特許第6286206号(P6286206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6286206カラオケ遊技を希望する楽曲の歌唱を他の利用者に勧める機能に特徴を有する通信カラオケシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286206
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】カラオケ遊技を希望する楽曲の歌唱を他の利用者に勧める機能に特徴を有する通信カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20180215BHJP
【FI】
   G10K15/04 302D
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-271589(P2013-271589)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-125400(P2015-125400A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 尚
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−048083(JP,A)
【文献】 特開2007−121916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/00 − 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ歌唱の採点機能を有するカラオケ装置と、当該カラオケ装置と伝送路によって通信可能に接続されたサーバーとを有し、カラオケ歌唱を行った利用者の採点履歴を、当該利用者の識別情報及び歌唱曲の識別情報に対応付けて前記サーバーに蓄積するとともに、或る利用者と他の利用者との間で前記カラオケ装置を使用したカラオケ遊技を行わせる通信カラオケシステムであって、
前記或る利用者が希望する前記カラオケ遊技が不成立であったことを条件に、遊技希望曲を歌唱の推薦曲として他の利用者へ通知する推薦手段と、
前記推薦手段からの通知に応じて前記他の利用者が前記推薦曲を歌唱した際に得られた採点履歴から、当該他の利用者の当該推薦曲に対する習熟度を認識し、当該他の利用者の習熟度が前記或る利用者の習熟度に対する判断条件を満たす場合に、前記或る利用者と前記他の利用者に対し、前記遊技希望曲でのカラオケ遊技を勧奨する勧奨手段とを有することを特徴とする通信カラオケシステム。
【請求項2】
前記推薦手段は、歌唱履歴に基づいて複数の前記利用者の中から前記他の利用者を抽出することを特徴とする請求項1に記載の通信カラオケシステム。
【請求項3】
前記カラオケ装置は、前記カラオケ歌唱の採点を複数の評価項目に分けて行うものであり、
前記推薦手段は、前記歌唱履歴に基づいて、複数の前記利用者について前記評価項目毎の評価値を取得し、前記或る利用者における前記評価項目毎の評価値に対する相関係数が判断基準値以上の利用者を、前記他の利用者として抽出することを特徴とする請求項2に記載の通信カラオケシステム。
【請求項4】
前記推薦手段は、前記他の利用者によって利用されている前記カラオケ装置、若しくは、前記他の利用者が所有するユーザー端末の少なくとも一方に、推薦内容を示すメッセージを送信することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の通信カラオケシステム。
【請求項5】
前記勧奨手段は、前記或る利用者と前記他の利用者のそれぞれが前記カラオケ装置を利用していることを条件に、前記或る利用者と前記他の利用者によって利用されている前記カラオケ装置、若しくは、前記或る利用者と前記他の利用者が所有するユーザー端末の少なくとも一方に、勧奨内容を示すメッセージを送信することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の通信カラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ歌唱の採点機能を有するカラオケ装置と、このカラオケ装置と伝送路によって通信可能に接続されたサーバーとを有する通信カラオケシステムに関し、特にカラオケ遊技を希望する楽曲の歌唱を他の利用者に勧める機能を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケシステムにおける一般的な採点ゲームでは、カラオケ楽曲を歌唱した時に算出される得点(採点値)に基づいて全国ランキング等を競うことが行われている。そして、現在では、複数の利用者によって得点を競う対戦型の勝ち抜きバトルの様な企画がテレビ等で放送されており、好評を博している。カラオケによる対戦の面白味は、得点が拮抗している利用者同士が競うことであるが、相手とのレベル差が大きい場合には、相手に敬遠されたり自ら対戦を避けたりして、対戦が成立し難いケースがある。
【0003】
この問題に対して、特許文献1では、各利用者の歌唱レベルを相手側利用者に報知するように構成されたカラオケシステムが提案されている。また、特許文献2では、演奏度数や演奏評価(採点値)といった演奏記録に基づいて対戦相手を組み合わせるように構成されたカラオケシステムが提案されている。これらのカラオケシステムでは、相手側の歌唱レベルを認識した上で対戦を行うことができる。
【0004】
また、カラオケにおける他の楽しみ方としてデュエット歌唱がある。このデュエット歌唱においても対戦カラオケと同様に、相手とのレベル差が大きい場合には、デュエット歌唱の面白さを味わうことが難しい傾向がある。
【0005】
