特許第6286186号(P6286186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286186
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】電子キーシステム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20180215BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20180215BHJP
   B60R 25/31 20130101ALI20180215BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   B60R25/24
   B60R25/31
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-238105(P2013-238105)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-98679(P2015-98679A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2016年5月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三村 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】長江 敏広
(72)【発明者】
【氏名】染田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】武智 和洋
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−162908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リクエスト信号を受信するとレスポンス信号を無線送信する電子キーと、
前記リクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信すると制御対象の制御を許可する制御装置と、
前記電子キーを所持するユーザの動作を検出するユーザ動作検出部と、を備え、
前記制御装置は、前記ユーザ動作検出部を通じて前記ユーザが下限時間以上であって上限時間以下に亘って静止した後に特定の操作として、途中の静止を含む一連の操作があったとき前記制御対象の制御を実行する電子キーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の電子キーシステムにおいて、
前記上限時間は、ユーザが前記制御対象の制御の意思を持って静止していると予想される時間に基づいて設定されている電子キーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両及び住宅等の制御対象とユーザに所持される電子キーとの間での無線通信が成立した状態において、ユーザによるスイッチ操作をトリガとして、ドアの施解錠及びスライドドアの開放等の制御対象の制御を可能とする電子キーシステムが知られている。
【0003】
この電子キーシステムにおいて、例えばスライドドア(開閉対象)を開放する際に、ユーザの手が荷物等でふさがっていることが考えられる。この場合には、スライドドア開放に係るスイッチ操作が困難である。
【0004】
この点、例えば、特許文献1に記載の電子キーシステムにおいては、電子キーを所持するユーザが立ち止まったことが検出されたときスライドドアが開放される。このため、車両の周辺でスイッチ操作をすることなくスライドドアを開くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−328932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の電子キーシステムにおいては、ユーザがスライドドアの開放の意図なく車両の周辺で立ち止まった(静止した)場合にはスライドドアが開いてしまう。このように、スライドドアの開放がユーザの意図に沿わないおそれがあった。
【0007】
そこで、ユーザが車両の周辺で静止した後に、特定の操作(例えば、後進、停止及び前進の動作を順に行う)がされたことを条件としてスライドドアの開放を許可する構成が検討されている。しかし、この構成においても、車両の周辺において、他の人と会話をする、若しくは電子キーを放置しておくことによって、ユーザに操作の意思がなくても、電子キーが車両の周辺に静止する場合がある。この場合、その後の動作によって、ユーザの意図なくスライドドアが開放されるおそれがある。
