(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2台の移動体、前記他の移動体、および前記別の移動体のうち、2つ以上の移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、演算装置は、当該各基点相対位置と第1および第2の目標物相対位置と前記移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の位置取得装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
目標物が障害物に隠れてしまうことにより、観測者が目標物の位置を計測できない場合がある。例えば、目標物が、移動する戦車である場合には、観測者から見て、目標物が障害物に隠れる位置へ移動すると、目標物の位置を計測できなくなる。
【0010】
また、GPS装置による位置計測の精度は、観測者の位置によって低くなることがある。そのため、GPS装置を用いなくても、目標物の絶対位置を求めることが望まれる。
【0011】
また、特許文献1については、以下の(a)〜(c)の課題がある。
(a)目標物の位置をさらに高精度に求めることが望まれる。
(b)目標物と基点とが離れている場合には、基点に対する目標物の位置を求めることができなくなる。
(c)目標物が移動することにより、車両から見て障害物の陰に目標物が隠れた場合、車両から目標物の位置を継続して計測できなくなる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、目標物と基点との間に障害物が存在しており、GPS装置を使用しない場合でも、基点から見た目標物の位置を求めることができ、しかも、上記(a)〜(c)の少なくともいずれかを解決できる装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するため、本発明は、基点に対する目標物の位置を取得する位置取得装置であって、
基点と目標物に対して移動可能な複数の移動体と、
各移動体に設けられた相対位置計測装置と、を備え、
少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、複数の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を計測し合い、
目標物相対位置と、基点相対位置と、移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する演算装置をさらに備える、ことを特徴とする。
【0014】
複数の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を計測し合うとは、次のことを意味する。
複数の移動体に含まれる各移動体の相対位置計測装置は、当該複数の移動体に含まれるいずれの移動体とも、該複数の移動体に含まれる他の移動体を介して間接的に、または、直接、互いの移動体同士の相対位置を計測し合う。ここで、該複数の移動体に含まれる他の移動体を介して間接的に計測し合うことの定義は、後で述べる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、2台の移動体の相対位置計測装置が、それぞれ、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、かつ、互いの移動体同士の相対位置を、他の移動体を介して間接的に、または、直接、計測し合い、
前記2台の移動体、前記他の移動体、および、さらに別の移動体の少なくともいずれかの相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、
前記別の移動体の相対位置計測装置が当該移動体と基点との相対位置を計測する場合には、前記2台の移動体および前記他の移動体の少なくともいずれかの相対位置計測装置と、当該別の移動体の相対位置計測装置とが、互いの移動体同士の相対位置を、さらなる追加の移動体を介して間接的に、または、直接、計測し合い、
演算装置は、各目標物相対位置と、基点相対位置と、前記移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。
なお、この内容は、次の場合に対応する。
後述する相対位置取得方法3において、後述の補助移動体の相対位置計測装置が、当該補助移動体と目標物との相対位置を計測する。
【0016】
このように、2台の移動体の相対位置計測装置が、それぞれ、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測するので、基点に対する目標物の位置を高精度に算出できる。
【0017】
本願において、第1および第2の移動体(すなわち、2つの移動体)が、互いの移動体同士の相対位置を、中継移動体(例えば、前記他の移動体、または追加の移動体)を介して間接的に計測し合うとは、次の(1)(2)を意味する。なお、中継移動体はn台あるとする。
(1)nが1である場合には、中継移動体と第1の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、中継移動体と第2の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
(2)nが2以上である場合には、mが、1≦m<nを満たす整数のすべてをとるとして、1番目の中継移動体と第1の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、m番目の中継移動体と(m+1)番目の中継移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、n番目の中継移動体と第2の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
