(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出力電圧を高めるために、発電装置と整流回路とを含む複数のユニットを直列に接続することが考えられる。この場合において、複数の発電回路ユニットの少なくとも1つを構成する整流回路が倍電圧整流回路である場合には、以下の理由により、キャパシタへの蓄電がされにくくなることが分かった。
【0005】
説明のため、第一の発電回路ユニットの倍電圧整流回路と第二の発電回路ユニットの整流回路とが直列に接続される場合を考える。この場合、第一の発電回路ユニットにおいては、従来のように単体の発電回路として用いられる場合と同様に、発電装置による交流電圧の出力によってキャパシタに第一方向の電流が流れる第一回路が形成される。第一回路の形成によって、倍電圧整流回路のキャパシタに蓄電されていた。
【0006】
しかし、複数の発電回路ユニットが直列に接続されることによって、第一回路に加えて、当該キャパシタに第一方向とは反対方向の電流が流れる第二回路が形成される。第二回路は、負荷機器および他方の発電回路ユニットにおける整流回路を介する回路である。倍電圧整流回路を含む発電回路ユニットが直列に接続されると、流れる電流の方向が異なる第一回路と第二回路との形成によって、発電装置が出力した電荷をキャパシタに確実に蓄電することができなかった。そのため、発電回路ユニットを直列に接続したにも関わらず、却って、出力電圧が低下することになり、高電圧化が困難であった。
【0007】
本発明は、倍電圧整流回路を用いつつ、複数の発電回路ユニットを直列に接続する場合に、確実に倍電圧整流回路に蓄電可能とする発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本手段に係る発電システムは、発電した電力を負荷機器に出力する発電システムであって、振動の入力によって交流電圧を出力する第一発電装置および第二発電装置と、前記第一発電装置により出力される交流電圧を整流して
第一倍電圧用キャパシタに蓄電すると共に、高圧化した電圧を前記負荷機器に出力する第一倍電圧整流回路と、前記第二発電装置により出力される交流電圧を整流し
て第二倍電圧用キャパシタに蓄電すると共に、前記第一倍電圧整流回路に直列に接続され、整流し
高圧化した電圧を前記負荷機器に出力する第二
倍電圧整流回路と、
を備える。
ここで、前記第一発電装置によって前記第一倍電圧整流回路の前記第一倍電圧用キャパシタに蓄電される際に、前記第一倍電圧整流回路、前記第二倍電圧整流回路の前記第二倍電圧用キャパシタおよび前記負荷機器により構成される回路によって、前記第二倍電圧整流回路の前記第二倍電圧用キャパシタの電荷は放電され、前記第二発電装置によって前記第二倍電圧整流回路の前記第二倍電圧用キャパシタに蓄電される際に、前記第一倍電圧整流回路の前記第一倍電圧用キャパシタ、前記第二倍電圧整流回路および前記負荷機器により構成される回路によって、前記第一倍電圧整流回路の前記第一倍電圧用キャパシタの電荷は放電される。
また、発電システムは、前記負荷機器に直列接続され、前記負荷機器に流れる電流を所定電流以下に制限する定電流回路
をさらに備える。
【0009】
第一倍電圧整流回路と第二
倍電圧整流回路とが直列に接続されるため、第一倍電圧整流回路の
第一倍電圧用キャパシタを通過する回路として、負荷機器を介しない第一回路と負荷機器を介する第二回路とが形成される。第一回路と第二回路とは、第一倍電圧整流回路の
第一倍電圧用キャパシタを流れる電流の方向が異なる。そのため、第一回路によって蓄電されたとしても、第二回路によって放電されることになる。
【0010】
しかし、本手段によれば、定電流回路が、負荷機器に流れる電流を制限する。つまり、第二回路に流れる電流が制限される。そのため、第一発電装置または第二発電装置によって出力される電流が所定電流より十分に大きい場合には、負荷機器を介さない第一回路に流れる電流が、負荷機器を介する第二回路に流れる電流より大きくなる。このように、負荷機器に流れる電流を制限することによって、確実に第一倍電圧整流回路の
第一倍電圧用キャパシタに蓄電可能となる。
さらに、第一、第二倍電圧整流回路を直列に接続する場合において、定電流回路を設けることにより、それぞれのキャパシタに確実に蓄電可能となる。
【0011】
<実施態様>
ここで、本手段に係る発電システムの好適な実施態様について以下に説明する。すなわち、本手段に係る発電システムは、以下の好適な態様に限定されるものではない。
【0012】
