【文献】
JANDACEK, R. J. et al.,PHYSICAL PROPATIES OF PURE SUCROSE OCTAESTERS,Chemistry and Physics of Lipids,1978年,Vol. 22,pp. 163-176
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照してフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルおよび化粧料の一実施形態を説明する。以下では、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの構成、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの状態、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの製造方法、化粧料の構成を順に説明する。
【0016】
[フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの構成]
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、フルクトオリゴ糖と脂肪酸とのエステルであり、下記化学式1に示される構造である。
【0018】
上記化学式1では、nがフルクトオリゴ糖を構成するフルクトース残基の個数を示し、Aがフルクトース残基の水酸基とエステル結合を形成した脂肪酸の残基あるいは水素を示している。フルクトオリゴ糖脂肪酸を構成するフルクトオリゴ糖の重合体がグルコースを含む場合には、Bが下記化学式2に示されるグルコース残基であり、フルクトオリゴ糖の重合体がグルコースを含まない場合には、Bは、Aと同様の脂肪酸の残基あるいは水素を示す。
【0020】
フルクトオリゴ糖は、フルクトースを主成分とするオリゴ糖であり、フルクトオリゴ糖の平均分子量(以下、分子量ともいう)は、300以上10000以下であることが好ましい。なお、平均分子量は、数平均分子量を示している。すなわち、フルクトオリゴ糖の重合度である「n+2」は、2以上61以下であることが好ましく、3以上であることが更に好ましい。フルクトオリゴ糖の結合様式は、β−2,1結合であってもよいし、β−2,6結合であってもよい。結合様式がβ−2,1結合であるフルクトオリゴ糖には、イヌリン、アスパラゴシン、アスホデラン、トリチカン、クリテザン、および、バクモンドウ等やこれらの多糖から生成されたフルクトオリゴ糖が含まれる。結合様式がβ−2,6結合であるフルクトオリゴ糖には、フレアン、レバン、および、セラカン等やこれらの多糖から生成されたフルクトオリゴ糖が含まれる。更に、フルクトオリゴ糖には、ショ糖を原料とし、ショ糖に含まれるフルクトースが酵素等による転移反応によって重合されたフルクトオリゴ糖も含まれる。
【0021】
脂肪酸は、一般式R
1COOHで示され、脂肪酸を構成する炭化水素基R
1には、炭素数が7以上11以下である直鎖のアルキル基、あるいは、炭素数が7以上17以下である分岐鎖アルキル基およびアルケニル基の少なくとも1つが用いられる。脂肪酸には、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、および、オレイン酸等の少なくとも1つが用いられる。
【0022】
フルクトオリゴ糖を構成する両末端以外のフルクトース残基の各々は、3つの水酸基を有し、3つの水酸基は、3位の炭素、4位の炭素、および、6位の炭素の各々に1つずつ結合している。各フルクトース残基は、最大で3つの脂肪酸とエステル結合を形成することができるため、フルクトース残基当たりにおける脂肪酸の置換度の最大値は3である。これに対し、フルクトオリゴ糖を構成する両末端の糖の各々は、4つの水酸基を有しているため、単糖当たりにおける脂肪酸の置換度の最大値は4である。
【0023】
フルクトース一分子当たりの置換率(以下、置換率ともいう)は、65%以上100%以下であることが好ましく、95%以上100%以下であることがより好ましく、フルクトオリゴ糖一分子に結合している水酸基の全てが置換されている、すなわち、置換率が100%であることが更に好ましい。置換率が65%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、25℃にて樹脂状または固体状である。95%以上100%以下である場合には、置換率が65%以上95%未満である場合と比べて、フルクトオリゴ糖一分子内に残った水酸基の数が少ない。そのため、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが肌へ塗布された場合に、使用者に与えられるべたつき感が抑えられる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成するフルクトオリゴ糖一分子当たりの脂肪酸の置換率は、エステル価と水酸基価を用いて以下の計算式により算出することができる。
置換率(%)=エステル価/(エステル価+水酸基価)×100
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの一例には、カプリル酸フルクトオリゴ糖、カプリン酸フルクトオリゴ糖、(カプリル/カプリン酸)フルクトオリゴ糖、ラウリン酸フルクトオリゴ糖、2−エチルヘキサン酸フルクトオリゴ糖、イソノナン酸フルクトオリゴ糖、イソステアリン酸フルクトオリゴ糖、(ラウリン酸/イソノナン酸)フルクトオリゴ糖が挙げられる。
【0024】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルがカプリル酸フルクトオリゴ糖である場合には、上記化学式1におけるAは、以下の化学式3に示されるカプリロイル基、あるいは、水素である。
【0026】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状であり、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが25℃にて液体状であるか否かは、以下の方法によって決定される。すなわち、まず、内径が30mmであり高さが120mmであるガラス製の有底円筒体に、底部からの高さが55mmである位置に標線としてのA線が付され、底部からの高さが85mmである位置に標線としてのB線が付される。そして、立たされた状態の円筒体に対して、25℃に温められたフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、A線まで供給される。次いで、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが供給された円筒体が、円筒体の外周面が高さ方向の全体にわたって水平な台に接する状態で、水平な台上に倒される。
【0027】
円筒体内のフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの一部が、円筒体が倒された時点から90秒以内にB線を越えた場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは液体状である。一方、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの全体が90秒以内にB線を越えない場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが樹脂状または固体状である。
【0028】
[フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの状態]
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの状態は、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの合成に用いられるフルクトオリゴ糖の平均分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの脂肪酸の置換率によって決まる。すなわち、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルでは、フルクトオリゴ糖の平均分子量が大きくなるほど、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの粘度が高くなり、脂肪酸の炭素数が大きくなるほど、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの粘度が高くなる。なお、こうした傾向は、脂肪酸が直鎖であっても分岐鎖であっても共通し、脂肪酸が直鎖の飽和脂肪酸であって、かつ、炭素数が14である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは他の条件に関わらず固体である。また、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルでは、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率が低いほど、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの粘度が高くなる。
【0029】
図1に示されるように、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が直鎖の飽和脂肪酸である場合には、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率が以下の範囲に含まれれば、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
【0030】
図1(a)に示されるように、300≦分子量M<1500であり、8≦炭素数C≦10、かつ、65%≦置換率T≦100%、および、炭素数C=12、かつ、75%≦置換率T≦100%によって区画される範囲が、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが25℃にて液体状である条件である。
【0031】
図1(b)に示されるように、1500≦分子量M<3000であり、炭素数C=8、かつ、65%≦置換率T≦100%、炭素数C=10、かつ、75%≦置換率T≦100%、および、炭素数C=12、かつ、85%≦置換率T≦100%によって区画される範囲が、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが25℃にて液体状である条件である。
【0032】
図1(c)に示されるように、3000≦分子量M<6000であり、炭素数C=8、かつ、65%≦置換率T≦100%、炭素数C=10、かつ、80%≦置換率T≦100%、および、炭素数C=12、かつ、87%≦置換率T≦100%によって区画される範囲が、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが25℃にて液体状である条件である。
【0033】
図1(d)に示されるように、6000≦分子量M≦10000であり、炭素数C=8、かつ、2.2≦置換率T≦100%、炭素数C=10、かつ、90%≦置換率T≦100%、および、炭素数C=12、かつ、93%≦置換率T≦100%によって区画される範囲が、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが25℃にて液体状である条件である。
【0034】
なお、例えば、以下に列記するフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
