特許第6286129号(P6286129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286129
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】バスバーユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-47234(P2013-47234)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-176207(P2014-176207A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(73)【特許権者】
【識別番号】505336622
【氏名又は名称】株式会社TOP
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】宝積 宣至
(72)【発明者】
【氏名】松前 太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒川 芳輝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀
(72)【発明者】
【氏名】滝本 亨
(72)【発明者】
【氏名】山田 眞吾
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−042633(JP,A)
【文献】 特開2012−029445(JP,A)
【文献】 特開2011−205875(JP,A)
【文献】 特開2009−290921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30−3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータを構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバーを備え、前記複数のバスバーが前記ステータの軸方向に沿って配置されるバスバーユニットであって、
前記複数のバスバーは、
板厚方向が前記ステータの軸方向に一致するように前記ステータの周方向に沿って延設する本体部と、
前記本体部の外周から前記ステータの径方向外側に突出する突出部と、
前記突出部から前記ステータの径方向に延びる線に沿って折り曲げられ前記ステータの軸方向及び径方向に延設する延設部と、
前記延設部の先端に設けられ前記コイルの巻線端末に接続する接続部と、を備え、
前記複数のバスバーのうち前記ステータから最も遠い位置に設けられる前記バスバーでは、前記延設部が前記突出部に対して前記ステータに近づく方向に折り曲げられ、前記接続部が前記ステータの軸方向について所定位置に配置され、
前記複数のバスバーのうち前記ステータに最も近い位置に設けられる前記バスバーでは、前記延設部が前記突出部に対して前記ステータから離れる方向に折り曲げられ、前記接続部が前記ステータの軸方向について前記所定位置に配置され、
前記延設部が前記ステータの軸方向及び径方向に延設される長さによって前記接続部の位置が決められる、
ことを特徴とするバスバーユニット。
【請求項2】
前記複数のバスバーは、前記ステータに対して遠い位置から近づく方向に順に並ぶ第1〜第4の前記バスバーを有し、
前記第1、第2のバスバーでは、前記延設部が前記突出部に対して前記ステータに近づく方向に折り曲げられ、
前記第3、第4のバスバーでは、前記延設部が前記突出部に対して前記ステータから離れる方向に折り曲げられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のバスバーユニット。
【請求項3】
ステータを構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバーを備え、前記複数のバスバーが前記ステータの軸方向に沿って配置されるバスバーユニットであって、
前記複数のバスバーは、
板厚方向が前記ステータの軸方向に一致するように前記ステータの周方向に沿って延設する本体部と、
前記本体部の外周から前記ステータの径方向外側に突出する突出部と、
前記突出部から前記ステータの径方向に延びる線に沿って折り曲げられ前記ステータの軸方向及び径方向に延設する延設部と、
前記延設部の先端に設けられ前記コイルの巻線端末に接続する接続部と、を備え、
前記延設部は、
前記突出部から折り曲げられて前記ステータの軸方向に延設する第1軸方向延設部と、
前記第1軸方向延設部から前記ステータの径方向に延設する径方向延設部と、を有し、
前記第1軸方向延設部及び前記径方向延設部によってクランク状に形成され、
前記第1軸方向延設部が延設する反対側の前記径方向延設部の端から前記ステータの軸方向について前記第1軸方向延設部と平行方向に延設する第2軸方向延設部を有し、