前記第一発電装置が出力する交流電圧と前記第二発電装置が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧としてもよい。このように、位相を異にする交流電圧がそれぞれ出力されることで、第二発電装置が発電していない状態のときに、第一倍電圧整流回路において負荷機器を介する第二回路が形成されることがある。従来において、上述したような第一倍電圧整流回路のキャパシタに蓄電されにくい現象が発生するおそれがあった。しかし、定電流回路を設けることにより、当該場合においても、確実に第一倍電圧整流回路のキャパシタに蓄電可能となる。
【0014】
前記発電システムは、前記第一発電装置、前記第二発電装置、前記第一倍電圧整流回路および前記第二
倍電圧整流回路を含む第一直列ユニットと、他の前記第一発電装置、他の前記第二発電装置、他の前記第一倍電圧整流回路および他の前記第二
倍電圧整流回路を含む第二直列ユニットであって、前記第一直列ユニットに対して並列に接続される前記第二直列ユニットと、を備え
、前記定電流回路は、前記第一直列ユニット及び前記第二直列ユニットから前記負荷機器に流れる電流を前記所定電流以下に制限するようにしてもよい。
【0015】
発電装置の数を増加するほど、全ての発電装置に対応する
倍電圧整流回路を直列に接続した場合において、全ての
倍電圧整流回路によって出力される電流は当然に大きくなる。しかし、定電流回路が負荷機器に流れる電流を制限する際において、定電流回路への供給元の電流が大きいほど、定電流回路における損失が大きくなる。そのため、定電流回路への供給元の電流が過剰に大きいことは好ましくない。そこで、第一直列ユニットと第二直列ユニットとを並列に接続することによって、定電流回路への供給元の電流が過剰に大きくなることを抑制でき、定電流回路における損失を抑制できる。
【0016】
前記発電システムは、振動方向の異なる第一、第二振動体を備え、前記第一発電装置および前記第二発電装置の一方は、前記第一振動体に設けられ、前記第一振動体の振動によって交流電圧を出力し、前記第一発電装置および前記第二発電装置の他方は、前記第二振動体に設けられ、前記第二振動体の振動によって交流電圧を出力するようにしてもよい。
【0017】
この構成により、第一発電装置と第二発電装置がそれぞれ異なる態様において発電することになる。つまり、発電システムは、異なる二方向の振動を利用して確実に発電できる。そして、当該状態においては、第一発電装置が出力する交流電圧と第二発電装置が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧となる。
【0018】
前記発電システムは、振動の入力によって交流電圧を出力する第三発電装置と、前記第三発電装置により出力される交流電圧を整流し
て第三倍電圧用キャパシタに蓄電すると共に、前記第一倍電圧整流回路および前記第二
倍電圧整流回路に直列に接続され
、整流し高圧化した電圧を前記負荷機器に出力する第三
倍電圧整流回路と、を備え、前記発電システムは、さらに、振動方向の異なる第一、第二、第三振動体を備え、前記第一発電装置、前記第二発電装置および前記第三発電装置の1つは、前記第一振動体に設けられ、前記第一振動体の振動によって交流電圧を出力し、前記第一発電装置、前記第二発電装置および前記第三発電装置の他の2つのうちの1つは、前記第二振動体に設けられ、前記第二振動体の振動によって交流電圧を出力し、前記第一発電装置、前記第二発電装置および前記第三発電装置のうちの残りの1つは、前記第三振動体に設けられ、前記第三振動体の振動によって交流電圧を出力するようにしてもよい。
【0019】
この構成により、第一発電装置、第二発電装置および第三発電装置がそれぞれ異なる態様において発電することになる。つまり、発電システムは、異なる三方向の振動を利用して確実に発電できる。そして、当該状態においては、第一、第二、第三発電装置が出力する交流電圧は、それぞれ位相を異にする交流電圧となる。
【0020】
前記発電システムは、振動可能に支持され、共振周波数の異なる第一、第二振動体を備え、前記第一発電装置および前記第二発電装置の一方は、前記第一振動体に設けられ、前記第一振動体の振動によって交流電圧を出力し、前記第一発電装置および前記第二発電装置の他方は、前記第二振動体に設けられ、前記第二振動体の振動によって交流電圧を出力するようにしてもよい。
【0021】
