(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電動車両の登坂路走行時には、車両水平時よりも前記励磁電流指令値を減少させ、前記電動車両の降坂路走行時には、車両水平時よりも前記励磁電流指令値を増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモータ回生制御装置。
前記アクセルペダルの操作量がオフである場合に、ブレーキペダルの操作量とブレーキトルク指令値とを関連付けた回生ブレーキテーブルから、前記ブレーキペダルの操作量に対応するブレーキトルク指令値を取得する要求トルク部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のモータ回生制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1について図面を用いて説明する。
図1は第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1を適用する電動車両のシステムの構成図である。
電動車両のシステムは、モータ回生制御装置1、ブレーキペダル2、ブレーキ操作検出部3、アクセルペダル4、アクセル操作検出部5、傾斜角度センサ6、SRモータ7、回転角センサ8、バッテリ9を有する。
【0016】
ブレーキ操作検出部3は、運転者が操作するブレーキの制動力を選択する入力装置、例えば、ブレーキペダル2の操作量(踏力量)を検出する。ブレーキ操作検出部3は、そのブレーキペダルの操作量に応じたブレーキ信号をモータ回生制御装置1に出力する。例えば、ブレーキ操作検出部3は、可変抵抗器を有し、ブレーキペダル2と可変抵抗器の抵抗値を制御するつまみ部とを剛性部材で接続し、ブレーキペダル2の操作量に応じて変化する可変抵抗器により分圧させた電圧を検出し、検出した電圧をブレーキ信号としてモータ回生制御装置1に出力する。また、ブレーキ操作検出部3は、ブレーキペダル2の踏力量を検出する圧力センサ等を有し、その検出結果をブレーキ信号としてモータ回生制御装置1に出力してもよい。
【0017】
アクセル操作検出部5は、運転者が操作するアクセルの駆動力を選択する入力装置、例えば、アクセルペダル4の操作量(踏力量)を検出する。アクセル操作検出部5は、そのアクセルペダルの操作量に応じたアクセル信号をモータ回生制御装置1に出力する。例えば、アクセル操作検出部5は、可変抵抗器を有し、アクセルペダル4と可変抵抗器の抵抗値を制御するつまみ部とを剛性部材で接続し、アクセルペダル4の操作量に応じて変化する可変抵抗器により分圧させた電圧を検出し、検出した電圧をアクセル信号としてモータ回生制御装置1に出力する。また、アクセル操作検出部5は、アクセルペダル4の踏力量を検出する圧力センサ等を有し、その検出結果をアクセル信号としてモータ回生制御装置1に出力してもよい。
【0018】
傾斜角度センサ6は、モータ回生制御装置1に接続されている。傾斜角度センサ6は、車両の傾斜角度θを検出し、検出した傾斜角度θをモータ回生制御装置1に出力する。傾斜角度θは、例えば車両の進行方向をX軸方向として、X軸方向の傾斜角度θx、左右方向であるY軸方向の傾斜角度θy、鉛直方向であるZ軸方向の傾斜角度θzから構成される。傾斜角度センサ6は、傾斜角度θx、θy、θzを測定し、これを傾斜角度θ(θx,θy,θz)としてもよい。また、傾斜角度センサ6は、進行方向であるX軸方向の傾斜角度θxのみを測定し、この傾斜角度θxを傾斜角度θとしてもよい。
【0019】
SRモータ7は、リアギア10を介して後輪11を駆動する。SRモータ7の詳細は後述する。
回転角センサ8は、SRモータ7に備えられている。回転角センサ8は、SRモータ7のロータの回転角度を検出する検出装置であり、例えばレゾルバである。回転角センサ8は、検出した回転角度に応じた出力信号をモータ回生制御装置1に出力する。
【0020】
モータ回生制御装置1は、ブレーキ操作検出部3からブレーキ信号を取得する。モータ回生制御装置1は、アクセル操作検出部5からアクセル信号を取得する。モータ回生制御装置1は、傾斜角センサ6から傾斜角度θを取得する。モータ回生制御装置1は、SRモータ7の回転速度を検出する回転角センサ8の出力信号を受信する。モータ回生制御装置1は、ブレーキ信号とアクセル信号と傾斜角度θと回転角センサ8の出力信号とに基づいて、SRモータ7の駆動を制御する。
【0021】
次に、第1の実施形態におけるSRモータ7のモータ回生制御装置1について説明する。
図2は、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1のブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1は、駆動回路12と、制御装置13とを備えて構成されている。
【0022】
SRモータ7は、4つの突極部を有するロータ31と、ロータ31を外囲するように設けられ、内側のロータに向かって6つの突極部を有するステータ32と、ロータ31の回転角を検出する回転角センサ8とを有する。ステータ32の6つの突極部は、それぞれ巻線して励磁コイルを形成し、対向する突極部を対とするコイルLu、Lv、Lwを形成する。コイルLu、Lv、Lwに対して選択的に通電することにより、ステータ32の突極部がロータ31の突極部を磁気吸引して、ロータ31に駆動トルク及び制動トルクを発生させる。
【0023】
