(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上側部(22)及び下側部(23)を有する中空のストラット(21)を備え、前記上側部(22)の上側端部(100)が、船舶(10)の第1外側底部(11)と第2内側底部(12)との間に形成された通路(P1)を通過し、前記上側端部(100)が、旋回ベアリング(300)で、前記船舶(10)の船殻に回転軸線(Y−Y)周りに回転可能に支持され、且つ、上側旋回シール(210)及び下側旋回シール(220)を備える旋回シール(200)で、前記船舶(10)の前記船殻に対して封止される、推進ユニット用の旋回シール装置(20)において、
前記上側旋回シール(210)が、前記旋回ベアリング(300)からの潤滑媒体の漏出を防止するように、前記旋回ベアリング(300)の下方に位置付けられて、前記上側旋回シール(210)へのアクセスが、前記上側旋回シール(210)を点検修理することが可能となるように、前記船舶(10)の内部から、又は、前記ストラット(21)の内部から径方向(R1)に設けられ、
前記下側旋回シール(220)が、前記通路(P1)を介して前記船舶(10)の前記船殻内へ海水が浸入するのを防止するように、前記上側旋回シール(210)の下方の鉛直方向距離(H1)に位置付けられて、前記下側旋回シール(210)へのアクセスが、下側旋回シール(220)を点検修理することが可能となるように、前記船舶(10)の内部から、又は、前記ストラット(21)の内部から径方向(R1)に設けられることを特徴とする推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記上側旋回シール(210)と前記下側旋回シール(220)との間に空間(400)があり、アクセスが、前記空間(400)を介して前記上側旋回シール(210)及び前記下側旋回シール(220)を点検修理することが可能となるように、前記船舶(10)の内部から前記空間(400)へ径方向(R1)に設けられることを特徴とする請求項1に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記上側旋回シール(210)及び前記下側旋回シール(220)がいずれも、前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)に、又は、その上方に位置付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記旋回ベアリング(300)が、前記旋回ベアリング(300)と前記第2内側底部(12)との間に延在する支持構造体(87,88)によって、前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)に支持されて、前記上側旋回シール(210)及び前記下側旋回シール(220)がいずれも、前記支持構造体(87,88)内に配置された空間からアクセス可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記支持構造体(87,88)が、前記旋回ベアリング(300)と前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)との間に延在する、径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ(87)を備えて、前記旋回シール(200)が、隣接する径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ(87)間の空間からアクセス可能であることを特徴とする請求項4に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
メンテナンスハッチ(93)が、2つの連続する支持フランジ(87)間において前記径方向に延在する支持フランジ(87)の外周に設けられて、前記メンテナンスハッチ(93)が、前記旋回ベアリング(300)と前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)との間に延在していることを特徴とする請求項5に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記支持構造体(87,88)が、前記旋回ベアリング(300)と前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)との間に延在する、円形状に延在する支持エレメント(88)を備えて、支持エレメント(88)を取り外すことによって前記旋回シール(200)にアクセス可能であることを特徴とする請求項4に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
前記上側旋回シール(210)及び前記下側旋回シール(220)が、前記船舶(10)の前記第1外側底部(11)と前記第2内側底部(12)との間の空間において前記船舶(10)の前記第2内側底部(12)の下に位置付けられて、前記上側旋回シール(210)及び前記下側旋回シール(220)を、前記船舶(10)の前記第1外側底部(11)と前記第2内側底部(12)との間の前記空間から点検修理することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の推進ユニット用の旋回シール装置(20)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、そのような先行技術の旋回シール装置において旋回シールを点検修理したり交換したりすることは、かなり困難で時間がかかる。旋回シールの状態は、潤滑媒体の状態を監視することによって間接的に監視している。