特許第6286018号(P6286018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社テイパーズの特許一覧

<>
  • 特許6286018-自動配券システム 図000002
  • 特許6286018-自動配券システム 図000003
  • 特許6286018-自動配券システム 図000004
  • 特許6286018-自動配券システム 図000005
  • 特許6286018-自動配券システム 図000006
  • 特許6286018-自動配券システム 図000007
  • 特許6286018-自動配券システム 図000008
  • 特許6286018-自動配券システム 図000009
  • 特許6286018-自動配券システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6286018
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】自動配券システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20180215BHJP
【FI】
   G06Q10/02
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-256554(P2016-256554)
(22)【出願日】2016年12月28日
【審査請求日】2016年12月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 試験日:平成28年11月23日 試験場所:NHKホール(東京都渋谷区神南2−2−1) 試験を行った公演名:「ザ少年倶楽部 スーパーライブ!」
(73)【特許権者】
【識別番号】516103622
【氏名又は名称】株式会社テイパーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 ▲高▼幸
【審査官】 関 博文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−065405(JP,A)
【文献】 特開2001−028030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席を含む列を複数備える会場において開催されるイベントに参加する参加者グループに、座席の割り当てを行うための自動配券システムであって、
1人または複数の参加者を含む参加者グループに関する認証情報を受け付ける受付部と、
予め定められた配券アルゴリズムに基づいて前記参加者グループに、前記参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てる自動配券部と、
を備え、
前記自動配券部は、前記複数の列の各列が分割され、または前記複数の列の一部がまとめられることによって前記複数の座席が複数のブロックに区切られており、前記複数のブロックについて座席を割り当てる優先順位が付されており、前記参加者グループに関する認証情報が受け付けられるたびに、前記参加者グループに含まれる参加者が偶数人である場合には、前記優先順位に従って座席を割り当てるブロックを変更して当該ブロックに含まれる座席を前記参加者グループに割り当て、前記参加者グループに含まれる参加者が奇数人である場合には、当該参加者グループに座席を割り当てた後の残席数が偶数となるブロックであって、かつ前記優先順位の高いブロックに含まれる座席を前記参加者グループに割り当て、
前記自動配券部は、前記複数のブロックのいずれにおいても残席数が前記参加者グループの参加者数よりも少ない場合、前記複数のブロックの一部の互いに隣接するブロックにまたがって前記参加者の人数分の座席を確保して前記参加者グループに割り当て、前記隣接するブロックは、前記会場の正面に対して前後方向に連続して並ぶ2つ以上のブロックであり、かつ、当該2つ以上のブロックにまたがって割り当てられる前記参加者の人数分の座席は、少なくとも左右のいずれかが前記会場内における通路に面している座席である、自動配券システム。
【請求項2】
前記自動配券部は、前記複数のブロックのうちの1つにおいて、前記参加者グループに座席を割り当てるたびに一方向に沿って座席を決定する、請求項1に記載の自動配券システム。
【請求項3】
前記自動配券部は、前記複数のブロックのうちの1つにおいて、当該ブロックの両端の席を優先的に前記参加者グループに割り当てる、請求項1または2に記載の自動配券システム。
【請求項4】
前記自動配券部は、前記複数の列のうち、前記イベントに参加予定の参加者の総数に基づいて決定された列までの座席を前記参加者グループに割り当てる、請求項1からのいずれか一項に記載の自動配券システム。
【請求項5】