この問題に対して、特許文献3では、遠隔地に存在する複数のカラオケルーム同士を、サーバーや伝送路(通信回線)を通じて接続し、遠隔地で合同カラオケやカラオケコンテストを行わせるカラオケシステムが提案されている。このカラオケシステムでは、遠隔地のカラオケルームとの間でデュエット歌唱を行えることから、デュエット相手の選択幅を拡げることができる。さらに、特許文献4には、デュエット歌唱をする際に、各参加者の歌唱個性情報の評価項目(ビブラート/しゃくり等)を参照し、評価の傾向が類似している参加者をデュエット推薦パートナーとして選出するカラオケ関連情報システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−179575号公報
【特許文献2】特開2007−93968号公報
【特許文献3】特開2005−99650号公報
【特許文献4】特許4447545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のカラオケシステムでは、対戦曲の演奏期間中に相手利用者の歌唱レベルがカラオケ装置の表示部に表示されるに過ぎず、相手とのレベル差を埋めることはできない。このため、或る利用者が対戦カラオケを希望しても、相手の都合で対戦が成立せず、興趣が削がれてしまう可能性がある。
【0008】
また、特許文献2のカラオケシステムでは、人数調整の目的で所定順位以下の利用者を組み合わせ対象から外しているに過ぎず、やはり相手とのレベル差を埋めることはできない。このため、特許文献1のカラオケシステムと同様の課題がある。
【0009】
また、特許文献3のカラオケシステムでは、歌唱相手の選択幅を拡げられるものの、やはり相手とのレベル差を埋めることはできない。このため、或る利用者が自らの希望曲でデュエット歌唱を希望しても、相手の都合でデュエット歌唱が成立せず、興趣が削がれてしまう可能性がある。
【0010】
さらに、特許文献4のカラオケシステムでは、似た歌唱傾向の利用者をデュエットパートナーとして選出できるが、選出された利用者が或る利用者の希望曲を歌い込んでいるとは限られず、レベル差を埋めることはできない。このため、特許文献3のカラオケシステムと同様の課題がある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、対戦カラオケやデュエット歌唱といったカラオケ遊技に関し、或る歌唱者と他の歌唱者との間でカラオケ遊技を成立させ易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するため、本発明は、カラオケ歌唱の採点機能を有するカラオケ装置と、当該カラオケ装置と伝送路によって通信可能に接続されたサーバーとを有し、カラオケ歌唱を行った利用者の採点履歴を、当該利用者の識別情報及び歌唱曲の識別情報に対応付けて前記サーバーに蓄積するとともに、或る利用者と他の利用者との間で前記カラオケ装置を使用したカラオケ遊技を行わせる通信カラオケシステムであって、前記或る利用者が希望する前記カラオケ遊技が不成立であったことを条件に、遊技希望曲を歌唱の推薦曲として他の利用者へ通知する推薦手段と、推薦された前記遊技希望曲の前記他の利用者における採点履歴から習熟度を認識し、前記或る利用者の習熟度に対する判断条件を満たす場合に、前記或る利用者と前記他の利用者に対し、前記遊技希望曲でのカラオケ遊技を勧奨する勧奨手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、或る利用者が希望したにもかかわらずカラオケ遊技が不成立となった場合に、その遊技の希望曲が歌唱の推薦曲として他の利用者に提示され、他の利用者による歌唱レベルの向上が期待できる。このため、或る利用者の遊技希望曲について、将来的に歌唱レベルの拮抗する歌唱者が出現する可能性が高まり、カラオケ遊技を成立させ易くすることができる。そして、他の利用者については、自身の歌唱レベルの向上と共に、モチベーションの向上が図れる。
【0014】
前述の通信カラオケシステムにおいて、前記推薦手段は、歌唱履歴に基づいて複数の前記利用者の中から前記他の利用者を抽出することが好ましい。この構成では、他の利用者の選択に際して歌唱履歴が加味されるので、相性のよい相手の選択確率を高めることができる。
【0015】
前述の通信カラオケシステムにおいて、前記カラオケ装置は、前記カラオケ歌唱の採点を複数の評価項目に分けて行うものであり、前記推薦手段は、前記歌唱履歴に基づいて、複数の前記利用者について前記評価項目毎の評価値を取得し、前記或る利用者における前記評価項目毎の評価値に対する相関係数が判断基準値以上の利用者を、前記他の利用者として抽出することが好ましい。この構成では、歌唱技法の似た利用者を他の利用者として選択することができる。
【0016】
前述の通信カラオケシステムにおいて、前記推薦手段は、前記他の利用者によって利用されている前記カラオケ装置、若しくは、前記他の利用者が所有するユーザー端末の少なくとも一方に、推薦内容を示すメッセージを送信することが好ましい。この構成では、他の利用者に対して推薦内容を確実に通知できる。
【0017】
前述の通信カラオケシステムにおいて、前記勧奨手段は、前記或る利用者と前記他の利用者のそれぞれが前記カラオケ装置を利用していることを条件に、前記或る利用者と前記他の利用者によって利用されている前記カラオケ装置、若しくは、前記或る利用者と前記他の利用者が所有するユーザー端末の少なくとも一方に、勧奨内容を示すメッセージを送信することが好ましい。この構成では、各利用者のカラオケ装置の利用を条件にカラオケ遊技の勧奨を行っているので、カラオケ遊技の実行確率を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、対戦カラオケやデュエット歌唱といったカラオケ遊技に関し、或る歌唱者と他の歌唱者との間でカラオケ遊技を成立させ易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】通信カラオケシステムの概略構成を説明する図である。
図2】ホスト装置の構成を説明するブロック図である。
図3】顧客情報に含まれる属性情報を説明する概念図である。
図4】顧客情報に含まれる履歴情報を説明する概念図である。
図5】レーダーチャートに展開した採点結果(複数の評価値)の一例を説明する概念図である。
図6】顧客情報に含まれる推薦曲情報を説明する概念図である。
図7】カラオケ装置の構成を説明するブロック図である。