この構成により、第一発電装置と第二発電装置がそれぞれ異なる態様において発電することになる。つまり、発電システムは、異なる周波数帯の振動を利用して確実に発電できる。当該状態においては、第一発電装置が出力する交流電圧と第二発電装置が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧となる。
【0022】
前記発電システムは、振動可能に支持され、筒状に形成された振動体を備え、前記第一発電装置および前記第二発電装置の一方は、前記振動体の外周面または内周面の第一位相の位置に設けられ、前記振動体の振動によって交流電圧を出力し、前記第一発電装置および前記第二発電装置の他方は、前記振動体の外周面または内周面の前記第一位相とは異なる第二位相の位置に設けられ、前記振動体の振動によって交流電圧を出力するようにしてもよい。
【0023】
この構成により、第一発電装置と第二発電装置がそれぞれ異なる態様において発電することになる。つまり、発電システムは、異なる方向の振動を利用して確実に発電できる。当該状態においては、第一発電装置が出力する交流電圧と第二発電装置が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<第一実施形態>
(発電装置の構造)
第一実施形態の発電システム100(
図3に示す)は、発電した電力を負荷機器200(
図3に示す)に出力する。発電システム100を構成する第一発電装置10および第二発電装置20について、
図1および
図2を参照して説明する。第一発電装置10および第二発電装置20は、振動の入力によって交流電圧を出力する。
【0026】
図1に示すように、第一発電装置10は、固定体11と、固定体11に固定されたX方向振動体12と、X方向振動体12に取り付けられたX方向発電体13とを備える。第二発電装置20は、固定体21(固定体11と同一部材)と、固定体21に固定されたY方向振動体22と、Y方向振動体22に取り付けられたY方向発電体23とを備える。
【0027】
X方向振動体12は、長尺板状に形成される。X方向振動体12の先端側がX方向に振動するように、X方向振動体12の基端が固定体11に固定される。X方向発電体13は、X方向振動体12の先端側の一方の面に取り付けられる。Y方向振動体22は、長尺板状に形成される。Y方向振動体22の先端側がY方向に振動するように、Y方向振動体22の基端が固定体21に固定される。Y方向発電体23は、Y方向振動体22の先端側の一方の面に取り付けられる。ここで、X方向発電体13とY方向発電体23は、取付対象を異にするが、実質的に同一構成からなる。
【0028】
次に、X方向発電体13について、
図2を参照して説明する。X方向発電体13は、
図2に示すように、磁歪棒51、コイル52、第一磁石53、第二磁石54、ヨーク55を備える。磁歪棒51は、磁性材料により形成され、X方向振動体12の一方の面に取り付けられる。磁歪棒51は、X方向振動体12のX方向の振動に伴って、磁歪棒51の長手方向に伸張変形または圧縮変形する。つまり、磁歪棒51の伸張変形または圧縮変形により、磁歪棒51の長手方向の磁束密度が変化する逆磁歪効果を生じる。
【0029】
コイル52は、磁歪棒51に巻回される。磁歪棒51の逆磁歪効果によりコイル52の芯方向の磁束密度が変化することで、コイル52に誘導電流が発生する。第一磁石53は、磁歪棒51の一端に設けられ、第二磁石54は、磁歪棒51の他端に設けられる。ヨーク55が第一磁石53と第二磁石54とを連結する。つまり、磁歪棒51→第一磁石53→ヨーク55→第二磁石54→磁歪棒51の順に、磁気回路が形成される。第一磁石53と第二磁石54の磁束方向は、磁気回路の同方向を向くように設定される。
【0030】
X方向振動体12がX方向一方に移動した場合に、磁歪棒51が伸張変形する。この場合、磁歪棒51を含む磁気回路における磁束密度が変化することで、コイル52に一方向の電流が流れる。一方、X方向振動体12がX方向他方に移動した場合に、磁歪棒51が圧縮変形する。この場合、磁歪棒51を含む磁気回路における磁束密度が変化することで、コイル52に他方向の電流が流れる。このように、X方向振動体12が振動することによって、コイル52に交流電流が発生する。
【0031】
第一磁石53および第二磁石54を設けることにより、磁気回路の磁化をバイアスで発生させることができる。従って、磁歪棒51は、残留磁化を持たない材料であっても適用可能となる。上記においては、X方向発電体13は、第一磁石53と第二磁石54を設けて、磁気回路を形成したが、磁石を用いない構成とすることも可能である。この場合、X方向発電体13は、磁歪棒51とヨーク55とにより構成されることになる。
【0032】
