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特許6286042試料の採集、導入及び熱解析装置と方法並びに痕跡量検出設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286042
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】試料の採集、導入及び熱解析装置と方法並びに痕跡量検出設備
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20180215BHJP
   G01N 30/04 20060101ALI20180215BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20180215BHJP
   G01N 30/06 20060101ALI20180215BHJP
   G01N 30/08 20060101ALI20180215BHJP
   G01N 27/62 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
   G01N1/22 L
   G01N30/04 A
   G01N1/00 101R
   G01N30/06 G
   G01N30/08 G
   !G01N27/62 101
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-532073(P2016-532073)
(86)(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公表番号】特表2017-507316(P2017-507316A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】CN2015099185
(87)【国際公開番号】WO2016107515
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2016年5月18日
(31)【優先権主張番号】201410852020.1
(32)【優先日】2014年12月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506388336
【氏名又は名称】同方威視技術股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 清▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】李 元景
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 志▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 ▲偉▼平
(72)【発明者】
【氏名】何 会▲紹▼
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 秋峰
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 耀▲紅▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ゾウ▼ 湘
(72)【発明者】
【氏名】常 建平
【審査官】 黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−251809(JP,A)
【文献】 特開平02−115742(JP,A)
【文献】 実開昭59−025453(JP,U)
【文献】 特開2005−291921(JP,A)
【文献】 米国特許第04849179(US,A)
【文献】 特開2009−236589(JP,A)
【文献】 特表平05−500114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 30/00 − 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料採集構造と、
試料採集構造で採集された試料を吸着するように配置され、試料採集構造と連通可能な吸着チャンバーを有するピストン式吸着器と、
ピストン式吸着器を収容するとともに、吸着チャンバーと連通するピストンチャンバーが形成されているピストンシリンダーと、
吸着チャンバー及びピストンチャンバーと連通し、かつ吸着チャンバー内に吸着された試料を熱解析するように配置される熱解析チャンバーと、
導管を介してピストンチャンバーと連通し、かつ試料採集構造によって環境ガスに漏れた試料を吸着チャンバーに抽出するように配置されるポンプと、
を備える試料の採集、導入及び熱解析装置において、
ピストン式吸着器は、試料採集位置と試料解析位置との間にピストンチャンバー内で移動でき、試料採集位置において、吸着チャンバーが熱解析チャンバー外に位置決められ、かつ試料採集構造と連通することで試料採集構造で採集された試料を吸着し、試料解析位置において、吸着チャンバーが、吸着された試料が熱解析チャンバー内に熱解析されるように熱解析チャンバー内に位置決められるように構成され、
ピストン式吸着器は、ピストンレバーと、ピストンレバーの末端に接続される吸着チャンバーとを備えるとともに、
