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特許6286195扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286195
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/02 20060101AFI20180215BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01M2/02 J
   H01M2/08 J
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-246515(P2013-246515)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-106441(P2015-106441A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(72)【発明者】
【氏名】小松 慎也
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝一
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−081862(JP,U)
【文献】 実開昭52−158830(JP,U)
【文献】 特開昭50−139939(JP,A)
【文献】 特開平04−026050(JP,A)
【文献】 実開昭54−137125(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/04
H01M 2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形電池の封口缶であって、
筒状に形成され、ガスケットによって覆われる部分を有する周壁と、
前記周壁の一方の開口側に配置された円形状の平面部と、を備え、
前記周壁の内周面は平坦であり、
前記周壁の外周面は、平坦部と、前記平坦部に対して凹状に窪んだ凹部と、を含み、
前記周壁は、先端部分に折り返し部分を設けないストレート缶として形成されている、封口缶。
【請求項2】
請求項1に記載の封口缶であって、
前記凹部は、矩形状の断面形状を有する、封口缶。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の封口缶であって、
前記凹部は、周回状に形成される溝部を有する、封口缶。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の封口缶であって、
前記凹部は、前記周壁の外周面に対して複数形成されている、封口缶。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の封口缶であって、
前記凹部は、底面部分にシボ加工が施されている、封口缶。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に記載の封口缶の製造方法であって、
平板において、前記周壁となる部分に前記凹部を形成する第1の工程と、
プレス加工により、前記平板から前記平面部と前記周壁とを形成する第2の工程と、
を含む、封口缶の製造方法。
【請求項7】
請求項に記載の封口缶の製造方法であって、
第1の工程において、前記周壁となる部分に同心円状の溝部を形成する、封口缶の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の封口缶と、
前記封口缶の周壁の外側に配置され、かつ、前記封口缶の外径より大きい筒状の周壁を有する外装缶と、
前記外装缶の周壁と前記封口缶の周壁との間に配置されたガスケットと、を備え、
前記ガスケットは、前記凹部に嵌合している、扁平形電池。
【請求項9】
請求項に記載の扁平形電池であって、
前記ガスケットは、前記封口缶の周壁にモールド成形される、扁平形電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有底筒状の外装缶と外装缶の内側に配置される封口缶とを備え、電池内部の気密性を保ち、外装缶と封口缶との電気的な絶縁を確保すべく、外装缶と封口缶との間に樹脂製のガスケットを配置した扁平形電池に関するものとしては、例えば、特許文献1に開示されたものが存在している。
【0003】
特開平09−129201号公報(特許文献1)には、正極端子を兼ねる電池ケースと負極端子を兼ねるカップ状封口板とこれらの間に配される絶縁ガスケットとを備え、カップ状封口板の側面両側が粗面化されて、この側面の周囲に絶縁ガスケットを一体成型した密閉電池が開示されている。なお、特許文献1の密閉電池は、封口板周縁の段部に対して電池ケースの周縁の開口端部をかしめることにより、電池ケースと封口板とを組み合わせた状態としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−129201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の密閉電池は、封口板周縁の絶縁ガスケットに当接する外周面および内周面に対して、粗面化された領域が形成されている。この粗面化された領域には、複数の三角形が連続する形状、すなわち蛇腹形状の凹凸部分が形成され、平坦な面が形成されていないことから、封口板周縁が湾曲しやすい形状となっている。