【0018】
本願において、第1および第2の移動体(すなわち、2つの移動体)が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合うとは、次の(3)を意味する。
(3)第1の移動体の相対位置計測装置が、当該第1の移動体と第2の移動体との相対位置を第1相対位置として計測し、第2の移動体の相対位置計測装置が、当該第2の移動体と第1の移動体との相対位置を第2相対位置として計測する。
【0019】
上記(1)(2)または(3)の場合、計測されたすべての第1相対位置と第2相対位置を前記移動体同士の相対位置として、演算装置は、各目標物相対位置と、基点相対位置と、前記移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。
【0020】
前記他の移動体は、当該他の移動体と前記目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、演算装置は、当該目標物相対位置に基づいて、基点に対する目標物の位置を算出してよい。
なお、この内容は、次の場合に対応する。
後述の相対位置取得方法3において、2つ以上の後述する補助移動体の相対位置計測装置が、当該補助移動体と目標物との相対位置を計測する。
【0021】
これにより、基点に対する目標物の位置をさらに高精度に算出できる。
【0022】
前記2台の移動体、前記他の移動体、および前記別の移動体のうち、2つ以上の移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、演算装置は、当該各基点相対位置に基づいて、基点に対する目標物の位置を算出してよい。
なお、この内容は、次の場合に対応する。
後述の相対位置取得方法3において、後述する1つの補助移動体の相対位置計測装置が、当該補助移動体と目標物との相対位置を計測し、後述する別の補助移動体の相対位置計測装置が、当該補助移動体と基点との相対位置を計測する。
【0023】
これにより、基点に対する目標物の位置をさらに高精度に算出できる。
【0024】
本発明の別の実施形態によると、2台の移動体の相対位置計測装置が、それぞれ、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、かつ、互いの移動体同士の相対位置を、他の移動体を介して間接的に、または、直接、計測し合い、
前記2台の移動体、前記他の移動体、および、さらに別の移動体の少なくともいずれかの相対位置計測装置が、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、
前記別の移動体の相対位置計測装置が当該移動体と目標物との相対位置を計測する場合には、前記2台の移動体および前記他の移動体の少なくともいずれかの相対位置計測装置と、当該別の移動体の相対位置計測装置とが、互いの移動体同士の相対位置を、さらなる追加の移動体を介して間接的に、または、直接、計測し合い、
演算装置は、目標物相対位置と、各基点相対位置と、前記移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。
なお、この内容は、次の場合に対応する。
後述する相対位置取得方法3において、後述の補助移動体の相対位置計測装置が、当該補助移動体と基点との相対位置を計測する。
【0025】
このように、2台の移動体の相対位置計測装置が、それぞれ、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測するので、基点に対する目標物の位置を高精度に算出できる。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態によると、前記複数の移動体のうち、第1の移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、第2の移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、第1および第2の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を、他の移動体を介して間接的に、計測し合い、
演算装置は、目標物相対位置と、基点相対位置と、前記移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。
この内容は、後述する相対位置取得方法1または2に対応する。
【0027】
これにより、目標物と基点とが離れていても、基点に対する目標物の位置を求めることができる。
【0028】
本発明の他の実施形態によると、基点には、相対位置計測装置が設けられ、この相対位置計測装置は、基点と前記移動体との相対位置を計測し、
演算装置は、計測された当該相対位置に基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。
【0029】
これにより、基点に対する目標物の位置をさらに高精度に算出できる。
【0030】
本発明の他の実施形態によると、基点は、砲弾を発射する発射装置の位置にあるか、または、該発射装置の位置に対する既知の相対位置にあり、
予定発射時点において、発射装置から目標物に向けて砲弾を発射させる場合に、
演算装置は、
複数の時点で計測された目標物相対位置と、基点相対位置と、移動体同士の相対位置に基づいて、複数の時点における基点に対する目標物の位置を算出し、
算出したこれらの目標物の位置に基づいて、基点に対する目標物の移動速度を算出し、
算出した目標物の移動速度と、予定発射時点と、予定発射時点における基点に対する目標物の位置とに基づいて、基点が発射装置の位置に対する既知の相対位置にある場合には、さらに当該既知の相対位置にも基づいて、目標物に砲弾が到達する未来の時点における発射装置に対する目標物の位置を算出する。
