特許第6286257号(P6286257)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6286257
(24)【登録日】2018年2月9日
(45)【発行日】2018年2月28日
(54)【発明の名称】プッシュプルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/24 20060101AFI20180215BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20180215BHJP
   B65D 41/62 20060101ALI20180215BHJP
【FI】
   B65D47/24 120
   B65D47/12 100
   B65D41/62
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-74020(P2014-74020)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-196509(P2015-196509A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2016年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 孝之
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−104856(JP,U)
【文献】 実開昭62−200567(JP,U)
【文献】 特開2000−191012(JP,A)
【文献】 実開昭60−068044(JP,U)
【文献】 特開2009−012775(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0092785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
B65D 41/62
B65D 47/12
B65D 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内部が前記容器本体内に連通する装着部材と、
前記装着部材に対して上下動可能に装着され、前記内容物を注出する注出孔が形成された注出部材と、
前記注出部材を覆う有頂筒状に形成されたオーバーキャップと、を備え、
前記装着部材は、
前記注出孔と前記容器本体内との連通を遮断すると共に、前記装着部材に対する前記注出部材の上方移動に伴って前記注出孔と前記容器本体内とを連通させる栓体と、
前記容器本体の口部の外側に径方向に移動自在に配置され、径方向内側への移動に伴って前記注出部材に形成された係合部に摺接して、前記装着部材に対して前記注出部材を上方移動させる操作突片と、を備え
前記操作突片の上端部には、前記オーバーキャップの下端部が係合する段差部が形成され、
前記オーバーキャップは、前記段差部を介して前記操作突片に対して着脱自在に係合され、且つ径方向内側への前記操作突片の移動に伴って前記操作突片との係合が解除される、ことを特徴とするプッシュプルキャップ。
【請求項2】
請求項に記載のプッシュプルキャップにおいて、
前記オーバーキャップには、前記注出部材を下方に押下する押下部が設けられていることを特徴とするプッシュプルキャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプッシュプルキャップにおいて、
前記オーバーキャップには、径方向に移動可能とされ、径方向内側への移動に伴って前記操作突片を径方向内側に移動させる操作部が設けられていることを特徴とするプッシュプルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュプルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
プッシュプルキャップとして、例えば下記特許文献1に示されるような、注出孔が形成された注出筒を有し、内容物が収容される容器本体の口部に装着される主キャップと、主キャップに対して上下動可能に装着される副キャップと、を備えたものが知られている。副キャップには、注出孔内に嵌合して該注出孔と容器本体内との連通を遮断すると共に、主キャップに対する副キャップの上方移動に伴って注出孔から離脱し、前記遮断を解除する栓体が設けられている。
【0003】
このプッシュプルキャップによれば、使用時、副キャップを指先等で把持しながら、主キャップに対して副キャップを引き上げ操作して栓体を注出孔から離脱させる。これにより、注出孔と容器本体内とを連通させることができるので、注出孔を通じて内容物を注出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−40484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のプッシュプルキャップにおいて、未使用時におけるシール性を確実にするために、栓体と注出孔との間の密着力を高めることが行われている。ところがこの場合には、シール性が向上するものの、栓体と注出孔との嵌合が強く(固く)なるので、栓体が注出孔から抜け難くなり、副キャップを引き上げ操作し難くなってしまう。そのため、注出孔の開放操作性が低下してしまい、改善の余地があった。