特許第6286221号(P6286221)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286221
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/24 20060101AFI20180215BHJP
   E06B 3/64 20060101ALI20180215BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   E06B3/24
   E06B3/64
   E06B5/16
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-27731(P2014-27731)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-151799(P2015-151799A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100073276
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 公總
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−67979(JP,A)
【文献】 特開2010−248837(JP,A)
【文献】 特開2012−136927(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1296015(EP,A1)
【文献】 特開2013−113062(JP,A)
【文献】 特開2007−31992(JP,A)
【文献】 特開2008−31654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/24
E06B 3/54−3/64
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠材を枠組みした窓枠と、該窓枠に支持される障子と、を備えたサッシであって、
前記障子は、框材を矩形状に枠組みした障子枠と、該障子枠に四周が保持される面材と、を有して構成され、
前記框材は、長手方向に延びる溝状の面材保持部を有して形成され、
前記面材保持部は、見込方向に対向して前記面材を挟持する一対の保持面部と、該保持面部の基端同士を結ぶ底面部と、を備え、
前記框材の前記底面部には、前記面材の周端面から離隔した面材規制部が前記長手方向中央を含んだ所定範囲に設けられ
前記面材規制部は、前記面材の屋内側又は屋外側において該面材の周端面よりも見付け方向内方に延びて該面材の周端縁部を係止可能な係止突起を有して形成されていることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
前記框材の前記底面部には、前記面材規制部と、前記面材の周端面の少なくとも一部に当接する当接部材と、が設けられることを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
前記面材規制部が設けられた框材には、火災時に前記枠材の一部に当接することで該框材の変形を規制する框材規制部が設けられ、
前記框材規制部は、前記長手方向における前記面材規制部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサッシ。
【請求項4】
枠材を枠組みした窓枠と、該窓枠に支持される障子と、を備えたサッシであって、
前記障子は、框材を矩形状に枠組みした障子枠と、該障子枠に四周が保持される面材と、を有して構成され、
前記框材は、長手方向に延びる溝状の面材保持部を有して形成され、
前記面材保持部は、見込方向に対向して前記面材を挟持する一対の保持面部と、該保持面部の基端同士を結ぶ底面部と、を備え、
前記框材の前記底面部には、前記面材の周端面から離隔した面材規制部が設けられ、
前記面材規制部を備えた框材には、前記枠材の一部に当接することで該框材の変形を規制する框材規制部が、前記長手方向における該面材規制部の近傍に設けられ
前記面材規制部は、前記面材の屋内側又は屋外側において該面材の周端面よりも見付け方向内方に延びて該面材の周端縁部を係止可能な係止突起を有して形成されていることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠材を枠組みした窓枠と、該窓枠に支持される障子と、を備えたサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂製の枠材を枠組した窓枠に障子が支持されるサッシとして、樹脂製の框材を枠組みした障子枠によってガラスパネルが保持されるとともに、ガラスパネルの面内方向への移動を規制する樹脂製のセッティングブロック(当接部材)と、火災時にガラスパネルの脱落を防ぐための金属部材と、が框材のうち下框に設けられたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された従来のサッシでは、金属部材がセッティングブロックよりも小さい見付け方向高さを有することで、常時にはセッティングブロックをガラスパネルの端面に当接させるとともに、火災によって当接部材及び框材が溶融した場合には、金属部材をガラスパネルの端面に当接させて保持し、ガラスパネルの脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−248837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、金属製(例えばアルミ製)の框材を用いた場合、火災によって加熱されると、框材は、見付け方向外側には金属製の枠材が設けられていることから放熱しやすく、見付け方向内側においてはガラスパネルが設けられていることから放熱しにくいため、見付け方向内方に向かって伸び変形してしまう可能性がある。框材が変形してしまうと、面材規制部がガラスパネルの端面と当接しなかったり、当接しても框材の変形によってガラスパネルが脱落してしまったりする可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、火災時に面材の脱落をより確実に防止することができるサッシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサッシは、枠材を枠組みした窓枠と、該窓枠に支持される障子と、を備えたサッシであって、前記障子は、框材を矩形状に枠組みした障子枠と、該障子枠に四周が保持される面材と、を有して構成され、前記框材は、長手方向に延びる溝状の面材保持部を有して形成され、前記面材保持部は、見込方向に対向して前記面材を挟持する一対の保持面部と、該保持面部の基端同士を結ぶ底面部と、を備え、前記框材の前記底面部には、前記面材の周端面から離隔した面材規制部が前記長手方向中央を含んだ所定範囲に設けられ、前記面材規制部は、前記面材の屋内側又は屋外側において該面材の周端面よりも見付け方向内方に延びて該面材の周端縁部を係止可能な係止突起を有して形成されていることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、框材の長手方向中央を含んだ所定範囲に面材規制部が設けられていることで、火災時において、框材が障子枠の四隅において拘束されることによって長手方向中央部付近が見付け方向内方に向かうように框材全体が凸状に変形しようとしても、面材規制部を面材に当接させやすくすることができ、框材の見付け方向内方への変形を防止するとともに、面材の脱落を防止することができる。さらに、下框に面材規制部が設けられていれば、長手方向中央部付近において面材の荷重を下框に加えることができ、框材が凸状に変形することをさらに防止することができる。
【0008】
なお、枠材及び框材において、長手方向とは、各枠材又は各框材の材軸に沿った方向(アルミ形材においては押し出し方向)を意味し、見込み方向とは、屋内外方向(面外方向、面材の平面に直交する方向)を意味し、見付け方向とは、正面から見た各枠材又は各框材の幅方向(面内方向、長手方向及び見込み方向に直交する方向)を意味する。
【0009】
この際、本発明のサッシでは、前記框材の前記底面部には、前記面材規制部と、前記面材の周端面の少なくとも一部に当接する当接部材と、が設けられることが好ましい。このような構成によれば、框材に面材規制部と当接部材とが設けられていることで、常時において当接部材を面材の周端面に当接させて支持することができるとともに、火災時に当接部材が溶融した場合に面材規制部を面材の周端面に当接させて脱落を防止することができる。
【0010】
さらに、本発明のサッシでは、前記面材規制部が設けられた框材には、火災時に前記枠材の一部に当接することで該框材の変形を規制する框材規制部が設けられ、前記框材規制部は、前記長手方向における前記面材規制部の近傍に設けられていることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、面材規制部と框材規制部とが長手方向において近傍に設けられている、即ち、前述のように火災時に框材の見付け方向内方への変形が防止される位置の近傍に框材規制部が設けられていることで、框材規制部が設けられた位置において框材が枠材から離れるように変形することを防止することができ、框材規制部を枠材の一部に当接させやすくして框材の変形を防止し、面材の脱落をより効果的に防止することができる。
【0012】
また、本発明のサッシは、枠材を枠組みした窓枠と、該窓枠に支持される障子と、を備えたサッシであって、前記障子は、框材を矩形状に枠組みした障子枠と、該障子枠に四周が保持される面材と、を有して構成され、前記框材は、長手方向に延びる溝状の面材保持部を有して形成され、前記面材保持部は、見込方向に対向して前記面材を挟持する一対の保持面部と、該保持面部の基端同士を結ぶ底面部と、を備え、前記框材の前記底面部には、前記面材の周端面から離隔した面材規制部が設けられ、前記面材規制部を備えた框材には、前記枠材の一部に当接することで該框材の変形を規制する框材規制部が、前記長手方向における該面材規制部の近傍に設けられ、前記面材規制部は、前記面材の屋内側又は屋外側において該面材の周端面よりも見付け方向内方に延びて該面材の周端縁部を係止可能な係止突起を有して形成されていることを特徴とする。