前記第1軸方向延設部、前記径方向延設部、及び第2軸方向延設部によってクランク状に形成され、
前記延設部が前記ステータの軸方向及び径方向に延設される長さによって前記接続部の位置が決められる、
ことを特徴とするバスバーユニット。
【請求項4】
ステータを構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバーを備え、前記複数のバスバーが前記ステータの軸方向に沿って配置されるバスバーユニットであって、
前記複数のバスバーは、
板厚方向が前記ステータの軸方向に一致するように前記ステータの周方向に沿って延設する本体部と、
前記本体部の外周から前記ステータの径方向外側に突出する突出部と、
前記突出部から前記ステータの径方向に延びる線に沿って折り曲げられ前記ステータの軸方向及び径方向に延設する延設部と、
前記延設部の先端に設けられ前記コイルの巻線端末に接続する接続部と、を備え、
前記接続部は前記ステータの軸方向について同じ位置に配置される、
ことを特徴とするバスバーユニット。
【請求項5】
ステータを構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバーを備え、前記複数のバスバーが前記ステータの軸方向に沿って配置されるバスバーユニットであって、
前記複数のバスバーは、
板厚方向が前記ステータの軸方向に一致するように前記ステータの周方向に沿って延設する本体部と、
前記本体部の外周から前記ステータの径方向外側に突出する突出部と、
前記突出部から前記ステータの径方向に延びる線に沿って折り曲げられ前記ステータの軸方向及び径方向に延設する延設部と、
前記延設部の先端に設けられ前記コイルの巻線端末に接続する接続部と、を備え、
前記接続部は前記ステータの軸方向について前記本体部が設けられる寸法範囲内に収まるように配置される、
ことを特徴とするバスバーユニット。
【請求項6】
前記接続部は、それぞれ同一円周上に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のバスバーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータや発電機の巻線に接続され、当該巻線に電流を配電するバスバーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等のステータにおいて外部の端子部から各コイルの巻線に電流を配電するためバスバーユニットを用いることが知られている。
【0003】
特許文献1には、U相、V相及びW相に対応するバスバーと、これらのバスバーをステータの軸方向に離間させた状態で保持する絶縁性樹脂と、を備えるバスバーユニットが開示されている。
【0004】
バスバーは、ステータの周方向に沿って延びる円弧状の本体部と、この本体部からステータの径方向外側に延設し、コイルの巻線端末に接続する接続部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−233483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のバスバーユニットにあっては、各バスバーにおける接続部同士がステータの軸方向について同一位置ではない(高さ位置が異なる)。そのため、例えばコイルの巻線端末と接続部とを接続させる治具(溶接治具)が各高さ位置毎の専用のものになってしまい、コストが増えてしまう。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、各相のバスバーの接続部がステータの軸方向について同一位置に配置されるバスバーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ステータを構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバーを備え、複数のバスバーがステータの軸方向に沿って配置されるバスバーユニットであって、複数のバスバーは、板厚方向がステータの軸方向に一致するようにステータの周方向に沿って延設する本体部と、本体部の外周からステータの径方向外側に突出する突出部と、突出部からステータの径方向に延びる線に沿って折り曲げられステータの軸方向及び径方向に延設する延設部と、延設部の先端に設けられコイルの巻線端末に接続する接続部と、を備える。
そして、複数のバスバーのうちステータから最も遠い位置に設けられるバスバーでは、延設部が突出部に対してステータに近づく方向に折り曲げられ、接続部がステータの軸方向について所定位置に配置され、複数のバスバーのうちステータに最も近い位置に設けられるバスバーでは、延設部が突出部に対してステータから離れる方向に折り曲げられ、接続部がステータの軸方向について所定位置に配置され、延設部がステータの軸方向及び径方向に延設される長さによって接続部の位置が決められることを特徴とする。
