(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
図1のワイパ装置の車両への適用例を示す図を、
図2はワイパモータの詳細を示す図を、
図3はワイパブレードの停止状態A,Bを説明する図を、
図4は実施の形態1のリップ折り返し動作を説明する説明図を、
図5は
図4のリップ折り返し動作(ワイパブレードの停止毎)を説明するフローチャートを、
図6は
図4のリップ折り返し動作(車速検出の回数)を説明するフローチャートをそれぞれ示している。
【0019】
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、フロントガラス11が設けられている。フロントガラス11の下方側には、当該フロントガラス11の払拭面に付着した雨水等を払拭して、運転者や同乗者の視界を確保するワイパ装置12が設けられている。ワイパ装置12は、車両10のDR側(運転席側)に配置されるDR側ワイパモータ20と、車両10のAS側(助手席側)に配置されるAS側ワイパモータ30とを備えている。これらのワイパモータ20,30は同様に形成され、車両10の左右側に対向配置されている。
【0020】
ワイパモータ20,30は、DR側ワイパ部材21およびAS側ワイパ部材31を有している。DR側ワイパ部材21は、DR側ワイパアーム21aおよびDR側ワイパブレード21bを備え、AS側ワイパ部材31は、AS側ワイパアーム31aおよびAS側ワイパブレード31bを備えている。ワイパアーム21a,31aの基端部は、ワイパモータ20,30の出力軸22,32に固定されており、ワイパモータ20,30は、ワイパ部材21,31を、リンク機構等を介さずに直接揺動させている。つまりワイパ装置12は、対向払拭型のダイレクトドライブワイパ装置となっている。
【0021】
ワイパブレード21b,31bは、下反転位置LRPと上反転位置URPとの間の略90°の払拭範囲内において往復払拭動作される。そして、ワイパモータ20,30は、出力軸22,32の回転位置を検出することで、ワイパブレード21b,31bを下反転位置LRPおよび上反転位置URPで反転動作させている。ここで、下反転位置LRPよりもフロントガラス11の下方側には、格納位置SLが設けられている。この格納位置SLには、ワイパスイッチ14をオフ操作してワイパ装置12を停止させたときに、ワイパブレード21b,31bが移動される停止位置を示している。
【0022】
ワイパモータ20,30の内部には、DR側制御基板23およびAS側制御基板33が収容されている。制御基板23,33間には通信線13が設けられ、ワイパモータ20,30は、通信線13を介して互いに通信している。通信線13を介して出力軸22,32の回転位置情報(ワイパブレード21b,31bの位置情報)を互いに通信することで、ワイパブレード21b,31bを、フロントガラス11上で衝突することなく往復払拭動作させている。
【0023】
AS側制御基板33には、車室内(図示せず)に設けられたワイパスイッチ14が接続されている。操作者がワイパスイッチ14を操作することにより、ワイパモータ20,30は、高速(High),低速(Low)または間欠(Int)で回転制御される。また、AS側制御基板33には、車室内に設けられたイグニッションスイッチ15が接続されており、操作者がイグニッションスイッチ15を操作することにより、ワイパスイッチ14によるワイパ装置12の動作が可能となる。さらには、AS側制御基板33には、車両10の車速(Vkm/h)を検出する車速センサ16が接続されており、この車速センサ16からの情報は、後述するリップ折り返し動作のトリガとして用いられる。このように、通信線13には、出力軸22,32の回転位置情報に加えて、ワイパモータ20,30の回転速度情報等の他の情報も行き来している。
【0024】
DR側ワイパモータ20およびAS側ワイパモータ30は、何れも同様に形成される。したがって、以下、AS側ワイパモータ30の説明を省略して、DR側ワイパモータ20を代表してその詳細構造を説明する。
【0025】
図2に示すように、DR側ワイパモータ20は、モータ部40とこれに接続されるギヤ部50とを備えている。モータ部40は、磁性材料よりなる鋼板をプレス加工することで有底筒状に形成されたヨーク41を有し、当該ヨーク41の内側には複数の永久磁石42が設けられている。これらの永久磁石42の内側には、所定の隙間(エアギャップ)を介してアーマチュア43が回動自在に設けられ、当該アーマチュア43にはコイル(図示せず)が所定の巻き方および巻数で巻装されている。
【0026】
アーマチュア43の回転中心には、アーマチュア軸44が貫通して固定され、当該アーマチュア軸44の基端側(図中右側)は、ラジアル軸受(図示せず)を介してヨーク41の底部に回動自在に支持されている。また、アーマチュア軸44の先端側(図中左側)は、ギヤ部50のケース51内に延出されている。
【0027】
