特許第6286212号(P6286212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286212
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20180215BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/6554 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20180215BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   H01M10/6556
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/643
   H01M10/653
   H01M10/6551
   H01M10/6554
   H01M10/6563
   H01M2/10 F
   H01M2/10 E
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-8013(P2014-8013)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-138589(P2015-138589A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎田 智志
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−067515(JP,A)
【文献】 特開2012−094456(JP,A)
【文献】 特開2008−204990(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/092773(WO,A1)
【文献】 特開2002−134177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/10、
10/52−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有する材料からなるとともに、二次電池(2)を収容するケース(B)と、
熱伝導性を有する材料からなる上側放熱部材及び下側放熱部材(7)とを備えた電池モジュール(1)において、
上記ケース(B)の上面は上記上側放熱部材の下面に接触するように配置され、
上記ケース(B)の下面は上記下側放熱部材(7)の上面に接触するように配置され、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材(7)には、冷却風または冷媒が流通可能な冷却通路が形成され、
上記ケース(B)の下面には上記下側放熱部材(7)に係合する係合部(65)が設けられ、上記ケース(B)は上記係合部(65)が上記下側放熱部材(7)に係合した状態で該下側放熱部材(7)に位置決めされることを特徴とする電池モジュール(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の電池モジュール(1)において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材(7)には、同方向に延びる多数のフィン(7a)が形成され、隣り合うフィン(7a、7a)の間には、上記冷却通路が形成されていることを特徴とする電池モジュール(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電池モジュール(1)において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材(7)の少なくとも一方と、上記ケース(B)との間には、上記冷却通路が閉断面を有するように形成されていることを特徴とする電池モジュール(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の電池モジュール(1)において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材(7)の少なくとも一方には孔部(7c)が形成され、
上記ケース(B)の係合部(65)は上記孔部(7c)に挿入した状態で係合する突部であることを特徴とする電池モジュール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車等に搭載される電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば高電圧が要求される電気自動車の走行用バッテリは、多数の二次電池をケースに収容して接続することでモジュール化されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の電池モジュールは、アルミニウム製のブロックからなるホルダを備えている。ホルダには二次電池を挿入可能な貫通孔が形成されており、二次電池は貫通孔に挿入された状態で保持されている。また、ホルダはケースに収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4990422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電池モジュールではホルダによって二次電池の放熱を行うようにしているが、ホルダがケースに収容されているので外部空気との接触面積が十分でなく、放熱効率が悪くなることが考えられる。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、絶縁した状態でケースに収容された二次電池の放熱を効率よく行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、二次電池を絶縁した状態で収容するケースを設け、このケースの外部に放熱部材を配置し、ケースを放熱部材に位置決めするようにした。