複数の座席を含む列を複数備える会場において開催されるイベントに参加する参加者グループに、座席の割り当てを行うための、コンピュータシステムが実行する方法であって、
前記コンピュータシステムが、1人または複数の参加者を含む参加者グループに関する認証情報を受け付けるステップと、
前記コンピュータシステムが、予め定められた配券アルゴリズムに基づいて前記参加者グループに、前記参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てるステップと、
を含み、
前記座席を連席で割り当てるステップは、前記複数の列の各列が分割され、または前記複数の列の一部がまとめられることによって前記複数の座席が複数のブロックに区切られており、前記複数のブロックについて座席を割り当てる優先順位が付されており、前記参加者グループに関する認証情報が受け付けられるたびに、前記参加者グループに含まれる参加者が偶数人である場合には、前記優先順位に従って座席を割り当てるブロックを変更して当該ブロックに含まれる座席を前記参加者グループに割り当て、前記参加者グループに含まれる参加者が奇数人である場合には、当該参加者グループに座席を割り当てた後の残席数が偶数となるブロックであって、かつ前記優先順位の高いブロックに含まれる座席を前記参加者グループに割り当て、
前記座席を連席で割り当てるステップは、前記複数のブロックのいずれにおいても残席数が前記参加者グループの参加者数よりも少ない場合、前記複数のブロックの一部の互いに隣接するブロックにまたがって前記参加者の人数分の座席を確保して前記参加者グループに割り当て、前記隣接するブロックは、前記会場の正面に対して前後方向に連続して並ぶ2つ以上のブロックであり、かつ、当該2つ以上のブロックにまたがって割り当てられる前記参加者の人数分の座席は、少なくとも左右のいずれかが前記会場内における通路に面している座席である、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法を前記コンピュータシステムに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、来場者に座席を割り当てるための自動配券システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばテレビの公開放送等においては、一般人を収録ホール等に招待して番組の収録を行うということが一般的によく行われている。この場合、事前に収録への参加者を募り、抽選等により決定された参加者には郵送等によって当選した旨の通知が行われる。当選した参加者は、当日、その通知を持って会場に出向く。そして、参加者が会場に到着するとまずは参加者に座席の割り当てを行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような公開放送等への招待は、通常は無料で行われるということもあり、当選の通知を行った参加者の全員が来場するとは限らず、実際に何人が来場するかは入場を締め切った後にしか分からない。このような状況において事前に参加者全員に座席を割り当てておくと、当日に欠席者が出た場合には、その欠席者に割り当てておいた座席は空席となる。そして、欠席状況によっては空席が多いところが目立ってしまう、テレビ映りが悪い、等の不都合があった。
【0004】
上記のような課題に鑑み、本発明は、参加者の人数が事前に確定しない状況であっても見栄え良く参加者に座席を割り当てるための自動配券システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、複数の座席を含む列を複数備える会場において開催されるイベントに参加する参加者グループに、座席の割り当てを行うための自動配券システムであって、少なくとも参加者グループまたは参加者の認証情報を受け付ける受付部と、予め定められた配券アルゴリズムに基づいて前記参加者グループに、前記参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てる自動配券部と、を備え、前記自動配券部は、前記列が複数のブロックに区切られており、前記複数のブロックについて座席を割り当てる優先順位が付されており、前記参加者グループを受け付けるたびに、前記優先順位に基づいて前記複数のブロックのうちの1つに含まれる座席を前記参加者グループに割り当てる、自動配券システムである。
【0006】