アーマチュア軸44の先端側にはウォーム45が一体に設けられ、当該ウォーム45はウォームホイール52の歯部52aに噛み合わされている。ウォーム45およびウォームホイール52は減速機構SDを形成し、当該減速機構SDは、アーマチュア軸44の回転を減速して高トルク化する。そして、高トルク化された回転は、ウォームホイール52に固定された出力軸22を介して、DR側ワイパアーム21a(
図1参照)に出力される。
【0028】
アーマチュア軸44のアーマチュア43に近接する位置には、整流子46が設けられている。整流子46にはコイルの端部が電気的に接続されるとともに、一対のブラシ47が摺接するようになっている。これにより、それぞれのブラシ47に駆動電流を供給することで、整流子46を介してコイルに駆動電流が流れて、アーマチュア43には電磁力が発生し、ひいてはアーマチュア軸44が正方向または逆方向に所定の回転数で回転される。
【0029】
ギヤ部50のケース51には、ウォームホイール52が回転自在に収容され、当該ウォームホイール52にはウォーム45からの回転が伝達される。ウォームホイール52には、出力軸22の基端側が固定され、当該出力軸22の先端側は、ケース51の外部に延出されている。出力軸22には、DR側ワイパアーム21a(
図1参照)の基端側が連結されている。
【0030】
ウォームホイール52の表側面52bには、略円盤状に形成されたセンサマグネット53が装着されている。センサマグネット53は、ウォームホイール52とともに回転される。センサマグネット53の径方向に沿う一方側はN極に着磁され、センサマグネット53の径方向に沿う他方側はS極に着磁されている。つまり、センサマグネット53は、その周方向に沿うよう180°間隔でN極およびS極(2極)に着磁されている。
【0031】
ケース51の開口部分(図中手前側)は、カバー部材(図示せず)によって閉塞されている。カバー部材の内側には、ウォームホイール52の表側面52bと対向するようDR側制御基板23(図中二点鎖線)が装着され、これによりDR側制御基板23は、ギヤ部50の内部に収容されている。DR側制御基板23はモータ部40を制御するもので、DR側制御基板23には、トランジスタや抵抗等の複数の電子部品(図示せず)に加えて、RAMやROM等を備えたCPUよりなるコントローラ23aが実装されている。また、DR側制御基板23のセンサマグネット53と対向する部位には、MRセンサ(磁気抵抗素子)23bが実装されている。
【0032】
MRセンサ23bは、自身を横切る磁束の向きに応じて大きさの異なる電気信号(抵抗値の変化量)を出力する。そして、センサマグネット53の相対回転により発生するMRセンサ23bからの電気信号は、コントローラ23aに送出される。コントローラ23aは、MRセンサ23bからの電気信号の大きさに応じて、ウォームホイール52のケース51に対する回転位置や回転速度等、つまりフロントガラス11に対するDR側ワイパブレード21bの位置や移動速度等を把握する。これにより、DR側ワイパ部材21を、反転動作させたり格納位置SL(
図1参照)で停止させたりできる。
【0033】
DR側ワイパブレード21bおよびAS側ワイパブレード31bは、何れも同様に形成される。したがって、以下、AS側ワイパブレード31bの説明を省略して、DR側ワイパブレード21bを代表してその詳細構造を説明する。
【0034】
図3に示すように、DR側ワイパブレード21bは、ブレードホルダ60と、当該ブレードホルダ60に保持されるブレードラバー70とを備えている。ブレードラバー70は、リップ71,本体部72およびネック部73を有している。ブレードラバー70の断面形状は、当該ブレードラバー70の長手方向に沿う全域で同じ形状となっている。
【0035】
リップ71の断面形状は略三角形に形成され、リップ71の先細りとなった先端部分は、フロントガラス11の払拭面に接触されている。本体部72の断面形状は略長方形に形成され、本体部72にはブレードラバー70の長手方向に沿う一対のバネ収容溝72aが設けられている。これらのバネ収容溝72aには、長尺の平板状の鋼材よりなる一対のバーティブラ(バネ部材)74がそれぞれ装着されている。これらのバーティブラ74は、外力を負荷しない自然状態のもとで、フロントガラス11の曲率半径よりも小さい曲率半径を有するよう湾曲されている。これにより、バーティブラ74のバネ力により、ブレードラバー70がフロントガラス11の曲率半径に合わせて弾性変形され、ひいてはリップ71の長手方向全域が、フロントガラス11の払拭面に押圧(密着)される。
【0036】
ネック部73は、リップ71と本体部72とを連結している。ネック部73の払拭方向(図中左右方向)に沿う厚み寸法は、ブレードラバー70の他の部分に比して最も薄肉とされ、容易に弾性変形することができる。これにより、DR側ワイパアーム21a(
図1参照)の基端部分に設けた引っ張りスプリング(図示せず)のバネ力と相俟って、リップ71がフロントガラス11の払拭面を往復払拭動作する際に、ネック部73は払拭方向に傾動される。
