(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年においては、天然の香りが好まれる傾向にあり、本願出願人は、天然木の利用に着目した。
【0007】
この天然木は、複数の芳香成分を有しており、その芳香成分には、揮散のしやすさの異なるトップノート成分やベースノート成分の存在が知られている(例えば特開平10−085313号公報参照)。
【0008】
このため、天然木を芳香器として単純に使用すると、トップノート成分が早い時期に揮散してしまい、天然木本来の香りを維持することができなくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、本来の香りを供給することができる芳香器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の芳香器にあっては、芳香成分を放出する芳香器において、
複数のトップノート成分及び複数のベースノート成分を芳香成分
として有する樹木で構成された樹木構成物と、
当該樹木から抽出された抽出成分とを備えてなり、
該抽出成分は、前記樹木構成物と同種の樹木を減圧下で加熱することにより得られた成分であって、前記ベースノート成分より揮散しやすい複数の前記トップノート成分を主成分とした抽出成分である。
【0011】
すなわち、この芳香器には、樹木で構成された樹木構成物が使用されており、当該樹木構成物からは、天然の香りが放出される。
【0012】
ここで、樹木とは、木本体のみならず、枝や葉を含んだ全般を示すものである。
【0013】
このとき、この樹木構成物は、複数の芳香成分を有しており、その芳香成分には、揮散のしやすさの異なる成分が含まれている。このため、揮散し易い成分は、早い時期に揮散してしまい、本来の香りを維持することができなくなる。
【0014】
しかし、本願発明にあっては、樹木から抽出された抽出成分を備えており、その抽出成分は、前記樹木構成物に含まれる芳香成分のうち揮散しやすい芳香成分によって構成されている。このため、前記樹木構成物から揮散し易い芳香成分が揮散してしまった場合であっても、この減少又は消滅した芳香成分は、前記抽出成分によって補われる。
【0016】
また、前記抽出成分を抽出する樹木は、前記樹木構成物を形成する樹木と同種の樹木によって構成されており、前記抽出成分は、前記樹木構成物と同種の樹木から抽出される。
【0017】
このため、種類の異なる樹木から芳香成分を抽出する場合と比較して、目的とした芳香成分の抽出が容易に行われる。
【0019】
また、前記抽出成分は、樹木を減圧下で加熱することにより得られており、特定の成分を主成分とした抽出物が容易に抽出される。
【0020】
加えて、請求項
2の芳香器にあっては、前記抽出成分をゲルに保持した。
【0021】
すなわち、揮散しやすい芳香成分からなる前記抽出成分は、ゲルに保持されている。このため、この抽出成分からの芳香成分は、前記ゲルからゆっくりと放出される。
【0022】
また、請求項
3の芳香器においては、前記樹木構成物を中空状に形成するとともに、該樹木構成物の中空部にセットされるカートリッジを備え、該カートリッジに前記抽出成分を揮散可能に収容した。
【0023】
すなわち、前記樹木構成物の中空部には、カートリッジがセットされるように構成されており、該カートリッジには、前記抽出成分が揮散可能に収容されている。
【0024】
このため、前記樹木構成物に含まれた揮散し易い成分が早い時期に揮散してしまった後には、前記カートリッジに収容された前記抽出成分が揮散することで、減少又は消滅した芳香成分が補われる。
【0025】
そして、前記カートリッジの前記抽出成分が無くなった場合には、当該カートリッジを交換することで、前記芳香成分の供給が行われる。
【0026】
さらに、請求項
4の芳香器では、前記樹木構成物は、当該樹木構成物に含浸された前記抽出成分を揮散する揮散体を構成する。
【0027】
すなわち、前記樹木構成物は、前記抽出成分が含浸されるように構成されており、当該樹木構成物は、含浸された前記抽出成分を揮散する揮散体を構成する。
【0028】
このため、前記樹木構成物から揮散し易い芳香成分が揮散してしまった場合であっても、この樹木構成物からは、残存した芳香成分と、前記抽出成分によって補われた芳香成分とが揮散される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明の請求項1の芳香器にあっては、前記樹木構成物を使用することによって、当該樹木構成物から天然の樹木の香りを放出することができる。
【0030】
このとき、この樹木構成物からは、揮散し易い成分が早い時期に揮散してしまい、本来の香りを維持することができなくなる。
【0031】