また、本発明の他の態様は、受付部と、自動配券部と、を備え、複数の座席を含む列を複数備える会場において開催されるイベントに参加する参加者グループに、座席の割り当てを行うための自動配券システムが実行する方法であって、前記受付部が、少なくとも参加者グループまたは参加者の認証情報を受け付けるステップと、前記自動配券部が、予め定められた配券アルゴリズムに基づいて前記参加者グループに、前記参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てるステップと、を含み、前記座席を連席で割り当てるステップは、前記列が複数のブロックに区切られており、前記複数のブロックについて座席を割り当てる優先順位が付されており、前記参加者グループを受け付けるたびに、前記優先順位に基づいて前記複数のブロックのうちの1つに含まれる座席を前記参加者グループに割り当てる、方法である。
【0007】
また、本発明の他の態様は、上記の方法を前記自動配券システムに実行させるためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る自動配券システムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る自動配券システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る自動配券システムにおける処理の大まかな流れの一例を示すフロー図である。
図4】座席のブロック化の一例を示す図である。
図5】横配券および縦配券を行うための操作部の一例を示す図である。
図6】座席の割り当ての基本的パターンの一例を示す図である。
図7】座席の割り当て方法の具体例を示す図である。
図8】座席の割り当て方法の具体例を示す図である。
図9】縦配券を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示される。
【0010】
(自動配券システムの構成)
まず、本実施形態に係る自動配券システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る自動配券システムの構成の一例を示す図である。
【0011】
本実施形態に係る自動配券システム1は、テレビの公開放送のように来場者に座席を割り当てるためのシステムである。来場者の人数については、予め最大人数はわかっているが、最終的に来場者が何人になるかは未定であるような状況を想定している。また、自動配券システム1は、例えば会場の入口付近に設置されている装置であり、来場者が自分で操作するようになっているか、開催者の係員が装置の傍にいて操作するようになっているような状況が想定される。
【0012】
本実施形態に係る自動配券システム1は、受付部10と、自動配券部12と、認証部14と、発券部16と、表示部30と、操作部40と、配券ロジック記憶部50と、認証DB52とを含んで構成される。
【0013】
受付部10は、少なくとも参加者グループまたは参加者の認証情報を受け付ける機能を有する。本実施形態においては、開催者側から事前に参加者に郵送されてくる参加証(はがき等)に印字されている二次元コード(QRコード(登録商標)等。以下、明細書全体を通じて同様。)や、事前に参加者に配信されたデジタルチケット上の二次元コードを読み取る機能を有する。二次元コードは規格に沿って、そのコードが表すデータが解釈される。本実施形態においては、二次元コードには開催者から許可された参加者グループまたは参加者の認証情報(識別情報など)が含まれている。参加者グループまたは参加者の認証情報とは、参加者グループに対して付与されたものであってもよいし、参加者グループのうちの代表者もしくは全員の各々に付与された複数の識別情報等であってもよい。また、受付部10はさらに参加者グループ内の参加者人数を受け付けるようになっていてもよいし、受け付けた参加者の認証情報から間接的に参加者人数を判断するようになっていてもよい。
【0014】
なお、本実施形態においては二次元コード(QRコード等)を一例として採用するが、これに限定されるものではない。参加者グループの認証情報(識別情報など)(および参加者グループ内の参加者人数)を示すものであればよく、例えば、バーコードのような一次元コードを用いてもよい。その場合には、受付部10は、例えば一次元コードリーダ等であればよい。また、参加証(はがき等)やデジタルチケットのみならず、例えば会員イベントである場合には会員証(IC、QRコード、バーコード等を印字)を受付部10で受け付けるようになっていてもよい。
【0015】
配券ロジック記憶部50は、自動配券処理のための配券ロジックを記憶しておく。配券ロジックは、具体的には例えば、コンピュータプログラムによって実現されうる。
【0016】
認証DB52は、参加者の認証を行うために正当な参加者の認証情報を記憶しておくデータベース(DB)である。正当な参加者の認証情報とは、具体的には例えば、参加者グループ(またはグループ内の代表者もしくは全員)を一意に識別するための識別情報、グループ内の代表者または全員の氏名、住所、電話番号、等の情報であってよい。
【0017】
