(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286056
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】低負荷条件におけるガスタービン発電設備の運転装置および方法
(51)【国際特許分類】
F02C 7/00 20060101AFI20180215BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20180215BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20180215BHJP
B01D 53/90 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
F02C7/00 B
F02C6/18 A
B01D53/86 223
B01D53/86 245
B01D53/90
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-546767(P2016-546767)
(86)(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公表番号】特表2017-511854(P2017-511854A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015011563
(87)【国際公開番号】WO2015109072
(87)【国際公開日】20150723
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/928,897
(32)【優先日】2014年1月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/496,835
(32)【優先日】2014年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/553,498
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513041244
【氏名又は名称】ミツビシ ヒタチ パワー システムズ アメリカズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド マクディード
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ パイロス
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブラバト
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−068014(JP,A)
【文献】
特開2008−119651(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0119512(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0010748(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73,53/86−53/90,53/94,53/96
F01K 23/00−27/02
F01N 1/00−99/00
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出物規制に適合する稼働領域を従来型ガスタービンの排出物規制適合最小負荷(GT MECL)より小さい側に拡張できるよう排出物制御機器を構成したガスタービン発電設備のための装置であって、
熱交換器と、
直列に配置された複数の一酸化炭素(CO)酸化触媒と、
前記複数の酸化触媒の下流に配置され、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物の規制適合を維持するための、少なくとも一つの選択的触媒還元(SCR)触媒を含み、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の上流に設けられ、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の下流に設けられる装置。
【請求項2】
排出規制に適合する稼働領域を従来型ガスタービンの排出物規制適合最小負荷(GT MECL)より小さい側に拡張できる請求項1に記載の装置を備えたガスタービン発電設備の運転方法であって、
前記ガスタービンを50%負荷より低い負荷値で操作する工程と、