潤滑媒体中の水は、旋回シールから漏出していることを示す。旋回ベアリング及び歯車を取り外すことなく旋回シールを目視検査することは、例えば、旋回シールの領域内に貫通する孔を介してのみ可能である。これは、旋回シールの状態を監視することがかなり難しいことを意味する。旋回シールの寿命は通常、旋回ベアリングの寿命よりも短い。従って、旋回シールは、旋回ベアリングよりも頻繁に交換しなければならない。従って、旋回シールを、最適と思われる回数も交換できない恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、推進ユニット用の改良された旋回シール装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る推進ユニット用の旋回シール装置は、請求項1の特徴部に記載されているものによって特徴付けられる。
【0007】
推進ユニット用の旋回シール装置は、上側部及び下側部を有する中空のストラットを備え、上側部の上側端部は、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間に形成された通路を通過し、その上側端部は、旋回ベアリングで、船舶の船殻に回転軸線周りに回転可能に支持され、且つ、上側旋回シール及び下側旋回シールを備える旋回シールで、船舶の船殻に対して封止される。
【0008】
旋回シール装置は、
上側旋回シールが、旋回ベアリングからの潤滑媒体の漏出を防止するように、旋回ベアリングの下方に位置付けられて、上側旋回シールへのアクセスが、上側旋回シールを点検修理することが可能となるように、船舶の内部から、又は、ストラットの内部から径方向に設けられ、
下側旋回シールが、海水が通路を介して船舶の船殻内に浸入するのを防止するように、上側旋回シールの下方の鉛直方向距離に位置付けられて、下側旋回シールへのアクセスが、下側旋回シールを点検修理することが可能となるように、船舶の内部から又はストラットの内部から径方向に設けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の利点は、旋回シールを船舶の内部から又はストラットの内部から点検修理できるように旋回シールへのアクセスが容易なことである。旋回シールへのアクセスが容易なことによって、より容易且つより信頼性の高い旋回シールの検査が可能となる。
【0010】
一実施例において、上側旋回シール及び下側旋回シールは、船舶の第2内側底部の上方に位置付けられる。これにより、旋回シールは、船舶の第2内側底部の上方の空間を介して船舶の内部から点検修理できる。
【0011】
他の実施例において、上側旋回シール及び下側旋回シールは、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間の空間において船舶の第2内側底部の下方に位置付けられる。これにより、旋回シールは、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間の空間を介して船舶の内部から点検修理できる。
【0012】
他の実施例において、上側旋回シールは、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間の空間において船舶の第2内側底部の下方に位置付けられ、下側旋回シールは、ストラット内に位置付けられる。これにより、上側旋回シールは、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間の空間を介して船舶の内部から点検修理でき、下側旋回シールは、ストラットの内部から点検修理できる。
【0013】
これにより、上側旋回シール及び下側旋回シールへの径方向アクセスを、船舶の内部から、又は、ストラットの内部から設けることができる。
【0014】
これにより、旋回シールを点検修理するために旋回ベアリング及び歯車を取り外す必要がない。
【0015】
旋回シールのアクセス及び交換が容易であるということは、点検修理コストの削減及びより良好な封止信頼性を意味する。
【0016】
上側旋回シールの上方に位置付けられた旋回ベアリングからの潤滑媒体の漏出を検出するために、上側旋回シールと接するように自動監視システム及び/又は潤滑媒体回収システムを配置することが可能である。潤滑媒体回収システムを使用して、潤滑媒体の漏出を、船舶の第2内側底部の上方における船舶内部の空間へ、又は、船舶の第1外側底部と第2内側底部との間の空間へ向かわせることができる。これにより、潤滑媒体の海への漏出を回避できる。
【0017】
下側旋回シールから船舶内への水の漏出は、旋回ベアリング内へ浸入しない。また、装置内の水の漏出を検出することも容易である。
【0018】
一実施例において、旋回ベアリングは、船舶の第2内側底部に又はその上方に位置付けられる。このような装置の利点は、旋回ベアリング全体が、船舶の内部にある同じ内部空気で囲まれることである。均一な温度分布によって、旋回ベアリングの異なる部分が異なる温度に晒される先行技術の解決手段と比較して、旋回ベアリング内の熱張力を大幅に低減できる。旋回ベアリングのある部分は、温かい内部空気に晒され、旋回ベアリングの他の部分は、海からスチール構造体に沿って伝播する冷気に晒される。
【0019】
旋回シールの交換は、船舶をドックに入れることなく行うことができる。水位が封止の上方にあり且つ船をトリムできない場合には、ダイバーが、ストラットの上側部と船舶の外側底部との間の通路に一時的なシールを設置できる。例えば加圧により作動する固定シールを使用することもできる。
【0020】
本発明においては、旋回シールの寿命を延長しようと試みる必要がないため、旋回シール装置を簡素にできる。
【0021】