【0007】
第1の発明は、絶縁性を有する材料からなるとともに、二次電池を収容するケースと、
熱伝導性を有する材料からなる上側放熱部材及び下側放熱部材とを備えた電池モジュールにおいて、
上記ケースの上面は上記上側放熱部材の下面に接触するように配置され、
上記ケースの下面は上記下側放熱部材の上面に接触するように配置され、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材には、冷却風または冷媒が流通可能な冷却通路が形成され、
上記ケースの下面には上記下側放熱部材に係合する係合部が設けられ、上記ケースは上記係合部が上記下側放熱部材に係合した状態で該下側放熱部材に位置決めされることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、二次電池がケースに収容された状態で絶縁される。ケースの係合部が放熱部材に係合した状態でケースの外面が放熱部材に接触して位置決めされる。二次電池に発生した熱はケースを介して放熱部材に伝達される。このとき、放熱部材がケースの外部に位置しているので冷却風が当たりやすく、放熱効率が高まる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材には、同方向に延びる多数のフィンが形成され、隣り合うフィンの間には、上記冷却通路が形成されていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材の少なくとも一方と、上記ケースとの間には、上記冷却通路が閉断面を有するように形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記上側放熱部材及び下側放熱部材の少なくとも一方には孔部が形成され、
上記ケースの係合部は上記孔部に挿入した状態で係合する突部であることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、ケースの突部を放熱部材の孔部に挿入することで突部が孔部に係合するので、簡単に係合させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、二次電池を絶縁した状態でケースに収容し、このケースを外部に設けた冷却風の当たりやすい放熱部材に対して位置決めするようにしたので、二次電池の放熱を効率よく行うことができる。
【0014】
第4の発明によれば、放熱部材の孔部にケースの突部を係合させるようにしたので、係合させる際の作業性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。
図2図1におけるII−II線断面図である。
図3図1におけるIII−III線断面図である。
図4】ベースプレートの斜視図である。
図5】正極側バスバー及び負極側バスバーが組み付けられた内側ケースを正極側から見た斜視図である。
図6】正極側バスバー及び負極側バスバーが組み付けられた内側ケースを負極側から見た斜視図である。
図7】正極側バスバー及び負極側バスバーを取り外した状態の内側ケースの斜視図である。
図8】下部内側ケース構成部材に二次電池を収容した状態の斜視図である。
図9】下部外側ケース構成部材を上方から見た斜視図である。
図10】下部外側ケース構成部材を下方から見た斜視図である。
図11】下部外側ケース構成部材の底面図である。
図12】下部外側ケース構成部材の側面図である。
図13】下部外側ケース構成部材の平面図である。
図14】下部外側ケース構成部材の一方側の端面図である。
図15】下部外側ケース構成部材の他方側の端面図である。
図16】上部外側ケース構成部材を上方から見た斜視図である。
図17】上部外側ケース構成部材を下方から見た斜視図である。
図18】上部外側ケース構成部材の平面図である。
図19】上部外側ケース構成部材の側面図である。
図20】上部外側ケース構成部材の底面図である。
図21】上部外側ケース構成部材の一方側の端面図である。
図22】上部外側ケース構成部材の他方側の端面図である。
図23】下部内側ケース構成部材を上方から見た斜視図である。
図24】下部内側ケース構成部材を下方から見た斜視図である。
図25】下部内側ケース構成部材の底面図である。
図26】下部内側ケース構成部材の一方側の側面図である。
図27】下部内側ケース構成部材の平面図である。
図28】下部内側ケース構成部材の他方側の側面図である。
図29】下部内側ケース構成部材の一方側の端面図である。
図30】下部内側ケース構成部材の他方側の端面図である。
図31】上部内側ケース構成部材を上方から見た斜視図である。
図32】上部内側ケース構成部材を下方から見た斜視図である。
図33】上部内側ケース構成部材の平面図である。
図34】上部内側ケース構成部材の一方側の側面図である。
図35】上部外側ケース構成部材の底面図である。
図36】上部外側ケース構成部材の他方側の側面図である。
図37】上部内側ケース構成部材の一方側の端面図である。
図38】上部内側ケース構成部材の他方側の端面図である。
図39】正極側バスバーの斜視図である。
図40】二次電池が接続された状態の図39におけるA−A線に相当する断面図である。
図41】二次電池が接続された正極側バスバーの一部を拡大して示す平面図である。
図42】負極側バスバーの斜視図である。