排気流の中の、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を、前記熱交換器の上流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを最初の経路(pass)として用いて低減させ、
前記熱交換器の下流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを用いて、煙突排出物の規制適合を達成するのに要求されるレベルまで、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を低減させ、
煙突排出物の規制適合を達成するようNOx排出物を低減させるために、前記SCR触媒の上流にNH3を注入し、
低負荷範囲で前記設備を運転するように制御ロジックを運用する運転方法。
【請求項3】
前記SCR触媒が、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物の規制適合を維持するため、高いNO2分解速度を有し、NOx排出物を低減する請求項1に記載の装置。
【請求項4】
改良により請求項1に記載の装置を設置した発電設備。
【請求項5】
改良により請求項3に記載の装置を設置した発電設備。
【請求項6】
ガスタービンからの排出物が局所的最小値(当該値よりも大きい負荷または小さい負荷ではガスタービン排出物が多くなる負荷における、小さいガスタービン排出物の量であり、これにより、当該ガスタービン負荷において煙突排出物の規制適合を達成することが可能となる)をとるかまたは局所的最小値をとるまでの、排出物規制適合最小負荷(MECL)より小さい特定の負荷において、排出物規制に適合して設備が稼働できるよう排出物制御機器を構成したガスタービン発電設備のための装置であって、
熱交換器と、
直列に配置された複数の一酸化炭素(CO)酸化触媒と、
前記複数の酸化触媒の下流に配置され、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物の規制適合を維持するための、少なくとも一つの選択的触媒還元(SCR)触媒を含み、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の上流に設けられ、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の下流に設けられる装置。
【請求項7】
ガスタービンからの排出物が局所的最小値またはその近傍値をとる、排出物規制適合最小負荷より小さい特定の負荷において、または100%負荷から前記局所的最小値をとる負荷まで連続的に、排出物規制に適合してガスタービン発電設備が稼働できる請求項6に記載の装置を有するガスタービン発電設備の運転方法であって、
前記ガスタービンを排出物規制(MECL)負荷より低い負荷値で操作する工程と、
排気流の中の、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を、前記熱交換器の上流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを最初の経路(pass)として用いて低減させ、
前記熱交換器の下流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを用いて、煙突排出物の規制適合を達成するのに要求されるレベルまで、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を低減させ、
煙突排出物の規制適合を達成するようNOx排出物を低減させるために、前記SCR触媒の上流にNH3を注入し、
低負荷範囲で前記設備を運転するように制御ロジックを運用する運転方法。
【請求項8】
前記SCR触媒が、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物規制適合を維持するため、高いNO2分解速度を有し、NOx排出物を低減する請求項6に記載の装置。
【請求項9】
改良により請求項6に記載の装置を設置した発電設備。
【請求項10】
改良により請求項8に記載の装置を設置した発電設備。
【請求項11】
立上げおよび停止動作の間の排出物が顕著に低減されるよう排出物制御機器を構成したガスタービン発電設備のための装置であって、
熱交換器と、
直列に配置された複数の一酸化炭素(CO)酸化触媒と、
前記複数の酸化触媒の下流に配置され、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物の規制適合を維持するための、少なくとも一つの選択的触媒還元(SCR)触媒を含み、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の上流に設けられ、
前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つが、前記熱交換器の下流に設けられる装置。