・カプリル酸フルクトオリゴ糖 分子量700 置換率95%
・ラウリン酸フルクトオリゴ糖 分子量700 置換率98%
・ラウリン酸フルクトオリゴ糖 分子量2000 置換率87%
・カプリル酸フルクトオリゴ糖 分子量8000 置換率85%
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が分岐鎖の飽和脂肪酸である場合には、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率が以下の範囲に含まれれば、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
・フルクトオリゴ糖の分子量M 300≦M≦10000
・脂肪酸の炭素数C 8≦C≦18
・脂肪酸の置換率T 65%≦T≦100%
なお、例えば、以下に列記するフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
・イソノナン酸フルクトオリゴ糖 分子量700 置換率75%
・イソパルミチン酸フルクトオリゴ糖 分子量700 置換率85%
・イソステアリン酸フルクトオリゴ糖 分子量2000 置換率80%
・2−エチルヘキサン酸フルクトオリゴ糖 分子量8000 置換率77%
また、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が直鎖の不飽和脂肪酸である場合には、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率が以下の範囲に含まれれば、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
・フルクトオリゴ糖の分子量M 300≦M≦10000
・脂肪酸の炭素数C 8≦C≦18
・脂肪酸の置換率T 65%≦T≦100%
なお、例えば、以下に列記するフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて液体状である。
・オレイン酸フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル 分子量8000 置換率75%
・パルミトレイン酸フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル 分子量2000 置換率90%
一方、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が直鎖の脂肪酸である場合には、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率が以下の範囲に含まれれば、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて固体状である。
【0035】
例えば、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが固体状である条件は、分子量Mが300≦分子量M<1500である場合には、炭素数C=12、かつ、65%≦置換率T<75%である。同条件は、分子量Mが1500≦分子量M<3000である場合には、炭素数C=10、かつ、65%≦置換率T<75%、および、炭素数C=12、かつ、65%≦置換率T<85%である。同条件は、分子量Mが3000≦分子量M<6000である場合には、炭素数C=10、かつ、65%≦置換率T<80%、および、炭素数C=12、かつ、65%≦置換率T<87%である。同条件は、分子量Mが6000≦分子量M≦10000である場合には、炭素数C=8、かつ、65%≦置換率T<2.2、炭素数C=10、かつ、65%≦置換率T<90%、および、炭素数C=12、かつ、65%≦置換率T<93%である。
【0036】
なお、例えば、以下に列記するフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて固体状である。
・ラウリン酸フルクトオリゴ糖 分子量700 置換率67%
・カプリン酸フルクトオリゴ糖 分子量4000 置換率75%
・カプリル酸フルクトオリゴ糖 分子量8000 置換率70%
・ラウリン酸フルクトオリゴ糖 分子量8000 置換率87%
なお、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が1種類である場合には、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率に関わらず、25℃にて液体状であれば3つの条件はどのような組み合わせでもよい。
【0037】
また、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が2種類以上の脂肪酸の混合物である場合にも、フルクトオリゴ糖の分子量、脂肪酸の炭素数、および、フルクトオリゴ糖一分子当たりの置換率に関わらず、25℃にて液体状であれば3つの条件はどのような組み合わせでもよい。例えば、脂肪酸の炭素数の異なる2種類の直鎖脂肪酸の組み合わせ、直鎖脂肪酸と分岐脂肪酸の組み合わせ、分岐脂肪酸と不飽和脂肪酸の組み合わせ、および、脂肪酸の炭素数の異なる2種類の分岐脂肪酸の組み合わせ等が挙げられる。
【0038】
[フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの製造方法]
フルクトオリゴ糖と脂肪酸とを反応させてフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを合成する方法には、例えば、以下の方法が用いられる。すなわち、脂肪酸、脂肪酸クロライド、あるいは、脂肪酸無水物が、塩基性触媒の存在下で、フルクトオリゴ糖と反応する方法が用いられる。
【0039】
[化粧料の構成]
化粧料は、上述したフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを含む、あるいは、上述した第1フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルとしてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルと、ゲル化剤または皮膜形成剤であるデキストリン脂肪酸エステル、および、ゲル化剤である第2フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルとしてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つとを含む。
【0040】
デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステルである。
デキストリンは、α−グルコースの重合体であり、デキストリンの平均分子量は、500以上20000以下であることが好ましい。デキストリンには、澱粉の加水分解物が用いられ、澱粉には、例えば、とうもろこし、小麦、米、甘藷、馬鈴薯、タピオカ、サゴ、緑豆、および、えんどう豆等から生成された澱粉が用いられる。あるいは、澱粉には、列記した植物以外から生成された澱粉が用いられる。なお、澱粉には、例えばアセチル化澱粉等の加工澱粉であっても、脂肪酸とのエステル化反応に影響しない程度に修飾率の低い加工澱粉であれば用いることができる。
【0041】
デキストリンの製造方法には、酵素処理法、酸処理法、アルカリ処理法、および、熱処理法等の公知の方法が用いられる。酵素処理法、例えば、α−アミラーゼ等の酵素を処理法では、酵素変性デキストリンとしてのマルチデキストリンが生成され、酸処理法であって、無機酸あるいは有機酸を用いる処理法では、酸分解デキストリンが生成される。熱処理法では、無酸あるいは酸の存在下で澱粉が焙焼され、焙焼デキストリンが生成される。また、熱処理法では、無酸あるいはアルカリの存在下で澱粉が焙焼され、ブリティッシュガムが生成される。
【0042】
脂肪酸は、一般式R
2COOHで示され、脂肪酸を構成する炭化水素基R
2には、炭素数が7以上21以下である直鎖のアルキル基およびアルケニル基、あるいは、炭素数が7以上21以下である分岐鎖のアルキル基およびアルケニル基の少なくとも1つが用いられる。脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、および、オレイン酸等の少なくとも1つが用いられる。
【0043】
デキストリンを構成するグルコース残基の各々も、3つの水酸基を有し、3つの水酸基は、2位の炭素、3位の炭素、および、6位の炭素の各々に1つずつ結合している。各グルコース残基は、最大で3つの脂肪酸とエステル結合を形成することができるため、グルコース残基当たりにおける脂肪酸の平均置換度(以下、置換度ともいう)の最大値は3である。グルコース残基当たりの置換度は、1.0以上3.0以下であることが好ましい。置換度が1.0未満である場合には、デキストリン脂肪酸エステルが油に溶けにくくなり、デキストリン脂肪酸エステルが油に混合された場合に、デキストリン脂肪酸エステルの溶け残りや析出が生じてしまう。
【0044】
デキストリン脂肪酸エステルの一例には、カプリル酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、(パルミチン酸/イソステアリン酸)デキストリン、および、イソステアリン酸デキストリンが挙げられる。
【0045】
デキストリン脂肪酸エステルは、25℃にて樹脂状あるいは固体状であり、液体状の油剤をゲル化する機能、若しくは、肌に塗布された場合に、肌上で皮膜を作ることによって、化粧を崩れにくくする機能を有している。
【0046】
デキストリンと脂肪酸とを反応させてデキストリン脂肪酸エステルを合成する方法には、上述したフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルと同様の方法が用いられる。
ゲル化剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、フルクトオリゴ糖と脂肪酸とのエステルであり、フルクトオリゴ糖の平均分子量は、300以上10000以下であることが好ましい。
【0047】
脂肪酸は、一般式R
3COOHで示され、脂肪酸を構成する炭化水素基R
3には、炭素数が7以上21以下である直鎖のアルキル基の少なくとも1つが用いられる。脂肪酸には、カプリル酸、カプリン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、および、ベヘン酸等の少なくとも1つが用いられる。
【0048】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを構成するフルクトオリゴ糖一分子当たりにおける脂肪酸の置換率は、65%以上100%以下であることが好ましい。置換率が65%未満である場合には、油との相溶性が低下し、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが油に混合された場合に、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの溶け残りや析出が生じてしまう。
【0049】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの一例には、カプリル酸フルクトオリゴ糖、ミリスチン酸フルクトオリゴ糖、パルミチン酸フルクトオリゴ糖、ステアリン酸フルクトオリゴ糖、ベヘン酸フルクトオリゴ糖、(パルミチン酸/ステアリン酸)フルクトオリゴ糖、および、(ステアリン酸/ベヘン酸)フルクトオリゴ糖が挙げられる。