駆動回路12は、バッテリ9に接続され、コンデンサ51と、スイッチ素子としてn型チャネルのFET(Field Effective Transistor;電界効果トランジスタ)52〜57と、ダイオード58〜63とを有する。コンデンサ51は、一端がバッテリ9の正極に接続され、他端が負極に接続される。
FET52は、ドレインがバッテリ9の正極に接続され、ソースがダイオード58のカソードに接続される。ダイオード58のアノードは、バッテリ9の負極に接続される。ダイオード59は、カソードがバッテリ9の正極に接続され、アノードがFET53のドレインに接続される。FET53のソースは、バッテリ9の負極に接続される。
【0024】
FET54は、ドレインがバッテリ9の正極に接続され、ソースがダイオード60のカソードに接続される。ダイオード60のアノードは、バッテリ9の負極に接続される。
ダイオード61は、カソードがバッテリ9の正極に接続され、アノードがFET55のドレインに接続される。FET55のソースは、バッテリ9の負極に接続される。
FET56は、ドレインがバッテリ9の正極に接続され、ソースがダイオード62のカソードに接続される。ダイオード62のアノードは、バッテリ9の負極に接続される。
ダイオード63は、カソードがバッテリ9の正極に接続され、アノードがFET57のドレインに接続される。FET57のソースは、バッテリ9の負極に接続される。
【0025】
すなわち、コンデンサ51と、直列に接続されたFET52及びダイオード58と、直列に接続されたFET53及びダイオード59と、直列に接続されたFET54及びダイオード60と、直列に接続されたFET55及びダイオード61と、直列に接続されたFET56及びダイオード62と、直列に接続されたFET57及びダイオード63とは、それぞれバッテリ9に対して並列に接続される。
【0026】
また、FET52とダイオード58との接続点には、SRモータ7のコイルLuの一端が接続され、FET53とダイオード59との接続点には、コイルLuの他端が接続される。FET54とダイオード60との接続点には、SRモータ7のコイルLvの一端が接続され、FET55とダイオード61との接続点には、コイルLvの他端が接続される。FET56とダイオード62との接続点には、SRモータ7のコイルLwの一端が接続され、FET57とダイオード63との接続点には、コイルLwの他端が接続される。
【0027】
上述のように、駆動回路12は、Hブリッジ回路により構成され、制御装置13から入力される制御信号がFET52〜57のゲートに入力され、入力される制御信号に応じて、FET52〜57のオンとオフとが切り替えられることにより、SRモータ7が有するコイルLu、Lv、Lwそれぞれに通電を行う。
電流センサ20は、SRモータ7が有するコイルLu、Lv、Lwそれぞれに流れる電流を検出して制御装置13に出力する。
【0028】
制御装置13は、回生動作モード判別部131、要求トルク部132、励磁電流指令設定部133、PWM制御部134、位置検出部135、回転速度検出部136、通電タイミング決定部137、進角通電角マップ部138、電流検出部139を有する。
【0029】
回生動作モード判別部131は、ブレーキ操作検出部3が出力するブレーキ信号を検出する。回生動作モード判別部131は、アクセル操作検出部5が出力するアクセル信号を検出する。検出したアクセル信号が示すアクセルペダルの操作量が0である場合、モータ回生制御装置1は、SRモータ7の回生動作を行う。SRモータ7の回生動作を行う場合、回生動作モード判別部131は、要求トルク部132に回生動作を行うことを示す回生信号を出力する。
【0030】
要求トルク部132は、回生動作モード判別部131から回生信号が供給されると、ブレーキ信号とアクセル信号と傾斜角センサ6から傾斜角度θとを取得する。
要求トルク部132は、不図示の記憶部に予め記憶してある回生ブレーキテーブルを参照し、ブレーキペダル2の操作量に対応した回生ブレーキ力を取得する。回生ブレーキ力は、SRモータ7の回生動作によって、電動車両を減速させる制動力である。
【0031】
要求トルク部132は、回生信号を取得すると、要求トルク部132は、取得した回生ブレーキ力をブレーキトルク指令値として励磁電流指令設定部133に送信する。また、要求トルク部132は、傾斜角度θを励磁電流指令設定部133に送信する。
【0032】
位置検出部135は、SRモータ7に備えられた回転角センサ8が出力する信号より、ロータ31の回転角(ロータ31の回転位置)を検出して、回転速度検出部136と、PWM制御部134とに出力する。
回転速度検出部136は、位置検出部135が出力するロータの回転角を示す信号の単位時間あたりの変化量を検出し、検出した変化量からロータ31の回転速度(回転数)を算出して励磁電流指令設定部133と通電タイミング決定部137とに出力する。
【0033】
励磁電流指令設定部133は、励磁電流指令マップ部133A及び励磁電流決定部133Bを有する。励磁電流指令マップ部133Aは、例えば励磁電流マップを記憶している内部記憶部を有している。
図3は、励磁電流指令設定部133の内部記憶部に記憶されている励磁電流指令マップの模型を示している。
図3に示すように、励磁電流指令マップは、回生制御を行うときのSRモータ7の回転速度とブレーキペダル2の操作量を示すブレーキトルク指令値とSRモータ7に出力する電流の目標値である励磁電流指令値とが記憶されたマップである。
図3に示すように、x軸方向がブレーキトルク指令値、y軸方向が回転速度、z軸方向が励磁電流指令値を示している。励磁電流指令マップにおいて、ブレーキトルク指令値が増大し、回転速度が減少する傾向にある場合、励磁電流指令値は、増大傾向に変化することが示されている。また、所定の閾値以下のブレーキトルク指令値は、車両の傾斜θに応じて決定されるアクセルオフ時のブレーキトルク指令値の範囲である。