【請求項12】
立上げおよび停止動作の間の排出物が顕著に低減される、請求項11に記載の前記装置を有するガスタービン発電設備の運転方法であって、
前記ガスタービンを排出物規制(MECL)負荷より低い負荷値で操作する工程と、
排気流の中の、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を、前記熱交換器の上流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを最初の経路(pass)として用いて低減させ、
前記熱交換器の下流に設けた前記複数のCO酸化触媒のうちの少なくとも一つを用いて、煙突排出物の規制適合を達成するのに要求されるレベルまで、前記ガスタービンからの一酸化炭素および揮発性有機化合物(VOC)の排出物を低減させ、
煙突排出物の規制適合を達成するようNOx排出物を低減させるために、前記SCR触媒の上流にNH3を注入し、
低負荷範囲で前記設備を運転するように制御ロジックを運用する運転方法。
【請求項13】
前記SCR触媒が、50%から100%の負荷範囲と同様に低負荷時にも排出物の規制適合を維持するため、高いNO2分解速度を有し、NOx排出物を低減する請求項11に記載の装置。
【請求項14】
改良により請求項11に記載の装置を設置した発電設備。
【請求項15】
改良により請求項13に記載の装置を設置した発電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年1月17日に仮出願された仮出願第61/928897号に基づいて米国特許法第119条(e)項による優先権を主張して2014年9月25日に出願された米国出願第14/496,835号の一部継続出願であり、それらの全ての内容が参照により本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン排気中の排出物は、稼働負荷が特定の値より小さいとき(典型的には50%未満)顕著に(最大では300倍にまで)増大し、発生するNOx、COやVOC(揮発性有機化合物)を従来の排出物制御システムが十分に分解できない状態にまでなる。その結果、発電設備の排出物は許容規制値を超え、運転を停止するか、あるいは負荷を増やすかを強いられる。この決定は配電網運用の障害となるとともに、当該稼働設備の経済性を顕著に低下させる。戦略的分野において付加的な排出物制御装置を利用することで排出物規制に適合する稼働範囲を拡大することは、定常運転の間および立上げ・停止動作中に発生する設備排出物の全体を低減すると共に、配電網の安定性と設備の運転柔軟性の向上に資する。
【0003】
これらの懸念は、間欠的に稼働する再生可能エネルギー源の普及に伴い、配電網運用者がガスタービン発電設備に要求する柔軟性、低負荷運転とより頻繁な立上げおよび停止動作処理が増大する中で、克服困難なまでに難しさを増している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、ガスタービン・サイクル1と水/水蒸気サイクル2とを有する従来型コンバインドサイクル発電設備を示している。ガスタービン・サイクル1においては、空気圧縮機10に空気が入り、燃料Fと燃焼室11において混合され、燃焼させられる。燃焼生成物はタービン部13へと供給され、タービンシャフト14に発電機15を回転させ、発電が行われる。
【0005】
ガスタービン13からの排気Eは、移行ダクト19に入り、熱回収水蒸気発生器(HRSG)20へ導かれ、水/水蒸気回路を通過する際に、水を加熱し水蒸気へと沸騰させることで冷却される。実用的量のエネルギーを水/水蒸気サイクルに与えた(冷却された)後、HRSG排気煙突21から排出される。環境保護庁(EPA)への報告と排出規制適合の決定のために、この排出煙突において排出値が計測される。
【0006】
水/水蒸気サイクル2は、HRSG20、水蒸気タービン(ST)70、発電機75並びに復水器76から構成される。ST70は、高圧(HP)部71、中間圧力(IP)部72および低圧(LP)部73から構成される。図示されているのは3圧力再加熱システムであるが、同様に配置可能なものとしては、3圧力非再加熱、2圧力、並びに単圧力HRSGとボイラーのシステムがある。IP部は、再加熱タービンと呼ばれることもある。ST70の3つの部分並びに発電機75はすべて共通のシャフト74につながっている。水蒸気がST70を通って流れるときにシャフト74を回転させ、発電機75が発電を行う。この水蒸気はST70を出て、復水器76へと流れる。
【0007】
