特許第6286154号(P6286154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286154
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】注出口具
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20180215BHJP
   B65D 5/74 20060101ALI20180215BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B65D33/38
   B65D5/74 020B
   B65D81/24 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-178213(P2013-178213)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-44621(P2015-44621A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年6月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−310229(JP,A)
【文献】 特開2013−075684(JP,A)
【文献】 実開昭59−162455(JP,U)
【文献】 特開2008−297000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 5/74
B65D 81/24
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部に取り付けて使用される注出口具であって、
内部に流路を形成する注出部と、
前記注出部の下端に設けられ、前記流路を閉塞する閉塞壁と、
前記閉塞壁の下面に貼り付けられたガスバリア部材とを備え、
前記閉塞壁には、前記閉塞壁を破断して開口させるための引張部と、前記閉塞壁の破断を容易とするための環状の破断誘導部とが設けられ、
前記閉塞壁において、前記破断誘導部にて破断されることで分離される部位には、下方に突出するとともに、その下面を前記ガスバリア部材の貼り付け面とする突出部が設けられ、
前記破断誘導部は、前記閉塞壁の上面側のみから形成された溝であり、
前記突出部は、前記溝に沿って形成されるとともに前記閉塞壁における破断後に残存する部位よりも下方に突出し
前記ガスバリア部材は、
前記閉塞壁における破断後に残存する部位に貼り付けられた第1部分と、
前記突出部の下面に貼り付けられて前記第1部分よりも下方に突出する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分との間に位置し、前記閉塞壁に貼り付けられていない第3部分とを有することを特徴とする注出口具。
【請求項2】
前記突出部は、前記閉塞壁の厚み方向において、前記引張部の基端部分と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項に記載の注出口具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けて使用される注出口具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋等の容器に取り付けて使用される注出口具として、内部に形成される流路を通じた容器内への外気の流入を抑制するように構成された注出口具が知られている。例えば、特許文献1に開示される注出口具は、筒状に形成される注出部の下端に易破断可能な閉塞壁が形成されるとともに、その閉塞壁に対してシート状のガスバリア部材が貼り付けられている。特許文献1の注出口具によれば、流路を遮断するように配置される閉塞壁及びガスバリア部材によって、流路を通じた容器内への外気の流入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−246018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の注出口具は、開封時において、閉塞壁に設けられた引張部を操作して、閉塞壁の一部をガスバリア部材とともに破断して開口させることにより、容器内の内容物を注出することが可能な状態とされる。しかしながら、開封時において、閉塞壁のみが破断されて、ガスバリア部材は破断されることなく、流路を塞いだ状態で残存してしまうことがあった。この場合には、流路内に棒状物を差し込む等して、流路上に残存するガスバリア部材を破断させる処理を更に行う必要がある。