【0008】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、よりユーザの意図に沿った制御対象の制御を可能とする電子キーシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決するために、リクエスト信号を受信するとレスポンス信号を無線送信する電子キーと、前記リクエスト信号を送信するとともに、前記レスポンス信号を受信すると制御対象の制御を許可する制御装置と、前記電子キーを所持するユーザの動作を検出するユーザ動作検出部と、を備え、前記制御装置は、前記ユーザ動作検出部を通じて前記ユーザが下限時間以上であって上限時間以下に亘って静止した後に特定の操作があったとき前記制御対象の制御を実行する。
【0010】
この構成によれば、制御装置は、ユーザ動作検出部の検出結果を通じてユーザが下限時間以上であって上限時間以下に亘って静止した後に特定の操作があったとき制御対象の制御を実行する。よって、例えば、ユーザが制御対象の制御の意図なく、制御対象の周辺において他の人と会話をする、若しくは電子キーを放置した場合には、上限時間を超えてユーザが制御対象の周辺に静止しているとして制御対象の制御が実行されない。このため、よりユーザの意図に沿った制御対象の制御を可能とすることができる。
【0011】
上記電子キーシステムについて、前記上限時間は、ユーザが前記制御対象の制御の意思を持って静止していると予想される時間に基づいて設定されていることが好ましい。
この構成によれば、上限時間は、ユーザが制御対象の制御の意思を持って静止していると予想される時間に基づいて設定されている。このため、ユーザが制御対象の制御の意図なく、制御対象の周辺に電子キーが存在している場合には、静止時間が上限時間を超えるため、制御対象の制御が実行されない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電子キーシステムにおいて、よりユーザの意図に沿った制御対象の制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態における電子キーシステムの構成図。
図2】第1の実施形態における車両の上面図。
図3】第1の実施形態における車両の上面図。
図4】第1の実施形態における(a)はRSSI検出部の検出結果を示したグラフ、(b)は(a)の部分拡大図。
図5】第1の実施形態における電子キー制御部及び車載制御部の処理手順を示したシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、電子キーシステムの第1の実施形態について図1図5を参照しつつ説明する。
図1に示すように、車両には、ユーザによって所持される電子キー10と車両に搭載される車載装置20との間で自動での双方向無線通信を通じて車両の遠隔制御を可能とする電子キーシステムが搭載されている。以下、電子キー10及び車載装置20の構成について説明する。
【0015】
<電子キー10>
図1に示すように、電子キー10は、電子キー制御部11と、LF受信部12と、UHF送信部13と、ロックスイッチ17と、アンロックスイッチ16とを備える。
【0016】
電子キー制御部11は、コンピュータユニットによって構成されるとともに、不揮発性のメモリ11aを備える。このメモリ11aには電子キー10固有のIDコード(識別コード)が記憶されている。
【0017】
LF受信部12は車載装置20から無線送信されるLF(Low Frequency)帯の無線信号であるリクエスト信号Sreq又はドア開完了信号Sfiを受信すると、その受信信号を復調したうえで電子キー制御部11へ出力する。
【0018】
電子キー制御部11は、LF受信部12からのリクエスト信号Sreqを認識すると、メモリ11aに記憶されるIDコードを含むレスポンス信号Sresを生成し、その生成したレスポンス信号SresをUHF送信部13へ出力する。UHF送信部13は、電子キー制御部11からのレスポンス信号SresをUHF(Ultra High Frequency)帯に変調し、その変調したレスポンス信号Sresを無線送信する。
【0019】
アンロックスイッチ16及びロックスイッチ17は電子キー10の表面に押し操作可能に設けられている。アンロックスイッチ16及びロックスイッチ17は押し操作されると、その旨を示す操作信号を電子キー制御部11に出力する。
