14を縮小状態にしておく。
【0031】
次に、中空糸膜モジュール10内の純水Hが漏れないように、中空糸膜モジュール10の3つの通液口20、22、23に、純水Hが充填されている接続チューブ12を接続する。こうして、膜モジュール装置1が図1の状態となる。なお、このときの中空糸膜モジュール10内と接続チューブ12を含む密閉空間の純水Hの充填率は、密閉空間全体に対して20%以上100%以下が好ましく、50%以上100%以下がより好ましい。95%以上100%以下がさらに好ましい。なお、上記の充填率は常温における体積比率で示すものである。
【0032】
次に、図2に示したように膜モジュール装置1の熱可塑性チューブ11を固定装置70に固定する。このとき、通液口20、21を上に向けた状態で中空糸膜モジュール10を固定用板80の下部中央の切欠き80aに配置し、各熱可塑性チューブ11を上に延ばし、固定具81により固定用板80に固定する。このとき、熱可塑性チューブ11を可能な限り延ばして弛まないように固定する。そして、各熱可塑性チューブ11の開閉キャップ52を開け、閉止部材13より先端側の内部空間(接続チューブ12の閉止部材13より熱可塑性チューブ11側の内部空間と熱可塑性チューブ11の内部空間)を外気に開放する。
【0033】
次に、固定装置70に固定された状態の膜モジュール装置1を通気透過性部材の包装体としての滅菌袋200に入れて密封する。次に、その膜モジュール装置1を蒸気滅菌装置に入れる。このとき、所定の収容部に固定用板80を立てて差し込み、膨張部材14を上に向けた状態で、膜モジュール装置1を台車に搭載し、当該台車を蒸気滅菌装置の滅菌室に入れる。次に滅菌室において、中空糸膜モジュール10を121℃の蒸気雰囲気で蒸気滅菌する。このとき、熱可塑性チューブ11が開放されているので、熱可塑性チューブ11内の空間と、接続チューブ12内の閉止部材13よりも熱可塑性チューブ11側の空間も蒸気雰囲気に曝されて滅菌される。また、蒸気滅菌の温度変動により、中空糸膜モジュール10の内圧が大きく変動するが、純水Hは、閉止部材13により封止されており、純水Hが漏れることはない。蒸気滅菌終了後、乾燥によりフィルター充填水以外の水分が飛ばされ、開閉キャップ52が閉じられて、この状態で膜モジュール装置1が出荷される。
【0034】
次に、図3に示すように膜モジュール装置1の熱可塑性チューブ11と液処理回路90を接続し、液体処理システム100を構成する例について説明する。例えば液体処理システム100の液処理回路90は、培地調整槽120と、細胞培養槽121と、培地調整槽120及び細胞培養槽121と膜モジュール装置1とを接続するチューブ122と、ポンプ123を有している。チューブ122は、例えば熱可塑性チューブである。
【0035】
上述の蒸気滅菌が終了した膜モジュール装置1を滅菌袋から取り出し、固定装置70を取り外し、膜モジュール装置1の熱可塑性チューブ11と液処理回路90の熱可塑性チューブ122とを、専用のチューブ接合装置により無菌接続する。例えば図4(a)〜(c)に示すように、チューブ接合装置のチューブ保持部130により、熱可塑性チューブ11と熱可塑性チューブ122を平行に並べて保持し、それらのチューブ11、122をブレード131により切断しながら、チューブ11、122の切断面をずらし、熱を加えて熱溶着させる。なお、チューブ接合装置としては、例えばGEヘルスケア社製のSterile Tube Fuser、Saint-Gobain社製のC'eal-Flex TPE Ultra Sealer、Sartorius Stedim Biotech社製のBioWelder(登録商標)などを用いてもよい。
【0036】
培地調整槽120に通じる熱可塑性チューブ122は、中空糸膜モジュール10の通液口23の熱可塑性チューブ11に無菌接続(図3のS1部分)され、細胞培養槽121に通じる熱可塑性チューブ122は、中空糸膜モジュール10の通液口20の熱可塑性チューブ11に無菌接続(図3のS2部分)される。こうして液体処理システム100が構成される。この液体処理システム100では、例えば培地調整槽120の細胞培養液が、ポンプ123によりチューブ122を通じて中空糸膜モジュール10の中空糸膜Aの一次側に送られ、中空糸膜Aを通過した培養液がチューブ122を通じて細胞培養槽121に回収される。
