【文献】
KUSAKA, M et al.,Up-Regulation of Osteopontin, Chemokines, Adhesion Molecule, and Heat Shock Proteins in 1-Hour Biopsy From Cardiac Death Donor Kidneys,Transplantation Proceedings,2005年,Vol. 38, No. 10,,pp. 3347-3350
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明者らは、良好な再現性を有するプロテオミック適用範囲の中等度の深度を作成するために既に示された、高質量精度TLQ−Orbitrap Velosラベルフリー分析と組み合わせた最も豊富なタンパク質の14個の免疫除去を使用して
21、DGFを有する又はDGFを有していない腎移植を受けた患者から術前及び術後に採取した血清タンパク質を比較した。発明者らは、驚くべきことには、アミノアシラーゼ−1(ACY−1)を重要な候補として同定した。アッセイに続いて、初めて血清中のACY−1の測定を可能にする開発、早くも移植後第1日のサンプルにおけるIRI及びDGFのためのバイオマーカーとしてのACY−1の有望な臨床上の利用性を確認する患者のより大きいコホートにおける検証、及び重要なことには、有意な転帰との関連が認められた。
【0035】
さらに、血清系バイオマーカーの同定及び血清の使用は、IRI、特にDGFとの関連では明白な利点を有する。DGF患者は尿排出量が全くない(これは、尿マーカーの有用性に対して劇的に影響を及ぼす)。余剰の本来の尿排出量は、さらに、この臨床状況において、尿マーカーのアセスメント及び使用を複雑にする。
【0036】
血清のプロテオミック分析から、ACY−1をDGF用のバイオマーカーと特定した。バイオマーカーは、臨床上有用な様式で、腎移植後の患者群の早期の描写を提供し、しっかりと開発されたプロテオミック法、候補の選択及び臨床テスト開発システムを開発を通して、注意深く集めた及び注釈が付けられた臨床サンプルセットにより、臨床での使用の瀬戸際で、明確に定義された臨床上の疑問を持つ可能性を証明している。
【0037】
発明者らは、1)再現性の免疫除去と、Orbitrap Velos質量分析計を使用する高質量精度タンデム質量分析との組み合わせにおける必要な方法論
21;及び2)バイオマーカーパイプラインの発見及び初期検証段階、及び付随する臨床データとともに、将来を見越して集められたサンプルの高品質バンクに至る臨床医及び科学者の一体的なチームの使用の両方の開発を通して、血清のプロテオミック分析から、潜在的に臨床上の有用性を有するマーカーを誘導することができた。
【0038】
アミノアシラーゼ−1(ACY−1)
アミノアシラーゼ−1(ACY−1)(N−アシル−L−アミノ酸アミドヒドロラーゼとも呼ばれる)は、ペプチダーゼM20Aファミリーに属し、N−アシル化又はN−アセチル化アミノ酸(L−アスパラギン酸を除く)の加水分解に関与し、カルボン酸エステル及びL−アミノ酸を生成すると考えられる。ACY−1は、予測された単量体質量45.3kDaを有する亜鉛結合ホモ二量体細胞質タンパク質である
22。真核性細胞では、全細胞タンパク質の50〜80%がN末端でアシル化されている(タンパク質の機能及び安定性に影響を及ぼし得る翻訳時又は翻訳後の修飾である)。ACY−1は、N−アシル化ペプチド、特にN−アセチル化された中性脂肪族アミノ酸の加水分解において触媒作用を発揮して、タンパク質合成のための遊離のアミノ酸を放出する
23。発現及び活性の最も高いレベルは、腎臓において見られ、続いて、肝臓、脳、骨格筋及び膵臓であり、いくつかの他の臓器において低いレベルの発現が認められる
22, 24-27。パン細管ACY−1発現は、アミノ酸回収における提案された役割
28を有するブタ腎臓において示されたが
26、ヒト腎臓では、主に近位細管発現である
26。可変性の神経学的特徴を有する代謝の先天異常は、ACY−1の突然変異と関連し(突然変異に応じて、ACY−1の発現及び活性に対する影響を有する)、尿性のN−アセチル化アミノ酸を増大させる
25。染色体3p21.1上に配置された場合、腎臓ガン及び肺ガンの両方において、ガン抑制遺伝子としての役割が提案されている
22, 30, 31。
【0039】
移植前の低い又は検出不能な血清ACY−1濃度及び肝臓ドナーにおける感染による又は手術後の各種増大の不在は、DGFにおけるACY−1の移植後の上昇が、単に、障害性の腎クリアランス又は炎症によるものではないことを示唆している。DGFは、プレ−獲得から手術後の期間を通して、複数のリスク要因及び細管を含む各種の細胞及び脈環構造に関わる根底にある機構と複合している
9, 32。腎細尿管源を仮定すると、DGFの多くのケースにおける増大した血清ACY−1は、細管のダメージの程度を反映するものであり、これは、ATN(生検の数は少ないが)との連合及び血清ACY−1濃度の、緩慢な移植片機能発現による非併合性の移植からDGFまでの傾向によって支持される。逆に、より高いACY−1とDGFに続くより良好な転帰との間の関係は、潜在的にタンパク質合成についてのアミノ酸の利用性に対する影響を介して、増大された合成及び修復プロセスにおける役割を表示できる。
【0040】
ACY−1は、シクロスポリンで処置したラット又はシロリムス(ただし、タクロリムスではない)で処置したラット
33では、顕著に変化する75個の尿タンパク質の1つであり、ACY−1は、臓器毒性に関与すると提唱されるミコフェノール酸モフェチル(MMF)から腎臓において産生された生物学的に活性な代謝物と付加物を形成する
34。しかし、発明者らは、CNI毒性又はMMFとのリンクを見出していない。興味深いことには、AKI患者22人からの血清サンプルの分析(その内の10は、診断3日以内である)は、血清ACY−1濃度が全て<60ng/mLであること示し(データは示されていない)、これは、恐らく、損傷又は修復又はどんな根本的なIRIを反映するかどうかは、特定の移植状況において主として遭遇した及び/又はその際に、より極端且つ広範囲の虚血/病低酸素状態下においてのみ生ずる病理過程に非常に特異的であることを示している。これは、DBD、DCD及びLD移植の間の血清ACY−1における著しい差異によっても支持される。
【0041】
DGFのためのマーカーに関して、死亡した又は生存するドナーからの移植片から0時間の生検における遺伝子の発現(特に、ケモカインCCL19及び21及びプロテアソームサブユニットPSMB8及び10において)を、関連する臨床因子と組み合わせた結果、AUC値は、DGFについて0.74及び急性拒絶反応について0.93であった
35。DGF患者からの生検におけるRANTES及びCCR1/CCR2の発現は、移植後1年の時点及びそれ以降の移植片の機能と関連することも報告されている
36。AKIにおける使用について、いくつかの既存のマーカーも検討されている
37,38が、例えば、組織KIM−1はDGFとは相関せず
39、一方、尿中NGAL及びIL−18は、DGFについて、いくらかの的中率を有する
17,40が、長期間の機能との相関はない
41。第1日の血清NGAL濃度は、DGFについての的中率を有していないが、発明者らの研究と同様に、血清シスタチンCはAUC0.83を有する。DGFに関連するACY−1のついての発明者らの特異度(88.5%)及び陰性的中率(81.7%)は非常に高く、潜在的にバイオマーカーパネルに貢献できる。直接的に腎機能を反映する血清シスタチンCは、各種の臨床現場においてAKIを予測することにおける使用のメタ分析でみられる0.96と同様のAUCにより、DGFを早期に予測することにおいては、ACY−1よりも優れている
42。しかし、ACY−1及びシスタチンCを併用することは、第1日では、より高い特異度を有するACY−1より、わずかに良好であり、より高感度のACY−1アッセイが開発された場合には、ACY−1による更なる識別化が可能であろう。
【0042】
IRIのマウスモデルにおける遺伝子発現研究から、更なる推測機構が明らかであろう
43。スフィンゴシンキナーゼ−1(SphK1)は、スフィンゴシン−1−ホスフェート(腎臓IRIの保護/修復に関与する)の形成において触媒として機能し
44-46、機能によって分類される移植片の間で異なり
47、ACY−1と相互作用することが報告されている
30,48。ドナーの生検における炎症及び免疫−応答遺伝子は、圧倒的に、IRI及びDGFと関連付けられており、更なる見識を提供するために、総合システムによる生物学的分析アプローチが提案されている
15。最近のDGF及び非DGF移植前生検の比較では、DGF群が、第1年の間に、腎機能に基づいてサブ分類されるまで、何らの顕著な経路のクラスタリングが見出されておらず、遺伝子がT細胞の活性化に関与する際、抗原提示及び細胞接着が、その後の乏しい機能と関連付けられている
47。DGF患者のサブ分類は、当該の研究(この研究では、移植後の血清ACY−1における明確な上昇が、DGFの患者の約2/3においてのみ認められる)におけるACY−1による状況と類似している。これは、異なる根本の病態生理学的サブグループを含むことができ、また、DGF患者群内におけるACY−1の予後の値を証明する。