【0005】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、開封時に、閉塞壁と共にガスバリア部材を容易に破断させることのできる注出口具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の注出口具は、容器に取り付けて使用される注出口具であって、内部に流路を形成する注出部を備え、前記注出部の下端には、前記流路を閉塞する閉塞壁が設けられるとともに、前記閉塞壁の下面には、ガスバリア部材が貼り付けられ、前記閉塞壁には、前記閉塞壁を破断して開口させるための引張部と、前記閉塞壁の破断を容易とするための環状の破断誘導部とが設けられ、前記閉塞壁において、前記破断誘導部にて破断されることで分離される部位には、下方に突出するとともに、その下面を前記ガスバリア部材の貼り付け面とする突出部が設けられ、前記突出部は、前記閉塞壁における破断後に残存する部位よりも下方に突出していることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、突出部の下面に対して、より確実にガスバリア部材が貼り付けられて、突出部の下面、即ち破断誘導部にて破断されることで分離される部位に対するガスバリア部材の接着性が高められる。その結果、引張部を操作して閉塞壁を破断させる際に、ガスバリア部材が閉塞壁から剥がれ難くなって、閉塞壁と共にガスバリア部材を容易に破断させることができる。
【0008】
上記注出口具において、前記突出部は、前記破断誘導部に沿って設けられていることが好ましい。この場合には、閉塞壁の下面において、ガスバリア部材に対して接着性の高い部位(突出部の下面)が、破断誘導部に沿って位置することになる。そのため、破断誘導部にて閉塞壁が破断される際に、閉塞壁と共にガスバリア部材も破断されやすくなる。
【0009】
上記注出口具において、前記突出部は、前記閉塞壁の厚み方向において、前記引張部の基端部分と重なる位置に設けられていることが好ましい。この場合には、閉塞壁の下面側における引張部の基端部に対応する部位に、成型時のヒケによる凹みが生じ難くなる。これにより、閉塞壁の下面に対するガスバリア部材の接着性が更に高められる。これにより、破断誘導部にて閉塞壁が破断される際に、閉塞壁と共にガスバリア部材も破断されやすくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の注出口具によれば、開封時に、閉塞壁と共にガスバリア部材を容易に破断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】注出口具の断面図。
図2】注出下部の下面図。
図3】開封処理後の注出口具の断面図。
図4】(a)は変更例の注出下部の部分断面図、(b)は変更例の注出下部の部分下面図。
図5】(a)は変更例の注出下部の部分断面図、(b)は変更例の注出下部の部分下面図。
図6】(a)は変更例の注出下部の部分断面図、(b)は変更例の注出下部の部分下面図。
図7】(a)は変更例の注出下部の部分断面図、(b)は変更例の注出下部の部分下面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の注出口具を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、注出口具1は、内部に流路を形成する注出部2を備えている。この注出部2は、共に略筒状に形成される注出下部10と注出上部20とを上下に組み合わせることによって構成されている。
【0013】
注出部2の下側部分を構成する注出下部10は、円筒状の筒壁11と、筒壁11の下端を閉塞する閉塞壁12とを備える有底円筒状に形成されている。筒壁11の外周面(側面)の上部には、注出上部20に対する係合部位としての雄螺子11aが設けられている。また、筒壁11の外周面の下部には、注出口具1を包装袋の開口部分に取り付けるための取付部13が突設されている。取付部13は筒壁11から側方に突出する略菱形板状の取付上壁13aと同取付上壁13aの周縁に沿って垂下される取付側壁13bとから形成され、その内部は中空状になっている。そして、中空状の取付部13内には、取付部13の先端から筒壁11の外周面へ延びる架橋部13cが設けられている。
【0014】
図1及び図2に示すように、筒壁11の下端を塞ぐ閉塞壁12には、薄肉状に形成された破断誘導部12aが設けられている。破断誘導部12aは、閉塞壁12の上面(内面)側から断面略V字状の溝を形成することによって薄肉状とされ、その外形は、一部が膨出した略円形(水滴形状)の環状に形成されている。破断誘導部12aにおける上記膨出した部分の内側位置の上面側には、破断誘導部12aの一部に沿うようにして引張部14が設けられている。引張部14は、閉塞壁12から上方に延びる軸体14bと、軸体14bの上端に形成されるリング状の把持部14aとから構成される。
【0015】
図1に示すように、閉塞壁12における破断誘導部12aよりも外側の部分には、閉塞壁12の上面と筒壁11の下端側の内周面とを接続して閉塞壁12を補強する補強部15が設けられている。補強部15は、中央側から筒壁11に向かって徐々に高くなる断面略三角形状の厚肉部として形成され、閉塞壁12における破断誘導部12aよりも外側の部分の全体に設けられている。
【0016】