上述したように、第一発電装置10は、X方向振動体12(第一振動体に相当)の振動によって交流電圧を出力するのに対して、第二発電装置20は、Y方向振動体22(第二振動体に相当)の振動によって交流電圧を出力する。つまり、発電システム100は、異なる二方向の振動を利用してそれぞれ異なる態様において発電することになる。従って、第一発電装置10が出力する交流電圧と、第二発電装置20が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧である。
【0033】
なお、本実施形態においては、第一発電装置10および第二発電装置20は、磁歪棒51を用いた発電装置として説明したが、振動の入力によって交流電圧を出力するのであれば、例えば圧電素子などを用いることもできる。
【0034】
(発電システムの回路構成)
次に、上述した第一発電装置10および第二発電装置20を用いた発電システム100について、
図3および
図4を参照して説明する。発電システム100は、第一発電装置10と、第二発電装置20と、第一倍電圧整流回路110と、第二倍電圧整流回路120と、定電流回路130とを備える。第一倍電圧整流回路110と第二倍電圧整流回路120は、同一の回路構成である。ここで、第一発電装置10と第一倍電圧整流回路110とが、第一発電回路ユニットを構成し、第二発電装置20と第二倍電圧整流回路120とが、第二発電回路ユニットを構成する。
【0035】
第一倍電圧整流回路110は、第一発電装置10により出力される交流電圧を整流して蓄電すると共に、高圧化した電圧を負荷機器200に出力する。第二倍電圧整流回路120は、第二発電装置20により出力される交流電圧を整流して蓄電すると共に、高圧化した電圧を負荷機器200に出力する。第一倍電圧整流回路110と第二倍電圧整流回路120とは、直列に接続される。
【0036】
第一倍電圧整流回路110は、正側ダイオード111、負側ダイオード112、正側キャパシタ113および負側キャパシタ114を備える。正側キャパシタ113と負側キャパシタ114は、直列に接続される。正側ダイオード111のアノードは、第一発電装置10の一端に接続され、正側ダイオード111のカソードは、正側キャパシタ113の一端(負側キャパシタ114とは反対の電極側)に接続される。負側ダイオード112のアノードは、負側キャパシタ114の一端(正側キャパシタ113とは反対の電極側)に接続される。負側ダイオード112のカソードは、第一発電装置10の一端、および、正側ダイオード111のアノードに接続される。正側キャパシタ113の他端、および、負側キャパシタ114の他端は、第一発電装置10の他端に接続される。
【0037】
つまり、
図3の破線の矢印にて示すように、第一発電装置10の一端側が正極電圧となる場合には、正側ダイオード111を通過すると共に正側キャパシタ113に蓄電される第一回路141が形成される。このとき、正側キャパシタ113の一端側(
図3の上側)が正極となる。一方、
図4の破線の矢印にて示すように、第一発電装置10の他端側が正極電圧となる場合には、負側ダイオード112を通過すると共に負側キャパシタ114に蓄電される第一回路151が形成される。このとき、負側キャパシタ114の他端側(
図4の上側)が正極となる。つまり、
図3における正側キャパシタ113と
図4における負側キャパシタ114は、正極側が同一方向となるように、直列に接続される。従って、第一倍電圧整流回路110は、正側キャパシタ113と負側キャパシタ114を直列に接続することにより、第一発電装置10による発電電圧の絶対値の2倍程度の電圧を出力する。
【0038】
第二倍電圧整流回路120は、正側ダイオード121、負側ダイオード122、正側キャパシタ123および負側キャパシタ124を備える。正側キャパシタ123と負側キャパシタ124は、直列に接続される。正側ダイオード121のアノードは、第二発電装置20の一端に接続され、正側ダイオード121のカソードは、正側キャパシタ123の一端(負側キャパシタ124とは反対の電極側)に接続される。負側ダイオード122のアノードは、負側キャパシタ124の一端(正側キャパシタ123とは反対の電極側)に接続される。負側ダイオード122のカソードは、第二発電装置20の一端、および、正側ダイオード121のアノードに接続される。正側キャパシタ123の他端、および、負側キャパシタ124の他端は、第二発電装置20の他端に接続される。
【0039】
第二倍電圧整流回路120は、第一倍電圧整流回路110と同様に、正側キャパシタ123と負側キャパシタ124を直列に接続することにより、第二発電装置20による発電電圧の絶対値の2倍程度の電圧を出力する。