図4を用いて、車両の傾斜角度θに応じて決定される指令値について説明する。
【0034】
図4は、所定の閾値以下のブレーキトルク指令値を説明する図であり、横軸が車両の傾斜θ、縦軸が励磁電流指令値を示す。
図4に示すように、車両傾斜に応じて、コイルへの励磁電流指令値を変化させる。具体的には、例えば、傾斜角度θに応じて比例的に最大励磁電流値を調整する。登坂路走行時(傾斜角度θが正)には、車両水平時の最大励磁電流指令値に対し最大励磁電流指令値を減少させる。降坂路走行時(傾斜角度θが負)には、車両水平時の最大励磁電流指令値に対し最大励磁電流指令値を増加させる。なお、登坂路走行時において、最大励磁電流指令値をゼロまで減少させることができる。励磁電流指令マップにおける電流値(励磁電流指令値)は、SRモータ7の特性値よりシミュレーションを用いて算出されるか、又は、SRモータ7の実測値により予め定められる。
【0035】
励磁電流決定部133Bは、ブレーキペダル2の操作量を示すブレーキトルク指令値と傾斜角度θを、要求トルク部132から取得する。また、励磁電流決定部133Bは、励磁電流指令マップを励磁電流指令マップ部133Aから読み出す。また、励磁電流決定部133Bは、SRモータ7の回転速度を、回転速度検出部136から取得する。励磁電流決定部133Bは、取得したブレーキトルク指令値に対して、傾斜角度θに基づいた補正を行う。例えば、励磁電流決定部133Bは、
図5に示す補正テーブルを用いて補正を行う。
図5は、補正テーブルの一例を示す図である。
【0036】
補正テーブルは、傾斜角度θの範囲と、補正値とが対応付けられている。傾斜角度θの範囲は、互いに異なる範囲が複数含まれている。例えば、θ6<θ5<θ4<θ3<θ2<θ1であり、傾斜角度θがθ3以上かつθ4未満である場合、傾斜角度θは、車両が平坦の道路を走行していることを示す。そして、傾斜角度θが平坦時の傾斜角度より大きくなるにつれて登坂路の傾斜が急になる。また、傾斜角度θが平坦時の傾斜角度より小さくなるにつれて降坂路の傾斜が急になる。
補正値は、要求トルク部132から取得したブレーキトルク指令値を補正するための値である。傾斜角度θが正、すなわち車両の傾斜が上り(登坂路)である場合、補正値(B2、B1)は、1よりも小さい値になる。そして、傾斜角度θが大きくなるにつれて、補正値が小さくなるように対応付けられている。傾斜角度θが負、すなわち車両の傾斜が下り(降坂路)である場合、補正値(B4、B5)は、1よりも大きい値になる。そして、傾斜角度θが大きくなるにつれて、補正値が大きくなるように対応付けられている。
【0037】
励磁電流決定部133Bは、補正テーブルを読み出し、取得した傾斜角度θがどの傾斜角度θの範囲にあるか判別することで、補正値を取得する。励磁電流決定部133Bは、要求トルク部132から取得したブレーキトルク指令値に補正値を乗算することでブレーキトルク指令値を補正する。励磁電流決定部133Bは、補正したブレーキトルク指令値(以下、「補正ブレーキトルク指令値」という。)と回転速度とに応じた励磁電流指令値を、読み出した励磁電流指令マップから選択し、選択した励磁電流指令値をPWM制御部134に出力する。
また、励磁電流決定部133Bは、通電タイミング決定部137に補正ブレーキトルク指令値を出力する。
【0038】
電流検出部139は、電流センサ20より出力されるSRモータ7のコイルLu、Lv、Lwそれぞれに流れる電流の検出結果が入力されて、コイルLu、Lv、Lwに流れる電流値をPWM制御部134に出力する。例えば各電流センサ20から出力される各相電流(巻線電流)の検出信号に基づき、SRモータ7に通電されている巻線電流を検出し、この巻線電流の検出値をPWM制御部134に出力する。
【0039】
通電タイミング決定部137は、回転速度検出部136からの回転速度と励磁電流決定部133Bからの補正ブレーキトルク指令とに応じた進角を回生進角マップから選択する。また。通電タイミング決定部137は、回転速度検出部136からの回転速度と励磁電流決定部133Bからの補正ブレーキトルク指令とに応じた通電角を回生通電角マップから選択する。通電タイミング決定部137は、選択した進角および通電角をPWM制御部134に出力する。
【0040】
図6(a)は、回生進角マップを示す図である。
図6(a)に示すように、x軸方向が補正ブレーキトルク指令、y軸方向が回転速度、z軸方向が進角を示している。回生進角マップは、SRモータ7の各相の各励磁コイルLu,Lv,Lwに対する通電開始位相および通電終了位相を、各相のインダクタンス変化に応じた所定位相(例えば、インダクタンスの減少開始位相および減少終了位相等)から進角側に変更するための進角と、補正ブレーキトルク指令と回転速度との所定の対応関係を示すマップである。
図6(b)は、回生通電角マップを示す図である。
図6(b)に示すように、x軸方向が補正ブレーキトルク指令、y軸方向が回転速度、z軸方向が通電角を示している。回生通電角マップは、各相の各励磁コイルLu,Lv,Lwに対する通電角(例えば、電気角120°以上の値等)と、補正ブレーキトルク指令と回転速度との所定の対応関係を示すマップである。
【0041】
PWM制御部134は、電流制御処理部140、通電タイミング出力部141、PWM出力部142を備えている。
【0042】