また、延設部は、突出部から折り曲げられてステータの軸方向に延設する第1軸方向延設部と、第1軸方向延設部からステータの径方向に延設する径方向延設部と、を有し、第1軸方向延設部及び径方向延設部によってクランク状に形成され、第1軸方向延設部が延設する反対側の径方向延設部の端からステータの軸方向について第1軸方向延設部と平行方向に延設する第2軸方向延設部を有し、第1軸方向延設部、径方向延設部、及び第2軸方向延設部によってクランク状に形成され、延設部がステータの軸方向及び径方向に延設される長さによって接続部の位置が決められる、ことを特徴とする。
また、接続部はステータの軸方向について同じ位置に配置される、ことを特徴とする。
また、接続部はステータの軸方向について本体部が設けられる寸法範囲内に収まるように配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、ステータの軸方向及び径方向に延設する延設部の長さを調整することにより、全てのバスバーにおける接続部をステータの軸方向について同じ位置に配置することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る3相交流モータを構成するステータの構造図である。
図2】バスバーユニットを示す斜視図である。
図3】積層された第1〜第4バスバーを示す斜視図である。
図4】第4バスバーを示す斜視図である。
図5】第4バスバーの一部を示す斜視図である。
図6】第4バスバーの一部を示す正面図である。
図7】第4バスバーを図6の矢印A方向から見た図である。
図8】第3バスバーを示す斜視図である。
図9】第3バスバーの一部を示す斜視図である。
図10】第3バスバーの一部を示す正面図である。
図11】第3バスバーを図10の矢印B方向から見た図である。
図12】第2バスバーを示す斜視図である。
図13】第2バスバーの一部を示す斜視図である。
図14】第2バスバーの一部を示す正面図である。
図15】第2バスバーを図14の矢印C方向から見た図である。
図16】第1バスバーを示す斜視図である。
図17】第1バスバーの一部を示す斜視図である。
図18】第1バスバーの一部を示す正面図である。
図19】第1バスバーを図18の矢印D方向から見た図である。
図20】積層された第1〜第4バスバーを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、3相交流モータを構成するステータ100を示す構成図である。
【0013】
ハウジング111に保持された円環状のステータコア112には、図示しないティースが内周側に突出するように多数形成されている。各ティースには、銅線が巻装されてU相コイル113、V相コイル114、W相コイル115が形成されている。
【0014】
ステータコア112には、全部で18個のU相コイル113、V相コイル114、W相コイル115が、ステータ100の周方向に沿って環状に配設される。2つで1組のU相コイル113、V相コイル114、W相コイル115は、ステータ100の周方向に120度間隔で3セット配設される。すなわち、隣接する2つのU相コイル113の隣には、隣接する2つのV相コイル114が配置され、さらにその隣には、隣接する2つのW相コイル115が配置される。
【0015】
U相コイル113、V相コイル114、W相コイル115は、各相の隣接するもの同士の巻線端末116が結線され、残る巻線端末117が後述するバスバーユニット1に接続される。
【0016】
図2は、バスバーユニット1を示す斜視図である。
【0017】
軸Oは、バスバーユニット1又はステータ100の中心軸である。以下の説明において、「軸方向」は軸Oが延在する方向、「径方向」は軸Oを中心とする放射方向、「周方向」は軸O回りの方向を意味する。
【0018】
バスバーユニット1は、ステータ100と軸Oについて同心状にステータ100の軸方向端部に設けられる。ステータ100は図2におけるバスバーユニット1の右上側に配置される。
【0019】
バスバーユニット1は、各相に対応する第1バスバー10、第2バスバー20、第3バスバー30と、中性点を電気的に接続する中性点用の第4バスバー40と、第1〜第4バスバー10、20、30、40を収容するとともに各バスバー10、20、30、40間を電気的に絶縁して所定位置に保持する絶縁性樹脂50と、から構成される。各バスバー10、20、30、40と絶縁性樹脂50とは、例えばインサート成形によって一体成形される。絶縁性樹脂50は、その外周から突出する複数のアーム51がステータ100の外周にある係合部(図示省略)に係合することにより、ステータ100に固定される。
【0020】
図3は、第1〜第4バスバー10、20、30、40を組み付け状態を示す斜視図である。
【0021】
バスバーユニット1は、W相コイル115に接続される第1バスバー10と、U相コイル113に接続される第2バスバー20と、V相コイル114に接続される第3バスバー30と、U相コイル113、V相コイル114及びW相コイル115のすべてに接続される中性点用の第4バスバー40と、を備える。