一実施例において、旋回ベアリング及び旋回シールは、船舶の第2内側底部に又はその上方に位置付けられる。これは、現在の知識によれば、船舶において第1外側底部と第2内側底部との間の空間へのアクセスが必要ないという意味で有利な解決手段と考えられる。旋回シールは、船舶の船殻内部且つ第2内側底部の上方の空間から交換できる。
【0022】
船舶の船殻とは、本出願において、船舶の水密の外側体を意味する。
【0023】
以下、本発明を、添付の図面を参照して、好ましい実施例を用いてより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、船舶における推進ユニットの鉛直断面を示す。船舶10は、二重底部、すなわち、船舶の船殻を形成する第1外側底部11と、第2内側底部12とを有する。推進ユニット20は、上側部22及び下側部23を有する中空のストラット21を備える。ストラット21の上側部22は、ストラットの下側部23を支持する支持アームを形成している。ストラット21の下側部23は、第1電動モータ30及び第1シャフト31を備える長手方向コンパートメントを形成している。第1シャフト31の第1端31Aは、電動モータ30に接続され、第1シャフト31の第2端31Bは、ストラット21の下側部23の後端23Bから突出している。プロペラ32が、第1シャフト31の第2外側端31Bに接続されている。第1シャフト31の軸線方向中心線X−Xが、シャフト線を形成している。推進ユニット20は、ストラット21の上側部22を介して、船舶10に回転可能に取り付けられており、回転中心軸線Y−Y周りに360度回動できるようになっている。通路P1が、船舶10の第1外側底部11から第2内側底部12まで、船舶10の底部に形成されている。推進ユニット20のストラット21の上側部22は、上側ブロック100に接続されている。上側ブロック100は、通路P1を通過し、旋回ベアリング300で、船舶10の船殻に回転可能に取り付けられている。上側ブロック100は、通常、略円筒状の形態を有する。上側ブロック100は、別体部としてではなく、ストラット21の上側部22の上側端部により形成されていてもよい。旋回ベアリング300の下に位置付けられた旋回シール200が、海水と、船舶10の船殻の内部との間にシールを形成している。
【0026】
更に、歯車40が、上側ブロック100に取り付けられている。歯車40は、第2電動モータ50で回転中心軸線Y−Y周りに360度回動させることができる。第2電動モータ50は、第2シャフト51を介してピニオンホイール52を駆動する。ピニオンホイール52の歯は、歯車40の歯に接続されている。当然、幾つかの同様の第2電動モータ50が歯車40に接続されていてもよい。歯車40の回動によって、推進ユニット20が回動する。歯車40は、中央に穴をもつリング形態を有する。歯車40の歯は、この実施例において、歯車40の外側縁部上に位置付けられている。他に、歯車40の内側縁部上に歯を有することも可能である。
【0027】
更に、船舶10内部のエンジン60と、そのエンジン60に第3シャフト61で接続された発電機62とがある。エンジン60は、船舶10に使用される従来の燃焼機関とすることができる。発電機62は、船舶10及び推進ユニット20に必要な電気エネルギーを生成する。船舶10内には幾つかの燃焼機関60及び発電機62があってもよい。
【0028】
更に、歯車40と接したスリップリング装置70がある。電力が、発電機62から第1ケーブル65を介してスリップリング装置70に伝達される。電力は、更に、スリップリング装置70から第2ケーブル35を介して第1電動モータ30に伝達される。スリップリング装置70は、電力を船舶の固定船殻10と回転推進ユニット20との間で伝達するために必要となる。
【0029】
図2は、推進ユニットの先行技術の旋回シール装置の鉛直断面を示す。この断面は、回転中心軸線Y−Yに関して対称である装置の右半分のみを示す。旋回ベアリング300は、第1ベアリングブロック310と、第2ベアリングブロック320と、第1ローラ手段330と、第2ローラ手段340と、第3ローラ手段350とを備える。
【0030】
第1ベアリングブロック310は、鉛直方向に延在するボルト311で鉛直方向に延在する固定の第1支持壁部80に取り付けられた円筒状部である。第1支持壁部80は、有利には略円筒状の形態を有する。第1支持壁部80の上側端部は、水平方向に延在する第1支持リング83に取り付けられている。第1支持リング83は、船舶10の第2内側底部12に取り付けられている。第1支持壁部80の下端は、水平方向に延在する第2支持リング84に取り付けられている。第2支持リング84は、船舶10の第1外側底部11に取り付けられている。図は、第1支持リング83と第2支持リング84との間において鉛直方向に延在する第2支持壁部14も示す。第1ベアリングブロック310の断面は、基本的に、90度傾けられたT字状の形態を有する。
【0031】
第2ベアリングブロック320は、上側部分320Aと下側部分320Bとを備える円筒状部である。第2ベアリングブロック320は、上側部分320A及び下側部分320Bを通って鉛直方向に延在するボルト321で、鉛直方向に延在し回転する円筒状の第2支持部分110に取り付けられている。第2支持部分110は、上側ブロック100の上側部により形成されている。推進ユニット20のストラット21の上端22は、上側ブロック100の下端に取り付けられている。第2ベアリングブロック320の断面は、基本的に、C字状の形態を有する。
【0032】
第1ローラ手段330は、第1ベアリングブロック310と第2ベアリングブロック320との間のレースウェイ内に位置付けられ、例えば推進ユニット20の重量により生じる下方向の力が、第2ベアリングブロック320から第1ローラ手段330を介して第1ベアリングブロック310に、更には船舶10の船殻に伝達されるようになっている。
【0033】