図1及び図2に示すように、閉塞壁12における破断誘導部12aの内側に位置する部分(破断誘導部12aに囲まれる部位)には、下方側に突出する突出部16が設けられている。突出部16は、破断誘導部12aに沿って、破断誘導部12aの内側に位置する部分の全体に形成されている。したがって、突出部16の一部は、閉塞壁12の厚み方向(上下方向)において、引張部14の軸体14bの基端部分と重なる位置に形成されている。また、突出部16の下面16aは平らに形成されて、後述するガスバリア部材60を貼り付けるための貼り付け面となっている。
【0017】
図1に示すように、注出部2の上側部分を構成する注出上部20は、下端側が開放されるとともに、上端側が上壁21によって塞がれた有蓋円筒状に形成されている。注出上部20の上壁21は、その外周側部分に平面部22が形成されるとともに、その中央部分に、上方に向かって膨出するドーム状の膨出部23が形成されている。そして、膨出部23の頂点となる中央位置には略円筒状の注出口24が設けられている。
【0018】
注出上部20の内周面には注出下部10に対する係合部位としての雌螺子25が設けられている。また、上壁21における膨出部23の下面(内面)には、注出口24を中心とする環状の支持壁26が設けられている。支持壁26は、注出下部10の雄螺子11aと注出上部20の雌螺子25とを係合させた際に、注出下部10に設けられる引張部14の把持部14aの内側に収容されるように形成されている。
【0019】
支持壁26内における上部位置には、弾性変形可能な軟質の合成樹脂材料(例えば、シリコーンゴム)、又は天然ゴムにより形成されたスイング型の逆止弁30が取り付けられている。そして、支持壁26内における下部位置には、逆止弁30の脱落を防止するための脱落防止部材40が取り付けられている。
【0020】
また、注出上部20にはヒンジ51を介してキャップ部50が取り付けられている。キャップ部50はヒンジ51を基点として、上壁21の膨出部23を覆う閉位置と同膨出部23を露出させる開位置との間で回動する。キャップ部50の上部内面には、キャップ部50を閉位置に位置させたときに注出口24に挿入されて注出口24を塞ぐ挿入突起52が設けられている。
【0021】
なお、注出口具1における逆止弁30以外の部位(取付部13、注出下部10、注出上部20、キャップ部50、及び脱落防止部材40)には、スパウト等の注出口具に一般に使用される公知の合成樹脂材料を用いることができる。公知の合成樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】
図1に示すように、注出下部10の下面にはシート状のガスバリア部材60が貼り付けられている。具体的には、突出部16の下面16aを含む閉塞壁12の下面、筒壁11の下端縁、及び取付部13の下端縁に対して、ガスバリア部材60が貼り付けられている。ガスバリア部材60としては、例えば、アルミニウム箔層、エチレンビニル−アルコール共重合体層、セラミック蒸着フィルム層等をガスバリア層として有する多層樹脂シートを用いることができる。なお、図2においては、ガスバリア部材60の図示を省略している。
【0023】
次に、本実施形態の注出口具1の使用方法について記載する。
本実施形態の注出口具1は、液体状の内容物を収容する容器(例えば、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋)の開口部に取り付けて使用される。注出口具1を取り付けた容器においては、注出下部10の下面に貼り付けられたガスバリア部材60によって、注出口具1を通じた容器内への酸素等の外気の侵入が抑制される。
【0024】
そして、注出口具1は以下に記載する開封処理を行うことによって、容器内から内容物を注出可能な状態とされる。先ず、注出上部20を回転させて注出上部20及びキャップ部50を注出下部10から取り外す。これにより、引張部14の把持部14aが注出下部10の上部開口から露出されて、把持部14aを容易に把持することができる状態となる。そして、把持部14aを把持して上方に引っ張ることにより、閉塞壁12の破断誘導部12a及びガスバリア部材60を引き裂いて注出下部10の下端を開口させる。その後、注出上部20及びキャップ部50を注出下部10に取り付けることにより、注出口具1は図3に示す開封状態となる。
【0025】
図3に示すように、開封後の注出口具1のキャップ部50を開けて容器を傾けると、容器内の内容物は注出下部10内の流路を通過して逆止弁30に達する。そして、内容物の注出圧が逆止弁30に作用すると、内容物に押圧されて逆止弁30が閉位置から開位置へ回動して内容物の通過が許容される状態となり、注出口24から内容物が注出される。また、容器を傾けた状態から元の状態に戻すと、逆止弁30は開位置から閉位置に戻る。これにより、開封後においては、注出上部20に取り付けられた逆止弁30によって、注出口具1を通じた容器内への酸素等の外気の侵入が抑制される。
【0026】
次に、本実施形態の作用について記載する。
図1に示すように、注出下部10の閉塞壁12において、破断誘導部12aの内側に位置する部位には、下方に突出するとともに、その下面16aをガスバリア部材60の貼り付け面とする突出部16が設けられている。そして、突出部16の下面16aを含む注出下部10の下面全体に、シート状のガスバリア部材60が貼り付けられている。