吸着チャンバーは、内部に吸着剤が充填されている網状構造を有することを特徴とする試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項2】
試料採集構造は、試料採集口と、試料採集口に取り付けられた濾過構造と、試料採集口をピストンシリンダーに接続する接続管とを備えるとともに、
ピストンシリンダーは、熱解析チャンバーに取り付けられたシリンダー本体を備え、シリンダー本体には、ピストンチャンバーと連通するサンプリング接続ガス口が設けられており、接続管の一端は、サンプリング接続ガス口内に密封的で、着脱可能に取り付けられるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項3】
接続管内に、採集された試料中の水分を吸収するための乾燥剤が置かれていることを特徴とする請求項2に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項4】
接続管の少なくとも1つの部分は、伸縮可能なホースを含むことを特徴とする請求項2に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項5】
吸着チャンバーは、ピストン式吸着器が試料採集位置にある場合、試料採集構造と連通することで採集された試料を受け入れるように構成される吸着通路を備えることを特徴とする請求項に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項6】
ピストン式吸着器は、吸着チャンバーのピストンレバーから離間する一端に着脱可能に接続される断熱クッションを更に備えることを特徴とする請求項に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項7】
ピストンレバーは、冷却通路と、ピストンレバーの下部に形成された複数の貫通孔とを備え、
冷却通路は、ピストン式吸着器が試料採集位置にある場合、環境ガスと直接連通し、ピストン式吸着器が試料解析位置にある場合、ピストンシリンダーに形成された冷却貫通孔を介して環境ガスと連通するように構成されるとともに、
上記複数の貫通孔は、冷却通路及びピストンチャンバーと連通するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項8】
ピストン式吸着器がピストンシリンダー内に密封的に収容されるように、ピストン式吸着器の周りに設けられた複数の密封リングを更に備えることを特徴とする請求項に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項9】
ピストンシリンダーは、ピストン式吸着器の熱解析チャンバー内の移動をガイドするように、熱解析チャンバー内に設けられるガイドレールを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項10】
熱解析チャンバーは、チャンバー本体と、チャンバー本体の内壁内に設けられたライナーとを有するとともに、
チャンバー本体の外壁に加熱構造が被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項11】
熱解析チャンバーは、キャリアガス入口、出気口及び分析メーターインタフェースが更に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項12】
ピストンシリンダーと熱解析チャンバーとの間に設けられた断熱構造を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の試料の採集、導入及び熱解析装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の試料の採集、導入及び熱解析装置と、試料の採集、導入及び熱解析装置に接続される試料分析メーターとを備えることを特徴とする痕跡量検出設備。
【請求項14】
請求項1に記載の試料の採集、導入及び熱解析装置を用いて試料を採集解析する方法において、
ピストン式吸着器を試料採集位置に位置決めることで、吸着チャンバーと試料採集構造とを連通させるステップと、
ポンプを始動させることで、試料採集構造によって環境気体に漏れた試料を吸着チャンバー内に抽出するステップと、
熱解析温度制御システムを始動させることで、熱解析チャンバーの温度をある一定の高温に維持するステップと、
吸着チャンバーを熱解析チャンバー内に位置決めるとともに、吸着チャンバーによって吸着された試料が高温下で熱解析チャンバー内において析出するように、ピストン式吸着器を移動させ、試料解析位置に位置決めるステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項15】
ポンプを始動させることで、試料採集構造によって環境気体に漏れた試料を吸着チャンバー内に抽出するステップは、
ポンプを持続的に作動させることで試料を連続的に抽出し、試料を吸着チャンバー内で予備濃縮させることを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