【0031】
このように、目標物に砲弾が到達する未来の時点における発射装置に対する目標物の位置を算出するので、高い確率で、砲弾を、移動する目標物に命中させられる。
【0032】
また、上述の目的を達成するため、本発明は、基点に対する目標物の位置を取得する位置取得方法であって、
基点と目標物に対して移動可能な複数の移動体を用意し、各移動体に相対位置計測装置を設け、
少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と目標物との相対位置を目標物相対位置として計測し、少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置が、当該移動体と基点との相対位置を基点相対位置として計測し、複数の移動体の相対位置計測装置が、互いの移動体同士の相対位置を計測し合い、
目標物相対位置と、基点相対位置と、移動体同士の相対位置とに基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、移動体と目標物との相対位置と、移動体と基点との相対位置と、移動体同士の相対位置と計測し、これらの相対位置に基づいて、基点に対する目標物の位置を算出する。したがって、目標物と基点との間に障害物が存在しており、GPS装置が使用しない場合でも、目標物の位置を求めることができる。
【0034】
しかも、目標物の位置の算出に、複数の移動体同士の相対位置の計測データも利用するので、次の(A)(B)(C)の少なくともいずれかが可能になる。
(A)複数の移動体から目標物または基点との相対位置を計測することにより、基点に対する目標物の位置を高精度に算出できる。
(B)目標物と基点とが離れていても、基点に対する目標物の位置を求めることができる。
(C)目標物の移動により、ある移動体から目標物との相対位置を計測できなくなっても、他の移動体から目標物との相対位置を計測し続けることができる可能性が高まる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0037】
図1は、本発明の実施形態による位置取得装置10を示す。位置取得装置10は、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを取得する。
【0038】
目標物1は、本実施形態では、地上において移動可能なものである。例えば、目標物1は、敵の戦車である。基点P
sは、実施形態では、目標物1へ向けて砲弾またはミサイルを発射して、この砲弾またはミサイルを目標物1に命中させるための発射装置の位置であるか、または、当該発射装置の位置に対して既知の相対位置にある位置である。発射装置から砲弾を発射する場合には、位置取得装置10により取得した、基点P
sに対する目標物1の位置P
tに基づいて、発射装置による砲弾の発射(例えば発射方向)が調節される。発射装置からミサイルを発射する場合には、位置取得装置10により取得した、基点P
sに対する目標物1の位置P
tに基づいて、発射装置によるミサイルの発射(例えば発射方向)とミサイルの飛行の一方または両方が制御される。
【0039】
位置取得装置10は、移動体3a,3b,3c,3dと、相対位置計測装置5と、演算装置7とを備える。
【0040】
<移動体>
複数の移動体3a,3b,3c,3dは、互いに間隔をおいて配置される。各移動体は、自身に設けられた駆動装置により移動可能である。これにより、複数の移動体3a,3b,3c,3dは、互いに対する相対位置を変えることができる。また、各移動体は、この移動体に設けた相対位置計測装置5が目標物1との相対位置を計測可能な位置まで移動することができる。このような移動体は、本実施形態では、地面上を走行可能な車両やクローラ走行装置である。
【0041】
<相対位置計測装置>
相対位置計測装置5は、各移動体3a,3b,3c,3dに設けられる。また、本実施形態では、相対位置計測装置5は、基点P
sにも設けられる。各相対位置計測装置5は、方位計測部5aと距離計測部5bとを有する。
【0042】
移動体に設けた相対位置計測装置5を説明する。相対位置計測装置5の方位計測部5aと距離計測部5bを、例えば
図2に示す。
図2(A)は、移動体3aの平面図であり、
図2(B)は、
図2(A)のB−B線矢視図である。
図2は、移動体3aを示しているが、本実施形態では、他の移動体3b,3c,3dは、移動体3aと同じ構成を有する。移動体に設けられた相対位置計測装置5の方位計測部5aは、当該移動体に設定された計測基準線L
mの方向D
mに対する目標物1、他の移動体または基点P
sの物体の方位を計測し、当該相対位置計測装置5の距離計測部5bは、この距離計測部5bから、計測した当該方位に存在する目標物1、当該他の移動体、または、基点P
sの物体までの距離を計測する。なお、移動体に設定された計測基準線L
mの方向D
mは、当該移動体に固定された第1設定点(例えば、移動体の中心)から、第1設定点と間隔をおいて当該移動体に固定された第2設定点へ向かう方向である。すなわち、第1設定点から延びて第2設定点を通る半直線が計測基準線L
mである。本願において、計測基準線L
mの方向D
mに対する目標物1、移動体または基点P
sの方位とは、移動体(すなわち、当該計測基準線L
mの第1設定点)から見た、計測基準線L
mに対する目標物1、他の移動体または基点P
sの方位を意味する。また、移動体の相対位置計測装置5が、当該移動体と基点P
s点との相対位置を計測できるように、基点P
sに物体を人が予め設置しておく。
【0043】
基点P
sに設けた相対位置計測装置5は、移動体に設けた相対位置計測装置5と同じ構成を有する。基点P
sに設けられた相対位置計測装置5の方位計測部5aは、基点P
sに設定された計測基準線L
mに対する移動体の方位を計測し、当該相対位置計測装置5の距離計測部5bは、この距離計測部5bから、計測した当該方位に存在する基点P