【0043】
尿細管細胞のアポトーシス及び再生は、腎移植における腎移植片によって経験される虚血再灌流障害(IRI)の基本的な部分であるため、及び上述のようにACY−1の管内局在化があるとすれば、移植片機能発現遅延(DGF)のような顕著なIRIに至るプロセスに関連するACY−1の可能性は、生物学的には真実味がある。Wisterラットに関する単独の研究において、ACY−1に対するカルシニューリン阻害剤及びシロリムスの影響が認められている一方、腎移植の上でのACY−1のバイオロジーの確固とした理解は欠けている。
【0044】
ここで使用するように、用語「ACY−1」は、アミノアシラーゼ−1のポリペプチド及び核酸分子の両方を意味するものとして使用する。
【0045】
好ましくは、ACY−1は、ヒトACY−1ポリペプチド又は核酸分子である。
【0046】
ここで使用するように、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNA又はゲノムDNA)及びRNA分子(例えば、mRNA)及び例えば、ヌクレオチドアナログの使用によって産生されたDNA又はRNAのアナログを含む。核酸分子は一本鎖又は二本鎖であるが、好ましくは二本鎖DNAである。
【0047】
1具体例では、ACY−1核酸分子は、配列番号1において示されるヌクレオチド配列、又はこのヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントを含んでなる。1具体例では、核酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列又はこのヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントからなる。
【0048】
他の具体例では、単離されたACY−1核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列、又はこのヌクレオチド配列のいずれかのフラグメントの補体である核酸分子である。他の具体例では、本発明の核酸分子は、ハイブリダイゼーション条件下において、配列番号1に示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズできるように、配列番号1に示されるヌクレオチド配列に対して十分に補足性であり、これにより、安定したディープレックスを形成できる。好ましくは、ハイブリダイゼーション条件は、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件である。
【0049】
ここで使用するように、用語「高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件」は、ハイブリダイゼーション及び洗浄のための条件を記述する。ストリンジェントな条件とは、当業者には公知であり、入手できる文献(例えば、「分子生物学における最新のプロトコル」,John Wiley & Sons,ニューヨーク,1989,6.3.1−6.3.6)に見られる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好適な例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中、約45℃におけるハイブリダイゼーション、続く、0.2×SSC、0.1%(w/v)SDS中、約50℃における1回又はそれ以上の洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好適な他の例は、6×SSC中、約45℃におけるハイブリダイゼーション、続く、0.2×SSC、0.1%(w/v)SDS中、約55℃における1回又はそれ以上の洗浄である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件のさらに他の例は、6×SSC中、約45℃におけるハイブリダイゼーション、続く、0.2×SSC、0.1%(w/v)SDS中、約60℃における1回又はそれ以上の洗浄である。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSC中、約45℃におけるハイブリダイゼーション、続く、0.2×SSC、0.1%(w/v)SDS中、約65℃における1回又はそれ以上の洗浄である。特に好ましいストリンジェンシー条件(及び実務家が、分子が本発明のハイブリダイゼーションの制限内にあるかどうかを決定するために、いかなる条件を適用すべきか確信できない場合に使用されるべき条件)は、0.5モルリン酸ナトリウム、7%(w/v)SDS中、65℃、続く、0.2×SSC、1%(w/v)SDS中、約65℃における1回又はそれ以上の洗浄である。
【0050】
1具体例では、本発明のACY−1核酸分子は、配列番号1に示されるヌクレオチド配列の全長と、少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上同一であるヌクレオチド配列を含んでなるか又はからなる。
【0051】
ここで使用するように、用語「相同性」及び「同一性」は、相互に交換可能なものとして使用される。配列間の配列の相同性又は同一性の算定は、下記のようにして行われる。
【0052】
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列の同一性(%)を決定するために、最適な対比を目的として、配列を整列する(例えば、最適な整列のために、第1及び第2のアミノ酸又は核酸配列の一方又は両方にギャップを導入でき、比較のため、非相同配列を無視できる)。好適な具体例では、比較のために整列した対照配列の長さは、対照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、75%、80%、82%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。ついで、対応するアミノ酸の位置又はヌクレオチドの位置におけるアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占有されていれば、配列はその位置において同一である(ここで使用するように、アミノ酸又は核酸の「同一性」は、アミノ酸又は核酸の「相同性」と等しい)。2つの配列間の同一性(%)は、ギャップの数及び各ギャップの長さ(2つの配列の最適な整列のために導入することが要求される)を考慮して、配列によって分けられた同一の位置の数の関数である。
【0053】
配列の対比及び2つの配列間の同一性(%)の決定は、数学的アルゴリズムを使用して行われる。好適な具体例では、2つのアミノ酸配列の間の同一性(%)は、GCGソフトウエアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可能)におけるGAPプログラムを組み込んだNeedlemanらアルゴリズム(J. Mol. Biol.(1970),48:444−453)(BLOSUM62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか及びギャップウエイト16、14、12、10、8、6、又は4及び長さウエイト1、2、3、4、5、又は6を使用する)を使用して決定される。さらに他の好適な具体例では、2つのアミノ酸配列の間の同一性(%)は、GCGソフトウエアパッケージ(http://www.gcg.comにて入手可能)におけるGAPプログラム(NWSgapdna.CMPマトリックス及びギャップウエイト40、50、60、70、又は80及び長さウエイト1、2、3、4、5、又は6を使用する)を使用して決定される。特に好適な因子のセット(及び実務家が、分子が本発明の配列同一性及び配列相同性の制限内にあるかどうかを決定するために、いかなる因子を適用すべきか確信できない場合に使用されるべきもの)は、ギャップペナルティー12、ギャップエクステンションペナルティー4及びフレームシフトギャップペナルティー5を有するBLOSUM62スコアマトリックスである。
【0054】
或いは、2つのアミノ酸又はヌクレオチドの配列間の同一性(%)は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたMeyersらのアルゴリズム((1989)、CABIOS 4:11−17)(PMA120加重残余表、ギャップレングスペナルティー12及びギャップペナルティー4を使用する)を使用して決定される。
【0055】
1具体例では、核酸フラグメントは、ACY−1のドメイン、領域、又は機能的部位に相当する配列を含んでなるか又はからなる。或いは、ACY−1の核酸フラグメントは、ACY−1ポリペプチドのエピトープ保有領域をコードする。
【0056】
好適な具体例では、核酸フラグメントは、配列番号1の300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600個又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含んでなるか又はからなる。