図8】カラオケ本体の構成を説明するブロック図である。
図9】対戦相手の募集処理を説明する概念図である。
図10】推薦曲の通知処理を説明する概念図である。
図11】採点結果の蓄積処理を説明する概念図である。
図12】対戦カラオケの勧奨処理を説明する概念図である。
図13】対戦カラオケの実施を説明する概念図である。
図14】推薦曲を通知するメッセージの画面例を説明する図である。
図15】通信カラオケシステムのフローチャート(その1)である。
図16】通信カラオケシステムのフローチャート(その2)である。
図17】通信カラオケシステムのフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す通信カラオケシステムは、ホスト装置1とカラオケ装置2とを有している。また、カラオケの利用者は、ユーザー端末3(パーソナルコンピュータ3A,タブレット端末3B,携帯電話3C)を所有している。そして、ホスト装置1とカラオケ装置2及びホスト装置1とユーザー端末3との間が伝送路4によって通信可能に接続されている。
【0021】
ホスト装置1は、サーバーとして機能し、顧客情報や履歴情報などの各種情報を蓄積して管理する。図2に示すように、ホスト装置1は、ホスト側制御部11と、ホスト側通信部12と、ホスト側記憶部13とを有している。
【0022】
ホスト側制御部11は、ホスト装置1における制御の中心となる部分であり、CPU11aやメモリ11bを有している。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。
【0023】
ホスト側通信部12は、ホスト装置1を伝送路4に接続するためのインタフェースを提供する。これにより、ホスト装置1とカラオケ装置2との間、並びに、ホスト装置1とユーザー端末3との間で、各種の情報を送受信できる。例えば、カラオケ歌唱の歌唱履歴や採点結果、及び、利用者の遊技希望曲(対戦希望曲,デュエット希望曲)や歌唱の推薦曲(別の利用者の遊技希望曲,後述する)を示すメッセージといった各種の情報を送受信できる。
【0024】
ホスト側記憶部13は、大容量の情報を記憶する記憶装置であり、例えばハードディスクドライブによって構成されている。そして、ホスト側記憶部13の一部領域は、顧客情報記憶領域13aとして用いられている。
【0025】
顧客情報記憶領域13aは、利用者(顧客)に関する情報が記憶される領域であり、属性情報を記憶する属性情報記憶領域13b、履歴情報を記憶する履歴情報記憶領域13c、及び推薦曲情報を記憶する推薦曲情報記憶領域13dが設けられている。このホスト側記憶部13は、歌唱履歴記憶手段、及び推薦曲情報記憶手段に相当する。
【0026】
属性情報記憶領域13bに記憶される属性情報としては、例えば図3に示すように、利用者ID、住所、電話番号、年齢、性別、及び職業があげられる。これらの中で、利用者IDは、利用者を識別するための情報であり、個々の利用者に対して付与される。
【0027】
履歴情報記憶領域13cには、各利用者が過去に歌唱した全ての歌唱履歴が、歌唱が行われる毎に記憶される。図4に示す例では、採点結果(得点)及びその基となる評価項目毎の評価値が、楽曲ID及び歌唱日時の各情報と共に記憶されている。具体的には、音高、安定性、リズム、表現力(抑揚、しゃくり、こぶし、フォール)、ビブラート、ロングトーン、及び、得点からなる評価項目について、それぞれの評価値が記憶されている。これらの評価値を図5のレーダーチャートに展開すること、言い換えれば各評価値の高低を把握することで、利用者における歌唱傾向を把握することができる。また、図4に示すように、各評価値は、例えばカラオケ楽曲毎、及び、歌唱日時順にソートされており、カラオケ楽曲毎を単位とした楽曲平均が記憶されている。さらに、全ての歌唱を対象にした全体平均も記憶されている。
【0028】
ここで、歌唱採点の評価項目について説明する。音高は、音の隔たりや高さのことである。安定性は、音高の安定度合いのことである。リズムは、曲に合わせて一定のテンポを保つことである。表現力は、歌唱上の表現を行う能力であり、抑揚、しゃくり、こぶし、及び、フォールの細目に基づいて評価される。
【0029】
抑揚は、声の大きさに強弱を付けて歌う技術である。しゃくりは、低い音高から滑らかに本来の音高までずり上げる技術である。こぶしは、基本となる旋律の中で音を細かく動かす装飾音的な節回しのことである。フォールは、本来の音高から低い音高に向かって滑らかにずり下げる技術である。ビブラートは、音高を上下に揺らすことである。ロングトーンは、一回の息で同じ高さの音を長い時間発することである。
【0030】
そして、図4に示す得点は、各項目の評価を総合して得られた採点値である。例えば、採点モードに設定されたカラオケ装置がカラオケ楽曲の演奏を行う毎に、歌唱採点が行われ、総合得点が算出される。
【0031】
図6に示すように、推薦曲情報記憶領域13dは、利用者毎に、複数曲分の推薦曲情報が記憶可能に構成されている。また、推薦曲情報には、推薦曲を示す楽曲IDが、或る利用者の利用者IDに関連付けられた状態で記憶されている。この推薦曲は、後述するように、或る利用者がカラオケ遊技(対戦カラオケ,デュエット歌唱)を希望したにもかかわらず、遊技相手が見つからずにカラオケ遊技が不成立になったことを条件に設定される。
【0032】
なお、カラオケ遊技が不成立になる条件としては、例えば、カラオケ遊技への参加を募集したが募集する利用者がおらず、更に特許文献4に開示されている技術を用いて似た歌唱傾向の利用者を探したが、歌唱レベルが拮抗する候補者がおらずカラオケ遊技が不成立になった場合があげられる。そして、ホスト側制御部11(推薦手段)は、或る利用者が希望するカラオケ遊技が不成立であったことを条件に、遊技希望曲を歌唱の推薦曲として他の利用者へ通知する。
【0033】
本実施形態では、他の利用者によって利用されているカラオケ装置2、若しくは、この利用者が所有するユーザー端末3の少なくとも一方に、推薦内容を示すメッセージを送信する。例えば、通知相手がカラオケ装置2を利用しているのであれば、利用中のカラオケ装置2が備えるモニタ23やリモコン装置26(図7参照)を利用してメッセージを表示する。また、各利用者に割り当てられたマイページに、推薦内容のメッセージを表示させてもよい。さらに、通知相手がユーザー端末3のメールアドレスを登録しているのであれば、登録されたメールアドレスにメールを送信してもよい。