図43】変形例1に係る正極側バスバーの斜視図である。
図44】変形例1に係り、二次電池が接続された状態の図43におけるB−B線に相当する断面図である。
図45】変形例1に係り、二次電池が接続された正極側バスバーの一部を拡大して示す平面図である。
図46】変形例1に係る負極側バスバーの斜視図である。
図47】変形例2に係る正極側バスバーを上方から見た斜視図である。
図48】変形例2に係る正極側バスバーを下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る電池モジュール1を示すものである。電池モジュール1は、例えば電気自動車やハイブリット自動車(プラグインハイブリッド自動車を含む)等の車両に搭載されて走行用モーター等に電力を供給するためのものである。尚、電池モジュール1は、例えば、電動フォークリフト等の車両に搭載することもできるし、電動式の船舶等に搭載することもできる。
【0018】
電池モジュール1は、多数の二次電池2(図2図3図7図8等に示す)と、二次電池2を収容する内側ケースAと、内側ケースAを収容する外側ケースBと、二次電池2の正極端子に接続される正極側バスバーC(図5図6に示す)と、二次電池2の負極端子に接続される負極側バスバーD(図5図6に示す)と、ベースプレート(放熱部材)7(図4に示す)とを備えている。二次電池2は、例えばリチウムイオン電池等であり、この実施形態では円柱形状をなしている。二次電池2の正極端子は長手方向の一端部に設けられ、負極端子は他端部に設けられている。
【0019】
尚、図1では、二次電池2、内側ケースA、外側ケースB、正極側バスバー(正極側接続部材)C及び負極側バスバー(負極側接続部材)DからなるユニットYを1つだけ備えている場合について図示しているが、このユニットYを水平方向に並ぶように複数備えた構成とすることもできる。
【0020】
ベースプレート7は、例えばアルミニウム合金等の熱伝導性を有する材料からなるものであり、略水平に延びる姿勢で配設される。ベースプレート7は、二次電池2から発生する熱を放熱するためのヒートシンクとなり、ユニットYの底面形状よりも大きく形成されている。図4にも示すように、ベースプレート7の上面には、同方向に延びる多数のフィン7aが形成されている。隣り合うフィン7a、7aの間には、冷却風が流通可能な冷却風通路7bがフィン7aの長手方向に沿って延びるように設けられている。冷却風通路7bの両端は開放されている。冷却風通路7bには外部から冷却風を送給することもできる。
【0021】
また、ベースプレート7には複数の孔部7cが上下方向に貫通するように形成されている。孔部7cには、後述する外側ケースBの係合部としての突部65が挿入された状態で係合するようになっている。
【0022】
尚、図示しないが、ベースプレート7の内部に冷却風通路を形成してもよい。また、ベースプレート7の内部に冷媒が流通する冷媒通路を形成し、外部から冷媒の給排が可能となるように構成することもできる。
【0023】
図2、3等に示すように、内側ケースAは、上下方向に分割された上部内側ケース構成部材30と、下部内側ケース構成部材40とを有している。また、外側ケースBは、内側ケースAの同方向(上下方向)に分割された上部外側ケース構成部材50と、下部外側ケース構成部材60とを有している。そして、正極側バスバーC及び負極側バスバーDは、図5及び図6に示すように内側ケースAの外側に組み付けられ、図2図3に示すように内側ケースAと共に外側ケースBに収容されている。
【0024】
図1に示すように外側ケースBは略直方体であり、分割部位は上下方向の中央部である。上部外側ケース構成部材50及び下部外側ケース構成部材60は共に絶縁性を有する樹脂材を射出成形してなるものである。
【0025】
図9図15に示すように下部外側ケース構成部材60は、上方に開放した箱形に形成されており、平面視で略矩形の底壁部61と、底壁部61の周縁部から上方へ延びる周壁部62とを備えている。図10図11に示すように、底壁部61の下面には、4つの突部65が下方へ突出するように形成されている。突部65は、断面が円形であり、底壁部61の4つの角部近傍にそれぞれ配置されている。突部65は、ベースプレート7の孔部7cに挿入された状態で該突部65の外周面が孔部7cの内周面に接触することによって係合する。これにより、ユニットYが水平方向には移動しないようにベースプレート7に対して位置決めされる。
【0026】
尚、図示しないが、例えばベースプレート7に突部を形成し、下部外側ケース構成部材60の底壁部61に係合部としての凹部または孔部を形成してもよい。この場合、ベースプレート7の突部を下部外側ケース構成部材60の凹部または孔部に挿入して係合させることができる。また、係合部としては、例えば凹部、孔部、突部等を組み合わせて設けることもできる。
【0027】
下部外側ケース構成部材60の周壁部62のうち、長手方向に延びる側壁部62a、62aには、上方に開放する切欠部62bがそれぞれ形成されている。また、側壁部62aの切欠部62bよりも下側には、複数の係合孔62cが貫通するように形成されている。この係合孔62cには、後述する内側ケースAに設けられた爪部41hが係合するようになっている。
【0028】
下部外側ケース構成部材60の周壁部62のうち、端壁部62d、62dには、上方に開放する切欠部62eがそれぞれ形成されている。また、端壁部62dにおける切欠部62eの両側方には、係合孔62fがそれぞれ貫通するように形成されている。この係合孔62fには、後述する内側ケースAに設けられた爪部41iが係合するようになっている。
【0029】