吸着チャンバーによって吸着された試料が高温下で熱解析チャンバー内において析出する期間において、上記ポンプを始動させて吸気を行うことで、ピストン式吸着器の熱解析チャンバーの外に位置決められる部分を室温に保持することを特徴とする請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、一般的に、安全検出技術分野に関し、より具体的には、揮発性、半揮発性物質および表面付着物質などに対して現場でリアルタイムに採集し、予備濃縮を行い、ガスクロマトグラフィー(GC)、イオン移動度計(IMS)、ガスクロマトグラフィー−イオン移動度(GC−IMS)共用分析計などのスピード試料採集導入に適用する試料の採集、導入及び熱解析装置と方法、並びに痕跡量検出設備に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン移動度(IMS)技術は、構造が簡単で、感度が高く、分析速度が速いといった特徴を有する。それは、大気圧または近大気圧で物質のスピード検出、痕跡量(ppdオーダー)検出を実現することができ、現場使用に非常に適応している。したがって、IMSは、化学剤、麻薬、爆発物、環境などの方面の検出やモニタリングに広く用いられた。しかしながら、IMSは単独で検出メーターとして混合物を検出する場合、以下の幾つかの問題が存在する。(1)製造プロセスの問題で、現在の商用IMSの解像力は30程度しかないので、移動度の近い化合物を区分することが非常に困難である。(2)幾つかの化合物のイオンはイオン化領域において複雑な反応が発生して互い消滅することがある。(3)IMSは動的範囲が比較的低く、1種または数種の化合物の濃度が非常に大きい場合、他の化合物のイオン生成に影響するので、検出見逃しになることがある。以上の原因により、IMSは成分が複雑な混合物を検出する場合、報告漏れ、誤報が発生しやすい。
【0003】
GC−IMS共用技術は、GCの複雑な試料への際立った分離能力を利用して混合物に対して予備分離を行い、混合物を単一成分に分離させてからIMSに入らせて検出する。こういう共用技術は、混合物への検出の確度を大いに向上することができる。通常のGCの分析時間は10分間以上のオーダーであるため、現場のスピード検出への需要を満たし得ない。近年、スピードGC技術は、迅速な発展を遂げ、その分離時間(数十秒〜数分)は通常のGCと比べて大きく短縮され、スピードGC−IMSはGCの分離能力を継承する一方で、IMSの高感度、速い応答速度といった特性も継承するので、成分が複雑な試料の検出も可能になり、検出限度は、ppbオーダーよりも優れており、検出時間は数秒から数分以内であり、その他、スピードGC−IMSは、小型化及び携帯性などの面において十分な優勢を示しており、複雑成分の現場でのスピード検出に非常に適応している。このような技術は、反テロリスト、暴行防止、薬品密輸、環境観測、食品安全などの分野において多大な作用を発揮している。
【0004】
試料導入器は、痕跡量分析メーターの欠かせない部分である。個別のIMSの主な試料導入方式は、拭きサンプリング熱解析と直接物取り熱解析とを含む。拭きサンプリング方式は、通常、一定のフレキシブル性の耐高温拭き紙で検出すべき物質を拭き、そして、サンプリング紙を試料導入熱解析器の溝内に置き、加熱によってサンプリング紙に付着したものを解析する。このような方式は、表面付着物質のサンプリングにしか適応しておらず、揮発性、半揮発性物質への直接サンプリングに適応していない。また、GCの試料導入要求とIMSのそれとが違い、GCは試料成分が迅速に気化し、そして、キャリアガスと混合した後、GCカラムヘッドに迅速で、正確で、定量的に加えることが要望されている。したがって、従来のIMSの試料導入方式は原理上においてもサンプリング効率においてもGC−IMSに適応していない。
【0005】
従来のGC試料導入器は、溶液試料に対して、通常、分流試料非導入/分流試料導入の方式を採用しており、このような方式は、試料ベースの分析への干渉を考慮するだけではなく、試料溶剤の分析への干渉も考慮しなければならず、これと同時に、試料に対して複雑な前処理を行う必要があり、現場でのスピード検出に適応していない。たとえ現在広く応用されているヘッドスペースサンブラーでも、複雑な前処理が要らないが、ヘッドスペースサンブラーは、「破壊的」に一定量の試料を得る必要があるので、開封せずに痕跡量のガスをそのまま採用する現場スピード検出に適応していない。
【0006】
以上により、従来のIMSとGCのサンプリング、試料導入技術は、試料採集の効率が低く、採集速度が遅く、開封処理を要し、スピードGC−IMSの現場快速検出に適応していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する上記問題及び他の問題と欠陥のうちの少なくとも1種を克服するために、本発明を完成することに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの発明によれば、
試料採集構造と、
試料採集構造で採集された試料を吸着するように配置され、試料採集構造と連通可能な吸着チャンバーを有するピストン式吸着器と、
ピストン式吸着器を収容するとともに、吸着チャンバーと連通するピストンチャンバーが形成されているピストンシリンダーと、
吸着チャンバー及びピストンチャンバーと連通し、かつ吸着チャンバー内に吸着された試料を熱解析するように配置される熱解析チャンバーと、
