特許第6286151号(P6286151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チェン イー ジェンの特許一覧

特許6286151デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ
<>
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000002
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000003
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000004
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000005
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000006
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000007
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000008
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000009
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000010
  • 特許6286151-デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286151
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】デュアル電磁アセンブリを有するラウドスピーカドライバ
(51)【国際特許分類】
   H04R 9/02 20060101AFI20180215BHJP
   H04R 9/04 20060101ALI20180215BHJP
   H04R 7/20 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H04R9/02 102A
   H04R9/04 102
   H04R7/20
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-172987(P2013-172987)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-45483(P2014-45483A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2016年8月19日
(31)【優先権主張番号】13/593,736
(32)【優先日】2012年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513213829
【氏名又は名称】チェン イー ジェン
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】チェン イー ジェン
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−238393(JP,A)
【文献】 米国特許第05119431(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第02418559(GB,A)
【文献】 特開2009−094677(JP,A)
【文献】 実開平01−126690(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00−1/08
1/12−1/14
1/20−1/46
7/00−7/26
9/00−9/10
9/18
31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アコースティカル振動板を支持するように構成された第1円錐台フレーム部、
前記第1アコースティカル振動板に接合され、第1正オーディオリード線と第2負オーディオリード線とを有する第1ボイスコイル、及び
前記第1ボイスコイルを第1磁場内に懸架するように構成され、前記第1円錐台フレーム部に接合された第1磁石アセンブリ
を含む第1スピーカと、
第2アコースティカル振動板を支持するように構成された第2円錐台フレーム部、
前記第2アコースティカル振動板に接合され、第1正オーディオリード線と第2負オーディオリード線とを有する第2ボイスコイル、及び
前記第2ボイスコイルを第2磁場内に懸架するように構成され、前記第2円錐台フレーム部に接合された第2磁石アセンブリ
を含む第2スピーカと、