図15に示すように、下部外側ケース構成部材60の一方の端壁部62dには、負極側であることを示す負極マーク63が設けられている。さらに、両端壁部62d、62dには、それぞれ切欠部62eの周縁部に沿うように延びるリブ64が下部外側ケース構成部材60の外方へ突出するように形成されている。
【0030】
図16図22に示すように上部外側ケース構成部材50は、下方に開放した箱形に形成されており、平面視で略矩形の上壁部51と、上壁部51の周縁部から下方へ延びる周壁部52とを備えている。図16及び図18に示すように、上壁部51の上面には、4つの突部55が上方へ突出するように形成されている。突部55は、断面が円形であり、上壁部51の4つの角部近傍にそれぞれ配置されている。
【0031】
上部外側ケース構成部材50の周壁部52のうち、長手方向に延びる側壁部52a、52aには、下方に開放する切欠部52bがそれぞれ形成されている。この上部外側ケース構成部材50の切欠部52bの開放部分は、上記下部外側ケース構成部材60の切欠部62bの開放部分と一致するようになっており、上部外側ケース構成部材50と下部外側ケース構成部材60とを組み合わせた状態で、切欠部52bと切欠部62bとで外側ケースBの両側壁部に冷却風の流通が可能な通風口としての開口部1a(図1にのみ示す)がそれぞれ開口することになる。
【0032】
また、上部外側ケース構成部材50の側壁部52aの切欠部52bよりも上側には、複数の係合孔52cが貫通するように形成されている。この係合孔52cには、後述する内側ケースAに設けられた爪部31hが係合するようになっている。
【0033】
上部外側ケース構成部材50の周壁部52のうち、端壁部52d、52dには、上方に開放する切欠部52eがそれぞれ形成されている。この上部外側ケース構成部材50の切欠部52eの開放部分は、上記下部外側ケース構成部材60の切欠部62eの開放部分と一致するようになっており、上部外側ケース構成部材50と下部外側ケース構成部材60とを組み合わせた状態で、切欠部52eと切欠部62eとで外側ケースBの両端壁部に開口部1b(図1にのみ示す)がそれぞれ形成されることになる。
【0034】
また、上部外側ケース構成部材50の端壁部52dにおける切欠部52eの両側方には、係合孔52fがそれぞれ貫通するように形成されている。この係合孔52fには、後述する内側ケースAに設けられた爪部31iが係合するようになっている。
【0035】
図16等に示すように、上部外側ケース構成部材50の一方の端壁部52dには、正極側であることを示す正極マーク53が設けられている。さらに、両端壁部52d、52dには、それぞれ切欠部52eの周縁部に沿うように延びるリブ54が上部外側ケース構成部材50の外方へ突出するように形成されている。
【0036】
図2及び図3に示すように、内側ケースAの電池収容用凹部31の底壁部31bと外側ケースBの上壁部51との間には、異常時に二次電池2から排出されたガスを外側ケースBの外部に導出するガス導出通路Rが形成されている。すなわち、図示しないが、二次電池2は異常時にガスを排出する排出弁が正極端子側に設けられている。二次電池2は、正極端子が上に位置するように配置されており、従って、異常時には二次電池2の上部からガスが排出されてガス導出通路Rに流出する。ガスがガス導出通路Rに流出する詳細構造については後述する。
【0037】
ガス導出通路Rは外側ケースBの長手方向に延びるように形成されている。ガス導出通路Rの両端部は、上部外側ケース構成部材50の両端壁部52d、52dの上部に形成された開口部52g、52gに連通していて外側ケースBの外部に常時開放されている。開口部52gは、端壁部52dの幅方向両端近傍に亘る細長い形状とされており、ガスを排出するのに十分な開口面積を持っている。
【0038】
図5図7に示すように内側ケースAは外側ケースBと同方向に長い形状を有しており、分割部位は上下方向の中央部である。上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40は共に絶縁性を有する樹脂材を射出成形してなるものである。
【0039】
図23図30に示すように下部内側ケース構成部材40は、上方に開放した箱形に形成されており、多数の電池収容用凹部41を有する底壁部42と、底壁部42の周縁部から上方へ延びる周壁部43とを備えている。この実施形態では、電池収容用凹部41は内側ケースAの長手方向に並ぶとともに、幅方向にも並ぶように配置されており、それぞれに二次電池2の略下半部(負極端子側)が挿入された状態で嵌まり、これにより二次電池2が保持されるようになっている。
【0040】
各電池収容用凹部41の周壁部41aは、略円筒状に形成されている。隣接する電池収容用凹部41の周壁部41aは共通化されて隣り合う二次電池2の隙間を極小化している。図24に示すように、隣接する電池収容用凹部41の底壁部41bは連続するように形成されている。
【0041】
また、各周壁部41aの内面には、上下方向に延びる複数の溝41mが互いに周方向に離れて形成されている。この溝41mの形成により二次電池2の外周面と周壁部41aの内周面との接触面積が減少して二次電池2を電池収容用凹部41に挿入しやすくなる。これにより、周壁スリット41cを浅く形成することができるようになり、内側ケースAの剛性をより高い状態に保つことができる。
【0042】
各電池収容用凹部41の周壁部41aには、該電池収容用凹部41の深さ方向に延びる周壁スリット41cが形成されている。また、各電池収容用凹部41の底壁部41bには、周壁スリット41cに連続して電池収容用凹部41の径方向に延びる底壁スリット41dが形成されている。内側ケースAの長手方向に並ぶ電池収容用凹部41、41、…の底壁スリット41dは全て連続するように形成されている。従って、下部内側ケース構成部材40の底壁部42では、底壁スリット41dとが下部内側ケース構成部材40の長手方向に延びるスリットを構成することになる。
