特許第6286187号(P6286187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286187
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20180215BHJP
   B65F 3/20 20060101ALI20180215BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B65F3/00 C
   B65F3/20 B
   B60P3/00 Q
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-241174(P2013-241174)
(22)【出願日】2013年11月21日
(65)【公開番号】特開2015-101415(P2015-101415A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正和
(72)【発明者】
【氏名】三村 真一
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−136402(JP,U)
【文献】 特開昭55−151402(JP,A)
【文献】 実開昭60−110302(JP,U)
【文献】 特開昭52−79433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00−3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥を収容する塵芥収容箱と、塵芥が投入される塵芥投入箱と、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積込むための積込装置と、塵芥収容箱の後部の開口を開閉させるよう塵芥投入箱を回動させる開閉用シリンダとを備えた塵芥収集車であって、
塵芥投入箱はその幅方向両側に側壁を備え、側壁に塵芥投入箱の幅方向に沿う主軸が、その端部を塵芥投入箱の内部から外部へ突出させるよう側壁間に支持され、
積込装置は、塵芥を塵芥収容箱の内部へ積込むためのプッシュプレートと、プッシュプレートを、横軸を介して回動自在に支持するリフトアームとを備え、
主軸に開閉用シリンダおよびリフトアームが回動自在に支持されている塵芥収集車。
【請求項2】
積込装置は、リフトアームを昇降させるためのリフトシリンダを備え、
塵芥投入箱は、塵芥収容箱に配置された支軸回りに回動自在とされ、
リフトシリンダの一端は支軸に回動自在に支持され、リフトシリンダの他端にリフトアームが回動自在に支持された請求項1に記載の塵芥収集車。
【請求項3】
塵芥投入箱はその後上部に後壁を備えるとともに、後壁の下方が塵芥投入口とされ、主軸は後壁の前側に配置されている請求項1または請求項2に記載の塵芥収集車。
【請求項4】
開閉用シリンダは、主軸のうち、塵芥投入箱の側壁から外側へ突出させた突出部に支持されることで、塵芥投入箱の外側に配置され、積込装置は、主軸のうち、側壁の内側に配置された部分に支持されることで、塵芥投入箱の内側に配置されている請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1に記載された塵芥収集車が提案されている。特許文献1の塵芥収集車は、塵芥を収容する塵芥収容箱と、塵芥が投入される塵芥投入箱(「テールゲート」とも称される)と、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積込むための積込装置と、塵芥収容箱の後部の開口を開閉させるよう塵芥投入箱を回動させる開閉用シリンダとを備えている。
【0003】
特許文献1の塵芥収集車では、積込装置は枢軸に支持されたデフレクタを備え、デフレクタに、掻き込みパネルと、掻き込みパネルを回動させるためのシリンダと、掻き込みパネルを回動させるための押し込みシリンダとが取付けられている。また、前記枢軸とは別の枢軸に、塵芥投入箱を回動(開閉)させるスイングシリンダ(ダンプシリンダ)が取付けられている。前記二つの枢軸は、塵芥収容箱の後部上面に取付けられた後方枠に別々のブラケットを介して取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭63−26330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の塵芥収集車では、デフレクタ、スイングシリンダが、塵芥収容箱の後部上面に取付けられた後方枠に、別々のブラケットを介して別々の枢軸に取付けられている。また、これら枢軸を取付けるための後方枠も備えているため、全体が大型化、大重量化してしまう。