第2ローラ手段340は、第1ベアリングブロック310と第2ベアリングブロック320との間のレースウェイ内に位置付けられ、上方向の力が、第2ベアリングブロック320から第2ローラ手段340を介して第1ベアリングブロック310に、更には船舶10の船殻に伝達されるようになっている。
【0034】
第3ローラ手段350は、第1ベアリングブロック310と第2ベアリングブロック320との間のレースウェイ内に位置付けられ、径方向力が、第2ベアリングブロック320から第3ローラ手段350を介して第1ベアリングブロック310に、更には船舶10の船殻に伝達されるようになっている。
【0035】
歯車40の内側部41が、第2ベアリングブロック320上に載置され、鉛直方向に延在するボルト321で上側ブロック100の一部分である第2支持部分110に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト321は、第2ベアリングブロック320内も通って延在している。歯車40の回転によって、回転中心軸線Y−Y周りに上側ブロック100が回転しひいては推進ユニット20も回転する。
【0036】
上側ブロック100は、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間に第1支持壁部80によって形成された通路P1内に位置付けられている。この上側ブロック100は、この実施例において、別体部であり、ストラット21の上側部22に取り付けられている。
【0037】
図3は、
図2の先行技術の旋回シール装置の拡大鉛直断面を示す。旋回シール200は、旋回ベアリング300の下方の第1支持壁部80における凹部内に位置付けられている。旋回シール200は、2つのシールリング211,212を有する上側旋回シール210と、2つのシールリング221,222を有する下側旋回シール220とを備える。旋回シールリング211,212,221,222の外側端リップ部は、回転上側ブロック100の上側部110の外側面に押圧されている。上側旋回シール210は、潤滑媒体が旋回ベアリング300から回転部分110と第1支持壁部80との間へ、ひいては海へ流れ落ちるのを防止する。下側旋回シール220は、海水が旋回ベアリング300内へ、ひいては船舶10の船殻内へ浸入するのを防止する。当然、上側旋回シール210及び下側旋回シール220には、任意の数のシールリング211,212,221,222があってもよい。
【0038】
更に、上側旋回シール210におけるシールリング211,212間に中間リング213が、下側旋回シール220における封止リング221,222間に中間リング223がある。更に、上側旋回シール210と下側旋回シール220との間に中間リング230が、上側旋回シール210の上方に端部リング214が、下側旋回シール220の下方に端部リング224がある。更に、上側旋回シール210と下側旋回シール220との間の中間リング214と、下側旋回シール210におけるシールリング221,222間とに通じる潤滑ダクトがある。
【0039】
上側旋回シール210及び下側旋回シール220は、第1支持壁部80に形成された凹部内に位置付けられている。上側旋回シール210と下側旋回シール220との間に開空間はない。また、船舶10の内部から径方向R1において、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間から旋回シール200へのアクセスはない。円筒状の第1支持壁部80の外側面は、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間側に閉鎖面を形成している。
【0040】
そのような先行技術の旋回シール装置における一つの問題は、旋回シール200の位置である。旋回シール200へのアクセスができるようにする前に、歯車40と旋回ベアリング300との接続を解除して取り外す必要がある。旋回シール200は、上方からのみアクセスできる。側方から径方向に旋回シール200にアクセスするのは不可能である。第1支持壁部80は、第1支持リング83と第2支持リング84との間に円筒状の閉空間を形成している。
【0041】
そのような先行技術の支持装置における他の問題は、旋回ベアリング300の位置である。旋回ベアリング300は、船10の第2内側底部12の下方に位置付けられている。旋回ベアリング300は、一方で、スチール構造体に沿って伝わる海からの冷気に晒され、他方で、円筒状の上側ブロック100の内部の外側部分内を通って推進ユニット20における第1電動モータ30へと下方に流れる冷却空気に晒される。船舶が寒冷気候で運航している場合には、海からの空気は非常に冷たい可能性がある。このため、旋回ベアリング300全体に亘る不均一な温度分布によって、旋回ベアリング300に熱応力が生じる可能性がある。
【実施例1】
【0042】
図4は、本発明の第1実施例に係る旋回シール装置の鉛直断面を示す。この断面は、回転中心軸線Y−Yに関して対称である装置の右半分のみを示す。旋回ベアリング300及び旋回シール200は、この実施例において、船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。旋回ベアリング300の下側面S1は、船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。従って、旋回ベアリング300は、船舶10内部の空気によって囲まれている。船舶10の内部の空気温度は、比較的安定しており、これは、旋回ベアリング300に熱応力があまり生じないことを意味する。旋回シール200の交換は、この装置においては容易である。
【0043】