【0006】
このため、電池ケースと封口板とを組み合わせる際、封口板周縁の段部に電池ケースの周縁の開口端部をかしめるときに加えられる力(以下「かしめ力」という。)により、封口板周縁は電池の内部または外部の方向に湾曲するような変形が生じ得る。封口板周縁に変形が生じてしまうと、かしめ力は封口板周縁を介して絶縁ガスケットに十分伝わり切らず、ガスケットによる電池ケースの底面を押し付ける作用が減退してしまう。その結果、電池内部の気密性が損なわれるという問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、電池内部の気密性を向上させた扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による封口缶は、扁平形電池の封口缶であって、筒状に形成され、ガスケットによって覆われる部分を有する周壁と、周壁の一方の開口側に配置された円形状の平面部と、を備える。周壁の内周面は平坦であり、周壁の外周面は、平坦部と、平坦部に対して凹状に窪んだ凹部と、を含む。
【0009】
この実施の形態によれば、周壁の外周面は、平坦部と凹部とを含むことから、外圧に対する周壁の強度が相対的に高くなって、封口缶の周壁に外装缶の周壁をかしめるときに加えられる力が封口缶の周壁に十分伝わり、周壁がガスケットを外装缶の底部に強く押し付けることになる。また、ガスケットによって覆われる部分を有する周壁に凹部を含むことにより、電解液は、凹部に溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。このため、電池内部の気密性を向上させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態による封口缶において、凹部は、矩形状の断面形状を有するものが好ましい。
【0011】
この実施の形態によれば、電解液は、矩形状の断面形状の凹部に沿って移動しにくくなり、電池内部から漏れにくくなる。
【0012】
本発明の一実施形態による封口缶において、凹部は、周回状に形成される溝部を有するものが好ましい。
【0013】
この実施の形態によれば、ガスケットの全周に亘って封口缶の周壁の外周面と嵌合させることができ、電解液は、溝部に溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。
【0014】
本発明の一実施形態による封口缶において、凹部は、周壁の外周面に対して複数形成されているものが好ましい。
【0015】
この実施の形態によれば、ガスケットにおける封口缶の周壁の外周面との嵌合箇所が増えることになって、電解液が電池内部からより漏れにくくなる。
【0016】
本発明の実施の形態による封口缶は、凹部の底面部分にシボ加工が施されているものが好ましい。
【0017】
この実施の形態によれば、凹部の底面部分とガスケットとのくいつきが良くなり、凹部の底面部分とガスケットとの密着性をより向上できる。
【0018】
本発明の実施の形態による封口缶は、周壁の先端部分に折り返し部分を設けないストレート缶として形成されているものが好ましい。
【0019】
この実施の形態によれば、周壁の先端部分にもガスケットが面接触しやすいため、ガスケットと周壁との密着性をより向上できる。
【0020】
また、本発明の一実施形態による封口缶の製造方法は、平板において、周壁となる部分に凹部を形成する第1の工程と、プレス加工により、平板から平面部と周壁とを形成する第2の工程と、を含む。
【0021】
この実施の形態によれば、封口缶を加工する前に、封口缶の周壁となる部分に凹部を精度よく形成することができる。
【0022】
本発明の一実施形態による封口缶の製造方法では、第1の工程において、周壁となる部分に同心円状の溝部を形成するものが好ましい。
【0023】
この実施の形態によれば、封口缶を加工する前に、封口缶の周壁となる部分に溝部を容易に形成することができる。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態による扁平形電池は、上述の封口缶と、封口缶の周壁の外側に配置され、かつ、封口缶の外径より大きい筒状の周壁を有する外装缶と、外装缶の周壁と封口缶の周壁との間に配置されたガスケットと、を備える。ガスケットは、封口缶の周壁に形成された凹部に嵌合している。
【0025】
この実施の形態による扁平形電池であれば、周壁の外周面において平坦部と凹部とを含むことから、外圧に対する周壁の強度が相対的に高くなって、封口缶の周壁に外装缶の周壁をかしめるときに加えられる力が封口缶の周壁に十分伝わり、周壁がガスケットを外装缶の底部に強く押し付けることになる。また、ガスケットは凹部に嵌合していることから、封口缶の周壁とガスケットとの間に空隙が生じにくい。このため、扁平形電池における電池内部の気密性を向上させることができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、ガスケットは、封口缶の周壁にモールド成形されたものであることが好ましい。