【0050】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、25℃にて固体状であり、液体状の油剤をゲル化する機能を有している。
フルクトオリゴ糖と脂肪酸とを反応させてフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを合成する方法には、上述した油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルと同様の方法が用いられる。
【0051】
化粧料では、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.1質量%以上99.8質量%(以下、wt%)以下の範囲で含まれることが好ましい。油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含まれる量が0.1%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルによる上述したべたつきの抑えられた感触が使用者には感じられず、肌への付着性も低くなる。あるいは、化粧料がゲル化剤あるいは皮膜形成剤としてのデキストリン脂肪酸エステル、および、ゲル化剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの少なくとも1つを含む場合には、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上90wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。
【0052】
化粧料では、ゲル化剤あるいは皮膜形成剤としてのデキストリン脂肪酸エステル、および、同じくゲル化剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、総量で0.5wt%以上30wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。総量が0.5%未満である場合には、化粧料に与えられる粘度が、化粧料に含まれる粉体の肌に対する付着性が十分に得られない程度に小さくなり、化粧料が肌から垂れ落ちやすくなる。一方、総量が30%を越える場合には、化粧料の粘度が、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルのべたつきの抑えられた感触が使用者に感じられない程度に高められる、若しくは、化粧料の粘度が、使用者による肌への塗り拡げが難しくなる程度に高くなる。
【0053】
化粧料には、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステル、ゲル化剤あるいは皮膜形成剤としてのデキストリン脂肪酸エステル、および、同じくゲル化剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステル以外にも、油剤であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの効果が得られる範囲で以下の物質が含まれていてもよい。すなわち、化粧料には、例えば、油剤、界面活性剤、アルコール類、水、保湿剤、エモリエント剤、ゲル化剤及び増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等が含まれてもよい。
【0054】
油剤としては、特に限定されず、固形油、半固形油、液状油等が挙げられ、天然動植物油及び半合成油、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、高級アルコール、高級脂肪酸、有機溶剤等が例示される。
【0055】
固形油としては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、セラックロウ、硬化油等の天然ロウ類、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等の鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等の合成ワックス、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール、ステアリン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸等を例示することができる。
【0056】
液状油で、天然動植物油及び半合成油としては、具体的にアボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カヤ油、肝油、キョウニン油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、シナギリ油、シナモン油、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、綿実油、ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
【0057】
炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
エステル油としては、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、2−エチルヘキサン酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等が挙げられる。
【0058】
グリセライド油としては、アセトグリセライド、(カプリル酸/カプロン酸)グリセライド、トリイソステアリン酸グリセライド、トリイソパルミチン酸グリセライド、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセライド、モノステアリン酸グリセライド、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、トリミリスチン酸グリセライド等が挙げられる。
【0059】
シリコーン油としては、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0060】
高級アルコールとしてはオレイルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられる。
高級脂肪酸としてはオレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
【0061】
界面活性剤としては通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、いずれも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
【0063】
カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N−アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
【0064】
非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、アルキルグリコシド、フラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0065】
両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N−[3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0066】
アルコール類として、具体的にはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール等の多価アルコール、ソルビトール、マルトース、キシリトール、マルチトール等の糖アルコール等が挙げられる。
【0067】
保湿剤としては尿素、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩等が挙げられる。
エモリエント剤としては天然動植物油、脂肪酸エステル、ラノリン及びその誘導体、高級アルコール、炭化水素油、リン脂質、脂肪酸類などが挙げられる。
【0068】
水系増粘剤、ゲル化剤としてはアラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード(マルメロ)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、アルゲコロイド、トラントガム、ローカストビーンガム等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系増粘剤、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等がある。また、この中には、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の皮膜形成剤も含まれる。
【0069】
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、パルミチン酸ショ糖エステル、ステアリン酸ショ糖エステル等の脂肪酸ショ糖エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
【0070】
粉体としては、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等が挙げられ、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれも使用することができる。
【0071】
無機粉体として、具体的には酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ、塩化ナトリウム等が挙げられる。
【0072】
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン、疎水化処理デンプン、表面処理デンプン等が挙げられる。
【0073】
金属石鹸粉末(界面活性剤金属塩粉末)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の各粉末が挙げられる。
【0074】
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
【0075】
パール顔料としては酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられ、また、金属粉末としてはアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
【0076】
タール色素としては赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられ、天然色素としてはカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
【0077】
上記の粉体はそのまま使用しても良くもしくは、上記粉体を複合化し、油剤やシリコーン、フッ素化合物等で表面処理を行って使用しても良い。上記粉体は必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
紫外線吸収剤としてはパラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0079】
紫外線散乱剤としては酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。