【0013】
このような本発明のサッシによれば、火災時に面材と面材規制部とが当接して框材の見付け方向への変形を防止するとともに、この近傍において框材が枠材から離れるように変形することを防止し、框材規制部を枠材の一部に当接させやすくして框材の変形を防止し、面材の脱落を防止することができる。
【0015】
また、面材規制部が係止突起を備えることで、火災時に面材が屋外側又は屋内側に倒れようとしても係止突起が面材の周端縁部を係止することができ、面材が倒れて脱落してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明のサッシによれば、火災時に面材規制部と面材とが当接可能に設けられて框材の見付け方向への変形が防がれていることで、火災時に面材の脱落をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るサッシを示す縦断面図である。
図2】前記サッシを示す横断面図である。
図3】前記サッシの内障子及び外障子を示す正面図である。
図4】前記サッシの要部を拡大して示す縦断面図である。
図5】前記サッシの要部を拡大して示す横断面図である。
図6】火災時の前記サッシを示す縦断面図である。
図7】火災時の前記サッシを示す横断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るサッシの要部を示す縦断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係るサッシの要部を示す縦断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るサッシの要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第2〜4実施形態においては、第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材及び同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態と同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0019】
〔第1実施形態〕
本実施形態のサッシ1は、図1、2に示すように、建物に形成された開口部Oに設けられるものであって、窓枠2と、窓枠2に支持される障子としての内障子3及び外障子4と、を備えた引き違い窓である。以下、常時において内障子3及び外障子4を閉じた際の各部材及びその位置関係について説明する。
【0020】
窓枠2は、枠材としての金属製の上枠21、下枠22、及び、左右の縦枠23を枠組みしたものである。
【0021】
上枠21及び下枠22は、建物と開口部Oとの境界に沿って延びる見込み面部211、221と、見込み面部211、221の屋内側端部から見付け方向内方へ延びる屋内側見付け面部212、222と、見込み面部211、221の屋外側端部から見付け方向内方へ延びる屋外側見付け面部213、223と、見込み面部211、221から見付け方向内方に突出して内障子3を支持する内側レール214、224と、見込み面部211、221から見付け方向内方に突出して外障子4を支持する外側レール215、225と、をそれぞれ備える。また、下枠22は、内側レール224の基端付近から外障子4に向かって屋外側に突出した突出部226をさらに備え、屋内側見付け面部222及び突出部226の屋外側には気密材227が設けられている。
【0022】
左右の縦枠23は、それぞれ、建物と開口部Oとの境界に沿って延びる見込み面部231と、見込み面部231の屋内側端部から見付け方向内方へ延びる屋内側見付け面部232と、見込み面部231の屋外側端部から見付け方向内方へ延びる屋外側見付け面部233と、見込み面部231から内障子3又は外障子4に向かって突出するガイド片234と、内障子3と外障子4との間において見付け方向内方に突出する中間突出片235と、を備える。内障子3が当接する縦枠23においては、気密材236が屋内側見付け面部232に設けられ、外障子4が当接する縦枠23においては、気密材236が中間突出片235に設けられている。
【0023】
内障子3及び外障子4は、図3にも示すように、框材としての上框31、41、下框32、42、縦框33、43、及び、召合わせ框34、44をそれぞれ矩形状に枠組みした障子枠30、40と、障子枠30、40に四周が保持される面材としての複層ガラス35、45と、を備える。なお、図3は、屋外側から見た外障子4を示すとともに、屋内側から見た内障子3を示し、内障子3に関する符号を括弧内に示す。
【0024】
上框31、41は、複層ガラス35、45の上端部を保持する溝状の面材保持部311、411と、内側レール214又は外側レール215を見込み方向両側から挟んで案内される被案内部312、412と、を備え、被案内部312、412の内側には、内側レール214又は外側レール215に当接する気密材313、413が設けられている。
【0025】