【0022】
第1〜第4バスバー10、20、30、40は、ステータ100の軸方向に沿って順に並ぶ。第1バスバー10は、ステータ100に対して最も遠い位置に設けられる。第4バスバー40は、ステータ100に対して最も近い位置に設けられる。
【0023】
第1〜第4バスバー10、20、30、40はそれぞれ、板厚方向がステータ100の軸方向に一致するようにステータ100の周方向に沿って延設する本体部11、21、31、41と、本体部11、21、31、41の外周からステータ100の径方向外側に突出する複数の突出部13、23、33(図8〜11参照)、43と、これらの突出部13、23、33、43から折り曲げられステータ100の軸方向及び径方向に延設する延設部14、24、34、44と、これらの延設部14、24、34、44の先端に設けられ各相コイル113、114、115の巻線端末117に接続する接続部18、28、38、48と、を有する。
【0024】
第1〜第4バスバー10、20、30、40は、平板状の導電素材から所定の形状に打ち抜かれた後に、延設部14、24、34、44が突出部13、23、33、43から折り曲げられる。
【0025】
本体部11、21、31、41は、その板厚方向がステータ100の軸方向に一致するようにステータ100の周方向に沿って延設する。つまり、本体部11、21、31、41の軸方向の厚みは導電素材の板厚であり、径方向の幅は導電素材の打ち抜き幅となる。
【0026】
W相に対応する第1バスバー10は、本体部11から絶縁性樹脂50の外部までステータ100の軸方向に延設されて外部配線に接続されるW相端子19を備える。U相に対応する第2バスバー20は、同様にU相端子29を備える。V相に対応する第3バスバー30は、同様にV相端子39を備える。バスバーユニット1は、図示しない電源から供給される電流を、外部端子としての各相端子19、29、39をそれぞれ介して、各相コイル113、114、115に供給する。
【0027】
図4は第4バスバー40を示す斜視図であり、図5は第4バスバー40の一部を示す斜視図であり、図6は第4バスバー40の一部を示す正面図であり、図7図6の矢印A方向から見た図である。
【0028】
延設部44は、クランク形に延びる帯状に形成され、ステータ100の軸方向(ステータ100から離れる方向)に延設する第1軸方向延設部45と、この第1軸方向延設部45からステータ100の径方向に延設する径方向延設部46と、を有する。第1軸方向延設部45及び径方向延設部46の打ち抜き幅は突出部43の打ち抜き幅と同等以上に形成され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0029】
延設部44の折り曲げ加工時に、治具(図示省略)に挟持された延設部44が、別の治具(図示省略)に挟持された突出部43に対して線R4を中心に折り曲げられる。
【0030】
第4バスバー40では、延設部44が本体部41の外周41Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部44を挟持する治具が本体部41に干渉することが回避される。
【0031】
延設部44は、突出部43からステータ100の径方向に延びる線R4に沿って直角に折り曲げられる。
【0032】
延設部44は、突出部43に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられ、接続部48が本体部41に対してステータ100の軸方向について遠ざかる方向にオフセットされる。
【0033】
接続部48は、径方向延設部46の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0034】
図8は第3バスバー30を示す斜視図であり、図9は第3バスバー30の一部を示す斜視図であり、図10は第3バスバー30の一部を示す正面図であり、図11図10の矢印B方向から見た図である。
【0035】
延設部34は、クランク形に延びる帯状に形成され、ステータ100の軸方向(ステータ100から離れる方向)に延設する第1軸方向延設部35と、この第1軸方向延設部35からステータ100の径方向に延設する径方向延設部36と、を有する。第1軸方向延設部35及び径方向延設部36の打ち抜き幅は突出部33の打ち抜き幅と同等以上に形成され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0036】
延設部34の折り曲げ加工時に、治具(図示省略)に挟持された延設部34が別の治具(図示省略)に挟持された突出部33に対して線R3を中心に折り曲げられる。
【0037】
