(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286008
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステム及びプロセス
(51)【国際特許分類】
C07C 1/24 20060101AFI20180215BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20180215BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20180215BHJP
C07C 15/00 20060101ALI20180215BHJP
C07C 9/08 20060101ALI20180215BHJP
C07C 9/10 20060101ALI20180215BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
C07C1/24
C07C11/04
C07C11/06
C07C15/00
C07C9/08
C07C9/10
!C07B61/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-213320(P2016-213320)
(22)【出願日】2016年10月31日
(65)【公開番号】特開2017-88595(P2017-88595A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】201510739085.X
(32)【優先日】2015年11月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516327147
【氏名又は名称】鶴壁宝発能源科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 奇申
(72)【発明者】
【氏名】于 海軍
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲びん▼
(72)【発明者】
【氏名】石 瑞章
(72)【発明者】
【氏名】彭 俊再
【審査官】
水野 浩之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0124841(US,A1)
【文献】
特開昭57−197228(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/023706(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0326298(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/206972(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0114104(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0152513(US,A1)
【文献】
特開2013−024046(JP,A)
【文献】
特開2012−092063(JP,A)
【文献】
特表2005−501807(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102391888(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103468299(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された熱交換器、電気ヒータ及び脱水反応器を含み、
前記脱水反応器の底部が前記熱交換器の底部に接続され、
前記熱交換器の上部に、順に廃熱ボイラー、水冷却器、洗浄塔、コンプレッサ、オイル・ガス分離器、脱アルキル装置が直列に接続され、
前記オイル・ガス分離器と前記脱アルキル装置の底部がいずれもスタビライザカラムに接続され、
前記スタビライザカラムの底部が脱着塔に直列に接続されている、粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステムであって、
前記熱交換器及び前記電気ヒータは、粗ジメチルエーテルを昇温し、
前記脱水反応器は、昇温した前記粗ジメチルエーテルを分子篩触媒の作用で反応生成物を生成させ、
前記熱交換器、前記廃熱ボイラー及び前記水冷却器は、順に前記反応生成物を降温させ、
前記洗浄塔は、降温させた前記反応生成物から、水と、気体反応生成物とを分離し、
前記コンプレッサは、分離した前記気体反応生成物を圧縮し、
前記オイル・ガス分離器は、圧縮した前記気体反応生成物を、気体と液体とに分離し、
前記脱アルキル装置は、分離した後の前記気体から、エチレン・プロピレン混合炭化水素を取得し、
前記スタビライザカラムは、前記脱アルキル装置の残液と、前記オイル・ガス分離器で分離した前記液体と、を精留してプロパン・ブタン液化ガスを取得し、