自動配券部12は、配券ロジック記憶部50に記憶されている配券ロジックに基づいて前記参加者グループに、参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てる機能を有する。自動配券の方法(座席の割り当て方法)の詳細については、後述する。なお、「連席」とは、通路を挟むことなく連続している座席をいう。
【0018】
認証部14は、認証DB52に記憶されている参加者グループまたは参加者の認証情報を参照して参加者が正当な者であるかの認証を行う。具体的には例えば、二次元コードから読み出される参加者グループ等の認証情報が認証DB52に登録されているか判断する。
【0019】
発券部16は、認証部14における認証が成功し、かつ、自動配券部12における処理が正常に終了した(自動配券が行われた)場合に、座席の番号等が印刷された座席券を発券する。発券部16は、座席券をプリントアウトするようになっていてもよいし、発券する旨の命令を座席番号等の必要な情報とともに外部の発券装置に出力する等となっていてもよい。また、紙ベースで発券するだけでなく、例えば利用者のスマートフォン等の携帯端末(図示しない)に座席番号を送信する等となっていてもよい。
【0020】
表示部30は、表示部30は各種の情報を表示する機能を有する。例えば、二次元コードから読み出された参加者グループの人数を表示する、自動配券部12や認証部14での処理の結果(成功または失敗)を表示する、参加者または係員の操作を促すためのメッセージを表示する、等を実行してもよい。
【0021】
操作部40は、参加者または係員の操作を受け付ける機能を有する。また、表示部30と操作部40は、例えばタッチパネルのように一体的に構成されていてもよい。
【0022】
また、上述した自動配券システム1は、1つの装置で構成されていてもよいし、複数の装置で構成されていてもよい。
【0023】
また、配券ロジック記憶部50と認証部DB52は、それぞれ、他の構成とは異なる装置に備えられていてもよい。例えば、自動配券システム1はサーバクライアント型のシステムであって、配券ロジック記憶部50と認証部DB52(またはいずれか一方)以外の構成についてはイベント会場の入口に設定された1つの装置に備えられており、配券ロジック記憶部50と認証部DB52(またはいずれか一方)は、イベント会場とは遠方のサーバ装置に備えられている等となっていてもよい。
【0024】
(ハードウェア構成)
上記説明した自動配券システム1は、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現可能である。図2は、自動配券システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示されるコンピュータ装置100は、一例として、プロセッサ101と、RAM102と、ROM103と、ハードディスク装置104と、リムーバブルメモリ105と、無線・有線の通信インタフェース106と、ディスプレイ/タッチパネル107と、スピーカ108と、キーボード/キーパット109と、二次元コードリーダ110とを備える。本実施形態に係る自動配券システム1の各構成の機能は、例えば、プロセッサ101が、ハードディスク装置104にあらかじめ格納されたプログラムをメモリに読み出して実行することで実現可能である。なお、図2に示されるハードウェア構成はあくまで一例であって、これに限定されるものではない。
【0025】
(処理フロー)
図3は、本実施形態に係る自動配券システムにおける処理の大まかな流れの一例を示すフロー図である。
【0026】
参加者は来場すると、まず、例えば開催者側から事前に郵送されてきた参加証(はがき等)に印字されている二次元コードを、会場に設置されている自動配券システム1の受付部10にかざす。受付部10は二次元コードを読み取る(ステップS102)。二次元コードの読み取りが正常に行われなかった場合には(ステップS104:No)、読み込みがNGである旨を出力する(ステップS106)。当該出力は、例えば、自動配券システム1の表示部30にメッセージを表示する、音声によって出力する、ランプの点灯/点滅等によって示す、等、様々な方法で行われてよい。そして、ステップS102を経て、二次元コードの読み取りが再度行われる。
【0027】
受付部10が二次元コードを読み取ると、二次元コードで示される参加許可人数に応じて、自動配券部12は、配券ロジック記憶部50に記憶されている配券ロジック(コンピュータプログラム)を読み出して、当該ロジックに基づいて座席の割り当てを行う(ステップS108)。なお、もし実際に来場した人数と、ステップS104で読み込まれた参加許可人数(参加申込みをして許可された人数)とが異なる場合(例えば2名で申し込んだが当日は1名しか来場しなかった場合等)、開催者の係員が操作部40を操作して人数の設定を行えばよい。
【0028】