【0027】
ここで、ガスバリア部材60の貼り付けには、例えば、表面に接着剤を塗布したガスバリア部材60を注出下部10の下面に押し付けて貼り付ける方法や、表面に熱融着層を有するガスバリア部材60を注出下部10の下面に押し付けた状態で加熱し、ガスバリア部材60を熱溶着させて貼り付ける方法が採用される。
【0028】
このとき、注出下部10の下面において、突出部16は下方に突出して形成されているため、他の部位と比較して高い圧力をもってガスバリア部材60が押し付けられることになる。これにより、突出部16の下面16aに対して、より確実にガスバリア部材60が貼り付けられて、突出部16の下面16a、即ち破断誘導部12aの内側に位置して、破断誘導部12aにて破断されることで分離される部位に対するガスバリア部材60の接着性が高められる。その結果、引張部14を操作して閉塞壁12を破断させる際に、ガスバリア部材60が閉塞壁12から剥がれ難くなって、閉塞壁12と共にガスバリア部材60を容易に破断させることができる。
【0029】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)注出口具1は、内部に流路を形成する注出下部10(注出部2)を備えている。注出下部10の下端には、流路を閉塞する閉塞壁12が設けられるとともに、閉塞壁12の下面には、ガスバリア部材60が貼り付けられている。閉塞壁12には、閉塞壁12を破断して開口させるための引張部14と、閉塞壁12の破断を容易とするための環状の破断誘導部12aとが設けられている。閉塞壁12において、破断誘導部にて破断されることで分離される部位には、下方に突出するとともに、その下面16aをガスバリア部材60の貼り付け面とする突出部16が設けられている。
【0030】
上記構成によれば、突出部16において、閉塞壁12の下面に対するガスバリア部材60の接着性が高められる。そのため、開封時に、ガスバリア部材60を容易に破断させることができる。
【0031】
(2)突出部16は、破断誘導部12aに沿って設けられている。上記構成によれば、閉塞壁12の下面において、ガスバリア部材60に対して接着性の高い部位(突出部16の下面16a)が、破断誘導部12aに沿って位置することになる。そのため、破断誘導部12aにて閉塞壁12が破断される際に、閉塞壁12と共にガスバリア部材60も破断されやすくなる。
【0032】
(3)突出部16は、閉塞壁12における破断誘導部12aの内側全体に形成されて、閉塞壁12の厚み方向において、引張部14の基端部分と重なる位置にも突出部16が位置している。
【0033】
閉塞壁12において、引張部14の基端部分が接続される部位は、他の部位よりも厚く形成されるために、その下面側に成型時のヒケによる凹みが生じやすい。そして、閉塞壁12の下面に上記凹みが生じると、下面の平坦性が損なわれて、ガスバリア部材60の接着性が低下する要因となる。これに対して、上記構成によれば、閉塞壁12における破断誘導部12aの内側全体が突出部16により厚く形成されることで、引張部14の基端部分が接続される部位とその周囲の部位との間の厚みの差が縮小されて、成型時のヒケによる凹みが生じ難くなる。その結果、閉塞壁12に対するガスバリア部材60の接着性の低下が抑制される。
【0034】
特に、閉塞壁12において、引張部14の基端部分が接続される部位は、開封時に引っ張り力が直接的に作用する部位である。そのため、この部位に対してガスバリア部材60が十分に接着させることにより、開封時に、閉塞壁12に追従してガスバリア部材60も引っ張られるようになり、閉塞壁12と共にガスバリア部材60を容易に破断させることができる。
【0035】
(4)引張部14の基端部分は、破断誘導部12aに沿って設けられるとともに、閉塞壁12の厚み方向において、引張部14の基端部分と重なる位置に突出部16が設けられている。
【0036】
引張部14の基端部分を破断誘導部12aに沿って設けた場合には、閉塞壁12における引張部14の基端部分が接続される部位が、開封時における破断開始点となる。そのため、この部位に突出部16を設けて、ガスバリア部材60に対する接着性を高めることにより、より容易にガスバリア部材60を破断させることができる。
【0037】
(5)閉塞壁12における破断誘導部12aよりも外側の部分には、閉塞壁12の上面と筒壁11の下端側の内周面とを接続して閉塞壁12を補強する補強部15が設けられている。
【0038】
上記構成によれば、開封時にガスバリア部材60を滑らかに破断させることができる。つまり、補強部15によって閉塞壁12の外周部分(破断後に残存する部位)の強度が高められて、開封時において、引張部14を上方に引っ張った際に、閉塞壁12全体が上方に膨らむように変形することが抑制される。これにより、閉塞壁12及びガスバリア部材60に歪みの少ない状態で、ガスバリア部材60を破断させることができる。その結果、ガスバリア部材60の破断部分を滑らかな形状にすることができる。なお、ガスバリア部材60の破断部分が凹凸の少ない滑らかな形状となることによって、注出下部10を流れる内容物とガスバリア部材60の破断部分とが干渉し難くなり、注出下部10内を内容物が良好に流れるようになる。