特に、副キャップを引き上げる際、指先が滑る場合があり、開放操作が一層難しくなる場合もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、注出孔を高いシール性で確実に塞ぐことができると共に、使用時における注出孔の開放操作を容易に行うことができ、操作性に優れたプッシュプルキャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係るプッシュプルキャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内部が前記容器本体内に連通する装着部材と、前記装着部材に対して上下動可能に装着され、前記内容物を注出する注出孔が形成された注出部材と、前記注出部材を覆う有頂筒状に形成されたオーバーキャップと、を備え、前記装着部材は、前記注出孔と前記容器本体内との連通を遮断すると共に、前記装着部材に対する前記注出部材の上方移動に伴って前記注出孔と前記容器本体内とを連通させる栓体と、前記容器本体の口部の外側に径方向に移動自在に配置され、径方向内側への移動に伴って前記注出部材に形成された係合部に摺接して、前記装着部材に対して前記注出部材を上方移動させる操作突片と、を備え、前記操作突片の上端部には、前記オーバーキャップの下端部が係合する段差部が形成され、前記オーバーキャップは、前記段差部を介して前記操作突片に対して着脱自在に係合され、且つ径方向内側への前記操作突片の移動に伴って前記操作突片との係合が解除される、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプッシュプルキャップによれば、操作突片を径方向内側に移動させると、該操作突片が係合部に摺接して注出部材を装着部材に対して上方移動させるので、栓体による注出孔と容器本体内との連通の遮断を解除することができる。これにより、注出孔を開放でき、注出孔を通じて容器本体内の内容物を外部に注出することができる。
特に、操作突片を径方向内側に押し込む等して移動させることで、注出部材を装着部材に対して上方移動させることができるので、注出部材を直接的に引き上げ操作する必要がない。しかも、注出部材を引き上げ操作する場合よりも、操作突片を径方向内側に移動操作する場合の方が容易に行えると共に、指先を滑らすことなく力を加えやすいので、注出部材をスムーズに上方移動させ易い。従って、注出孔の開放操作を容易に行うことができる。
【0009】
さらに、未使用時、栓体が注出孔と容器本体内との連通を遮断しているが、例えば注出孔に連通する部分に栓体を強固に嵌合させる等して注出孔を高いシール性で塞いだとしても、上述したように操作突片を利用することで注出部材をスムーズに上方移動させることができるので、注出孔の開放操作を容易に行うことができる。
【0011】
さらに、未使用時、注出部材がオーバーキャップによって覆われているので、注出孔を清潔に維持することができ、例えば内容物の品質維持を図り易い。
また、オーバーキャップは操作突片に対して着脱自在に係合しているので、使用時に操作突片を径方向内側に移動させることで、オーバーキャップとの係合についても解除することができる。従って、オーバーキャップの係合解除と注出孔の開放とを同時に行うことができ、オーバーキャップの取り外し後、直ちに内容物の注出を行うことができる。よって、オーバーキャップを具備していても操作性が低下することがない。
【0012】
(2)前記オーバーキャップには、前記注出部材を下方に押下する押下部が設けられても良い。
【0013】
この場合には、内容物の注出後、オーバーキャップを取り付けることで、押下部が注出部材を下方に押下するので、オーバーキャップの取り付けと同時に注出部材を元の位置に復帰させることができる。従って、一連の流れでオーバーキャップの取り外し操作と注出部材の復帰操作とを同時に行えるので、操作性をより向上することができる。
【0014】
(3)前記オーバーキャップには、径方向に移動可能とされ、径方向内側への移動に伴って前記操作突片を径方向内側に移動させる操作部が設けられても良い。
【0015】
この場合には、オーバーキャップに設けられた操作部を径方向内側に移動させることで、操作突片を径方向内側に移動させて注出部材を上方に移動させることができる。特に、操作突片に直接手を触れることなく、操作部を介して注出孔の開放及びオーバーキャップの係合解除を一連の流れで行うことができるので、速やかにオーバーキャップの取り外しを行うことができ、そのまま内容物の注出を行うことができる。従って、操作性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、注出孔を高いシール性で確実に塞ぐことができると共に、使用時における注出孔の開放操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るプッシュプルキャップの第1実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示すプッシュプルキャップを側方から見た縦断面図である。
図3図1に示すプッシュプルキャップの側面図である。
図4図1に示す状態から操作突片を径方向内側に向けて回動させた状態を示す図である。
図5】本発明に係るプッシュプルキャップの第2実施形態を示す縦断面図である。
図6図5に示すプッシュプルキャップを側方から見た半縦断面図である。
図7図5に示すプッシュプルキャップの上面図である。