【0043】
底壁スリット41dは、二次電池2の負極端子を露出させるように形成されている。すなわち、各底壁スリット41dにおける長手方向の中央部は、両側に比べて幅が広く形成されて負極端子を露出可能な開口部となっている。この底壁スリット41dから露出した負極端子は、下部外側ケース構成部材60によって覆われるようになっている。
【0044】
電池収容用凹部41の外面には、下部外側ケース構成部材60の係合孔62cに係合する爪部41hが設けられている。
【0045】
また、下部内側ケース構成部材40の周壁部43には、下部外側ケース構成部材60の係合孔62fに係合する爪部41iが設けられている。さらに、図26及び図28に示すように、下部内側ケース構成部材40の周壁部43の長手方向に延びる側壁部43bには、冷却風が流通する複数の通風口43cが長手方向に間隔をあけて形成されている。また、下部内側ケース構成部材40の周壁部43の上縁部には、複数の上部係合孔43gが設けられている。
【0046】
図31図38に示すように上部内側ケース構成部材30は、下方に開放した箱形に形成されており、多数の電池収容用凹部31を有する上壁部32と、上壁部32の周縁部から下方へ延びる周壁部33とを備えている。電池収容用凹部31は、上向きの凹部であって、下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41の直上方に位置するように形成されている。電池収容用凹部31には、それぞれに二次電池2の略上半部(正極端子側)が挿入された状態で嵌まり、これにより二次電池2が保持されるようになっている。
【0047】
各電池収容用凹部31は下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41と同様に構成されている。すなわち、電池収容用凹部31は、周壁部31aと底壁部31bとを有しており、周壁部31aには、該電池収容用凹部31の深さ方向に延びる周壁スリット31cが形成され、また、底壁部31bには、周壁スリット31cに連続して電池収容用凹部31の径方向に延びる底壁スリット31dが形成されている。
【0048】
また、各周壁部31aの内面には、上下方向に延びる複数の溝31mが互いに周方向に離れて形成されている。この溝31mの形成により二次電池2の外周面と周壁部31aの内周面との接触面積が減少して二次電池2を電池収容用凹部31に挿入しやすくなる。これにより、周壁スリット41cを浅く形成することができるようになり、内側ケースAの剛性をより高い状態に保つことができる。
【0049】
底壁スリット31dは、二次電池2の正極端子を露出させるように形成されている。すなわち、各底壁スリット31dにおける長手方向の中央部は、両側に比べて幅が広く形成されて正極端子を露出可能な開口部となっている。この底壁スリット31dから露出した正極端子は、上部外側ケース構成部材50によって覆われるようになっている。また、電池収容用凹部31の底壁スリット31dは、内側ケースAの外部に連通する連通部となっており、内側ケースAと外側ケースBとの間に設けられているガス導出通路Rが底壁スリット31dと連通している。
【0050】
電池収容用凹部31の外面には、上部外側ケース構成部材50の係合孔52cに係合する爪部31hが設けられている。
【0051】
また、上部内側ケース構成部材30の周壁部33には、上部外側ケース構成部材50の係合孔52fに係合する爪部31iが設けられている。さらに、図34及び図36に示すように、上部内側ケース構成部材30の周壁部33の長手方向に延びる側壁部33bには、冷却風が流通する複数の通風口33cが長手方向に間隔をあけて形成されている。また、上部内側ケース構成部材30の周壁部33の下部には、下部内側ケース構成部材40の下部係合孔43gに係合する爪部33gが下部係合孔43gに対応するように設けられている。
【0052】
また、図8に示すように、内側ケースA内には、熱伝導性を有する部材からなる熱伝導部材70が収容されている。熱伝導部材70は、例えばシリコンやアルミニウム合金等から構成されており、二次電池2が挿入される挿入孔71が多数形成されている。熱伝導部材70は、二次電池2の上部及び下部を挿入孔71から露出させることができるように形成されている。また、熱伝導部材70は、内側ケースAの通風口33c及び通風口43cを通して外部から見えるように、即ち、外部に臨むように配設されている。尚、シリコン製の熱伝導部材70とアルミニウム合金製の熱伝導部材70とを組み合わせて用いてもよい。
【0053】
図5図6及び図39に示すように、正極側バスバーCは、二次電池2の端子に電気的に接続される導電性金属材料からなるものであり、バスバー本体(本体部)80と、3つのタブ(接続部)90とを備えている。
【0054】
バスバー本体80は厚い板材をプレス成形してなるものであり、上部内側ケース構成部材30の上壁部31に沿って長手方向に延びる上板部81と、上板部81の長手方向一端部から下方へ延びる第1側板部82と、上板部81の長手方向他端部から下方へ延びる第2側板部83とを有している。上板部81には、二次電池2の正極端子に対応する部位にそれぞれ上下方向に貫通する貫通部81aが形成されている。従って、貫通部81aは、内側ケースAの上壁部31における底壁スリット31dの幅が広い部分と一致することになり、二次電池2から排出されたガスが流通可能な部位となる。
【0055】