【0040】
ここで、第二倍電圧整流回路120は第一倍電圧整流回路110に直列に接続される。詳細には、第一倍電圧整流回路110の正側キャパシタ113および負側キャパシタ114が、第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123および負側キャパシタ124に直列に接続される。
【0041】
定電流回路130は、負荷機器200に直列接続される。さらに、定電流回路130は、第一倍電圧整流回路110の正側キャパシタ113および負側キャパシタ114、並びに、第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123および負側キャパシタ124に直列接続される。定電流回路130は、負荷機器200に流れる電流を所定電流以下に制限する。定電流回路130としては、例えば、定電流ダイオードなどを適用する。
【0042】
(発電システムの動作)
次に、発電システム100の動作について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3に示すように、第一発電装置10の一端(
図3の上側)が正極の電圧となる場合は、破線の矢印にて示す第一回路141と、二点鎖線の矢印にて示す第二回路142とが形成される。第一回路141は、第一発電装置10の一端→正側ダイオード111→正側キャパシタ113→第一発電装置10の他端の順に電流が流れる回路である。第一回路141により、第一発電装置10が発電した電圧によって、正側キャパシタ113の一端(負側キャパシタ114と反対側の電極)が正極となるように正側キャパシタ113に蓄電される。
【0043】
第二回路142は、第一発電装置10の一端→第一倍電圧整流回路110の正側ダイオード111→定電流回路130→負荷機器200→第二倍電圧整流回路120の負側キャパシタ124→第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123→第一倍電圧整流回路110の負側キャパシタ114→第一発電装置10の他端の順に電流が流れる回路である。第二回路142により、第一発電装置10が発電した電圧によって、負側キャパシタ114の一端(正側キャパシタ113と反対側の電極)が正極となるように負側キャパシタ114に蓄電される。
【0044】
つまり、正側ダイオード111を流れる電流i0は、第一回路141において正側キャパシタ113側に流れる電流i1と、第二回路142において負荷機器200側に流れる電流i2とに分かれる。第二回路142は定電流回路130を通過するため、第二回路142に流れる電流i2は、定電流回路130によって制限される所定電流以下となる。従って、負荷機器200は、電流i2に応じた動作を行う。例えば、負荷機器200がLED照明機器である場合には、当該LED照明機器の明るさは、電流i2に応じた明るさとなる。ここで、
図3に示すように、電流i1は、電流i2より十分に大きいとする。そうすると、正側キャパシタ113の両端間の電圧は、負側キャパシタ114の両端間の電圧より大きい。
【0045】
次に、
図4に示すように、第一発電装置10の他端(
図4の下側)が正極の電圧となる場合は、破線の矢印にて示す第一回路151と、二点鎖線の矢印にて示す第二回路152とが形成される。
【0046】
第一回路151は、第一発電装置10の他端→負側キャパシタ114→負側ダイオード112→第一発電装置10の一端の順に電流が流れる回路である。第一回路151により、第一発電装置10が発電した電圧によって、負側キャパシタ114の他端(正側キャパシタ113側の電極)が正極となるように負側キャパシタ114に蓄電される。
【0047】
第二回路152は、第一発電装置10の他端→第一倍電圧整流回路110の正側キャパシタ113→定電流回路130→負荷機器200→第二倍電圧整流回路120の負側キャパシタ124→第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123→第一倍電圧整流回路110の負側ダイオード112→第一発電装置10の一端の順に電流が流れる回路である。第二回路152により、第一発電装置10が発電した電圧によって、正側キャパシタ113の他端(負側キャパシタ114側の電極)が正極となるように正側キャパシタ113に蓄電される。
【0048】
