特許第6286181号(P6286181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286181
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20180215BHJP
   F16L 11/11 20060101ALN20180215BHJP
【FI】
   D06F39/08 311B
   !F16L11/11
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-219735(P2013-219735)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-80592(P2015-80592A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏治
(72)【発明者】
【氏名】友部 克史
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−068785(JP,A)
【文献】 特開平10−314495(JP,A)
【文献】 特開2013−056144(JP,A)
【文献】 特開2000−042290(JP,A)
【文献】 特開昭56−097497(JP,A)
【文献】 特開2010−001899(JP,A)
【文献】 米国特許第05582199(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた内槽と、この内槽を回転駆動する駆動装置と、前記外槽を支持する筺体と、前記外槽内の水を排出する排水ホースを備え、前記筺体は、筺体本体部と、この筺体本体部を載置するベース部を有し、前記ベース部に、前記排水ホースを下方から嵌め込むホース収容部を形成した洗濯機において、
前記排水ホースは、樹脂組成物で形成され、内周面に直管形状を有し、外周面に排水ホースの中心軸周りに旋回するように形成される螺旋形状を有しており、
前記ホース収容部の下部を形成し下方へ向けて開口幅が狭まる第1のガイド壁面と、この第1のガイド壁面から前記ベース部の下端へ向けて開口幅が広がる第2のガイド壁面を有し、前記ベース部の下端における前記第2のガイド壁面の開口幅は、前記排水ホースの直径及び前記ホース収容部の略中心高さにおける開口幅よりも大きくし、
前記第1のガイド壁面と前記第2のガイド壁面との間に、前記第2のガイド壁面の開口幅及び前記ホース収容部の略中心高さにおける開口幅よりも小さい開口幅を有する凸部を形成し、前記第1のガイド壁面及び前記第2のガイド壁面と前記ベース部との間に空隙を有して前記凸部は形成され、該凸部を弾性変形させることで前記排水ホースを前記ホース収容部へ嵌め込む構成としたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1において、前記排水ホースは、内面が長さ方向に平坦に形成され、外面が長さ方向に凹凸形状が連なるように形成されたものであることを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2において、前記凹凸形状は、前記排水ホースの中心軸周りに旋回するように形成される螺旋形状で構成されることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗濯機の洗濯工程、すすぎ工程、脱水工程等の運転時に生じた排水は、洗濯兼脱水槽から所定の配管(排水ホース)を介して下水道に排出される。従来、洗濯機の排水ホースとしては、軟質低弾性の熱可塑性樹脂を蛇腹形状に成形して柔軟屈曲性を付与したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような排水ホースによれば、その柔軟屈曲性によって、洗濯機内における配管回し、下水道の排水口に接続する際の折り曲げ等が容易となる。