第1ベアリングブロック310は、鉛直方向に延在するボルト311で固定された円筒状の第1支持部81に取り付けられている。第1支持部81は、例えば、第1支持部81と第1支持リング83との間に位置付けられた径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ87を介して、船舶10の第2内側底部12上に支持される。第1支持リング83は、船舶10の第2内側底部12の上側面に取り付けられている。従って、第1支持部81は、支持フランジ87を介して、船舶10の第2内側底部12上にのみ支持されている。第1支持部81は、船舶10の第2内側底部12の上方に完全に位置付けられている。
【0044】
第2ベアリングブロック320は、上側部分320Aと下側部分320Bとを備える円筒状部である。第2ベアリングブロック320は、上側部分320A及び下側部分320Bを通って鉛直方向に延在するボルト321で、上側ブロック100の上側部で形成された鉛直方向に延在し回転する円筒状の第2支持部分110に取り付けられている。推進ユニット20のストラット21の上端22は、上側ブロック100の下端に取り付けられている。
【0045】
第1支持壁部13が、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間において鉛直方向に延在している。第1支持壁部13は、有利には円形状であり、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間に形成された通路P1側において、第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間を閉鎖する。図は、第1外側底部11と第2内側底部12との間において鉛直方向に延在する第2支持壁部14も示している。
【0046】
歯車40の内側部41は、第2ベアリングブロック320上に載置されている。歯車40の内側部41は、鉛直方向に延在するボルト321で第2支持部分110に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト321は、第2ベアリングブロック320内も通って延在している。歯車40の回転によって、上側ブロック100及び推進ユニット20が中心軸線Y−Y周りに回転する。
【0047】
図5は、
図4の旋回シール装置の拡大図を示す。旋回シール200は、上側旋回シール210及び下側旋回シール220を備える。
【0048】
上側旋回シール210は、2つのシールリング211,212と、端部リング213とを備える。各シールリング211,212は、ベース部分とリップ部分とから構成される。リップ部分は、回転部分100に対する封止を形成している。上側旋回シール210は、第1支持部81に形成された凹部内に収まっている。更に、上側旋回シール210を凹部内に固定するブラケット215がある。ブラケット215は、例えばボルトで、第1支持部81の下側面に取り付けることができる。上側旋回シール210は、ブラケット215を取り外しそして上側旋回シール210の部品を凹部から下方に引くことによって、交換できる。
【0049】
下側旋回シール220は、2つのシールリング221,222を備える。各シールリング221,222は、ベース部分とリップ部分とから構成される。リップ部分は、回転部分100に対する封止を形成している。下側旋回シール220は、第1支持リング83の内側縁部と接して形成された凹部内に収まっている。更に、下側旋回シール210を凹部内に固定するブラケット225がある。ブラケット225は、例えばボルトで、第1支持リング83の上側面に取り付けることができる。下側旋回シール220は、ブラケット225を取り外しそして下側旋回シール220の部分を凹部から上方に引くことによって、交換できる。
【0050】
上側旋回シール210及び下側旋回シール220には、必要に応じて潤滑を設けてもよい。これは、当業者であれば任意の従来の既知の方法で構成できよう。潤滑は、シールリング211,212,221,222のリップ部分のドライランニングや過熱、早期摩耗を防止するために必要となりうる。
【0051】
これは、本発明において使用可能な旋回シール200構成の1つの実施例に過ぎない。上側旋回シール210及び下側旋回シール220は、任意の数のシールリング、任意の数の中間リング、任意の数の端部リング及び、場合により緊急シールリング等を備えることができる。旋回シール210,220内の様々な部品の位置は任意とすることができる。中間リングは、必ずしも必要というわけではない。当然、上側旋回シール210と下側旋回シール220とは、少なくとも1つのシールリングを備える必要がある。
【0052】
上側旋回シール210及び下側旋回シール220におけるシールリング211,212,221,222は、弾性材料、例えばゴム製である。
【0053】
上側旋回シール210と下側旋回シール220との間には、空間400がある。空間400は、鉛直方向において高さH1を有する。また、船舶10の船殻の内部から径方向R1にこの空間400へのアクセスが設けられている。アクセスは、径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ87間に形成された通路を介する。この空間400を介して、上側旋回シール210及び下側旋回シール220を点検修理することが可能である。
【0054】
図6は、
図4の装置の第1水平断面を示す。この水平断面は、上側旋回シール210と下側旋回シール220との間の高さからのものである。この図は、第1支持部81と第1支持リング83との間にある径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ87を示す。支持フランジ87の内側端は、回転部分100から径方向距離をおいて位置付けられている。支持フランジ87は、互いに対して角度距離αに位置付けられている。2つの隣接する支持フランジ87間には、上側旋回シール210及び下側旋回シール220の交換が行えるように十分な空間が存在する必要がある。