つまり、第一発電装置10の他端を流れる電流i0は、第一回路151において負側キャパシタ114側に流れる電流i1と、第二回路152において負荷機器200側に流れる電流i2とに分かれる。第二回路152は定電流回路130を通過するため、第二回路152に流れる電流i2は、定電流回路130によって制限される所定電流以下となる。従って、負荷機器200は、電流i2に応じた動作を行う。ここで、
図4に示すように、電流i1は、電流i2より十分に大きいとする。そうすると、負側キャパシタ114の両端間の電圧は、正側キャパシタ113の両端間の電圧より大きい。
【0049】
第一発電装置10は交流電圧を出力するため、
図3に示す状態と
図4に示す状態とを繰り返す。
図3において、正側キャパシタ113を流れる電流の方向と、
図4において、正側キャパシタ113を流れる電流の方向とは、異なる。さらに、
図3において、負側キャパシタ114を流れる電流の方向と、
図4において、負側キャパシタ114を流れる電流の方向とは、異なる。
【0050】
つまり、
図3に示す第一回路141によって正側キャパシタ113に蓄電されたとしても、
図4に示す第二回路152によって正側キャパシタ113は放電されることになる。同時に、
図4に示す第一回路151によって負側キャパシタ114に蓄電されたとしても、
図3に示す第二回路142によって負側キャパシタ114は放電されることになる。
【0051】
しかし、定電流回路130が、負荷機器200に流れる電流を制限する。つまり、第二回路142,152に流れる電流i2が制限される。そのため、第一発電装置10によって出力される電流i0が所定電流i2より十分に大きい場合には、負荷機器200を介さない第一回路141,151に流れる電流i1が、負荷機器200を介する第二回路142,152に流れる電流i2より大きくなる。従って、正側キャパシタ113および負側キャパシタ114のそれぞれには、電流差(i1−i2)に対応した電荷が蓄えられる。このように、負荷機器200に流れる電流i2を制限することによって、確実に第一倍電圧整流回路110の正側キャパシタ113および負側キャパシタ114に蓄電可能となる。
【0052】
第二倍電圧整流回路120は、第一倍電圧整流回路110と同様の動作を行う。ただし、上述したように、第一発電装置10の発電による第二回路142,152によって、第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123および負側キャパシタ124を電流i2が流れる。第二倍電圧整流回路120において、電流i2の方向は、第二発電装置20の発電による第一回路141,151によって、第二倍電圧整流回路120の正側キャパシタ123および負側キャパシタ124を流れる電流i1と異なる。しかし、電流i1が電流i2より十分に大きければ、このことを考慮したとしても、それぞれのキャパシタ113,114,123,124に蓄電可能となる。
【0053】
特に、第一発電装置10が出力する交流電圧と、第二発電装置20が出力する交流電圧とは、位相を異にする交流電圧である。このように、位相を異にする交流電圧がそれぞれ出力されることで、第二発電装置20が発電していない状態のときに、第一倍電圧整流回路110において負荷機器200を介する第二回路142,152が形成されることがある。しかし、定電流回路130を設けることにより、位相を異にする場合であっても、確実にそれぞれのキャパシタ113,114,123,124に蓄電可能となる。
【0054】
<第二実施形態>
第一実施形態においては、発電システム100は、2つの発電装置10,20を備えるとした。この他に、発電システム100は、3つの発電装置10,20,30を備え、それぞれの整流回路を直列に接続することができる。
【0055】
第二実施形態における発電システム100を構成する3つの発電装置10,20,30について、
図5を参照して説明する。第一発電装置10および第二発電装置20は、第一実施形態と同一構成である。第三発電装置30は、固定体11,21と同一部材としての固定体31と、固定体31に固定されたZ方向振動体32と、Z方向振動体32に取り付けられたZ方向発電体33とを備える。
【0056】
Z方向振動体32は、長尺板状に形成される。Z方向振動体32の先端側がZ方向に振動するように、Z方向振動体32の基端が固定体31に固定される。Z方向発電体33は、Z方向振動体32の先端側の一方の面に取り付けられる。Z方向発電体33は、取付対象を異にするが、X方向発電体13およびY方向発電体23と実質的に同一構成からなる。
【0057】