電流制御処理部140は、SRモータ7に通電されている巻線電流のPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う。電流制御処理部140は、励磁電流指令設定部133から供給される励磁電流指令値と電流検出部139から供給される電流検出値との差(以下、「電流差分値」という。)を算出する。
【0043】
PWM制御部134は、SRモータ7を回生制御する場合、電流差分値が減少するように、SRモータ7に電圧を印加する。そのために、例えば、電流制御処理部140は、FET52、54、56を常にオンにする100%のデューティ比をPWM出力部142に出力する。また、例えば、電流制御処理部140は、一旦、電流差分値が0になると、電流差分値が0になる電圧値を算出し、算出した電圧値からPWM制御におけるデューティ比を算出する。電流制御処理部140は、算出したデューティ比をPWM出力部142に出力する。ここで、電流制御処理部140は、入力される電流値の差に基づいて、一般的に公知のPI(Proportional Integral)制御、又は、PID(Proportional Integral Derivative)制御等を用いて上述のデューティ比を算出する。
【0044】
通電タイミング出力部141は、位置検出部135から入力されるロータ31の回転角を取得する。通電タイミング出力部141は、通電タイミング決定部137から進角および通電角を取得する。通電タイミング出力部141は、取得したロータ31の回転角と進角と通電角とに基づいて、駆動回路12が有するFET53、55、57のオンとオフとを切り替える制御信号をFET53,55、57のゲートに出力する。
また、通電タイミング出力部141は、取得した進角と通電角とをPWM出力部142に出力する。
【0045】
また、通電タイミング出力部141は、回生制御において、電流制御処理部140が出力する信号から、SRモータ7に流れる電流が励磁電流指令値に達したことを検出すると、FET53、55、57をオフにする。
【0046】
PWM出力部142は、通電タイミング出力部141から供給される進角及び通電角に応じた通電区間において、電流制御処理部140が算出したデューティ比を、FET52、54、56のゲートに出力する。
【0047】
図7は、低回転領域における回生制御時のSRモータ7の回転角度と電流波形との関係を示す波形図である。
図7(a)の縦軸方向が巻線インダクタンス、
図7(b)の縦方向が巻線電圧、
図7(c)の縦方向が巻線電流であり、
図7(a)、(b)、(c)各々の横軸方向がロータ31の回転角を示している。
図8は、高回転領域における回生制御時のSRモータ7の回転角度と電流波形との関係を示す波形図である。
図8(a)の縦軸方向が巻線インダクタンス、
図8(b)の縦方向が巻線電圧、
図8(c)の縦方向が巻線電流であり、
図8(a)、(b)、(c)各々の横軸方向がロータ31の回転角を示している。
図7、
図8に示すように、それぞれの関係をSRモータ7におけるロータ31の回転速度に応じて、低回転領域と高回転領域とに分けて説明する。以下にまず、本実施形態における回生制御について説明し、次に低回転領域と高回転領域における回生制御について説明する。ここでは、コイルLuにおけるインダクタンスと巻線電圧と巻線電流とについて説明するが、コイルLv、Lwについても同様である。
【0048】
回生制御において、コイルLuにロータ31の突極がステータ32の突極との対向位置に近づく場合、PWM制御部134の通電タイミング出力部141は、回生により起電力を得るために、例えばFET53とFET52とをオン状態にして、予め定めた電流値である励磁電流指令値の電流が流れるまでコイルLuに通電し、コイルLuを励磁する。コイルLuに流れる電流値が励磁電流指令値に達すると、通電タイミング出力部141は、FET53をオフ状態にし、PWM出力部142は、電流制御処理部140から入力されたデューティ比によりFET52のオンとオフとを切り替える。
ここで、FET52、53ともにオン状態、すなわち、バッテリ9により供給される電力がコイルLuに印加される状態を供給モードという。また、FET52がオン状態であり、FET53がオフ状態、すなわち、コイルLuに生じた起電力をFET52、コイルLu、ダイオード59に還流させる状態を還流モードという。また、FET52、53がともにオフ状態、すなわち、コイルLuに生じた起電力をバッテリ9に出力する状態を回生モードという。
【0049】
低回転領域において巻線インダクタンスは、ロータ31の突極がコイルLuに近づくにしたがい増加し、ロータ31の突極とコイルLuの突極とが対向する回転角において最も高くなり、ロータ31の突極がコイルLuから離れるにしたがい減少する。このコイルLuのインダクタンスが減少する領域において回生による発電が行われる。
回生制御において、PWM制御部134は、コイルLuとロータ31が対向する付近で上述の供給モードにより、起電力を得るために電圧をコイルLuに印加する(巻線電圧が正の値になる)ことで、巻線電流が上昇する。巻線電流が励磁電流指令値に達すると、PWM制御部134は、還流モードと回生モードへ切り替えて、コイルLuに生じる起電力をバッテリ9に出力させる(巻線電圧が負の値と0とに変化する)。また、PWM制御部134は、還流モードと回生モードとを切り替えることにより、コイルLuに流れる巻線電流を励磁電流指令値近傍に保つ。
【0050】
高回転領域における回生制御において、低回転領域と同様に、コイルLuとロータ31が対向する付近で供給モードにより、起電力を得るために電圧をコイルLuに印加する。しかし、コイルLuに流れる電流が励磁電流指令値に達すると、還流モードと回生モードとを切り替えずに、回生モードのみを選択し、コイルLuに生じる起電力をバッテリ9に出力させる。