導管を介してピストンチャンバーと連通し、かつ試料採集構造によって環境ガスに漏れた試料を吸着チャンバーに抽出するように配置されるポンプと、
を備える試料の採集、導入及び熱解析装置において、
ピストン式吸着器は、試料採集位置と試料解析位置との間にピストンチャンバー内で移動でき、試料採集位置において、吸着チャンバーが熱解析チャンバー外に位置決められ、かつ試料採集構造と連通することで試料採集構造で採集された試料を吸着し、試料解析位置において、吸着チャンバーが、吸着された試料が熱解析チャンバー内に熱解析されるように熱解析チャンバー内に位置決められるように構成される試料の採集、導入及び熱解析装置を提供した。
【0009】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、試料採集構造は、試料採集口と、試料採集口に取り付けられた濾過構造と、試料採集口をピストンシリンダーに接続する接続管とを備えるとともに、ピストンシリンダーは、熱解析チャンバーに取り付けられたシリンダー本体を備え、シリンダー本体には、ピストンチャンバーと連通するサンプリング接続ガス口が設けられており、接続管の一端は、サンプリング接続ガス口内に密封的で、着脱可能に取り付けられるように構成されることができる。
【0010】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、接続管内に、採集された試料中の水分を吸収するための乾燥剤を置くことができる。
【0011】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、接続管の少なくとも1つの部分は、伸縮可能なホースを含む。
【0012】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストン式吸着器は、ピストンレバーと、ピストンレバーの末端に接続される吸着チャンバーとを備えるとともに、吸着チャンバーは、内部に吸着剤が充填されている網状構造を有することができる。
【0013】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、吸着チャンバーは、ピストン式吸着器が試料採集位置にある場合、試料採集構造と連通することで採集された試料を受け入れるように構成される吸着通路を備えてもよい。
【0014】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストン式吸着器は、吸着チャンバーのピストンレバーから離間する一端に着脱可能に接続される断熱クッションを更に備えてもよい。
【0015】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストンレバーは、冷却通路と、ピストンレバーの下部に形成された複数の貫通孔とを備えることができ、冷却通路は、ピストン式吸着器が試料採集位置にある場合、環境ガスと直接連通し、ピストン式吸着器が試料解析位置にある場合、ピストンシリンダーに形成された冷却貫通孔を介して環境ガスと連通するとともに、上記複数の貫通孔は、冷却通路及びピストンチャンバーと連通するように構成されていることができる。
【0016】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストン式吸着器がピストンシリンダー内に密封的に収容されるように、ピストン式吸着器の周りに設けられた複数の密封リングを更に備えてもよい。
【0017】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストンシリンダーは、ピストン式吸着器の熱解析チャンバー内の移動をガイドするように、熱解析チャンバー内に設けられるガイドレールを備えることができる。
【0018】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、熱解析チャンバーは、チャンバー本体と、チャンバー本体の内壁内に設けられたライナーとを有するとともに、チャンバー本体の外壁に加熱構造が被覆されていてもよい。
【0019】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、熱解析チャンバーは、キャリアガス入口、出気口及び分析メーターインタフェースを更に設けてもよい。
【0020】
上記試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストンシリンダーと熱解析チャンバーとの間に設けられた断熱構造を更に備えてもよく、密封した解析チャンバーを形成するように、この三つの部材の間にO型リングを設けることができる。
【0021】
本発明のもう1つの発明によれば、上記試料の採集、導入及び熱解析装置と、試料の採集、導入及び熱解析装置に接続される試料分析メーターとを備える痕跡量検出設備を提供した。
【0022】
本発明のまた1つの発明によれば、上記記載の試料の採集、導入及び熱解析装置を用いて試料を採集解析する方法において、ピストン式吸着器を試料採集位置に位置決めることで、吸着チャンバーと試料採集構造とを連通させるステップと、ポンプを始動させることで、試料採集構造によって環境気体に漏れた試料を吸着チャンバー内に抽出するステップと、熱解析温度制御システムを始動させることで、熱解析チャンバーの温度をある一定の高温に維持するステップと、吸着チャンバーを熱解析チャンバー内に位置決めるとともに、吸着チャンバーによって吸着された試料が高温下で熱解析チャンバー内において析出するように、ピストン式吸着器を移動させ、試料解析位置に位置決めるステップとを備える方法を提供した。