また、前述の排水ホースを洗濯機のベース部に固定する手段として、図7に示すように、ベース部のホース収容部71にあらかじめフック形状73を設けておき、排水ホースを潰して弾性変形させた状態で挿入し、戻すことで固定するという手段が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−23489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような通常の排水ホースではなく、変形し難い排水ホースをホース収容部に挿入する場合、ホース収容部の壁面やフック形状の端面に接触して、排水ホースが傷つけられて穴が開いてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ベース部への収納時に排水ホースが傷つき難い洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、洗濯水を溜める外槽と、この外槽内に回転可能に設けた内槽と、この内槽を回転駆動する駆動装置と、前記外槽を支持する筺体と、前記外槽内の水を排出する排水ホースを備え、前記筺体は、筺体本体部と、この筺体本体部を載置するベース部を有し、前記ベース部に、前記排水ホースを下方から嵌め込むホース収容部を形成した洗濯機において、前記排水ホースは、樹脂組成物で形成され、内周面に直管形状を有し、外周面に排水ホースの中心軸周りに旋回するように形成される螺旋形状を有しており、前記ホース収容部の下部を形成し下方へ向けて開口幅が狭まる第1のガイド壁面と、この第1のガイド壁面から前記ベース部の下端へ向けて開口幅が広がる第2のガイド壁面を有し、前記ベース部の下端における前記第2のガイド壁面の開口幅は、前記排水ホースの直径及び前記ホース収容部の略中心高さにおける開口幅よりも大きくし、前記第1のガイド壁面と前記第2のガイド壁面との間に、前記第2のガイド壁面の開口幅及び前記ホース収容部の略中心高さにおける開口幅よりも小さい開口幅を有する凸部を形成し、前記第1のガイド壁面及び前記第2のガイド壁面と前記ベース部との間に空隙を有して前記凸部は形成され、該凸部を弾性変形させることで前記排水ホースを前記ホース収容部へ嵌め込む構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベース部への収納時に排水ホースが傷つき難い洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の外観斜視図である。
図2図1の洗濯機(洗濯乾燥機)における筐体の内部を示す概略図である。
図3】(a)は、本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)で使用される排水ホースの部分断面図、(b)は、(a)の排水ホースの変形例を示す部分断面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)における筐体の内部を示す概略図である。
図5】本発明の実施形態におけるベース部を下方から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態におけるホース収容部付近の構造を示す図である。
図7】従来のホース収容部付近の構造(比較例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係る洗濯機は、雑菌の繁殖を抑制した排水ホースを備えることを主な特徴とする。
【0012】
以下では、本実施形態に係る洗濯機の全体構成を説明した後に、排水ホースHについて説明し、その後、排水ホースHの収納構造について説明する。なお、本実施形態では、洗濯機として、洗濯から乾燥までの工程を行うことができる洗濯乾燥機を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の外観斜視図である。図2は、図1の洗濯機(洗濯乾燥機)における筐体の内部を示す概略図である。
(洗濯乾燥機)
図1に示すように、洗濯乾燥機1Aは、洗濯兼脱水槽8(内槽、図2参照)の回転軸が略鉛直方向の縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)である。この洗濯乾燥機1Aの筐体2の上部には上面カバー2aが設けられており、上面カバー2aには外蓋3が設けられている。外蓋3は、山型に折れ曲がりながら後ろ側に開くことにより、開口部2b(図2参照)を開口し、洗濯兼脱水槽8(図2参照)に衣類等(洗濯物)が出し入れ可能になっている。
【0014】
上面カバー2aの奥側(後側)には、水道栓からの給水ホース接続口4及び風呂の残り湯の吸水ホース接続口5が設けられている。上面カバー2aの手前側には、電源スイッチ6が設けられ、外蓋3の手前側には、操作スイッチ7a及び表示器7bからなる操作パネル7が設けられている。
【0015】
図2に示すように、洗濯乾燥機1Aは、筐体2内に、洗濯兼脱水槽8、外槽9、駆動装置10、洗剤・仕上剤の投入装置11、給水ユニット12A、乾燥ダクト20等を備えている。なお、筺体2は、筺体本体部と、この筺体本体部を載置するベース部60(図5参照)を有している。また、ベース部60には、ホース収容部61が形成され、後述する排水ホースHを下方から嵌め込んで収納することが可能となっている。