【0057】
1具体例では、ACY−1核酸分子は、ACY−1ポリペプチド、好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列を含んでなる又はからなるACY−1ポリペプチド、好ましくは機能的対立遺伝子変異体をコードする核酸配列を含んでなるか又はからなる。或いは、ACY−1核酸分子は、ACY−1ポリペプチドの対立遺伝子変異体、好ましくは機能的対立遺伝子変異体をコードする核酸配列を含んでなるか又はからなる。
【0058】
ここで使用するように、用語「ACY−1ポリペプチドの対立遺伝子変異体」は、機能タンパク質及び非−機能タンパク質の両方を含む。機能的対立遺伝子変異体は、ACY−1活性を維持する、集団内のACY−1ポリペプチドの天然のアミノ酸配列変異体である。機能的対立遺伝子変異体は、一般的には、配列番号2の1又はそれ以上のアミノ酸の保存的な置換、又はポリペプチドの重大でない領域における重大でない残基の置換、欠失又は挿入のみを含有する。
【0059】
「重大でない」アミノ酸残基は、ACY−1の生物活性を無効にする又は実質的に変更することなく、ACY−1の野生型の配列(例えば、配列番号2の配列)から変更される残基であり、一方、「必須の」アミノ酸残基は、このような変更を生ずる。
【0060】
「保存的な置換」は、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられる置換である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、、グルタミン酸)、不変の極性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性の側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分枝状の側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族の側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。
【0061】
1具体例では、ACY−1ポリペプチド分子は、配列番号2において示されるアミノ酸配列、又はこのアミノ酸配列のいずれかのフラグメントを含んでなる。1具体例では、ポリペプチド分子は、配列番号2のアミノ酸配列、又はこのアミノ酸配列のいずれかのフラグメントからなる。
【0062】
1具体例では、ACY−1ポリペプチドは、配列番号2と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又はそれ以上同一であるアミノ酸配列を含んでなるか又はからなる。好ましくは、このようなポリペプチドは、ACY−1生物活性を保持する。
【0063】
1具体例では、ACY−1ポリペプチドは、配列番号2のポリペプチドの対立遺伝子変異体、又はこのアミノ酸配列のフラグメントである。
【0064】
1具体例では、ペプチドフラグメントは、ACY−1ポリペプチド、例えば、配列番号2のポリペプチドのエピトープ保有領域をコードする。
【0065】
1具体例では、ACY−1フラグメントは、配列番号2のポリペプチド生物学的に活性なフラグメントを含んでなる又はからなる。
【0066】
ここで使用するように、ACY−1ポリペプチドの「生物学的に活性なフラグメント」は、ACY−1ポリペプチドのアミノ酸配列(例えば、配列番号2において示されるアミノ酸配列)と十分に相同性であるか又は前記アミノ酸配列から誘導されたアミノ酸配列を含んでなるペプチド(全長ACY−1ポリペプチドよりも少ないアミノ酸を含み、ACY−1ポリペプチドの少なくとも1つの活性を発揮する)を含む。ACY−1ポリペプチドの生物学的に活性なフラグメントは、配列番号2の10、25、50、100、200個又は以上の連続するアミノ酸を含んでなるか又はからなる。
【0067】
好ましくは、ACY−1ポリペプチドは、配列番号2のポリペプチドの対立遺伝子変異体である。
【0068】
ここで使用するように、用語「ACY−1の活性」及び「ACY−1の生物活性」は、ACY−1の活性に関する。このような活性としては、アシル化L−アミノ酸のL−アミノ酸及びアシル基への加水分解に触媒作用を発揮する能力が含まれる。他の活性としては、亜鉛を結合する能力が含まれる。
【0069】
診断及び予後アッセイ
発明者らは、ACY−1が、全ての患者において、移植前では、低いか又は検知不能であり、生体ドナーにおける濃度が、検知不能であるか又は一貫して非常に低いままであることを確認した。さらに、ACY−1の濃度は、CRPの変化と並行しては変化しなかった。これらの知見は、ACY−1が腎機能の尺度として単純に機能しないし(すなわち、移植前の末期腎疾患患者ではACY−1は産生されない)、炎症又は術後のマーカーとしても機能しないことを示唆している。むしろ、主に、移植片が術後に機能する速度に影響を及ぼすに十分な程度の虚血再灌流障害又は他の損傷/修復プロセスの面では、ピークとなるように思われる(SGF及びDGFの両方において無併発性の移植片と比べて明らかに上昇されている)。ACY−1は尿細管に位置していることと調和して、唯1人の患者において、十分なタクロリムス毒性が生ずる場合(それ自体、尿細管の損傷の原因となる)、発明者らは、並行しては、ACY−1における比較的小さい増大を観察した。しかし、ACY−1は、臨床上見られるタクロリムスレベルにおけるより小さい、より一般的な変動によっては影響されないし、陽性の中流尿培養によっては影響されない(これらが、高CRP濃度及び入院患者の静脈内抗生物質治療の必要性によって証明された臨床上の顕著な病態生理学と関連する場合でさえも)。
【0070】
第1日のACY−1血清濃度は顕著にDGFと関連したが、多変量分析では、統計学的有意性には達し得なかった。マーカーが移植後第1日のような早期に臨床的対応を知らせる可能性は、明らかに有利である。DGFに関連するACY−1についての特異度及び陰性的中率は非常に高く、臨床的に有用であることは注目される(感度及び陽性的中率は、一方では、コホート1においては適正であるのに、コホート2では非常に高いのに反して、低いACY−1濃度は、透析を必要とするようにはならない患者群を、より正確に限定できることを意味する)。それにもかかわらず、ROC分析で見られるAUCsも十分に高く、臨床的に有用である(コホート1及び2において、それぞれ、0.74及び0.77)。有望な新規のバイオマーカーを、血清クレアチニンのような不完全なゴールドスタンダードと比べることの困難性にもかかわらず、現在の移植後の臨床環境におけるACY−1の有用性は、シスタチンCとの組合せにおけるAUCs(コホート1及び2において0.94及び0.93)から見られる。
【0071】
発明者らは、ACY−1濃度と、DGFの期間(血清クレアチニンのプラトーに対する日によって定義される)の又は1年、3年又は5年の時点での、より長い期間の腎機能因子(クレアチニン、eGFR、uPCR)との相関関係は観察されなかった。しかし、発明者らは、驚くべきことには、DGF患者の中でも、より高いACY−1濃度の患者は、カプラン・マイヤー分析によって、群として、5年の時点で、より高い透析フリーの生存率を有することが認められた。これは、移植後のIRIの間における高ACY−1濃度は、実際に、移植片が、IRIが不利益を被らない程度までIRIを改善するためには保護性である(必要でさえある)ことを示唆しており、これは、更なる調査のための創造力に富む領域を提供する。
【0072】
従って、発明者らは、ACY−1を、予測医学(例えば、診断アッセイ及び予後アッセイ)における特別な用途のバイオマーカーとして確認した。
【0073】
発明者らによって提供されるデータは、ACY−1が、虚血再灌流障害についてのバイオマーカーとして有用であることを確認する(ACY−1のレベルが、虚血再灌流障害に罹っている又は発症する危険がある患者を特定できる)。
【0074】
ここで使用するように、「虚血再灌流障害」は、虚血又は酸素不足の状態の後、組織へ血液が供給される際に生ずる組織の損傷を言う。虚血期間における血液からの酸素及び栄養の欠如は、血行の回復により、酸化ストレスの誘導を介して、炎症及び酸化的損傷を生ずる状態を創成する。いずれの組織も虚血再灌流障害を受け得る。特に、感受性の組織としては、脳、心臓、腎臓、肺、肝臓及び骨格筋が含まれる。
【0075】
虚血及びそれによる虚血再灌流障害は、心筋梗塞、敗血症、卒中及び臓器及び組織の獲得及び移植において生ずることがある。移植の際に虚血及び続く虚血再灌流障害に至り得る臓器としては、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、腸、及び胸腺が含まれる。
【0076】