しかし、本願発明にあっては、樹木から抽出された抽出成分を備えており、その抽出成分は、前記樹木構成物に含まれる芳香成分のうち揮散しやすい芳香成分によって構成されている。このため、前記樹木構成物から揮散し易い芳香成分が揮散してしまった後であっても、この減少又は消滅した芳香成分を、前記抽出成分によって補うことができる。
【0032】
これにより、樹木の本来の香りを供給することができる。
【0033】
また
、前記抽出成分を抽出する樹木は、前記樹木と同種の木によって構成されており、前記抽出成分は、前記樹木構成物と同種の樹木から抽出されている。
【0034】
このため、種類の異なる樹木から芳香成分を抽出する場合と比較して、目的とした芳香成分の抽出を容易に行うことができる。
【0035】
さらに
、前記抽出成分は、樹木を減圧下で加熱することにより得られている。これにより、特定の成分を主成分とした抽出物を容易に抽出することができる。
【0036】
加えて、請求項
2の芳香器にあっては、揮散しやすい芳香成分からなる前記抽出成分をゲルに保持した。このため、この抽出成分からの芳香成分は、前記ゲルからゆっくりと放出される。
【0037】
これにより、揮散しやすい芳香成分を緩やかに放出することで、当該芳香成分の長期にわたる放出が可能となり、樹木の本来の香りを長期にわたって維持することができる。
【0038】
また、請求項
3の芳香器においては、前記樹木構成物の中空部には、カートリッジがセットされるように構成されており、該カートリッジには、前記抽出成分が揮散可能に収容されている。
【0039】
このため、前記樹木構成物に含まれた揮散し易い成分が早期に揮散してしまった後には、前記カートリッジに収容された前記抽出成分が揮散することで、減少又は消滅した芳香成分を補うことができる。これにより、樹木本来の香りを供給することができる。
【0040】
そして、前記カートリッジの前記抽出成分が無くなった場合には、当該カートリッジを交換することで、前記芳香成分の供給を再開することができる。これにより、前記樹木構成物の長期にわたる使用が可能となる。
【0041】
さらに、請求項
4の芳香器において、前記樹木構成物は、前記抽出成分が含浸されるように構成されており、当該樹木構成物は、含浸された前記抽出成分を揮散する揮散体を構成している。
【0042】
このため、前記樹木構成物から揮散し易い芳香成分が揮散してしまった場合であっても、この樹木構成物からは、残存した芳香成分と、前記抽出成分によって補われた芳香成分とを、同一箇所から揮散することができる。これにより、樹木の本来の香りを供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。
【0046】
図1は、本実施の形態にかかる芳香器1を示す図であり、該芳香器1は、例えば室内に芳香成分を放出する装置である。
【0047】
この芳香器1は、複数の芳香成分を有する樹木で構成された樹木構成物としての芳香器本体11と、該芳香器本体11に交換可能にセットされるカートリッジ12とによって構成されている。
【0048】
ここで、樹木とは、木本体のみならず、枝や葉を含んだ全般を示すものである。
【0049】
前記芳香器本体11は、椴松の間伐材を矩形状に加工してなる木材によって構成されており、当該芳香器本体11は、
図2及び
図3に示すように、裏面21の中央部が長方形状に刳り抜かれている。これにより、当該芳香器本体11には、長方形状の中空部22が形成されており、該中空部22は、裏面21側に開口するように構成されている。
【0050】
該中空部22は、
図2の(b)に示したように、当該芳香器本体11の上面31に沿って形成された上壁部32と、当該芳香器本体11の左側面33に沿って形成された左壁部34と、当該芳香器本体11の下面35に沿って形成された下壁部36と、当該芳香器本体11の右側面37に沿って形成された右壁部38とによって包囲されており、前記各壁部32,34,36,38の内側には、
図3にも示したように、薄肉部41が当該芳香器本体11の表面42側に形成されている。
【0051】
前記上壁部32は、
図2の(b)に示したように、その上内面51の中央部が前記上面31側へ向けて円弧状に後退しており、上部後退部52が形成されている。前記下壁部36は、その下内面53の中央部が前記下面35側へ向けて円弧状に後退しており、下部後退部54が形成されている。
【0052】
前記左壁部34の左内面61には、
図3に示したように、左支持溝62が前記下壁部36側から前記上壁部32側へ向かって延設されており、当該左支持溝62は、前記表面42寄りに形成されている。前記右壁部38の右内面63には、右支持溝64が前記下壁部36側から前記上壁部32側へ向かって延設されており、当該右支持溝64は、前記表面42寄りに形成されている。そして、前記左支持溝62及び前記右支持溝64は、対向する位置に設けられている。