図8図5に示す状態から操作突片を径方向内側に向けて回動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るプッシュプルキャップの第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のプッシュプルキャップ1は、内容物が収容される容器本体Aの口部A1に装着された筒状の装着部材2と、内容物を注出する注出孔31aが形成され、装着部材2に対して装着された有頂筒状の注出部材3と、注出部材3を覆う有頂筒状のオーバーキャップ4と、を備えている。
【0019】
なお、容器本体A、装着部材2、注出部材3及びオーバーキャップ4は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、この容器軸Oに沿ったオーバーキャップ4側を上側、容器本体A側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
(装着部材)
装着部材2は、容器本体Aの口部A1に螺着される装着筒10と、装着筒10を径方向外側から囲む外郭筒11と、装着筒10の上端部と外郭筒11の上端部とを接続すると共に、容器本体Aの口部A1の開口端縁上に配置される環状のフランジ部12と、を備え、装着筒10を介して容器本体Aの口部A1に装着されている。
但し、装着部材2は、螺着ではなく、例えば装着筒10によるアンダーカット嵌合によって、容器本体Aの口部A1に対して装着されても構わない。
【0021】
外郭筒11は、装着筒10の径方向外側に間隔をあけて配置されており、図示の例では容器本体Aの肩部と同程度の外径とされていると共に、下端部が肩部に接する程度、下方に向かって延びている。
【0022】
フランジ部12は、容器本体Aの口部A1よりも径方向内側に向かって延びるように形成されている。このフランジ部12には、径方向内端部から上方に向かって突出し、注出部材3を上下動可能に支持するガイド筒13と、注出部材3の注出孔31aを塞ぐ栓体14を有し、径方向内端部に下方から接続される中栓部材15と、容器本体Aの口部A1の内側に気密或いは液密に嵌合されるシール筒16と、が形成されている。
【0023】
中栓部材15は、上記栓体14と、栓体14を支持する有底筒状の支持筒17と、を備えている。支持筒17の周壁部17aは、容器本体Aの内側に配置されており、上端部がフランジ部12の径方向内端部に接続されている。図示の例では、周壁部17aはガイド筒13とほぼ同径とされている。
【0024】
栓体14は、支持筒17の底壁部17bの中央部分から上方に向けて起立するように形成されている。図示の例では、栓体14は、上端部がガイド筒13の上端部とほぼ同じ高さとなるように突出していると共に、下方から上方に向かうにしたがって漸次縮径し、先細りしている。
【0025】
支持筒17には、内容物を通過させるための通過孔18が形成されている。この通過孔18は、例えば支持筒17を周方向に分断するように、周壁部17a及び底壁部17bの一部を上下方向に切り欠くように形成されている。これにより、ガイド筒13の内側(装着部材2の内部)と容器本体A内とは、通過孔18を通じて連通している。
【0026】
なお、通過孔18は、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わないし、例えば支持筒17の周壁部17a又は底壁部17bだけを貫通するように形成されていても構わない。さらには、支持筒17は必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、例えばフランジ部12を容器本体Aの口部A1を覆う板状に形成すると共に、このフランジ部12から栓体14を起立するように形成し、且つフランジ部12に通過孔18を形成すれば良い。
【0027】
上述のように構成された装着部材2の外郭筒11には、径方向に移動可能とされた操作突片20が容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように設けられている。
具体的に説明すると、図1及び図3に示すように、外郭筒11には、上方に開口した例えば側面視四角形状の貫通孔21が容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように形成されている。そして操作突片20は、貫通孔21よりも一回り小さい側面視四角形状に形成され、貫通孔21内に収まるように配置されていると共に、下端部がヒンジ部22を介して外郭筒11に接続されている。これにより、操作突片20は、ヒンジ部22を中心に回動することで、径方向に移動可能とされている。
【0028】
図1に示すように、操作突片20の上端部には、径方向内側に向けて突出した操作突起23が形成されている。この操作突起23の径方向内端部と装着筒10との間には隙間が確保されており、操作突片20の径方向内側に向けた回動が許容されている。また、操作突起23には、径方向外側から径方向内側に向かうにしたがって漸次上方から下方に向けて傾斜する傾斜面23aが形成されている。この傾斜面23aは、後述する注出部材3における係合突起35の傾斜面35aに当接している。
【0029】
さらに、操作突片20の上端部には、オーバーキャップ4の下端部が係合する段差部20aが形成されている。なお、この段差部20aに対応して、図2に示すように、外郭筒11の上端部にも、オーバーキャップ4の下端部が係合する段差部11aが周方向に連続的に繋がるように形成されている。なお、外郭筒11側の段差部11aについては設けなくても構わない。