防腐剤、抗菌剤としてはパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、感光素、イソプロピルメチルフェノール等が挙げられる。
【0080】
酸化防止剤としてはトコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等、pH調整剤としては乳酸、乳酸塩、クエン酸、クエン酸塩、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等、キレート剤としてはアラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン等、清涼剤としてはL−メントール、カンファ、薄荷油、ペパーミント油、ユーカリ油等、抗炎症剤としてはアラントイン、グリチルレチン酸塩、グリチルレチン誘導体、トラネキサム酸、アズレン等がそれぞれ挙げられる。
【0081】
美肌用成分としてはアルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0082】
ビタミン類としてはビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート等のビタミンB6類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、dl−α−トコフェロール−L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンP、ビオチン等が挙げられる。
【0083】
アミノ酸類としてはアルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、アラニン、グリシン、プロリン等、核酸としてはデオキシリボ核酸等、ホルモンとしてはエストラジオール、エチニルエストラジオール等が挙げられる。
【0084】
リン脂質類としては、レシチン、水素添加レシチン、ジパルミトイルホスファチジルコリン等のホスファチジルコリン類等が挙げられる。
セラミド類としては、N−アシル化フィトスフィンゴシン、N−アシル化スフィンゴイド等が挙げられる。
【0085】
[製法例]
[製法例1]
32.4g(フルクトース残基に換算して0.2mol)のバクモンドウエキスパウダー(一丸ファルコス株式会社製)に、76gのジメチルホルムアミドと、76g(0.96mol)のピリジンを加えて60℃に加熱し、溶液を撹拌することによって溶質を溶解した。溶液に対して、175g(0.8molであり、フルクトース残基の4倍量)のラウリン酸クロライドを60分間で滴下し、滴下の後に60分間にわたって溶液を撹拌した。
【0086】
フルクトオリゴ糖と脂肪酸との反応液をメタノールと水とを9対1で混合した200mlの溶液に加え、撹拌した後に静置し、デカンテーションによって上層を除去した。反応液をメタノールと水との混合液中に加えてデカンテーションを行う操作を3回繰り返した後、溶液を100℃にて減圧乾燥することによって、130gの25℃にて液体状であるフルクトオリゴ糖ラウリン酸エステル(試料1)を得た。フルクトオリゴ糖ラウリン酸エステルにおける脂肪酸の置換率をエステル価および水酸基価を用いて算出したところ、置換率は97%であることが認められた。
【0087】
[製法例2]
フルクトオリゴ糖として、平均分子量が約600であるチコリ由来のフルクトオリゴ糖(ラフティローズP−95、ベネオ社製)を27g用い、脂肪酸としてカプリル酸クロライドを120g用いる以外は、製法例1と同様の操作を行った。これにより、92gの25℃にて液体状であるチコリに由来するフルクトオリゴ糖カプリン酸エステル(試料2)を得た。フルクトオリゴ糖カプリン酸エステルにおける脂肪酸の置換率をエステル価および水酸基価を用いて算出したところ、置換率は、100%であることが認められた。
【0088】
[製法例3]
34gの平均分子量が約2600であるフルクトオリゴ糖、60gのカプリン酸クロライド、および、160gのイソパルミチン酸クロライドを用いる以外は製法例3と同様の操作を行った。これにより、150gの25℃にて液体状であるフルクトオリゴ糖(カプリン酸/イソパルミチン酸)エステル(試料3)を得た。フルクトオリゴ糖(カプリン酸/イソパルミチン酸)エステルにおける脂肪酸の置換率をエステル価および水酸基価を用いて算出したところ、100%であることが認められた。
【0089】
[製法例4]
フルクトオリゴ糖としてメイオリゴP(株式会社明治製)を34g用い、脂肪酸としてイソノナン酸クロライドを100g用いる以外は、製法例1と同様の操作を行った。これにより、34gの25℃にて液体状であるフルクトオリゴ糖イソノナン酸エステル(試料4)を得た。フルクトオリゴ糖イソノナン酸エステルにおける脂肪酸の置換率をエステル価および水酸基価を用いて算出したところ、75%であることが認められた。
【0090】
[製法例5]
22gの平均分子量が約2400であるチコリ由来のイヌリンに、100gの3−メチルピリジンを加え、50℃に加熱した状態で撹拌して、イヌリンを溶解した。イヌリンの溶解液に140gのイソステアリン酸クロライドを20分間で滴下し、滴下の後に2時間、溶液を撹拌した。フルクトオリゴ糖と脂肪酸との反応液をメタノールと水とを1対1で混合した300mlの溶液に加え、撹拌した後に静置し、デカンテーションによって上層を除去した。反応液をメタノールと水との混合液中に加えてデカンデーションを行う操作を3回繰り返した後、溶液を100℃にて減圧乾燥することによって、110gの25℃にて液体状であるイヌリンイソステアリン酸エステル(試料5)を得た。イヌリンイソステアリン酸エステルにおける脂肪酸の置換率をエステル価および水酸基価から算出したところ、85%であることが認められた。
【0091】
[実施例]
[実施例1 フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル]
上述の試料1から試料5について、20人のモニターが、2つの項目である肌に塗布したときのべたつきのなさ、および、付着性を評価した。評価は、良い(5点)、やや良い(4点)、普通(3点)、やや悪い(2点)、および、悪い(1点)の5段階とし、各項目の平均点を算出した。
【0093】
表1に示されるように、試料1から試料3では、モニターにはべたつきが最も感じられず、また、肌に対する付着性も最も高いことが認められた。これに対し、試料3および試料4では、肌に対する付着性はよいものの、試料1から試料3に比べて、モニターにはべたつきが感じられることが認められた。つまり、表1に示されるように、フルクトオリゴ糖一分子当たりの脂肪酸の置換率が高いほど、特に、置換率が95%以上である場合に、べたつきが少なく付着性に優れていることが認められた。
【0094】
[実施例2 O/Wクリーム]
上述の試料2を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりO/Wクリームを作成した。O/Wクリームを作成するときには、まず、油相成分である成分(1)から成分(11)を混合して90℃に加熱することによって混合液を作成した。そして、混合液に対して、予め混合した後加熱によって溶解した水相成分である成分(12)から成分(15)を加えて乳化した。次いで、予め混合した成分(16)と成分(17)を加えて均一に混合した。
【0095】
成分 wt%
(1)試料2 5.0
(2)スクワラン 7.0
(3)ホホバ油 3.0
(4)パルミチン酸エチルヘキシル 5.0
(5)ステアリン酸 0.5
(6)ベヘニルアルコール 2.2
(7)ステアリン酸グリセリル(SE) 1.1
(8)セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
(9)ステアリン酸ポリグリセリル−10 1.2
(10)ジメチコン 0.1
(11)トコフェロール 0.1
(12)ブチレングリコール 8.0
(13)グリセリン 8.0
(14)1wt%水酸化ナトリウム水溶液 9.0
(15)水 31.3
(16)1wt%カルボキシビニルポリマー水溶液 16.0
(17)2wt%キサンタンガム水溶液 2.0
[実施例3 口紅]
上述の試料3を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により口紅を作成した。口紅を作成するときには、成分(1)から成分(10)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、混合液を冷却することによって固形状の口紅を得た。
【0096】
成分 wt%
(1)試料4 30.0
(2)リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
(3)トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 26.0
(4)ジフェニルジメチコン 3.0
(5)ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル 15.0
(6)キャンデリラワックス 3.0
(7)ポリエチレンワックス 2.0
(8)マイクロクリスタリンワックス 4.0
(9)セレシン 7.0
(10)色材ベース 8.0
[実施例4 アイシャドー]
上述の試料1を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりアイシャドーを作成した。アイシャドーを作成するときには、成分(1)から成分(4)を混合して混合液1を作成した。一方、予め成分(5)から成分(9)を混合して混合物2を作成した。混合液1に混合物2を加えて混合した後、圧縮成型することによって固形状のアイシャドーを得た。
【0097】
成分 wt%
(1)試料1 6.0
(2)イソノナン酸イソトリデシル 1.0
(3)ジフェニルジメチコン 1.0
(4)セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
(5)タルク 45.0
(6)マイカ 15.0
(7)セリサイト 5.0
(8)顔料 15.0
(9)パール顔料 10.0
[実施例5 美容オイル]
上述の試料1と試料2とを用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により美容オイルを作成した。美容オイルを作成するときには、成分(1)から成分(3)を均一に混合した。
【0098】
成分 wt%
(1)試料1 38.0
(2)試料2 60.0
(3)テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 2.0
実施例5の美容オイルでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.1wt%以上99.8wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.1wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルによるべたつきのなさや、肌に対する付着性のよさが得られなくなる。一方、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が99.8wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が増える分だけ、美容成分である例えばテトラヘキシルデカン酸アスコルビルの配合量が減らされる。
【0099】
なお、実施例2から実施例5によれば、フルクトオリゴ糖一分子当たりの脂肪酸の置換率が95%未満であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを成分(1)として用いた場合と比べて、べたつきが少なく付着性に優れていることが認められた。