図1に併せて示すとおり、従来の典型的なコンバインドサイクル発電設備は追加の標準的要素を含む。例えば低圧復水器22、低圧(LP)エコノマイザ23、LP水蒸気ドラム31、LP降水管32、LP蒸発器33、LP過加熱器34、STのLP部(73)への配管35、LPバイパスバルブと脱過加熱器37、IPエコノマイザ40、IP水蒸気ドラム41、IP降水管42、IP蒸発器43、IP過加熱器44、低温再加熱管(61)への配管45、HPエコノマイザ50、HPエコノマイザ51、HP降水管53、STのHP部(71)への配管56、HPバイパスバルブと脱過加熱器58、低温再加熱配管61、STのIP部(72)への高温再加熱配管63、RHバイパスバルブと脱過加熱器65、並びにボイラー供給ポンプ81である。これらの動作は知られているので、これ以上の詳細は議論しない。
【0008】
最大負荷と最小負荷間の通常運転中、HRSG内で生じる全ての水蒸気は圧力制御無しに(変動圧力で)STに送られ、STLP部73から出て復水器76に送られ、そこで水に凝縮されポンプ80に始まる水/水蒸気サイクル2を通って再循環される。
【0009】
HRSGから出る水蒸気はバルブ(ST注入バルブ)[HP:57、RH:64およびLP:36]を通ってSTへ流れ、上述のように電力を生み出す。これらのバルブは、ある運転条件下で必要ならば、各々の圧力レベルにおいて水/水蒸気回路の圧力制御に使うことが出来る。
【0010】
従来の構成は、この排出物制御装置の全てを排気流の中でHPボイラードラムの下流に設置する。
図1に示されているように、中間温度CO触媒130、次にアンモニア注入配管網120、そして最後にNOx制御のための選択的還元触媒(SCR)110が来る。
【0011】
しかしながら、典型的なガスタービン発電設備(GTPP)、例えば
図1に示す従来型コンバインドサイクル発電設備は、排出規制適合の許容レベルを維持しつつ発電するために、50%から100%の負荷範囲で稼働するように設計されている。時には設備は通常の100%負荷範囲を超える能力を得るため、ダクト燃焼を含む。業界標準の排出物制御設備を利用してこれらのレベルは制御されている。約50%より低い負荷においては、ガスタービン(GT)の排出物は、劇的に増大し、300倍を超えることもある。局所的最小値を例示する表1Aを見て頂きたい。この例においては、GT負荷が17%のときに、排出物の局所的最小値があることに注目してほしい。
【表1A】
【0012】
これが、表1Bに示されるNOx、COおよびVOCに関する従来の煙突排出値に変わる。負荷100%から約50%の間の高負荷範囲は排出規制適合が達成可能な範囲である。負荷50%はGTからの排出値が十分低く、燃焼後浄化装置が排出物を十分に処理して煙突における排出規制値を満たすことができるレベルである。この負荷50%値はしばしばガスタービンにおける排出規制適合最小負荷(MECL)と言われる。この装置はGT負荷<約50%負荷の範囲においては、排出規制を満たさない。これはより低いGT負荷におけるこのエンジンの特性、すなわち排出物の著しい増加とNOxに対するNO
2の割合の著しい増加の結果である。
【表1B】
【0013】
NOx排出物はNOとNO
2から成る。GT負荷が50%より低くなると、NOxの構成要素はNOからNO
2へとシフトするが、後者は分解するのがはるかに困難である。選択的触媒還元(SCR)脱NOx反応は、NOxがNH
3により窒素に還元される反応であるが、一般的には下の反応(1)により進行する。NO
2がNOと同時に存在する場合は反応(2)と(3)が起きる。もしNOx中のNO
2の割合が50%より低い場合(GT負荷≧50%)には、NO
2とNOは反応(2)により除去され、残ったNOは反応(1)で除去される。もしNOx中のNO
2の割合が50%より高ければ(GT負荷<約50%)、残ったNOx成分中のNO
2は反応(2)の進行に伴い濃くなる。この状況では、脱NOx反応は顕著に低下する。反応(3)が遅いためである。
4NO+4NH
3+O
2=>4N
2+6H
2O (1)
NO+NO
2+2NH
3=>2N
2+3H
2O (2)
6NO
2+8NH
3=>7N
2+12H
2O (3)
【0014】
従来型GTPPはGT排気経路内の排出値を制御するため、酸化(CO)触媒130、アンモニア注入配管網120およびSCR(NOx)触媒110を備えていることもあり得る。典型的には、この部分の温度は500°Fから700°Fの範囲にある(単一サイクルガスタービン設備においては幾分かさらに高い温度が一般的であるが)。この装置はコンバインドサイクル発電応用においては、典型的にはHP蒸発管の下流に設置される。そこでは排気温度はこれらの化学反応が効果的に起きるのに適切な温度になっている。従来のSCR触媒110は比較的高い濃度のNOと比較的少量のNO
2を分解するよう設計されている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の問題に鑑み、本発明の一態様は、ガスタービン発電設備(単一サイクル、コンバインドサイクルあるいはコジェネレーション)を100%負荷から約40%負荷まで連続的に、また非常に低い負荷設定値(そこでGT排出値が局所的最小値となる)においても、あるいは100%負荷からこの局所的最小値となる負荷まで連続的に、煙突排出物の規制適合を維持しつつ運転可能とする。