【0030】
(注出部材)
図1及び図2に示すように、注出部材3は、上方に向けてドーム状に膨らんだ頂壁部30と、注出孔31aが形成された注出ノズル31と、を備え、装着部材2の上方に配置されると共に、装着部材2に対して上下動可能に装着されている。
【0031】
頂壁部30は、中央部分に位置する頂上部30aと、頂上部30aから径方向外側に向かうにしたがって漸次下方に向けて傾斜する傾斜部30bと、傾斜部30bの径方向外端部から下方に向けて延びた外縁部30cと、を備えている。これにより、注出部材3は、全体的な形状がドーム状に膨らんだ有頂筒状に形成されている。
但し、注出部材3の形状は、この場合に限定されるものではなく、例えば天壁部と周壁部とで有頂筒状に形成しても構わない。
【0032】
注出ノズル31は、頂上部30aと傾斜部30bとの接続部分から斜め上方に突出するように形成されている。よって、注出ノズル31の先端(上端)に開口した注出孔31aは、頂上部30aよりも上方に位置している。なお、注出ノズル31の一部は頂壁部30の内側に向けて延びている。
【0033】
また、頂壁部30には、外側スライド筒32、内側スライド筒33、及び注出筒34がそれぞれ下方に向けて延びるように形成されている。
外側スライド筒32は、装着筒10のガイド筒13の径方向外側に配置されてガイド筒13の外周面に上下動自在に接している。内側スライド筒33は、ガイド筒13の径方向内側に配置されてガイド筒13の内周面に上下動自在に接している。これにより、注出部材3は、外側スライド筒32及び内側スライド筒33を介してガイド筒13に上下動自在に支持されている。
なお、内側スライド筒33の外周面は、ガイド筒13の内周面に対して気密又は液密にシールされた状態で上下動自在に接している。
【0034】
注出筒34は、内側スライド筒33よりもさらに径方向内側に配置されており、内部は注出ノズル31内に連通している。これにより、注出孔31aは、注出筒34の内部及び装着部材2の内部を通じて容器本体A内に連通可能とされている。
この注出筒34には、装着部材2の栓体14の上端部が下方から入り込んで嵌合している。これにより、注出孔31aと容器本体A内との連通は、栓体14によって遮断されている。また、注出部材3が装着部材2に対して上方に移動した際、注出筒34が栓体14から離脱して、注出孔31aと容器本体A内とが連通可能とされている。
従って、栓体14は注出孔31aと容器本体A内との連通を遮断すると共に、装着部材2に対する注出部材3の上方移動に伴って注出孔31aと容器本体A内とを連通させることが可能とされている。
【0035】
さらに、頂壁部30には、外側スライド筒32よりも径方向外側に位置する部分から下方に向けて突出した係合突起(係合部)35が形成されている。この係合突起35は、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合うように設けられていると共に、操作突起23の径方向内側に配置されている。つまり、係合突起35の位置と操作突起23の位置とは周方向で一致している。
なお、注出部材3は、装着部材2に対して周方向に回り止めがされた状態で、装着部材2に上下動可能に装着されている。これにより、係合突起35の位置と操作突起23の位置とが周方向にずれてしまうことがない。
【0036】
係合突起35は、装着筒10よりも径方向外側に位置していると共に、図示の例では、傾斜部30bの一部及び外縁部30cに対して一体となるように形成され、且つ外縁部30cの下端よりも下方に突出するように形成されている。そして、係合突起35には、操作突起23の傾斜面23aに対応した傾斜面35aが形成されており、上述したようにこれら傾斜面23a、35a同士は当接している。
従って、ヒンジ部22を中心に操作突片20を回動させて、操作突起23を径方向内側に移動させることで、係合突起35を介して注出部材3を装着部材2に対して上方移動させることが可能とされている。
【0037】
なお、係合突起35は、装着筒10の外周面によって径方向内側への移動が規制されていると共に、装着筒10の外周面によって上下動自在にガイドされている。これにより、操作突起23が径方向内側に向けて移動した際に、係合突起35は径方向内側に押されて移動する(逃げる)ことがなく、スムーズな上方への移動が可能とされている。
【0038】
(オーバーキャップ)
オーバーキャップ4は、天壁部40と周壁部41とで有頂筒状に形成されている。なお、図示の例の周壁部41は、上方に向かうにしたがって漸次縮径している。従って、オーバーキャップ4は、外形が滑らかに湾曲している。
周壁部41の下端部は、操作突片20の上端部に形成された段差部20a、及び外郭筒11の上端部に形成された段差部11aに対して着脱自在に係合している。また、天壁部40の中央部分には、下方に向けて突出し、頂上部30aを介して注出部材3を下方に押下する押下部42が形成されている。
【0039】
(プッシュプルキャップの使用)
次に、上述したように構成されたプッシュプルキャップ1を使用して、内容物を注出する場合について説明する。