【0023】
上記方法において、ポンプを持続的に作動させることで試料を連続的に抽出し、試料を吸着チャンバー内で予備濃縮させることができる。
【0024】
上記方法において、吸着チャンバーによって吸着された試料が高温下で熱解析チャンバー内において析出する期間において、上記ポンプを始動させて吸気を行うことで、ピストン式吸着器の熱解析チャンバーの外に位置決められる部分を室温に保持する。
【0025】
後述の図面を参照しながら本発明に対する詳細な記述によれば、本発明のその他の目的及び優れたところは、明らかになり、本発明に対する全面的な理解に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面を参照すると、本発明の特徴と優れたところをより明確に理解できる。図面は概略的に示すものであり、本発明に対する如何なる限定であると理解すべきではない。
図1】本発明の1つの例示的な実施例による、試料採集状態にある試料の採集、導入及び熱解析装置の構造を概略的に示すブロック図である。
図2図1に示す試料の採集、導入及び熱解析装置における試料採集構造の配置の1つの例を概略的に示す。
図3図1に示す試料の採集、導入及び熱解析装置におけるピストン式吸着器の構造の1つの例を概略的に示す。
図4】本発明の1つの例示的な実施例による、試料導入解析状態にある試料の採集、導入及び熱解析装置における構造を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下は、本発明の実施例の図を結合して、本発明の実施例における技術案に対して明確で、完全な説明を行う。明らかなように、記載されている実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例によれば、当業者が創造的な労働を払わない前提下で得られた全ての他の実施例は、何れも本発明の保護範囲に入っている。
【0028】
また、以下の詳しい説明では、解釈の便宜上、本発明に開示された内容の実施例への全体的な理解を提供するために、多くの具体的な細かい点を記述した。しかしながら、明らかなように、1つまたは複数の実施例は、これらの具体的な細かい点がない場合でも実施されることができる。他の場合において、図面の簡略化のため、周知の構造と装置は簡略に図示する。
【0029】
本発明の1つの全体的な構想によれば、試料採集構造と、試料採集構造で採集された試料を吸着するように配置され、試料採集構造と連通可能な吸着チャンバーを有するピストン式吸着器と、ピストン式吸着器を収容するとともに、吸着チャンバーと連通するピストンチャンバーが形成されているピストンシリンダーと、吸着チャンバー及びピストンチャンバーと連通し、かつ吸着チャンバー内に吸着された試料を熱解析するように配置される熱解析チャンバーと、導管を介してピストンチャンバーと連通し、かつ試料採集構造によって環境ガスに漏れた試料を吸着チャンバーに抽出するように配置されるポンプと、を備える試料の採集、導入及び熱解析装置において、ピストン式吸着器は、試料採集位置と試料解析位置との間にピストンチャンバー内で移動でき、試料採集位置において、吸着チャンバーが熱解析チャンバー外に位置決められ、かつ試料採集構造と連通することで試料採集構造で採集された試料を吸着し、試料解析位置において、吸着チャンバーが、吸着された試料が熱解析チャンバー内に熱解析されるように熱解析チャンバー内に位置決められるように構成されることを特徴とする試料の採集、導入及び熱解析装置を提供した。
【0030】
図1は、本発明の1つの例示的な実施例による試料の採集、導入及び熱解析装置の構造を概略的に示す。図示のように、当該試料の採集、導入及び熱解析装置は、主に、試料採集構造1と、ピストン式吸着器2と、ピストンシリンダー3と、熱解析チャンバー4と、ポンプ5とを備える。以下は各部材の構造及び操作を詳しく説明する。
【0031】
図2は、本発明の試料採集構造の1つの例を概略的に示す。図2では、試料採集構造1は、主に、試料採集口1−1と、試料採集口1−1に取り付けられた濾過構造1−2と、試料採集口1−1をピストンシリンダー3に接続する接続管1−3とを備える。試料採集口1−1は、ラッパ状の形状を用いることができ、それが、サンプリング時に、サンプリングすべき試料が漏れた、または表面付着試料の環境ガスに置かれると、試料の採集面積を効果的に増大することができ、試料のスピード採集に寄与する。試料採集口1−1の先端に取り付けられた濾過構造1−2、例えば、濾過網は、大粒子の物質が入って管路を塞ぐことを防止できる。試料採集口1−1は、接続管1−3を介してピストンシリンダー3と接続し、連通する。
【0032】
接続管1−3内に、乾燥剤1−4を置くことができる。乾燥剤は、試料採集過程で採集された試料中に混入された水分、湿気などを吸収することができ、分析メーターのクロマトカラム、移動管を保護する作用を奏し得る。乾燥剤は乾燥剤包みに包まれることができ、接続管内に、乾燥剤または乾燥剤包みを固定する構造1−5、例えば、突起を設けることができ、これにより、乾燥剤または乾燥剤包みがポンプの吸込作用で移動するのを防止する。