【0016】
本発明の他の態様によれば、ガスタービン発電設備の運転立上げおよび停止動作中の累積排出物もまた顕著に低減される。これは、制御システムの改良や水蒸気サイクルの管理戦略などの他の顕著な特徴と併せて、主に直列(2つ以上)の酸化(CO)触媒および、必要に応じ、高濃度NO
2還元用SCR触媒を排気経路に追加することで達成される。
【0017】
本発明の一態様によれば、排出物規制に適合する稼働範囲を拡大できるよう排出物制御機器を特殊な形に構成したガスタービン発電設備のための装置は、直列に配置された複数の酸化(CO)触媒を含む。本発明の他の態様によれば、前記装置を有するガスタービン発電設備に関し、排出物規制に適合する稼働範囲を拡大できる発電設備の運転方法が提供される。本発明の他の態様によれば、前記装置は、前記の複数の酸化触媒の下流に、通常運転の負荷と同様に低負荷において排出物規制の適合を維持するためにNOx排出を低減するNOx触媒をさらに含む。本発明の他の態様によれば、前記装置は、通常負荷運転時と同様に低負荷運転時に排出物の規制適合を維持するために、NO
2を高い反応速度で分解可能であってNOxを低減する少なくとも1つのNOx触媒を含む。本発明の他の態様によれば、既存の発電設備を改造して、前記装置を取り付けることができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、ガスタービン発電設備のための装置は、MECLより低い負荷であってガスタービンからの排出物が局所的最小値またはその近傍値を取る特定の負荷において、あるいは100%負荷から前記局所的最小値となる負荷まで連続的に、発電設備が排出物規制に適合して稼働できるよう排出物制御機器を特有の形に構成し、直列に配置された複数の酸化(CO)触媒を含む。本発明の他の態様によれば、前記設備を有するガスタービン発電設備の運転方法が提供され、MECLより低い負荷であってガスタービンからの排出物が局所的最小値またはその近傍値をとる特定の負荷において、あるいは100%負荷から局所的最小値をとる負荷まで連続的に、発電設備が排出物規制に適合して稼働することを可能とする。本発明の他の態様によれば、前記装置は、前記の複数の酸化触媒の下流に、通常運転の負荷と同様に低負荷において排出物の規制適合を維持するためにNOx排出を低減するNOx触媒をさらに含む。本発明の他の態様によれば、前記装置は、通常負荷運転時と同様に低負荷運転時に排出物の規制適合を維持するために、NO
2を高反応速度で分解可能であってNOxを低減する少なくとも1つのNOx触媒を含む。本発明の他の態様によれば、既存の発電設備を改造して、前記装置を取り付けることができる。
【0019】
本発明の一態様によれば、運転立ち上げおよび停止動作の間の排出物が顕著に低減されるよう排出物制御機器を特有の形に構成したガスタービン発電設備のための装置は、直列に配置された複数の酸化(CO)触媒を含む。本発明の他の態様によれば、運転立ち上げおよび停止動作の間の排出物が顕著に低減される、前記装置を有するガスタービン発電設備の運転方法が提供される。本発明の他の態様によれば、前記装置は、前記複数の酸化触媒の下流に、通常運転の負荷と同様に低負荷において排出物の規制適合を維持するためにNOx排出を低減するNOx触媒をさらに含む。本発明の他の態様によれば、前記装置は、通常負荷運転時と同様に低負荷運転時に排出物の規制適合を維持するために、NO
2を高反応速度で分解可能であってNOx排出物を低減する少なくとも1つのNOx触媒をさらに含む。本発明の他の態様によれば、既存の発電設備を改造して、前記装置を取り付けることができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、排出物規制に適合する稼働範囲を拡大できるよう排出物制御機器を特有の形に構成したガスタービン発電設備のための装置は、排出物の規制適合を維持するためにNO
2を高反応速度で分解可能であってNOxを低減する少なくとも1つのNOx触媒をさらに含む。本発明の他の態様によれば、排出物規制に適合する稼働範囲を拡大し、および/または運転立上げおよび停止動作の間の排出物を顕著に低減することができる前記装置を有するガスタービン発電設備の運転方法が提供される。本発明の他の態様によれば、既存の発電設備を改造して前記装置を取り付けることができる。
【0021】
本発明の更なる特性と利点は、添付の図面に非限定的実施例により図示された、発電設備および運転方法に関する非排他的な好ましい実施形態の記載からより容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は従来型の3圧力、再加熱、コンバインドサイクル発電設備の構成を示し、ガスタービン(「GT」)、熱回収水蒸気発生器(「HRSG」)および水蒸気タービン(「ST」)を基にしている。HRSGはときには廃熱水蒸気発生器としても知られる。