【0100】
[実施例6 フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル組成物]
上述の試料1から試料5、油剤である流動パラフィン、および、ゲル化剤としてのデキストリン脂肪酸エステルの1つであるパルミチン酸デキストリンを以下の割合で混合して組成物1から組成物5を作成した。また、比較例として、試料を含まない比較例1と、パルミチン酸デキストリンを含まない比較例2とを作成した。そして、20人のモニターによって、各組成物および各比較例を肌に塗ったときの以下の項目を評価し、各項目の平均値を算出した。
【0101】
[組成物1から組成物5]
・試料1から試料5のいずれか 30wt%
・流動パラフィン 66wt%
・パルミチン酸デキストリン 4wt%
[比較例1]
・流動パラフィン 96wt%
・パルミチン酸デキストリン 4wt%
[比較例2]
・試料1 30wt%
・流動パラフィン 70wt%
評価した項目は、指に取ったときや肌に塗布するときに指から垂れ落ちない、および、肌への塗り拡げやすさ等としての塗りやすさ(A)、塗布するときの感触としての使用感の良さ(B)、および、肌に浸み込むような感触としての肌への付着性(C)の3つの項目である。各項目に対する評価は、良い(5点)、やや良い(4点)、普通(3点)、やや悪い(2点)、および、悪い(1点)の5段階とした。そして、各項目の平均点が4.5点を超える場合を非常に良好であることを示す「◎」とし、3.5点を超えかつ4.5点以下である場合を良好であることを示す「○」とした。平均点が1点を超えかつ3.5点以下である場合をやや不良であることを示す「△」とし、1点以下である場合を不良であることを示す「×」とした。
【0102】
組成物1から組成物5、比較例1、および、比較例2の評価の結果を以下の表2に示す。
【0104】
表2に示されるように、試料を含まない比較例1は、パルミチン酸デキストリンの機能によってゲル状になるために、塗りやすさ(A)が良好ではあることが認められた。試料1から試料5のいずれかを含む組成物1から組成物5によれば、比較例1と比べて、使用感(B)、および、肌への付着性(C)が高められていることが認められた。また、パルミチン酸デキストリンを含まない比較例2と比べて、パルミチン酸デキストリンを含む組成物1から組成物5は、塗りやすさ(A)、使用感(B)、および、肌への付着性(C)の全てが高められていることが認められた。
【0105】
[実施例7 液状口紅]
上述の試料2、試料3、および、試料5のいずれかと、皮膜形成剤としてのイソステアリン酸デキストリン、あるいは、ゲル化剤としてのステアリン酸フルクトオリゴ糖とを含む液状口紅を作成した。また、比較例3として油剤であるリンゴ酸ジイソステアリルと、皮膜形成剤としてのイソステアリン酸デキストリンとを含む液状口紅を作成した。なお、実施例および比較例のいずれもが、油剤、例えば、表3に示される成分(8)および成分(9)と、粉体、例えば、同じく表3に示される成分(10)から成分(13)の顔料とを含んでいる。
【0106】
実施例の液状口紅と比較例の液状口紅とについて、上述した実施例2と同様の方法で以下の4つの項目を評価した。すなわち、唇への密着感(A)、および、上下の唇を合わせたときのべたつきがないことを示すべたつきのなさ(B)を評価した。加えて、時間の経過とともに唇がつっぱる感じがないことを示す経時的なつっぱり感のなさ(C)、および、液状口紅の持ち、例えば、カップ等への付着による剥がれのなさ(D)を評価した。
【0107】
液状口紅は、以下の方法で作成した。すなわち、油剤である成分(8)に対してゲル化剤である成分(5)から成分(7)のいずれかを混合し、混合液を90℃に加熱することによって成分(5)から成分(7)のいずれかを溶解した。その後、溶解液に対して、油剤である成分(1)から成分(4)のいずれか、油剤である成分(9)、粉体である成分(10)から成分(12)、および、予め混合して粉砕した粉体である成分(13)を添加して均一に混合した。
【0108】
実施例の液状口紅と比較例の液状口紅に対する評価の結果を下記の表3に示す。
【0110】
表3に示されるように、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを油剤として用いた実施例の液状口紅によれば、リンゴ酸ジイソステアリルを油剤として用いた比較例の液状口紅と比べて、液状口紅のべたつきが抑えられることが認められた。また、実施例の中でも、べたつきが抑えられる効果は、液状口紅1および液状口紅2が最も高く、液状口紅3が最も低いことが認められた。更に、実施例の液状口紅によれば、比較例の液状口紅と比べて、唇への密着性、ひいては、液状口紅の剥がれにくさが高められることが認められた。
【0111】
なお、液状口紅においては、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5質量%以上90質量%以下の範囲で含まれていることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、唇への密着感、ひいては、唇に対する付着性が得られにくくなる。一方、含有量が90wt%を超える場合には、揮発性の油剤であるイソデカンが揮発したとしても、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が多いために、唇上に残った成分の密着性が高められにくくなり、結果として、経時的な安定性が得られにくくなる。
【0112】
また、液状口紅においては、ゲル化剤または皮膜形成剤としてのデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下であることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、液状口紅のゲル化が不十分であるために、唇に塗布された状態が安定に保たれにくくなる。一方、ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、液状口紅の粘度が高くなるために、唇に形成された液状口紅の膜に凹凸が形成されやすくなる。
【0113】
[実施例8 リップグロス]
上述の試料2を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりリップグロスを作成した。リップグロスを作成するときには、まず、成分(2)と成分(3)と成分(1)の一部とを混合して90℃に加熱しながら、油剤である成分(1)と成分(2)に対して成分(3)を溶解した。そして、成分(1)から成分(3)の混合液に対して、成分(1)の残り、成分(4)、および、成分(5)を加えて混合した。
【0114】
成分 wt%
(1)試料2 70.0
(2)ミリスチン酸デキストリン 10.0
(3)イソノナン酸イソニル 7.0
(4)水添ポリイソブテン 12.0
(5)色材 1.0
実施例8のリップグロスによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、べたつきが抑えられることが認められた。また、ゲル化剤としてデキストリン脂肪酸エステルを用いているため、ゲル化剤であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを用いる場合と比べて、リップグロスが白濁することを抑え、より透明度を高くすることができ、結果として、口紅に塗布したときの艶も高められることが認められた。
【0115】
なお、リップグロスにおいては、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5%以上90%以下の範囲で含まれていることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、他の油剤である水添ポリイソブテン等のべたつきがフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルのべたつきのなさに優るため、使用者にはべたつきが感じられる。
【0116】
ここで、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルには、リップグロスに艶を付与する機能も有するため、水添ポリイソブテンに代えてフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを用いることによって、リップグロスの艶を保ちつつ、べたつきを抑えることができる。ただし、リップグロスに艶を付与する効果は、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルに比べて水添ポリイソブテンの方が高いため、リップグロスの艶を保つ上では、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、90wt%以下に抑えることが好ましい。
【0117】
つまり、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が90wt%を超える場合には、その分だけ油剤である水添ポリイソブテンの添加量が小さくなるため、水添ポリイソブテンによる艶が得られにくくなる。
【0118】
また、リップグロスにおいては、ゲル化剤としてのデキストリン脂肪酸エステルとフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルとの総量が、0.5wt%以上20wt%以下であることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、唇から垂れ落ちてしまう程度にリップグロスの粘度が低くなり、一方、ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、リップグロスの粘度が高いために、使用者による唇への塗布が行いにくくなる。
【0119】
[実施例9 油性クレンジングオイルジェル]
上述の試料3を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により油性クレンジングオイルジェルを作成した。油性クレンジングオイルジェルを作成するときには、まず、成分(2)から成分(5)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、混合液に、成分(1)、成分(6)、および、成分(7)を添加して、これらを均一に混合した。次いで、成分(1)から成分(7)の混合液に成分(8)を少量ずつ攪拌しながら添加し、成分(1)から成分(8)の混合液を撹拌しながら室温まで冷却した。
【0120】
成分 wt%
(1)試料3 2.0
(2)(パルミチン酸/エチルへキサン酸)デキストリン 3.0
(3)イソノナン酸イソトリデシル 8.0
(4)エチルヘキサン酸セチル 51.0
(5)パルミチン酸エチルヘキシル 10.0
(6)ジオレイン酸ポリグリセリル−10 14.0
(7)セスキカプリル酸ポリグリセリル−2 6.0
(8)水 6.0
実施例9の油性クレンジングオイルジェルによれば、油剤としてミネラルオイルを用いた場合と比べて、使用者によって肌に塗布されたときに、べたつきのない感触、すなわち、しっとりした感触や滑りのよさを使用者に与えられることが認められた。また、ゲル化剤である(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)エステルによって粘度が付与されているため、ゲル化剤が含まれない構成と比べて、使用性が良好であることも認められた。
【0121】