【0016】
洗濯兼脱水槽8は、有底円筒形状を呈し、ステンレス鋼板等で形成された胴板8aを有している。胴板8aには、通水及び通風のための多数の貫通孔8a1(一部のみ図示)が形成されている。洗濯兼脱水槽8は、内側底面に回転翼8bを備える。
【0017】
外槽9は、有底円筒形状を呈し、洗濯兼脱水槽8を同軸上に内包し、その上部に外槽カバー9aを備えて構成されている。洗濯乾燥機1Aの使用者は、外蓋3及び外槽カバー9aの蓋部材9cを開くことにより、開口部2bから洗濯兼脱水槽8内に洗濯物の出し入れを行うことができる。
【0018】
駆動装置10は、外槽9の底面の外側中央に配置されている。この駆動装置10は、モータ10aとクラッチ機構10bとを有し、駆動装置10の回転軸10cが外槽9を貫通し、洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bと結合するように構成されている。クラッチ機構10bは、モータ10aの回転動力を洗濯兼脱水槽8及び回転翼8bの少なくともいずれかに伝達する機能を有する。モータ10aは、その回転を検出するホール素子あるいはフォトインタラプタ等で構成される回転検出装置28と、モータ10aに流れる電流を検出するモータ電流検出装置29を備える。
【0019】
投入装置11は、上面カバー2aの手前側に備えられる。洗剤や仕上剤の投入は、投入ホース11aにより後記する水道水と共に外槽9と洗濯兼脱水槽8の間に行われる。
【0020】
給水ユニット12Aは、上面カバー2aの奥側に設けられる。この給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を投入装置11、後記する水冷除湿機構(図示せず)へ給水する。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水や吸水ホース接続口5(図1参照)からの風呂水を、注水ホース11bを介して、外槽9と洗濯兼脱水槽8の間から外槽9内に注水することができる。また、給水ユニット12Aは、給水ホース接続口4からの水道水を、洗浄ホース11cを介して洗濯兼脱水槽8の上部に注水することができる。
【0021】
外槽9の底面に設けられた落込部9mは、下部連通管13と連通している。下部連通管13は、排水弁14を介して、洗濯水排水路15と連通するように接続されている。
【0022】
そして、この下部連通管13及び洗濯水排水路15には、後に詳しく説明する排水ホースH(図3参照)が使用されている。
【0023】
ちなみに、排水弁14を閉弁することにより、外槽9内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9内の水(洗い水、すすぎ水)を、洗濯水排水路15を介して、洗濯乾燥機1Aの機外へ排水することができる。また、槽洗浄機構55の洗い水も、外槽9から落込部9mを介して下部連通管13及び洗濯水排水路15へと排水できるようになっている。
【0024】
また、下部連通管13は、筐体2の下部に設置された異物除去装置16及び循環ポンプ17を介して洗濯水循環水路18(一部省略)と連通するように接続されている。また、洗濯水循環水路18は、洗濯兼脱水槽8より上側に設けられた糸くず除去装置(図示せず)と連通するように接続されている。
【0025】
循環ポンプ17を駆動すると、外槽9内の水が、落込部9m及び下部連通管13を介して異物除去装置16に流入し異物が除去され、循環ポンプ17の吸込口に流入する。循環ポンプ17から送られた水は、洗濯水循環水路18を介して糸くず除去装置に流入し糸くずが除去され、糸くずが除去された水(循環水)は洗濯兼脱水槽8内に上部から散布するように注水される。
【0026】
乾燥ダクト20は、筐体2の背面内側に縦方向に設置され、ダクト下部は外槽9の落込部9mとゴム製の蛇腹管20aによって接続されている。乾燥ダクト20内には、水冷除湿機構(図示せず)が内蔵されており、給水ユニット12Aは、この水冷除湿機構に冷却水(水道水)を供給する。冷却水は乾燥ダクト20の壁面(ステンレス製等の金属プレート)を伝わって流下して落込部9mに入り、下部連通管13、洗濯水排水路15を通り機外へ排出される。
【0027】
乾燥ダクト20の出口はファン21の吸気口と接続され、ファン21の出口はヒータ22と接続されている。ヒータ22の出口は、送風ダクト23及びゴム製の蛇腹管23aを介して、吹出ノズル24と接続されている。