【0037】
具体的には、
図1の破線矢印「往路側動作」に示すように、下反転位置LRPから上反転位置URPへの払拭動作時には、リップ71の先端側はフロントガラス11の下方側を向いた状態とされ、
図3の「停止状態B」に示すような姿勢をとる。一方、
図1の破線矢印「復路側動作」に示すように、上反転位置URPから下反転位置LRPへの払拭動作時には、リップ71の先端側はフロントガラス11の上方側を向いた状態とされ、
図3の「停止状態A」に示すような姿勢をとる。
【0038】
このように、ネック部73の傾動に伴ってリップ71が払拭面に対して傾斜した状態で摺接される。これにより、リップ71の角部で払拭面に付着した雨水等を確実に払拭することができる。なお、リップ71の先端側が向く方向は、払拭方向に応じて変わるため、払拭動作時におけるビビリ音の発生が効果的に抑えられる。
【0039】
次に、以上のように形成したワイパ装置12の動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、これから述べるワイパ装置12の動作説明においても、DR側ワイパモータ20およびDR側ワイパブレード21bを代表して説明する。
【0040】
まず、ワイパ装置12の動作説明に先立ち、フロントガラス11の払拭面上に、DR側ワイパブレード21bが移動し得る位置を規定する。
【0041】
図4はフロントガラス11の払拭面上を模式的に示しており、図中実線矢印はDR側ワイパブレード21bが移動し得る経路を示している。また、図中丸印(1)から(6)は、DR側ワイパブレード21b(リップ71の先端側)の停止位置(格納位置)を示している。さらに、図中破線矢印のエリア1およびエリア2は、格納位置SLを中心としたフロントガラス11の下方側領域および上方側領域を示し、エリア1は下方側に位置して運転席から目視できない領域を、エリア2は上方側に位置して覗き込むことで比較的容易に運転席から目視できる領域をそれぞれ示している。
【0042】
DR側ワイパブレード21bの停止位置は、下方側停止位置(第1の停止位置)APS1あるいは上方側停止位置(第2の停止位置)APS2の2箇所となっている。下方側停止位置APS1は、払拭面の下方側(図中下側)に設けられ、上方側停止位置APS2は、下方側停止位置APS1よりも払拭面の上方側(図中上側)に設けられている。そして、DR側ワイパブレード21bが下方側停止位置APS1で停止される場合には、
図3の「停止状態A」に示すように、リップ71の先端側が払拭面の上方側に向いた状態とされる。一方、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2で停止される場合には、
図3の「停止状態B」に示すように、リップ71の先端側が払拭面の下方側に向いた状態とされる。
【0043】
下方側停止位置APS1よりも払拭面の下方側には、DR側ワイパブレード21bの停止動作時における下限位置となる停止動作時下限位置EPSLが設けられている。また、上方側停止位置APS2よりも払拭面の上方側で、かつ下反転位置LRPよりも払拭面の下方側には、DR側ワイパブレード21bの停止動作時における上限位置となる停止動作時上限位置EPSUが設けられている。ここで、イグニッションスイッチ15およびワイパスイッチ14の双方がオン操作中である場合には、DR側ワイパブレード21bは、下反転位置LRPと上反転位置URPとの間で往復払拭動作される。したがって、
図4の下反転位置LRPよりもフロントガラス11の下方側の領域は、イグニッションスイッチ15がオン操作中で、かつワイパスイッチ14がオフ操作されたときに、DR側ワイパブレード21bが到達し得る領域となっている。
【0044】
このように、フロントガラス11の払拭面上に規定された4つの位置(APS1,APS2,EPSL,EPSU)へのDR側ワイパブレード21bの移動制御は、コントローラ23aに入力されるMRセンサ23b(
図2参照)からの電気信号に基づいて、フロントガラス11に対するDR側ワイパブレード21bの位置を把握することで行われる。
【0045】
図5および
図6に示すフローチャートは、イグニッションスイッチ15をオン操作することによりスタートする(ステップS1)。なお、
図5および
図6に示す全てのステップにおける実行および判定は、コントローラ23a(
図2参照)において処理される。
【0046】
ステップS2では、ワイパスイッチ14がオン(ON)であるか否かを判定する。ステップS2でワイパスイッチ14がオンであると判定(Yes)した場合には、ステップS3に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して往復払拭動作させる。一方、ステップS2でワイパスイッチ14がオフ(OFF)であると判定(No)した場合には、ステップS4に進んで、DR側ワイパモータ20の停止状態を維持する。