ステップS108において座席の割り当てができなかった場合には(ステップS110:No)、その旨を表示部30に表示する等して係員に通知する(ステップS112)。なお、座席の割り当てができなかった場合とは、例えば、本実施形態においては原則、参加者は連席になるように割り当てるが、座席の空き状況により連席で割り当てられない場合(参加人数分の座席が連席で空いていない場合)が該当する。このような場合は、例えば係員が参加者の許可を得て人数を複数のグループに分ける(例えば参加者が3名ならば2名と1名に分ける、または1名ずつに分ける、等)ように、操作部40を操作して人数の再設定を行う。そして再設定された人数での座席の割り当てを再度行う(ステップS108)。
【0029】
座席の割り当てが完了すると(ステップS110:Yes)、認証部14は、認証DB52に予め記憶されている参加者のデータを参照して、来場した参加者の認証を行う(ステップS114)。認証が成功した場合には(ステップS116:Yes)、発券部16は座席券の出力を行う(ステップS120)。認証が成功しなかった場合には(ステップS116:No)、その旨を表示部30に表示する等して係員に通知する(ステップS118)。
【0030】
なお、座席の割り当て処理(ステップS108)と参加者の認証処理(ステップS114)は、順番が逆になっていてもよい。すなわち、参加者の認証処理を行ってから、座席の割り当て処理を行ってもよい。
【0031】
(配券アルゴリズム)
以下、本実施形態に係る自動配券システムによって実行される自動配券のアルゴリズムについて説明する。
【0032】
(座席のブロック化)
まず、配券を行う前に座席のブロック化を行う。図4は、座席のブロック化の一例を示す図である。例えば図4のような会場において、横一列に並んでいる座席を複数のブロックに分ける(ブロック202)。各ブロックは、例えば通路を区切りとして決定される。または、これらをひと纏めにして、より大きなブロックとしてもよい(ブロック204)。これらのブロック化の例はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。例えば、横一列に並んでいる座席を通路で区切り、さらにその中間部で区切ることで、座席列をブロック化してもよい。このようにして座席は複数のブロックに分けられ、各ブロックには参加者1組ごとに座席を割り当てるための優先順位が付される(詳細は後述する)。
【0033】
また、参加予定人数に応じて、歩留まりライン206を設定する。座席を割り振る際、原則は、この歩留まりライン206以前の座席を参加者に割り振ることとする。これにより、会場のステージになるべく近い座席に参加者が集まるように座らせることになり、例えばステージ側から観客席を撮影した場合に座席が埋まっているように見えやすく、見栄えがよい。なお、歩留まりライン206は参加予定人数とほぼ同数でもよいし、これに加えてある程度の余裕をもたせた座席数によって決められてもよい。
【0034】
(横配券と縦配券について)
配券の方法には、横配券と縦配券の2通りがありうる。横配券とは、1つのブロック内において横並びで、かつ連席で座席を割り振ることである。縦配券とは、縦並びで座席を割り振ることである。つまり複数のブロックに渡って複数の座席を確保する方法である。
【0035】
基本的には横配券で座席を確保するが、配券が進んでいき座席が埋まっていくと、空いている席がまばらになっていき、横並び、かつ連席で座席を確保することができなくなる場合がある。その場合には、複数のブロックをまたがって縦並びで複数の座席を確保する。その際には、原則、縦一列に連続した座席を確保する。
【0036】
図5は、横配券および縦配券を行うための操作部の一例を示す図である。図5の例においては、横並びの連席で配券されるべき人数が1人、2人、3人、4人、5人、6人である場合に、参加者または開催者側の係員が操作するための複数のボタン302、および縦並びの連続した席で配券されるべき人数が1人、2人、3人である場合に、参加者または開催者側の係員が操作するための複数のボタン304が備えられている。
【0037】
なお、図5における配券の人数は、参加者がグループで来場した時の全員の人数であってよいが、全員分の座席を連席で確保できなかった場合(図3のステップS110:No)には、参加者のグループを複数に分けた場合(例えば参加者グループが3人だった場合に、2人と1人とに分けた場合は“2人”と“1人”)の人数が該当しうる(すなわち、まず2人について配券を行い、その後に1人について配券を行う、等)。
【0038】
(座席の割り当て方法)
図6は、座席の割り当ての基本的パターンの一例を示す図である。図6においては、一例として3つのパターン(a)、(b)、(c)が挙げられている。(なお、図6においては、1ブロックの両端側は通路である場合を示している。)
【0039】