【0028】
つまり、ファン21が駆動すると、外槽9内の空気が落込部9mを介して乾燥ダクト20に流れ込む。そして、乾燥ダクト20で水冷除湿された空気は、ファン21から吐出され、次いでヒータ22で加熱された後、高温低湿の風となって吹出ノズル24から洗濯兼脱水槽8内に向けて吹き出される。
【0029】
なお、図示していないが、下部連通管13と排水弁14の間には、洗濯水の温度や、乾燥運転中に洗濯水排水路15から機外に排出される空気の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0030】
洗濯兼脱水槽8は、胴板8aの上端縁部に合成樹脂等で形成されたバランスリング(流体バランサともいう)8cを備えている。このバランスリング8cは、その内部に比重の大きな流体を封入して構成され、洗濯兼脱水槽8の回転時に洗濯物の偏り等によって偏心が生じたときに、バランスリング8c内での流体の移動によって偏心をキャンセルし、回転のバランスを維持する働きを有する。
【0031】
外槽カバー9aは、略半円形状の投入口を有し、外槽9の上端縁部に取り付けられる。なお、投入口には、開閉可能に取り付けられた蓋部材9cが設けられている。また、図示しないが、外槽カバー9aの奥側(後側)には、洗濯水循環水路18の端部が接続される接続口、蛇腹管23aが接続される接続口が設けられている。
【0032】
次に、本実施形態における排水ホースHについて説明する。
【0033】
本実施形態における排水ホースHは、前記したように、下部連通管13(図2参照)及び洗濯水排水路15(図2参照)に使用されている。さらに詳しく説明すると、図2中、網掛け(ドット)を付したように、全ての洗濯水排水路15と、落込部9mから排水弁14まで延在する下部連通管13のうち、振動源となる駆動装置10寄りに配置される部分及び外槽9の振動が伝わる落込部9m近傍部分を除いた下部連通管13部分と、に排水ホースHが使用されることが望ましい。
【0034】
図3(a)は、本発明の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)で使用される排水ホースHの部分断面図、図3(b)は、図3(a)の排水ホースHの変形例を示す部分断面図である。
【0035】
図3(a)に示すように、排水ホースHは、直管状の内周面を有すると共に、排水ホースHの中心軸Ax周りに旋回するように形成される螺旋形状をその外周面に有している。これにより、排水ホースHは、ホース内面42が長さ方向に平坦に形成され、ホース外面41が長さ方向に凹凸形状が連なるように形成されている。
【0036】
そして、凹凸形状を構成する螺旋山部41aの高さと、螺旋谷部41bの深さとは等しく、螺旋山部41aと螺旋谷部41bとの間隔は、長さ方向に等ピッチとなっている。
【0037】
このような本実施形態での排水ホースHは、抗菌防カビ剤を含む樹脂を、押出し成形法を使用して成形し得られたものである。
【0038】
なお、排水ホースHの成形方法としては、押出し成形法に限定されずに、例えば、RIM成形、注型、RI等の他の成形方法を使用することもできる。
【0039】
抗菌防カビ剤としては、例えば、銀、銅、亜鉛ゼオライト等の無機系の抗菌剤、イミダゾール系抗菌剤、チアゾリン系抗菌剤、アニオン性高分子と第4級アンモニウム塩との塩等の有機系の抗菌剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の他の抗菌防カビ剤を使用することもできる。
【0040】
樹脂としては、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、ニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共集合体、エチレン−酢酸ビニル共集合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、公知の他の軟質低弾性樹脂、中でも軟質低弾性の熱可塑性樹脂を好適に使用することもできる。
【0041】
排水ホースHを形成する抗菌防カビ剤含有の樹脂組成物における抗菌防カビ剤と樹脂との配合率としては、抗菌防カビ剤の抗菌力(防カビ力)に応じて決定することができるが、通常、抗菌防カビ剤を1〜15質量%の範囲内、樹脂を85〜99質量%の範囲内とすることができる。
【0042】