【0047】
ステップS5では、ワイパスイッチ14がオフ(OFF)されたか否かを判定する。ステップS5でワイパスイッチ14がオフであると判定(Yes)した場合には、ステップS6に進む。一方、ステップS5でワイパスイッチ14がオン(ON)であると判定(No)した場合には、ステップS3に戻り、DR側ワイパモータ20を継続して往復払拭動作させる。ここで、ステップS5とステップS3との繰り返しの動作において、コントローラ23aは、MRセンサ23b(
図2参照)からの電気信号に基づき、下反転位置LRPと上反転位置URPとの間でDR側ワイパブレード21bを往復払拭動作させる。
【0048】
ステップS6では、ワイパスイッチ14がオフされたとの判定結果に基づき、DR側ワイパブレード21bの前回の停止位置が、下方側停止位置APS1であったか否かを判定する。ここで、DR側ワイパブレード21bの過去の停止位置情報は、コントローラ23aのRAM等に記憶された情報から得る。ステップS6で、DR側ワイパブレード21bの前回の停止位置が上方側停止位置APS2であったと判定(No)した場合には、ステップS7に進んで、
図4に示す格納動作(A)を実行させる。ここで、ステップS7およびステップS8で行われる格納動作(A)とは、DR側ワイパブレード21bを、下反転位置LRPを越えてフロントガラス11の下方側へ移動させ、下方側停止位置APS1に向かわせる動作のことである。
【0049】
ステップS8では、DR側ワイパブレード21bが下方側停止位置APS1に到達したか否かを判定する。ステップS8で下方側停止位置APS1に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS4に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが
図4の黒丸(1)の位置で停止して、
図3に示す「停止状態A」となり、前回の「停止状態B」に対して、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS8で未だ下方側停止位置APS1に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS7に戻って格納動作(A)を継続して行わせる。
【0050】
ステップS6で、DR側ワイパブレード21bの前回の停止位置が下方側停止位置APS1であったと判定(Yes)した場合には、ステップS9に進んで、
図4に示す格納動作(B)を実行させる。ここで、ステップS9〜ステップS12で行われる格納動作(B)とは、DR側ワイパブレード21bを、下反転位置LRPを越えてフロントガラス11の下方側へ移動させ、停止動作時下限位置EPSLに一旦移動させた後、DR側ワイパモータ20を逆回転させて、上方側停止位置APS2に向かわせる動作のことである。つまり、DR側ワイパブレード21bを、停止動作時下限位置EPSLから上方側停止位置APS2までの比較的長い距離を移動させることで、リップ71の先端側が向く方向を、
図3の「停止状態A」から「停止状態B」のように異なる方向に向くように確実に変えられるようにしている。すなわち、格納動作(B)は、「停止時におけるリップ折り返し動作」と言い換えることができる。
【0051】
ステップS10では、DR側ワイパブレード21bが停止動作時下限位置EPSLに到達したか否かを判定する。ステップS10で停止動作時下限位置EPSLに到達したと判定(Yes)した場合にはステップS11に進み、DR側ワイパモータ20を逆回転させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2側に駆動され、フロントガラス11の上方側に移動される(
図4参照)。一方、ステップS10で未だ停止動作時下限位置EPSLに到達していないと判定(No)した場合には、ステップS9に戻って格納動作(B)を継続して行わせる。
【0052】
ステップS12では、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2に到達したか否かを判定する。ステップS12で上方側停止位置APS2に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS4に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが
図4の黒丸(2)の位置で停止して、
図3に示す「停止状態B」となり、前回の「停止状態A」に対して、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS12で未だ上方側停止位置APS2に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS11に戻って格納動作(B)を継続して行わせる。
【0053】
ステップS13〜ステップS24では、ワイパスイッチ14のオンオフ操作に関わらず、リップ71の先端側が向く方向を、