【0020】
電子キー制御部11は、アンロックスイッチ16が操作されたことを操作信号の入力を通じて認識すると、メモリ11aに記憶されるIDコードを含む解錠要求信号Sulを生成して、その解錠要求信号SulをUHF送信部13を通じて無線送信する。また、電子キー制御部11は、ロックスイッチ17が操作されたときも、同様にメモリ11aに記憶されるIDコードを含む施錠要求信号SloをUHF送信部13を通じて無線送信する。
【0021】
また、LF受信部12はRSSI検出部12aを備える。電子キー制御部11は、RSSI検出部12aを通じてリクエスト信号SreqのRSSI(Received Signal Strength Indicator)を認識する。このRSSIは電子キー10及び車載装置20間の距離が近いほど強くなる。
【0022】
電子キー制御部11は、LF受信部12を通じて最初にリクエスト信号Sreqを受信すると、RSSI検出部12aを通じたRSSIの監視を開始する。また、電子キー制御部11は、LF受信部12を通じてドア開完了信号Sfiを受信すると、RSSI検出部12aを通じたRSSIの監視を終了する。
【0023】
図4(a)のグラフで示すように、電子キー制御部11は、RSSIが一定割合以上で増加しているとき、電子キー10を所持するユーザが車両に接近する方向に移動(前進)している旨判断し、RSSIが一定割合以上で減少しているとき、電子キー10を所持するユーザが車両から離れる方向に移動(後進)している旨判断する。この一定割合は、電子キー10を所持するユーザの前進又は後進に伴い生じるRSSIの変化に基づき設定される。また、電子キー制御部11は、RSSIが一定であるとき、電子キー10を所持するユーザが立ち止まっている、すなわち、静止している旨判断する。
【0024】
電子キー制御部11は、リクエスト信号SreqのRSSIが、所定時間に亘って一定となったうえで、一定割合以上で減少した後に一定となり、その後一定割合以上で増加した旨判断すると、スライドドア34aの開放を要求する旨のドア開要求信号Sopを生成し、そのドア開要求信号SopをUHF送信部13を通じて無線送信する。このようなRSSIの変化態様は、図2及び図3に示すように、電子キー10を所持するユーザが予め設定された組み合わせである静止、後進、静止及び前進の順で動作したときに検出される。本実施形態では、最初の静止の後の各動作、すなわち後進、静止及び前進が特定の操作である。
【0025】
図4(b)に拡大して示すように、最初の静止は、下限時間Tmin以上であって上限時間Tmax以下に亘ってRSSIが一定であることが条件となっている。上限時間Tmaxは、ユーザがスライドドアの開放の意思を持って静止していると予想される時間に基づいて設定されている。例えば、車両の周辺において他の人と会話をする、若しくは電子キーを放置した場合には、RSSIが上限時間Tmaxを超える時間に亘って一定となる。この場合には、電子キー制御部11は、ドア開要求信号Sopを無線送信しない。また、下限時間Tminも、ユーザが意図を持って静止したと判断できる時間に設定されている。すなわち、RSSIが一定となる時間が下限時間Tmin未満の場合にも、電子キー制御部11は、ドア開要求信号Sopを無線送信しない。
【0026】
<車載装置20>
図1に示すように、車載装置20は、車載制御部21と、LF送信部23と、UHF受信部22と、を備えている。また、車載制御部21には、ドアスイッチ32と、ドア制御装置33と、スライドドア装置34と、ハザードランプ36と、が電気的に接続されている。
【0027】
車載制御部21は、コンピュータユニットによって構成されるとともに、不揮発性のメモリ21aを備える。このメモリ21aには車両に登録された電子キー10のIDコードが記憶されている。
【0028】
車載制御部21は、所定周期毎にリクエスト信号Sreqを生成し、その信号をLF送信部23に出力する。LF送信部23は、車載制御部21からのリクエスト信号SreqをLF帯に変調し、その変調したリクエスト信号Sreqを無線送信する。
【0029】
図2に示すように、ドアスイッチ32は車両ドアのアウトサイドドアハンドルに設けられる。ドアスイッチ32は押し操作されると、その旨の操作信号を車載制御部21に出力する。また、リクエスト信号Sreqは車両の側部に形成される半円状の通信エリア50内に送信される。
【0030】
図1に示すように、UHF受信部22は電子キー10から無線送信されるレスポンス信号Sres、解錠要求信号Sul、施錠要求信号Slo又はドア開要求信号Sopを受信すると、その受信信号を復調したうえで車載制御部21へ出力する。