油性クレンジングオイルジェルには、化粧料を落とす機能が求められるため、肌から化粧料を剥がすための界面活性剤、および、界面活性剤と化粧料とを反応させる上で化粧料を溶解させるための油剤が含まれることが必要である。例えば、上記配合例では、成分(6)および成分(7)が界面活性剤であり、成分(3)から成分(5)が油剤である。
【0122】
また、油性クレンジングオイルジェルでは、油性クレンジングオイルジェルが肌に塗布された状態で、使用者が肌の上で指等を動かしたときに、使用者に対して上述のようなしっとりした感触や滑りのよい感触を与えることが好ましい。
【0123】
この点で、油性クレンジングオイルジェルには、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上90wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルによる感触が得られにくくなる。一方、含有量が90wt%を超える場合には、その分、界面活性剤や化粧料を溶解させる油剤の分量が少なくなるために、油性クレンジングオイルジェルの洗浄力が低くなりやすい。
【0124】
また、油性クレンジングオイルジェルでは、ゲル化剤としてのデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上30wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。ゲル化剤がこうした範囲で含まれることによって、油性クレンジングオイルジェルが肌に塗布されたときに、肌から油性クレンジングオイルジェルが垂れ落ちることを抑えられる。一方、ゲル化剤の総量が30wt%を超える場合には、油性クレンジングオイルジェルの粘度が、肌に対して油性クレンジングオイルジェルが塗布されにくくなる程度に高くなる。
【0125】
[実施例10 口紅]
上述の試料4を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により口紅を作成した。口紅を作成するときには、まず、成分(2)から成分(8)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した後、成分(1)、成分(9)、および、成分(10)を加えた。そして、成分(1)から成分(10)を均一に混合した混合液を作成し、混合液を冷却することによって固形状の口紅を得た。
【0126】
成分 wt%
(1)試料4 30.0
(2)イソステアリン酸デキストリン 10.0
(3)ステアリン酸イヌリン 7.0
(4)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 10.0
(5)ホホバ油 10.0
(6)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 10.0
(7)キャンデリラロウ 9.0
(8)カルナウバワックス 4.0
(9)色材ベース 8.0
(10)パール剤 2.0
実施例10の口紅は、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、べたつきがない、すなわち、使用者に対して軽い感触を与えることが認められた。加えて、実施例10の口紅は、唇に対する付着性が高められるために、使用者が唇に塗布したときにしっとりした感触を与えることが認められた。
【0127】
なお、口紅では、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上80wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、唇に対する付着性が得られにくくなる。
【0128】
口紅には、例えば、上記成分(7)および成分(8)等のワックスが含まれることにより、口紅が固形状に保たれ、口紅の硬度が高いほど、口紅の形状が保たれやすくなる。固形状の口紅に対して、粉体、例えば、上記成分(9)および成分(10)のような顔料を分散させるためには、口紅には、例えば、成分(4)から成分(6)等のように、ワックスとの相溶性が高い油剤が含まれていることが好ましい。
【0129】
ここで、本願発明者らは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルには、ワックスと、ワックスとの相溶性が高い油剤との混合油に添加されたときに、混合油の硬度を高める機能があることを見出した。そのため、油剤としてフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルを用いることで、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルに比べて、口紅の艶を低くするワックスの分量を減らすことで口紅の艶を高めながらも、口紅の硬度を保つことができる。ただし、口紅の硬度を高める効果は、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルに比べて、ワックスの方が高いため、口紅の硬度を保つ上では、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、80wt%以下に抑えることが好ましい。
【0130】
フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが80wt%を超える場合には、口紅の形を保つためのワックス、もしくは、ワックスとの相溶性が高い油剤の少なくとも一方の分量を減らす必要がある。そのため、口紅の形を保ちにくくなったり、顔料の分散性が低くなるために口紅の発色性が低くなったりする。なお、ワックスおよび油剤の分量を減らさなかったとしても、口紅を着色する顔料の分量を減らさなければならないため、口紅の発色性が低くなってしまう。
【0131】
口紅では、ゲル化剤としてのデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上30wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。ゲル化剤の総量が上述の範囲である場合には、ゲル化剤によって口紅の粘度が高められることで、唇に付着しやすくなる。加えて、ゲル化剤の有する顔料を分散する機能によって、口紅において顔料がより均一に分散されるため、口紅の艶や発色が高められる。一方、ゲル化剤の総量が30wt%を超える場合には、口紅の粘度が、使用者がべたつきを感じる程度に高くなってしまう。
【0132】
[実施例11 パウダーファンデーション]
上述の試料5を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりパウダーファンデーションを作成した。パウダーファンデーションを作成するときには、まず、成分(2)から成分(4)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、成分(1)、成分(5)、および、予め混合して粉砕した成分(6)から成分(12)を混合物に加えて冷却した後、固体状の混合物をミル機によって粉砕した。ミル機によって得られた粉体に対してプレス機を用いて圧力を加えることによって、ペレット状のパウダーファンデーションを得た。
【0133】
成分 wt%
(1)試料5 1.0
(2)スクワラン 3.0
(3)ワセリン 1.0
(4)(パルミチン酸/ステアリン酸)デキストリン 1.0
(5)(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 4.0
(6)オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム 9.0
(7)セリサイト 28.8
(8)硫酸バリウム 6.0
(9)シリコーン処理顔料 10.7
(10)シリコーン処理タルク 30.0
(11)窒化ホウ素 4.0
(12)ミリスチン酸亜鉛 1.5
実施例11のパウダーファンデーションは、油剤としてスクワランを用いた場合と比べて、肌に対する付着性が高められるにもかかわらず、肌に塗布されたときに使用者に対してべたつきを感じさせないことが認められた。また、実施例7のパウダーファンデーションによれば、同じくスクワランを用いた場合と比べて、使用者に対してパウダーファンデーションを肌に塗布するときに、心地よく感じる程度の重さであるリッチな感触を与えることも認められた。
【0134】
なお、パウダーファンデーションでは、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上10wt%以下の範囲で含まれていることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。一方、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が10wt%を超える場合には、パウダーファンデーションが固形状の粉体ではなく、粘度の高い液状体になるため、粉体である成分(6)から成分(12)によるさらさらした感触が使用者に与えられにくくなる。
【0135】
パウダーファンデーションでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルとフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上5wt%以下であることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、0.5wt%以上である場合と比べて、パウダーファンデーションが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が5wt%を超える場合には、ゲル化剤が5wt%以下である場合と比べて、パウダーファンデーションは、肌に塗布されたときに使用者に対してべたつき感を与えやすくなる。
【0136】
[実施例12 油性ファンデーション]
上述の試料5を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により油性ファンデーションを作成した。油性ファンデーションを作成するときには、まず、成分(2)から成分(4)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、成分(1)、および、成分(5)から成分(8)を混合物に加えて冷却した後、固体状の混合物をミル機によって粉砕した。粉砕した混合物を80℃に加熱した後、混合物を容器に充填して油性ファンデーションを得た。
【0137】
成分 wt%
(1)試料5 20.0
(2)ステアリン酸イヌリン 1.5
(3)パルミチン酸デキストリン 4.5
(4)ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 31.0
(5)カオリン 10.7
(6)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 10.0
(7)酸化チタン 20.0
(8)酸化鉄、赤、黄、黒 2.3
実施例12の油性ファンデーションは、油剤としてジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを用いた場合と比べて、肌に対する付着性が高められるにもかかわらず、肌に塗布されたときに使用者に対してべたつきを感じさせないことが認められた。また、実施例8の油性ファンデーションによれば、同じくジフェニルシロキシフェニルトリメチコンを用いた場合と比べて、使用者に対してリッチな感触を与えることも認められた。
【0138】