第3バスバー30は、延設部34に沿って延びる本体部31の外周31Aがこれに隣接する外周部31Bより小さい外径を有し、延設部34が本体部31の外周31Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部34を挟持する治具が本体部31に干渉することが回避される。
【0038】
延設部34は、突出部33からステータ100の径方向に延びる線R3に沿って直角に折り曲げられる。
【0039】
延設部34は、突出部33に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられ、接続部38が本体部31に対してステータ100の軸方向について遠ざかる方向にオフセットされる。
【0040】
第3バスバー30と第4バスバー40では、ステータ100の軸方向に延設する第1軸方向延設部35の長さがステータ100の軸方向に延設する第1軸方向延設部45の長さに対して、本体部31と本体部41の間隔に本体部31の板厚を加えた長さだけ短く形成される。これにより、接続部38と接続部48がステータ100の軸方向について同じ位置に配置される。
【0041】
接続部38は、径方向延設部36の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0042】
図12は第2バスバー20を示す斜視図であり、図13は第2バスバー20の一部を示す斜視図であり、図14は第2バスバー20の一部を示す正面図であり、図15図14の矢印C方向から見た図である。
【0043】
延設部24は、クランク形に延びる帯状に形成され、ステータ100の軸方向(ステータ100に近づく方向)に延設する第1軸方向延設部25と、この第1軸方向延設部25からステータ100の径方向に延設する径方向延設部26と、第1軸方向延設部25が延設する反対側の径方向延設部26の端からであって、第1軸方向延設部25と平行方向(ステータ100から離れる方向)に延設する第2軸方向延設部27と、を有する。第1軸方向延設部25と径方向延設部26及び第2軸方向延設部27の打ち抜き幅は突出部23の打ち抜き幅と同等以上に形成され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0044】
延設部24の折り曲げ加工時に、治具(図示省略)に挟持された延設部24が別の治具(図示省略)に挟持された突出部23に対して線R2を中心に折り曲げられる。
【0045】
第2バスバー20では、延設部24に沿って延びる本体部21の外周21Aがこれに隣接する外周部21Bより小さい外径を有し、延設部24が本体部21の外周21Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部24を挟持する治具が本体部21に干渉することが回避される。
【0046】
延設部24は、突出部23からステータ100の径方向に延びる線R2に沿って直角に折り曲げられる。
【0047】
延設部24は、突出部23に対してステータ100に近づく方向に折り曲げられ、接続部28が本体部21に対してステータ100の軸方向について近づく方向にオフセットされる。
【0048】
接続部28は、径方向延設部26の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0049】
図16は第1バスバー10を示す斜視図であり、図17は第1バスバー10の一部を示す斜視図であり、図18は第1バスバー10の一部を示す正面図であり、図19図18の矢印D方向から見た図である。
【0050】
延設部14は、クランク形に延びる帯状に形成され、ステータ100の軸方向(ステータ100に近づく方向)に延設する第1軸方向延設部15と、この第1軸方向延設部15からステータ100の径方向に延設する径方向延設部16と、第1軸方向延設部15が延設する反対側の径方向延設部16の端からであって、第1軸方向延設部15と平行方向(ステータ100から離れる方向)に延設する第2軸方向延設部17と、を有する。第1軸方向延設部15と径方向延設部16及び第2軸方向延設部17の打ち抜き幅は突出部13の打ち抜き幅と同等以上に形成され、導電素材の断面積が十分に確保される。
【0051】
延設部14の折り曲げ加工時に、治具(図示省略)に挟持された延設部14が、別の治具(図示省略)に挟持された突出部13に対して線R1を中心に直角に折り曲げられる。
【0052】
第1バスバー10は、延設部14に沿って延びる本体部11の外周11Aがこれに隣接する外周部11Bより小さい外径を有し、延設部14が本体部11の外周11Aに対して間隙を持っている。これにより、折り曲げ加工時に、延設部14を挟持する治具が本体部11に干渉することが回避される。
【0053】
延設部14は、突出部13からステータ100の径方向に延びる線R1に沿って直角に折り曲げられる。
【0054】
延設部14は、突出部13に対してステータ100に近づく方向に折り曲げられる。第2軸方向延設部17は、第1軸方向延設部15に対してステータ100の軸方向に延設する長さが同等に設定される。これにより、接続部18が本体部11に対してステータ100の軸方向についてオフセットされる距離がゼロになるように設定される。