sの物体までの距離を計測する。
【0044】
移動体と基点P
sに設けられた各方位計測部5aは、例えば、次のように、カメラと画像処理装置とにより構成されている。カメラは、計測基準線L
mの方向D
mを向くように、または、計測基準線L
mの方向D
mに対して既知の角度だけ傾いた方向を向くように移動体または基点P
sに設置される。画像処理装置は、カメラにより撮像した画像において、その画像の中心位置と対象物(目標物1、移動体、または、基点P
sの物体)との位置関係に基づいて、この対象物が位置する方位を求める。
【0045】
画像処理装置による画像処理について説明する。
【0046】
前記対象物が移動体である場合には、画像処理装置は、移動体に設けられた指標を、前記画像内において移動体の位置として特定してよい。指標は、一例では、特許文献2のように、特定のパターンで輝度が変化する発光ダイオードである。この場合、カメラを用いて、短い設定時間にわたる動画を画像として撮像し、画像処理装置は、画像において、特定のパターンで輝度が変化する画素の位置を、指標の位置として特定する。指標は、別の例では、特許文献3、4に記載されたような幾何学的模様である。この場合、画像処理装置は、幾何学的模様と同じ模様を予め記憶しており、カメラを用いて得た画像において、予め記憶した当該模様と同じ模様の部分を、指標の位置として特定する。
【0047】
対象物が目標物1である場合には、画像処理装置は、画像内において、予め求められている目標物1の形状データに整合する部分を特定し、この部分を目標物1の位置P
tとして特定してよい。
【0048】
対象物が基点P
sの物体である場合には、画像処理装置は、基点P
sに設けられた指標を、前記画像内において移動体の位置として特定してよい。この指標と、画像において指標の位置を特定する方法とは、移動体に設けた指標の場合と同じである。すなわち、指標は、基点P
sに設けた物体としての上述の発光ダイオードであってもよいし、または、基点P
sの物体に設けた幾何学的模様であってよい。
【0049】
なお、複数の移動体に設けた指標は、互いに識別できるように設定されており、各移動体に設けた指標と、基点P
sに設けた指標とも、互いに識別できるように設定されている。
【0050】
移動体と基点P
sに設けられた各距離計測部5bは、レーザ距離計であってよい。レーザ距離計は、方位計測部5aが計測した対象物(目標物1、移動体、または、基点P
sの物体)の方位に、レーザ光を射出し、当該方位において存在する前記対象物から反射した当該レーザ光を受け、当該レーザ光を射出した時点と、当該レーザ光の反射光を受けた時点との時間差に基づいて、レーザ距離計から、当該方位において存在する前記対象物までの距離を計測する。
【0051】
相対位置計測装置5は、
図2の例では、支持部8に設置されている。支持部8は、移動体の本体に対し、回転軸(ここでは鉛直軸)回りに回転可能に当該移動体に設けられている。この場合、移動体の支持部8は、これに設置された相対位置計測装置5が、当該移動体と、目標物1、基点P
sの物体または他の移動体との相対位置を継続して計測できるように前記回転軸回りの支持部8の回転角が制御される。例えば、前記画像の中央部内に、目標物1、基点P
sの物体または他の移動体が位置するように、支持部8の回転角が制御される。支持部8を設ける場合、計測基準線L
mは、移動体の本体に固定されている。なお、基点P
sに設けた相対位置計測装置5も、回転軸(ここでは鉛直軸)回りに回転可能に基点P
sに設けられた支持部8に設置されてよい。この支持部8の回転は、この支持部8に設置された相対位置計測装置5が、移動体の支持部8と同様に、基点P
sと移動体との相対位置を継続して計測できるように制御されてよい。
【0052】
上述の構成により、各移動体の相対位置計測装置5は、以下のように相対位置を計測する。
【0053】
複数の移動体3a,3b,3c,3dの少なくともいずれか(
図1の例では、すべての移動体3a,3b,3c,3d)の相対位置計測装置5が、当該移動体と目標物1との相対位置(以下、目標物相対位置ともいう)を計測する。また、複数の移動体3a,3b,3c,3dの少なくともいずれか(
図1の例では、移動体3a,3b)の相対位置計測装置5が、当該移動体と基点P
sとの相対位置(以下、基点相対位置ともいう)を計測する。さらに、移動体3a,3b,3c,3d同士の相対位置を、これらの移動体3a,3b,3c,3dの相対位置計測装置5により計測する。
【0054】
(目標物との相対位置)
本実施形態では、
図1のように、複数の移動体3a,3b,3c,3dに含まれる2つ以上の移動体の各々に設けられた相対位置計測装置5が、当該移動体と目標物1との相対位置(目標物相対位置)を計測する。
図1の例では、次のように、移動体3a,3b,3c,3dが、目標物相対位置を計測している。移動体3aの相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する目標物1の方位θ
atと、当該相対位置計測装置5から当該方位θ
atに存在する目標物1までの距離r
atとを、当該移動体3aと目標物1との相対位置として計測する。移動体3bの相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する目標物1の方位θ
btと、当該相対位置計測装置5から当該方位θ
btに存在する目標物1までの距離r
btとを、当該移動体3bと目標物1との相対位置として計測する。同様に、移動体3cの相対位置計測装置5は、方位θ
ctと距離r
ctを、当該移動体3cと目標物1との相対位置として計測し、移動体3dの相対位置計測装置5は、方位θ
dtと距離r
dtを、当該移動体3dと目標物1との相対位置として計測する。
【0055】
(基点との相対位置)