【0006】
そこで本発明は、大型化、大重量化を抑え得る塵芥収集車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、塵芥を収容する塵芥収容箱と、塵芥が投入される塵芥投入箱と、塵芥投入箱に投入された塵芥を塵芥収容箱に積込むための積込装置と、塵芥収容箱の後部の開口を開閉させるよう塵芥投入箱を回動させる開閉用シリンダとを備えた塵芥収集車であって、塵芥投入箱はその幅方向両側に側壁を備え、側壁に塵芥投入箱の幅方向に沿う主軸が、その端部を塵芥投入箱の内部から外部へ突出させるよう側壁間に支持され、積込装置は、塵芥を塵芥収容箱の内部へ積込むためのプッシュプレートと、プッシュプレートを、横軸を介して回動自在に支持するリフトアームとを備え、主軸に開閉用シリンダおよびリフトアームが回動自在に支持されたことを特徴としている。また、積込装置は、リフトアームを昇降させるためのリフトシリンダを備え、塵芥投入箱は、塵芥収容箱に配置された支軸回りに回動自在とされ、リフトシリンダの一端は支軸に回動自在に支持され、リフトシリンダの他端にリフトアームが回動自在に支持されている。
【0008】
上記構成において、積込装置および塵芥投入箱の双方を、兼用の主軸で支持することで、大型化、大重量化が抑えられ、主軸の端部は側壁に突出していることで、主軸は側壁に安定した形態で支持される。
【0009】
本発明の塵芥収集車では、塵芥投入箱はその後上部に後壁を備えるとともに、後壁の下方が塵芥投入口とされ、主軸は後壁の前側に配置された構成を採用できる。
【0010】
上記構成のように、積込装置および塵芥投入箱の双方を支持する兼用の主軸が後壁の前側にあることで、積込装置を前側に配置することが可能になるから、塵芥投入口が広くなる。
【0011】
本発明の塵芥収集車では、開閉用シリンダは、主軸のうち、塵芥投入箱の側壁から外側へ突出させた突出部に支持されることで、塵芥投入箱の外側に配置され、積込装置は、主軸のうち、側壁の内側に配置された部分に支持されることで、塵芥投入箱の内側に配置された構成を採用できる。
【0012】
上記構成のように、積込装置が塵芥投入箱の内側に配置され、開閉用シリンダが塵芥投入箱の外側に配置されることで、積込装置によって塵芥を積込んでも、開閉用シリンダが塵芥によって汚されるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の塵芥収集車では、塵芥投入箱は幅方向両側に側壁を備え、側壁に塵芥投入箱の幅方向に沿う主軸が、その端部を塵芥投入箱の内部から外部へ突出させるよう側壁間に支持され、主軸に開閉用シリンダおよび積込装置が取付けられていることで、積込装置および塵芥投入箱の双方が兼用の主軸で支持されているから、積込装置の大型化、大重量化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態における塵芥収集車の側面図である。
図2】同平面図である。
図3】同背面図である。
図4】同積込装置の側面図である。
図5】同平面図(図4におけるA−A線断面矢視図)である。
図6】同(a)〜(h)は、積込装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の塵芥収集車の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1ないし図3に示すように、本実施形態の塵芥収集車1は、車体2に塵芥を収容する塵芥収容箱3と、塵芥収容箱3の後側にあって、塵芥が塵芥収容箱3に収容される前に一旦投入される塵芥投入箱4とを備えている。なお、塵芥収集車1は、塵芥収容箱3の前側には運転室5を備えている。また、塵芥収集車1は、塵芥投入箱4に投入された塵芥を塵芥収容箱3に積込むための積込装置6を備えている。塵芥収容箱3は、一般的な構成を備えているものであり、後部に後部開口7が形成された箱状である。
【0016】
塵芥投入箱4は、その後端上部に天壁11を備え、天壁11の後部は後壁の一部を構成しており、天壁11の下側が、塵芥を投入可能な塵芥投入口12とされている。塵芥投入口12には、手動式のシャッタ13が取付けられている。シャッタ13もまた後壁の一部を構成し、シャッタ13は、左右両側の側板(側壁)14,15に設けたガイドレールに沿って開閉される。
【0017】