【0034】
ここで、推薦曲の通知相手は、種々の方法で選択できる。例えば、歌唱履歴に基づいて複数の利用者の中から推薦曲の通知相手(他の利用者)を選択できる。
【0035】
まず、歌唱曲を選ぶ傾向に基づいて通知相手を選択できる。例えば、遊技希望曲を歌唱するアーチストの楽曲を多く歌唱している他の利用者を、通知相手として選択することができる。これは、同じアーチストの楽曲を多く歌唱している利用者であれば、遊技希望曲についても上手く歌える可能性が高いからである。
【0036】
また、過去の採点結果に基づいて通知相手を選択できる。例えば、採点結果の全体平均が高い他の利用者を、通知相手として選択することができる。これは、様々な楽曲について採点結果の高い利用者であれば、遊技希望曲についても上手く歌える可能性が高いからである。
【0037】
加えて、歌唱技法(各評価項目の評価値のバランス)によっても通知相手を選択できる。すなわち、或る利用者による全ての歌唱のレーダーチャートが図5に実線で示す形状をしており、他の利用者による全ての歌唱のレーダーチャートが、同図に一点鎖線で示す形状をしている場合、チャートの形状がよく似ていることから歌唱技法も似ていると判定され、通知相手として選択される。
【0038】
なお、チャートの形状が似ているか否かの判定は、相関を求めることで行うことができる。すなわち、歌唱履歴に基づいて、複数の利用者について評価項目毎の評価値を取得し、或る利用者における評価項目毎の評価値に対する相関係数が判断基準値以上の利用者を、通知相手として選択できる。
【0039】
また、この通信カラオケシステムでは、推薦曲の習熟度が所定の勧奨条件、すなわち或る利用者の習熟度と拮抗し得るレベルとみなせる判断条件を満たしたならば、条件クリアの旨を示すフラグを設定する(図6に記号○で示す)。すなわち、ホスト側制御部11(勧奨手段)は、他の利用者における採点履歴から、推薦曲に対する他の利用者の習熟度を認識し、勧奨条件を満たす場合にフラグを設定する。
【0040】
なお、推薦曲の習熟度は、採点ゲームの採点結果に基づいて取得できる。例えば、推薦曲に対する全回数の平均点や直近数回の平均点に基づいて取得できる。この場合、或る利用者の平均点に対する他の利用者の平均点の割合が、習熟度として取得される。また、習熟度が所定割合以上(例えば95%以上)となった場合に、勧奨条件を満たすと判断される。
【0041】
前述の勧奨条件を満たすと判定した場合、勧奨手段としてのホスト側制御部11は、或る利用者と他の利用者に対し、遊技希望曲(推薦曲)でのカラオケ遊技(対戦カラオケ,デュエット歌唱)を勧奨する。本実施形態では、推薦曲の通知と同様に、利用中のカラオケ装置2が備えるモニタ23やリモコン装置26に通知したり、登録されたメールアドレスにメールを送信したりする。
【0042】
なお、カラオケ遊技の勧奨は、或る利用者と他の利用者のそれぞれがカラオケ装置2を利用していること、言い換えれば、カラオケ装置2の利用者としてログインしていることを条件に行うことが好ましい。これは、各利用者がカラオケ装置2を利用している期間中にカラオケ遊技の勧奨を行うことで、カラオケ遊技の成立可能性が高まるからである。
【0043】
次に、カラオケ装置2について説明する。図1に示すように、カラオケ装置2は、カラオケ店KBの各カラオケルームRMに設置されている。そして、図7に示すように、カラオケ本体21と、スピーカ22と、モニタ23と、マイク24と、ビデオカメラ25と、リモコン装置26とを有している。
【0044】
カラオケ本体21は、選択されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞及び背景映像の表示制御、マイク24を通じて入力されたアナログ信号の処理といった、カラオケに関する各種の制御を行う部分である。このカラオケ本体21については、後で詳しく説明する。スピーカ22はカラオケ本体21に接続されており、カラオケ本体21からのアナログ信号に基づいて放音する。モニタ23もカラオケ本体21に接続されており、カラオケ本体21からの映像信号に基づいて映像を画面に表示する。なお、歌唱曲の推薦内容、カラオケ遊技の勧奨内容、採点ゲームの採点結果の報知もモニタ23を介して行うことができる。
【0045】
歌唱マイク24はカラオケ本体21に接続されており、利用者の音声等をマイク信号に変換してカラオケ本体21に入力させる。このマイク信号はカラオケ本体21で適宜調整され、カラオケ演奏音等と混合される。ビデオカメラ25は、カラオケルームRMを撮影して映像信号を生成する。このビデオカメラ25もカラオケ本体21に接続されており、生成された映像信号がカラオケ本体21に入力される。
【0046】
リモコン装置26は、カラオケ本体21との間で情報を送受信するための双方向通信可能な短距離無線通信部を備えており、カラオケ楽曲の予約時などに操作される。カラオケ楽曲の予約時において、リモコン装置26からは、演奏対象の楽曲を識別するための楽曲IDを含んだ操作信号が送信される。そして、カラオケ本体21は、利用者によって選択されたカラオケ楽曲を待ち行列で管理する。
【0047】
また、本実施形態のリモコン装置26は、タッチパネル付の表示部(図示せず)を備えており、利用者の認証時に用いたり、ユーザー端末3として用いたりすることができる。また、対戦カラオケの相手や対戦曲を決めたり、通信デュエットの相手やデュエット曲を決めたりするときに用いられる。その際、リモコン装置26は、利用者による操作に応じた操作情報を、近隣のルーター装置RTや伝送路4を介してホスト装置1に送信する。
【0048】
次に、カラオケ本体21について詳細に説明する。図8に示すように、カラオケ本体21は、本体側制御部31と、本体側通信部32と、本体側記憶部33と、音源部34と、音響処理部35と、表示処理部36と、映像入力部37と、操作部38とを有している。そして、これらの各部がバスBSを介して通信可能な状態に接続されている。