虚血再灌流障害は、移植を受けた患者において、移植片機能発現遅延を生ずることが知られている。ここで使用するように、「移植片機能発現遅延」は、移植後における透析の必要性(いくつかの理由による)又は血清クレアチニン(又はいくつかの他の腎臓機能のマーカー(クレアチニンクリアランスのような算定因子を含む))の期待したような改善の達成不能を含む(ただし、これらに限定されない)いくつかの臨床的定義によって決定されるように、腎移植片の術後の適切な機能発現の不能/遅延を言う。例えば、移植片機能発現遅延は、a)腎移植後第1週における透析の要求;b)単独の高カリウム血症のため以外に、腎移植後第1週における透析の必要性;c)移植後第1週における、増大、現状維持、連続する3日間における1日当たり10%未満の減少のいずれかの術後血清クレアチニンレベルの観察;及びd)Cockcroft算定クレアチニンクリアランス(cCCr)<10ml/分(DGFは、ついで、この値が>10ml/分になった際に終わったと言われる)によって決定される。
【0077】
ここに提供されるデータは、ACY−1が、移植片機能発現遅延についてのバイオマーカーとして有用であることを確認する(ACY−1のレベルが、移植片機能発現遅延に罹っている又は発症する危険がある患者を特定できる)。
【0078】
ここに記載する診断法は、虚血再灌流障害又は移植片機能発現遅延に罹っている又は発症する危険がある患者を特定できる。
【0079】
1態様では、本発明は、患者における虚血再灌流障害を診断する方法を提供し、該方法は、i)患者から採取したサンプルにおけるACY−1レベルを測定し;及びii)患者サンプルにおけるACY−1レベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1レベル又はACY−1について予め決定した対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して患者サンプルにおけるACY−1のレベルが増大している場合に、患者が虚血再灌流障害を有していると認定する。
【0080】
更なる態様では、本発明は、移植患者における移植片機能発現遅延を診断する方法を提供し、該方法は、i)患者から採取したサンプルにおけるACY−1のレベルを測定し;ii)患者のサンプルにおけるACY−1のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1のレベル又は予め決定したACY−1についての対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが増大している場合に、患者が移植片機能発現遅延を有していると認定する。本発明は、また、移植患者における移植片機能発現遅延を診断する方法を提供し、該方法は、i)移植前の腎移植組織から採取したサンプル又は腎移植組織の潅流後の潅流体液のサンプルにおけるACY−1のレベルを測定し;ii)腎移植組織から採取したサンプルにおけるACY−1のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1のレベル又は予め決定したACY−1についての対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが増大している場合に、患者が移植片機能発現遅延を有していると認定する。
【0081】
実施例に記載するように、発明者らは、虚血再灌流障害を有する患者、及び特に移植片機能発現遅延を有する患者におけるACY−1レベルは、虚血再灌流障害を有していない患者と比較して増大することを確認した。とりわけ、発明者らは、ACY−1レベルの増大が、移植後第1日、2日、3日及び4日において、術後の腎移植患者における移植片機能発現遅延の診断を可能にすることを確認した。
【0082】
ここに記載する予後アッセイは、患者のサンプルにおけるACY−1レベルに基づき、術後の腎移植患者についての透析管理戦略のような好適な体液管理戦略を決定するために使用される。
【0083】
1態様では、本発明は、術後の腎移植患者について体液管理戦略を決定する方法を提供し、該方法は、i)患者から採取したサンプルにおけるACY−1のレベルを測定し;ii)患者のサンプルにおけるACY−1のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1のレベル又は予め決定したACY−1についての対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが増大している場合に、患者が、術後の腎移植患者に通常投与される液体の量と比べて低減された量の液体を必要としていると認定する、又はコントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが低下している場合に、透析することが余り必要ではないため、患者にとっては、術後の腎移植患者に通常投与される液体の量と比べて増大された量の液体がためになるであろうと認定する。
【0084】
ここで使用するように、「術後の腎移植患者についての体液管理戦略」は、患者の臨床状態/要求によって決定されるように、患者への経口又は静脈内へのいずれか又は両方による投与又は投与を控えることを言う。例えば、DGF患者では、尿排出量は低減するか、しばしば、0となる。このような患者(排出手段を持たないもの)に多量の液体を投与することは、浮腫(肺浮腫による呼吸器合併症を含む)として証明されるように、水分過負荷を(最終的に)生ずるであろう。よって、DGFでは、低減された液体の投与(機能している移植片を有する患者について要求されるものと比べて)が好ましい。
【0085】
さらに、透析患者は、しばしば、わずかな量の尿を排出するか、全く排出しない。移植後では、患者がDGFを有していなければ、このような患者は多量の尿を排出する。このような状況では、前記患者に少なくとも同等(しばしば、より多く)の液体を投与することが必要である。これに関連して、十分に液体を投与することができなければ、患者は脱水状態になり、移植片の機能に影響を及ぼす。
【0086】
移植後の患者にどれだけの液体を投与するかを決定する基準法は存在していない。個人的に、患者の尿排出量、及び臨床状態(例えば、それらを調査する肺浮腫の兆候がある)を検査することによって行われている。しかし、良好に機能している移植片では、十分な量の液体を投与することが要求される。DGFを有する移植片では、同様の量の液体を投与することは有害となりがちである。
【0087】
更なる態様では、本発明は、術後の腎移植患者について透析管理戦略を決定する方法を提供し、該方法は、i)患者から採取したサンプルにおけるACY−1のレベルを測定し;ii)患者のサンプルにおけるACY−1のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1のレベル又は予め決定したACY−1についての対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが増大している場合に、患者が移植後1〜7日内に透析を必要としていると認定する、又はコントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して、患者サンプルにおけるACY−1のレベルが低下している場合に、患者が移植後1〜7日内には透析を必要としないと認定する。
【0088】
ここで使用するように、「術後の腎移植患者についての透析管理戦略」とは、術後の腎移植患者が透析を必要としているかどうかの決定を言う。このような戦略は、腎移植患者において、術後毎日、更新及び評価され、体液状態、及び患者の臨床状態の他の態様とともに、高カリウム血症、血清クレアチニン及び血清尿素のような生物化学的因子に基づく。時には、透析の決定は、例えば、DGFを有する患者が過剰の液体を摂取し、肺水腫により呼吸器の合併症を発症した場合(緊急の透析が必要となりがちである)のように、迅速に行われなければならない。
【0089】
本発明は、また、患者における腎移植片の術後の臨床転帰を予測する方法を提供し、該方法は、i)患者から採取したサンプルにおけるACY−1のレベルを測定し;ii)患者のサンプルにおけるACY−1のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1のレベル又は予め決定したACY−1についての対照レベルと対比することを含んでなり、コントロールサンプルと対比して又は予め決定した対照レベルと対比して増大している患者サンプルにおけるACY−1のレベルは、前記患者の死亡フリー生存率及び/又は透析フリー生存率の増大を予知するものであるとする。
【0090】
ここで使用するように、「腎移植の術後の臨床転帰」とは、移植患者が、移植後、生存する又は透析フリーでいられる見込みを言う。転帰は、血清クレアチニンレベルを尺度としてアッセイされるが、eGFRレベル、尿タンパクのレベル、高血圧症の有無、生存率又は透析フリー生存率の全てが、転帰の尺度として使用される。術後の臨床転帰は、移植後3か月、6か月、12か月又は1年、2年、3年、4年又は5年の時点における転帰であってもよい。
【0091】
生物学的サンプルにおけるACY−1ポリペプチド又は核酸分子の存在、レベル又は不存在は、患者から生物学的サンプルを採取し、該生物学的サンプルをACY−1ポリペプチド又は核酸分子を検出することができる化合物又は試剤と接触させることによって測定される。