シャッタ13の開放時に塵芥投入口12から塵芥投入箱4内に塵芥が投入可能となる。塵芥投入箱4は、左右両側の前記側板14,15と、底板17とを備える。塵芥投入箱4の前部は前部開口18とされている。また、後部の枠壁8の下部には、ローディングスイッチ9、緊急停止用スイッチ10を備えている。
【0018】
塵芥投入箱4は、塵芥投入姿勢Yと投入解除姿勢Zとに切替自在に構成されている。塵芥投入姿勢Yとは、塵芥投入箱4が塵芥収容箱3の後方所定位置に位置づけられた姿勢である。投入解除姿勢Zとは、塵芥投入箱4が塵芥投入姿勢Yから上方へ傾動して所定位置に位置づけられた姿勢である。
【0019】
塵芥投入姿勢Yの所定位置とは、作業者が塵芥投入口12へ塵芥を投入するための位置である。投入解除姿勢Zの所定位置とは、塵芥収容箱3をその後部が下方になるよう傾動させて塵芥収容箱3に収容された塵芥を、後部開口7から破棄できる位置である。
【0020】
塵芥投入姿勢Yにおいて、塵芥収容箱3の後部開口7と塵芥投入箱4の前部開口18とは連通される。なお、塵芥収集車1は、塵芥収容箱3を傾動させるための一般的な傾動用シリンダ(図示せず)を備え、傾動用シリンダは、車体2と塵芥収容箱3との間に配置されている。
【0021】
塵芥投入箱4は、支軸19回りに回動することで塵芥投入姿勢Yと投入解除姿勢Zとに切替自在である。支軸19は、塵芥収容箱3の後端上部および塵芥投入箱4の前端上部の重なり(幅方向での重なり)部分に配置された幅方向に沿う軸体である。支軸19は、塵芥収容箱3(塵芥投入箱4)の幅方向に離間して、幅方向両側に配置されている。
【0022】
塵芥投入箱4の側板14,15は、上下方向に沿う平板である。塵芥投入箱4の底板17は、後方部分17Aと前方部分17Bとを一体的に備えている。後方部分17Aは前方に向けて下傾斜され、前方部分17Bは後方に向けて下傾斜されている。底板17の前後方向略中心部が最も下位となる傾斜分岐点20とされている。後方部分17Aは前方に向けて下傾斜する平板であり、前方部分17Bは、下方へ向けてわずかに凸となるよう後方へ向けて下傾斜する曲板である。
【0023】
また、塵芥収集車1は、塵芥投入箱4を支軸19回りに回動させるための、幅方向一対のスイングシリンダ(開閉用シリンダに相当する、油圧シリンダである)21を備える。本実施形態では、スイングシリンダ21、塵芥投入箱4、および積込装置6が、第一軸22に支持されている(取付けられている)。第一軸体22は主軸に相当し、パイプ状の第一軸体22Aと、第一軸体22A上の長手方向(幅方向)に離間して固定された、後述するブラケット22bと、保持体22cとから構成されている。
【0024】
スイングシリンダ21は、塵芥収容箱3の後端上部で且つ支軸19の下側に配置されたブラケット3aに、枢軸3bを介して本体の基部が回動自在に連結されている。スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部は、第一軸体22Aの端部(突出部)22a,22aに枢軸23を介して回動自在に連結されている。すなわち、スイングシリンダ21は、塵芥投入箱4の内部になく、塵芥投入箱4の側板14,15の外側に配置されている。
【0025】
図2および図3に示すように、塵芥投入箱4では、側板14,15に塵芥投入箱4の幅方向に沿うよう第一軸体22Aは、その端部22a,22aを塵芥投入箱4の内部から外部へ突出させるようにして、側板14,15を貫通して支持されている。具体的には、第一軸体22Aを貫通させる部分に相当する側板14,15の上部領域を切欠いて、第一軸体22Aをその端部22a,22aが該切欠14a,15a(図3図4参照)の底面に係止するよう上方から下ろして、側板14,15に第一軸体22Aを支持すように構成されている。第一軸体22Aは、側板14,15の後部且つ上部に配置されている。具体的には、第一軸体22Aは、塵芥投入箱4のシャッタ13の前側に配置され、支軸19よりも下側に配置されている。
【0026】
ブラケット22bは、第一軸22の端部22a,22aに配置され、スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部を連結するための突出部分を備えている。この突出部分に枢軸23が配置されている。すなわち、スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部は、枢軸23に連結されていることにより、第一軸体22Aに対して下方に位置ずれするよう配置されている。
【0027】