【0027】
この場合、ガスケットは、モールド成形によって凹部に嵌合している状態として形成されるため、封口缶の周壁とガスケットとの間に空隙をさらに生じにくくできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電池内部の気密性を向上させた扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施の形態による扁平形電池の概略構成を示す断面図である。
図2】扁平形電池内の電極体の構造を断面で拡大して示す部分拡大断面図である。
図3】本発明の実施の形態による封口缶の斜視図である。
図4】扁平形電池のガスケット配置部分を拡大して示す部分拡大断面図である。
図5】プレス加工前における封口缶の平面図である。
図6】封口缶にガスケットをモールド成形するときの様子を示す図である。
図7】ガスケットを拡大して示す拡大断面図である。
図8】外装缶の周壁に封口缶の周壁をかしめる前後の状態における断面図である。
図9】凹部の底面部分にシボ加工を施す形態を拡大して示す拡大断面図である。
図10】他の実施の形態による封口缶の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0031】
[全体構成]
図1を参照して、本発明の実施の形態による扁平形電池1は、主に、外装缶10と、封口缶20と、ガスケット30と、電極体40とを備える。
【0032】
より具体的には、扁平形電池1は、図1に示すように、筒状の周壁を有する外装缶10と、外装缶10の周壁の内側に配置され、かつ、外装缶10の外径より小さい筒状の周壁を有する封口缶20と、外装缶10と封口缶20との間に配置されるガスケット30と、外装缶10と封口缶20との間に形成される空間内に収納される電極体40とを備える。なお、図1は、封口缶20の周壁22に外装缶10の周壁12の開口端をかしめた状態を示すものである。
【0033】
扁平形電池1は、外装缶10と封口缶20とを合わせることによって、全体が扁平なコイン状となる。扁平形電池1の外装缶10と封口缶20との間に形成される空間内には、電極体40以外に、非水電解液(図示省略)も封入されている。
【0034】
本発明の実施の形態による扁平形電池1では、外装缶10を正極缶とし、封口缶20を負極缶としている。
【0035】
外装缶10は、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス加工によって有底円筒状に形成されている。外装缶10は、円形状の底部11と、その外周に底部11と連接して形成される周壁12とを備える。
【0036】
底部11は、図1に示すように、電極体40が配置される円形状の底部11aと、底部11aの外周側に形成された段差部分における円筒状の底部11bとを備える。
【0037】
周壁12は、封口缶20の外側に配置され、かつ、封口缶20の外径より大きい円筒状の形状を有する。周壁12は、図1に示すように、縦断面視において、底部11bの外周端から垂直方向(図1における一点鎖線Pと同方向)に延びている。ここで、図1における符号Pは、外装缶10及び封口缶20の筒軸を示す。すなわち、周壁12は、外装缶10の筒軸Pの上方向に延びている。
【0038】
封口缶20は、外装缶10と同様、ステンレスなどの金属材料からなり、プレス加工によって有底円筒状に形成される。封口缶20は、外装缶10の周壁12よりも外形が小さい略円筒状の周壁22と、周壁22の一方の開口側に配置された円形状の平面部21とを有する。
【0039】
周壁22は、図1に示すように、平面部21の外周端から筒軸Pの下方向に延びており、周壁22の先端部分に折り返し部分を設けないストレート缶として形成されている。
【0040】
ガスケット30は、図1に示すように、略円筒状であって、外装缶10の周壁12と封口缶20の周壁22との間に配置され、外装缶10と封口缶20との電気的な絶縁を確保する。ガスケット30は、封口缶20の周壁22における内表面及び外表面を覆うとともに、外装缶10の周壁12の内表面に接し、周壁22の開口端から封口缶20の筒軸Pの下方向に突出して外装缶10の底部11bに接する。
【0041】
ガスケット30は、ポリプロピレン(PP)からなる。しかしながら、ガスケット30の材質については、ポリプロピレンに限られず、ポリフェニレンサルファイド(PPS)にオレフィン系エラストマーを含有した樹脂組成物や、ポリテトラフルオロエチレン(PFA)、ポリアミド系樹脂などであってもよい。
【0042】
電極体40は、図2に示すように、複数の正極41と、複数の負極46とを備える。
【0043】
電極体40は、外装缶10の底部11aと封口缶20の平面部21との間に形成される空間において、複数の正極41と複数の負極46とがそれぞれ交互に積み重ねられたものである。電極体40は、このような積層構造として、全体的に略円柱状の形状を有する。
【0044】