【0055】
第1バスバー10と第2バスバー20では、ステータ100の軸方向に延設する第1軸方向延設部15の長さがステータ100の軸方向に延設する第1軸方向延設部25の長さに対して、本体部11と本体部21の間隔に本体部21の板厚を加えた長さだけ長く形成される。これにより、接続部18と接続部28がステータ100の軸方向について同じ位置に配置される。
【0056】
接続部18は径方向延設部16の径方向先端から突出した部位であり、この部位がフック状に折り曲げられる。
【0057】
フック状の接続部18、28、38、48はそれぞれ、板厚方向に折り曲げられて各相コイル113、114、115の巻線端末117を結合される。
【0058】
なお、接続部18、28、38、48は、上述したようにフック状に折り曲げられる形状に限らず、他の形状としてもよい。
【0059】
図20は第1〜第4バスバー10、20、30、40を組み付け状態を示し、絶縁性樹脂50を省略した側面図である。
【0060】
第1〜第4バスバー10、20、30、40は、それぞれの接続部18、28、38、48がステータ100の軸方向について同じ位置に配置されるように形成される。接続部18、28、38、48に巻線端末117に結合するカシメ工程及び溶接工程が行われる。
【0061】
接続部18、28、38、48が本体部11、21とステータ100の軸方向について同じ位置に収まるように配置され、第1バスバー10と第4バスバー40との間に全ての接続部18、28、38、48が収まるので、バスバーユニット1を小型化できる。
【0062】
突出部13、23、33、43は、第1〜第4バスバー10、20、30、40の周方向に等間隔に積層された状態でインサート成形される。インサート成形は、金型(図示省略)に第1〜第4バスバー10、20、30、40を収容し、金型内に絶縁性樹脂50を注入して行われる。
【0063】
絶縁性樹脂50の硬化後に、金型から第1〜第4バスバー10、20、30、40と絶縁性樹脂50が結合したバスバーユニット1が取り外され、図2に示すバスバーユニット1が完成する。
【0064】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0065】
〔1〕ステータ100を構成する複数のコイルの巻線端末が接続される複数のバスバー10、20、30、40を備えるバスバーユニット1であって、複数のバスバー10、20、30、40は、板厚方向がステータ100の軸方向に一致するようにステータ100の周方向に沿って延設する本体部11、21、31、41と、本体部11、21、31、41の外周からステータ100の径方向外側に突出する突出部13、23、33、43と、突出部13、23、33、43から折り曲げられステータ100の軸方向及び径方向に延設する延設部14、24、34、44と、延設部14、24、34、44の先端に設けられコイルの巻線端末に接続する接続部18、28、38、48と、を備え、延設部14、24、34、44は、ステータ100の軸方向及び径方向に延設する長さによって接続部18、28、38、48の位置が決められる構成とした。
【0066】
つまり、延設部14、24、34、44がステータ100の軸方向に延設する長さを調整することにより、全ての接続部18、28、38、48をステータ100の軸方向について同じ位置に配置することが可能になる。これにより、例えば、各相コイル113、114、115の巻線端末117と接続部18、28、38、48とを専用の治具(溶接治具)を用いることなく接続させることが可能となり、製品のコストダウンが図れる。
【0067】
〔2〕複数のバスバー10、20、30、40は、当該複数のバスバー10、20、30、40のうち本体部11がステータ100から最も遠い位置に設けられるバスバー10では、延設部14が突出部13に対してステータ100に近づく方向に折り曲げられ、接続部18がステータ100の軸方向について所定位置に配置され、当該複数のバスバー10、20、30、40のうちステータ100に最も近い位置に設けられるバスバー40では、延設部44が突出部43に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられ、接続部48がステータの軸方向について所定位置に配置される構成とした。
【0068】
つまり、バスバー10、20、30、40は、突出部13、23、33、43から延設部14、24、34、44が折り曲げられる簡便な構造であり、延設部14、24、34、44がステータ100の軸方向に延設する長さを調整することにより、全ての接続部18、28、38、48をステータ100の軸方向について同じ位置に配置することが可能になる。これにより、例えば、各相コイル113、114、115の巻線端末117と接続部18、28、38、48とを専用の治具(溶接治具)を用いることなく接続させることが可能となり、製品のコストダウンが図れる。