前記脱着塔は、前記スタビライザカラムで精留した後の残液をさらに精留して芳香族炭化水素を取得することを特徴とする、生産システム。
【請求項2】
前記熱交換器の冷媒出口が前記電気ヒータに接続され、
前記脱水反応器の底部が前記熱交換器の熱媒入口に接続され、
前記熱交換器の熱媒出口が前記廃熱ボイラーに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
前記脱水反応器内に前記分子篩触媒が装入されていることを特徴とする、請求項1に記載の生産システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の生産システムを用いる生産プロセスであって、
前記粗ジメチルエーテルを前記熱交換器、前記電気ヒータにより昇温させた後に前記脱水反応器に送入し、前記脱水反応器内で前記粗ジメチルエーテルを前記分子篩触媒の作用で反応させて、前記エチレン・プロピレン混合炭化水素、前記芳香族炭化水素、前記プロパン・ブタン液化ガスを含む前記反応生成物を生成する生成工程と、
前記反応生成物を前記脱水反応器から取り出した後に前記熱交換器に送入して降温させ、次に前記反応生成物を前記廃熱ボイラーに送入してさらに降温させ、さらに前記水冷却器に送入して降温させる降温工程と、
前記反応生成物を前記洗浄塔に送入して水と、気体反応生成物とを分離し、前記気体反応生成物を前記コンプレッサに送入して圧縮し、さらに前記オイル・ガス分離器に送入して、気体と液体とに分離する分離工程と、
分離した後の前記気体を前記脱アルキル装置に送入し精留して前記エチレン・プロピレン混合炭化水素を取得して製品槽に送入するエチレン・プロピレン混合炭化水素取得工程と、
前記脱アルキル装置の残液と前記オイル・ガス分離器で分離した後の前記液体とを共に前記スタビライザカラムに送入し精留して前記プロパン・ブタン液化ガスを取得して製品貯留槽に送入するプロパン・ブタン液化ガス取得工程と、
前記スタビライザカラムの残液をさらに前記脱着塔に送入し精留して前記芳香族炭化水素を取得して製品貯留タンクに送入する芳香族炭化水素取得工程と、
非凝縮性ガスをパージガスとしてボイラーに送入して燃焼する燃焼工程と、
からなることを特徴とする生産プロセス。
【請求項5】
前記廃熱ボイラーで反応熱の一部を回収して高圧蒸気を生成して、前の工程に供給して発電することを特徴とする、請求項4に記載の生産プロセス。
【請求項6】
前記脱水反応器内において、前記分子篩触媒の作用で、450〜480℃の温度、0.7〜0.9Mpaの圧力で、前記粗ジメチルエーテルを脱水反応させて反応生成物を生成し、
前記反応生成物を前記脱水反応器から取り出した後にその温度が410〜440℃であるものを、前記熱交換器に送入して降温させて、前記反応生成物の温度を350〜360℃まで降下させ、さらに前記廃熱ボイラーに送入して150〜160℃まで降温させ、前記水冷却器に送入してさらに40℃以下まで降温させ、
前記洗浄塔に送入して水と前記反応生成物を分離し、気体の反応生成物を前記コンプレッサに送入して1.5〜1.6Mpaまで圧縮し、さらに前記オイル・ガス分離器に送入して分離することを特徴とする、請求項4に記載の生産プロセス。
【請求項7】
前記脱水反応器内において、温度が450〜480℃で、圧力が0.7〜0.9Mpaで反応させ、
反応生成物を前記脱水反応器から取り出した後にその温度が420℃であるものを、前記熱交換器に送入して降温させて、前記反応生成物の温度を350℃まで降下させ、さらに前記廃熱ボイラーに送入して160℃まで降温させ、前記水冷却器に送入してさらに40℃以下まで降温させ、
前記洗浄塔に送入して水と前記反応生成物を分離し、気体の反応生成物を前記コンプレッサに送入して1.6Mpaまで圧縮することを特徴とする、請求項6に記載の生産プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学工業の分野に属し、特に粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステム及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
ジメチルエーテル(DME)は、常温常圧で無色の気体又は圧縮液体であり、エーテルの香りがあり、メタノールの重要な下流製品であり、その特有の分子構造及び物理化学的性質により、容易に圧縮、凝縮、気化できるという良好な特性を有する。そのため、ジメチルエーテルは、製薬、燃料、農薬などの化学工業で多くの独特な用途があり、用途が非常に広範である。