次に、積込装置6について説明する。図4および図5に示すように、積込装置6は、リフトアーム(アーム部材に相当する)24と、板状のプッシュプレート(押込部材に相当する)25と、リフトアーム24を昇降させるためのリフトシリンダ(アーム部材用シリンダに相当する、油圧シリンダである)26と、プッシュプレート25を回動させるための、油圧シリンダであるプッシュシリンダ27とを備えている。前述したように、このような積込装置6が、第一軸22に取付けられている。この積込装置6は、塵芥投入箱4の内部に配置されている。
【0028】
図4に示すように、リフトアーム24は、側面視して扁平な平行四辺形状に形成されている。リフトアーム24は、幅方向に離間対向して一対で設けられている。リフトアーム24どうしは、その長手方向途中部分で、前後一対の捻れ防止用の杆体29,29によって連結されて補強されている。
【0029】
図5に示すように、保持体22cは板状に形成されており、側板14,15寄りに、複数個(この場合、三個)配置されている。リフトアーム24の一端側(後端側)は、保持体22cに取付けられている。すなわち、保持体22c間に第二軸31が渡され、リフトアーム24の一端側は、第二軸31に垂直面内で回動自在に支軸されている。リフトアーム24は、第二軸31から前方に向けて延長されている。さらに、第二軸31には、プッシュプレート25を回動させるためのプッシュシリンダ27の本体の基端部が垂直面内で回動自在に支持されている。
【0030】
リフトアーム24は、支軸19にリフトシリンダ26を介して間接的に吊持されるとともに、第二軸31に直接的に吊持され、リフトアーム24の他端側(前端側)には、幅方向に沿う第三軸(横軸に相当する)32が取付けられている。第三軸32に、プッシュプレート25の基端部が回動自在に連結されている。すなわちプッシュプレート25は、リフトアーム24の前部寄り(この場合、前端部)に回動自在に支持されている。プッシュプレート25は、塵芥投入箱4の前部開口18より小さな幅に設定されている。
【0031】
プッシュプレート25において、幅方向に直交する方向の長手方向途中部分には第四軸33が設けられている。この第四軸33は、プッシュプレート25の長手方向において、第三軸32寄りに配置されている。プッシュプレート25の一側面(塵芥収容箱3側)は、塵芥押圧面34とされており、第四軸33は、塵芥押圧面34の裏側に位置するよう(塵芥押圧面34から突出しないよう)に配置されている。プッシュシリンダ27のロッド27Aの先端部は第四軸33に回動自在に連結されている。すなわちプッシュシリンダ27の先端部は、プッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられている。換言すれば、プッシュシリンダ27の先端部は、プッシュプレート25の長手方向中間部分よりも第三軸32側に取付けられている。なお、プッシュプレート25の長手方向長さと、リフトアーム24の長手方向長さとは、同程度に設定されている。
【0032】
リフトシリンダ26の本体の基端部は、支軸19に回動自在に連結されている。リフトアーム24の長手方向略中央部分の下側寄りに、幅方向に沿う第五軸35が設けられている。リフトシリンダ26のロッド26Aの先端部は第五軸35に回動自在に連結されている。第五軸35は、後方の杆体29の下方に配置されている(図4参照)。
【0033】
また、スイングシリンダ21、塵芥投入箱4、および積込装置6が、第一軸22に取付けられている構成に伴い、側板14,15の外面には、スチフナ28が設けられている(図1図2参照)。スチフナ28は、支軸19と第一軸体22Aとを結ぶ直線に沿ったスチフナ28Aと、後部開口7の下縁と第一軸体22Aとを結ぶ直線に沿ったスチフナ28Bとがあり、これによりスチフナ28は、第一軸体22Aの端部22a,22aから側板14,15に働く荷重を、側板14,15とともに支持する。
【0034】
本実施形態の塵芥収集車1では、第一軸22に、塵芥投入箱4が取付けられるとともに、積込装置6が取付けられている。このため、塵芥投入箱4と、積込装置6をそれぞれ別の支軸に支持させた場合に比べて、塵芥収集車1の軽量化が実現できる。
【0035】
しかも、塵芥投入箱4と積込装置6の取付けを兼用する第一軸22(第一軸体22A)の端部22a,22aは、側板14,15を貫通して側板14,15に支持されている。このため、塵芥投入箱4と、積込装置6をそれぞれ別の支軸に支持させ、支軸の端部を側板14,15の内面で支持させる構成に比べて、側板14,15と支軸の端部の補強構造もまた、簡素な構成とすることができる。
【0036】