【0051】
次に、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1の励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理について、図を用いて説明する。
図9は、第1の実施形態のモータ回生制御装置1の励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS101において、回生動作モード判別部131は、アクセルペダルの操作量が0であることを示すアクセル信号を検出すると、回生制御を行う。回生動作モード判別部131は、回生制御を行う場合、要求トルク部132に、回生信号を送信する。
【0053】
ステップS102において、要求トルク部132は、回生動作モード判別部131から、回生信号を取得すると、傾斜角度θ及びブレーキ信号を検出する。要求トルク部132は、ブレーキペダル2の操作量に対応した回生ブレーキ力を取得する。要求トルク部132は、取得した回生ブレーキ力をブレーキトルク指令として励磁電流指令設定部133に送信する。また、要求トルク部132は、傾斜角度θを励磁電流指令設定部133に送信する。
【0054】
ステップS103において、回転速度検出部136は、位置検出部135が出力するロータ31の回転角を示す信号の時間単位あたりの変化量を検出し、検出した変化量からロータ31の回転速度を算出して励磁電流決定部133Bと通電タイミング決定部137とに出力する。
【0055】
ステップS104において、励磁電流決定部133Bは、要求トルク部132からブレーキトルク指令値及び傾斜角度θを取得する。また、励磁電流決定部133Bは、回転速度検出部136から回転速度を取得する。励磁電流決定部133Bは、取得したブレーキトルク指令値に対して、傾斜角度θに基づいた補正を行い、補正ブレーキトルク指令値を算出する。励磁電流決定部133Bは、通電タイミング決定部137に補正ブレーキトルク指令値を出力する。
【0056】
ステップS105において、励磁電流決定部133Bは、励磁電流指令マップ部133Aから励磁電流指令マップを読み出す。励磁電流決定部133Bは、取得した回転速度と補正ブレーキトルク指令値とに対応する励磁電流指令値を、励磁電流指令マップから選択して、選択した励磁電流指令値を電流制御処理部140に出力する。
【0057】
ステップS106において、通電タイミング決定部137は、回転速度検出部136からの回転速度と励磁電流決定部133Bからの補正ブレーキトルク指令とに応じた進角を回生進角マップから選択する。また。通電タイミング決定部137は、回転速度検出部136からの回転速度と励磁電流決定部133Bからの補正ブレーキトルク指令とに応じた通電角を回生通電角マップから選択する。通電タイミング決定部137は、選択した進角および通電角を通電タイミング出力部141に出力する。
【0058】
ステップS107において、電流制御処理部140は、電流差分値を算出してPWM出力部142と通電タイミング出力部141とに出力する。
また、電流制御処理部140は、電流差分値が0まで、FET52、54、56それぞれを常にオンにする100%のデューティ比をPWM出力部142に出力する。
通電タイミング出力部141は、位置検出部135から出力されるロータ31の回転角に応じて、FET53、55、57それぞれをオンにし、ロータ31の回転角より進角及び通電角を算出してPWM出力部142に出力する。
PWM出力部142は、電流制御処理部140から出力されたデューティ比と、通電タイミング出力部141から出力された進角及び通電角とに応じて、FET52、54、56それぞれをオンにして、SRモータ7のコイルLu、Lv、Lwそれぞれの通電状態を供給モードにする。
【0059】
ステップS108において、電流制御処理部140は、SRモータ7に流れる電流値が励磁電流指令値に到達したか否かを判定する。
電流制御処理部140は、電流検出部139から出力された電流値が、励磁電流指令値を超えない場合(電流差分値が正の場合)、上述のステップS107に進む。一方、電流制御処理部140は、電流検出部139から出力された電流値が、励磁電流指令値を超える場合(電流差分値が負の場合)、ステップS109に進む。
【0060】
ステップS109において、電流制御処理部140は、電流差分値に応じて、FET52、54、56それぞれをオンにするデューティ比を算出し、算出したデューティ比をPWM出力部142に出力する。さらに、通電タイミング出力部141は、FET53、55、57それぞれをオフにする。PWM出力部142は、電流制御処理部140から出力されたデューティ比に応じて、FET52、54、56それぞれのオンとオフとを切り替える。
これにより、SRモータ7のコイルLu、Lv、Lwそれぞれの通電状態が、FET52、54、56のオンとオフとの切り替え、すなわち、PWM制御により、還流モードと回生モードとになり、回生制御される。
【0061】