現在、石油資源が欠乏し、石炭資源が豊かで、また環境保護意識が高まったので、ジメチルエーテルは、石炭から変換されたクリーンな燃料として日増しに重視され、近年、国内外で競合して開発される性能に優れたC1化学工業製品となった。ジメチルエーテルは、LPG及び石油系を代替する燃料とすることができ、LPGに類似した物理的性質を有する化学品であり、燃焼時に環境を破壊する気体を生成することがない。よって、メタンと同様に、21世紀のエネルギー源の一つとなることが期待されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、大部分のジメチルエーテル生産企業は、ジメチルエーテルを燃料として直接焼却し、またジメチルエーテルの生産量が過剰で、かつ製品が単一で、収益が低く、巨額の損失さえ生じている。本発明では、ジメチルエーテルの生産中のエネルギー、従来残された有用原料を十分に利用して、さらに多種の新たな製品を総合的に開発することにより、企業の総合的な収益を顕著に向上させる。本発明は、広範な模範的価値と、普及して応用される将来性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の課題を解決するために、本発明は、粗ジメチルエーテルの再脱水によりいくつかの高付加価値を有する新たな製品を合成することで、資源を総合的に利用し、産業チェーンを延長し、企業の経済的利益を向上させることを目的とする。本発明は、粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステム及びプロセスを提供する。
【0005】
粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステムは、直列に接続された熱交換器、電気ヒータ及び脱水反応器を含み、脱水反応器の底部が熱交換器の底部に接続され、熱交換器の上部に、順に廃熱ボイラー、水冷却器、洗浄塔、コンプレッサ、オイル・ガス分離器、脱アルキル装置が直列に接続される。また、オイル・ガス分離器と脱アルキル装置の底部がいずれもスタビライザカラムに接続され、スタビライザカラムの底部が脱着塔に直列に接続されている。
【0006】
また、本発明の前記システムは、熱交換器の冷媒出口が電気ヒータに接続され、脱水反応器の底部が熱交換器の熱媒入口に接続され、熱交換器の熱媒出口が廃熱ボイラーに接続されている。
さらにまた、本発明の前記システムは、脱水反応器内に分子篩触媒が装入されている。
【0007】
次に、粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する生産プロセスを以下説明する。先ず、粗ジメチルエーテルを熱交換器、電気ヒータにより昇温させた後に脱水反応器に送入し、脱水反応器内に粗ジメチルエーテルを分子篩触媒の作用で反応させて、エチレン・プロピレン混合炭化水素、芳香族炭化水素、プロパン・ブタン液化ガスを含む反応生成物を生成する。次に、反応生成物を反応器から取り出した後に熱交換器に送入して降温させ、続いて反応生成物を廃熱ボイラーに送入してさらに降温させ、さらに水冷却器に送入して降温させる。
次に反応生成物を洗浄塔に送入して水と気体の反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサに送入して圧縮し、さらにオイル・ガス分離器に送入し、分離した後の気体を脱アルキル装置に送入し精留してエチレン・プロピレン混合炭化水素を取得して製品槽に送入する。脱アルキル装置の残液とオイル・ガス分離器の分離液を共にスタビライザカラムに送入し精留してプロパン・ブタン液化ガスを取得して製品貯留槽に送入する。続いて、スタビライザカラムの残液をさらに脱着塔に送入し精留して芳香族炭化水素を取得して製品貯留タンクに送入し、非凝縮性ガスをパージガスとしてボイラーに送入して燃焼する。
なお、この生産プロセスでは、廃熱ボイラーで反応熱の一部を回収して高圧蒸気を生成して前の工程に供給し、発電するプロセスを含んでもよい。
【0008】
具体的には、粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する生産プロセスは以下のように行う。つまり、脱水反応器内において、分子篩触媒の作用で、450〜480℃の温度、0.7〜0.9Mpaの圧力で、粗ジメチルエーテルを脱水反応させて反応生成物を生成する。反応生成物を反応器から取り出した後、その温度が410〜440℃である反応生成物を、熱交換器に送入して降温させ、反応生成物の温度を350〜360℃まで降下させ、さらに廃熱ボイラーに送入して150〜160℃まで降温させ、水冷却器に送入してさらに40℃以下まで降温させる。続いて、洗浄塔に送入して水と反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサに送入して1.5〜1.6Mpaまで圧縮し、さらにオイル・ガス分離器に送入する。
【0009】