【0049】
本体側制御部31は、カラオケ本体21における制御の中心となる部分であり、CPU31aやメモリ31bを有している。CPU31aは、メモリ31bに記憶された動作プログラムに従って各種の制御を実行する。例えば、操作部38からの操作を受け付ける操作入力処理やシーケンサとして動作するシーケンサ処理を行う。メモリ31bは、CPU31aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶素子である。
【0050】
本体側通信部32は、ルーター装置RTを介してカラオケ本体21を伝送路4に接続するためのインタフェースを提供する。このため、本体側通信部32は、ルーター装置RTとの間で情報の送受信を行う。この本体側通信部32は、本体側制御部31によって動作が制御される。
【0051】
本体側記憶部33は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、ハードディスクドライブ等によって構成されている。この本体側記憶部33には、例えば、楽曲データ記憶領域33a、及び、採点用プログラム記憶領域33bが設けられる。
【0052】
楽曲データ記憶領域33aには、リモコン装置26で指定されたカラオケ楽曲を演奏するための楽曲データが記憶される。楽曲データには、MIDIデータと歌詞データとリファレンスデータが含まれる。MIDIデータは、電子楽器の音源を自動演奏させるための自動演奏データ(カラオケ演奏データ)であり、時系列のノート情報によって構成される。ノート情報は、例えば発音や消音のタイミング、キーの押圧力、音の高さ、再生ピッチ等を制御する各種の命令によって構成される。歌詞データは、カラオケ楽曲における歌詞テロップをモニタ23で表示させるための文字列データである。リファレンスデータは、利用者によるカラオケ歌唱を採点する際に用いられるものであり、ヴォーカルの音高を表す時系列の音高情報によって構成されている。
【0053】
採点用プログラム記憶領域33bには採点用プログラムが記憶されている。この採点用プログラムは、対戦モードや採点モードの設定に伴って本体側制御部31に読み出され、適宜実行される。この採点プログラムの実行によって採点処理が行われる。
【0054】
採点処理では、利用者の歌唱音に対応する歌唱信号とリファレンスデータとが比較される。例えば、同じタイミングにおける歌唱信号の音高情報とリファレンスデータの音高情報とが時系列で順次比較され、音高の差分情報が取得される。この差分情報に基づき、音高の善し悪しが評価される。また、歌唱信号の周波数変化とリファレンスデータの周波数変化との時間差を検出することでリズム(タイミング)が評価され、セクター毎に最大音と最小音を比較することで抑揚が評価される。
【0055】
また、歌唱信号の周波数変化に基づいて安定性が評価される。すなわち、音高がまっすぐ(一定)かあるいは震えがちかが検出され、まっすぐであるほど安定性の評価が高くなる。そして、歌唱信号の周波数に基づいてしゃくり、こぶし、及び、フォールの有無が検出され、歌唱信号の周波数に対して周期性が検出され、この周期性に基づいてビブラートの有無、長さ、及び上手さが判定される。さらに、歌唱のピッチの安定性に基づいてロングトーンの上手さが判定される。
【0056】
各項目の評価結果については、メモリ31bのワークエリアに一旦記憶され、採点処理が終了すると、得点(採点結果)等と共にホスト装置1へ送信される。そして、ホスト装置1では、受信した得点や評価結果を、図2に示すホスト側記憶部13(顧客情報記憶領域13a)に記憶する。
【0057】
次に、音源部34について説明する。図8に示す音源部34は、MIDIデータに基づいてカラオケ演奏音信号を生成する部分である。この音源部34は、本体側制御部31がシーケンサ処理を行うと、MIDIデータに応じて波形データを加工し、加工後の楽音信号を音響処理部35に出力する。
【0058】
音響処理部35は、カラオケ演奏音信号の処理、及び、歌唱マイク24で生成されたマイク信号の処理を行う部分である。例えば、カラオケ楽曲の演奏制御において、音響処理部35は、音源部34から出力された楽音信号をアナログ変換し、カラオケ演奏音信号を生成する。また、歌唱マイク24からのマイク信号が入力されると、適宜調整を施して歌唱信号を生成する。この歌唱信号は、カラオケ演奏音信号と混合され、放音信号としてスピーカ22に出力される。
【0059】
表示処理部36は、カラオケ演奏時における背景映像等の表示制御を行う。カラオケ演奏時において、表示処理部36には背景映像データが入力されており、この背景映像データのデコードが行われる。そして、表示処理部36は、デコードで生成された背景映像の映像信号に歌詞テロップを合成し、合成後の映像信号をモニタ23に出力する。その際、表示処理部36は、本体側制御部31でのシーケンサ処理で出力される歌詞データに基づき、歌詞テロップを合成する。また、シーケンサ処理で出力される色換え命令に従って、歌詞テロップの表示色を変更する。その結果、モニタ23には、背景映像に歌詞テロップが重ねられた合成映像が表示され、かつ、カラオケ楽曲の進行にあわせて歌詞テロップの表示色が変更される。
【0060】
映像入力部37は、ビデオカメラ25からの映像信号を取り込む部分であり、例えばインタフェース回路によって構成されている。入力された映像信号はフレーム毎のイメージデータに変換され、本体側記憶部33に記憶される。
【0061】
操作部38は、パネルスイッチやリモコン受信回路等からなっており、パネルスイッチやリモコン装置26の操作に応じた操作信号を本体側制御部31に対して出力する。本体側制御部31は、操作入力処理を行うことで操作信号を検出し、対応する処理を実行する。なお、パネルスイッチやリモコン装置26は、操作を選択するための種々のキースイッチ(図示せず)を備えている。
【0062】
次に、本実施形態の通信カラオケシステムによる動作の概略について説明する。なお、この通信カラオケシステムは、或る利用者の遊技希望曲を推薦曲として他の利用者に歌唱を勧め、他の利用者における推薦曲(遊技希望曲)の習熟度が、所定の勧奨条件を超えた場合に、或る利用者と他の利用者の間で遊技希望曲によるカラオケ遊技を勧奨する点に特徴を有している。このため、カラオケ遊技を勧奨する際の処理を中心に説明を行う。