【0033】
接続管1−3の少なくとも1つの部分、例えば乾燥剤の後の部分は、伸縮可能なホースまたは波形管1−6で構成されることができ、サンプリング時において、このような伸縮可能なホースまたは波紋管1−6に対して引張および/または回転を行うことで試料採集口1−1の向きを調整でき、使用者の試料への採集に大きく寄与した。接続管1−3の末端1−7は、ピストンシリンダー3に密封的で、着脱可能に接続されているように構成されている。
【0034】
図3は、本発明のピストン式吸着器の1つの例を概略的に示す。図に示すように、ピストン式吸着器2は全体的にピストンシリンダー3内を往復動可能な柱形状ピストンの形態であり、主にピストンレバー2−1とピストンレバー2−1の末端に接続される吸着チャンバー2−2とを備える。ピストンレバー2−1は化学的性質が安定した耐熱性材料(例えば、ポリテトラフッ素)で構成されることができる。
【0035】
1つの例において、吸着チャンバー2−2は、内部に吸着剤2−3が充填されている網状構造を有してもよく、即ち、チャンバー壁に網状細孔が開口されており、チャンバー内部には吸着剤が置かれている。吸着剤材料の吸着特性は、異なる検出需要に応じて選択的に添加することができ、このような需要に応じた選択方式は、ある程度、検出試料への選択的な吸着を増強した。充填された吸着剤の直径は網状構造の網のメッシュの孔径よりも大きいはずであると考えられる。図3に示すように、吸着チャンバー2−2は、一部の中空形式を有してもよく、即ち、吸着通路2−6を備えることができ、それがL字形状または杖形状であってもよく、チャンバー壁に開口を有する。後述のように、当該吸着通路は、サンプリング時に、試料採集構造と連通することで接続管1−3によって引き込まれた試料を受け入れる。このように、試料が吸着剤に入りやすいだけでなく、試料と吸着剤との接触面積を増大させることができ、試料の吸着に有利である。
【0036】
1つの例示において、ピストンレバー2−1は、冷却通路2−7とピストンレバーの下部に形成された複数の貫通孔2−8とを備えることができる。後述のように、冷却通路2−7は、ピストン式吸着器が試料採集位置にある場合、環境ガスと直接連通し、ピストン式吸着器が試料解析位置にある場合、ピストンシリンダーに形成された冷却貫通孔を介して環境ガスと連通するように構成されている。冷却通路2−7はL字形状または杖形状であってもよく、環境ガスに通じる開口を有する。貫通孔2−8は、冷却通路2−7とピストンシリンダー3の内部と連通するように構成されている。このような中空のピストンレバーは、一方で、ピストン式吸着器の質量を低減でき、吸着器の迅速な昇温、降温に寄与するが、他方で、試料導入解析の場合、ポンプ5とピストンシリンダー3の上部の冷却気入口3−5(図1及び4参照)とを連通することができ、ポンプで吸気することにより吸着器の上部を風冷することができ、ピストン式吸着器の上部の降温速度を加速し、ピストン式吸着器の下半部に位置する吸着チャンバー及びチャンバー内の吸着剤の迅速な降温に寄与でき、さらに、試料吸着に寄与する。
【0037】
本発明の1つの実施例によれば、ピストン式吸着器2は、更に、吸着チャンバー2−2のピストンレバー2−1から離間する一端に着脱可能に接続する断熱クッション2−4を備え、即ち、吸着チャンバー2−2はピストンレバー2−1と断熱クッション2−4との間に位置する。例示的には、ピストン式吸着器を抜くかまたはピストンシリンダーを捻って外し、吸着器の底部に位置する断熱クッションを旋回または除去することにより、吸着チャンバー内の吸着剤を入れ替えることができる。断熱クッションはポリテトラフッ素材料で製造されてもよく、断熱クッションの設置は、熱解析チャンバーから吸着チャンバーへの熱伝導を低減することができ、ピストン式吸着器がサンプリング/富集化する際に、吸着チャンバーと吸着剤が低温、例えば、室温に近い温度を保持することを効果的に確保することができ、試料の吸着及び富集化に寄与する。
【0038】
1つの実施例では、複数の密封リング2−5はピストン式吸着器2に外嵌設置し、例えば、ピストン式吸着器2の外表面に外嵌設置し、これにより、ピストン式吸着器2がピストンシリンダー3に密封的に収容されている。好ましくは、密封リング2−5の配置によって、ピストン式吸着器2がピストンシリンダー3内の最高位置(例えば、試料採集位置)と最低位置(例えば、試料解析位置)との間を往復動する際、ピストン式吸着器2がいずれも密封リング2−5によってピストンシリンダー3の内壁と密封的な接触を保持することができ、例えば、図1図4に示す通りである。例示的には、吸着通路2−6の開口の上下位置の箇所、および冷却通路2−7の開口の上下位置の箇所において、いずれも密封リング2−5を設け、図3に示す通りである。
【0039】
ピストン式吸着器2のピストンレバー2−1の末端には、引き出しハンドル2−9を更に設けてもよく、引き出しハンドル2−9は、使用者がピストン式吸着器がピストンシリンダー3内を往復動するように引き出すのに用いられる。
【0040】