【0055】
図7は、
図4の代替例の水平断面を示す。この図は、旋回ベアリング300と、船舶の第2内側底部12との間にある代替の支持装置を示す。図に示すように、鉛直方向及び径方向に延在する支持フランジ87は、2つずつのグループにグループ分けされ、それぞれの内側端が接続されている。上側ブロック100へのアクセスはここでも、内側端で接続されていない2つの隣接する支持フランジ87間に設けられている。2つの支持フランジ87の各グループは、図から分かるように、U字状の形態を有している。図は、2つの隣接する支持フランジ87間のハッチ89も示している。ハッチ89は、2つの隣接する支持フランジ87間に形成された全ての開口間においてその空間を閉鎖するために使用できる。他方で、ハッチ89は、必要であればその空間へのアクセスを提供する。当然、このようなハッチは、旋回シール210,220間の空間を閉鎖する必要があれば、本発明の全ての実施例において使用できる。例えば、ハッチは、旋回シール210,220間の空間を閉鎖するために、
図6に示す支持フランジ87間に位置付けることができる。
【0056】
図8は、船舶における第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間の第2水平断面を示す。第1外側底部11と第2内側底部12との間の支持構造体は、径方向に延在する支持壁13A,14Aと、周方向に延在する支持壁13,14とを備える。周方向に延在する支持壁13,14は、円形状の代わりに、径方向支持壁部13A,14A間において直線状であってもよい。図は、回転部分100、及び、回転部分100と固定部13との間の通路P1も示す。従って、第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間は、径方向に延在する支持壁13A,14A及び円形状支持壁13,14の内部に形成されたコンパートメントを備える。コンパートメント間に開口があってもよい。
【実施例2】
【0057】
図9は、本発明の第2実施例に係る旋回シール装置の鉛直断面を示す。この断面は、鉛直中心軸線Y−Yに関して対称である装置の右半分のみを示す。旋回ベアリング300及び旋回シール200は、この第3実施例において、第1実施例と同様に船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。旋回ベアリング300の下側面S1は、船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。歯車40の歯は、この実施例において、歯車40の内側縁部上にある。
【0058】
第1ベアリングブロック310が、鉛直方向に延在するボルト311で円筒状の第1支持部分81に取り付けられている。第1支持部81は、第1実施例の場合と同様に、船舶10の第2内側底部12に、第1支持部81と第1支持リング83との間に位置付けられた径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ87で支持することができる。第1支持リング83は、船舶10の第2内側底部12の上側面に取り付けられている。径方向及び鉛直方向に延在する支持フランジ87は、2つの隣接する支持壁間に旋回シール200へのアクセスが設けられるように、第1支持部81と第1支持リング83との間の円周において互いに適切な角度距離で位置付けることができる。
【0059】
第1支持部81を船舶10の第2内側底部12に支持する他の可能性は、第1支持部81と第1支持リング83との間に、取り外し可能な支持エレメント88を使用することである。第1支持リング83は、船舶10の第2内側底部12の上側面に取り付けられている。円を形成する任意の数、例えば4つの支持エレメント88があってもよい。締結手段、例えばボルト90が、第1支持部81及び支持エレメント88を通って鉛直方向に延在している。1つの支持エレメント88内の締結ボルト90の接続を解除して取り外すことによって、その支持エレメント88を第1支持部分81の下の位置から取り外すことができるようになる。支持エレメント88の取り外しは、適切な持ち上げ手段、例えばクレーンにより第1支持部81を少し持ち上げることによって行うことができる。他方で、支持エレメント88の取り外しは、ボルト90を隣接する支持エレメント88から取り外し、ボルト90の代わりにジャッキアップボルトを使用することによって行うこともできる。ジャッキアップボルトを使用して第1支持部81を少し持ち上げることによって、2つの隣接する支持エレメント88間の支持エレメント88を取り外すことができるようになる。
【0060】
第2ベアリングブロック320は、上側部分320Aと下側部分320Bとを備える円筒状部である。第2ベアリングブロック320は、上側部分320A及び下側部分320Bを通って鉛直方向に延在するボルト321で、上側ブロック100の上側部で形成された鉛直方向に延在し回転する円筒状の第2支持部分110に取り付けられている。推進ユニット20のストラット21の上端22は、上側ブロック100の下端に取り付けられている。
【0061】
歯車40の内側部41が、第2ベアリングブロック320上に載置されている。歯車40の内側部41は、鉛直方向に延在するボルト321で、第2支持部分110に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト321は、第2ベアリングブロック320も通って延在している。歯車40の回転によって、上側ブロック100及び推進ユニット20が中心軸線Y−Y周りに回転する。
【0062】