【0031】
車載制御部21は、UHF受信部22からのレスポンス信号Sres、解錠要求信号Sul、施錠要求信号Slo又はドア開要求信号Sopを受けると、その信号に含まれるIDコードと、メモリ21aに記憶されるIDコードとの照合を行う。
【0032】
車載制御部21は、解錠要求信号Sulに係るID照合が成立するとドア制御装置33を通じて車両ドアを解錠する。また、車載制御部21は、施錠要求信号Sloに係るID照合が成立するとドア制御装置33を通じて車両ドアを施錠する。
【0033】
また、車載制御部21は、レスポンス信号Sresに係るID照合(車外照合)が成立した状態でドアスイッチ32が押し操作された旨判断するとドア制御装置33を通じて車両ドアの施解錠状態を切り替える。
【0034】
また、車載制御部21は、ドア開要求信号Sopに係るID照合が成立すると車両ドアを解錠した後にスライドドア装置34を介してスライドドア34aを開放する。車載制御部21は、スライドドア34aの開放が完了すると、LF送信部23を通じてスライドドア34aの開放が完了した旨のドア開完了信号Sfiを無線送信する。
【0035】
車載制御部21は、複数回に亘って車外照合が成立することで一定時間に亘って車外照合が成立した旨判断すると、電子キー10を所持するユーザが通信エリア50にて立ち止まっているとして、ハザードランプ36を複数回に亘って点滅させてアンサーバックを実行する。
【0036】
<シーケンスチャート>
つぎに、図5のシーケンスチャートに沿って、ユーザの乗車時における電子キー制御部11及び車載制御部21の処理について説明する。
【0037】
車載制御部21は通信エリア50に周期的にリクエスト信号Sreqを送信する(S101)。電子キー制御部11はリクエスト信号Sreqを受信する毎にレスポンス信号Sresを送信する(S102)。車載制御部21は、受信したレスポンス信号SresについてID照合(車外照合)を実行する。車載制御部21は、車外照合が成立した旨判断すると(S103)、ハザードランプ36を複数回に亘って点滅させることでアンサーバックを行う(S104)。
【0038】
電子キー制御部11は、リクエスト信号Sreqを受信すると、RSSI検出部12aを通じてRSSIの監視を開始する(S105)。そして、電子キー制御部11は、リクエスト信号SreqのRSSIが、所定時間(下限時間Tmin以上であって上限時間Tmax以下)に亘って一定となったうえで一定割合以上で減少した後に一定となり、その後一定割合以上で増加した旨判断すると(S106)、ドア開要求信号Sopを無線送信する(S107)。
【0039】
車載制御部21は、受信したドア開要求信号Sopに係るID照合が成立すると車両ドアを解錠した後にスライドドア装置34を介してスライドドア34aを開放する(S108)。車載制御部21は、スライドドア34aの開放が完了するとドア開完了信号Sfiを無線送信する(S109)。
【0040】
電子キー制御部11はドア開完了信号Sfiを受信すると、RSSI検出部12aを通じたリクエスト信号SreqのRSSIの監視を終了する(S110)。以上で、電子キー制御部11及び車載制御部21の処理が終了する。
【0041】
一方、電子キー制御部11は、ドア開要求信号Sopの送信後(S107)に、ドア開完了信号Sfiを受信できないとき、ステップS106の処理に戻る。これにより、再度、ユーザは、静止、後進、静止及び前進の動作に基づきスライドドア34aの開放を試みることができる。
【0042】
最後に、ユーザの車両への乗車方法について説明する。
図2に示すように、電子キー10を所持するユーザは、例えば両手に荷物を持った状態で通信エリア50内に進入する。すると、ハザードランプ36が複数回に亘って点滅する。ユーザはこのハザードランプ36の点滅を見て、通信エリア50内で一度立ち止まる。この静止は、上述のように、下限時間Tmin以上であって上限時間Tmax以下に亘って行われる必要がある。その後、ユーザは後ろに下がった後、その場に立ち止まり、その後に前に進む。これにより、自動で車両ドアが解錠された後にスライドドア34aが開く。よって、ユーザは両手に荷物を持った状態であっても電子キー10等へのスイッチ操作をすることなく乗車することができる。
【0043】
なお、RSSI検出部12aはユーザ動作検出部の一例であって、車載装置20は制御装置の一例であって、スライドドア装置34は制御対象の一例である。