【0053】
前記薄肉部41には、
図2に示したように、揮散口71が開設されており、該揮散口71は、前記表面42に開口している。この揮散口71は、前記下面35側が円弧状に形成されており、その幅寸法が前記上面31側へ向かうに従って狭くなるように設定されている。この揮散口71の下部開口縁を構成する円弧部72からは、当該揮散口71の内側へ向けて突出する突片73が延出しており、当該突片73は、樹木の形状に形成されている。
【0054】
この芳香器本体11を形成する椴松は、複数の芳香成分を有しており、これらによって天然の樹木の香りを放出することができる。これらの芳香成分は、揮散のしやすさの異なる複数の成分からなり、揮散しやすく比較的短い時間で木材から消滅してしまうトップノート成分と、揮散しにくく長期に渡って木材に残存するベースノート成分とに分類することができる。
【0055】
ここで、椴松には芳香成分として、たとえば「Tricyclene、α−pinene、Camphene、β−pinene、β−myrcene、δ−3−carene、Limonene、β−phellandrene、α−terpinolene、borneol、bornyl acetate、β−maaliene」等が含まれている。
【0056】
そのうち、比較的早い時期に木材から消失してしまうトップノート成分としては、たとえば「Tricyclene、α−pinene、Camphene、β−pinene、β−myrcene、δ−3−carene、Limonene、β−phellandrene、α−terpinolene」等が挙げられる。
【0057】
また、長期に渡って木材に残存するベースノート成分としては、たとえば「borneol、bornyl acetate、β−maaliene」等が挙げられる。
【0058】
これらの芳香成分、トップノート成分、及びベースノート成分は、樹木の種類によって異なる。
【0059】
これら総ての芳香成分(前記トップノート成分と前記ベースノート成分とからなる芳香成分)を放出できる初期段階においては、当該芳香器本体11だけで椴松本来の香りを放出することができる。しかし、この揮散器本体11からは、前記トップノート成分が早い時期、具体的には前記芳香器本体11を加工している間に減少あるいは消失してしまい、これにより椴松本来の香りが経時的に変化してしまうことがわかっている。
【0060】
前記カートリッジ12は、
図1に示したように、無色透明の合成樹脂で形成されており、例えば樹脂製シートをプレス成形することによって形成されている。このカートリッジ12は、矩形容器状に形成されたカートリッジ本体101を備えてなり、該カートリッジ本体101の上縁からは、外方へ向けて延出したフランジ部102が全周に渡って形成されている。
【0061】
前記カートリッジ本体101内には、ゼリー状のゲル111が収容されており、該ゲル111には、芳香成分が揮散可能に保持されている。前記カートリッジ本体101の上面開口部は、透過膜112で覆われており、該透過膜112は、前記ゲル111から揮散した芳香成分は透過する一方、水分は通過しないように構成されている。なお、前記透過膜112は、前記芳香成分を透過しない図外の剥離シートで覆われており、この剥離シートを使用時に剥離することで、前記透過膜112を露出できるように構成されている。
【0062】
このカートリッジ12の前記カートリッジ本体101は、
図3に示したように、前記芳香器本体11の前記中空部22に収容できる大きさに形成されている。このため、前記カートリッジ12の揮散面121を前記芳香器本体11の前記表面42側へ向けて配置するとともに、当該カートリッジ12を前記中空部22内に押し込む際に、前記フランジ部102の左辺部122及び右辺部123が弾性変形することで、前記カートリッジ本体101を前記中空部22内に収容できるように構成されている。
【0063】
そして、このカートリッジ12の前記フランジ部102が前記芳香器本体11に形成された前記左支持溝62及び前記右支持溝64に到達すると、変形した前記左辺部122及び前記右辺部123が元の形状に戻ることによって、当該カートリッジ12は、前記左辺部122及び前記右辺部123が前記左支持溝62及び前記右支持溝64に支持された状態でセットされるように構成されている。
【0064】
このセット状態において、前記カートリッジ12の前記透過膜112が前記芳香器本体11の前記薄肉部41に対向するように構成されており、前記透過膜112を透過した揮散成分は、前記薄肉部41に吸収されるとともに、該薄肉部41に開設された前記揮散口71から外部へ放出されるように構成されている。
【0065】
このカートリッジ12を取り外す際には、前記芳香器本体11裏面21の前記上部後退部52又は前記下部後退部54に指を挿入することで、セットされた前記カートリッジ12を容易に取り出せるように構成されている。