【0069】
〔3〕第1〜第4のバスバー10、20、30、40を備えるバスバーユニット1であって、本体部11、21、31、41がステータ100に対して遠い位置から近づく方向に順に並ぶ第1〜第4のバスバー10、20、30、40を備え、第1、第2のバスバー10、20では、延設部14、24が突出部13、23に対してステータ100に近づく方向に折り曲げられ、第3、第4のバスバー30、40では、延設部34、44が突出部33、43に対してステータ100から離れる方向に折り曲げられる構成としたため、接続部18、28、38、48をステータ100の軸方向について同一位置に揃えることが可能となる。
【0070】
〔4〕延設部14、24、34、44が突出部13、23、33、43からステータ100の径方向に延びる線R1、R2、R3、R4に沿って折り曲げられることにより、延設部14、24、34、44がステータ100の軸方向及び径方向に延びる形状が得られる。これにより、延設部14、24、34、44がステータ100の軸方向に延設する長さとステータ100の径方向に延設する長さを調整することにより、全ての接続部18、28、38、48をステータ100の軸方向及び径方向について同じ条件の位置に配置することが可能になる。延設部14、24、34、44は、突出部13、23、33、43に対して1回の折り曲げにより形成され、従来のバスバーに比べて折り曲げ回数を削減し、構造の簡素化が図れ、製造時の工数を少なくすることができる。
【0071】
〔5〕延設部14、24、34、44は、突出部13、23、33、43から折り曲げられてステータ100の軸方向に延設する第1軸方向延設部15、25、35、45と、第1軸方向延設部15、25、35、45からステータ100の径方向に延設する径方向延設部16、26、36、46と、を有し、第1軸方向延設部15、25、35、45及び径方向延設部16、26、36、46によってクランク状に形成される。これにより、軸方向延設部15、25、35、45がステータ100の軸方向に延設する長さと、径方向延設部16、26、36、46がステータ100の径方向に延設する長さとを調整することにより、全ての接続部18、28、38、48をステータ100の軸方向及び径方向について同じ条件の位置に配置することが可能になる。
【0072】
〔6〕第1、第2バスバー10、20の延設部14、24は、第1軸方向延設部15、25が延設する反対側の径方向延設部16、26の端からステータ100の軸方向について第1軸方向延設部15、25と平行方向に延設する第2軸方向延設部17、27を有し、第1軸方向延設部15、25、径方向延設部16、26、及び第2軸方向延設部17、27によってクランク状に形成される。これにより、第1軸方向延設部15、25及び第2軸方向延設部17、27がステータ100の軸方向に延設する長さに応じて接続部18、28が本体部11、21に対して軸方向にオフセットされる距離がゼロになるように設定できる。
【0073】
〔7〕 接続部18、28、38、48は、それぞれ同一円周に配置される。これにより、同一円周に接続部18、28、38、48があるので、溶接するための治具が簡単に構成できるとともに、溶接による不良を低減することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、第1〜第4バスバー10、20、30、40が円環形状であるが、円弧状であってもよい。
【0076】
さらに、上記実施形態では、4種類のバスバー10、20、30、40を備える場合について例示したが、モータの種類に応じて3種以下又は5種以上のバスバーを備える構成としてもよい。
【0077】
さらに、上記実施形態では、18個のコイル113、114、115を有する3相交流モータを例示したが、コイルの個数はこれに限定されない。
【0078】
さらに、上記実施形態では、バスバーユニット1において第1〜第4バスバー10、20、30、40を第1バスバー10、第2バスバー20、第3バスバー30、第4バスバー40の順に配設したが、その他の並び順であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のバスバーユニットは、電力によって動力を発生するモータに限らず、動力によって電力を発生するジェネレータにも利用できる。
【符号の説明】
【0080】
1 バスバーユニット
10、20、30、40 バスバー
11 本体部
13、23、33、43 突出部
14、24、34、44 延設部
15、25、35、45 第1軸方向延設部
16、26、36、46 径方向延設部
17、27 第2軸方向延設部
18、28、38、48 接続部
100 ステータ
図1
図2
図3
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