また、抗菌防カビ剤含有の樹脂組成物には、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、充填材、補強材、発泡剤、消泡剤、揺変性付与剤、帯電防止剤、分子量調整剤、高分子改質剤、難燃剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、エラストマー等の種々の添加剤を配合することができる。
【0043】
このような図3(a)に示す排水ホースHは、1種類の樹脂組成物から形成されるものを想定しているが、2種類以上の樹脂組成物で構成することもできる。
【0044】
図3(b)に示すように、この排水ホースHは、ホース内面42を形成する第1管状部材44と、この第1管状部材44の周面上で、凹凸形状を有するホース外面41を形成する第2管状部材43と、を備えている。
【0045】
第1管状部材44は、抗菌防カビ剤含有の樹脂組成物で円筒状に形成されたものである。
【0046】
第2管状部材43は、第1管状部材44の中心軸Axと同軸周りに旋回するように形成される螺旋形状をその外周面に有している。これにより、排水ホースHは、ホース内面42が長さ方向に平坦に形成され、ホース外面41が長さ方向に凹凸形状が連なるように形成されている。
【0047】
そして、第2管状部材43は、抗菌防カビ剤を含有しない樹脂組成物(抗菌防カビ剤非含有の樹脂組成物)で形成されている。
【0048】
次に、本実施形態における排水ホースHによる作用効果について説明する。
【0049】
本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aでは、外槽9内で所定の洗い工程、すすぎ工程、及び脱水工程のそれぞれが実行された後、外槽9内から洗い水(すすぎ水)が排出される際、並びに槽洗浄工程が実行された後、外槽9内から洗い水が排出される際に、この洗い水等は、落込部9m、下部連通管13及び洗濯水排水路15を介して洗濯乾燥機1Aの機外へ排水される。
【0050】
そして、下部連通管13及び洗濯水排水路15には、上述の排水ホースH(図3(a)及び(b)参照)が使用されている。
【0051】
ところで、上述したように、排水ホースH内を通流する洗い水には、洗濯物の汚れ、リント等が含まれている。そして、従来の洗濯機(例えば、特許文献1参照)では、洗濯物の汚れ等が排水ホースの内側に徐々に蓄積していき、洗剤カス、脂肪酸、雑菌等を含むフィルム状の汚れとなる。このようなフィルム状の汚れは、排水ホースの内側に強固に付着して雑菌繁殖による悪臭を洗濯機内に放つ。
【0052】
これに対して、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aの下部連通管13及び洗濯水排水路15に使用される排水ホースH(図3(a)及び(b)参照)は、従来の蛇腹状の内周面(螺旋状溝)を有するものと異なって、ホース内面42が長さ方向に平坦になっている。
【0053】
これにより、本実施形態での排水ホースHは、従来のものと異なってホース内面42に洗い水等が滞留するのを防止することができる。
【0054】
したがって、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aによれば、洗剤カス、脂肪酸、雑菌等を含むフィルム状の汚れがホース内面42に形成され難い。また、ホース内面42に汚れが付着したとしても、ホース内面42が平坦になっているので、排水時における洗い水等の水流によって汚れが除去され易い。
【0055】
よって、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aによれば、従来のものと異なって、ホース内面42に汚れが蓄積し難く、雑菌繁殖による悪臭の発生を防止することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aによれば、排水ホースHが抗菌防カビ剤含有の樹脂組成物で形成されているので、ホース内面42での雑菌繁殖を防止することができる。したがって、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aによれば、より確実に悪臭の発生を防止することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る洗濯乾燥機1Aによれば、ホース外面41が長さ方向に凹凸形状が連なるように形成されているので、フレキシブルでありながらも、強度が向上する。これにより、曲げによる排水ホースHのつぶれを防止することができる。
【0058】