【0066】
そして、前記ゲル111に保持された前記芳香成分は、樹木から抽出された抽出成分によって構成されている。この抽出成分は、前記木材に含まれる芳香成分のうち比較的揮散しやすい芳香成分を樹木から選択的に抽出したものであり、前述したトップノート成分(Tricyclene、α−pinene、Camphene、β−pinene、β−myrcene、δ−3−carene、Limonene、β−phellandrene、α−terpinolene)で構成されている。
【0067】
この抽出成分を構成する椴松精油を精製する際には、前記芳香器本体11を形成した椴松の間伐材の残りの木片や、その枝や葉を利用することで、前記芳香器本体11を構成する木材と同種の樹木から前記椴松精油を精製する。そして、これらの木片や枝や葉を、減圧下で加熱する。すると、特定の成分を主成分とした抽出物が抽出されるので、抽出された椴松精油を前記抽出成分とする(抽出方法は特開2011−016061号公報参照)。
【0068】
前記特定の成分は、前記トップノート成分に属する芳香成分であり、この特定の成分が主成分として抽出するための圧力(目的圧)は10〜95KPaである。また、この減圧下での抽出を効率的に行うために、所定の温度を保持した状態で抽出作業を行うものとする。通常の抽出方法である水蒸気蒸留等では、前記ベースノート成分に属する芳香成分も多く抽出される。しかし上記の抽出方法によれば、揮散しやすい前記トップノート成分に属する成分を選択的に抽出することができる。
【0069】
以上の構成にかかる本実施において、この芳香器1の芳香器本体11には、椴松からなる樹木構成物としての木材が使用されており、当該木材からは、天然の香りを放出することができる。
【0070】
このとき、この木材は、複数の芳香成分を有しており、その芳香成分には、揮散のしやすさの異なる成分が含まれている。このため、揮散し易いトップノート成分は、早い時期に揮散してしまい、本来の香りを維持することができなくなる。
【0071】
しかし、この芳香器1にあっては、樹木から抽出された抽出成分を備えており、その抽出成分は、前記木材に含まれる芳香成分のうち揮散しやすい芳香成分、すなわちトップノート成分によって構成されている。
【0072】
このため、前記木材から揮散し易いトップノート成分が前記芳香器本体11から揮散してしまった後であっても、この減少又は消滅した芳香成分を、前記芳香器本体11の前記薄肉部41を介して又は前記揮散口71から直接外部へ放出される前記抽出成分によって補うことができる。
【0073】
これにより、前記芳香器本体11に残存した前記ベースノート成分と、前記抽出成分で補われる前記トップノート成分とによって、前記木材の本来の香りを供給することができる。
【0074】
このとき、前記抽出成分を抽出する樹木は、前記木材と同種の樹木によって構成されており、前記抽出成分を、前記木材と同種の樹木から抽出することができる。
【0075】
このため、種類の異なる樹木から芳香成分を抽出する場合と比較して、目的とした芳香成分の抽出を容易に行うことができる。また、新たに別途調香を行う必要が無い。
【0076】
これにより、椴松本来の香りを容易に再現することができる。また、前記抽出成分は、前記樹木を減圧下で加熱し、揮発性成分を冷却することにより得られた油性画分として得られる。これにより、特定の成分を主成分とした抽出物を容易に抽出することができる。
【0077】
このとき、揮散しやすさは、各芳香成分の蒸気圧と関連がある。このため、所定の目的圧で加熱した際に得られる抽出成分と前記トップノート成分に属する芳香成分とは、関連性が高く、前記抽出成分の抽出に適した抽出方法となる。
【0078】
そして、揮散しやすい芳香成分からなる前記抽出成分はゲル111に保持されている。このため、この抽出成分からの芳香成分を、前記ゲル111からゆっくりと放出することができる。
【0079】
これにより、揮散しやすい芳香成分を緩やかに放出することで、当該芳香成分の長期にわたる放出が可能となり、前記木材の本来の香りを長期にわたって維持することができる。
【0080】
また、前記芳香器本体11の中空部22には、カートリッジ12がセットされるように構成されており、該カートリッジ12には、前記抽出成分が揮散可能に収容されている。
【0081】
このため、前記芳香器本体11に含まれた揮散し易い成分が早期に揮散してしまった後には、前記カートリッジ12に収容された前記抽出成分が揮散することで、減少又は消滅した芳香成分を補うことができる。これにより、前記芳香器本体11を構成する木材本来の香りを供給することができる。
【0082】
そして、前記カートリッジ12の前記抽出成分が無くなった場合には、当該カートリッジ12を交換することで、前記芳香成分の供給を再開することができる。これにより、前記芳香器本体11の長期にわたる使用が可能となる。