【0023】
【
図2】
図2は本発明の一実施形態によるコンバインドサイクル発電設備の構成を示す。
【0024】
図1と
図2における類似要素を特定するために同じ参照番号を用いた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、
図2を参照しつつ、本発明の一実施形態につき述べる。この実施形態においては、排出物制御機器が異なる構成で設計され、稼働範囲をより広くし、低負荷時の排出物をより低くするために最適化される。すなわち、ダクトバーナー有りまたは無しで設計され、本発明の前記実施形態に従い運転されるGTPPは、排出物制御機器および他の重要な特徴を特有の形で活用することで、実施例発電設備が50%負荷より低い負荷において煙突排出物の規制適合を維持しつつ稼働することを可能とする。
【0026】
特に、
図2に示すように、排出物制御機器は、複数のCO触媒130、140および150を含む。排気経路中の最初の触媒は高温CO触媒140である。この上流の酸化(CO)触媒140は、1つ以上の下流CO触媒130、150の上流(典型的には、排気経路の高温領域(800°F以上))に位置し、排気ガス流におけるCO排出物の最初の低減を行う。これら直列に配置されたCO触媒は不完全燃焼生成物の全体的な低減に顕著な効果をもたらす。
【0027】
このCOおよびVOC低減は表1AにおけるGT負荷の値と下の表2Bに示す値の差により説明される(この例では、GT負荷17%において排出物が局所的最小値をとる)。この触媒140は、HPドラムの上流であってGT排気(13)の下流であれば個別設備の設計/運転条件に応じて、どこにでも配置可能である。
【表2B】
【0028】
下流の1つ以上の酸化(CO)触媒130、150は排気経路のより低温域(約800°F以下)に位置し、排気ガス流におけるCO排出物をさらに低減する。
【0029】
図2に示すように、高濃度NO
2を含む可能性のあるNOx排出物を低減するために、高濃度NO
2還元特殊SCR触媒160が、CO触媒130、140、150の下流、典型的には排気経路の中間温度領域(約500°Fから750°F)に配置されている。しかしながら、もし高濃度NO
2が存在しないときは、業界標準のSCR触媒110を用いることができる。SCR触媒160は低負荷運転に必要とされる高濃度NO
2還元用に設計される。高濃度NO
2還元は高濃度NO
2還元特殊SCR触媒160を用いることで達成できる。そのような設計の一例は米国特許第7,749,938号明細書に記載されており、その内容の全てが参照により本出願に組み込まれる。
【0030】
図2に併せて示すように、SCR触媒160の上流に位置するアンモニア注入網120は、高負荷および低負荷、両方の流れの状態に対応するよう設計されている。さらに、
図2には示されていないが、高濃度NO
2が存在しないときには、高濃度NO
2還元特殊SCR触媒160に替えて、従来型のSCR触媒110をNOx制御用に使うことができる。上述の新規事項に加えて、所望の排出物レベルを達成するために、強化した設備制御システムや最終段階の温度調整のような、追加の設計および制御の強化が必要となることもあり得る。それらの機器やシステムはよく知られたものであり、それ故、詳述はしない。
【0031】
例えば
図2に示すコンバインドサイクル構成設備の運転方法において、通常運転の間、GTからの排気ガスは、先ず高温CO触媒140に接触し、そこでCOが設計に基づきはじめてより低いレベルに低減される。そこを通り過ぎると、排気ガスはHP過加熱器55および再加熱器62を通る間に冷却され、次にHPボイラードラム管54を通ってさらに冷却される。触媒130、140、150および160は、要求される煙突21からの排出物レベルを維持するために、排気温度のこの領域で作用するよう設計される。中間温度CO触媒130は排気ガス中の残留COを許容レベルへと低減する(必要ならば、第3CO触媒150を設置できる)。アンモニア注入網120がその後にガス流中にアンモニアを注入し、混合ガスは次にSCR触媒160へと運ばれ、そこでNOxが規制適合許容レベルまで低減される。
【0032】
より低い負荷においては、CO排出物は顕著に増大し、単一のCO触媒だけでは煙突排出物の規制適合レベルを維持するだけの十分なCOの分解ができなくなる。併せて、NOxレベルの増大とNO
2のNOに対する割合の増大により、アンモニアとSCR触媒の所要量が従来の方法を用いたのでは非経済的となる。
【0033】