各前記第1及び第2ボイスコイルに電気的に接続され、前記第1及び第2アコースティカル振動板が一斉に振動するように前記第1及び第2ボイスコイルが反対側の極に配線されているオーディオ信号ドライバとを備え、
少なくとも第1アコースティカル振動板のエッジ部は、少なくとも第2アコースティカル振動板のエッジ部と当接しており、かつ少なくとも第2アコースティカル振動板のエッジ部と直接接合しており、
前記オーディオ信号ドライバは、前記第1アコースティカル振動板に直接作用する第1振動力を生成する前記第1ボイスコイルに信号を供するものであり、
前記第1振動力は、前記第1アコースティカル振動板のエッジ部から当該第1振動力を前記第2アコースティカル振動板のエッジ部に機械的に伝達する前記第1アコースティカル振動板のエッジ部を介して当該第2アコースティカル振動板に伝達されるものであり、
前記オーディオ信号ドライバは、前記第2アコースティカル振動板に直接作用する第2振動力を生成する第2ボイスコイルに信号を供するものであり、
前記第2振動力は、前記第2アコースティカル振動板のエッジ部から当該第2振動力を前記第1アコースティカル振動板のエッジ部に機械的に伝達する前記第2アコースティカル振動板のエッジ部を介して当該第1アコースティカル振動板に伝達されるものである、
ラウドスピーカアセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1及び第2スピーカは、前記第1及び第2円錐台フレーム部の広角端がそれぞれ互いに対向しているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1及び第2スピーカは、前記第1
及び第2円錐台フレーム部の広角端がそれぞれ互いに対向し、その状態で各前記第1及び
第2アコースティカル振動板の少なくとも一部が互いに接続しているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項4】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1の磁石アセンブリは、前記第2の磁石アセンブリと物理的に離れているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項5】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1及び第2アコースティカル振動板が円錐台形状に形成されているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項6】
請求項記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1アコースティカル振動板の広角端が前記第アコースティカル振動板の広角端と結合されているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項7】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、前記第1及び第2フレーム部のそれぞれは、前記第1及び第2アコースティカル振動板を周囲に露出する少なくとも1つの孔を備えているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項8】
請求項1記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、
前記第1アコースティカル振動板の前記エッジ部と前記第2アコースティカル振動板の前記エッジ部とを第1円錐台フレーム部と第2円錐台フレーム部とに接続するように構成されたリングサスペンションをさらに備えているラウドスピーカアセンブリ。
【請求項9】
請求項8記載のラウドスピーカアセンブリにおいて、
前記リングサスペンションは、第1アコースティカル振動板の前記エッジ部と前記第2アコースティカル振動板の前記エッジ部とを囲繞するラウドスピーカアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にラウドスピーカドライバに関し、より詳細には、二つの電磁構造を含むラウドスピーカドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
ラウドスピーカは、聴衆にオーディオ出力を提供するために永年用いられてきた。種々の特性の音を表す電気信号は、ラウドスピーカによって、振動板の振動に変換される。振動板のこのような動作は、そばにいる者によって聴き取ることのできる音波を生成する。典型的には、ラウドスピーカの振動板は、コーン型に形成されており、音波は、コーンの開口端が指向している一般的な方向に向かってコーンから発せられる。
【0003】