また、本実施形態では、複数の移動体3a,3b,3c,3dに含まれる2つ以上の移動体の各々に設けられた相対位置計測装置5が、当該移動体と基点P
sとの相対位置(基点相対位置)を計測する。
図1の例では、次のように、移動体3a,3bが、基点相対位置を計測している。移動体3aの相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する基点P
sの物体の方位θ
asと、当該移動体3aから当該方位θ
asに存在する基点P
sの物体までの距離r
asとを、当該移動体3aと基点P
sとの相対位置として計測する。同様に、移動体3bの相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する基点P
sの物体の方位θ
bsと、当該移動体3bから当該方位θ
bsに存在する基点P
sの物体までの距離r
bsとを、当該移動体3bと基点P
sとの相対位置として計測する。
【0056】
本実施形態では、基点P
sに設けた相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する移動体3aの方位θ
saと、基点P
sから当該方位θ
saに存在する移動体3aまでの距離r
saとを、基点P
sと移動体3aとの相対位置として計測する。また、基点P
sに設けた相対位置計測装置5は、計測基準線L
mに対する移動体3bの方位θ
sbと、基点P
sから、当該方位θ
sbに存在する移動体3bまでの距離r
sbとを、基点P
sと移動体3bとの相対位置として計測する。ここで、計測基準線L
mは、基点P
sから、基点P
sと間隔をおいて設定された点へ延びており、基点P
sに固定されており、また、計測基準線L
mに対する方位とは、基点P
sから見た方位である。
【0057】
(移動体同士の相対位置)
移動体同士の相対位置を、次のように計測する。互いに相対位置が計測可能な1組の移動体のうち、一方の移動体の相対位置計測装置5は、当該一方の移動体と他方の移動体との相対位置を第1相対位置として計測し、他方の移動体の相対位置計測装置5は、当該他方の移動体と前記一方の移動体との相対位置を第2相対位置として計測する。移動体同士の相対位置は、互いに相対位置が計測可能な移動体の組毎に得られた第1相対位置と第2相対位置からなる。
【0058】
図3の例では、以下のように、移動体3a,3b同士、移動体3b,3c同士、移動体3c,3d同士、および、移動体3d,3a同士が、互いの相対位置を計測し合う。
図3は、
図1と同じ状態を示す平面図である。すなわち、
図3における複数の移動体3a,3b,3c,3dと基点P
sと目標物1は、それぞれ、
図1における複数の移動体3a,3b,3c,3dと基点P
sと目標物1と同じ位置にある。
【0059】
移動体3a,3b同士では、移動体3aの相対位置計測装置5は、移動体3aと移動体3bとの相対位置θ
ab,r
abを第1相対位置として計測し、移動体3bの相対位置計測装置5は、移動体3bと移動体3aとの相対位置θ
ba,r
baを第2相対位置として計測する。ここで、第1相対位置のθ
abは、移動体3aの計測基準線L
mに対する移動体3bの方位であり、第1相対位置のr
abは、移動体3aから、方位θ
abに存在する移動体3bまでの距離である。同様に、第2相対位置のθ
baは、移動体3bの計測基準線L
mに対する移動体3aの方位であり、第2相対位置のr
baは、移動体3bから、方位θ
baに存在する移動体3aまでの距離である。
【0060】
移動体3b,3c同士では、移動体3bの相対位置計測装置5は、移動体3bと移動体3cとの相対位置θ
bc,r
bcを第1相対位置として計測し、移動体3cの相対位置計測装置5は、移動体3cと移動体3bとの相対位置θ
cb,r
cbを第2相対位置として計測する。ここで、第1相対位置のθ
bcは、移動体3bの計測基準線L
mに対する移動体3cの方位であり、第1相対位置のr
bcは、移動体3bから、方位θ
bcに存在する移動体3cまでの距離である。同様に、第2相対位置のθ
cbは、移動体3cの計測基準線L
mに対する移動体3bの方位であり、第2相対位置のr
cbは、移動体3cから、方位θ
cbに存在する移動体3bまでの距離である。
【0061】
同様に、移動体3c,3d同士では、移動体3cの相対位置計測装置5は、移動体3cと移動体3dとの相対位置θ
cd,r
cdを第1相対位置として計測し、移動体3dの相対位置計測装置5は、移動体3dと移動体3cとの相対位置θ
dc,r
dcを第2相対位置として計測する。同様に、移動体3d,3a同士では、移動体3dの相対位置計測装置5は、移動体3dと移動体3aとの相対位置θ
da,r
daを第1相対位置として計測し、移動体3aの相対位置計測装置5は、移動体3aと移動体3dとの相対位置θ
ad,r
adを第2相対位置として計測する。
【0062】
上述のように各相対位置計測装置5が計測した相対位置は、演算装置7に送信される。本実施形態では、各移動体3a,3b,3c,3dに設けられた相対位置計測装置5が計測した上述の各相対位置は、当該移動体に設けた通信部9(
図2を参照)により、演算装置7に設けた通信部11(
図1を参照)へ送信される。これにより、演算装置7は、各相対位置を得る。
【0063】
好ましくは、各移動体の相対位置計測装置5は、時刻をカウントする時刻計測部(図示せず)を有している。これらの時刻計測部は、互いに同期させられている。各移動体の通信部9は、例えば、指令部(図示せず)から無線通信により、計測指令と指令計測時刻とを受信する。これにより、当該移動体の相対位置計測装置5は、時刻計測部が示す時刻に基づいて、受信した指令計測時刻に、もしくは、当該指令計測時刻から微小の経過時間内に、上述した各相対位置を計測する。このようにして、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを算出するのに演算装置7が用いる目標物相対位置と、基点相対位置と、第1相対位置と第2相対位置とは、同じ時刻、または、同じ時刻から微小の経過時間内に計測されたデータとなる。