また、電極体40は、筒軸Pの方向において、両端に位置する極性がいずれも負極となるように、複数の正極41と複数の負極46とを配置したものである。すなわち、電極体40の両端には、負極46がそれぞれ配置される。
【0045】
複数の正極41は、略円板状の形状を有する。複数の正極41の各々は、図2に示すように、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体43の両面において、コバルト酸リチウム等の正極活物質を含有する正極活物質層42を配置したものである。複数の正極41は、図2に示すように、袋状の形状を有する複数のセパレータ44内にそれぞれ収容される。
【0046】
セパレータ44は、平面視で円形状に形成された袋状の部材であり、略円板状の正極41を収納可能な大きさに形成される。セパレータ44は、絶縁性に優れたポリエチレン製の材質により構成される。
【0047】
セパレータ44は、微多孔性薄膜からなる。これにより、リチウムイオンがセパレータ44を透過することができる。セパレータ44は、一枚の長方形状の微多孔性薄膜のシート材によって正極41を包み込み、シート材が重なる部分に対して熱溶着等により接着して形成される。
【0048】
正極41の正極集電体43は、図1及び図2に示すように、筒軸Pに対して右側に向かって延びる導電性の正極リード51と一体的に接続されている。正極リード51は、正極集電体43に接続される付近の箇所がセパレータ44によって部分的に覆われる。
【0049】
複数の正極リード51の各々は、図1に示すように、正極集電体43に接続される位置からセパレータ44の外部に露出し、筒軸Pに対して右側の位置にて収束する。
【0050】
なお、絶縁シート49と外装缶10の底部11aとの間には、正極活物質層42が設けられていない正極集電体43が配置されている。すなわち、この正極集電体43は、外装缶10の底部11aに電気的に接触している。
【0051】
複数の負極46は、略円板状の形状を有する。負極46の各々は、図2に示すように、銅等の金属箔製の負極集電体48の両面において、黒鉛等の負極活物質を含有する負極活物質層47を配置したものである。
【0052】
ただし、外装缶10側及び封口缶20側に配置される負極46は、正極41に対向する位置となる負極集電体48の片面にのみ、負極活物質層47が配置される。
【0053】
より具体的には、外装缶10側に配置される負極46は、負極集電体48の片面にのみ負極活物質層47が配置される。すなわち、外装缶10側に配置される負極46は、図2に示すように、外装缶10の底部11aに配置される正極41(正極集電体43)の上側に位置する絶縁シート49の上面に対して、負極活物質層47が配置されず、負極集電体48が直接的に当接する態様にて配置される。
【0054】
また、封口缶20側に配置される負極46についても、負極集電体48の片面にのみ負極活物質層47が配置される。すなわち、封口缶20側に配置される負極46は、図1に示すように、封口缶20の平面部21に対して、負極集電体48が直接的に当接する態様にて配置される。
【0055】
負極集電体48は、図1及び図2に示すように、筒軸Pに対して左側に向かって延びる導電性の負極リード52と一体的に接続されている。
【0056】
負極リード52の各々は、図1に示すように、負極46の負極集電体48に接続される位置から筒軸Pに対して左側の位置にて収束する。
【0057】
複数の正極リード51は、先端側が厚み方向に重ね合わされて、超音波溶接等により接続される。これにより、複数の正極リード51を介して、複数の正極41同士が電気的に接続されるとともに、各々の正極41と外装缶10とが電気的に接続される。
【0058】
複数の負極リード52についても、複数の正極41及び負極46が積層した状態で、先端側が厚み方向に重ね合わされて、超音波溶接等により互いに接続される。これにより、複数の負極リード52を介して、複数の負極46同士が電気的に接続されるとともに、各負極46と封口缶20とが電気的に接続される。
【0059】
[封口缶の周壁の構成]
次に、封口缶20の周壁22の構成を詳細に説明する。
【0060】
封口缶20の周壁22は、図1に示すように、平面部21の外周端から筒軸Pの下方向に延びる基端部23と、基端部23の外径よりも大きく形成され、且つ周壁22の開口端を段状に拡げる拡径部24とを有する。拡径部24は、ガスケット30によって覆われる。段部25は、基端部23と拡径部24との間に配置され、基端部23と拡径部24とに連接している。基端部23および段部25の外周面は、ガスケット30により覆われる。
【0061】
拡径部24の外周面は、平坦部26と凹部27からなる。より具体的には、凹部27は、図3及び図4に示すように、平坦部26に隣接して形成され、平坦部26に対して凹状に窪んだ矩形状の断面形状を有する。このような凹部27を有することにより、外圧に対する拡径部24の強度が向上する。
【0062】
凹部27は、図3に示すように、周回状に形成される溝部27aとなっている。この溝部27aは、図3に示すように、拡径部24の外周面に対して複数形成されている。このような溝部27aを複数備えることにより、電解液が拡径部24の外周面を移動しにくくなり、電解液が漏れにくくなる。なお、本発明の実施の形態において、溝部27aは3つ設けられている。