ラウドスピーカは、典型的にはボイスコイルを使用している。ボイスコイルは、紙、アルミニウム、又は樹脂等でできた中空のシリンダ又はチューブの周りに巻回されており、永久磁石の磁場内に位置決めされている。また、中空のシリンダ又はチューブは、振動板に接続されている。電流がコイルに流れたとき、中空のシリンダ又はチューブの周りに磁場が生成される。中空のシリンダ又はチューブは、永久磁石の磁場によって、電流の方向に基づき、引きつけられたり、反発されたりする。電流の方向が切り替わると、引きつけ力又は反発力も切り替わる。このようにして、中空のシリンダ又はチューブは、前後に移動し、振動板を前後に動かす。この振動がラウドスピーカによって生成される音を生成するのである。
【発明の概要】
【0004】
ラウドスピーカドライバが本開示に記載される。ある実施形態によれば、ラウドスピーカドライバは、アコースティカル振動板と、中空のシリンダ又は接続チューブと、第1及び第2ボイスコイルと、第1及び第2磁石アセンブリとを備えている。接続チューブは、接続チューブの第1端に近い第1セクションと、接続チューブの第2端に近い第2セクションと、第1セクションと第2セクションの間の中間セクションとを有する。第1ボイスコイルは、接続チューブの第1セクションの少なくとも一部に接続されてこれを囲繞している。第1ボイスコイルは、第1オーディオリード線と第2オーディオリード線とを有する。第2ボイスコイルは、接続チューブの第2セクションの少なくとも一部に接続されてこれを囲繞している。第2ボイスコイルは、第1オーディオリード線と第2オーディオリード線とを有する。第1磁石アセンブリは、第1ボイスコイルを第1磁場内に懸架するように構成されており、第2磁石アセンブリは、第2ボイスコイルを第2磁場内に懸架するように構成されている。接続チューブは、アコースティカル振動板と交差し、接続チューブの中間セクションは、アコースティカル振動板に接続されている。
【0005】
本開示の別の側面によれば、ラウドスピーカアセンブリが設けられる。このスピーカアセンブリは、第1スピーカを備えている。第1スピーカは、第1アコースティカル振動板を支持する第1円錐台フレーム部と、前記第1アコースティカル振動板に接合される第1ボイスコイルであって、第1の正リード線と第2の負リード線とを有する前記第1ボイスコイルと、前記第1ボイスコイルを第1磁場内に懸架するように構成された第1磁石アセンブリであって、前記第1円錐台フレーム部に接合された前記第1磁石アセンブリとを備えている。ラウドスピーカアセンブリは、さらに、第2スピーカを備えている。第2スピーカは、第2アコースティカル振動板を支持する第2円錐台フレーム部と、前記第2アコースティカル振動板に接合された第2ボイスコイルであって、第1の正リード線と第2の負リード線とを有する前記第2ボイスコイルと、前記第2ボイスコイルを第2磁場内に懸架するように構成された第2磁石アセンブリであって、前記第2円錐台フレーム部に接合された前記第2磁石アセンブリとを備えている。第1及び第2ボイスコイルのそれぞれに対しオーディオ信号ドライバが電気的に接合されており、第1及び第2ボイスコイルは、第1及び第2アコースティカル振動板が一斉に振動するように反対側の極に配線されている。ある側面において、第1及び第2スピーカは、第1及び第2円錐台フレーム部の広角端をそれぞれ互いに対向させて配置されている。
本開示の別の側面によれば、前記第1及び第2フレーム部のそれぞれは、前記第1及び第2アコースティカル振動板を周囲に露出する少なくとも1つの孔を備えている。
本開示の別の側面によれば、前記第1及び第2アコースティカル振動板が円錐台形状に形成されている。
本開示の別の側面によれば、前記第1アコースティカル振動板の広角端が前記第1アコースティカル振動板の広角端と結合されている。
本開示の別の側面によれば、少なくとも第1アコースティカル振動板のエッジ部は、少なくとも第2アコースティカル振動板のエッジ部と当接しており、かつ少なくとも第2アコースティカル振動板のエッジ部と直接接合しており、前記オーディオ信号ドライバは、前記第1アコースティカル振動板に直接作用する第1振動力を生成する第1音声コイルに信号を供するものであり、前記第1振動力は、前記第1アコースティカル振動板のエッジ部から当該第1振動力を前記第2アコースティカル振動板のエッジ部に機械的に伝達する前記第1アコースティカル振動板のエッジ部を介して当該第2アコースティカル振動板に伝達されるものであり、前記オーディオ信号ドライバは、前記第2アコースティカル振動板に直接作用する第2振動力を生成する第2音声コイルに信号を供するものであり、前記第2振動力は、前記第2アコースティカル振動板のエッジ部から当該第2振動力を前記第1アコースティカル振動板のエッジ部に機械的に伝達する前記第2アコースティカル振動板のエッジ部を介して当該第1アコースティカル振動板に伝達されるものである。
【0006】
本開示の上述した、並びに別の側面、特徴、利点は、添付の図面を参照したときに、以下の詳細な説明に照らして、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の種々の実施態様に基づくラウドスピーカドライバの側面図である。