【0039】
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。また、次の変更例を互いに組み合わせ、その組み合わせの構成のように上記実施形態を変更することも可能である。
【0040】
・ 破断誘導部12aの構成は、適宜、変更することができる。例えば、上記実施形態では、閉塞壁12を部分的に薄く形成することにより薄肉状の破断誘導部12aを設けていたが、ミシン目状の連続する孔からなる破断誘導部12aとしてもよい。また、破断誘導部12aは、Cリング状(切れ目のある環状)に形成されていてもよい。
【0041】
・ 突出部16は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、閉塞壁12において、破断誘導部12aにて破断されることで分離される部位に形成されるものであれば、その具体的構成は適宜、変更することができる。例えば、図4図7に示すように、上記分離部分に対して部分的に単数又は複数の突出部16が設けられていてもよい。
【0042】
図4に示す例では、破断誘導部12aに沿って環状に突出部16を形成している。この場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
図5に示す例では、閉塞壁12の厚み方向において、引張部14の基端部分と重なる位置にのみ、突出部16を形成している。この場合には、上記(1),(4)の効果を得ることができる。また、この場合、引張部14に起因する成型時のヒケは、突出部16全体に生じることになる。そのため、ヒケが生じたとしても、その影響は、閉塞壁12から突出する突出部16の下面16a全体に作用し、部分的な凹みは生じ難くなる。
【0043】
図6に示す例では、閉塞壁12の厚み方向において、引張部14の基端部分と重なる位置に突出部16を設けるとともに、他の部位にも縦縞状に複数の突出部16を設けている。この場合にも、上記(1),(4)の効果を得ることができる。
【0044】
図7に示す例では、閉塞壁12の厚み方向に見た場合に、破断誘導部12aよりも一回り小さい大きさとなるように突出部16を形成している。この場合にも、上記(1),(4)の効果を得ることができる。
【0045】
また、上記実施形態及び図4図7に示す例では、閉塞壁12の厚み方向において、引張部14の基端部分と重なる位置に突出部16を設けていたが、同位置に突出部16が設けられていなくてもよい。
【0046】
・ ガスバリア部材60に対して、ハーフカットやミシン目等の破断誘導部を設けてもよい。この場合には、ガスバリア部材60をより容易に破断させることができる。
・ 引張部14を引っ張って破断される部位は閉塞壁12の一部であってもよいし、閉塞壁12全体であってもよい。閉塞壁12全体を破断する場合には、破断誘導部12aを注出下部10の内周面に沿って形成すればよい。
【0047】
・ 補強部15は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、閉塞壁12における破断後に残存する部位と筒壁11に接続されて、閉塞壁12を補強可能な構成であればよい。例えば、閉塞壁12の上面と筒壁11の下端側の内周とを接続する複数のリブであってもよい。
【0048】
・ 注出部2は、破断誘導部12a、引張部14、及び突出部16を有する閉塞壁12を備えるものであれば、その他の構成は必要に応じて変更することができる。例えば、補強部15や逆止弁30等を省略してもよい。
【0049】
・ 注出部2を一の部材から形成してもよい。例えば、注出上部20を省略して、注出下部10のみから注出部2を構成する。そして、注出下部10にヒンジを介してキャップ部を取り付ける構成や、スクリューキャップ等のキャップ部材が注出下部10に取り付けられる構成としてもよい。また、分離及び組立可能な三以上の部材から注出部2を形成してもよい。
【0050】
・ 本発明の注出口具1は、樹脂シートにより袋状に形成された包装袋に限らず、紙製の容器等、様々な容器に適用することができる。その場合、取付部13については、容器の形態に合わせて適宜変更が可能である。また、取付部13を省略してもよい。
【0051】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記突出部は、前記破断誘導部の内側全体に設けられている前記注出口具。
(ロ)前記注出部は、注出口が設けられる注出上部と、前記容器を取り付けるための取付部が設けられる注出下部とに分離可能に構成され、前記注出下部の下端に前記閉塞壁が設けられている前記注出口具。
【符号の説明】
【0052】
1…注出口具、2…注出部、10…注出下部、11…筒壁、12…閉塞壁、12a…破断誘導部、13…取付部、14…引張部、15…補強部、16…突出部、30…逆止弁、40…脱落防止部材、60…ガスバリア部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7