【0063】
また、前述したように、カラオケ遊技には対戦カラオケとデュエット歌唱が含まれるが、ここでは対戦カラオケを例に挙げて説明する。加えて、図9図13に示すように、1台のホスト装置1に4台のカラオケ装置2A〜2Dが通信可能に接続された通信カラオケシステムを例に挙げて説明する。
【0064】
この処理は、或る利用者が対戦カラオケの実行を要求することが開始の条件となっている。図9の例では、カラオケ装置2Aの利用者Aが対戦カラオケの実行を要求している。実行の要求は、例えばカラオケ装置2Aに備えられたリモコン装置26を、利用者Aが操作することで行われる。要求操作が行われると、その旨を示す要求情報がカラオケ装置2Aからホスト装置1へ送信される。この要求情報には、利用者Aを示す利用者IDと、対戦を希望するカラオケ楽曲の楽曲IDが含まれている。
【0065】
要求情報を受信すると、ホスト装置1は、募集内容を公開して対戦相手を募る(図示せず)。ここで、規定時間が経過しても対戦相手が現れなかった場合、ホスト装置1のホスト側制御部11は、推薦手段として機能する。そして、或る利用者の対戦希望曲を、他の利用者による歌唱の推薦曲として通知する。その際、ホスト側制御部11は、複数の利用者の中から通知相手を選択する。前述したように、歌唱技法(評価項目毎の評価値)が似ている利用者や、対戦希望曲を歌唱するアーチストの楽曲を多く歌唱している利用者が通知相手(他の利用者)として選択される。
【0066】
通知相手を決定したならば、ホスト側制御部11(推薦手段)は、通知対象者に対して図14に例示するような歌唱の推薦曲(或る利用者の対戦希望曲)を示す推薦曲のメッセージを、モニタ23等を利用して通知する。図10に示す例では、3人の利用者B〜Dの中から2人の利用者B,Dが通知相手として選択され、これらの利用者B,Dが利用するカラオケ装置2B,2D、及び利用者B,Dが所有するユーザー端末3に対し、推薦曲情報が通知される。通知された推薦曲情報を確認することで、利用者B,Dは、推薦曲を歌唱するための動機付けが得られる。
【0067】
図11に示すように、推薦曲を通知された利用者B,Dが採点ゲームでカラオケ歌唱を行うと本体側制御部31がその歌唱を採点し、採点結果と楽曲IDとが対応付けられた採点情報が、カラオケ装置2からホスト装置1へ送信される。ホスト装置1は、受信した採点情報をホスト側記憶部13の顧客情報記憶領域13aに蓄積する。そして、ホスト側制御部11は勧奨手段として機能し、受信した採点結果がその利用者の推薦曲の採点結果であった場合、採点履歴(顧客情報記憶領域13aに蓄積された採点情報)から推薦曲の習熟度を認識する。前述したように、推薦曲の習熟度は、或る利用者の平均点に対する他の利用者の平均点の割合等によって取得される。そして、ホスト側制御部11は、勧奨条件を満たす利用者の有無を判定する。
【0068】
勧奨条件を満たす利用者が現れた場合、ホスト側制御部11(勧奨手段)は、勧奨条件を満たした利用者(他の利用者)と、対戦を希望した利用者(或る利用者)のそれぞれに対し、対戦カラオケの実行を勧奨する勧奨情報を送信する。この勧奨情報には、各利用者や対戦曲を示す情報(例えば利用者IDや楽曲ID)が含まれている。なお、勧奨情報の送信は、他の利用者が勧奨条件を満たした直後や、他の利用者が推薦曲を歌唱している時に歌唱レベルが上達し勧奨条件を満たしたと判断できた場合や、他の利用者が勧奨条件を満たした翌日以降等に行うことができる。そして、前述したように、各利用者がカラオケ装置2を利用していることを条件に送信することが好ましい。
【0069】
図12に示す例では、2人の利用者B,Dのうち、利用者Bが勧奨条件を満たしたと判定されている。このため、ホスト側制御部11は、対戦を希望した利用者Aが利用するカラオケ装置2Aと勧奨条件を満たした利用者Bが利用するカラオケ装置2Bのそれぞれ、及び、利用者A,Bの所有するユーザー端末3に勧奨情報を送信する。この勧奨情報を受信したカラオケ装置2Aやカラオケ装置2Bでは、モニタ23やリモコン装置26にメッセージを表示させる。また、ユーザー端末3でもメッセージが表示される。
【0070】
勧奨情報を確認した各利用者は、対戦希望曲(推薦曲)によるカラオケ遊技を行うか否かを回答する。例えば、リモコン装置26を操作して、遊技の承諾か拒否を示す情報をホスト装置1へ送信する。ここで、各利用者がそれぞれ承諾したならば、カラオケ遊技が実行される。例えば、図13に示すように、対戦希望曲の楽曲IDが各カラオケ装置2A,2Bに送信され、対戦カラオケが行われる。そして、採点結果の情報が各カラオケ装置2A,2B(本体側制御部31)からホスト装置1へ送信され、対戦結果等の結果情報がホスト装置1(ホスト側制御部11)から各カラオケ装置2A,2Bへ送信され、モニタ23に表示される。なお、少なくとも一方の利用者が拒否したならば、カラオケ遊技は実行されず、その旨を示す情報が各カラオケ装置2A,2Bに送信される。
【0071】
次に、図15図17を参照し、カラオケ遊技に関する前述の動作を実現するためのフローチャートについて説明する。説明の便宜上、ここでは、対戦カラオケを行う場合であって、対戦カラオケを希望する利用者が第1カラオケ装置2を利用し、別の利用者が第2カラオケ装置2を利用している場合を例に挙げて説明する。すなわち、第1カラオケ装置2は、図9図13のカラオケ装置2Aに対応し、第2カラオケ装置2は、同じくカラオケ装置2B〜2Dに対応する。
【0072】
図15に示すように、対戦カラオケを希望する利用者は、ログイン処理を行う(S11)。この例において利用者は、第1カラオケ装置2が備えるリモコン装置26を操作し、ログインの意思表示をする。例えば、利用者は、タッチパネル付の表示部に表示されたログインボタンをタッチする。この操作により、リモコン装置26からホスト装置1に向けて、ログイン情報が送信される。このログイン情報を受信することでホスト装置1は、その利用者についてログインを受け付ける(S31)。
【0073】