面材保持部311、411は、上框31、41の長手方向に沿って形成され、見込方向に対向するとともに内側に気密材311A、411Aが設けられた一対の保持面部311B、411Bと、保持面部311B、411Bの基端同士を結ぶ底面部311C、411Cと、を備え、一対の保持面部311B、411Bによって複層ガラス35、45を挟持している。
【0026】
下框32、42は、図4にも示すように、複層ガラス35、45の下端部を保持する溝状の面材保持部321、421と、内側レール224又は外側レール225に載置される戸車322、422と、下枠22に設けられた気密材227に当接する屋内側見付け面部323、423と、を備える。
【0027】
外障子4の面材保持部421は、下框42の長手方向に沿って形成され、内側に気密材421Aが設けられた一対の保持面部421Bと、保持面部421Bの基端同士を結ぶ底面部421Cと、を備え、一対の保持面部421Bによって複層ガラス45を挟持している。下框42の底面部421Cには、複層ガラス45の下端面(小口面)に当接して面内方向への移動を規制する樹脂製の当接部材5と、金属製の面材規制部6と、が設けられている。当接部材5は、長手方向の左右二箇所に設けられている。また、内障子3の面材保持部321は、外障子4の面材保持部421と略同様の構成を有する。
【0028】
面材規制部6は、長手方向略中央部と当接部材5に隣接する位置との計三箇所に設けられるとともに面材保持部321、421にビス止めされている。面材規制部6は、当接部材5よりも見付け方向高さが小さいことで、その上面が複層ガラス35、45の下端面から離隔して設けられるとともに、後述するように火災時に当接部材5が溶融した場合に複層ガラス35、45の下端面に当接可能に設けられている。
【0029】
さらに、外障子4の下框42には、外側レール225に対応して金属製の框材規制部7が設けられ、框材規制部7は、長手方向の略中央部(即ち、長手方向において面材規制部6の近傍)において下框32、43にビス止めされるとともに、外側レール225に対して傾斜したテーパ部7Aを有して形成されている。また、内障子3の下框32にも、略同様の框材規制部7が設けられている。
【0030】
縦框33、43は、図5にも示すように、複層ガラス35、45の見付け方向外側端部を保持する溝状の面材保持部331、431と、縦枠23に向かって見付け方向外側に突出した一対の突出部332、432と、縦枠23のガイド片234に案内される被ガイド部333、433と、を備える。
【0031】
内障子3の面材保持部331は、下框32、42と略同様に、内側に気密材331Aが設けられた一対の保持面部331Bと、保持面部331Bの基端同士を結ぶ底面部331Cと、を備え、一対の保持面部331Bによって複層ガラス35を挟持している。底面部331Cには、長手方向の上下二箇所に当接部材5と面材規制部6とが隣接して設けられている。また、外障子4の面材保持部431は、内障子3の面材保持部331と略同様の構成を有する。
【0032】
一対の突出部332、432のうち屋内側の突出部は、縦枠23に設けられた気密材236に当接する。
【0033】
内障子3の被ガイド部333は、長手方向における面材規制部6近傍に固定されるとともに、ガイド片234に当接する樹脂製の先端部333Aと、ガイド片234に対して傾斜した金属製の框材規制部8と、を備える。また、外障子4の被ガイド部433は、内障子3の被ガイド部333と略同様の構成を有する。
【0034】
召合わせ框34、44は、複層ガラス35、45の端部を保持する溝状の面材保持部341、441と、内障子3と外障子4とで互いに噛み合う煙返し部342、442と、を備え、内障子3の召合わせ框34に設けられた気密材343が外障子4の召合わせ框44に当接する。
【0035】
面材保持部341、441は、上框31、41と略同様に、内側に気密材341A、441Aが設けられた一対の保持面部341B、441Bと、保持面部341B、441Bの基端同士を結ぶとともに表面の二箇所に当接部材5が設けられた底面部341C、441Cと、を備え、一対の保持面部341B、441Bによって複層ガラス35、45を挟持している。
【0036】
複層ガラス35、45は、スペーサを介して見込み方向に対向して設けられる一対のガラスパネルとしての内側パネル351、451と外側パネル352、452とを備えるとともに、内側パネル351、451と外側パネル352、452との間に例えばアルゴンガスが封入されて断熱性が高められている。内側パネル351、451は、例えば、屋外側に図示しない金属膜が設けられたガラスパネルで構成され、外側パネル352、452は、網入りガラスパネルで構成されている。
【0037】
次に、火災時における各部材の位置関係について、図6、7に基づいて説明する。外障子4の下框42においては、火災の熱によって当接部材5が溶融し、複層ガラス45が重力によって落下するとともに熱によって面内方向外側に膨張し、下端面が面材規制部6に当接することで複層ガラス45が支持される。即ち、面材規制部6が設けられた位置において、複層ガラス45の荷重が下框42に加わり、下框42が見付け方向内方に向かって凸状に変形することが防止される。
【0038】