したがって、複数の移動体3a,3b,3c,3dの少なくともいずれかが移動している時に、複数の移動体3a,3b,3c,3dの相対位置計測装置5が、上述のように、基点相対位置と、目標物相対位置と、第1相対位置および第2相対位置を計測した場合であっても、これらの相対位置に基づいて演算装置7は、後述するように、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを精度よく算出できる。したがって、複数の移動体が、移動している目標物1に追従するように移動しながら、各相対位置を計測することができる。
【0064】
また、各移動体の相対位置計測装置5は、計測した上述の相対位置が、当該移動体と、目標物1、基点P
sまたは他の移動体との相対位置であることを示す識別データを生成する。各移動体の相対位置計測装置5が計測した各相対位置と、当該相対位置に対応する識別データとが、互いに関連づけられて、通信部9により演算装置7の通信部11に送信される。これにより、演算装置7は、後述するように基点P
sに対する目標物1の位置P
tを算出する時に、各識別データを利用する。
【0065】
<演算装置>
演算装置7は、各相対位置計測装置5から受けた目標物相対位置、基点相対位置、および、移動体3a,3b,3c,3d同士の相対位置(第1相対位置と第2相対位置)に基づいて、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを算出する。
したがって、目標物1と基点P
sとの間に障害物が存在しており、GPS装置を使用しない場合でも、基点P
sから見た目標物1の位置P
tを幾何学的に求めることができる。本実施形態では、好ましくは、GPS装置により各移動体の位置を求めない。
なお、演算装置7は、例えば
図1のように基点P
s付近に設けられていてもよいし、いずれかの移動体3a,3b,3c,3dに設けられていてもよい。
【0066】
図1、3の例では、演算装置7は、複数の目標物相対位置と、複数の基点相対位置と、複数組の第1相対位置と第2相対位置に基づいて、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを求める。これにより、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを高精度に求めることができる。ここで、説明の便宜上、1つの目標物相対位置または複数の目標物相対位置の各々を、1つの計測データとし、1つの基点相対位置または複数の基点相対位置の各々を、1つの計測データとし、第1相対位置と第2相対位置の各々を、1つの計測データとする。得られたすべての複数の計測データの一部を選択してなるものを1組として、複数種類の組から、それぞれ、基点P
sに対する目標物1の複数の位置を幾何学的に求めることができる。したがって、好ましくは、演算装置7は、複数種類の組から、それぞれ、基点P
sに対する目標物1の複数の位置を幾何学的に求め、求めた当該複数の位置の平均を、基点P
sに対する目標物1の(最終的な)位置P
tとして算出する。例えば、演算装置7は、
図1において、r
asとr
atとθ
atとθ
asとθ
saからなる組から幾何学的に求まる基点P
sに対する目標物1の位置と、r
bsとr
btとθ
btとθ
bsとθ
sbからなる組から幾何学的に求まる基点P
sに対する目標物1の位置との平均を、基点P
sに対する目標物1の(最終的な)位置P
tとして算出する。この例では、2組から最終的な位置P
tを求めたが、演算装置7は、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを幾何学的に求めることができる任意の複数(例えばすべて)の組から、それぞれ、基点P
sに対する目標物1の複数の位置を幾何学的に求め、これらの位置の平均を、基点P
sに対する目標物1の(最終的な)位置P
tとして算出してもよい。
【0067】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、以下の変更例1〜6のいずれかを単独で採用してもよいし、変更例1〜5を任意に組み合わせて採用してもよい。この場合、以下で述べない点は、上述と同じである。
【0068】
[変更例1]
複数の移動体を用いて、以下の相対位置取得方法1〜4のいずれかを行ってよい。なお、この変更例は、上述の実施形態と一部重複する。
【0069】
(相対位置取得方法1)
基点P
sとの相対位置(基点相対位置)を計測した移動体(基点計測移動体)の相対位置計測装置5が、当該基点計測移動体と他の移動体との相対位置を計測する場合において、当該他の移動体(目標物計測移動体)の相対位置計測装置5が、当該目標物計測移動体と目標物1との相対位置を計測し、当該目標位置計測移動体と基点計測移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を直接計測し合う。
【0070】
(相対位置取得方法2)
1つの移動体(基点計測移動体)の相対位置計測装置5が、当該基点計測移動体と基点P
sとの相対位置(基点相対位置)を計測し、別の移動体(目標物計測移動体)の相対位置計測装置5が、当該目標物計測移動体と目標物1との相対位置(目標物相対位置)を計測する場合において、次のように、さらに別の移動体(中継移動体という)を用いてよい。
1台の中継移動体が設けられる場合には、中継移動体と基点計測移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、中継移動体と目標物計測移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