【0037】
本実施の形態によれば、中空糸膜モジュール10の通液口20、22、23と無菌接続用部材である熱可塑性チューブ11とを接続チューブ12で接続し、接続チューブ12に閉止部材13を取り付けることができるので、中空糸膜モジュール10に充填される純水Hが熱可塑性チューブ11に入り込むことを防止できる。これにより、熱可塑性チューブ11の熱溶着による無菌接続を適正に行うことができる。また、接続チューブ12は、蒸気滅菌に対する耐熱性を有しているので、蒸気滅菌にも耐え得る。よって、無菌接続用部材である熱可塑性チューブ11を中空糸膜モジュール10に適用でき、この結果、中空糸膜モジュール10を液体処理システム100の液処理回路90に接続する際に滅菌処理を行う必要がなく、培地濾過処理等の処理にかかる手間や時間を軽減できる。
【0038】
閉止部材13は、ネジ機構により接続チューブ12を押圧して閉止する構造を有しているので、蒸気滅菌時に中空糸膜モジュール10の内圧が大きく変動しても閉止部材13の緩みを防止し、高い閉止性を維持できる。
【0039】
熱可塑性チューブ11は、開閉キャップ52により開閉できるので、蒸気滅菌時に外気に曝して、熱可塑性チューブ11と接続チューブ12の内部空間を滅菌できる。
【0040】
膜モジュール装置1は、接続チューブ12又は無菌接続用部材としての熱可塑性チューブ11の少なくともいずれかを固定する固定装置70を有しているので、蒸気滅菌時に接続チューブ12や熱可塑性チューブ11が折れたり大きく曲がり純水Hが漏れるきっかけとなることを防止できる。さらに、中空糸膜モジュール10の膨張部材14を上に向けておくことができるので、内部で生じた僅かな気泡を膨張部材14に誘導し集めることができる。
【0041】
中空糸膜モジュール10の一つの通液口21に、蒸気滅菌時の中空糸膜モジュール10の内圧の上昇により膨張する膨張部材14が接続されているので、蒸気滅菌時の内圧の上昇を吸収し、蒸気滅菌を適正に行うことができる。
【0042】
以上の実施の形態では、無菌接続用部材が、熱溶着により無菌接続するための熱可塑性チューブであったが、それに限られず、接続面に介在される膜を外して無菌接続する無菌接続コネクタであってもよい。かかる場合、例えば図5に示すように接続チューブ12の先端に無菌接続コネクタ130が取り付けられる。無菌接続コネクタ130は、例えば接続チューブ12内に挿入される管状の挿入部140と、接続面141aを形成するフランジ状の接続部141と、接続面141aに設けられ管路を封鎖する封鎖テープ142と、を有している。無菌接続コネクタ130は、例えばオス型とメス型を有するものと、同一形状の一対を組み合わせられるものがある。例えば一方の無菌接続コネクタ130の接続面141aと、図6に示すようにもう一方の無菌接続コネクタ130(液処理回路90側のチューブの無菌接続コネクタ)の接続面141aとを嵌合させて固定し、その接続面141aの間に介在されたテープ142を引き抜いて、無菌状態を維持しながら互いのチューブを接続できる。なお、無菌接続コネクタ130には、例えばGEヘルスケア社製 Ready Mate DAC、PALL社製Kleenpak HT、Sartorius Stedim Biotech社製OPTA SET(Sterile Fluid Transfer)等の無菌コネクタなどが用いられる。
【0043】
また、かかる場合、接続チューブ12に、外気に対し開閉自在な開閉部150を設けてもよい。開閉部150は、例えば接続チューブ12から分岐し他端が開放された分岐チューブ160とその分岐チューブ160を閉止可能な閉止部材161とを有していてもよい。
【0044】
蒸気滅菌時には、閉止部材13を、接続チューブ12の分岐チューブ160よりも中空糸膜モジュール10側の位置に取り付け閉止する。また、接続チューブ12を、固定具81により固定用板80に固定する。接続チューブ12を、開閉部150により大気開放し、その状態で蒸気滅菌を行う。蒸気滅菌終了時には、開閉部150を閉じ、接続チューブ12内を密閉する。
【0045】