つまり、Z方向発電体33は、Z方向振動体32(第三振動体に相当)の振動によって、交流電圧を出力する。つまり、発電システム100は、異なる三方向の振動を利用してそれぞれ異なる態様において発電することになる。従って、第一、第二、第三発電装置10,20,30がそれぞれ出力する交流電圧は、位相を異にする交流電圧である。
【0058】
第一倍電圧整流回路110の各キャパシタ113,114と、第二倍電圧整流回路120の各キャパシタ123,124と、第三倍電圧整流回路(図示せず)の各キャパシタ(図示せず)は、直列に接続される。この場合であっても、第一実施形態と同様に、各キャパシタ113,114,123,124には、蓄電可能となる。
【0059】
<第三実施形態>
第一、第二実施形態においては、振動体12,22,32の振動方向が異なることにより、各発電装置10,20,30が出力する交流電圧が、位相を異にすることとした。この他に、
図6に示すように、第一、第二、第三振動体12,22,32の長さが異なるようにする。つまり、第一、第二、第三振動体12,22,32の共振周波数が異なり、結果として、第一、第二、第三振動体12,22,32にそれぞれ取り付けられた第一、第二、第三発電体13,23,33が出力する交流電圧は、位相を異にする。この場合にも、上記同様に、各キャパシタ113,114,123,124には確実に蓄電可能となる。なお、第一、第二、第三振動体12,22,32の共振周波数を異ならせるためには、第一、第二、第三振動体12,22,32の質量を異なるようにしてもよい。
【0060】
<第四実施形態>
上記実施形態における発電システム100は、複数の発電装置10,20,30に接続される整流回路110,120を直列に接続する構成とした。本実施形態における発電システムは、
図7に示すように、複数の発電装置10,20,30とそれらに対応する倍電圧整流回路110,120とを含む複数の直列ユニット310,320,330を備える。第一、第二、第三直列ユニット310,320,330が、並列に接続される。さらに、逆流防止用のダイオード340および定電流回路130が、負荷機器200に直列に接続される。
【0061】
本実施形態における発電システムは、
図8に示すように、振動可能に支持され、筒状に形成された振動体351を備える。振動体351の外周面において、それぞれ異なる位相の位置に、第一〜第六発電装置を構成する第一〜第六発電体352〜357が設けられる。第一〜第六発電体352〜357は、取り付けられている振動体351の位相に対応する方向の振動によって交流電圧を出力する。第一、第四発電体352,355は、同一位相の交流電圧を出力し、第二、第五発電体353,356は、同一位相の交流電圧を出力し、第三、第六発電体354,357は、同一位相の交流電圧を出力する。第一発電体352は、第二、第三、第五、第六発電体353,354,356,357に対して、位相を異にする交流電圧を出力する。
【0062】
例えば、第一直列ユニット310は、位相を異にする第一、第二発電体352,353を含む第一、第二発電装置を備える。第二直列ユニット320は、位相を異にする第三、第四発電体354,355を含む第三、第四発電装置を備える。第三直列ユニット330は、位相を異にする第五、第六発電体356,357を含む第五、第六発電装置を備える。この場合にも、上記同様に、各キャパシタには確実に蓄電可能となる。
【0063】
発電装置の数を増加するほど、全ての発電装置に対応する整流回路を直列に接続した場合において、全ての整流回路によって出力される電流は当然に大きくなる。しかし、定電流回路130が負荷機器200に流れる電流を制限する際において、定電流回路130への供給元の電流が大きいほど、定電流回路130における損失が大きくなる。そのため、定電流回路130への供給元の電流が過剰に大きいことは好ましくない。そこで、第一、第二、第三直列ユニット310,320,330を並列に接続することによって、定電流回路130への供給元の電流が過剰に大きくなることを抑制でき、定電流回路130における損失を抑制できる。
なお、本実施形態においては、第一〜第六発電体352〜357は、振動体351の外周面に設けることとしたが、振動体351の内周面に設けてもよい。
【0064】
<その他>
上記実施形態においては、第二、第三発電装置に対応する整流回路は、倍電圧整流回路とした。この他に、第一発電装置10に対応する整流回路が、第一倍電圧整流回路110である場合に、第二、第三発電装置20,30に対応する整流回路は、例えば全波整流回路を適用した場合にも、上記同様の効果を奏する。