旋回シール200の構成は、第1実施例における旋回シールの構成に対応している。上側旋回シール210は、第1支持部81に形成された凹部内に位置付けられている。下側旋回シール220は、第1支持リング83の内側縁部と接して形成された凹部内に位置付けられている。
【0063】
上側旋回シール210と下側旋回シール220との間には、空間400がある。空間400は、鉛直方向において高さH1を有する。また、船舶10の船殻の内部から径方向R1にこの空間400へのアクセスが設けられている。アクセスは、支持エレメント88間に形成された通路を介する。この空間400を介して、上側旋回シール210及び下側旋回シール220を点検修理することが可能である。
【0064】
図9に示すこの第2実施例は、支持エレメント88を、軸受300と船舶10の第2内側底部12との間に延在するブッシングに変更するように変更することができる。ブッシングは、有利には、円筒状の形態を有する。ブッシングは、各締結手段90と接して設けられて、締結手段、すなわちボルト90がブッシングの中間にある穴を通過するようにできる。旋回シール210,220の点検修理は、ブッシング間の空間から行うことができる。
【実施例3】
【0065】
図10は、本発明の第3実施例に係る旋回シール装置の鉛直断面を示す。この断面は、鉛直中心軸線Y−Yに関して対称である装置の右半分のみを示す。旋回ベアリング300は、この実施例においても、船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。旋回ベアリング300の下側面S1は、船舶10の第2内側面12に取り付けられた第1支持リング83の高さに位置付けられている。旋回シール200は、船舶10の第2内側底部12と第1外側底部11との間の空間において船舶10の第2内側底部12の下方に位置付けられている。
【0066】
第1ベアリングブロック310は、鉛直方向に延在するボルト311で、第1支持リング83を介して船舶10の第2内側底部12に直接支持された第1円筒状支持部分81に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト311は、第1支持部81を通って第1支持リング83まで延在している。第1支持リング83は、船舶10の第2内側底部12の上側面に取り付けられている。
【0067】
第2ベアリングブロック320は、上側部分320Aと下側部分320Bとを備える円筒状部である。第2ベアリングブロック320は、上側部分320A及び下側部分320Bを通って鉛直方向に延在するボルト321で、上側ブロック100の上側部で形成された鉛直方向に延在し回転する円筒状の第2支持部分110に取り付けられている。推進ユニット20のストラット21の上端22は、上側ブロック100の下端に取り付けられている。
【0068】
歯車40の内側部41は、第2ベアリングブロック320上に載置されている。歯車40の内側部41は、鉛直方向に延在するボルト321で第2支持部分110に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト321は、第2ベアリングブロック320内も通って延在している。歯車40の回転によって、上側ブロック100及び推進ユニット20が中心軸線Y−Y周りに回転する。
【0069】
旋回シール200の構成は、
図5に示された旋回シールの構成に対応している。上側旋回シール210は、第2内側底部12の内側縁部及び第1支持リング83の内側縁部に接して形成された凹部内に位置付けられている。下側旋回シール220は、第1支持壁部13の上端に接して形成された凹部内に位置付けられている。上側旋回シール210及び下側旋回シール220は、いずれも2つのシールリングを備える。第1支持壁部13は、第1外側底部11に取り付けられ、通路P1側において、第1外側底部11と下側旋回シール220との間の空間を閉鎖している。上側旋回シール210と下側旋回シール220との間には、空間400がある。空間400は、鉛直方向において高さH1を有する。旋回シール200は、この第3実施例において、第1実施例に関連して説明したのと同じように船舶10の第2内側底部12と第1外側底部11との間の空間から交換できる。
【0070】
第2内側底部12の下方の旋回シール200の位置へのアクセスは、第2内側底部12を通じて1つ以上のメンテナンスハッチ91を介して、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間へと設けられる。更なるメンテナンスハッチ92が、鉛直方向に延在する第2支持壁部14に設けられる。更なるメンテナンスハッチは、周方向において第1支持壁部13と第2支持壁部14との間に形成された最内側のコンパートメント間の径方向に延在する支持壁13Aに設けられる。当然、全てのこれらのメンテナンスハッチは、船舶に設けられる。旋回シール200へのアクセスは、基本的に、旋回シール200が点検修理できるように適切な間隔で旋回シール200の全周に設けるべきである。円筒状の第1支持壁部13は、第1外側底部11と第1内側底部12との間に延在させてもよい。その場合、第1支持壁部13には、上側旋回シール210と下側旋回シール220との間の第1支持壁部13の円周周りに適切な開口を設ける必要がある場合がある。その場合、第1支持壁部13における開口は、第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間から上側旋回シール210及び下側旋回シール220への径方向アクセスを提供する。下側旋回シール220は、開口の下側縁部において第1支持壁部13上に支持することができる。
【0071】
第1支持壁部13は、第1外側底部11と下側旋回シール220との間において鉛直方向に延在している。第1支持壁部13は、第1外側底部11と下側旋回シール220との間に形成された通路P1側において、第1外側底部11と下側旋回シール220との間の空間を閉鎖している。