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0044】
(1)車載制御部21は、RSSI検出部12aの検出結果を通じてユーザが下限時間Tmin以上であって上限時間Tmax以下に亘って静止した後に、特定の操作(例えば、後進、静止及び前進の順の操作)があったときスライドドア34aを開放する。よって、例えば、ユーザがスライドドア34aの開放の意図なく、車両の周辺において他の人と会話をする、若しくは電子キーを放置した場合、上限時間Tmaxを超えてユーザが車両の周辺に静止しているとして、スライドドア34aが開放されない。このため、よりユーザの意図に沿ったスライドドア34aの開放を可能とすることができる。
【0045】
(2)上限時間Tmaxは、ユーザがスライドドア34aの開放の意思を持って静止していると予想される時間に基づいて設定されている。このため、ユーザがスライドドア34aの開放の意図なく、車両の周辺に電子キー10が存在している場合には、静止時間が上限時間Tmaxを超えるため、スライドドア34aが開放されない。
【0046】
(第2の実施形態)
以下、電子キーシステムの第2の実施形態について説明する。この実施形態においては、電子キーに生じる加速度に基づきユーザの動作を判断する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
図1の破線で示すように、電子キー制御部11には、加速度センサ18が接続されている。この加速度センサ18はユーザの歩行に伴い電子キー10に生じる加速度を、その加速度に応じた信号(電圧値)として検出し、その検出結果を電子キー制御部11に出力する。
【0048】
電子キー制御部11は、電子キー10を所持するユーザが通信エリア50内に進入することに伴い、LF受信部12を通じてリクエスト信号Sreqを受信したとき加速度センサ18を起動させ、LF受信部12を通じてドア開完了信号Sfiを受信したとき加速度センサ18を停止させる。
【0049】
ユーザが立ち止まって静止しているとき、加速度センサ18を通じて検出した加速度が一定範囲以内となる。また、ユーザが前進又は後進しているとき加速度センサ18を通じて検出した加速度が一定範囲を超える。
【0050】
電子キー制御部11は、加速度センサ18の検出結果に基づき、所定時間に亘ってユーザが静止したうえで、ユーザが前進又は後進し、その後にユーザが静止した後に再びユーザが前進又は後進した旨判断したとき、ドア開要求信号SopをUHF送信部13を通じて無線送信する。本実施形態では、RSSI検出部12aを省略可能である。なお、加速度センサ18はユーザ動作検出部の一例である。
【0051】
以上、説明した実施形態によれば、特に以下の効果を奏することができる。
(3)車載制御部21は加速度センサ18を通じて検出されるユーザの歩行に応じた加速度の有無に基づきユーザの動作を判断する。例えば、ユーザが前進又は後進している場合には、加速度センサ18を通じてそれに応じた加速度が検出され、ユーザが静止している場合には、加速度センサ18を通じて検出された加速度がゼロに近似する。このため、車載制御部21は加速度センサ18の検出結果を通じてユーザの動作を判断することが可能である。
【0052】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記各実施形態においては、電子キー10を所持するユーザが後進、静止及び前進の順で動作することでスライドドア34aの開放が可能であった。しかし、後進、静止及び前進の組み合わせの順番等はこれに限らず、例えば、前進、静止及び後進の順であってもよいし、後進、静止及び前進以降に静止等がさらに続いてもよい。
【0053】
さらに、特定の操作に係る操作の方法もこれに限らず、例えば、電子キーの振り操作、電子キーへの叩き操作、電子キーへのスイッチ操作等であってもよい。
・上記各実施形態においては、ハザードランプ36の点滅を通じてアンサーバックが行われていたが、このアンサーバックの方法は、ハザードランプ36の点滅に限らず、その他の表示方法であってもよい。また、車両からの音声を通じてアンサーバックを行ってもよい。また、ハザードランプ36の点滅及び音声の両方でアンサーバックを行ってもよい。
【0054】
さらに、電子キー10側でアンサーバックを行ってもよい。この場合、電子キー10におけるディスプレイの表示、スピーカからの音声、及び振動子の振動を通じてユーザにアンサーバックを行ってもよい。表示、音声及び振動を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