第1側板部82の略上半部は、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に沿うように延びている。第1側板部82の略上半部には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に設けられている爪部33dに係合する係合孔(正極側第2係合部)82aが形成されている。
【0056】
第1側板部82の略下半部は、上部内側ケース構成部材30の周壁部33から離れる方向に突出するように形成されている。この第1側板部82の略下半部には、電池モジュール1の正極側の電極となる電極部84が固定されている。
【0057】
第1側板部82の電極部84よりも下側には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に接近する方向に延びた後、下方へ延びる鉤形状に形成された鉤部(正極側第1係合部)82bが設けられている。図2に示すように、この鉤部82bは、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に形成された係合孔43dに挿入された状態で係合するようになっている。
【0058】
また、第2側板部83は、第1側板部82よりも短く形成されており、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に沿うように延びている。第2側板部83には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に設けられている爪部33eに係合する係合孔(正極側第2係合部)83aが形成されている。
【0059】
各タブ90は、バスバー本体80に比べて薄く形成された板材で構成されている。タブ90もプレス成形されている。タブ90は、二次電池2の正極端子に溶接によって接続されるものであり、二次電池2の並び方向(バスバー本体80の長手方向)に延びる帯状に成形されている。バスバー本体80の幅方向両側に位置するタブ90、90は同じ長さであり、一方、バスバー本体80の幅方向中央部に位置するタブ90は、両側に位置するタブ90、90よりも短くなっている。
【0060】
タブ90には、バスバー本体80の各貫通部81aに挿入される凹部91が形成されている。図40に示すように、凹部91の底部は平坦に形成されており、上部内側ケース構成部材30の開口部としての底壁スリット31dに挿入された状態で二次電池2の正極端子にレーザースポット溶接される。図41に溶接部分を符号91aで示す。また、タブ90の凹部91と凹部91との間の部分は、バスバー本体80の上板部81にレーザースポット溶接される。図41に溶接部分を符号91bで示す。
【0061】
図40に示すように、タブ90における凹部91の両側には、上方へ膨出する膨出部92がそれぞれ形成されている。膨出部92の形成により、凹部91の底部を二次電池2の正極端子に押し付ける方向に付勢することが可能になる。
【0062】
図5図6及び図42に示すように、負極側バスバーDは、正極側バスバーCと同様に構成されている。すなわち、負極側バスバーDは、バスバー本体100と、3つのタブ110とを備えている。バスバー本体100は厚い板材を成形してなるものであり、下部内側ケース構成部材40の底壁部41に沿って長手方向に延びる下板部101と、下板部101の長手方向一端部から上方へ延びる第1側板部102と、下板部101の長手方向他端部から上方へ延びる第2側板部103とを有している。下板部101には、二次電池2の負極端子に対応する部位にそれぞれ上下方向に貫通する貫通部101aが形成されている。従って、貫通部101aは、内側ケースAの下壁部41における底壁スリット41dの幅が広い部分と一致することになる。
【0063】
図2に示すように、第1側板部102の略下半部は、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に沿うように延びている。第1側板部102の略下半部には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に設けられている爪部43iに係合する係合孔(負極側第2係合部)102aが形成されている。
【0064】
第1側板部102の略上半部は、下部内側ケース構成部材40の周壁部43から離れる方向に突出するように形成されている。この第1側板部102の略上半部には、負極側の電極となる電極部104が固定されている。
【0065】
第1側板部102の電極部104よりも上側には、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に接近する方向に延びた後、上方へ延びる鉤形状に形成された鉤部(負極側第1係合部)102bが設けられている。この鉤部102bは、上部内側ケース構成部材30の周壁部33に形成された係合孔33iに挿入された状態で係合するようになっている。
【0066】
また、第2側板部103は、第1側板部102よりも短く形成されており、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に沿うように延びている。第2側板部103には、下部内側ケース構成部材40の周壁部43に設けられている爪部43eに係合する係合孔(負極側第2係合部)103aが形成されている。
【0067】
各タブ110は、二次電池2の負極端子に溶接によって接続されるものである。タブ110には、バスバー本体100の各貫通部101aに挿入される凹部111が形成されている。凹部111の底部は平坦に形成されており、底壁スリット41dに挿入された状態で二次電池2の負極端子にレーザースポット溶接される。さらに、タブ110には、凹部111の両側に上方へ膨出する膨出部112がそれぞれ形成されている。