パターン(a)は、左から右に向かって一方向で座席を順番に確保していくパターンである。パターン(b)は、右から左に向かって一方向で座席を順番に確保していくパターンである。パターン(c)は、左と右とから交互に座席を確保していくパターンである。また、割り当ての方向をいずれのパターンに設定するかは、ブロックごとに設定することが可能である。
【0040】
また、図7および図8は、座席の割り当て方法の具体例を示す図である。座席のブロック化については図4を用いて説明したが、各ブロックには座席の割り当てを行う優先順位を付すことができる。例えば、図7および図8の例においては、ブロック402、ブロック404、ブロック406の順に優先順位が付されているとする。
【0041】
ここで、本実施形態の自動配券システムでは、座席の割り当てにおいて以下のようなルールを採用する。
(1)偶数人の参加者が来場した場合には、優先順位に従って座席を割り当てるブロックを選択する。
(2)奇数人の参加者が来場した場合には、座席を確保した後のブロック内の空席が偶数になるようなブロックを優先順位に従って探す。
【0042】
以上のようなルールを採用する理由としては、まず、テレビの公開放送等の現状としては2人1組で参加申し込みを受け付ける場合が大多数であり、来場者もほとんどの場合が2人1組で来場する(全体の数%程度は1人または3人などで来場する場合もある)からである。このような状況に鑑みて、ブロック中の空席数をなるべく偶数になるように配券することで、見栄えよく配券することに加えて、無駄な空席を作らず効率良く配券することが可能となる。
【0043】
以下、図7および図8の具体例について説明する。
【0044】
図7および図8の例においては、全てのブロックが左から右に向かって一方向で座席を確保していくように予め設定されているとする。また、図7においては、各ブロック402a、404a、406aの座席数は10席であるとする。図8においては、各ブロック402b、404b、406bの座席数はそれぞれ、9席、10席、11席であるとする。このような状況において、例えば、1グループ2人、3人、1人の参加者グループが順番に来場したとする。
【0045】
図7の場合、まずは参加人数が2人(偶数)であるので(ルール(1))ブロックの優先順位に応じて、ブロック402aの左端から2つの席を割り当てる。次に、ブロック404aの左端から3つの席を割り当てる(残りは7席になるが、いずれのブロックにおいても残席は奇数になるので、ここでは優先順位がブロック402aの次であるブロック404aに割り当てる(ルール(2)))。そして、次グループの1人については、優先順位が次のブロック406aに割り当てると、ブロック中の残席が奇数になる。よって、ブロック404aの左端3つの席に連続して1つの席を割り当てる。これで、ブロック404aの残席は6席となる。
【0046】
図8の場合、参加人数は2人(偶数)であるので(ルール(1))優先順位の高いブロック402bの左端から2つの席を割り当てる(残り7席)。次の3人は優先ブロック404bに座席を割り当てると、ブロック中の残りの空席が7席となり空席数が奇数となってしまうのでブロック402bに割り当てる(ルール(2))。この時、ブロック406bに割り当ててもブロック中の空席数が8席となり偶数となるため、ブロック406bに割り当てる方法もありうるが、一般的には、ステージ側から客席を撮影した場合に、より前方の座席(ステージに近い方)が埋まっていたほうが見栄えがよいため、ブロック402bに割り当てるようにするほうが好ましい。
【0047】
そして、次の1人はブロック406bに割り当てることで、ブロック中の残りの空席数が偶数(10席)になる。
【0048】
なお、1人の参加者に座席を割り振る場合には、無駄な空席を生じさせないよう効率的な配券を行うために、席が1つのみ空いているところがあれば他に2つ以上連席で空いている席があっても、その1つのみの席を割り当てるほうが好ましい。なぜならば、参加者は2人1組で来場する場合が多数であるため、2つ以上の連席はそのような参加者のために空けておくほうが効率の良い配券ができる可能性が高まるからである。
【0049】
以上のようにして参加者グループに座席を割り当てていく際に、単に1つのブロック内で連続して座席を確保していくのではなく、ブロックに優先順位を付すことで座席を確保するブロックを変えていくことで、外見上はランダムに座席を割り振っているように見えるというメリットがある。(もし単にステージに近い座席から割り振っていくようになっていると参加者どうしで座席の取り合いになる可能性があり、例えば参加者が非常に早い時間から来場して前方の席を確保しようとする等の問題が生じる可能性がある。)
【0050】
また、本例においては、説明を簡略化するためにブロックの数を3つとしたが、実際にテレビ収録等が行われるようなホールでは、もっと多数のブロックが存在しうる。ブロック間の優先順位は、基本的にはステージに近いブロックから遠いブロックに向けて低くなっていく。参加者が少なかった場合であっても、ステージに近いほうから座席が埋まることになり、見栄えが良くなるからである。