また、図3(b)に示す排水ホースHによれば、第1管状部材44の厚さを薄くすると共に、樹脂組成物中の抗菌防カビ剤の配合率を増加させることで、ホース内面42への抗菌防カビ剤の移行性を向上させて抗菌防カビ性能を高めることができる。そして、第2管状部材43は、薄い第1管状部材44を補強することで、排水ホースHの全体強度を向上させることができる。そして、第2管状部材43は、抗菌防カビ剤を含まないので、構成される樹脂本来の特性(強度等)を十分に発揮することができる。
【0059】
しかし、薄い第1管状部材44を補強するために、第2管状部材43で排水ホースH全体の強度を向上させようとすると、排水ースH全体が硬くなり、排水ホースHをホース収容部61に挿入する際に内面方向へ変形し難く操作性が低下する。また、第1管状部材44が薄い為に、ホース収容部61の壁面もしくはフック形状72の端面(図7参照)に接触すると、傷つきにより穴が開く可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態における洗濯乾燥機1Aでは、ホース収容部61の下部を形成し下方へ向けて開口幅が狭まる第1のガイド壁面63aと、この第1のガイド壁面63aからベース部60の下端へ向けて開口幅が広がる第2のガイド壁面63bを設けた。そして、ベース部60の下端の位置における第2のガイド壁面63bの開口幅X3は、排水ホースHの直径よりも大きくした。このため、排水ホースHが内面方向に変形し難い構造のものであっても、第2のガイド壁面63bから第1のガイド壁面63aへスムーズに排水ホースHをホース収容部61へ送ることができる。
【0061】
また、図5および図6に示すように、本実施形態のホース収容部61は、ベース部60と一体で形成された上部壁面62と、上述した第1のガイド壁面63aとで形成される。ここで、第1のガイド壁面63aと第2のガイド壁面63bとは、ベース部60とは独立した薄板で成形されており、ベース部60との間に空隙を有している。なお、第2のガイド壁面63bの開口幅X3は、ホース収容部61の略中心高さにおける開口幅X1よりも大きい。このため、これらのガイド壁面は排水ホースHを挿入する際に、弾性変形し易く、排水ホースHを傷つけることなく、しかも簡単に作業することができる。また、第2のガイド壁面63bの形状は、開口端へ向けて平坦な形状にすると、排水ホースHの挿入作業が更に容易となる。第1のガイド壁面63aの形状は、排水ホースHの外形に沿った曲面形状としている。
【0062】
上述の実施形態では、縦型式洗濯機(縦型式洗濯乾燥機)に係る排水ホースHの収納の例について説明したが、これをドラム式洗濯乾燥機に適用しても良い。
【0063】
次に参照する図4は、本発明の他の実施形態に係る洗濯機(洗濯乾燥機)の筐体の内部を示す概略図である。
【0064】
図4に示すように、洗濯乾燥機1Bは、ドラム式洗濯乾燥機であり、筐体2A、破線で示す回転ドラム(内槽)8A、外槽9A、駆動装置10A等を備えている。
【0065】
図4に示すように、破線で示す回転ドラム8A(内槽)は、筐体2A内に設けられ、回転可能に支持された円筒状の洗濯兼脱水槽として機能するようになっている。この回転ドラム8Aは、前側(手前側)端面に衣類を出し入れするための開口部8dを有するとともに、その周壁及び底壁(奥側)に通水及び通風のための多数の貫通孔(図示省略)を有している。開口部8dの縁部には、回転ドラム8Aと一体のバランスリング8eが設けられている。また、回転ドラム8Aの内周壁には、奥行き方向(軸方向)に延びるリフタ8fが複数個設けられており、洗濯、乾燥時に回転ドラム8Aが回転すると、衣類等がリフタ8fと遠心力で周壁に沿って持ち上がり、重力で落下する動きを繰り返すようになっている。なお、回転ドラム8Aの回転中心は、開口部8d側が高くなるように傾斜している。
【0066】
外槽9Aは、回転ドラム8Aを同軸上に内包するとともに前面が開口した円筒状に形成され、内部が洗濯室及び乾燥室として機能するようになっている。外槽9Aの前面の開口には、合成樹脂製の外槽カバー9hが設けられ、外槽9A内への貯水を可能としている。外槽カバー9hの前側(手前側)中央には、衣類等を出し入れするための開口部9h1が形成されている。この開口部9h1と図示しない補強部材に設けた開口部は、ゴム製のパッキンで接続されている。このパッキンは、外槽9Aとドア3Aとの水密性を維持する役割を果たしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。外槽9Aの底面には、排水口9iが設けられている。
【0067】