ここで、好ましい生産プロセスの具体的条件を以下に示す。脱水反応器内における、温度が450〜480℃で、圧力が0.7〜0.9Mpaであり、反応生成物を反応器から取り出した後にその温度が420℃である。次に、熱交換器に送入して降温させて、反応生成物の温度を350度まで降下させ、さらに廃熱ボイラーに送入して160℃まで降温させ、水冷却器に送入してさらに40℃以下まで降温させる。続いて、洗浄塔に送入して水と反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサに送入して1.6Mpaまで圧縮する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ジメチルエーテル生産中のエネルギー及び従来残された有用原料を十分に利用するとともに、多種の新たな製品を総合的に開発し、石油資源を代替するとともに、産業チェーンを延長して企業の総合的な収益を顕著に向上させる。本発明を利用してエチレン・プロピレン、芳香族炭化水素(ガソリン)及びプロパン・ブタン(液化ガス)を生産することは、コストが低く、汚染がなく、石油資源を代替する理想的な製品であり、高い社会的及び経済的利益を有する。本発明は、広範な模範的価値、及び普及して応用される将来性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例又は従来の技術における技術的解決手段をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来の技術の説明に必要な図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的労働を行わないことを前提として、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【
図1】粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステムフロー図である。
【
図2】実施例における粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する、各成分の結合点が付いたシステムフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明するが、明らかに、説明された実施例は本発明の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者は創造的労働を行わずに取得した全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【実施例1】
【0013】
図1に示すように、粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産するシステムは、直列に接続された熱交換器1、電気ヒータ2及び脱水反応器3を含み、脱水反応器3内に分子篩触媒が装入され、脱水反応器3の底部が熱交換器1の底部に接続され、熱交換器の上部に、順に廃熱ボイラー4、水冷却器5、洗浄塔6、コンプレッサ7、オイル・ガス分離器8、脱アルキル装置9が直列に接続される。また、オイル・ガス分離器8と脱アルキル装置9の底部がいずれもスタビライザカラム10に接続され、スタビライザカラム10の底部が脱着塔11に直列に接続されている。
【0014】
熱交換器の冷媒出口が電気ヒータに接続され、脱水反応器の底部が熱交換器の熱媒入口に接続され、熱交換器の熱媒出口が廃熱ボイラーに接続されている。
【0015】
粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する生産プロセスは以下のとおりである。
粗ジメチルエーテルを熱交換器1、電気ヒータ2により昇温させた後に脱水反応器3に送入し、脱水反応器3内において、粗ジメチルエーテルを分子篩触媒の作用で反応させて、エチレン・プロピレン混合炭化水素、芳香族炭化水素、プロパン・ブタン液化ガスを含む反応生成物を生成する。次に反応生成物を反応器3から取り出した後に熱交換器1に送入して降温させ、次に反応生成物を廃熱ボイラー4に送入してさらに降温させ、さらに水冷却器5に送入して降温させる。
続いて、反応生成物を洗浄塔6に送入して水と気体の反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサ7に送入して圧縮し、さらにオイル・ガス分離器8に送入し、分離した後の気体を脱アルキル装置9に送入し精留してエチレン・プロピレン混合炭化水素を取得して製品槽に送入する。脱アルキル装置9の残液とオイル・ガス分離器8の分離液を共にスタビライザカラム10に送入し精留してプロパン・ブタン液化ガスを取得して製品貯留槽に送入し、スタビライザカラム10の残液をさらに脱着塔11に送入し精留する。こうして芳香族炭化水素を取得して製品貯留タンクに送入し、非凝縮性ガスをパージガスとしてボイラーに送入して燃焼する。
【実施例2】
【0016】
廃熱ボイラーで反応熱の一部を回収して高圧蒸気を生成して、前の工程に供給して発電する。その他は実施例1と同じである。
【実施例3】
【0017】
粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する生産プロセスの具体的条件は以下のとおりである。