上述したように、本実施形態によると、モータ回生制御装置1は、アクセルがオフの場合において、車両の傾斜角度θに応じでブレーキトルク指令値を補正する。モータ回生制御装置1は、補正したブレーキトルク指令値とSRモータ7の回転速度とから励磁電流指令マップを用いて励磁電流指令値を求める。そして、モータ回生制御装置1は、電流指令値に基づきSRモータ7に流れる電流(巻線電流)を制御する。これにより、モータ回生制御装置1は、道路の傾斜に応じて励磁電流指令値、すなわちSRモータ7のブレーキトルク(回生ブレーキ)を制御することができるため、回生時の走行フィーリングの悪化や走行の快適性の低下を抑制することができる。また、回生ブレーキが必要の無い時はモータフリクションレスの惰性走行が可能となり、一充電走行距離を延ばすことが可能となるため、電費を改善することができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aを適用する電動車両のシステムの構成図である。本実施形態におけるモータ回生制御装置1Aを適用した電動車両のシステムの構成は、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置を適用した電動車両のシステムの構成と比べ、傾斜角センサ6が備えられていない。なお、第1の実施形態と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図11は、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aのブロック図である。
図11に示すように、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aは、駆動回路12と、制御装置13Aとを備えて構成されている。
制御装置13Aは、回生動作モード判別部131、要求トルク部132A、励磁電流指令設定部133、PWM制御部134、位置検出部135、回転速度検出部136A、通電タイミング決定部137、進角通電角マップ部138、電流検出部139、加速度検出部200、基準加速度マップ部201、傾斜判断部202を有する。
【0064】
要求トルク部132Aは、回生動作モード判別部131から回生信号が供給されると、ブレーキ信号及びアクセル信号を取得する。また、要求トルク部132Aは、傾斜判断部202にアクセル信号を送信する。要求トルク部132Aは、傾斜判断部202から傾斜角度θを取得する。
要求トルク部132Aは、不図示の記憶部に予め記憶してある回生ブレーキテーブルを参照し、ブレーキペダル2の操作量に対応した回生ブレーキ力を取得する。回生ブレーキ力は、SRモータ7の回生動作によって、電動車両を減速させる制動力である。
【0065】
要求トルク部132Aは、回生信号を取得すると、要求トルク部132Aは、取得した回生ブレーキ力をブレーキトルク指令値として励磁電流指令設定部133に送信する。また、要求トルク部132Aは、傾斜角度θを励磁電流指令設定部133に送信する。
【0066】
回転速度検出部136Aは、位置検出部135が出力するロータの回転角を示す信号の単位時間あたりの変化量を検出し、検出した変化量からロータ31の回転速度(回転数)を算出する。回転速度検出部136Aは、励磁電流指令設定部133と通電タイミング決定部137と加速度検出部200とに検出した回転速度を単位時間毎、例えば1秒毎に出力する。
【0067】
加速度検出部200は、算出部211及び記憶部212を有する。算出部211は、一定周期毎に回転速度検出部136Aからロータ31の回転速度を取得すると、記憶部212に取得した回転速度を記憶する。また、算出部211は、前回取得した回転速度を記憶部212から読み出し、前回取得した回転速度から今回取得した回転速度に変化した回転速度の変化量、すなわち加速度を単位時間毎に算出する。算出部211は、今回取得した回転速度と算出した加速度を傾斜判断部202に出力する。
【0068】
基準加速度マップ部201は、例えば基準加速度マップが記憶されている内部記憶部を有している。
図12は、基準加速度マップ部201の内部記憶部に記憶されている基準加速度マップの模型を示している。
図12において、基準加速度マップ部201は、SRモータ7の回転速度とアクセルペダル4の操作量と基準加速度とが記憶された基準加速度マップを有する。基準加速度は、車両の走行路が登坂路又は降坂路のいずれかであるのかを特定し、その坂路の傾斜角度θを取得するための目標値である。
図12に示すように、x軸方向が回転速度、y軸方向がアクセルペダルの操作量、z軸方向が基準加速度を示している。基準加速度マップにおいて、アクセルペダルの操作量が増大し、回転速度が減少する傾向にある場合、基準加速度は、増大傾向に変化することが示されている。一方、アクセルペダルの操作量が減少し、回転速度が増大する傾向にある場合、基準加速度は、減少傾向に変化することが示されている。なお、基準加速度マップにおける基準加速度は、シミュレーションを用いて算出されるか、又は、実測値により予め定められる。
【0069】
傾斜判断部202は、傾斜算出部222及び記憶部223を有する。
傾斜算出部222は、要求トルク部132Aからアクセルペダル4の操作量を示すアクセル信号を取得する。傾斜算出部222は、算出部211から回転速度及び加速度を取得する。傾斜算出部222は、回転速度及び加速度を取得すると、基準加速度マップを基準加速度マップ部201から読み出す。傾斜算出部222は、アクセルペダル4の操作量と回転速度とに応じた基準加速度を、読み出した基準加速度マップから選択する。
【0070】
傾斜算出部222は、直前に検出した駆動状態の加速度と基準加速度を比較し、比較結果に基づいて車両の傾斜角度θを算出する。具体的には、傾斜算出部222は、算出部211から取得した加速度から基準加速度を差し引くことで得られる差分値を算出する。なお、この差分値が負である場合、車両の走行路が登坂路であることを意味する。一方、差分値が正である場合、車両の走行路が降坂路であることを意味する。