この場合には、図4に示すように、指先等で操作突片20を径方向内側に押圧して、ヒンジ部22回りに操作突片20を回動させると、操作突起23の傾斜面23aが係合突起35の傾斜面35aに摺接しながら径方向内側に移動するので、注出部材3を装着部材2に対して上方に移動させることができる。これにより、注出筒34を栓体14に対して上方に移動させて、栓体14から離脱させることができる。よって、栓体14による注出孔31aと容器本体A内との連通の遮断を解除することができ、注出孔31aを開放させることができる。
【0040】
また、操作突起23を径方向内側に移動させることで、注出孔31aの開放と同時に、オーバーキャップ4との係合についても解除することができる。従って、オーバーキャップ4を取り外した後、直ちに注出孔31aを通じて容器本体A内の内容物を外部に注出することができる。
【0041】
特に、操作突片20を径方向内側に押圧して回動させることで、注出部材3を装着部材2に対して上方移動させることができるので、注出部材3を直接的に引き上げ操作する必要がない。このとき、注出部材3を引き上げ操作する場合よりも、操作突片20を径方向内側に移動操作する場合の方が容易に行えると共に、指先を滑らすことなく力を加えやすいので、注出部材3をスムーズに上方移動させ易い。従って、注出孔31aの開放操作を容易に行うことができる。
しかも、上述したように、オーバーキャップ4の取り外し後、直ちに内容物の注出を行うことができるので、オーバーキャップ4を具備していたとしても操作性が低下することがない。
【0042】
さらに、未使用時、栓体14の上端部が注出筒34内に嵌合することで、注出孔31aと容器本体A内との連通を遮断しているが、この際、強固に嵌合して注出孔31aを高いシール性で塞いでいたとしても、上述のように操作突片20を利用することで注出部材3をスムーズに上方移動させることができるので、注出孔31aの開放操作を容易に行うことができる。
従って、本実施形態のプッシュプルキャップ1によれば、注出孔31aを高いシール性で確実に塞ぐことができると共に、使用時における注出孔31aの開放操作を容易に行うことができる。
【0043】
なお、内容物の注出後、オーバーキャップ4を取り付けることで、該オーバーキャップ4の押下部42が頂上部30aを介して注出部材3を下方に押下するので、オーバーキャップ4の取り付けと同時に注出部材3を元の位置に復帰させることができる。従って、一連の流れでオーバーキャップ4の取り付け操作と、注出部材3の復帰操作とを行えるので、操作性を向上することができる。
さらに、未使用時に、注出部材3をオーバーキャップ4で覆うことができるので、注出部材3を清潔に維持することができ、例えば内容物の品質維持を図り易い。
【0044】
<第2実施形態>
次に、本発明に係るプッシュプルキャップの第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0045】
図5図7に示すように、本実施形態のプッシュプルキャップ50は、オーバーキャップ51に、操作突片20を径方向内側に回動させる操作ボタン(操作部)52が設けられている。
この場合のオーバーキャップ51は、周壁部41のうち操作突片20の上方に位置する部分が、容器軸Oを挟んで径方向に向かい合う平坦部53とされている。そして、操作ボタン52はこの平坦部53の径方向外側に配置されている。操作ボタン52と周壁部41とは板ばね等の弾性片54を介して周方向に接続されている。これにより、操作ボタン52は、弾性片54により径方向内側に向けて移動可能に弾性支持されている。
なお、操作ボタン52は、外周面がオーバーキャップ51の周壁部41とほぼ同径となるように湾曲していると共に、内周面に操作突片20の操作突起23が係合している。
【0046】
このように構成されたプッシュプルキャップ50によれば、図8に示すように、オーバーキャップ51に設けられた操作ボタン52を径方向内側に押圧して移動させることで、操作突起23を径方向内側に向けて移動させるように操作突片20を回動させることができるので、注出部材3を装着部材2に対して上方に移動させることができる。
特に、操作突片20に直接手を触れることなく、操作ボタン52を介して注出孔31aの開放及びオーバーキャップ51の係合解除を一連の流れで行うことができるので、速やかにオーバーキャップ51を取り外して、内容物の注出に繋げることができる。従って、操作性をさらに向上することができる。
【0047】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態では、オーバーキャップを具備した構成としたが、オーバーキャップは必須なものではなく、具備しなくても構わない。但し、注出部材を清潔に維持することができるので、オーバーキャップを具備することが好ましい。
また、注出ノズルについても必至なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、例えば注出部材の頂壁部に注出孔を形成するだけでも構わない。
【0049】
また、操作突片をヒンジ部回りに回動可能としたが、操作突片の全体を径方向にスライド移動可能に構成しても構わない。この場合には、例えば操作突片を板ばね等で弾性支持することで、スライド移動可能に構成すれば良い。
【符号の説明】
【0050】
A…容器本体
A1…容器本体の口部
O…容器軸
1、50…プッシュプルキャップ
2…装着部材
3…注出部材
4、51…オーバーキャップ
14…栓体
20…操作突片
31a…注出孔
35…係合突起(係合部)
42…押下部
52…操作ボタン(操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8