なお、油性ファンデーションでは、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上80wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する密着感が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が80wt%を超える場合には、粉体である成分(5)から成分(8)が、十分に発色するだけの量で配合されなくなる。
【0139】
油性ファンデーションでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、1.0wt%以上30wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が1.0wt%未満である場合には、油性ファンデーションが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が30wt%を超える場合には、油性ファンデーションの粘度が使用しにくくなる程度に高くなる。
【0140】
[実施例13 O/W乳化型ファンデーション]
上述の試料4を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりO/W乳化型ファンデーションを作成した。O/W乳化型ファンデーションを作成するときには、まず、油相成分である成分(1)から(11)を混合して90℃に加熱し、予め混合し加熱溶解した水相成分である成分(12)から成分(16)と、水相成分である成分(17)の一部とを加えて乳化した。次いで、予め混合した(17)の残りと(18)から(21)を乳化液に加えて均一に混合した。
【0141】
成分 wt%
(1)試料4 8.0
(2)パルミチン酸デキストリン 1.0
(3)イソステアリン酸デキストリン 0.5
(4)ステアリン酸 1.0
(5)ステアリン酸グリセリル 0.5
(6)ベヘニルアルコール 1.0
(7)ポリソルベート80 0.8
(8)セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
(9)スクワラン 3.0
(10)トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 5.3
(11)ホホバ油 3.0
(12)ブチレングリコール 15.0
(13)グリセリン 3.0
(14)水酸化ナトリウム 0.1
(15)カルボキシビニルポリマー 0.1
(16)キサンタンガム 0.02
(17)水 43.28
(18)水添レシチン 1.6
(19)酸化チタン 6.0
(20)酸化鉄 1.3
(21)マイカ 5.0
実施例13のO/W乳化型ファンデーションによれば、油剤としてミネラルオイルを用いた場合と比べて、べたつきを抑えながら、肌に対する付着性が高められることが認められた。
【0142】
なお、O/W乳化型ファンデーションでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上50wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が50wt%を超える場合には、油剤の配合量が多くなる分だけ水の配合量が少なくなることにより、油分の割合が高くなるため、O/W乳化型ファンデーションの粘度が、肌に塗布しにくい程度に高くなる。
【0143】
O/W乳化型ファンデーションでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、O/W乳化型ファンデーションが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、O/W乳化型ファンデーションの粘度が、肌に塗布しにくい程度に高くなる。
【0144】
[実施例14 W/O乳化型ファンデーション]
上述の試料1を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりW/O乳化型ファンデーションを作成した。W/O乳化型ファンデーションを作成するときには、まず、成分(1)から成分(3)、成分(4)の一部、および、成分(5)を混合し、加熱して溶解することによって、混合液を作成した。予め加熱して溶解した成分(10)から成分(12)を混合液に加え、ホモミキサーで攪拌することによって溶液を乳化した。乳化液を冷却した後、予め混合した成分(4)の残りと成分(6)から成分(9)を乳化液に加えた。
【0145】
成分 wt%
(1)試料1 2.0
(2)(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン 2.0
(3)イソノナン酸イソトリデシル 3.0
(4)シクロメチコン 15.0
(5)ジメチコンコポリオール 2.0
(6)シリコーン処理マイカ 10.0
(7)シリコーン処理酸化チタン 8.0
(8)シリコーン処理酸化鉄 2.3
(9)ポリメタクリル酸メチル 8.0
(10)塩化ナトリウム 1.0
(11)ブチレングリコール 7.0
(12)水 39.7
実施例14のW/O乳化型ファンデーションによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、べたつきを抑えながら、肌に対する付着性が高められることが認められた。
【0146】
なお、W/O乳化型ファンデーションでは、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上50wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が50wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が増えた分だけ水の配合量が減らされるため、W/O乳化型ファンデーションの粘度が、使用しにくくなる程度に高くなる。また、油相成分である成分(1)、成分(3)、および、成分(4)に対する粉体である成分(6)から成分(9)の割合が小さくなる分、W/O乳化型ファンデーションの塗布量当たりの粉体の量が減る。
【0147】
W/O乳化型ファンデーションでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、W/O乳化型ファンデーションが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、W/O乳化型ファンデーションの粘度が、使用しにくくなる程度に高くなる。
【0148】
[実施例15 クリームアイライナー]
上述の試料1を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりクリームアイライナーを作成した。クリームアイライナーを作成するときには、まず、成分(2)から成分(5)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、混合液に対して成分(1)と、予め混合して粉砕した成分(6)および成分(7)を加えて、均一に混合した。
【0149】
成分 wt%
(1)試料1 8.0
(2)パルミチン酸デキストリン 8.0
(3)イソステアリン酸デキストリン 3.0
(4)水添ロジン酸ペンタエリスリチルイソステアリン酸オクチルドデシル 6.0
(5)ドデカン 27.0
(6)黒酸化鉄 27.0
(7)マイカ 21.0
実施例15のクリームアイライナーによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、肌への付着性が高められることが認められた。更には、実施例15のクリームアイライナーによれば、付着性が高いために、使用者が瞼の縁に線を描いたときの描きやすさが高められることが認められた。
【0150】
なお、クリームアイライナーでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上50wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルに得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が50wt%を超える場合には、油相成分である成分(1)および成分(5)に対する粉体である成分(6)および成分(7)の割合が小さくなるため、肌へのつきが悪くなる、すなわち、着色成分が付きにくくなる。
【0151】
クリームアイライナーでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルとフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、クリームアイライナーが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、クリームアイライナーの粘度が、使用しにくくなる程度に高くなる。
【0152】
[実施例16 マスカラ]
上述の試料2を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりマスカラを作成した。マスカラを作成するときには、まず、成分(1)から成分(10)を加熱して均一に溶解することによって混合液1を作成した。そして、混合液1に成分(11)から成分(13)を添加した後、混合液1をディスパーによって攪拌した。混合液1を室温まで冷却することによってマスカラを得た。
【0153】
成分 wt%
(1)試料2 1.0
(2)パルミチン酸デキストリン 10.0
(3)ポリエチレン 5.0
(4)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(5)キャンデリラロウ 1.0
(6)イソドデカン 47.95
(7)イソステアリン酸デキストリン 6.0
(8)トコフェロール 0.05
(9)トリメチルシロキシケイ酸 8.0
(10)クオタニウム−18ベントナイト 5.0
(11)酸化鉄 5.0
(12)タルク 6.0
(13)ナイロン−12 4.0
実施例16のマスカラによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、ワックス量を減らしつつマスカラの硬度を高めることができるため、ファイバーである成分(13)が分散されやすくなることが認められた。また、ファイバーの分散性が高いために、使用者がマスカラを睫に塗布した場合に、睫同士がマスカラによって付着しにくく、結果として、隣り合う睫が離れた状態になること、および、マスカラが睫毛に沿って塗り拡げられやすく、塊を形成しにくいことが認められた。すなわち、仕上がりがよくなることが認められた。
【0154】
なお、マスカラでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上50wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が50wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなる分、揮発性の油剤であるイソドデカンの配合量、および、他の成分の配合量が少なくなるため、マスカラが乾燥しにくくなり、睫毛同士がくっつきやすくなる。
【0155】
マスカラでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルとフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、マスカラが睫毛に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、マスカラの粘度が、使用しにくくなる程度に高くなる。
【0156】
[実施例17 アイシャドー]