【0084】
図4は、本実施の形態にかかる芳香器201を示す図であり、第一の実施の形態の変形例が示されている。
【0085】
すなわち、前記芳香器本体211の前記中空部212は、当該芳香器本体11の前記下面35に開口するように構成されている。
【0086】
また、前記左壁部34の前記左内面61に形成された前記左支持溝62、及び前記右壁部38の前記右内面63に形成された前記右支持溝64も前記下面35に開口するように構成されている。
【0087】
これにより、前記カートリッジ12を、前記芳香器本体211の前記下面35側からスライドしてセットすることができ、利便性が向上する。
【0089】
図5は、第三の実施の形態を示す図であり、本実施の形態にかかる芳香器301が示されている。
【0090】
この芳香器301は、円形の受け皿311と、該受け皿311内に設けられた円錐形状の揮散体312と、該揮散体312に浸漬される抽出成分としての抽出液313とによって構成されている。
【0091】
前記揮散体312は、第一の実施の形態と同様に、椴松の間伐材によって形成された樹木構成物である木材により構成されている。また、前記抽出液313も、第一の実施の形態と同様に、前記揮散体312を形成した椴松の間伐材の残りの木片や、その枝や葉を減圧下である目的圧で加熱して得られた椴松精油からなり、前述したトップノート成分によって構成されている。
【0092】
以上の構成において、椴松からなる木材には、前記抽出液313が含浸されるように構成されており、この木材は、含浸された前記抽出液313を揮散する揮散体312を構成している。
【0093】
このため、前記木材からなる前記揮散体312より揮散し易い芳香成分が揮散してしまった場合であっても、この揮散体312からは、残存した前記ベースノート成分で構成された芳香成分と、前記抽出液313によって補われた前記トップノート成分で構成された芳香成分とを、同一箇所から揮散することができる。これにより、椴松の本来の香りを空間に供給することができる。
【0094】
したがって、このような芳香器301であっても、第一の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0096】
図6は、第四の実施の形態を示す図であり、本実施の形態にかかる芳香器401が示されている。
【0097】
この芳香器401は、容器411と、該容器411に収容された抽出液412と、前記容器411の口部に設けられた蓋体413と、前記抽出液412を揮散する為の揮散体414とによって構成されている。
【0098】
該揮散体414は、前記蓋体413を挿通して下端側が前記容器411内に挿入された吸上芯421と、前記容器411より延出した前記吸上芯421の上端側に設けられたリング部422とによって構成されている。該リング部422は、円形リング状に形成されており、その下部に前記吸上芯421が貫通した状態で固定されている。
【0099】
前記揮散体414を構成する前記リング部422及び前記吸上芯421は、第一の実施の形態と同様に、椴松の間伐材によって形成された樹木構成物である木材により構成されている。前記吸上芯421は、前記容器411内の前記抽出液412を上部まで吸い上げられるよう構成されており、吸い上げた前記抽出液412を当該吸上芯421の上部及び前記リング部422を介して、揮散できるように構成されている。
【0100】
また、前記抽出液412も、第一の実施の形態と同様に、前記揮散体414を形成した椴松の間伐材の残りの木片や、その枝や葉を減圧下である目的圧で加熱して得られた椴松精油からなり、前述したトップノート成分によって構成されている。
【0101】
以上の構成において、椴松からなる木材で構成された前記揮散体414には、前記抽出液412が含浸されるように構成されており、この揮散体414は、含浸された前記抽出液412を揮散する揮散媒体を構成している。
【0102】
このため、前記木材からなる前記揮散体414より揮散し易い芳香成分が揮散してしまった場合であっても、この揮散体414からは、残存した前記ベースノート成分で構成された芳香成分と、前記抽出液412によって補われた前記トップノート成分で構成された芳香成分とを、同一箇所から揮散することができる。これにより、椴松の本来の香りを空間に供給することができる。
【0103】
したがって、このような芳香器401であっても、第一の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0104】
なお、前記各実施の形態では、樹木構成物である木材として椴松を使用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無く、他の樹木で構成しても良い。