図1図4に示すように、ピストンシリンダー3は、主に、シリンダー本体3−1と、ピストン式吸着器2を収容し、かつ吸着チャンバー2−2と連通するピストンチャンバー3−2とを備える。シリンダー本体3−1は、強度が大きく、耐熱性が良好で、化学的性質が安定したポリテトラフッ素材料で製造されることができ、かつピストンチャンバー3−2の少なくとも一部を形成している。シリンダー本体3−1は熱解析チャンバー4に取り付けられ、シリンダー本体3−1にピストンチャンバー3−2と連通するサンプリング接続ガス口3−3が設けられている。上述のように、試料採集構造1の接続管1−3の末端は、サンプリング接続ガス口3−3内に密封的で、着脱可能に取り付けられるまたは挿入接続され、これにより、試料採集構造1の内部試料通路とピストンチャンバー3−2との連通を実現する。サンプリング接続ガス口3−3内には、このような連通のオンとオフを制御するバルブを設けていてもよい。
【0041】
試料サンプリング/富集化または予備濃縮の場合、ポンプ5、導管5−1、ポンプ接続ガス口3−4、ピストンチャンバー3−2、サンプリング接続ガス口3−3、接続管1−3、試料採集口1−1が連通通路を構成し、ポンプ5を開いて環境気体におけるサンプリングすべき試料(例えば、揮発性、半揮発性物質または表面付着物質)を吸着チャンバー2−2内に抽入して吸着チャンバー2−2で吸着/予備濃縮が行えるように、シリンダー本体3−1は、更に、ポンプ接続ガス口3−4が設けられており、ポンプ5は、導管5−1を介してガス口3−4に接続して、更にピストンチャンバー3−2と連通する。試料のサンプリング期間において、ポンプ5は持続的に作動し、吸着チャンバー内に試料を富集化や予備濃縮することができる。サンプリング過程では、ピストン式吸着器全体は室温にある。
【0042】
ピストンシリンダー3は、ピストン式吸着器2が熱解析チャンバー4内で移動することをガイドするように、熱解析チャンバー4内に設けられるガイドレール3−6を更に備えることができ、ガイドレール3−6は、ピストン式吸着器2の揺れを効果的に防止でき、強固度を増加させることができる。ガイドレール3−6はシリンダー本体3−1に接続され、かつピストンチャンバー3−2の一部を形成している。ガイドレール3−6の形態は制限されておらず、1つの例示では、2本の平行したレバー状軌道であってよく、または円筒状形状を有してもよい。
【0043】
図1図4に示すように、熱解析チャンバー4は、主に、チャンバー本体4−1と、チャンバー本体4−1で形成された、試料を熱解析する内部空間とを備える。チャンバー本体4−1には、キャリヤーガス入口4−2と、分流および/または掃吹ガス出口4−3と、クロマトカラムやIMSといった分析メーターを接続するためのインターフェンス4−4とが設けられている。
【0044】
熱解析チャンバー4のチャンバー本体内において、化学的性質が安定的なライナー4−5を密封的に装入することができ、ライナー4−5が試料と熱解析チャンバーの金属壁との直接な接触を効果的に回避することができる。ライナー4−5は定期的に交換可能であり、熱解析チャンバーへの試料の直接的な汚染を防止し、試料のひずみ率を低減することができ、試料の検出精度及び信頼度が向上した。熱解析チャンバー4のチャンバー本体の外壁には、熱解析チャンバー4を加熱するための加熱構造または加熱膜が被覆されいてもよい。熱解析チャンバー4は、熱解析チャンバー内の温度をリアルタイムに検出やモニタリングする温度センサを設けていてもよく、例えば、温度センサをチャンバー本体の外表面に設ける。また、熱解析チャンバー4のチャンバー本体の外壁には、熱解析チャンバーを保温し、エネルギー消耗を節約するための保温綿が被覆されていてもよい。加熱構造、温度センサおよび/または保温綿は、熱解析温度制御システムの部材を構成し、制御器の制御下で熱解析チャンバーの温度をある一定の高温、例えば80℃〜300℃に維持するためである。熱解析チャンバーは、プログラムにより昇温を行うパターンを用いることができ、パワー消耗を低減することができる。
【0045】
熱解析チャンバー4とピストンシリンダー3との間に、断熱構造4−6、例えば、多孔質セラミック断熱ディスクを配置または挿入することもでき、断熱構造4−6は試料解析期間において、熱解析チャンバーとピストン式吸着器の上半部分(例えば、ピストンレバー)との間の熱交換を効果的に遮断することができ、試料採集期間において、熱解析チャンバーとピストン式吸着器との間の熱交換を有効的に遮断し、そして、熱解析チャンバーとピストンシリンダーの上半部分との間の熱交換を効果的に遮断することができ、試料採集過程において、ピストン式吸着器の全体がいずれも室温にあることが確保され、試料の採集に有利である。
【0046】
試料に対して導入熱解析を行う必要がある場合、まず、熱解析温度制御システムを始動させて熱解析チャンバーの温度を適切な一定高温(80℃〜300℃)に維持し、試料が吸着されたピストン式吸着器を高温を有する熱解析チャンバー内に迅速にプッシュし、熱解析チャンバー内に推し込まれた吸着剤が迅速に加熱され、吸着チャンバー内に吸着された試料は高温で一瞬で析出し、析出した試料は、熱解析チャンバーのキャリヤーガス入口から導入した、予熱を経たキャリヤーガスと混合し、最終的には、キャリヤーガスによって、検出器または分析メーターに導入され、検出や分析を行う。
【0047】
上述の通り、吸着チャンバーを熱解析チャンバー内にプッシュするとともに、ポンプ5と、ピストンチャンバー3−2と、ピストンレバーに形成された複数の貫通孔2−8と、冷却通路2−7と、ピストンシリンダー3の冷却ガス入口3−5は連通通路を形成する。したがって、ポンプ5を用いて吸気して熱解析チャンバー外に残したピストン式吸着器の上半部分(ピストンレバーを含む)を風冷することができ、次回の試料吸着と富集化または予備濃縮に有利である。