傾斜算出部222は、記憶部223に記憶している加速度テーブル読み出し、差分値に基づいた傾斜角度θを取得する。
【0071】
記憶部223は、加速度テーブルを予め記憶している。
図13は、加速度テーブルの一例を示す図である。加速度テーブルは、差分値の範囲と、傾斜角度θとが対応付けられている。差分値aの範囲は、互いに異なる範囲が複数含まれている。例えば、a1≦a<a2、a2≦a<a3等である。差分値aが正、すなわち車両の傾斜が下りである場合、傾斜角度θは、負の値になる。一方、差分値aが負、すなわち車両の傾斜が上りである場合、傾斜角度θは、正の値になる。
傾斜算出部222は、加速度テーブルを読み出し、算出した差分値がどの差分値の範囲にあるか判別することで、傾斜角度θを取得する。傾斜算出部222は、取得した傾斜角度θを要求トルク部132Aに出力する。
【0072】
次に、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aの傾斜角度θの算出方法について、図を用いて説明する。
図14は、第2の実施形態のモータ回生制御装置1Aの傾斜角度θの算出方法を示すフローチャートである。モータ回生制御装置1Aは、不図示のタイマーを有し、例えば1秒毎に傾斜角度θの算出を行う。
【0073】
ステップS301において、回転速度検出部136Aは、位置検出部135が出力するロータの回転角を示す信号の単位時間あたりの変化量を検出し、検出した変化量からロータ31の回転速度(回転数)を算出する。回転速度検出部136Aは、励磁電流指令設定部133と通電タイミング決定部137と加速度検出部200とに検出した回転速度を出力する。
【0074】
ステップS302において、算出部211は、回転速度検出部136Aから回転速度を取得すると、記憶部212に取得した回転速度を記憶する。
【0075】
ステップS303において、算出部211は、前回取得した回転速度を記憶部212から読み出し、前回取得した回転速度と今回取得した回転速度から加速度を算出する。算出部211は、今回取得した回転速度と算出した加速度を傾斜判断部202に出力する。
【0076】
ステップS304において、傾斜算出部222は、要求トルク部132Aからアクセルペダル4の操作量を示すアクセル信号を取得する。また、傾斜算出部222は、算出部211から回転速度及び加速度を取得する。
【0077】
ステップS305において、傾斜算出部222は、回転速度及び加速度を取得すると、基準加速度マップを基準加速度マップ部201から読み出す。傾斜算出部222は、アクセルペダル4の操作量と回転速度とに応じた基準加速度を、読み出した基準加速度マップから選択する。
【0078】
ステップS306において、傾斜算出部222は、算出部211から取得した加速度から基準加速度マップから選択した基準加速度を差し引くことで得られる差分値を算出する。傾斜算出部222は、記憶部223に記憶している加速度テーブルを読み出し、差分値に基づいた傾斜角度θを取得する。傾斜算出部222は、加速度テーブルを読み出し、算出した差分値がどの差分値の範囲にあるか判別することで、傾斜角度θを取得する。傾斜算出部222は、取得した傾斜角度θを要求トルク部132Aに出力する。
【0079】
次に、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aの励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理について説明する。第2の実施形態の励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理において、
図9のフローチャートと異なるステップのみ説明する。
【0080】
ステップS102において、要求トルク部132Aは、回生動作モード判別部131から回生信号を取得すると、ブレーキトルク指令と傾斜算出部222から傾斜角度θとを検出する。要求トルク部132Aは、アクセルペダルの操作量に対応した回生ブレーキ力を取得する。要求トルク部132Aは、取得した回生ブレーキ力をブレーキトルク指令として励磁電流指令設定部133に送信する。また、要求トルク部132Aは、傾斜角度θを励磁電流指令設定部133に送信する。
【0081】
上述したように、本実施形態によると、モータ回生制御装置1Aは、アクセルがオフの場合において、車両の傾斜角度θに応じでブレーキトルク指令値を補正する。モータ回生制御装置1Aは、補正したブレーキトルク指令値とSRモータ7の回転速度とから励磁電流指令マップを用いて励磁電流指令値を求める。そして、モータ回生制御装置1Aは、電流指令値に基づきSRモータ7に流れる電流(巻線電流)を制御する。これより、本実施形態において、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
また、上述したように、本実施形態によると、モータ回生制御装置1Aは、回転速度の単位時間あたりの変化から加速度を算出する。また、モータ回生制御装置1Aは、基準加速度マップから基準加速度を算出し、算出した加速度と基準加速度とから、傾斜角度θを取得する。これにより、本実施形態のモータ回生制御装置1Aは、傾斜角センサ6を備えることなく傾斜角度θを取得することができるため、第1の実施形態と比べて装置コストを低くすることができる。