【0008】
図2】本開示の種々の実施態様に基づく図1のラウドスピーカドライバの破断図である。
図3二つの振動板が一つの信号振動板であるかのように一斉に振動する実施態様を示す図である。
図4本発明の別態様を示す図である。
図5A本発明の別態様を示す図である。
図5B本発明の別態様を示す図である。
図5C本発明の別態様を示す図である。
図6本発明の別態様を示す図である。
図7本発明の別態様を示す図である。
図8本発明の別態様を示す図である。
【0009】
理解を容易にするため、各図において、共通する同等の要素を示すことが可能な場合には、同一の参照番号が用いられる。作図の目的のため、図面の線図は、単純化されており、必ずしも寸法通りではない。添付の図面は、本開示の実施形態を例示的に図示するものであり、それ自体を、他の同等に効果的な実施形態を許容し得る開示範囲に限定するものと考えるべきではない。これに対応して、ある実施形態の特徴又はステップが他の実施形態に有益に採用し得ることは、さらなる言及がなくても配慮されてきたのである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本記載は、本開示の原理を指し示すものである。従って、明示的な開示や図示がなくても、当業者が、本開示並びにその精神及び範囲内に含まれる原理を実施した種々の変形を考案することが可能であろうことは、玩味されるであろう。
【0011】
ここに記載された全ての例示や条件的な言葉は、技術を進展するために本件発明者によって寄与された本開示の原理や概念を理解する上で読者を支援するための教育学的な目的を意図するものであり、そのように詳細に記述された例や条件に限定されることなく解釈されるべきである。
【0012】
さらに、本開示の原理、側面、及び実施形態を記載している全ての説明は、これらの特定の例示と同様に、構造上及び機能上、均等なものを含むことが意図されている。加えて、そのような均等物は、現在知られている均等物と、これと同様に将来開発される均等物の双方、すなわち、構造如何に拘わらず、同じ機能を奏するあらゆる要素を含むことが意図されている。
【0013】
図1は、ラウドスピーカドライバ10の一実施形態の側面図である。本開示の種々の実施態様によれば、ラウドスピーカドライバ10は、孔14又は開口を有するフレーム12を具備している。フレーム12は、ラウドスピーカドライバ10の内部構成品、特に音を生成する構成品を囲繞し、保護するので、孔14は、種々の方向に音波が逃れることを許容する。この場合において、本開示に記載されたラウドスピーカドライバ10は、全方向スピーカとすることもできる。図示のように、フレーム12は、例えば、円錐台部のような、二つの対称セクション13、15を具備していてもよい。これら二つのセクション13、15は、図示のように、バリア21に沿って、それぞれの広角端17、19を互いに臨ませて接合させるように配置されていてもよい。他の実施形態では、フレーム12は、他のあらゆる好適な形状を含んでいてもよい。また、フレーム12は、寸法上の制限、及び/又は望まれる周波数特性に基づいて、好適なサイズに構成される。ラウドスピーカドライバ10は、また、第1磁石アセンブリ16と第2磁石アセンブリ18とを含む。各磁石アセンブリ16及び18は、磁場を生成するための永久磁石を少なくとも一つ含んでいてもよい。第1及び第2磁石アセンブリ16及び18によって生成される磁場は、そのN極にS極が向かう(引き合う)ように配置されていてもよく、或いは、別の実施形態では、磁場は、そのN極とS極とが反対向きになる(反発し合う)ように配置されていてもよい。
【0014】
図2は、図1のラウドスピーカドライバ10の破断図である。本開示の種々の実施態様によれば、ラウドスピーカドライバ10は、さらに、振動板20又は他の形式の膜を具備している。振動板20は、あらゆる好適な材質を具備していることに着目すべきである。振動板20は、図示のように、平らで実質的に縦置きにしてもよい。振動板20は、サスペンション22によって、フレーム12に接続されていてもよい。いくつかの実施形態において、サスペンション22は、省略してもよく、その代わり振動板20は、直接フレーム12に接続されていてもよい。サスペンション22は、種々の実施形態に存在するとき、振動板20の外縁を囲繞するリングサスペンションであってもよい。サスペンション22は、振動板20を適切に保持し、音波を生成する目的のため、振動板20が振動することを許容する。従来のコーン形状の膜の代わりに、実質的に平らな振動板20の固有の構成のため、サスペンション22は、「スパイダ」サスペンション要素のような付加的なサスペンション機構を必要とすることなく、充分に振動板20を支持し得ることに、着目すべきである。
【0015】