図3の「停止状態A」と「停止状態B」との間で異なる方向に向くように確実に変える処理、つまりリップ折り返し動作を実行するようになっている。
【0054】
ステップS13では、車速センサ16からの車速信号の入力の回数、つまり車速検出の回数が、所定のn回以上であるか否かを判定する。ステップS13で車速検出の回数が所定のn回未満であると判定(No)した場合には、
図5のステップS2に戻されるリターン処理が実行される。一方、ステップS13で車速検出の回数が所定のn回以上であると判定(Yes)した場合には、ステップS14に進み、それ以降のステップにおいてリップ折り返し動作が実行される。つまり、コントローラ23aは、車速検出の回数がn回以上となる毎に、リップ折り返し動作を実行する。
【0055】
ここで、本実施の形態においては、車速検出の回数nは、例えば、5回に設定されている。これにより、従前のようにイグニッションスイッチをオンまたはオフする毎に、リップ71の先端側が向く方向を頻繁に変えずに済み、ひいてはリップ71の早期劣化が防止される。
【0056】
ステップS14では、DR側ワイパブレード21bが、現在、下方側停止位置APS1で停止しているか否かを判定する。ステップS14で下方側停止位置APS1であると判定(Yes)した場合にはステップS15に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して、DR側ワイパブレード21bを停止動作時下限位置EPSL側に駆動する。
【0057】
続くステップS16では、DR側ワイパブレード21bが停止動作時下限位置EPSLに到達したか否かを判定する。ステップS16で停止動作時下限位置EPSLに到達したと判定(Yes)した場合にはステップS17に進み、DR側ワイパモータ20を逆回転させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2側に駆動され、フロントガラス11の上方側に移動される(
図4参照)。一方、ステップS16で未だ停止動作時下限位置EPSLに到達していないと判定(No)した場合には、ステップS15に戻って停止動作時下限位置EPSLへの移動を継続して行わせる。
【0058】
ステップS18では、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2に到達したか否かを判定する。ステップS18で上方側停止位置APS2に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS19に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、
図4の白丸(3)の位置から黒丸(4)の位置にDR側ワイパブレード21bが移動されて、
図3に示す「停止状態A」から「停止状態B」とされて、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS18で未だ上方側停止位置APS2に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS17に戻って上方側停止位置APS2への移動を継続して行わせる。なお、ステップS19における処理後は、
図5のステップS2に戻されるリターン処理が実行される。
【0059】
ステップS14で上方側停止位置APS2であると判定(No)した場合にはステップS20に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して、DR側ワイパブレード21bを停止動作時上限位置EPSU側に駆動する。
【0060】
続くステップS21では、DR側ワイパブレード21bが停止動作時上限位置EPSUに到達したか否かを判定する。ステップS21で停止動作時上限位置EPSUに到達したと判定(Yes)した場合にはステップS22に進み、DR側ワイパモータ20を逆回転させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが下方側停止位置APS1側に駆動され、フロントガラス11の下方側に移動される(
図4参照)。一方、ステップS21で未だ停止動作時上限位置EPSUに到達していないと判定(No)した場合には、ステップS20に戻って停止動作時上限位置EPSUへの移動を継続して行わせる。
【0061】
ステップS23では、DR側ワイパブレード21bが下方側停止位置APS1に到達したか否かを判定する。ステップS23で下方側停止位置APS1に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS24に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、
図4の白丸(5)の位置から黒丸(6)の位置にDR側ワイパブレード21bが移動されて、