【0051】
また、以上のように横配券を行った後に、縦配券を行うようになっていてもよい。例えば、図9のように座席が埋まっている場合に、3人グループの参加者が来場すると横並びでは座席が確保できない。このような場合には、参加者または係員が図5の縦配券ボタン304の「3枚」のボタンを選択すると、自動配券部12によって、ブロック412、414、416をまたがって右端の縦に3つの座席410が確保されるようになっていてもよい。なお、縦配券も連続した座席で配券することが原則である。
【0052】
また、横配券は図4で示される歩留まりライン206以前の座席を割り振るのが原則であるが、図9の例のように横配券ができなくなった場合には、縦配券を行う代わりに歩留まりライン206より後ろの座席を参加者に割り振るようになっていてもよい。
【0053】
ここで、テレビの公開放送等は、その企画の内容や番組によって人気のあるものとそうでないもの、すなわち参加率が高いものと低いものがある。また、公開放送等を行う場合に参加率がどれほどになるかは、業界の経験上、ある程度予測がつくものである。人気がある企画の場合は参加率が高く、座席が高確率で埋まることになるため、効率的な配券が求められる。一般的には、通路側の席が空いていると、会場全体を見た時に空きが目立つため、通路側の席は空かないように配券するほうがよい。しかしながら、人気のある企画の場合には、あえて通路側を埋めないように配券していく方法(図6のパターン(a)、(b)の配券方法)を採用するほうが、都合が良い場合がある。なぜならば、図9で示されるように、複数のブロック(ブロック412、414、416)にわたって一方向で配券していくことで、横配列ができなくなった場合であっても、一方の通路側の座席が縦方向で連続して座席が取れる(縦配列)可能性が高くなるからである。
【0054】
なお、座席は、必ずしも座席の列を通路ごとに区切ってブロック化されるわけではない(例えば図4のブロック204は2つの通路で座席の列を分断せず1つのブロックとしている)。よって、図4のブロック204のようなブロック化を行った場合には、縦配列が可能となる可能性を高くするという意味では、通路側を埋めないというよりもブロックの両端の席を割り当ててしまわないようにする、ということもできる。さらに、複数のブロックに渡って同じ方向に向けてブロックの一端から順番に座席の割り当てをしてくほうが、当該複数のブロックのそれぞれが異なる方向に向けて座席を割り当てていくよりも、最終的に縦配券ができる可能性が高くなる。
【0055】
以上説明した本実施形態に係る自動配券システムによれば、参加者の人数が事前に確定しない状況であっても見栄え良く参加者に座席を割り当てることができる。さらに、上述したように、原則はブロック中の空席数を偶数となるように配券することで、効率的な配券を行うことができる。
【0056】
また、従来は、座席位置を人為的に決定のうえ、予め用意したチケットを人数分だけもぎり渡していたが、本実施形態に係る自動配券システムにおいてはシステムにQRコード等を翳すだけなので、開催側のスタッフのスキルや裁量に依存せず公平性を保て、またシステム化により人員削減(コスト削減)にもつながるという利点がある。
【0057】
また、ネットワーク接続やDB連携により、参加者の認証結果が即座に認証サーバ等へアップされうるため、認証結果をリアルタイムで確認できる(ビジュアル化)という利点がある。
【0058】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0059】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0060】
1 自動配券システム
10 受付部
12 自動配券部
15 認証部
16 発券部
30 表示部
40 操作部
50 配券ロジック記憶部
52 認証DB
【要約】
【課題】参加者の人数が事前に確定しない状況であっても見栄え良く参加者に座席を割り当てるための自動配券システムを提供すること。
【解決手段】複数の座席を含む列を複数有する会場において開催されるイベントに参加する参加者グループに、座席の割り当てを行うための自動配券システムであって、少なくとも参加者グループまたは参加者の認証情報を受け付け、予め定められた配券アルゴリズムに基づいて参加者グループに、参加者グループ内の参加者人数と同数の座席を連席で割り当てる自動配券システムであって、列を複数のブロックに区切り、複数のブロックについて座席を割り当てる優先順位を付して、参加者グループを受け付けるたびに優先順位に基づいて複数のブロックのうちの1つに含まれる座席を参加者グループに割り当てる、自動配券システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9