nを2以上の整数であるとして、n台の中継移動体が設けられる場合には、1番目の中継移動体と基点計測移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、1番目の中継移動体と2番目の中継移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、・・・(n−1)番目の中継移動体とn番目の中継移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合い、n番目の中継移動体と目標物計測移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
【0071】
なお、ここでは、各中継移動体の相対位置計測装置5は、当該中継移動体と基点P
sとの相対位置を計測せず、かつ、当該中継移動体と目標物1との相対位置を計測しなくてよい。
【0072】
(相対位置取得方法3)
上述した相対位置取得方法1または2において、上述した移動体以外に移動体を用いなくてもよいし、上述した移動体(基本移動体という)に加え、さらなる移動体(補助移動体という)を用いてもよい。なお、基本移動体は、上述した基点計測移動体、目標物計測移動体、または中継移動体である。
補助移動体の相対位置計測装置5は、当該補助移動体と、基点P
sまたは目標物1との相対位置を計測し、かつ、当該補助移動体といずれかの基本移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
【0073】
なお、補助移動体を、1つ設けてもよいし、複数設けてもよい。複数の補助移動体を設ける場合には、1台目の補助移動体の相対位置計測装置5は、当該1台目の補助移動体と、基点P
sまたは目標物1との相対位置を計測し、かつ、当該1台目の補助移動体といずれかの基本移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合うが、2台目以降の各補助移動体(追加補助移動体という)の相対位置計測装置5は、当該追加補助移動体と、基点P
sまたは目標物1との相対位置を計測し、かつ、当該追加補助移動体の相対位置計測装置5と、いずれかの基本移動体または他の補助移動体(1台目の補助移動体または他の追加補助移動体)の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を、直接、計測し合う。
【0074】
(相対位置取得方法4)
上述した相対位置取得方法1、2または3の場合に、基点P
sに相対位置計測装置5を設けなくてもよい。
【0075】
代わりに、上述した相対位置取得方法1、2または3の場合に、基点P
sに相対位置計測装置5を設けてもよい。この場合、基点P
sに設けた相対位置計測装置5は、基点P
sと、上述した移動体(基点計測移動体、目標物計測移動体、中継移動体、補助移動体など)のうち少なくともいずれかとの相対位置を計測する。
【0076】
(演算装置の処理)
上述した相対位置取得方法1、2、3または4を行う場合において、演算装置7は、当該位置取得方法で計測されたすべての相対位置に基づいて、基点P
sに対する目標物1の位置を求める。ここで、すべての相対位置は、基準相対位置、目標物相対位置、および、互いの移動体同士の相対位置(第1相対位置と第2相対位置)を含む。
【0077】
なお、相対位置取得方法1、2によれば、目標物1が、基点P
sから遠くに位置していても、または、計測の妨げとなる障害物が存在していても、1組または複数組の第1相対位置と第2相対位置を計測することにより、各移動体が、自己の絶対位置を計測する装置(例えばGPS装置)を有していなくても、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを求めることができる。
【0078】
また、相対位置取得方法3によれば、相対位置の計測データが増えるので、基点P
sに対する目標物1の位置P
tの計測精度が向上する。
【0079】
[変更例2]
図2では、各移動体に1つの相対位置計測装置5を設けていた。しかし、好ましくは、移動体から見て広範囲の方位(例えば、すべての方位)において、当該移動体と、目標物1、基点P
sまたは他の移動体との相対位置を計測できるように、各移動体の相対位置計測装置5を構成する。例えば、各移動体に、複数の相対位置計測装置5を設けてよい。これにより、1つの移動体における複数の相対位置計測装置5は、それぞれ、当該移動体とある対象物(例えば他の移動体)との相対位置と、当該移動体と別の対象物(例えば目標物1)との相対位置とを同時に計測しやすくなる。
【0080】
例えば、
図4に示すように移動体に設けた2つの相対位置計測装置5(すなわち、2組の方位計測部5aの前記カメラと前記レーザ距離計5b)のうち、一方は、当該移動体と目標物1との相対位置を計測するのに専用の装置とし、他方は、当該移動体と他の移動体または基点P
sとの相対位置を計測するのに専用の装置としてよい。
図4(A)は、移動体3aの平面図であり、
図4(B)は、
図4(A)のB−B線矢視図である。他の移動体3b,3c,3dも
図4と同じ構成を有していてよい。
【0081】
図4において、各相対位置計測装置5は、回転軸(この例では鉛直軸)回りに回転可能な支持部8に設置されている。この場合、支持部8は、これに設置された相対位置計測装置5が、該移動体と、目標物1、基点P
sまたは他の移動体との相対位置を継続して計測できるように前記回転軸回りの支持部8の回転角が制御される。例えば、前記画像の中央部内に、目標物1、基点P
sまたは他の移動体が位置するように、支持部8の回転角が制御される。
【0082】
同様に、基点P
sにも、複数の相対位置計測装置5を設けてよい。
【0083】
[変更例3]