【0068】
次に、上記のように構成された電池モジュール1を組み立てる場合について説明する。まず、下部内側ケース構成部材40の電池収容用凹部41に二次電池2をそれぞれ収容する。このとき、電池収容用凹部41の周壁部41a及び底壁部41bには周壁スリット41c及び底壁スリット41dがそれぞれ形成され、これら両スリット41c、41dが連続しているので、二次電池2の外径が電池収容用凹部41の内径よりも多少大きくても電池収容用凹部41を拡径するように弾性変形させながら二次電池2を挿入することができる。これにより、挿入後の二次電池2が電池収容用凹部41に嵌まって保持される。
【0069】
その後、上部内側ケース構成部材30を下部内側ケース構成部材40の上方から下部内側ケース構成部材40に組み合わせる。このとき、二次電池2が上部内側ケース構成部材30の電池収容用凹部31に挿入されるが、下側の場合と同様に電池収容用凹部31を拡径するように弾性変形させながら二次電池2を挿入することができる。
【0070】
上部内側ケース構成部材30を下部内側ケース構成部材40に組み合わせると、下部内側ケース構成部材40の下部係合孔43gに、上部内側ケース構成部材30の爪部33gが係合する。この係合構造は、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40を仮に結合しておくためのものである。以上の工程によって内側ケースAが構成される。
【0071】
しかる後、正極側バスバーC及び負極側バスバーDを内側ケースAに組み付けていく。尚、正極側バスバーC及び負極側バスバーDのいずれから組み付けてもよい。
【0072】
正極側バスバーCを内側ケースAに組み付ける場合には、始めに正極側バスバーCの鉤部82bを下部内側ケース構成部材40の係合孔43d(図2に示す)に挿入して係合させる。この鉤部82bの挿入時には正極側バスバーCの上板部81を内側ケースAの上壁部31から離した状態として鉤部82bをその先端側から挿入していき、その後、上板部81を内側ケースAの上壁部31に載置する。上板部81を内側ケースAの上壁部31に載置すると、正極側バスバーCの係合孔82aに内側ケースAの上部内側ケース構成部材30の爪部33dが入り込んで係合するとともに、正極側バスバーCの係合孔83aに内側ケースAの上部内側ケース構成部材30の爪部33eが入り込んで係合する。これにより、正極側バスバーCが上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の両方に係合することになるので、正極側バスバーCによって上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40を結合状態とすることができる。つまり、正極側バスバーCの組み付けが完了すると同時に、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の結合も完了するので、上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の結合作業時に締結部材等を別途用いて行う必要はない。
【0073】
次いで、正極側バスバーCのタブ90を二次電池2の正極端子に溶接する。タブ90がバスバー本体80よりも薄くなっているので、二次電池2の端子に溶接する際に与える熱量が少なくても該端子に溶接可能である。よって、溶接時の熱によって二次電池2が損傷してしまうのを抑制することが可能になる。
【0074】
負極側バスバーDを内側ケースAに組み付ける場合には、始めに負極側バスバーDの鉤部102bを上部内側ケース構成部材30の係合孔33i(図2に示す)に挿入して係合させる。この鉤部102bの挿入時には負極側バスバーDの下板部101を内側ケースAの下壁部41から離した状態として鉤部102bをその先端側から挿入していき、その後、下板部101を内側ケースAの下壁部41に接触させる。下板部101を内側ケースAの下壁部41に接触させると、負極側バスバーDの係合孔102aに内側ケースAの下部内側ケース構成部材40の爪部43iが入り込んで係合するとともに、負極側バスバーDの係合孔103aに内側ケースAの下部内側ケース構成部材40の爪部43eが入り込んで係合する。これにより、負極側バスバーDが上部内側ケース構成部材30及び下部内側ケース構成部材40の両方に係合する。そして、タブ110を二次電池2の負極端子に溶接する。
【0075】
その後、内側ケースAを下部外側ケース構成部材60の上方から下部外側ケース構成部材60に収容する。すると、下部外側ケース構成部材60の係合孔62fに下部内側ケース構成部材40の爪部41iが入り込んで係合する。
【0076】
次いで、上部外側ケース構成部材50を下部外側ケース構成部材60の上方から下部外側ケース構成部材60に組み合わせる。すると、上部外側ケース構成部材50の係合孔52fに上部内側ケース構成部材30の爪部31iが入り込んで係合する。つまり、上部外側ケース構成部材50及び下部外側ケース構成部材60を内側ケースAに固定して一体化することができるので、締結部材等は不要である。以上の工程により外側ケースBが構成されて図1に示すユニットYが得られる。
【0077】
ユニットYを構成する際、内側ケースAと外側ケースBの分割方向が同方向であるため、内側ケースAの向きを変えることなく、外側ケースBを組み立てることが可能になる。また、内側ケースAから露出した二次電池2の正極端子及び負極端子は、外側ケースBにより覆われるので絶縁が確実に行われる。
【0078】