この排水口9iには、ゴム製の蛇腹管13aを介して下部連通管13が接続されている。下部連通管13は、排水弁14を介して、洗濯水排水路15と連通するように接続されている。そして、この下部連通管13及び洗濯水排水路15には、上述した排水ホースH(図3参照)が使用される。
【0068】
ちなみに、排水弁14を閉弁することにより、外槽9A内に洗い水やすすぎ水を貯水可能となる。また、排水弁14を開弁することにより、外槽9A内の水(洗い水、すすぎ水)を、洗濯水排水路15を介して、洗濯乾燥機1Bの機外へ排水することができる。
【0069】
また、下部連通管13は、循環ポンプ17を介して洗濯水循環水路18(一部省略)と連通するように接続されている。また、洗濯水循環水路18は、回転ドラム8Aより上側に設けられた糸くず除去装置(図示せず)と連通するように接続されている。
【0070】
循環ポンプ17を駆動すると、外槽9A内の水が、排水口9i及び下部連通管13を介して循環ポンプ17の吸込口に流入する。循環ポンプ17から送られた水は、洗濯水循環水路18を介して糸くず除去装置に流入し糸くずが除去され、糸くずが除去された水(循環水)は回転ドラム8A内に上部から散布するように注水される。
【0071】
駆動装置10Aは、回転ドラム8Aを回転駆動するものであり、外槽9Aの背面中央に設けられている。なお、駆動装置10Aの回転軸10gは、外槽9Aを貫通し、回転ドラム8Aの背面に設けられた金属製フランジ10hと結合している。
【0072】
また、洗濯乾燥機1Bは、筐体2Aの内部に送風ダクト(送風路)20Aを備えている。送風ダクト20Aは、外槽9Aの背面側を上下方向(鉛直方向)に延びる後ダクト20bと、外槽9Aの上面側を後方から前方に延びる上ダクト20cとを有している。後ダクト20bの下部は、外槽9Aの背面下部に設けられた出口9jが柔軟構造のベローズ20dを介して略水平に接続されている。なお、後ダクト20b内には、水冷除湿機構(図示せず)が設けられている。
【0073】
また、送風ダクト20Aの下部には、排水弁14の下流において洗濯水排水路15と合流するように接続されるオーバーフローホース30が接続されている。このオーバーフローホース30の上流端は、ベローズ20dよりも上側に位置するように接続されている。
【0074】
上ダクト20cの下流側には、送風手段としてのファン21Aと加熱手段としてのヒータ22Aとを備えた送風ファンユニットが設けられている。送風ファンユニットが作動すると、ファン21Aの吸引力によって上ダクト20cから送風ファンユニット内に空気が取り込まれ、ヒータ22Aを通過することにより、取り込まれた空気が加熱されて、送風ファンユニットの吐出口(図示せず)から排出される。また、空気が後ダクト20bを通過する際、図示しない水冷除湿機構によって冷却されて除湿が行われる。送風ファンユニットから排出された加熱空気は、温風ダクト20k、ベローズ20l、吹き出しノズル20mを介して回転ドラム8A内に供給されるようになっている。
【0075】
このような洗濯乾燥機1B(図4参照)において、前記の排水ホースH(図3(a)及び(b)参照)は、上述したように、下部連通管13(図4参照)及び洗濯水排水路15(図4参照)に使用されている。さらに詳しく説明すると、図4中、網掛け(ドット)を付したように、全ての洗濯水排水路15及びオーバーフローホース30は、蛇腹管13aに接続され、この蛇腹管13aと排水弁14及び循環ポンプ17との間で延びる下部連通管13と、に排水ホースが使用されることが望ましい。
【0076】
本実施形態についても、ホース収容部の略中心高さからベース部の下部開口端にかけてガイド壁面を取り付け、このガイド壁面の途中に凸部(開口幅X2)を形成し、この凸部を弾性変形させることで排水ホースHをホース収容部へ嵌め込む構成とした。このため、ベース部への収納時に排水ホースHが傷つき難くなる。
【0077】
以上の洗濯乾燥機では乾燥機能を有するものについて説明したが、本発明は乾燥機能を有しない縦型式洗濯機、ドラム式洗濯機であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1A 洗濯乾燥機
1B 洗濯乾燥機
8 洗濯兼脱水槽(内層)
8A 回転ドラム
9 外槽
9A 外槽
10 駆動装置
10A 駆動装置
11 投入装置
12A 給水ユニット
12C 給水ユニット
13 下部連通管
14 排水弁
15 洗濯水排水路
17 循環ポンプ
41 ホース外面
41a 螺旋山部
41b 螺旋谷部
42 ホース内面
43 第2管状部材
44 第1管状部材
H 排水ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7