【0083】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態におけるモータ回生制御装置1Bを適用する電動車両のシステムの構成図である。本実施形態におけるモータ回生制御装置1Bを適用した電動車両のシステムの構成は、第1の実施形態におけるモータ回生制御装置1を適用した電動車両のシステムの構成と比べ、後輪11を回転させるのにSRモータ7が2つ搭載されている。それに応じて、回転角センサ8とリアギア10の数も同様に2つ搭載されている。なお、第1の実施形態と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図16は、第3の実施形態におけるモータ回生制御装置1Bのブロック図である。
図16に示すように、本実施形態におけるモータ回生制御装置1Bは、2つのSRモータ7の回生制御を行うため、モータ回生制御装置1を2つ備えている。
バッテリ9は、駆動回路12の各々に接続されている。また、バッテリ9は、要求トルク部132の各々に接続されており、要求トルク部132においてバッテリ9の充電状態が検出される。
ブレーキ操作検出部3及びアクセル操作検出部5は、回生動作モード判別部131の各々に接続されている。回生動作モード判別部131は、ブレーキ信号及びアクセル信号を出力する。傾斜角センサ6は、要求トルク部132の各々に接続されている。傾斜角センサ6は、要求トルク部132の各々に傾斜角度θを出力する。
【0085】
モータ回生制御装置1Bの励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理は、
図9のフローチャートと同様となるため、説明は省略する。
【0086】
上述したように、本実施形態によると、SRモータ7が2つ搭載した場合においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
(第4の実施形態)
図17は、第4の実施形態におけるモータ回生制御装置1Cを適用する電動車両のシステムの構成図である。本実施形態におけるモータ回生制御装置1Cを適用した電動車両のシステムの構成は、第2の実施形態におけるモータ回生制御装置1Aを適用した電動車両のシステムの構成と比べ、後輪11を回転させるのにSRモータ7が2つ搭載されている。それに応じで、回転角センサ8とリアギア10の数も同様に2つ搭載されている。なお、第2の実施形態と同じ構成には、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0088】
図18は、第4の実施形態におけるモータ回生制御装置1Cのブロック図である。
図18に示すように、本実施形態におけるモータ回生制御装置1Cは、2つのSRモータ7の回生制御を行うため、モータ回生制御装置1Aを2つ備えている。
バッテリ9は、駆動回路12の各々に接続されている。また、バッテリ9は、要求トルク部132Aの各々に接続されている。
ブレーキ操作検出部3及びアクセル操作検出部5は、回生動作モード判別部131の各々に接続されている。回生動作モード判別部131は、ブレーキ信号及びアクセル信号を出力する。
【0089】
モータ回生制御装置1Cの傾斜角度θの算出方法については、
図14のフローチャートと同様となるため、説明は省略する。また、モータ回生制御装置1Cの励磁電流指令値の取得及び回生制御の処理は、
図9のフローチャートと同様となるため、説明は省略する。
【0090】
上述したように、本実施形態によると、SRモータ7が2つ搭載した場合においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上述したように、本実施形態によると、モータ回生制御装置1Cは、回転速度の単位時間あたりの変化から加速度を算出する。また、モータ回生制御装置1Cは、基準加速度マップから基準加速度を算出し、算出した加速度と基準加速度とから、傾斜角度θを取得する。これにより、本実施形態のモータ回生制御装置1Cは、傾斜角センサ6を備えることなく傾斜角度θを取得することができるため、第3の実施形態と比べて装置コストを低くすることができる。
【0091】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
上述した実施形態において、モータ回生制御装置1は、車両の傾斜角度θに応じてブレーキトルク指令値を取得したが、本実施形態は、これに限定されない。例えば、モータ回生制御装置1は、車両の傾斜角度θに応じて直接、励磁電流指令値を補正してもよい。
【0092】
また、上述した実施形態において、モータ回生制御装置1は、バッテリ9からバッテリ9の充電状態を示すSOC信号を取得し、バッテリ9の充電状態が満タンに近ければ、回生制御を行わないようにしてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態において、モータ回生制御装置1は、励磁電流指令値と電流検出部139からの電流検出値との差がなくなるように、巻線電流を制御したが、これに限定されず、電流指令値に基づき巻線電流を制御すればよい。例えば、モータ回生制御装置1は、電流検出部139からの電流検出値が励磁電流指令値から多少オフセットさせた電流値となるように巻線電流を制御してもよい。なお、モータ回生制御装置1が励磁電流指令値や励磁電流指令値から多少オフセットさせた電流値を目標値として巻線電流を制御する場合、巻線電流が目標値と一致せずに漸近してもよい。
【0094】
また、上述した実施形態において、最大励磁電流値は、傾斜角度θに応じて比例的に増減するが、これに限定されない。
【0095】
また、第2の実施形態及び第4の実施形態において、加速度から基準加速度を差し引くことで得られる差分値を用いて傾斜角度θを算出したが、これに限定されない。例えば、差分値に対して車両重量(積載重量)の影響を考慮した補正を行ってもよい。