また、電子キー10及び車載装置20の両者でアンサーバックを行ってもよい。これにより、より確実にユーザに通知することができる。さらに、アンサーバックを省略してもよい。
【0056】
・上記各実施形態においては、RSSI検出部12aは電子キー10に搭載されていたが、車載装置20に搭載されていてもよい。例えば、UHF受信部22にRSSI検出部が設けられる。車載制御部21は、このRSSI検出部を通じてレスポンス信号SresのRSSIを認識し、そのRSSIの変化に基づき電子キー10を所持するユーザの動作を判断する。本構成では、車載制御部21は、ドア開要求信号Sopの受信によらず、RSSIの変化に基づきユーザが静止、後進、静止及び前進の動作を順に行った旨判断するとスライドドア34aを開放する。本構成では、車載装置20にRSSI検出部を設けることで、より高い携帯性が要求される電子キー10をよりコンパクトに構成することができる。
【0057】
・上記各実施形態における電子キーシステムでは車両ドアの施解錠及びスライドドアの開放が可能に構成されていたが、制御内容はこれに限らずユーザの動作を通じて車両のトランク開閉装置を通じてトランクの開放又は住宅用のドア装置を通じてドアの解錠及び開放を可能としてもよい。
【0058】
・上記各実施形態におけるドア開完了信号Sfiを省略してもよい。この場合、電子キー制御部11はドア開要求信号Sopの送信後に、加速度センサ18及びRSSIの監視を静止させてもよい。
【0059】
・上記各実施形態におけるドアスイッチ32をタッチセンサに代えてもよい。これにより、ユーザはアウトサイドドアハンドルに触れるだけで車両ドアの解錠が可能となる。
・第1の実施形態においては、電子キー制御部11がRSSI検出部12aの検出結果に基づきユーザの動作の判断を行っていた。しかし、電子キー制御部11はRSSI検出部12aの検出結果をレスポンス信号Sresに含ませて、若しくは単独の情報信号として無線送信し、車載制御部21は受信したレスポンス信号Sres若しくは情報信号に含まれるRSSI検出部12aの検出結果に基づきユーザの動作を判断してもよい。本構成によれば、より高い携帯性が要求される電子キー10をより簡易に構成することができる。
【0060】
また、第2の実施形態においては上記同様に、電子キー制御部11はRSSI検出部12aの検出結果及び加速度センサ18の検出結果をレスポンス信号Sresに含ませて、若しくは単独の情報信号として無線送信してもよい。
【0061】
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)前記ユーザ動作検出部は前記レスポンス信号又は前記リクエスト信号の受信信号強度を検出する受信信号強度検出部である電子キーシステム。
【0062】
電子キー及び開閉対象間の距離が近くなるほどレスポンス信号又はリクエスト信号の受信信号強度が強くなる。このため、信号強度検出部の検出結果に基づきユーザの制御対象に対する前進、後進又は静止を判断することができる。このように、既存の電子キーシステムで授受されるレスポンス信号又はリクエスト信号における受信信号強度を検出するだけで、簡易にユーザの動作方向(前進又は後進)を検出することができる。
【0063】
(ロ)前記ユーザ動作検出部は前記電子キーを所持するユーザの歩行に応じて前記電子キーに加わる加速度を検出する加速度検出部である電子キーシステム。
この構成によれば、制御装置は加速度検出部を通じて検出されるユーザの歩行に応じた加速度の有無に基づきユーザの動作を判断する。例えば、ユーザが前進又は後進している場合には、加速度検出部を通じて前進又は後進に応じた加速度が検出され、ユーザが静止している場合には、加速度検出部を通じて検出された加速度がゼロに近似する。
【0064】
(ハ)前記制御対象はスライドドア装置であって、前記制御対象の制御は前記スライドドアの開放に係る制御である電子キーシステム。
この構成によれば、たとえユーザの両手が荷物でふさがった状態であっても円滑に乗車することができる。
【0065】
(ニ)前記制御装置は、前記ユーザ動作検出部を通じて検出した前記ユーザの静止時間が下限時間未満又は上限時間を超える場合には前記制御対象の制御を実行しない電子キーシステム。
【符号の説明】
【0066】
10…電子キー、11…電子キー制御部、16…アンロックスイッチ、17…ロックスイッチ、18…加速度センサ、20…車載装置、21…車載制御部、32…ドアスイッチ、33…ドア制御装置、34…スライドドア装置、34a…スライドドア、36…ハザードランプ。
図1
図2
図3
図4
図5