脱水反応器内において、分子篩触媒の作用で、450〜480℃の温度、0.7〜0.9Mpaの圧力下、粗ジメチルエーテルを脱水反応させて反応生成物を生成する。反応生成物を反応器から取り出した後にその温度は410〜440℃である。次に、熱交換器に送入して降温させて、反応生成物の温度を350〜360℃まで降下させ、さらに廃熱ボイラーに送入して150〜160℃まで降温させ、水冷却器に送入してさらに40℃以下まで降温させる。続いて、洗浄塔に送入して水と反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサに送入して1.5〜1.6Mpaまで圧縮し、さらにオイル・ガス分離器に送入する。
その他は実施例1と同じである。
【実施例4】
【0018】
粗ジメチルエーテルで混合オレフィン、芳香族炭化水素、液化ガスを同時に生産する生産プロセスは以下のとおりである。粗ジメチルエーテルを360℃、圧力0.8Mpaの条件で熱交換器1、電気ヒータ2により430℃まで昇温させた後に脱水反応器3に送入する。分子篩触媒の作用で、温度460℃前後、圧力0.8Mpaの条件で、脱水反応器3内においてジメチルエーテルを脱水反応させて反応生成物を生成する(反応生成物はエチレン・プロピレン混合炭化水素、芳香族炭化水素、プロパン・ブタン液化ガスである)。反応生成物を脱水反応器から取り出した後にその温度が420℃前後であるものを、熱交換器1に送入して降温させ、気体の温度を350℃前後まで降下させ、さらに廃熱ボイラー4に送入して160℃前後まで降温させ、水冷却器5に送入してさらに40℃以下まで降温させる。
【0019】
続いて、洗浄塔6に送入して水と反応生成物を分離し、気体の反応生成物をコンプレッサ7に送入して1.6Mpaまで圧縮し、さらにオイル・ガス分離器8に送入し、分離した後の気体を脱アルキル装置9に送入し精留してエチレン・プロピレン混合炭化水素を取得して製品槽に送入する。脱アルキル装置の残液とオイル・ガス分離器の分離液を共にスタビライザカラム10に送入し精留してプロパン・ブタン液化ガスを取得して製品貯留槽に送入する。スタビライザカラムの残液をさらに脱着塔11に送入し精留して芳香族炭化水素を取得する。続いて、製品貯留タンクに送入し、非凝縮性ガスをパージガスとしてボイラーに送入して燃焼する。
【実施例5】
【0020】
図2に示すように、100トンの生成物を例とする(そのうち、エチレン・プロピレン混合炭化水素が29.57トン、芳香族炭化水素が21.57トン、プロパン・ブタン液化ガスが7.57トン、パージガスが3.57トン、水が37.72トンである)。
【0021】
生産過程における粗ジメチルエーテルは、結合点aでは100トンであり、360℃、0.8Mpaの圧力で熱交換器1、電気ヒータ2により結合点cの430℃まで昇温させた後に脱水反応器に送入し、分子篩触媒の作用で、460℃前後の温度、0.8Mpaの圧力で、脱水反応器3内においてジメチルエーテルを脱水反応させる。こうして、エチレン・プロピレン混合炭化水素、芳香族炭化水素、プロパン・ブタン液化ガス(そのうちエチレン・プロピレン混合炭化水素が29.57%、芳香族炭化水素が21.57%、プロパン・ブタン液化ガスが7.57%、パージガスが3.57%、水が37.72%である)を生成して反応器の結合点dから取り出す。
【0022】
この後、気体の温度が420℃前後である生成物を、熱交換器1に送入して降温させ、結合点eで気体の温度を350℃前後まで降下させ、廃熱ボイラー4に送入する(かつ反応熱の一部を回収して高圧蒸気を生成して、前の工程に供給して発電する)。さらに結合点fの160℃前後まで降温させ、水冷却器5に送入してさらに40℃以下まで降温させ、洗浄塔6に送入して水と反応生成物を分離し、結合点tで37.72トンの水を外に排出する。
【0023】
気体の反応生成物を結合点hでコンプレッサ7に送入して、結合点Iで1.6Mpaに圧縮し、さらにオイル・ガス分離器8に送入し、気体を結合点jの脱アルキル装置9に送入し精留して結合点mでエチレン・プロピレン混合炭化水素を29.57トン取得して製品槽に送入する。脱アルキル装置の結合点nの残液とオイル・ガス分離器の結合点kの分離液を共にスタビライザカラム10に送入し精留して結合点pでプロパン・ブタン液化ガスを7.57トン取得して製品貯留槽に送入する。スタビライザカラムの残液を結合点qでさらに脱着塔11に送入し精留して芳香族炭化水素を21.57トン取得する。こうして製品貯留タンクに送入し、結合点rで非凝縮性ガスが3.57トンのパージガスを、ボイラーに送入して燃焼する。
【0024】
以上の記載は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内に行うどんな修正、同等置換、改良等も、いずれも本発明の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1 熱交換器
2 熱交換器
3 脱水反応器
4 廃熱ボイラー
5 水冷却器
6 洗浄塔
7 コンプレッサ
8 オイル・ガス分離器
9 脱アルキル装置
10 スタビライザカラム
11 脱着塔