さらに、戸車422が溶融し、外障子4全体が落下すると、框材規制部7のテーパ部7Aが外側レール225に案内され、外障子4が屋内側に引き寄せられる。また、内障子3の下框32においても、外障子4の下框42と略同様に、複層ガラス35が面材規制部6に当接するとともに、框材規制部7のテーパ部7Aが内側レール224に案内される。
【0039】
内障子3の縦框33においては、当接部材5が溶融するとともに、複層ガラス35の内側パネル及び外側パネル351、352が熱によって面内方向外側に向かって膨張して面材規制部6に当接する。即ち、面材規制部6が設けられた位置において、複層ガラス35が伸びようとする力(見付け方向外側へ向かう力)が縦框33に加えられ、縦框33が見付け方向内方に向かって凸状に変形することが防止される。さらに、被ガイド部333の先端部333Aが溶融するとともに、縦框33が見付け方向外側に移動又は変形すると、框材規制部8がガイド片234に案内され、内障子3が屋内側に引き寄せられる。
【0040】
また、外障子4の縦框43においても、内障子3の縦框33と略同様に、複層ガラス45が面材規制部6に当接するとともに、框材規制部8がガイド片234に案内される。
【0041】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。即ち、面材規制部6が下框32、42の長手方向略中央部に設けられていることで、中央部において下框32、42が上方に凸状に変形しようとしても、面材規制部6を複層ガラス35、45の周端面に当接させやすくすることができ、面材規制部6によって複層ガラス35、45の荷重を受けて下框32、42の変形を防止するとともに、複層ガラス35、45の脱落を防止することができる。
【0042】
さらに、下框32、42において框材規制部7が面材規制部6の長手方向近傍に設けられていることで、面材規制部6が設けられた位置において下框32、42が下枠22から離れるように変形することが防止され、框材規制部7のテーパ部7Aを内側レール224又は外側レール225に案内させやすくすることができ、下框32、42が屋外側に変形することを防止することができる。
【0043】
また、縦框33、43において框材規制部8が面材規制部6の長手方向近傍に設けられていることで、面材規制部6によって複層ガラス35、45が伸びようとする力を受け、面材規制部6が設けられた位置において縦框33、43が縦枠23から離れるように変形することが防止され、框材規制部8をガイド片234に案内させやすくすることができ、縦框33、43が屋外側に変形することを防止することができる。
【0044】
〔第2実施形態〕
本実施形態のサッシ1Bでは、図8に示すように、複層ガラス35、45が前記第1実施形態と略同様に、金属膜が設けられたガラスパネルで構成された内側パネル351、451と、網入りガラスで構成された外側パネル352、452と、を備える。また、面材規制部6Bが複層ガラス35、45の見込み方向略中央部よりも屋内側に設けられていることで、当接部材5が溶融した場合に、面材規制部6Bが内側パネル351、451に当接するとともに外側パネル352、452に当接しないように設けられている。
【0045】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。さらに、屋外側で火災が発生した場合、外側パネル352、452は、直接加熱されるとともに、内側パネル351、451の金属膜による輻射熱でさらに加熱され、面内方向に膨張しようとする。ここで、面材規制部6Bが外側パネル352、452に当接しないことで、この膨張が規制されず、外側パネル352、452が屋外側に向かって凸に撓み変形して脱落したり割れてしまったりすることを防ぐことができる。
【0046】
〔第3実施形態〕
本実施形態のサッシ1Cでは、図9に示すように、複層ガラス35C、45Cがガラスパネルで構成された内側パネル351C、451Cと、外側パネル352C、452Cと、を備えるとともに、複層ガラス35C、45Cの見込み方向における重心が内側レール224又は外側レール225とずれて偏心している。また、面材規制部6Cが内障子3においては複層ガラス35の見込み方向略中央部よりも屋外側に設けられるとともに、外障子4においては複層ガラス45の見込み方向略中央部よりも屋内側に設けられていることで、当接部材5が溶融した場合に、面材規制部6Cが内障子3においては外側パネル352Cに当接して内側パネル351Cに当接しないように設けられるとともに、外障子4においては内側パネル451Cに当接して外側パネル452Cに当接しないように設けられている。
【0047】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態と略同様の効果を奏することができる。さらに、火災によって当接部材5が溶融した場合、内側レール224又は外側レール225から近い方の外側パネル352C又は内側パネル451Cの下端面が面材規制部6Cに当接し、下框32、42は、主に面材規制部6Cによって複層ガラス35、45の荷重を受ける。従って、複層ガラス35C、45Cの下端面全体が面材規制部6に当接する構成と比較して、下框32、42が複層ガラス35C、45Cの荷重を受ける位置と、内側レール224又は外側レール225による下框32、42の支持位置と、の見込み方向のずれを小さくすることができ、複層ガラス35、45の重量によって発生して内障子3又は外障子4が倒れるように作用するモーメントを抑制し、内障子3の屋内側への倒れや外障子4の屋外側への倒れを起こりにくくすることができる。