【0063】
また、拡径部24の内周面は、図1に示すように、平坦な面が一様に形成されており、拡径部24の外周面に形成されるような凹部は拡径部24の内周面に形成されないものとなっている。
【0064】
[ガスケットの構成]
ガスケット30の構成を詳細に説明する。
【0065】
ガスケット30は、図1に示すように、封口缶20の周壁22を覆う外筒部31及び内筒部32と、封口缶20の周壁22と外装缶10の底部11bとの間に配置され、外装缶10の底部11bに接する突延部33とを有する。
【0066】
外筒部31は、封口缶20の周壁22の外周面を覆うとともに、封口缶20の基端部23及び段部25の外周面に接する。また、外筒部31は、封口缶20の周壁22の開口端付近で突延部33に連接している。
【0067】
また、外筒部31は、図1に示すように、封口缶20の周壁22を構成する基端部23から拡径部24の開口端に亘る外周面を覆い、外装缶10の周壁12と封口缶20の周壁22との空間を密閉した状態に維持するものである。
【0068】
さらに、外筒部31は、図4に示すように、封口缶20の拡径部24の外周面に形成された平坦部26と複数の凹部27に接する。より具体的には、外筒部31は、複数の凹部27に嵌合した状態となるように、ガスケット30が封口缶20の周壁22にモールド成形されている。外筒部31は、図4に示すように、複数の凹部27に嵌合している部分において、矩形状の断面形状となる複数の凸部31aを有する。
【0069】
内筒部32は、封口缶20の周壁22の内表面を覆う。より具体的には、内筒部32は、図1に示すように、周壁22の段部25の内表面から封口缶20の周壁22の開口端に亘り、封口缶20の周壁22の内表面を覆うように、略円筒状に形成される。内筒部32の内周面は、周壁22の基端部23の内周面と略面一になるように形成される。内筒部32は、封口缶20の周壁22の開口端付近で突延部33に連接している。なお、内筒部32は、図1に示す実施の形態に限らず、封口缶20の周壁22の内表面を全面的に覆うような形態であってもよい。
【0070】
突延部33は、外装缶10の底部11bに接触する。封口缶20の周壁22に外装缶10の周壁12をかしめたとき、突延部33の先端部分が外装缶10の底部11bに押し付けられ、外装缶10の周壁12と封口缶20の周壁22との空間が密閉される。
【0071】
内筒部32及び突延部33は、かしめる時に外装缶10の周壁12に加えられた押付力により、封口缶20の段部25と外装缶10の底部11bとの間で挟み込まれる。そして、図1に示すように、内筒部32及び突延部33は、外装缶10の底部11bに対してより強く押し付けられる。このため、突延部33と外装缶10の底部11bとの間がより密閉された状態となる。
【0072】
このように、扁平形電池1は、外装缶10の周壁12と封口缶20の周壁22との間の空間が全体的に密閉された状態に維持されるため、ガスケット30の封止性能が高まり、電池内部の気密性がより向上する。
【0073】
[製造方法]
本発明の実施の形態による扁平形電池1は、以下の製造工程を経て製造される。
【0074】
外装缶10及び封口缶20は、プレス加工により作製される。
【0075】
ここで、封口缶20は、ステンレス鋼板などの金属材料からなる平板に対して、周壁22となる部分に凹部27を形成する第1の工程と、プレス加工によって、平面部21と周壁22とを形成する第2の工程と、を含む。
【0076】
第1の工程では、図5に示すように、周壁22の拡径部24の外周面となる部分に対して、凹部27に相当する同心円状の溝部27aが複数形成される。この複数の溝部27aは、レーザー加工、プレス加工などの加工方法によって形成される。このように、第2の工程となる封口缶20の加工前に第1の工程を行うことにより、プレス加工前の封口缶20となる平板の状態において、周壁22の拡径部24となる部分に凹部27(溝部27a)を精度よく、容易に形成することができる。なお、凹部27は、プレス加工などによって形成されることから、拡径部24の外周面に向かって徐々に幅が大きくなるように凹部27の側壁がテーパ状に形成されていても良い。
【0077】
第1の工程を経た後、第2の工程として、複数の溝部27aが形成された平板に対してプレス加工が施され、封口缶20の主要部となる平面部21と周壁22とが形成される。これにより、封口缶20の加工が完了する。
【0078】
電極体40は、セパレータ44によって覆われた複数の板状の正極41と複数の板状の負極46とを厚み方向に積層して形成される。電極体40は、従来の方法と同様の方法によって製造されるため、詳しい製造方法については説明を省略する。
【0079】
封口缶20にガスケット30をモールド成形する工程につき、図6を用いて説明する。
【0080】
図6に示すように、固定成形型61と、可動成形型62と、リング状の断面を有するピストン可動成形型63とを封口缶20の外側に配置し、ピン64を封口缶20の内側に配置する。ガスケット30を成形するための成形型、すわなち、ガスケット30を形成するための空間60は、成形型61,62,63及びピン64によって、封口缶20の周壁22の周りに形成される。
【0081】
