【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記技術手段により上記技術的課題を解決する。
【0008】
使い捨て針刺し防止静脈輸液用穿刺針は、針基、針鞘、チューブ、および針管を含み、前記針鞘で前記針管を被覆し、前記チューブが前記針基に連通する使い捨て針刺し防止静脈輸液用穿刺針であって、複数のスライダおよび複数の位置留めをさらに含み、前記針基は筒状であり、前記針基の一端が前記針管に連通するように固定され、他端が前記チューブに接続され、
前記複数のスライダは両端が開口した筒状であり、前記複数のスライダが互いに嵌挿され、最内層に位置する前記スライダが前記針基に移動可能に被さり、前記複数のスライダの移動方向における全長が前記針管の長さより長く、
前記位置留めは、前記複数のスライダおよび前記針基に設けられ、前記複数のスライダがスライドして前記針管を完全に遮蔽するように展開した後に、最内層の前記スライダを前記針基に固定し、かつ前記複数のスライダ同士を互いに固定する。
【0009】
ここで、前記チューブは、当分野で輸血、輸液などに用いられる一般的な柔軟性のある管である。すなわち、使用前に、複数のスライダは針基の外側に積層して被さり収縮状態にある。このとき、針管が外部に露出しているが、針鞘で針管を被覆することにより針管を遮蔽することができる。使用時に、針鞘を取り外して輸血などの作業を行い、作業の完了後、針管を抜く過程で、複数の筒状のスライダをスライドして展開した後、スライダおよび針基に設けられた位置留めにより端と端を接続するように固定するとともに、針管を遮蔽して針管による操作者または患者の受傷を回避する。このように、針管を抜く時に、安全性を保証するとともに、従来の技術における針管の急な跳ね返りによる苦痛を回避する。
【0010】
また、静脈針の操作部位の長さ(つまりチューブ部分を除いた針基などの部品の長さ)は、少なくとも針基に針管を加えた長さであるべきであるが、針管の長さは、一般的に標準的で変更できないものであるので、針基の長さの設計は静脈針の操作部位の長さを決めるキーポイントとなる。本発明において、複数のスライダが多重に嵌挿する構造を採用するので、収縮状態の場合(つまり針管が完全に露出した場合)、1つだけのスライダを採用することに比べて、複数のスライダの多重嵌挿構造は、針基の設計長さを明らかに短縮することができる。
【0011】
好ましくは、前記使い捨て針刺し防止静脈輸液用穿刺針は、前記針基の外側に移動可能に嵌挿された第1のスライダと、前記第1のスライダの外側に移動可能に嵌挿された第2のスライダとを含む。
【0012】
好ましくは、前記位置留めは、1つの第1の弾性ワッシャと、2つの第2の弾性ワッシャと、2つの第3の弾性ワッシャとを含み、
前記第1の弾性ワッシャは、前記第1のスライダの前記チューブ側の一端の内周に貼設され、かつその縁部が前記第1のスライダの内壁と滑らかに貼合され、
2つの前記第2の弾性ワッシャは、前記針基に嵌合され、かつ貼設され、前記第1のスライダおよび前記第2のスライダがスライドして、前記針管を完全に遮蔽するか、または前記針管が完全に露出したときに、前記第1の弾性ワッシャと係合して前記第1のスライダの移動を抑止し、
前記2つの第3の弾性ワッシャは、それぞれ前記第1のスライダの前記チューブから遠い方の一端の外周と前記第2のスライダの前記チューブ側の内周に設けられ、前記第1のスライダおよび前記第2のスライダがスライドして、前記針管を完全に遮蔽するか、または前記針管が完全に露出したときに、互いに係合して前記第2のスライダの移動を抑止する。
【0013】
好ましくは、前記位置留めは、2つの弾性係止部及び4つの係止溝を含み、
2つの前記係止溝が前記針基に設けられ、1つの前記弾性係止部が前記第1のスライダに設けられ、前記第1のスライダの外周にも2つの前記係止溝が設けられ、前記第2のスライダにも1つの前記弾性係止部が設けられ、前記弾性係止部と前記係止溝は、前記第1のスライダと前記第2のスライダが前記針管を完全に遮蔽するかまたは前記針管が完全に露出するようにスライドした場合に、互いに係合して前記第1のスライダと前記第2のスライダの移動を抑止する。