ログイン操作があった後、第1カラオケ装置2は、利用者による対戦カラオケの募集要求の有無を判断する(S12)。前述したように、この要求操作は、第1カラオケ装置2に備えられたリモコン装置26に対する操作によって行われる。ここで、利用者による募集要求があった場合にはステップS13に移行し、募集要求がなかった場合には後述するステップS41に移行する。そして、ステップS13において、第1カラオケ装置2は、対戦相手の募集要求がなされたことを示す要求情報をホスト装置1へ送信する。この要求情報には、利用者IDと楽曲IDが含まれている。これにより、要求情報を受信したホスト装置1は、対戦相手の募集を要求している利用者と対戦希望のカラオケ楽曲を認識できる。
【0074】
ホスト装置1は要求情報を監視しており(S32)、要求情報を受信すると対戦要求があったと判断してステップS34に移行する。一方、要求情報を受信していない期間においては、ホスト装置1は対戦要求がないと判断し、何れかの利用者について推薦曲情報が登録されているか否かを確認する(S33)。ここで、何れの利用者についても推薦曲情報が登録されていなかった場合には、ステップS32に移行して要求情報の監視を継続する。一方、推薦曲情報が1つでも登録されている場合には、後述するステップS64に移行する。
【0075】
ステップS34において、ホスト装置1は、募集内容を公開して対戦相手を募る。例えば、専用のウェブページに募集内容を掲載したり、募集内容を通知するための募集情報を第2カラオケ装置2へ送信したりすることで、対戦相手を募る。第2カラオケ装置2では、募集内容を確認した利用者が対戦カラオケを受諾するか否かを判断する。そして、受諾する場合、利用者は、リモコン装置26を操作して受諾の意思を示す操作をする。この操作により、受諾の意思を示す受諾情報が第2カラオケ装置2からホスト装置1へ送信される(S22)。なお、対戦カラオケを受諾しない場合、第2カラオケ装置2の利用者は何も操作をしない。この場合、第2カラオケ装置2は、後述するステップS23の処理に移行する。
【0076】
ホスト装置1では、第2カラオケ装置2からの受諾情報を監視している(S35)。受諾情報を受信すると、ホスト装置1では受諾者ありと判断し、対戦カラオケの遊技相手が見つかったことを示す成立情報を、第1カラオケ装置2と第2カラオケ装置2のそれぞれに送信し(S36)、ステップS38の処理に移行する。一方、規定時間が経過しても対戦相手が現れなかった場合、ホスト装置1では受諾者なしと判断し、対戦カラオケの遊技相手が現れなかったことを示す不成立情報を、第1カラオケ装置2へ送信し(S37)、後述するステップS61へ移行する。
【0077】
先に、対戦カラオケの遊技相手が見つかった場合の処理について説明する。第1カラオケ装置2及び第2カラオケ装置2はそれぞれ、ホスト装置1からの成立情報を監視している(S14,S23)。そして、成立情報の受信に伴い、対戦カラオケの遊技が成立したと判定する。これにより、第1カラオケ装置2と第2カラオケ装置2の間で対戦カラオケが行われる(S15,S24)。
【0078】
対戦カラオケが終了すると、第1カラオケ装置2は、ステップS12に移行し、利用者による対戦カラオケの募集要求の有無を判断する。また、第2カラオケ装置2は、ステップS21に移行し、利用者による対戦カラオケの募集要求の有無を判断する。
【0079】
一方、ホスト装置1は、ステップS36で成立情報を送信すると、第1カラオケ装置2の利用者(対戦カラオケを要求した要求利用者)に関わる推薦曲情報の有無を確認する(S38)。すなわち、別の利用者の顧客情報を検索し、要求利用者の利用者IDに関連付けられた推薦曲情報の有無を確認する。ここで、推薦曲情報があった場合には、その推薦曲情報を削除する(S39)。これにより、要求利用者の対戦希望曲は、他の利用者の推薦曲から全て削除される。推薦曲情報を削除すると、或いは、ステップS38で推薦曲情報はないと判断すると、ホスト装置1はステップS32に移行して要求情報を監視する。
【0080】
次に、対戦カラオケの遊技相手が見つからなかった場合の処理について説明する。この場合、図16に示すように、ホスト装置1は推薦曲を設定する(S61)。すなわち、ホスト装置1は、不成立となった対戦カラオケでの対戦曲を推薦曲として設定する。次に、ホスト装置1は、推薦曲の通知相手を選択する(S62)。前述したように、歌唱技法が似ている利用者が通知相手として選択される。次に、選択した利用者(他の利用者)に対して推薦曲情報を送信する(S63)。これにより、他の利用者が第2カラオケ装置2を利用する際に、モニタ23やリモコン装置26に推薦曲を示すメッセージが表示される。また、リモコン装置26やユーザー端末3を操作して、他の利用者がマイページにアクセスした際に、推薦曲を示すメッセージが表示される。
【0081】
メッセージによる通知に促され、他の利用者が推薦曲を歌唱すると(S51)、その歌唱の採点結果や歌唱楽曲を示す採点情報が、第2カラオケ装置2からホスト装置1へ送信される(S52)。なお、推薦曲であるか否かにかかわらず、採点情報はホスト装置1へ送信されるが、説明の便宜上、推薦曲についての採点情報を対象にする。
【0082】
ホスト装置1は、第2カラオケ装置2からの採点情報を監視しており(S64)、採点情報を受信すると、採点情報が顧客情報記憶領域13aに蓄積される。ホスト側制御部11は、顧客情報記憶領域13aに蓄積された採点履歴から、他の利用者における推薦曲の習熟度を認識する(S65)。続いてホスト側制御部11は、推薦曲の習熟度が勧奨条件を満たすか否かを判断する(S66)。
【0083】
ここで、勧奨条件を満たした場合、ホスト装置1は、第1カラオケ装置2と第2カラオケ装置2のそれぞれに勧奨情報を送信する(S67)。各カラオケ装置2では、勧奨情報を監視しており(S41,S53)、勧奨情報の受信に伴って或る利用者(対戦要求者)と他の利用者(勧奨条件を満たす利用者)は、対戦カラオケが勧奨されていることを認識する。すなわち、モニタ23やリモコン装置26に勧奨内容を示すメッセージが表示される。また、ユーザー端末3にもメッセージが表示される。一方、ステップS66で勧奨条件を満たしていないと判断した場合、及び、ステップS64で採点情報を受信していない場合、ホスト装置1は、ステップS32に移行し、要求情報の受信の有無を監視する。