固定成形型61は、空間60内に外部から樹脂材料を注入するための注入口(図示省略)を有する。この注入口から溶融した樹脂材料が空間60内に注入され、空間60内が樹脂材料で埋められる。
【0082】
このとき、空間60内に注入された樹脂材料は、封口缶20の拡径部24の外周面における複数の凹部27の内部にも埋め込まれる。その結果、モールド成形後におけるガスケット30の外筒部31は、封口缶20の拡径部24の外周面に形成された平坦部26と複数の凹部27に接し、さらに、複数の凹部27と嵌合した状態になる。
【0083】
空間60内の樹脂材料が硬化してガスケット30が成形された後、可動成形型62を取り外す。そして、ピストン可動成形型63をピン64の軸方向(図6中の白抜き矢印方向)に移動させることにより、ガスケット30がモールド成形された封口缶20をピン64及び固定成形型61から脱離させる。
【0084】
固定成形型61は、円筒状のガスケット30の外周面を成形する部分において、封口缶20の周壁22の段部25に向かって徐々に内径が大きくなるようなテーパ状に形成されている。この形状により、ピストン可動成形型63によってガスケット30を押した際、封口缶20は固定成形型61から容易に脱離できる。
【0085】
次に、外装缶10と封口缶20とを合せる工程について説明する。
【0086】
まず、電極体40が絶縁シート49等とともに外装缶10内に配置され、非水電解液が注入される。ここで、非水電解液は、例えば、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを混合した溶媒に、LiPFを溶解させることにより得られる。
【0087】
その後、外装缶10とガスケット30がモールド成形された封口缶20とを合わせて、図8の上図に示す状態とする。この状態から、図8の下図に示すように、外装缶10の周壁12の開口端を封口缶20の周壁22に向かう方向にかしめた状態とする。
【0088】
ここで、図7に示すように、封口缶20の周壁22にモールド成形されたガスケット30は、封口缶20の拡径部24の外周面に形成された凹部27に嵌合している状態となるため、封口缶20の周壁22とガスケット30との密着性を向上できる。
【0089】
以上より、外装缶10の周壁12の開口端が封口缶20の周壁22にかしめられ、図8の下図に示すように、外装缶10と封口缶20とを合せた扁平形電池1が完成する。
【0090】
[本発明の実施の形態による特徴点]
以下、本発明の実施の形態による特徴点を詳述する。
【0091】
本発明の実施の形態による扁平形電池1において、封口缶20における周壁22の拡径部24の外周面は、平坦部26と、平坦部26に対して凹状に窪んだ矩形状の断面形状を有する凹部27を含む形態となっている。
【0092】
すなわち、拡径部24の外周面には、平坦部26とともに、凹部27を含むことから、外圧に対する拡径部24の強度が向上する。特に、平坦部26は、図3に示すように、凹部27よりも広い領域となっていることから、外圧に対する拡径部24の曲げ強度が相対的に高くなり、拡径部24を含む周壁22が過度に変形するようなことはない。このため、封口缶20の周壁22に外装缶10の周壁12をかしめる力が加わっても、封口缶20の周壁22が過度に湾曲するような変形は生じにくい。これにより、上述のかしめ力が封口缶20の周壁22に十分伝わって、周壁22がガスケット30の突延部33を外装缶10の底部11bに強く押し付けることになる。その結果、電池内部の気密性が確保される。
【0093】
また、上述のかしめ力により、外筒部31も下方に押し下げられる。このとき、外筒部31に形成される複数の凸部31aにもかしめ力が加わる。複数の凸部31aは、複数の凹部27にそれぞれ嵌合しているため、かしめ力が複数の凹部27にも加わる。複数の凹部27に加わった力により、封口缶20の周壁22が押し下げられ、周壁22がガスケット30の突延部33を外装缶10の底部11bに強く押し付ける。
【0094】
また、周壁22の外周面において、ガスケット30により覆われる拡径部24に凹部27が形成されることから、電解液は、凹部27に溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。このため、電解液の漏れを抑制できる。
【0095】
さらに、凹部27とガスケット30の凸部31aとが嵌合する部分の接触面積は、封口缶20の周壁22とガスケット30との全体的な接触面積の増加に寄与する。このため、電池内部から外部までの経路が長くなり、電解液は電池内部から漏れにくい。その結果、電池内部の気密性が確保される。特に、凹部27は矩形状の断面形状を有するため、電解液は、矩形状の断面形状に沿って移動しにくくなり、電池内部から漏れにくくなる。また、凹部27は周回状に形成されているため、電解液は、凹部27に溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。その結果、電池内部の気密性がより確保される。
【0096】