上述の試料5を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりアイシャドーを作成した。アイシャドーを作成するときには、まず、成分(6)から成分(13)を混合してミル機で粉砕する一方、成分(1)から成分(5)を混合し、混合物を90℃に加熱することによって溶解した。そして、成分(6)から成分(13)の粉体を混合液に加え、かつ、成分(14)を混合液に加えて、均一に混合した。次いで、これらの混合液を70℃にて4時間以上乾燥させた後、固形物をミル機によって粉砕した。最後に、ミル機によって得られた粉体をプレス機で加圧することによって、ペレット状のアイシャドーを得た。
【0157】
成分 wt%
(1)試料5 2.0
(2)スクワラン 4.0
(3)ワセリン 1.8
(4)イソステアリン酸デキストリン 2.0
(5)ミリスチン酸デキストリン 0.2
(6)オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム 10.0
(7)マイカ 20.0
(8)タルク 20.0
(9)パール剤 20.0
(10)着色マイカ 10.0
(11)ポリメタクリル酸メチル 7.0
(12)酸化チタン 2.0
(13)酸化鉄 1.0
(14)イソパラフィン 40.0
実施例17のアイシャドーによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、肌への付着性が高められ、肌からの剥がれが抑えられること、すなわち、化粧もちがよいことが認められた。
【0158】
なお、アイシャドーでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上50wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する付着性が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が50wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなる分、揮発性の油剤であるイソパラフィンの配合量や、他の成分、特に、粉体である成分(6)から成分(13)の配合量が少なくなるため、アイシャドーが乾燥しにくくなる。結果として、肌に塗布されたアイシャドーが擦れて肌から取れたり、肌の上でにじんだりしやすくなる。
【0159】
アイシャドーでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルとフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、アイシャドーが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、アイシャドーが使いにくくなる程度に硬くなってしまう。
【0160】
[実施例18 サンスクリーンバーム]
上述の試料2を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合によりサンスクリーンバームを作成した。サンスクリーンバームを作成するときには、まず、成分(2)から成分(4)の混合物を90℃に加熱することによって溶解した後、成分(1)、および、成分(5)から成分(8)を混合液に加えて、均一に混合した。そして、混合液を75℃に加熱した状態で、予め混合した成分(9)から成分(11)を加え、ホモミキサーを用いてこれらを乳化させた。
【0161】
成分 wt%
(1)試料2 5.0
(2)パルミチン酸デキストリン 2.0
(3)ステアリン酸イヌリン 8.0
(4)スクワラン 7.0
(5)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー 2.0
(6)酸化亜鉛 10.0
(7)PEG−10ジメチコン 1.5
(8)シクロペンタシロキサン 24.0
(9)1,3−ブチレングリコール 4.0
(10)グリセリン 5.5
(11)水 31.0
実施例18のサンスクリーンバームによれば、油剤としてリンゴ酸ジイソステアリルを用いた場合と比べて、肌への付着性が高められつつ、肌に塗布された場合に、べたつきがなくさらさらとした感触を使用者に与えることが認められた。
【0162】
なお、サンスクリーンバームでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上90wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する密着感が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が90wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなる分、紫外線散乱剤である酸化亜鉛の配合量が減らされるため、サンスクリーンバームの紫外線に対する防御性が低下する。なお、紫外線防止剤が成分として含まれている場合にも、同様の理由で紫外線防止剤の配合量が減らされるため、サンスクリーンバームの紫外線に対する防御性が低下する。また、紫外線散乱剤には、酸化チタンを用いることもできる。
【0163】
サンスクリーンバームでは、ゲル化剤であるデキストリン脂肪酸エステルおよびフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの総量が、0.5wt%以上20wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。ゲル化剤の総量が0.5wt%未満である場合には、サンスクリーンバームが肌に付着しにくくなる。ゲル化剤の総量が20wt%を超える場合には、サンスクリーンバームの粘度が、使いにくくなる程度に高くなる。
【0164】
[実施例19 美容オイル]
上述の試料1を用いて、以下の方法、および、以下に示される配合により美容オイルを作成した。美容オイルを作成するときには、成分(1)から成分(3)を均一に混合した。
【0165】
成分 wt%
(1)試料1 10.0
(2)スクワラン 88.0
(3)テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 2.0
実施例19の美容オイルによれば、ミネラルオイルを用いた場合と比べて、べたつきが抑えられつつ、肌への付着性が高められることが認められた。
【0166】
なお、美容オイルでは、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、0.5wt%以上90wt%以下の範囲で含まれることが好ましい。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が0.5wt%未満である場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルにより得られるべたつきのなさや、肌に対する密着感が得られにくくなる。フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの含有量が90wt%を超える場合には、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの配合量が多くなる分だけ美容成分である例えばテトラヘキシルデカン酸アスコルビルの配合量が少なくなる。
【0167】
[各実施例について]
各実施例にて用いられる油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルは、以下の条件を満たし、かつ、25℃にて液体状であるものであれば、各実施例に記載の試料以外のものを用いてもよい。すなわち、フルクトオリゴ糖とエステル結合を形成する脂肪酸は、上述した脂肪酸のうち、1つ以上を選択することができる。また、各フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、各実施例に記載された分量で化粧料中に配合される限りは、上述と同等の効果を得ることが可能である。
・フルクトオリゴ糖の分子量M 300≦M≦10000
・脂肪酸の炭素数C 直鎖飽和 8≦C≦12
分岐鎖飽和 8≦C≦18
不飽和 8≦C≦18
・脂肪酸の置換率T 65%≦T≦100%
なお、フルクトオリゴ糖一分子当たりの脂肪酸の置換率が、95%以上100%以下であれば、水酸基の数が少ない分だけ、置換率が65%以上95%未満である場合と比べて、各実施例における化粧料のべたつきを抑えることができる。
【0168】
また、各実施例では、油剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルに、相互に異なる脂肪酸を含むフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが、2種以上用いられてもよい。
更に、各実施例では、ゲル化剤または皮膜形成剤としてのデキストリン脂肪酸エステルでも、デキストリンとエステル結合を形成する脂肪酸は、上述した脂肪酸のうち、1つ以上を選択することができる。また、デキストリン脂肪酸エステルには、相互に異なる脂肪酸を含むデキストリン脂肪酸エステルが2種以上用いられてもよい。また、各実施例では、ゲル化剤としてのフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルでも、フルクトオリゴ糖とエステル結合を形成する脂肪酸は、上述した脂肪酸のうち、1つ以上を選択することができる。また、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステルには、相互に異なる脂肪酸を含むフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルが2種以上用いられてもよい。
【0169】
また、各実施形態で用いられたゲル剤であるデキストリン脂肪酸エステルのうち、パルミチン酸デキストリンには、レオパールKL2、レオパールKS2、レオパールTL2の少なくとも1つを用いることができ、ミリスチン酸デキストリンには、レオパールMKL2を用いることができる(レオパールは登録商標)。同じくゲル化剤である(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンには、レオパールTT2を用いることができ、皮膜形成剤であるイソステアリン酸デキストリンには、ユニフィルマHVYを用いることができる(ユニフィルマは登録商標)。また、ゲル化剤であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルのうち、ステアリン酸イヌリンには、レオパールISK2およびレオパールISL2の少なくとも1つを用いることができる。これらのゲル化剤は、いずれも千葉製粉株式会社製である。
【0170】
以上説明したように、フルクトオリゴ糖脂肪酸エステル、および、化粧料の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)肌に対する親和性の高い糖を用い、しかも、フルクトースのオリゴ糖がエステルの構成材料として用いられるため、単糖や二糖が用いられる場合と比べて、糖鎖の分子量が大きい分、肌に対する付着性が高められる。加えて、脂肪酸の置換率を95%以上という高い置換率とすることで、肌に対する付着性を保ちつつ、油剤であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルのべたつきを抑えることができる。
【0171】
(2)化粧料には、油剤であるフルクトオリゴ糖脂肪酸エステルの特性である肌への付着性の高さと、べたつきの低さとが付与される。加えて、化粧料では、ゲル化剤により、塗布の対象から化粧料が垂れ落ちることを抑えながら、肌に対して塗り拡げにくくなることが抑えられる。