【0014】
好ましくは、前記第1のスライダにさらに弾性ストッパが設けられ、前記弾性ストッパは、前記第1のスライダおよび前記第2のスライダがスライドして前記針管を完全に遮蔽した場合に、弾き出て前記第2のスライダが前記チューブの方向へ後退することを抑止する。
【0015】
ここで、第1のスライダおよび第2のスライダを展開した後、針管が露出しないように遮蔽されることを保証する必要があるので、それらの間の係合の安定性は静脈針の使用上の安全性に直結する。そのため、第1のスライダの外周に、外に弾き出る弾性ストッパが設けられ、第2のスライダが第1のスライダに沿って所定の位置まで展開した後、弾性ストッパが外に弾き出て、第2のスライダがスライドして戻ろうとしても、弾性ストッパは、第2のスライダの縁部などの部位に当接することにより、第2のスライダは、スライドして戻ることができない。
【0016】
好ましくは、前記第2のスライダの前記チューブ側の一端に滑らかな突出部が環状に設けられる。該突出部は、前記針管を人体に差し込む場合に、皮膚が前記第1のスライダと前記第2のスライダとの隙間に挟まれることを防止する。
【0017】
ここで、スライダと針基はスライド可能に嵌合されるので、スライダ同士の間、スライダと針基との間に必ず隙間が存在する。これらの隙間は、操作過程でよく患者の皮膚を挟んで、患者に苦痛を与える。突出部が設けられると、突出部は操作中に患者の皮膚に当接して、皮膚に僅かな窪みを形成するので、突出部に接触する部位の回りの皮膚が第1のスライダと第2のスライダと針基との隙間付き接合部に接触することを回避して、皮膚が隙間に挟まれにくくなる。
【0018】
好ましくは、前記第2のスライダの側面に平滑面が設けられ、前記平滑面と前記針管の軸心線は5°〜20°の角度をなす。
【0019】
好ましくは、前記第2のスライダの前記平滑面側に切り欠きが設けられ、前記切り欠きが存在する平面は前記針管の軸心線と平行であり、
前記切り欠きの一端が前記第2のスライダの前記チューブから遠い方の開口まで延伸し、他端が前記平滑面と交差するまで延伸する。
【0020】
ここで、第1のスライダ、第2のスライダを展開する過程で、針管をできるだけ患者の皮膚へ接近させる必要があるので、第1のスライダ、第2のスライダの直径が大きすぎると、要件を満たすことができない。そのため、第2のスライダに平滑面を設けることにより、第1のスライダ、第2のスライダの展開しているときでも針管を皮膚に接近させることができる。該平滑面の針管の軸心線近傍の位置に切り欠きを開設することにより、針管が皮膚に接近するという要件をさらに満たし、患者の苦痛を軽減することができる。また、操作完了時または完了後に、針管による操作者等の刺し誤りを防止するためには、針管と切り欠きとの距離が近すぎてはいけない。
【0021】
好ましくは、前記切り欠きと前記針管の軸心線との距離は所定の距離である。
【0022】
好ましくは、前記使い捨て針刺し防止静脈輸液用穿刺針は、さらにハンドルを具備し、前記第2のスライダに少なくとも1つの滑り止め領域が設けられ、
前記スライダは弾性材料でできており、前記スライダと前記弾性係止部は一体成形され、前記針基と前記係止溝は一体成形され、
前記ハンドルは、前記針基の前記チューブに接続される方の端に固定され、
前記位置留めは、前記第1のスライダまたは前記針基に円周状に設けられた少なくとも1つのストッパをさらに含み、前記ストッパは、前記係止溝と前記弾性係止部が係合した後、前記第1のスライダ、前記第2のスライダが引張力の作用下で離脱することを防止する。
【0023】
ここで、ストッパは、さらにスライダ、針基の直接的な離脱を防止できる、任意のストッパ構造でよい。例えば、針基と第1のスライダの針管側の一端の外壁に環状留め輪が設けられ、第1のスライダと第2のスライダのチューブ側の一端の内壁に2つの突起が設けられ、引っ張られると、第1、第2のスライダの内壁にある2つの突起により環状留め輪に係止される。