ここで、従来技術における特許文献1の密閉電池に関し、絶縁ガスケットは、封口板周縁において、凹凸部分の蛇腹形状となる各斜面に接しているが、凹凸部分に嵌合されているわけではない。このため、封口板周縁に変形が生じると、絶縁ガスケットが凹凸部分の各斜面からずれてしまい、封口板周縁と絶縁ガスケットとの間に空隙が生じやすい。このような空隙が生じると、封口板周縁と絶縁ガスケットとの密着性が阻害され、密閉電池内の電解液が空隙から漏れ出るという問題が生じる。特に、封口板周縁は、平坦な面が形成されていないことから、封口板周縁の開口端が電池の内部または外部の方向に湾曲しやすいため、封口板周縁が絶縁ガスケットから剥がれやすく、封口板周縁と絶縁ガスケットとの密着性がより阻害され、密閉電池内の電解液が空隙から漏れ出る可能性が高くなる。
【0097】
他方、本発明の実施の形態による扁平形電池1では、ガスケット30の外筒部31は、凸部31aを介して、封口缶20における周壁22の拡径部24の外周面に形成された複数の凹部27と嵌合していることから、拡径部24とガスケット30の外筒部31との間に空隙は生じにくい。特に、凹部27は矩形状の断面形状を有することにより、ガスケット30の外筒部31に形成される矩形状の断面形状を有する凸部31aが凹部27にしっかり嵌合している状態となるため、拡径部24とガスケット30の外筒部31との間に空隙は生じにくい。このため、封口缶20の周壁22とガスケット30との密着性が維持され、電解液は電池内部から漏れにくい。その結果、電池内部の気密性が確保される。
【0098】
さらに、たとえ封口缶20の周壁22とガスケット30との間に空隙が生じるようなことがあったとしても、周壁22の外周面に凹部27が形成されていることから、電解液は、凹部27に溜まりやすく、電池内部から漏れにくい。このため、電解液が扁平形電池1から漏れるのを抑制できる。
【0099】
また、本発明の実施の形態による扁平形電池1では、封口缶20の拡径部24の内周面に平坦な面が一様に形成されている。すなわち、拡径部24の内周面において、外周面に形成されるような凹部は形成されていない。このため、ガスケット30の内筒部32は、封口缶20の拡径部24の内周面と面接触した状態を保ち、拡径部24の内周面から剥がれることなく、封口缶20の周壁22とガスケット30との密着性が維持される。その結果、電池内部の気密性が確保される。
【0100】
ところで、本発明の実施の形態による封口缶20は、図9に示すように、凹部27の底面部分にシボ加工を施す形態を採用したものであってもよい。すなわち、凹部27の底面部分に対応する金型の部分にあらかじめ放電加工を施しておくことによって、プレス加工などにより形成された凹部27は、その底面部分がシボ加工された状態となる。このように、凹部27の底面部分にシボ加工が施されることによって、凹部27の底面部分とガスケット30の凸部31aとのくいつきが良くなり、封口缶20の周壁22とガスケット30との密着性をより向上できる。
【0101】
[作用効果]
以下に、本発明の実施の形態による封口缶20、封口缶20の製造方法、及び扁平形電池1の作用効果を説明する。
【0102】
本発明の実施の形態による封口缶20は、筒状に形成され、ガスケット30によって覆われる部分を有する周壁22と、周壁22の一方の開口側に配置された円形状の平面部21と、を備える。周壁22の内周面は平坦であり、周壁22の外周面は、平坦部26と、平坦部26に対して凹状に窪んだ凹部27と、を含む。
【0103】
この実施の形態による封口缶20であれば、周壁22の外周面は、平坦部26と凹部27とを含むことから、外圧に対する周壁22の強度が相対的に高くなって、封口缶20の周壁22に外装缶10の周壁12をかしめるときに加えられる力が封口缶20の周壁22に十分伝わり、周壁22がガスケット30を外装缶10の底部11bに強く押し付けることになる。また、ガスケット30によって覆われる部分を有する周壁22に凹部27を含むことにより、電解液は、凹部27に溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。このため、電池内部の気密性を向上させることができる。
【0104】
本発明の実施の形態による封口缶20において、凹部27は、矩形状の断面形状を有するものが好ましい。
【0105】
この実施の形態によれば、電解液は、矩形状の断面形状の凹部27に沿って移動しにくくなり、電池内部から漏れにくくなる。
【0106】
本発明の実施の形態による封口缶20において、凹部27は、周回状に形成される溝部27aを有するものが好ましい。
【0107】
この実施の形態によれば、ガスケット30の全周に亘って封口缶20の周壁22の外周面と嵌合させることができ、電解液は、溝部27aに溜まりやすくなり、電池内部から漏れにくくなる。
【0108】
本発明の実施の形態による封口缶20において、凹部27は、周壁22の外周面に対して複数形成されているものが好ましい。
【0109】
この実施の形態によれば、ガスケット30における封口缶20の周壁22の外周面との嵌合箇所が増えることになって、さらに電解液が電池内部からより漏れにくくなる。
【0110】
本発明の実施の形態による封口缶20は、凹部27の底面部分にシボ加工が施されているものが好ましい。
【0111】
この実施の形態によれば、凹部27の底面部分とガスケット30とのくいつきが良くなり、凹部27の底面部分とガスケット30との密着性をより向上できる。