ラウドスピーカドライバ10は、また、接続チューブ24を備えている。接続チューブ24は、第1磁石アセンブリ16から第2磁石アセンブリ18へ延びている。接続チューブ24は、紙、アルミニウム、樹脂等のような材質で作られていてもよい。いくつかの実施形態では、接続チューブ24は、中空の端部を含んでいてもよい。このようにして、接続チューブ24は、各磁石アセンブリ16、18からそれぞれ突出するポスト25、27によって適切に保持される。接続チューブ24は、ポスト25、27に沿って摺動するように構成されていてもよい。ポストの側部と接続チューブ24の内側には、中空端にエアポケットが形成されるのを防止するスリットが形成されていてもよい。
【0016】
接続チューブ24が、例えば、接続部材、中実のシリンダ部材、ロッド等、他の形状とされてもよいことが玩味されるべきである。
【0017】
接続チューブ24は、振動板20の孔に挿通されている。いくつかの実施形態において、接続チューブ24の半分が振動板20の一方の側に位置決めされ、他の半分が他方の側に位置決めされていてもよい。また、接続チューブ24は、その軸が振動板20の平面に対して直角になるように構成されていてもよい。加えて、接続チューブ24は、振動板20の中心を挿通又は交差していてもよい。接続チューブ24は、また、振動板20に対し、交差しているエリアで接合されるように構成されていてもよく、あらゆる好適な種類の接着剤26によって、交差しているエリアが接着されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、接着剤26は、接続チューブ24の外側の周囲にリングを形成し得る糊粒、又は他の好適な接着剤であってもよい。
【0018】
加えて、ラウドスピーカドライバ10は、第1ボイスコイル28と第2ボイスコイル30とを具備している。第1及び第2ボイスコイル28及び30は、芯線を被覆する被覆材を備えた電線を具備している。第1ボイスコイル28は、接続チューブ24の第1端に巻回され、第2ボイスコイル30は、接続チューブ24の第2端に巻回されている。ボイスコイル28及び30は、接続チューブ24に巻回されているだけではなく、磁力によるボイスコイル28及び30の移動により接続チューブ24が逐次動くように、これらは接続チューブ24に接続されてもいる。
【0019】
図示のように、ボイスコイル28及び30は、同じ方向に巻回されていてもよい。しかしながら、他の実施形態においては、ボイスコイル28及び30は、互いに逆向きに巻回されていてもよい。各ボイスコイル28及び30の一端は、正(「+」)のリード線として示されている第1オーディオリード線32に接合されている。各ボイスコイル28及び30の他端は、負(「−」)のリード線として示されている第2オーディオリード線34に接合されている。第2オーディオリード線34は、正負のリード線は、黒や赤といったカラーの電線とされていてもよい。図示のように、一方のボイスコイルからのオーディオリード線は、他方のボイスコイルからの特定のオーディオリード線に接続されている。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、一方のボイスコイルからのオーディオリード線は、他方のボイスコイルからの別のオーディオリード線に接続されていてもよい。個別のデザインは、第1及び第2磁石アセンブリ16及び18の永久磁石によって生成される二つの磁場の極(すなわち、N極及びS極)の指向性に主として依存する。
【0020】
磁石アセンブリ16及び18は、それぞれ接続チューブ24の終端に対して、一般的な方向に永久磁場を生成するように構成されている、1又は2以上の永久磁石を具備している。例えば、いくつかの実施形態によれば、永久磁石は、ボイスコイル28及び30を囲繞するリング磁石であってもよい。他の実施形態では、永久磁石は、別の形状を含んでいてもよく、接続チューブ24の軸方向に沿って位置決めされていてもよい。これらの或いは別の構成は、ボイスコイル28及び30の中心点に関し、一般的な方向に永久磁場を生成するために用いてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ラウドスピーカドライバ10は、図2に示すように、アコースティカル振動板20と接続チューブ24とを単に具備していてもよい。接続チューブ24は、接続チューブ24の第1端に近接した第1セクションと、接続チューブ24の第2端に近接した第2セクションと、第1セクションと第2セクションとの間にある中間セクションとを有していてもよい。ラウドスピーカドライバ10は、また、第1ボイスコイル28を含んでいる。この第1ボイスコイル28は、接続チューブ24の第1セクションの少なくとも一部に接続されてこれを囲繞している。第1ボイスコイル28は、第1オーディオリード線と第2オーディオリード線とを有する。ラウドスピーカドライバ10は、また、第2ボイスコイル30を含んでいる。この第2ボイスコイル30は、接続チューブ24の第2セクションの少なくとも一部に接続されてこれを囲繞している。第2ボイスコイル30は、第1オーディオリード線と第2オーディオリード線とを有する。ラウドスピーカドライバ10は、また、第1ボイスコイル28を第1磁場内に懸架するように構成された第1磁石アセンブリ16と、第2ボイスコイル30を第2磁場内に懸架するように構成された第2磁石アセンブリ18とを含む。接続チューブ24は、アコースティカル振動板20と交差し、接続チューブ24の中間セクションは、アコースティカル振動板20に接続されている。