【0092】
ここで使用するように、用語「生物学的サンプル」及び「患者から採取したサンプル」は、患者内に存在する組織、細胞及び体液と同様に、患者から採取した組織、細胞及び体液を示すものとして交換可能で使用される。サンプルは、尿サンプル、血液サンプル、血清サンプル、痰サンプル、糞便サンプル、体組織の生検、例えば、移植した腎組織の生検、脳脊髄液サンプル、精液サンプル、又はスメアサンプルである。好適なサンプルは血清又は血漿である。或いは、サンプルは潅流液サンプルである。1具体例では、サンプルは移植前又は移植後に採取される。
【0093】
ここで使用するように、「患者」とは、個人、例えば、移植片機能発現遅延のような虚血再灌流障害を有する又は有する危険があるヒトを言う。1具体例では、患者は、心筋梗塞、卒中に罹っている又は罹ったことがある、或いは、臓器移植を受けたことがある個人である。1具体例では、患者は、腎臓、心臓、肺又は肝臓の移植患者のような、術後の臓器移植患者である。
【0094】
ここで使用するように、「術後の臓器移植患者」とは、ドナー臓器を受容した患者を言う。
【0095】
サンプルが術後の臓器移植患者からのものである場合、サンプルは、移植後第1日、2日、3日、4日、5日、6日又は7日の時点で患者から得られたものである。
【0096】
ここで使用するように、「DCD」は、用語「循環死後に提供された」と交換可能で使用される。
【0097】
ここで使用するように、「DBD」は、用語「脳死後に提供された」と交換可能で使用される。
【0098】
ACY−1核酸分子の発現レベルは、ACY−1核酸分子によってコードされるmRNAを測定すること;ACY−1核酸分子によってコードされるポリペプチドの量を測定すること;又はACY−1核酸分子によってコードされるポリペプチドの活性を測定することを含む多数の方法で測定される。
【0099】
サンプルにおけるACY−1mRNAのレベルを測定するために、各種の公知のmRNA検出法が使用される。
【0100】
例えば、サンプルにおけるACY−1核酸分子に相当するmRNAのレベルは、インサイチュ方式及びインビトロ方式の両方で検出される。ACY−1mRNAは、サウザン又はノーザンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応又はプローブアレイを使用して検出される。1具体例では、サンプルを、ACY−1核酸分子によってコードされるmRNAとハイブリダイズできる核酸分子(すなわち、ラベル化プローブのようなプローブ)と接触させる。例えば、プローブは、配列番号1の核酸分子のような全長ACY−1核酸分子、又は少なくとも10個、15個、30個、50個、100個、250個又は500個ヌクレオチドの長さの核酸分子のような、配列番号1の核酸分子の部分(ストリンジェントな条件下でACY−1核酸分子とハイブリダイズする)でもよい。
【0101】
或いは、サンプルにおけるACY−1mRNAのレベルは、核酸増幅によって、例えば、rtPCR、リガーゼ連鎖反応、自家持続配列複製、転写増幅、又は他の各種の核酸増幅法及び続いて、当分野において知られた技術を使用して、増幅された分子を検出することによって評価される。
【0102】
サンプルにおけるACY−1ポリペプチドのレベルを検出するために、各種の公知のタンパク質検出法が使用される。
【0103】
一般に、タンパク質検出法は、ACY−1ポリペプチドに選択的に結合する試剤、例えば、抗−ACY−1抗体を患者のサンプルと接触させて、サンプルにおけるACY−1ポリペプチドのレベルを測定することを含んでなる。好ましくは、試剤又は抗体は、例えば、検出可能なラベルにてラベル化される。好適な抗−ACY−1抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルである。Fab又はF(ab’)
2のような抗体フラグメントを使用できる。
【0104】
ここで使用するように、用語「ラベル化された」とは、検出可能な物質との反応性によるプローブ又は抗体の間接的ラベル化とともに、検出可能な物質のプローブ又は抗体へのカップリング(すなわち、物理的結合)によるプローブ又は抗体の直接的ラベル化を言う。
【0105】
サンプルにおけるACY−1ポリペプチドのレベルは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISAs)、免疫沈降、免疫蛍光、酵素免疫アッセイ(EIA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、及びウエスタンブロットアッセイのような当分野において知られた技術によって測定される。ACY−1ポリペプチドのインビボ検出について、ラベル化抗−ACY−1抗体を患者に導入できる。このような抗体は、対象における存在及び位置が、標準的な画像技術によって検出される放射性マーカーによってラベル化される。
【0106】
サンプルにおけるACY−1ポリペプチドのレベルは、サンプルにおけるACY−1ポリペプチドの活性レベル測定することによっても検出される。
【0107】
本発明の方法は、さらに、患者のサンプルにおけるACY−1の活性のレベルを、コントロールサンプルにおけるACY−1の活性レベル又はACY−1について予め定めた対照レベルと比較することを含んでなる。
【0108】
1具体例では、本発明の方法は、コントロールサンプルを、mRNA又はゲノムDNAのようなACY−1核酸分子を検出できる化合物又は医薬と接触させること、及びコントロールサンプルにおけるACY−1核酸分子のレベルを、患者サンプルにおけるACY−1核酸分子のレベルと比較することを含んでなる。
【0109】
他の具体例では、さらに、本発明の方法は、コントロールサンプルを、ACY−1ポリペプチドを検出できる化合物又は試剤と接触させること、及びコントロールサンプルにおけるACY−1タンパク質のレベルを、テストサンプルにおけるACY−1タンパク質の存在と比較することを含んでなる。
【0110】
ここで使用するように、「対照レベル」又は「コントロール」とは、ACY−1発現の正常なレベルを有するサンプル、例えば、虚血再灌流障害を有していない又は有することが疑われない健常な対象からのサンプル、或いは、生物学的テストサンプルが得られた同じ対象からのサンプル、例えば、臓器移植前に得られたサンプルを言う。或いは、対照レベルは、予め定められたカットオフ値、すなわち、症状又は病気又はその欠乏を統計学的に予測する診断スコアを創成するために使用される対照データベースからのACY−1発現レベルを含んでなるか、又は標準の母集団サンプルに基づく予め定められた対照レベル、或いは、対象の発現のベースラインレベル、すなわち、臓器移植前の対象の発現レベルに基づく予め定められた対照レベルである。
【0111】
或いは、予測は、ACY−1の正規化された発現レベルに基づくものでもよい。発現レベルは、サンプルにおけるACY−1の絶対発現レベルを、その発現を、恒常的に発現されるmRNAのようなマーカー(例えば、mRNA)ではない対照核酸の発現と比較することにより補正することによって正規化される。この正規化により、1サンプルにおける発現レベルを他のサンプルと比較すること又は異なった源からのサンプル間で比較することが可能になる。この正規化された発現は、ついで、任意に、対照レベル又はコントロールと比較される。
【0112】
例えば、尿におけるバイオマーカーを測定する際、バイオマーカーは、絶対濃度として発現されるか、或いは、尿クレアチニンレベル又は尿タンパク質レベルのような公知の尿バイオマーカーに対して正規化される。
【0113】
1具体例では、診断又は予後方法は、サンプルにおけるACY−1のレベルを測定すること及び少なくとも1の更なるバイオマーカー、例えば、虚血再灌流障害又は移植片機能発現遅延を予測又は表示するバイオマーカーのレベルを測定することを含む。好ましくは、少なくとも1の更なるバイオマーカーは、NGAL、KIM−1、IL−18、RBP、FABP4、シスタチンC及びクレアチニンから選ばれ、方法は、さらに、生物学的テストサンプルにおけるNGAL、KIM−1、IL−18、RBP、FABP4、シスタチンC及びクレアチニン核酸分子、又はポリペプチドのレベルを検出することを含んでなる。好ましくは、少なくとも1の更なるバイオマーカーのレベルは、上述の方法のいずれか1つを使用して測定される。
【0114】
少なくとも1の更なるバイオマーカーのレベルは、同じ生物学的サンプル又は異なる生物学的サンプルにおけるACY−1のレベルについて測定される。
【0115】
或いは、サンプルにおけるACY−1のレベルは、質量分析を使用して検出及び定量される。
【0116】
1態様では、本発明は、アッセイ装置、例えは、チップアレイのような、その表面にACY−1ポリペプチド又は核酸を検出できる化合物又は試剤が付着した固体支持体を含む。好ましくは、ACY−1ポリペプチドを検出できる化合物又は試剤は、抗−ACY−1抗体、さらに好ましくは、ACY−1捕捉抗体である。1具体例では、アッセイ装置は、さらに、更なるバイオマーカー、好ましくは、腎臓の損傷、疾患又は障害のためのバイオマーカーを検出するための少なくとも1の追加の化合物又は試剤を含んでなる。