ここで、積込装置6の動作の一例を、図6(a)〜(h)に基づいて説明する。積込装置6が図6(a)の状態を基準姿勢(押込完了姿勢でもある)Xとする。この基準姿勢Xとは、塵芥収容箱3に収容された塵芥を、プッシュプレート25の塵芥押圧面34が塵芥を上向き前方に押圧するよう第三軸32回りに回動した状態である。基準姿勢Xでは、塵芥押圧面34は、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3内に入り込んでいる。このため、基準姿勢Xでは、プッシュシリンダ27は最も伸長した状態にある。
【0037】
積込装置6の基準姿勢Xでは、プッシュプレート25の塵芥押圧面34が、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3内に入り込む程度に前方にあり、リフトアーム24は上方にあってしかもその先端側は最も上側位置にあることから、積込装置6では、塵芥を投入可能なエリアである塵芥投入箱4の内部の塵芥投入空間Kが、できるだけ大きく確保された状態にある。
【0038】
塵芥収集車1において、塵芥を塵芥投入箱4に投入するには、シャッタ13を開けて塵芥投入口12を開放し、塵芥投入箱4を塵芥投入姿勢Yとし(図1参照)、積込装置6は、ローディングスイッチ9の積込ボタン(図示せず)が押圧操作されると作動を開始する。すなわち、積込装置6の基準姿勢Xから、プッシュシリンダ27のみが収縮する。プッシュシリンダ27が収縮すれば、プッシュプレート25が、塵芥収容箱3の後部開口7から後退する方向に第三軸32回りに、後方へ向けて回動をする(図6(b)参照)。
【0039】
次に、リフトシリンダ26のみが収縮するよう制御される。そうすると、リフトアーム24が第二軸31回りに、上方へ向けて回動する。このとき、プッシュシリンダ27は駆動しないことで、リフトアーム24とプッシュプレート25との角度に変更はない(図6(c)参照)。このため、プッシュプレート25が再び塵芥収容箱3内に入り込む程度に前方に位置し、しかもリフトアーム24は上方へ向けて回動した状態にあるから、塵芥投入箱4の内部の、塵芥投入空間Kが大きく開けられる。したがって、その分だけ塵芥投入箱4に多くの塵芥を投入することができる。
【0040】
次に、プッシュシリンダ27のみが収縮するよう制御される。そうすると、プッシュプレート25が第三軸32回りに後方へ向けて回動する(図6(d)参照)。続いて、リフトシリンダ26のみが伸長するよう制御される。そうすると、リフトアーム24が第二軸31回りに下方へ向けて回動する。この場合、プッシュシリンダ27は駆動しないので、リフトアーム24とプッシュプレート25との角度に変更はない(図6(e)参照)。
【0041】
次に、プッシュシリンダ27のみが伸長するよう制御される。そうすると、プッシュプレート25が第三軸32回りに前方へ向けて回動する。この場合、プッシュプレート25の先端部が塵芥投入箱4の底板17に接触してしまわないように、予めリフトシリンダ26の伸長量、該伸長量に伴うリフトアーム24の傾斜角度、プッシュプレート25の長手方向長さを設定しておくことが必要である(図6(f)参照)。
【0042】
次に、リフトシリンダ26のみが収縮するよう制御される。そうすると、リフトアーム24が第二軸31回りに上方へ向けて回動し、この動作に伴ってプッシュプレート25の先端部が、前方へ向けて上傾斜された(後方に向けて下傾斜された)前方部分17Bの表面に沿うように、前方へ向けて移動し、塵芥投入空間Kに投入されている塵芥が、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3の内部へ積込まれる(図6(g)参照)。
【0043】
そして、塵芥を塵芥収容箱3に押込むために、プッシュシリンダ27のみが伸長するよう制御される。そうすると、プッシュプレート25が第四軸33回りに上方へ向けて回動し、これによってプッシュプレート25が塵芥を押し上げた状態で押圧する(図6(h)参照)。
【0044】
以上説明した積込装置6の動作が1サイクルの動作であり、ローディングスイッチ9の積込ボタンが押圧操作されると、積込装置6は上記1サイクルの動作を連続して行う。そしてローディングスイッチ9の停止ボタンが押圧操作されると、積込装置6は、図6(h)に示した状態、すなわち基準姿勢Xで停止して、塵芥を押し上げた状態で保持するよう制御される。
【0045】
このように、本実施形態のリフトアーム24とプッシュプレート25とは、第三軸32を介して回動自在に取付けられているが、上記1サイクルの積込動作のなかで、一直線に沿うことはなく、常時的に変更される相対角をもって動作する。このため、積込装置6全体がコンパクトな構成になっている。また、積込装置6のリフトアーム24は、上記1サイクルの積込動作のなかで、垂直姿勢となることはない。この点においても、積込装置6全体がコンパクトな構成になっている。