【0048】
〔第4実施形態〕
本実施形態のサッシ1Dでは、図10に示すように、面材規制部6Dが外側パネル352、452の下方において凹状に形成されるとともに、外側パネル352、452よりも屋外側において外側パネル352、452の下端面よりも上方(見付け方向内方)に延びた係止突起61を備えている。
【0049】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態及び前記第2実施形態と略同様の効果を奏することができる。さらに、火災によって外障子4の屋外側の保持面部421Bが変形して屋外側に開いて、外側パネル352、452が屋外側に倒れようとしても、係止突起61が外側パネル352、452の下端縁部を係止し、外側パネル352、452の倒れを防止することができる。さらに、下框32、42が屋外側に倒れるように変形した場合でも、係止突起61によって外側パネル352、452を係止して脱落を防止することができる。
【0050】
なお、本発明は、前記第1〜4実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記第1〜第4実施形態では、下框32、42の長手方向略中央部に面材規制部6と框材規制部7とが設けられるものとしたが、面材規制部は、下框が見付け方向内方に凸状に変形しようとした際に面材と当接可能な位置であれば、下框の長手方向中央部からずれた所定範囲に設けられていてもよい。また、縦框の長手方向略中央部に面材規制部が設けられていてもよい。さらに、框材規制部は、面材規制部と長手方向に略同一位置に設けられていなくてもよく、面材規制部によって框材の変形が抑えられる範囲であれば、面材規制部と長手方向にずれて設けられていてもよい。
【0051】
また、前記第1〜4実施形態では、縦框33、43の面材保持部331、431に当接部材5が設けられるものとしたが、縦框において当接部材は省略されていてもよい。また、面材が、例えば接着剤やグレイジングチャンネル等を介して面材保持部に保持される場合、下框においても当接部材が省略されていてもよい。
【0052】
また、前記第1〜4実施形態では、面材としての複層ガラス35、45がガラスパネルとしての内側パネル351、451と外側パネル352、452とを備えるものとしたが、面材は、三枚以上のガラスパネルを備えていてもよいし、単板ガラスで構成されていてもよい。また、面材を構成するパネル部材は、網入りガラスパネルや金属膜が設けられたガラスパネルに限らず、耐熱ガラス製であってもよいし、サッシが設けられる場所に応じて適宜なものが用いられていればよく、面材が複数のパネル部材を備える場合には前記のうち適宜なものが組み合わされていればよい。
【0053】
また、前記第2実施形態及び前記第4実施形態では、面材規制部6B、6Dが網入りガラスパネルで構成された外側パネル352、452の下端面に当接しないように構成されるものとしたが、面材規制部が面材を構成する一対のパネル部材の一方と当接可能に設けられる場合、外側パネルが網入りガラスパネルで構成されていても、前記第3実施形態のように面材規制部が内側レール又は外側レールに近い方のパネル部材に当接可能に設けられてもよく、面材を構成するパネル部材の材質や重量、見込み方向における位置等に応じて、面材規制部は適宜なパネル部材に当接可能に設けられていればよい。
【0054】
また、前記第4実施形態では、面材規制部6Dが外側パネル352、452に当接しないとともに屋外側に係止突起61を有するものとしたが、面材規制部は面材の下端面全体に当接可能であるとともに係止突起を有していてもよいし、係止突起は屋内側に設けられていてもよい。
【0055】
また、前記第1〜4実施形態では、サッシ1が内障子3及び外障子4を備えた引き違い窓であるものとしたが、障子の数や開閉方式は特に限定されない。
【0056】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1 サッシ
2 窓枠
3 内障子
4 外障子
5 当接部材
6 面材規制部
7 框材規制部
8 框材規制部
21 上枠(枠材)
22 下枠(枠材)
23 縦枠(枠材)
30、40 障子枠
31、41 上框(框材)
32、42 下框(框材)
33、43 縦框(框材)
34、44 召合わせ框(框材)
35、45 複層ガラス(面材)
61 係止突起
311、411 面材保持部
311B、411B 保持面部
311C、411C 底面部
321、421 面材保持部
421B 保持面部
421C 底面部
331、431 面材保持部
331B 保持面部
331C 底面部
341、441 面材保持部
341B、441B 保持面部
341C、441C 底面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10