【0117】
発明者らは、ACY−1を、虚血再灌流障害又はDGFのマーカーとして同定した。本発明の方法は、当業者がACY−1レベルに基づき知らされた治療を決定することを可能にする。例えば、ここに記載の診断及び予後方法は、さらに、診断及び予後に基づき患者又は臓器を治療する工程を含んでなる。患者又は臓器を治療する工程は、i)移植後、患者を透析処置する、例えば、腎移植後第1週に患者を透析処置する工程;ii)患者に静脈注射を投与する、例えば、投与される静脈注射を調整する(すなわち、患者に投与されるIVI流体の速度及び容量を増減する)工程;iii)患者に免疫抑制剤(例えば、カルシニューリン阻害剤又はシロリムスのようなTOR阻害剤)を投与する、例えば、ACY−1レベルに基づいて免疫抑制剤を増減する又は免疫抑制治療の種類を変更する工程から選ばれる(これらは例示を目的とするものである)。
【0118】
加えて、腎移植後の初期期間におけるACY−1の測定は、DGFを寛解させるように各種の可能性のある介入をガイドするために使用される。
【0119】
キット
本発明は、生物学的サンプルにおけるACY−1の存在を検出するためのキットも含む。例えば、キットは、生物学的サンプルにおけるACY−1ポリペプチド又は核酸を検出できる化合物又は試剤を含む。化合物又は試剤は、好適な容器に梱包される。キットは、さらに、ACY−1タンパク質又は核酸分子を検出するためにキットを使用するための説明書を含んでなる。
【0120】
1態様では、本発明は、患者における虚血再灌流障害を診断する又は移植片機能発現遅延を診断するためのキットを提供し、該キットは、ACY−1ポリペプチドに特異的に結合する検出可能にラベル化された試剤又はACY−1核酸に特異的に結合する検出可能にラベル化された試剤;及びii)診断を実施するための試薬を含んでなる。
【0122】
抗体系キットについて、該キットは、(1)本発明のマーカーに相当するACY−1ポリペプチドに特異的に結合する第1の抗体(例えば、固体支持体に付着している);及び任意に、(2)ACY−1ポリペプチド又は第1の抗−ACY−1抗体に結合し、検出可能な試剤に共役した第2の異なる抗体を含むことができる。
【0123】
オリゴヌクレオチド系キットについては、該キットは、(1)ACY−1核酸分子にハイブリダイズするヌクレオチドプローブ、例えば、検出可能にラベル化されたプライマー又は(2)ACY−1核酸分子を増幅するためのプライマー対を含むことができる。
【0124】
1態様では、本発明は、患者における虚血再灌流障害又は移植片機能発現遅延を診断するためのキットを提供し、該キットは、本発明のマーカーに相当するACY−1ポリペプチドに特異的に結合する第1の抗体(例えば、固体支持体に付着されている);及び(2)ACY−1ポリペプチド又は第1の抗−ACY−1抗体に結合し、検出可能な試剤に共役した第2の異なる抗体を含んでなるアッセイ装置を含んでなる。
【0125】
キットは、検出可能な試剤を検出するために必要な成分(例えば、酵素又は基質)も含むことができる。キットは、アッセイされ、収容されたテストサンプルと比較されるコントロールサンプル又は一連のコントロールサンプルを含有することもできる。
【0126】
この明細書の記載及び請求の範囲を通して、用語「含んでなる」及び「含有する」及びこれらの変形は、「含むが、これらに限定されない」を意味するものであり、他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を除外することを意図するものではない(意図しない)。この明細書の記載及び請求の範囲を通して、単数形は、他に前後関係が要求しない限り、複数形を含むものである。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、他に前後関係が要求しない限り、単数形とともに、複数形を含むものとして理解されなければならない。
【0127】
本発明の特別な態様、具体例又は実施例に関連して記載する特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、矛盾しない限り、ここに記載のいかなる他の態様、具体例又は実施例にも適用可能であると理解されなければならない。この明細書(添付する請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示する特徴の全て、及び/又は開示するいかなる方法又はプロセスの工程の全ては、このような特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、いかなる組み合わせとしても組み合わされる。本発明は、いかなる上述の具体例の詳細にも限定されない。本発明は、この明細書(添付の請求の範囲、要約及び図面)に開示する特徴のいずれかの新規な1つ、又はいずれかの新規な組み合わせに、又はここに開示されたいかなる方法又はプロセスの工程のいずれかの新規な1つ、又はいずれかの新規な組み合わせに拡張される。
【0128】
読者は、本願に関連してこの明細書と同時に又は以前に出願され、この明細書とともに公開された全ての論文及び文献の全てに注目されたい。このような全ての論文及び文献の内容を、参照して、ここに組み込む。
【0129】
[実施例]
1. 方法
1.1 患者群及び研究デザイン
腎移植を受ける前に、患者の承諾を得た(
図1)。将来を見越して移植前に、及び移植後に、長期的に1週当たり少なくとも3回、静脈血を採取した(平均14サンプル/患者)。Z/Serum Clot Activator Tubes(Greiner)(25℃において2000gで10分間遠心分離する前に、室温において45分から2時間凝固させ、血清を分取し、−80℃で保存することを可能にする)を使用して、血液を集めた。患者コホート1は、2008年9月〜2011年7月の期間に集めた患者55人を含み(サンプル665個;腎移植患者47人及び生体ドナー8人)、そのうちの15人はDGFを有し(単独の高カリウム血症のため以外に、腎移植後第1週において透析を必要とするとの定義に基づく)、及びコホート2は、2003年12月〜2006年3月の期間に集めた患者194人(第1日のサンプル138個及び第3日のサンプル177個)を含み、その内の55人はDGFを有していた。できる限り臨床的にマッチする、コホート1におけるDGFを有する患者5人及び合併症のない患者5人からの血清サンプル、移植前及び移植後第2日の時点で採取した比較用サンプル(サンプル計20個)を使用して初期バイオマーカーの発見を実施した。ついで、初めにコホート1からのサンプル、続いてコホート2からのサンプルを使用して(数は統計的検出力に基づき決定される)、初期知見の検証に着手した。例えば、DGF患者10人及び非DGF患者25人の第1/2日におけるACY−1測定は、Bonferroni法が、2群比較について、5%有意性検定を補正する際にAUC>0.8を検出するために、検定力80%を与える。
【0130】
1.2 血清の免疫除去及びサンプルの調製
発見セットにおける血清サンプル20個を、既に記載されたように
21、Multi Affinity Regent System 14 カラム(Agilent)を使用して、免疫除去に供した。免疫除去されたフラクションを脱塩し、得られた物質を、フィルター−補助サンプル調製法(FASP)
9の変法
21を使用して、トリプシンにて消化した。
【0131】
1.3 ラベルフリー質量分析
0.1%TFAの最終濃度への酸性化の後、ペプチドサンプルを患者によってブロックランダム化し、Proxeonナノエレクトロスプレイイオン源を備えたLTQ Orbitrap Velos質量分析計に接続したDionex UltiMate 3000 RSLCnanoシステムを使用して分析した(サンプル当たり3×2μg注入)。3.5μm Kromasil C18媒体が充填されたインハウス25mmキャピラリーエミッターカラムに、サンプルを直接注入した。総捕捉時間は300分であり、勾配の大部分は、流速0.4μl/分において、0.1%ギ酸中ACN3〜25%であった。サーベイMSスキャンは、60,000にセットされた解像度のOrbitrap内で獲得された。スキャン当たり最強イオン20個以下を断片化し、リニアトラップにおいて分析した。
【0132】
1.4 データの解析及び統計学的方法
MaxQuant(v1.1.1.25)
51を使用して、ラベルフリー質量分析データの解析を行った。Andromeda
52及び≧2ペプチドの判定基準を有するIPIヒトデータベース(v3.75,19/08/2010)を使用してタンパク質を同定し、及びDecoyデータベースから同定したタンパク質及び公知の混入物を除去した。LFQ強度に関するノンパラメトリック(Wilcoxon)有意性検定を使用して、患者群間及び患者群内の示差的発現をアッセイした。q値法
53を使用して偽発見率を推定した。
【0133】
検証テストでは、血清ACY−1及び他のマーカー