【0048】
このような富集化または予備濃縮機能を有する試料の採集、導入及び熱解析装置は、直接IMS分析計又はGCとして用いられるが、IMS−GC、GC−MSなどの痕跡量化学物質の分析計といった試料導入器に用いられ、ここでは贅言しない。
【0049】
以下は、図1図4を参照して上記試料の採集、導入及び熱解析装置の操作を記述する。まず、ピストン式吸着器2を引いて図1に示す試料採集位置に位置決めることで、吸着チャンバー2−2と試料採集構造1とを連通させ、この場合、ポンプ5、導管5−1、ポンプ接続ガス口3−4、ピストンチャンバー3−2の一部(吸着チャンバーを囲む部分を含む)、サンプリング接続ガス口3−3、接続管1−3、試料採集口1−1は、密封リング2−5を介して連通通路を構成し、そして、ポンプ5を始動させて環境気体におけるサンプリングすべき試料(例えば、揮発性、半揮発性物質または表面付着物質)を吸着チャンバー2−2内に抽入し、吸着チャンバー2−2で吸着/予備濃縮を行う。試料のサンプリング期間において、ポンプ5は持続的に作動し、吸着チャンバー内に試料を富集化や予備濃縮することができる。サンプリング過程では、ピストン式吸着器全体は室温にある。
【0050】
次に、熱解析温度制御システムを始動させて熱解析チャンバー4の温度をある一定高温に維持し、そして、ピストン式吸着器2を迅速に移動して図4に示す試料解析位置に位置決めることで、吸着チャンバー2−2が熱解析チャンバー4内に位置決められる。吸着チャンバー2−2は、密封リング2−5によって、ピストンチャンバー3−2の下部に密封され、更には熱解析チャンバー4内に密封される。この場合、熱解析チャンバー4内に推し込まれた吸着剤が迅速に加熱され、吸着チャンバー2−2内に吸着された試料は高温で一瞬で析出し、析出した試料は、熱解析チャンバー4のキャリヤーガス入口4−2から導入した、予熱を経たキャリヤーガスと混合し、最終的には、キャリヤーガスによって、検出器または分析メーター(図示せず)に導入され、検出や分析を行う。
【0051】
試料の熱解析チャンバー内での解析期間において、ポンプ5、導管5−1、ポンプ接続ガス口3−4、ピストンチャンバー3−2の一部(即ち、熱解析チャンバー4の外にある部分)、ピストンレバー2−1に形成された複数の貫通孔2−8、冷却通路2−7、ピストンシリンダー3の冷却ガス入口3−5は、環境気体と連通する通路または空間を形成する。したがって、ポンプ5を用いて吸気して熱解析チャンバー4の外に残したピストン式吸着器2の上半部分(ピストンレバーを含む)を風冷することができ、これにより、ピストン式吸着器の熱解析チャンバー4の外に位置決められた部分を室温に保持することができ、次回の試料吸着と富集化または予備濃縮に有利である。
【0052】
本発明の実施例によれば、上記試料の採集、導入及び熱解析装置を用いれば、被検出物表面またはその周囲の気体雰囲気から、直接に吸気サンプリングし、揮発性、半揮発性物質または表面付着物質の試料が得られる。得られた試料は、また、熱解析チャンバー内で加熱されて析出し、そして、キャリヤーガスによってクロマトグラフィーまたはIMS分析計内に導入されて検出や分析を行う。上記試料の採集、導入及び熱解析装置を用いれば、吸気ポンプで持続的に吸気することで、試料を吸着チャンバーまたはその内部の吸着剤に予備濃縮または富集化することができ、試料の予備濃縮は、IMSなどの検出器の検出下限への要求を低減し、メーターの開発の難易度及びコストを低減することができ、同時に、上記試料の採集、導入及び熱解析装置は、自ら吸気風冷を行うことができ、次回の試料吸着と富集化に有利である。本発明のような、試料採集、予備濃縮、熱解析を一体化にした試料導入形態は、ヘッドスペース設備を外部に接続する必要がなくなり、溶液を製造したり、開封してサンプリングしたりする必要がなくなり、空間や時間が節約され、メーターが小型化、携帯式へ発展することに寄与するとともに、メーターの検出量を増加させ、空港や税関などの現場でのスピード検出に非常に役立つ。
【0053】
以上は、既に、本発明の実施例を示し、記述したが、当業者にとって、本願発明の原理や精神を逸脱しない範囲でこれらの実施例を変更することができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその同等物によって限定されている。
【符号の説明】
【0054】
1 試料採集構造
1−1 試料採集口
1−2 濾過構造
1−3 接続管
1−4 乾燥剤
1−5 構造
1−6 波形管
1−7 末端
2 ピストン式吸着器
2−1 ピストンレバー
2−2 吸着チャンバー
2−3 吸着剤
2−4 断熱クッション
2−5 密封リング
2−6 吸着通路
2−7 冷却通路
2−8 貫通孔
2−9 ハンドル
3 ピストンシリンダー
3−1 シリンダー本体
3−2 ピストンチャンバー
3−3 サンプリング接続ガス口
3−4 ポンプ接続ガス口
3−5 冷却ガス入口
3−6 ガイドレール
4 熱解析チャンバー
4−1 チャンバー本体
4−2 キャリヤーガス入口
4−3 掃吹ガス出口
4−4 インターフェンス
4−5 ライナー
4−6 断熱構造
5 ポンプ
5−1 導管
図1
図2
図3
図4