【実施例4】
【0072】
図11は、本発明の第4実施例に係る旋回シール装置の鉛直断面を示す。この断面は、鉛直中心軸線Y−Yに関して対称である装置ののみを示す。旋回ベアリング300は、この実施例においても、船舶10の第2内側底部12の上方に位置付けられている。旋回ベアリング300の下側面S1は、船舶10の第2内側面12に取り付けられた第1支持リング83の高さに位置付けられている。
【0073】
軸受300は、
図10における軸受に対応している。従って、軸受300の構成に関しては
図10を参照する。
【0074】
歯車40の内側部41が、第2ベアリングブロック320上に載置されている。歯車40の内側部41は、鉛直方向に延在するボルト321で、第2支持部分110に取り付けられている。鉛直方向に延在するボルト321は、第2ベアリングブロック320も通って延在している。歯車40の回転によって、上側ブロック100及び推進ユニット20が中心軸線Y−Y周りに回転する。
【0075】
上側旋回シール210が、旋回ベアリング300からの潤滑媒体の漏出を防止するために、旋回ベアリング300の直下に位置付けられている。上側旋回シール210は、第1支持壁部13上に支持することができ、その場合、上側旋回シール210は、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間から交換できる。他方で、上側旋回シール210は、上側ブロック100上に支持することができ、その場合、上側旋回シール210は、上側ブロック100の内部から、すなわちストラット21の内部から交換できる。
【0076】
下側旋回シール220は、上側ブロック100上に支持され、これは、下側旋回シール220が、上側ブロック100の内部から、すなわちストラット21の内部から交換できることを意味する。
【0077】
上側旋回シール210と下側旋回シール220との間には、空間400がある。空間400は、鉛直方向距離H1を有する。上側旋回シール210へのアクセスは、船舶10の第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間から径方向R1に、又は、上側ブロック100内部の空間から径方向R1に設けられている。下側旋回シール220へのアクセスは、上側ブロック100内部の空間から径方向R1に設けられている。
【0078】
図4に示す実施例及び
図9に示す実施例は、旋回ベアリング300と第2内側底部12との間に延在する支持構造体87,88によって旋回ベアリング300が船舶10の第2内側底部12に支持され、それにより、支持構造体87,88に配置された空間から旋回シール200にアクセスできる点において共通している。
【0079】
図に示す本発明の装置の様々な実施例において、上側旋回シール210及び下側旋回シール220には2つのシールリングがある。当然、上側旋回シール210及び下側旋回シール220には、任意の数のシールリングがあってよい。当然、上側旋回シール210には少なくとも1つのシールリングが、下側旋回シール220には少なくとも1つのシールリングがある。
【0080】
上側旋回シール210及び下側旋回シール220は、有利には、回転中心軸線Y−Yから同じ径方向距離に位置する。しかしながら、上側旋回シール210及び下側旋回シール220は、回転中心軸線Y−Yから異なる径方向距離に位置してもよい。
【0081】
本発明の様々な実施例において、上側旋回シール210と下側旋回シール220との間には空間400がある。空間400の高さH1は、少なくとも100mmであり、有利には少なくとも200mmであり、より有利には少なくとも300mmである。高さH1は、上側旋回シール210における最下シールリング211の下側面と、下側旋回シール220における最上シールリング221の上側面との間で測定される。また、この空間400へのアクセスが、船舶10の船殻の内部から径方向R1に設けられている。アクセスは、船舶の第2内側底部12の上方の船舶内部の空間から、及び/又は、第1外側底部11と第2内側底部12との間の空間から、及び/又は、ストラット21内部の空間から設けることができる。
【0082】
上側旋回シール210と下側旋回シール220との間の空間400は、有利には、開空間である。旋回シールの状態を監視する機器は、その空間内に存在できるが、それらは、上側旋回シール210及び下側旋回シール220を交換する際、容易に取り外せる。
【0083】
本発明は、図に示した旋回ベアリング300には限定されない。ここでは、潤滑媒体で潤滑する任意の標準的なローラや滑動軸受を使用できる。潤滑媒体は、例えば、オイル又はグリースとすることができる。旋回ベアリングは、海水と接触すべきではない。
【0084】
図における装置は、推進ユニット20のストラット21の上側部22の上側端部に取り付けられた別体の上側ブロック100を示している。しかしながら、上側ブロック100は、ストラット21の上側部22の一体部として形成されてもよい。これにより、上側ブロック100は、ストラット21の上側部22の上側端部を形成する。
【0085】
装置は、図に示す推進ユニットに限定されない。当然、装置は、例えば機械駆動ユニットとの関連で使用することもできる。この場合、モータは、船舶の内部に位置付けることができ、それにより、プロペラは、水平方向シャフト及び鉛直方向シャフトによりモータに接続しうる。このような場合、スリップリングユニットが必要になりうる。
【0086】
当然、ストラット21は、1つ以上の電動モータの代わりに、1つ以上の油圧モータで回動させてもよい。当然、ストラット21の回動角度は、360度未満であってもよい。
【0087】
本発明及びその実施例は、上述の例に限定されず、請求項の範囲内で変更してもよい。