54の予知能力をアッセイするために、受信者動作特性(ROC)曲線を作成した。受信者動作特性曲線下の面積(AUC)を見積もり、95%CIsがブートストラップリサンプルから推定された。ブートストラップ有意性検定を使用して、AUCを、標準の近似を使用してアッセイしたブートストラップAUC間の差異の有意性を比較した。突出した予測変数を含有するモデルにおけるDGFに関するACY−1の非依存性予知能力をアッセイするために、多変量ロジスティクス回帰分析を使用した。Cox比例ハザード回帰、カプラン・マイヤー生存時間関数及びロングランク検定を使用して、ACY−1及び他のマーカーの濃度と透析フリー生存率との関係を査定した。全ての統計学的検定は両側性であり、全ての分析を、統計学的計算のためのR環境で行った(R Development Core Team,ウィーン、オーストリア)。
【0134】
1.5 他の分析物との比較
血清クレアチニン、CPR、タクロリムス、及び尿タンパク質/クレアチニン比を、臨床プロトコル/指示通りに測定し、さらに、血清クレアチニン及びシスタチンCを、研究で使用した同じ時点で、コホート1において測定した。
【0135】
1.6 ELISA展開
両コホートにおける血清サンプル980個について、サンプルをブロックランダム化し、インハウス開発したサンドイッチELISAを使用して、ACY−1濃度を測定した。手短に言えば、96穴Nunc MaxiSorpプレート(Nalge Nunc International;ロチェスター,ニューヨーク州)を、ラット抗−ヒトACY−1モノクローナル抗体(クローン475626;R&D Systems;ミネアポリス)及びACY−1標準(0.31−15.0ng/mL,Hisタグ組み換えACY−1−R&D Systems)にて被覆し、希釈したサンプルを塗布した。2時間のインキュベートの後、ヤギ抗−ACY−1抗体(R&D Systems)、続いて、連続して、ビオチン化ウサギ抗−ヤギIgG抗体(Sigma−Aldrich;プール,英国)、ストレプトアビジン−HRP及びテトラメチルベンズアジン(Sigma−Aldrich)を使用して、結合したACY−1を検出した。2N硫酸(Sigma−Aldrich)を添加した後、450nm(570nmにて補正)において吸光度を測定し、ACY−1濃度を算定した。
【0136】
2. 結果
2.1 患者群
患者群の検査(表1)は、DCD移植片の割合及び誘導レジメン(診療の変更を招く)を除き、コホート1(発見及び初期検証群)及び2(長期間転帰データを有するより大きい検証群)の同様の特性を示す。コホート1における患者の31.9%及びコホート2における患者の28.4%においてDGFと診断された。平均年齢及び冷虚血時間(CIT)は、各コホートにおいてDGF群において有意に高く、温虚血時間(WIT)はコホート2において同様であった。初期プロテオミック発見のための使用したDGF患者5人及び非DGF患者5人は、CNI毒性又は急性拒絶反応の証拠を有しておらず、平均年齢、民族性ミックス、CIT、WIT、A、B及びDR坐位における平均HLAミスマッチ、及び免疫抑制レジメン、ドナータイプにおけるわずかな相違(非DGF群においてDCD3人/DBD2人と比べて、DGF群ではDCD5人)の点では、極めて密接にマッチしていた。初期発見セットにおいて使用した患者10人をコホート1から抽出した。DGF5人及び非DGF5人は、平均年齢、民族性ミックス、CIT、WIT、A、B及びDR坐位における平均HLAミスマッチ、誘導及び維持免疫抑制レジメンの点では同様であり、CNI毒性又は急性拒絶反応の証拠を有している患者はいない。
【0137】
2.2 質量分析及び候補バイオマーカーの選択
初期質量分析スクリーンのために使用したサンプル20個(患者10人、2つの時点)の中で、少なくとも2つのペプチド(その内の少なくとも1つは独特である)を有する患者553人が特定され、相対量を測定した。統計学的有意性(p<0.05)に基づき、34個の候補(原理証明としてシスタチンCを含む)が、術前、術後又は変化パターンによって、DGF群及び非DGF群の間を区別した。アミノアシラーゼ−1は、全ての患者において術前では検出不能であるが、術後では、特にDGF群において顕著に増加したため(
図2a)、優先的に更なる調査に供した。
【0138】
2.3 コホート1におけるACY−1の血清濃度及び臨床事象との関係
発明者らが新たに開発し、検証したインハウスELISAを使用することにより、血清ACY−1に関するデータは、発見サンプルに関する質量分析データを広く支持した(
図2)。ACY−1は、このセットにおける移植前のサンプル全てにおいて検出不能であり(<15.6ng/mL)、全体としてコホート1では、患者47人中の43人が術前で検出不能のACY−1を有し、残りは<50ng/mLであり、移植前におけるDGF群及び非DGF群の間の有意差はなかった。分析した長期的サンプル636個の内、ACY−1は、230個のサンプル、主に、移植後第5日のサンプルにおいてのみ検出された。全体的には、DGF患者における長期的サンプル207個の内の138個が検出のACY−1を有しており、これらの大部分は移植前及び移植後第5日より前のものである。非DGF群では、長期的サンプル429個の内の268個がACY−1の検出不能の濃度を有していた。同様に、肝臓ドナーは、術後では、ACY−1濃度>50ng/mLを示すものはおらず、術後サンプルの大部分(10/12)は検出不能のACY−1濃度を有していた。
【0139】
異なった臨床経過を有する血清ACY−1プロフィールの例を
図3に示す。DGFを有する患者15人の内の10人において、移植後第4日以降の時点で、ACY−1濃度>200ng/mLにおけるピークが観察されたが、非DGF移植片では6/32(18.8%)のみであり、この内の3人は移植直後に、無併発性の臨床経過を有していた。ACY−1濃度の長期プロフィールは、血清クレアチニン、シスタチンC、CRP、タクロリムス又は尿PCRのいずれかにおいて見られる傾向に従っておらず、ただし、非常に高いタクロリムス濃度(トラフレベル33ng/mL、意図する範囲9〜14ng/mL)によるタクロリムス毒性に罹った患者1人においてACY−1のピークが認められた。重要なことに、生検前4日間ACY−1濃度が260ng/mLでビークを示したが、生検の時点では検出不能となった患者1人を除き、陽性の中流尿培養(n=19;ACY−1<15.6〜88.3ng/mL)、術後透析のエピソードの時点、又は生検によって証明された拒絶反応の時点では、患者における血清ACY−1における明瞭なピークは存在しなかった。
【0140】
2.4 コホート1と比較したコホート2における移植後のACY−1の血清濃度
コホート2(より大きい最終検証セット)では、第1日サンプル138個の内、患者30人が検出不能のACY−1濃度を有し(DGF患者4/42(9.5%)、非DGF26/96(27.1%))、第3日の値について同様のパターンが認められた(それぞれ、18.8%対42.6%)。両コホートにおいて、第1日の濃度は、オーバーラップするものの、DGF群及び非DGF群の間で顕著に異なっていた(
図4a、b)。より大きいコホート2からの非DGF患者を、クレアチニン減少比(CRR=(0日のクレアチニン−第7日のクレアチニン)/0日のクレアチニン)に基づいてカテゴリーに分類する場合、緩慢な移植片機能発現(SGF;CRR<0.7)として分類される患者及び早期移植片機能発現(IGF;CRR≧0.7)として分類される患者の間における第1日の血清ACY−1における顕著な差異(
図4c)は、IGFからSGF、DGFへの増大傾向とともに認められ、これは移植片機能の改善率及びACY−1の関係を証明している。第3日の血清ACY−1濃度についても、同様に結果が認められた。
【0141】
2.5 血清ACY−1の関連性及びDGFに関する予知の有用性
コホート1における予知の有用性の初期探索検査のために、第1日又は第2日のACY−1濃度及びシスタチンC濃度を、第3日又は第4日のもののように、1つの時点として組み合わせた(それぞれについてn=35、患者24人は両時点におけるサンプルを有する)。コホート1では、DGFを予測する第1/2日のACY−1についての受信者動作特性曲線下の面積(AUC)は0.74であり、これは、それぞれ、0.79及び0.92のクレアチニン及びシスタチンCについての数値に相当する。組み合わされたACY−1及びシスタチンCは、AUCを0.94にわずかに改善した(
図5a)。コホート2では、第1日のACY−1についてのAUCは0.77であり、それぞれ、0.75及び0.9のクレアチニン及びシスタチンCについての数値に相当し、後者は、ACY−1と組み合わされる場合、0.93に改善した(
図5b)。クレアチニンについてのAUCは、より遅い時点では、より高いが(
図5c、d)、コホート1及び2における第3/4日及び第3日の値については、同様の結果が見られた。コホート2(表2)における第1日の血清ACY−1及びシスタチンCについてのデータ誘導最適カットポイントは、それぞれ、高い特異性及び感度を示し、ロジスティクス回帰を介する両方の組み合わせからの最適カットポイントは、増大したYoudenインデックス
56を介して明らかなように、より高い感度及び同様の特異性を提供する(0.71対0.43及び0.64)(表2)。
【0142】