【0046】
塵芥収集車1は、塵芥の積込作業が終了すれば、塵芥収集車1を所定の場所(塵芥処理場)まで走行させ、スイングシリンダ21を伸長させることで、塵芥投入箱4を支軸19回りに、上方へ回動させて投入解除姿勢Zとし、傾動用シリンダを伸長させて塵芥収容箱3を、後方が下になるよう傾動させる。そうすると、塵芥投入箱4は投入解除姿勢Zにあるから、塵芥収容箱3の後部開口7が開放され、塵芥の排出を邪魔するものがなく、塵芥収容箱3内の塵芥が排出される。
【0047】
本実施形態において、リフトアーム24は、第一軸22から前方へ向かって延長され、プッシュプレート25は、リフトアーム24の前部寄りに支持されている。この構成によれば、プッシュプレート25がリフトアーム24の前部寄りにあり、したがって、その分だけ塵芥投入箱4の内部を広くできる。
【0048】
また、積込装置6は、プッシュプレート25を第三軸32回りに回動させるプッシュシリンダ27を備え、プッシュシリンダ27の基端部は、リフトアーム24に取付けられ、プッシュシリンダ27の先端部がプッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられている。この構成によれば、プッシュシリンダ27の長さが長くなるのを抑えつつ、プッシュシリンダ27を伸長させてプッシュプレート25を回動させることで、塵芥を塵芥収容箱3に向けて押し込むことができる。また、プッシュシリンダ27の先端部が、プッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられているので、プッシュシリンダ27(ロッド27A)が塵芥投入空間K内に突出する量を少なくできる。
【0049】
さらに、第一軸22は、側板14,15の後部且つ上部に配置され(第一軸体22Aは、塵芥投入箱4の後壁の一部であるシャッタ13の前側に配置され)、支軸19よりも下側に配置され(後壁の一部である天壁11の下側に配置され)ている。そして、リフトアーム24の一端側は、保持体22cに、第二軸31を介して回動自在に取付けられ、リフトアーム24はリフトシリンダ26によって第二軸31回りに回動させられて上方に持ち上げられる。この構成によれば、リフトシリンダ26を収縮させることでリフトアーム24が上げられると、塵芥投入箱4の内部を広くすることができ、リフトアーム24が塵芥の投入に邪魔にならない。
【0050】
さらに、スイングシリンダ21は、第一軸体22Aのうち、塵芥投入箱4の側板14,15から外側へ突出させた端部22a,22aに支持されることで、塵芥投入箱4の外側に配置され、積込装置6は、第一軸体22Aのうち、側板14,15の内側に配置された部分に支持されることで、塵芥投入箱4の内側に配置されている。このため、積込装置6によって塵芥を積込んでも、スイングシリンダ21が塵芥によって汚されるのを抑制できる。
【0051】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、第一軸体22Aを、幅方向に長い一本のものとし、その端部22a,22aを側板14,15から突出させた。しかしながら、第一軸体22Aは、幅方向に離間させて一対で設け、それぞれの端部を側板14,15から突出させるよう構成することもできる。
【0052】
上記実施形態の積込装置6では、第一軸22の保持体22cに第二軸31が設けられ、第二軸31にプッシュシリンダ27、リフトアーム24が連結された構成としている。しかしながら、例えば第二軸31を省略して、プッシュシリンダ27、リフトアーム24を第一軸体22Aに直接的に連結することも考えられる。
【符号の説明】
【0053】
1…塵芥収集車、2…車体、3…塵芥収容箱、4…塵芥投入箱、5…運転室、6…積込装置、7…後部開口、8…枠壁、11…天壁、12…塵芥投入口、13…シャッタ、14,15…側板、17…底板、17A…後方部分、17B…前方部分、18…前部開口、19…支軸、20…傾斜分岐点、21…スイングシリンダ、22…第一軸、22A…第一軸体、22a,22a…端部、22b…ブラケット、22c…保持体、24…リフトアーム、25…プッシュプレート、26…リフトシリンダ、27…プッシュシリンダ、28…スチフナ、29…杆体、30…保持体、31…第二軸、32…第三軸、33…第四軸、34…塵芥押圧面、35…第五軸、K…塵芥投入空間、X…基準姿勢、Y…塵芥投入姿勢、Z…投入解除姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6