【0022】
付加的な実施形態によれば、上述したラウドスピーカドライバ10は、さらに、第1磁石アセンブリ16が第1永久磁石を具備し、第2磁石アセンブリ18が第2永久磁石を具備するように構成されていてもよい。例えば、第1永久磁石は、第1ボイスコイル28の周囲に位置決めされたリング磁石であってもよく、第2永久磁石は、第2ボイスコイル30の周囲に位置決めされたリング磁石であってもよい。第1磁石アセンブリ16と第2磁石アセンブリ18は、接続チューブ24を実質的に軸方向に移動可能に構成されたアラインメント構造を具備していてもよい。例えば、軸方向は、接続チューブ24の軸方向であると規定されていてもよい。ラウドスピーカドライバ10は、さらに、第1ボイスコイル28及び第2ボイスコイル30が同時に電気信号を受けることによって、これら第1ボイスコイル28と第2ボイスコイル30とが協同して力を接続チューブ24に加え、接続チューブ24が実質的に軸方向に前後するように構成されるように、規定されていてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、上述したラウドスピーカドライバ10は、さらに、アコースティカル振動板20が静止しているときに実質的に平らであるように規定されている。例えば、アコースティカル振動板20は、電気信号がラウドスピーカドライバ10に供給されていないときに静止していてもよい。電気信号(例えばオーディオ信号)を受けたとき、振動板20は、ラウドスピーカドライバ10から音波が放射されるように振動することになる。いくつかの実施態様において、アコースティカル振動板20は、円形状を有していてもよいが、別の実施態様によれば、振動板は、正方形、長方形、又は別の適切な形状であってもよい。
【0024】
さらに、ラウドスピーカドライバ10は、また、フレーム12を具備している。フレーム12は、第1磁石アセンブリ16と第2磁石アセンブリ18とを支持するように構成されていてもよく、これらの間に予め設定された間隔を維持するように構成されていてもよい。また、ラウドスピーカドライバ10は、アコースティカル振動板20のエッジをフレーム12に接続するように構成されたサスペンション22(例えば、リングサスペンション)を具備していてもよい。サスペンション22は、対応する振動板20の形状やエッジ寸法に基づいて、何らかの好適な形状を有していてもよい。また、サスペンション22の形状は、フレーム12の内寸法や形状に基づいていてもよい。フレーム12は、好適には、アコースティカル振動板20を周囲に露出する少なくとも1つの孔14を具備している。孔14は、フレーム12の内側から、音を聴衆が聞くことのできる周りのエリアに、音を出すことを許容する。
【0025】
加えて、ラウドスピーカドライバは、さらに、第1ボイスコイル28の第1オーディオリード線が第2ボイスコイル30の第1オーディオリード線に接続し、第1ボイスコイル28の第2オーディオリード線が第2ボイスコイル30の第2オーディオリード線に接続されるように規定される。この場合において、第1磁場の極は、第2磁場の極と実質的に揃うことになる。従って、第2ボイスコイル30が引く力を加えている間、第1ボイスコイル28は、振動板20を押す力を加えることになる一方、第2ボイスコイル30が押す力を加えている間、第1ボイスコイル28は、引く力を加えることになる。この場合の力は、ボイスコイル28及び30が対立的に作用することなく、接続チューブ24を同じ方向に動かす加勢的なものである。
【0026】
他の実施形態において、第1ボイスコイル28と第2ボイスコイル30は、接続チューブ24の周囲に同一方向に巻回され、第1磁場の極が実質的に第2磁場の極と反対になっていてもよい。換言すれば、N極が両者とも内側(又は外側)となりS極が外側(又は内側)となる。この場合、第1ボイスコイル28と第2ボイスコイル30は、接続チューブの周囲に逆向きに巻回されることになる。この構成でもまた、ボイスコイル28及び30が対立的に作用せずに接続チューブ24を同じ方向に動かす加勢的なものとなる。
【0027】