【0112】
本発明の実施の形態による封口缶20は、周壁22の先端部分に折り返し部分を設けないストレート缶として形成されているものが好ましい。
【0113】
この実施の形態によれば、周壁22の先端部分にもガスケット30が面接触しやすいため、ガスケット30と周壁22との密着性をより向上できる。
【0114】
また、本発明の実施の形態による封口缶20の製造方法は、平板において、周壁22となる部分に凹部27を形成する第1の工程と、プレス加工により、平板から平面部21と周壁22とを形成する第2の工程と、を含む。
【0115】
この実施の形態によれば、封口缶20を加工する前に、周壁22となる部分に凹部27を精度よく形成することができる。
【0116】
本発明の実施の形態による封口缶20の製造方法では、第1の工程において、周壁22となる部分に同心円状の溝部27aを形成するものが好ましい。
【0117】
この実施の形態によれば、封口缶20を加工する前に、封口缶20の周壁22となる部分に溝部27aを容易に形成することができる。
【0118】
さらに、本発明の実施の形態による扁平形電池1は、封口缶20と、封口缶20の周壁22の外側に配置され、かつ、封口缶20の外径より大きい筒状の周壁12を有する外装缶10と、外装缶10の周壁12と封口缶20の周壁22との間に配置されたガスケット30と、を備える。ガスケット30は、封口缶20の周壁22に形成された凹部27に嵌合している。
【0119】
この実施の形態による扁平形電池1であれば、周壁22の外周面において平坦部26と凹部27とを含むことから、外圧に対する周壁22の強度が相対的に高くなって、封口缶20の周壁22に外装缶10の周壁12をかしめるときに加えられる力が封口缶20の周壁22に十分伝わり、周壁22がガスケット30を外装缶10の底部11bに強く押し付けることになる。また、ガスケット30は凹部27に嵌合していることから、封口缶20の周壁22とガスケット30との間に空隙が生じにくい。さらに、たとえ封口缶20の周壁22とガスケット30との間に空隙が生じるようなことがあったとしても、周壁22の外周面に凹部27が形成されていることから、電解液は、凹部27に溜まりやすく、電池内部から漏れにくい。このため、電解液が扁平形電池1から漏れるのを抑制できる。
【0120】
本発明の実施の形態において、ガスケット30は、封口缶30の周壁33にモールド成形されたものであることが好ましい。
【0121】
この場合、ガスケット30は、モールド成形によって凹部27に嵌合している状態として形成されるため、封口缶20の周壁22とガスケット30との密着性を向上できる。
【0122】
[その他の実施の形態]
上記実施の形態では、凹部27は、周回状に形成される複数の溝部27aが形成される形態を採用しているが、この複数の溝部27aに代えて、各々の凹部27が部分的に形成される複数の窪み部27bを備える形態であってもよい。
【0123】
複数の窪み部27bは、図10に示すように、拡径部24の外周面において、規則的に配列された形態を採るものである。より具体的には、複数の窪み部27bは、図10に示すように、各々の窪み部27bが連続して配置された周回状の群を複数構成し、この複数の群が筒軸Pの方向において所定の間隔を空けて配置されたものとなっている。このような他の実施の形態であっても、上記実施の形態と同様、電池内部の気密性を向上させることができる。なお、図10において、複数の窪み部27bは、拡径部24の外周面に対して規則的に配列された形態となっているが、不規則的に配列される形態であってもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、電極体40を、複数の正極41及び負極46を交互に積層した構成としているが、電極体40の構成はこれ以外の構成であってもよい。
【0125】
上記実施の形態では、外装缶10を正極缶とし、封口缶20を負極缶としたが、逆に封口缶20を正極缶とし、外装缶10を負極缶としてもよい。
【0126】
上記実施の形態では、底部11について、電極体40を配置する底部11aと、底部11aの外周側に形成された段差部分にガスケット30の突延部33が押し付けられる底部11bとを備える構成としたが、段差部分を設けない円形状の底部11とし、その底部11における同一面上に電極体40及びガスケット30を配置しても良い。
【0127】
上記実施の形態では、外装缶10及び封口缶20を、それぞれ有底円筒状に形成して、扁平形電池1をコイン状に形成したが、この限りではなく、扁平形電池1を、多角柱状など、円柱状以外の形状に形成してもよい。
【0128】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、電池内部の気密性を向上させた扁平形電池の封口缶、封口缶の製造方法、及び扁平形電池として産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 扁平形電池
10 外装缶
20 封口缶
30 ガスケット
40 電極体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10