低負荷および非常に低負荷運転の間、HPドラム52の圧力は、排出物触媒の高い反応速度を維持するため、より高負荷域(の圧力)に維持される。コンバインドサイクルならびにコジェネレーション設備に関しては、HPドラム52の圧力を、より低い負荷のときの中間温度域において触媒の効率を最適化する圧力以下に保つように、HP水蒸気回路は設計され、調整される。これは、HPST導入制御バルブを絞ることで達成される。
【0034】
CO触媒における多重還元は、非常に高い全体としてのCO還元速度を実現し、非常に低負荷の運転において低い煙突排出物レベルを維持する。NO
2分解作用を高めたNOx特殊触媒160は、必要であれば、より高濃度のNO
2に対して煙突排出時のNOxを許容範囲に低減することを可能とする。
【0035】
下の表3Bは、本発明の採用により煙突排出物の規制適合を達成できる一例を示す(本事例においては、GT負荷17%に局所的最小値が存在)。追加された触媒層の追加により、負荷100%から局所的最小値まで連続的に、煙突排出物保証レベルを達成することができる。
【表2C】
【0036】
本発明の他の実施態様によれば、排気ガス流におけるCO排出物レベルの最初の低減を行うために、
図2に示されるように、上流酸化(CO)触媒140は1つ以上の下流CO触媒130、150の上流に位置すると記載されたが、必要であれば、排気ガス流中のCO排出物レベルを更に低減するために、追加のCO触媒150を高温CO触媒140の上流に配置することもできる。
【0037】
本発明の他の実施態様によれば、既存のGTPPを改良して上述の追加の触媒140、150を追加でき、および/または、必要であれば、既存のSCR(NOx)触媒110を高濃度NO
2SCR触媒160と置き換えることができる。
【0038】
本発明の他の実施態様によれば、ガスタービン発電設備の立上げおよび停止動作の間の累積排出物量が顕著に低減される。これは、制御システムの改良および水蒸気サイクル管理戦略などの他の重要な特徴とともに、主として一連の酸化(CO)触媒130、140、150(2つ以上)および、必要に応じ高濃度NO
2還元SCR触媒160を排気経路に追加することにより達成される。
【0039】
さらに、本発明の実施形態はコンバインドサイクル発電設備の構成に関して記載されたが、本発明の上述の特徴は、ST全または部分バイパス運転、単一サイクル運転、単一または2圧力コンバインドサイクル、ならびにコジェネレーションサイクルを含む(これらに限らず)他の設備構成においても採用することが出来ることは容易に理解できることである。
【0040】
本発明の好ましい実施形態に関する上述の記載から、当業者は改良、変更などを着想するであろう。そのような当業者の技術範囲内の改良および変更は添付の請求項の範囲内にあることを意図している。更には、上述の内容は本願に記載された実施形態のみに関わるものであり、以下の請求項およびそれらの均等物により規定される出願の範囲とその主旨から乖離することなく、多くの変更と改良が行われ得ることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0041】
19・・・移行ダクト、
20・・・HRSGケーシング
21・・・HRSG排気煙突
低圧(LP)部
22・・・低圧復水器
23・・・低圧(LP)エコノマイザ
31・・・LPボイラードラム
32・・・LP降水管
33・・・LP水蒸気発生器
34・・・LP過加熱器
35・・・STのLP部(73)への配管
36・・・LPバルブ−
図2において調整された運転領域を追加した
37・・・LPバイパスバルブおよび脱過加熱器
中間圧力(IP)/再加熱部
40・・・IPエコノマイザ
41・・・IP水蒸気ドラム
42・・・IP降水管
43・・・IP水蒸気発生器
44・・・IP過加熱器
45・・・低温再加熱配管(61)への配管
高圧(HP)部
50・・・HPエコノマイザ
51・・・HPエコノマイザ
52・・・HP水蒸気ドラム
53・・・HP降水管
54・・・HP水蒸気発生器
55・・・HP過加熱器
56・・・STのHP部(71)への配管−
図2において調整された運転領域を追加した
58・・・HPバイパスバルブおよび脱過加熱器
高温再加熱部(HRH)
61・・・低温再加熱配管
62・・・再加熱部
63・・・STのIP部(72)への高温再加熱配管
64・・・RHバルブ−
図2において調整された運転領域を追加した
65・・・RHバイパスバルブと脱過加熱器
STおよび復水器部
70・・・STコンバインド部
71・・・HP水蒸気タービン
72・・・IP水蒸気タービン
73・・・LP水蒸気タービン
74・・・共通タービンシャフト
75・・・発電機
76・・・復水器
80・・・復水器ポンプ
81・・・ボイラー供給ポンプ
110・・・選択的(脱NOx)還元触媒
120・・・アンモニア注入網
130・・・中間温度酸化触媒の位置
140・・・高温酸化触媒
150・・・高温酸化触媒の位置の選択可能域
160・・・選択的触媒(高濃度NO
2用)
作動流体
A−外気
D−煙突放出
E−GT排気
F−燃料