【0084】
対戦カラオケが勧奨された各利用者は、対戦カラオケを受諾するか拒否するかを、返信する(S42〜S44,S54〜S56)。例えば、各利用者は、リモコン装置26の表示部に表示された受諾ボタンと拒否ボタンの何れかを選択してタッチする等の行為により、その意思を示す。
【0085】
利用者が受諾の意思を示した場合、例えばリモコン装置26の受諾ボタンをタッチした場合には、そのカラオケ装置2は、受諾の旨を示す受諾情報をホスト装置1へ送信する(S43,S55)。一方、利用者が拒否の意思を示した場合、例えばリモコン装置26の拒否ボタンをタッチした場合には、そのカラオケ装置2は、拒否の旨を示す拒否情報をホスト装置1へ送信する(S44,S56)。
【0086】
これらの受諾情報或いは拒否情報は、ホスト装置1で受信される。そして、図17に示すように、ホスト装置1は、両利用者が受諾したか、少なくとも一方の利用者が拒否したかについて判断する(S91)。ここで、両利用者が受諾した場合には、対戦カラオケが成立したとして、その旨を示す成立情報が各カラオケ装置2に送信される(S92)。一方、少なくとも一方の利用者が拒否した場合には、対戦カラオケが不成立であったとして、その旨を示す不成立情報が各カラオケ装置2に送信される(S93)。
【0087】
各カラオケ装置2では、ホスト装置1から送信された成立情報或いは不成立情報に基づき、対戦カラオケが成立したか否かを判定する(S71,S81)。ここで、不成立情報を受信した場合、第1カラオケ装置2は、不成立の旨をモニタ23等によって利用者に報知し、ステップS41に移行する。同様に、第2カラオケ装置2も、不成立の旨をモニタ23等によって利用者に報知し、ステップS51に移行する。
【0088】
一方、成立情報を受信した場合、各カラオケ装置2では、対戦モードが実行されてカラオケ歌唱が行われ(S72,S82)、採点結果が利用者IDや楽曲IDと共にホスト装置1へ送信される。各利用者について採点結果等の情報を受信すると、ホスト装置1では、受信した情報がホスト側記憶部13に記憶され、この情報に基づき、ホスト側制御部11が対戦カラオケに対する結果を判定する。判定結果は各カラオケ装置2に送信され(図示せず)、モニタ23等に表示させることで各利用者に報知する。
【0089】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の通信カラオケシステムでは、或る利用者が希望するカラオケ遊技が不成立であったことを条件に(S35でN)、遊技希望曲が歌唱の推薦曲として他の利用者へ通知される(S61〜S63)。そして、推薦曲の他の利用者における採点履歴から習熟度が認識され(S65)、勧奨条件(或る利用者の習熟度に対する判断条件)を満たす場合(S66でY)に、或る利用者と他の利用者に対し、遊技希望曲でのカラオケ遊技が勧奨される(S67)。このため、或る利用者の遊技希望曲について、将来的に歌唱レベルの拮抗する歌唱者が出現する可能性が高まり、対戦カラオケを成立させ易くすることができる。そして、他の利用者については、自身の歌唱レベルの向上と共に、モチベーションの向上が図れる。
【0090】
また、この通信カラオケシステムにおいて、ホスト側制御部11(推薦手段)は、歌唱履歴に基づいて複数の利用者の中から通知相手を抽出している(S62)。これにより、他の利用者の選択に際して歌唱履歴が加味されることとなり、拮抗した勝負ができる相手の選択確率を高めることができる。
【0091】
さらに、ホスト側制御部11(推薦手段)は、複数の利用者について評価項目毎の評価値を取得し、或る利用者における評価項目毎の評価値に対する相関係数が判断基準値以上の利用者を、前記他の利用者として抽出しているので、歌唱技法の似た利用者を他の利用者として選択することができる。
【0092】
また、ホスト側制御部11(推薦手段)は、他の利用者によって利用されているカラオケ装置2、若しくは、他の利用者が所有するユーザー端末3の少なくとも一方に、推薦内容を示すメッセージを送信しているので、他の利用者に対して推薦内容を確実に通知できる。
【0093】
さらに、ホスト側制御部11(勧奨手段)は、或る利用者と他の利用者のそれぞれがカラオケ装置2を利用していることを条件に、それぞれの利用者が利用しているカラオケ装置2、若しくは、それぞれの利用者が所有するユーザー端末3の少なくとも一方に、勧奨内容を示すメッセージを送信しているので、カラオケ遊技の実行確率を高めることができる。
【0094】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
【0095】
前述の実施形態では、カラオケ遊技を行う利用者が異なるカラオケルームRMを利用している場合について説明したが、これらの利用者が同じカラオケルームRMを利用している場合であってもよい。
【0096】
また、ホスト側制御部11(勧奨手段)に関し、勧奨条件は、実施形態に示す例(或る利用者の総合得点×比率)に限定されるものではない。或る利用者の習熟度と拮抗するように定められていればよい。
【符号の説明】
【0097】
1…ホスト装置,2(2A〜2D)…カラオケ装置,3…ユーザー端末,3A…パーソナルコンピュータ,3B…タブレット端末,3C…携帯電話,4…伝送路,11…ホスト側制御部,11a…CPU,11b…メモリ,12…ホスト側通信部,13…ホスト側記憶部,13a…顧客情報記憶領域,13b…属性情報記憶領域,13c…履歴情報記憶領域,13d…推薦曲情報記憶領域,21…カラオケ本体,22…スピーカ,23…モニタ,24…マイク,25…ビデオカメラ,26…リモコン装置,31…本体側制御部,31a…CPU,31b…メモリ,32…本体側通信部,33…本体側記憶部,33a…楽曲データ記憶領域,33b…採点用プログラム記憶領域,34…音源部,35…音響処理部,36…表示処理部,37…映像入力部,38…操作部,KB…カラオケ店,RM…カラオケルーム,BS…バス,RT…ルーター装置
図1
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