より大きい最終検証コホート2を使用することによって、血清ACY−1濃度と、生検によって証明された急性尿細管壊死(ATN)、移植片のタイプ、移植時の年齢、CIT、総WIT、第1日の血清クレアチニン及びシスタチンCとの顕著な関連性が観察された(表3)。単変量解析では、第1日及び第3日の血清ACY−1濃度、シスタチンC濃度及びクレアチニン濃度、移植片のタイプ、WIT及び総HLAミスマッチは、全て、DGFの発生と顕著に関連していた(表4)。DGFの予知に関する多変量ロジスティクス回帰モデルが、第1日の血清ACY−1濃度、クレアチニン濃度及びシスタチンC濃度、患者の年齢及び性別、移植片のタイプ(DBD,DCD)、HLAミスマッチ、CIT、WIT及び初期ステロイドの使用を組み込んで開発された。第1日の血清ACY−1は、尤度比検定(LRT p=0.013;別表4)を使用する際に重要であり、減少する場合、単変量解析と比べて高いオッズ比を維持した。シスタチンCは、このモデルにおけるDGFの唯一の他の独立した予測因子である(p<0.0001)。
【0143】
この完全な多変量モデル(新しいモデル)及びACY−1なしのモデル(対照モデル)に関するリスクアセスメントプロットを、DGFを有する又はDGFなしの患者について、
図8に示す。モデルは適合度の証拠を示さないし(別表1)、ブートストラップCIs(p=0.345)から予想されるように、AUCは顕著には異ならない。DGFを有していな患者(患者の47.4%(95%CI 24.5〜70.2%)が新しいモデルに従って低減されたリスクを有する)にとっては、最大の予測的利益である(表2における高NPVと一致する)。DGFを有する患者にとってもリスクの低減があり、この結果、0を含むCIを有する全体の総再分類改善度(NRI)が生じた。DGFを有していない患者に関する統合判別改善度(IDI)も0.0196(95%CI 0.004〜0.036)に低減し、さらに、これはACY−1の陰性的中率の増大を証明する。
【0144】
2.6 血清ACY−1及び転帰
移植後第1日の血清ACY−1濃度は、DGFの長さ、血清クレアチニン、eGFR(修飾MDRD)、及び1年時点におけるuPCR(コホート1及び2)との相関を示さなかった。コホート2における長期間の追跡データの同様の解析は、移植後第1日のACY−1濃度と全体の又は透析フリー生存率との間の有意な関連性を示さなかった。
【0145】
DGFとのACY−1の有意な関連性及びDGFを有するDBD及びDCD移植片タイプの両方において見られる血清濃度の有意な増大(
図9)を考えて、DGF群のみを使用する(n=54)サブグループ解析を行ったところ、DGF患者において、第1/3日(第1日の値が利用できできなければ第3日)の血清ACY−1と透析フリー生存率との関連性を示した(第1日のHR=0.993,95%CI(0.988、0.999),p=0.0174)。HRs<1を反映させると、生存曲線は、DGFを有する患者において第1/3日の血清ACY−1と、移植から5年内に透析に戻る危険(非DGF群では見られなかった)との間に顕著な負の関連性(p<0.001)を示した(
図10a,b)。移植後第1日の血清ACY−1濃度に基づき、DGFを有する患者を2つの群にサブ分割して、より小さいサイズの群を作成し、事象の数は小さい(n=10透析に戻る)が、差異は著しいままであった。DGFに至る患者における血清シスタチンC又はクレアチニンについて、転帰との同様の関連性は観察されなかった。正式の多変量解析は、少ない事象の数及び変量の数を考えると、統計学的には有効ではなかったが、臨床データの広範囲な検討では、DGF患者の高及び低ACY−1サブグループの間で異なる因子(可及的にドナータイプを除く転帰における差異にリンクする)が検出されなかった。DGF患者のみの中では、9/10の事象を説明するDBDタイプの移植片とともに、透析フリー生存率における明白な差異が見られ(
図10c、d)、DGF群におけるDBDタイプ移植患者内では、移植後第1/3日のACY−1血清濃度に基づく転帰における明瞭な差異が見られた(
図10e)。
【0146】
コホート1におけるDGFを有する患者15人の遡及的解析も、転帰とのACY−1の関連性を示唆した。移植失敗及び透析への戻りは何ら生じなかったが、3人の患者が、eGFR10.08、16.1及び13.6で、移植片が不全へ進行しつつあることが明らかになった。これらを転帰不良群と定義し、転帰及びACY−1によって患者を分類する分割表を作成する場合(別表2)、有意の関連性(p=0.056)の証拠は見られなかった。しかし、ACY−1≧200については、転帰不良のオッズは1:8であり、一方、ACY−1<200の場合は、転帰不良のオッズは2:3である。条件的なMLEは0.215と算定され(95%0.003〜5.545)(これは、コホート2において見られるものと類似する転帰との関連性を示唆する)及び有意のテスト結果の欠落は、恐らく、小さいサンプルにおける低い能力及びより限られた追跡時間の量の組み合わせによるものである。
【0147】
2.7 総括論議
いくつかの研究では、DCDドナータイプのDGFのより高い頻度が報告されているが、ドナータイプの重要な調査では、長期間の温虚血にもかかわらず、DCD移植片レシピエントにおいては、転帰に対するDGFの影響はない
57-59が、DBD患者においては、転帰に対してDGFの有害な影響があることが確認されている
59,60。動物モデルからは、カテコールアミン分泌及び低血圧のような脳死の大きいシステム効果、及び続く、ドナー臓器における炎症誘発メディエーター/サイトカインの活性化(ついで、移植に至る更なる宿主応答を誘発する)が提起された
61。異なったドナータイプを有するDGFの要因である根底にある異なった病理が、既存条件又は前終端条件(DCDドナーにおいて遭遇するATN(温虚血に至る)よりも、DBD臓器によるより少ない可逆変化を生ずる)の可能性とともに考察された。これは、移植直後のより低いACY−1濃度を有するDBDドナータイプ移植患者のサブグループにおいて見られるように、ACY−1は、本質的に、乏しい転帰を有するより低い応答を示す患者による損傷の修復又は応答のマーカーであるとの当該知見と合致する。
【0148】
腎移植を必要とする末期の腎臓疾患を有する患者の数が増加するにつれて、循環死後に提供された(DCD)臓器及び境界領域ドナーからの臓器の使用が拡大している。しかし、これは、臨床転帰及び医療経済学的転帰に重大な影響を有する初期非機能性又は移植片機能発現遅延のような合併症のより高い発生率と関連する。このようなドナーからの著しい数の移植片が、質が不十分であるとの認定のために、移植以前に廃棄(回収に至る)される。廃棄についての判断は、多くは、主観的評価及び臨床経験に基づくものであり、より客観的な尺度が必要である。減少するドナー(脳死ドナー(DBD)及びDCDの両方)からの腎臓は、摘出前に、その場で、冷たい保全溶液にてフラッシュされ、保存容器内において氷上に保存される。4〜12時間の腎動脈を通る保存液の再循環を伴う体温低下装置による潅流は、ますます使用されるようになっており、証拠は相克的であるが、良好な転帰を生ずることが報告されている。流れ抵抗のような潅流動力学及びグルタチオンS−トランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、及び心臓由来脂肪酸結合タンパク質のような因子の潅流液濃度の尺度が、移植片のバイアビリティーの強力な指標として検討されているが、研究は少なく、このようなマーカーは転帰の信頼できる予知であることは明らかになってはいない。
【0149】
予備調査結果は、ACY−1が、移植後の血清において検出可能であり及び特にDGFを有する幾人かの患者に関連することに加えて、移植以前に、腎臓からの機械的潅流液において測定されることを示している。予備調査結果は、血清における濃度と同様の濃度を示し、DBD移植片よりもDCD移植片において潜在的に高いレベルであることを示している。従って、これは、移植における臓器の使用前に、潅流液においてACY−1を測定できる可能性を提供し、他のマーカーと一緒に、移植片の質及び/又は移植の転帰を測定することにおいて重要である損傷/修復プロセスのいくつかの表示を提供できる。
【0150】
ACY−1に加えて、ACY−2及びACY−3に由来する、トリプシン消化物潅流液の質量分析におけるペプチドの知見は、これらACY−2及びACY−3も潜在的なバイオマーカーとして価値があることを意味する。
【0155】
3. 心臓サンプル及び肺サンプルにおける血清ACY−1レベル
心臓又は肺移植に至る患者において、血清アミノアシラーゼ−1が、術後の各種の時間間隔で、多くの患者(ただし、全てではない)において上昇すること(少なくとも3人の患者では、レベルは、非常に顕著に上昇している)が観察された(表5及び6)。これは、転帰に関する有意性はこれまで明白でなく、更なる長期間の研究を必要とするが、このような患者における有意な虚血時間により、移植組織において、虚血再灌流障害のような特定の損傷を表示できる。
【0160】
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