ユニットYは、ベースプレート7の上面に外側ケースBの底壁部61が接触した状態で載置される。このとき、外側ケースBの底壁部61の突部65がベースプレート7の孔部7cに挿入されて係合するので、ユニットYが水平方向には移動しないようにベースプレート7に対して位置決めされて電池モジュール1が得られる。このとき、ユニットYの重量によって突部65を孔部7cに確実に挿入して抜けないようすることができる。尚、図示しないが、ユニットYはベースプレート7の上面に水平方向に複数並べて載置することができ、それらを直列又は並列に接続して使用することができる。
【0079】
電池モジュール1の使用時には二次電池2が発熱することがある。この実施形態では、二次電池2の熱は内側ケースA内部の熱伝導部材70に伝わって放熱されるとともに、内側ケースA及び外側ケースBを介してベースプレート7にも伝わって放熱される。このとき、内側ケースAには通風口33c及び通風口43cが形成され、外側ケースBには切欠部52b、62bによって図1に示す通風口1aが形成されているので、二次電池2の冷却風を外側ケースBの一方の側壁部の通風口1aから外側ケースB及び内側ケースA内に流入させた後、他方の側壁部の通風口1aからスムーズに流出させることが可能になる。よって、二次電池2が収容されている部分への冷却風の供給が可能になり、冷却性能が向上する。さらに、ベースプレート7は外側ケースBの外部に配置されているので冷却風が当たりやすく十分な冷却性能が得られる。また、ベースプレート7の冷却風通路7bに冷却風を積極的に供給することで冷却性能がより一層向上する。
【0080】
万が一、電池モジュール1の使用時に二次電池2が異常状態になって正極端子側からガスが噴出した場合には、内側ケースAの上壁部31の底壁スリット31dから正極側バスバーCの上板部81の貫通部81aを流通してガス導出通路Rに流出する。ガス導出通路Rに流出したガスは外側ケースBの長手方向に流れて開口部52g、52gから外部に導出される。
【0081】
以上説明したように、この実施形態によれば、二次電池2を絶縁した状態で外側ケースBに収容し、この外側ケースBを外部に設けた冷却風の当たりやすいベースプレート7に対して位置決めするようにしたので、二次電池2の放熱を効率よく行うことができる。
【0082】
また、ベースプレート7の孔部7cに外側ケースBの突部65を係合させるようにしたので、係合させる際の作業性を良好にできる。また、孔部7cがベースプレート7の上面に開口し、突部65が外側ケースBの下面から下方へ突出しているので、二次電池2の重量によって突部65を孔部7cに確実に係合させることができる。
【0083】
また、上記実施形態では正極側バスバーC及び負極側バスバーDのタブ90、110をそれぞれバスバー本体80、100とは別部材からなるものとしたが、これに限らず、例えば図43図46に示す変形例1のように正極側バスバーC及び負極側バスバーDのタブ95、115をそれぞれ一体成形してもよい。
【0084】
図44に示すように、正極側バスバーCのタブ95は、上板部81から延出する板状に形成される。タブ95の厚さは上板部81よりも薄く設定されている。正極側バスバーCはプレス成形品であり、成形時にタブ95も薄肉化される。図45の符号95aはタブ95の二次電池2への溶接部分である。図46に示すように負極側バスバーDのタブ115も同様に構成されている。
【0085】
また、図47及び図48に示す変形例2のように、正極側バスバーCにヒューズ96bを一体成形してもよい。すなわち、正極側バスバーCは、バスバー本体80と複数の溶接板部96aを有するタブ96とを備えている。タブ96は板状に形成されており、バスバー本体80の上板部81の下面に溶接されている。このタブ96における二次電池2の正極端子に対応する部位に、それぞれ正極端子に溶接される溶接板部96aが設けられている。溶接板部96aには、バスバー本体80との間に配設されるヒューズ96bが一体成形されている。ヒューズ96bは線状に形成されており、二次電池2の正極端子と正極側バスバーCとの間に異常な大電流が流れた場合に溶断する。
【0086】
また、ユニットYは、ベースプレート7の下面に外側ケースBの上壁部51が接触した状態で載置されてもよい。このとき、外側ケースBの上壁部51の突部55がベースプレート7の孔部7cに挿入されて係合するので、ユニットYが水平方向には移動しないようにベースプレート7に対して位置決めされて電池モジュール1が得られる。
また、突部55、65の一方を省略してもよい。
【0087】
また、ベースプレート7を上下に用意して、ベースプレート7の上面に外側ケースBの下壁部61が接触し、かつ、ベースプレート7の下面に外側ケースBの上壁部51が接触するようにユニットYを配置してもよい。
【0088】
また、ユニットYは、上下方向にも重ねて配列してもよい。その場合、上方のユニットYの外側ケースBの下壁部61と、下方のユニットYの外側ケースBの上壁部51との間にベースプレート7を各々の壁面に接触した状態で配置されていてもよい。
【0089】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本発明に係る電池モジュールは、例えば電気自動車に搭載することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 電池モジュール
2 二次電池
7 ベースプレート(放熱部材)
7c 孔部
30 上部内側ケース構成部材
31 電池収容用凹部
40 下部内側ケース構成部材
41 電池収容用凹部
50 上部外側ケース構成部材
60 下部外側ケース構成部材
65 突部(係合部)
A 内側ケース
B 外側ケース
C 正極側バスバー
D 負極側バスバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図48