かかる例においても、無菌接続用部材である無菌接続コネクタ130に、中空糸膜モジュール10の純水Hが接触することを防止できる。これにより、例えばテープ142が濡れないので、無菌接続コネクタ130による無菌接続を適正に行うことができる。また、開閉部150があるので、滅菌処理時に接続チューブ12内を滅菌蒸気に曝すことができ、接続チューブ12内の滅菌も適正に行うことができる。なお、この例において、開閉部150を設けずに、蒸気滅菌時に滅菌袋内で無菌接続コネクタ130を外し、接続チューブ12を開放し、蒸気滅菌終了後に滅菌袋内で無菌接続コネクタ130を接続チューブ12に接続してもよい。
【0046】
また、上記図1に示した実施の形態において、図7に示すように、図1における耐熱性の接続チューブ12と熱可塑性チューブ11を連結するコネクタ50を二分割可能なコネクタ50に変更してもよい。そして、上記実施の形態と同様に膜モジュール装置1の中空糸膜モジュール10の通液口20、22、23に接続チューブ12を接続し、当該接続チューブ12を閉止部材13により閉止した状態で、膜モジュール装置1を滅菌袋に入れて密封包装し、その後、接続チューブ12と熱可塑性チューブ11を分離した状態で滅菌し、滅菌後に滅菌袋の中で接続チューブ12と熱可塑性チューブ11を連結するようにしてもよい。二分割可能なコネクタとしては、蒸気滅菌に耐性があり、また、容易に連結作業が可能なコネクタが好ましい。たとえばコールダープロダクツ社製のMPXシリーズのコネクタなどを用いることができる。また、図1及び図7の実施の形態において、開閉キャップ52に代えて、図5に示した無菌接続コネクタ130を用いてもよい。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
例えば上記実施の形態において、無菌接続用部材は、熱可塑性チューブ11或いは無菌接続コネクタ130であったが、これに限られず、無菌接続可能な他のものであっても本発明は適用できる。また、接続チューブ12は、中空糸膜モジュール10の3つの通液口20、22、23に接続していたが、1つ以上であればその数と位置はこれに限定されるものではない。中空糸膜モジュール10の構成もこれに限定されるものではなく、通液口の数や位置、形状もこれに限定されるものでない。また、中空糸膜モジュール10の通液口、接続チューブ12及び無菌接続用部材の互いの接続手段、接続方法も上記実施の形態のものに限られない。これらの接続の順番も適宜変更してもよい。固定装置70、閉止部材13及び膨張部材14の構成もこれに限られない。閉止部材13の金属製のネジ式のピンチコックは、内圧が高くなる蒸気滅菌に特に適しているが、これに限られず、非金属でネジ式でない閉止部材にも本発明は適用できる。
【0049】
また、以上の実施の形態において、膨張部材14が通液口21に直接的に接続されていたが、間接的に接続されていてもよい。例えば中空糸膜モジュール10の通液口にチューブを接続してその先端に膨張部材14を取り付けてもよいし、通液口に、先端が二股のチューブを接続し、片方に膨張部材14を接続し、片方に無菌接続用部材を接続してもよい。
【0050】
また、液体処理システム100及び液処理回路90の構成もこれに限られず、他の構成を有するものであってもよい。また、ウィルス除去処理などの他の液処理を行うための膜モジュール装置や液体処理システムにも、本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、無菌接続用部材を中空糸膜モジュールに適用可能にしユーザが滅菌処理を行う必要がない膜モジュール装置、その膜モジュール装置を有する液体処理システム、及び中空糸膜モジュールの蒸気滅菌方法を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 膜モジュール装置
10 中空糸膜モジュール
11 熱可塑性チューブ
12 接続チューブ
13 閉止部材
14 膨張部材
20〜23 通液口
70 固定装置
90 液処理回路
100 液体処理システム
130 無菌接続コネクタ
A 中空糸膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7