ここに記載したように二つの電磁構造によって、振動板20に作用する力は、基本的には二倍になり得る。例えば、何れの電気信号においても、他方のボイスコイルが引く力を(すなわち、フレーム12の中央から遠ざかるように)接続チューブ24に加えている間、一方のボイスコイルは、押す力を(すなわち、フレーム12の中央に向かい)接続チューブ24に与える。その結果は、振動板20の迅速な反応であり、迅速な動きである。それは、ラウドスピーカドライバ10のダイナミックレンジを増加する。振動板が引く力と押す力の双方によって高加速で動くので、振動板は、音を生成する際により効果的に力を伝達する。すなわち、音エネルギーへの電気のパワー変換において、高効率である。また、デュアルで押したり、引いたりするボイスコイルは、ラウドスピーカドライバ10の高周波数応答および低周波数応答の双方を拡張することが可能となる。
【0028】
さらにまた、本開示に記載されたラウドスピーカドライバ10の対称的な側面は、振動板20のより好適な制御を許容し、それによって、より正確なオーディオ信号の再生をもたらす。振動板に押す力と引く力とを加えることにより、振動板の振動は、より正確に音響電気信号に追従し、従来の装置に比べ、サウンド再生のより高い鮮明度をもたらす。
【0029】
本開示の教示や原理は、ダイナミックランジを増加したラウドスピーカを達成する種々の実施態様を構成し得る。ある実施形態において、二つの従来スピーカを開口部同士、つまり、振動板と振動板同士で接合し、二つの振動板が一斉に振動するように極を逆向きに配線してもよい。そのような実施形態において、二つの振動板は、一つの信号振動板であるかのように一斉に振動する。そのような実施態様を図3に図示する。
【0030】
図3を参照して、スピーカアセンブリ100は、第1及び第2スピーカ112−1、112−2を含む。第1スピーカ112−1は、サスペンション122によって、フレーム部113に接合されたコーン形状又は円錐台状の振動板120−1を有する円錐台フレーム部113を含む。第1スピーカ112−1は、さらに、上述したような磁石アセンブリ116とボイスコイル128とを含む。同様に、第2スピーカ112−2は、サスペンション122によってフレーム部115に接合されたコーン形状又は円錐台状の振動板120−2を有する円錐台フレーム部115と、磁石アセンブリ118と、ボイスコイル130とを含む。第1及び第2スピーカは、フレーム部113、115の広角端117、119がそれぞれ互いに対向し、その状態で振動板120−1、120−2の少なくとも一部、例えば、部位123が互いに接続されるように構成されている。各振動板120−1、120−2は、コーン形状又は円錐台形状を有するので、部位123は、円形であり、従って、振動板120−1、120−2は、円形に接続される、ということが玩味されるべきである。他の実施形態では、振動板120−1、120−2は、互いに接触していない。
【0031】
スピーカアセンブリ100は、さらに、オーディオ信号ドライバ150を含む。オーディオ信号ドライバ150は、正の出力部152と負の出力部154とを含むボイスコイル128、130を電気的に駆動するためのものである。例示的に、オーディオ信号ドライバは、オーディオアンプ、レシーバ、等、或いは、オーディオ信号を示す電気信号を与える他のあらゆる既知の機器を含む。各ボイスコイル128、130は、正のオーディオリード線132と負のオーディオリード線134とを含む。この実施形態において、ボイスコイル128、132は、二つの振動板が一斉に振動するように、逆向きの極に結線される。例えば、ボイスコイル128の正のオーディオリード線132−1は、ドライバ150の正の出力152に接続されている一方、ボイスコイル130の正のオーディオリード線132−2は、ドライバ150の負の出力154に接続されている。同様に、ボイスコイル128の負のオーディオリード線134−1は、ドライバ150の負の出力154に接続されている一方、ボイスコイル130の負のオーディオリード線134−2は、ドライバ150の正の出力152に接続されている。この場合において、第2ボイスコイル130が振動板120−2に対して引く力を加える間、第1ボイスコイル128は、振動板120−1に対して押す力を加えることになるとともに、第2ボイスコイル130が押す力を加える間、第1ボイスコイル128は、引く力を加えることになる。このようにして、二つの振動板120−1、120−2は、一つの信号振動板であるかのように一斉に振動する。
【0032】
これまで図示し、記載した種々の特徴は、置換可能であり、ある実施形態に示された特徴は、別の実施形態に含み得るものである。
【0033】
本開示は、具体的に図示された実施形態を参照して記載されてきたが、これらの実施形態は、単に本開示の原理や応用の図示に過ぎない、と理解されるべきである。従って、添付の特許請求の範囲によって規定された本開示の精神と範囲から逸脱しない範囲で、図示された実施形態に数々の変形を加えることが可能であり、別の構成を考案することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8