上述では、各移動体の相対位置計測装置5は、指令計測時刻において、もしくは、当該指令計測時刻から微小の経過時間内に、上述した各相対位置を計測したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数の移動体の相対位置計測装置5は、それぞれ、基点相対位置と、目標物相対位置と、第1相対位置と、第2相対位置とを時々刻々と(すなわち、複数の時点で)計測し、計測した当該相対位置と、当該相対位置の計測時刻とを計測データとして、通信部9により、演算装置7の通信部11に送信してよい。
この場合、演算装置7は、複数の移動体の通信部9から時々刻々と送信されてくる計測データに基づいて、ベイズフィルタ(好ましくはカルマンフィルタ)を用いて、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを時々刻々と更新してよい。これにより、演算装置7は、基点P
sに対する目標物1の最新の位置を算出することができる。
【0084】
この変形例3では、通信部9は、指令計測時刻を受信しなくてもよい。
【0085】
[変更例4]
基点P
sは、砲弾を発射する発射装置の位置にあるか、または、発射装置の位置に対する既知の相対位置にあるとする。予定発射時点において発射装置から目標物1に向けて砲弾を発射させる場合に、以下のように、演算装置7は、目標物1に砲弾が到達する未来の時点における発射装置に対する目標物1の位置を算出するのがよい。すなわち、以下の処理X1、X2、X3が行われる。
【0086】
処理X1では、演算装置7は、複数の時点における、基点P
sに対する目標物1の位置を算出する。この算出は、例えば、次の方法1または方法2により行われてよい。
(方法1)
複数の時点において、少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置5が、目標物相対位置を計測し、少なくとも1つの移動体の相対位置計測装置5が、基点相対位置を計測し、複数の移動体の相対位置計測装置5が、互いの移動体同士の相対位置を計測し合う。演算装置7は、前記複数の時点で計測された目標物相対位置と、前記複数の時点で計測された基点相対位置と、前記複数の時点で計測された移動体同士の相対位置とに基づいて、複数の時点における、基点P
sに対する目標物1の位置を算出する。
(方法2)
上述の変更例3において、演算装置7が、複数の移動体の通信部9から時々刻々と送信されてくる前記計測データに基づいて、ベイズフィルタ(好ましくはカルマンフィルタ)を用いて、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを時々刻々と更新する場合に、複数の時点でそれぞれ更新された、基点P
sに対する目標物1の複数の位置P
tを、複数の時点における基点P
sに対する目標物1の位置としてもよい。
【0087】
処理X2では、処理X1で算出された、複数の時点における基点P
sに対する目標物1の位置に基づいて、基点P
sに対する目標物1の移動速度を算出する。ここで、移動速度は、目標物1が移動する方向と、目標物1の移動速度の大きさを意味する。
【0088】
処理X3では、演算装置7は、処理X2で算出した目標物1の移動速度と、予定発射時点と、予定発射時点における基点P
sに対する目標物1の位置とに基づいて、目標物1に砲弾が到達する未来の時点における発射装置に対する目標物1の位置を算出する。基点P
sが発射装置の位置に対する既知の相対位置にある場合には、演算装置7は、さらに当該既知の相対位置にも基づいて、前記未来の時点における発射装置に対する目標物1の位置を算出する。
【0089】
ここで、予定発射時点は、人が適宜の入力装置により指定した時点であってよい。この場合、演算装置7の記憶部に、指定された予定発射時点が記憶されている。代わりに、予定発射時点は、処理X3が行われた時点から設定時間だけ経過した時点であってもよい。この場合、演算装置7の記憶部に、設定時間が記憶されている。なお、演算装置7は、各時点を認識できるように、時間を計測する時間計測部を含んでいるか、または、計測された時間を受信する。
【0090】
また、処理X3に関して、予定発射時点における発射装置に対する目標物1の位置は、処理X2で算出された目標物1の移動速度と、前記複数の時点のいずれか(好ましくは最新の時点)における基点P
sに対する目標物1の位置とに基づいて、演算装置7により算出されてよい。
【0091】
また、処理X3において、演算装置7は、砲弾の特性(例えば、重量、空気抵抗、発射速度など)と、予定発射時点以降の各時点における基点P
s(または発射装置)に対する目標物1の位置とにも基づいて、シミュレーションにより、目標物1に砲弾が到達する未来の時点における発射装置に対する目標物1の位置を算出してよい。ここで、予定発射時点以降の各時点における基点P
s(または発射装置)に対する目標物1の位置は、処理X2で算出した目標物1の移動速度と、予定発射時点における基点P
sに対する目標物1の位置とに基づいて、演算装置7により算出されてよい。
【0092】
[変更例5]
上述のように算出された基点P
sに対する目標物1の位置P
t(例えば、未来の時点における発射装置に対する目標物1の位置)に基づいて、発射装置による砲弾の発射(例えば発射方向)が調節されて、発射装置から砲弾が発射される。これにより、砲弾が目標物に命中したか否かは、目標物計測移動体(例えば、目標物計測移動体に設けたカメラ)により確認でき、命中しなかった場合は、上述した方法により、位置取得装置10が、基点P
sに対する目標物1の位置P
tを再び取得して、上述と同様に、再度、砲弾を発射することもできる。
【0093】
[変更例6]
上述では、2次元平面(
図1、3の紙面)上において、基点相対位置と、目標物相対位置と、第1相対位置および第2相対位置を、(それぞれ、この2次元平面に含まれ互いに直交するx軸とy軸の各座標値として)計測したが、基点相対位置と、目標物相対位置と、第1相対位置および第2相対位置は、3次元空間内における相対位置であってもよい。