図3に示す「停止状態B」から「停止状態A」とされて、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS23で未だ下方側停止位置APS1に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS22に戻って下方側停止位置APS1への移動を継続して行わせる。なお、ステップS24における処理後は、
図5のステップS2に戻されるリターン処理が実行される。
【0062】
このように、車速センサ16からの車速信号の入力の回数、つまり車速検出の回数に応じてリップ折り返し動作を実行する際に、下方側停止位置APS1と上方側停止位置APS2との間で直接行き来させずに、一旦、停止動作時下限位置EPSLまたは停止動作時上限位置EPSUに移動させる。これにより、DR側ワイパブレード21b(ブレードラバー70)の移動量を多くして、リップ71の先端側が向く方向を異なる方向に向くように確実に変えている。このとき、リップ71の折り返し動作は、エリア1の領域内と、エリア2の下反転位置LRPよりもフロントガラス11の下方側の領域内とで行われるので、運転者や同乗者に対して目立つことが無い。したがって、ワイパ装置12が誤作動しているのではといった不安感を与えることは無い。
【0063】
以上詳述したように、実施の形態1に係るワイパ装置12によれば、車速検出の回数が所定の回数nに到達したときに、リップ71の先端側が下方側停止位置APS1にある場合には、DR側ワイパブレード21bを、停止動作時下限位置EPSLに一旦移動させた後に上方側停止位置APS2に移動して停止させ、リップ71の先端側が上方側停止位置APS2にある場合には、DR側ワイパブレード21bを、停止動作時上限位置EPSUに一旦移動させた後に下方側停止位置APS1に移動して停止させる。
【0064】
したがって、リップ71やネック部73に曲がり癖が付くことによる不具合、例えば停止位置にずれが生じる等の不具合が発生するのを防止できるのは勿論のこと、イグニッションスイッチ15をオンまたはオフする毎に、リップ71の先端側が向く方向を頻繁に変えることも無い。
【0065】
また、DR側ワイパブレード21bの移動量を多くしつつ、下方側停止位置APS1および上方側停止位置APS2のそれぞれにDR側ワイパブレード21bを停止させることができ、ひいてはそれぞれの停止位置(APS1,APS2)において、リップ71の先端側が向く方向を確実に変えることができる。
【0066】
次に、本発明の実施の形態2について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図7は実施の形態2のリップ折り返し動作を説明する説明図を、
図8は
図7のリップ折り返し動作(ワイパブレードの停止毎)を説明するフローチャートを、
図9は
図7のリップ折り返し動作(車速検出の回数)を説明するフローチャートをそれぞれ示している。
【0068】
図7に示すように、実施の形態2においては、フロントガラス11の払拭面上に規定されるDR側ワイパブレード21bが移動し得る位置が、実施の形態1に比して異なっている。具体的には、実施の形態1における停止動作時上限位置EPSU(
図4参照)に換えて、第2の下方側停止位置(第3の停止位置)APS3を規定した点が異なっている。ここで、第2の下方側停止位置APS3を規定したことで、実施の形態2においては、APS1を第1の下方側停止位置としている。
【0069】
第2の下方側停止位置APS3は、第1の下方側停止位置APS1と停止動作時下限位置EPSLとの間で、かつ停止動作時下限位置EPSL寄りに設けられている。したがって、第1の下方側停止位置APS1と第2の下方側停止位置APS3との間の移動量は比較的多く設定されている。また、DR側ワイパブレード21bが第2の下方側停止位置APS3で停止される場合には、
図3の「停止状態A」に示すように、リップ71の先端側が払拭面の上方側に向いた状態とされる。
【0070】
図8および
図9に示すフローチャートは、イグニッションスイッチ15をオン操作することによりスタートする(ステップS31)。ステップS32では、ワイパスイッチ14がオン(ON)であるか否かを判定する。ステップS32でワイパスイッチ14がオンであると判定(Yes)した場合には、ステップS33に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して往復払拭動作させる。一方、ステップS32でワイパスイッチ14がオフ(OFF)であると判定(No)した場合には、ステップS34に進んで、DR側ワイパモータ20の停止状態を維持する。
【0071】
ステップS35では、ワイパスイッチ14がオフ(OFF)されたか否かを判定する。ステップS35でワイパスイッチ14がオフであると判定(Yes)した場合には、ステップS36に進む。一方、ステップS35でワイパスイッチ14がオン(ON)であると判定(No)した場合には、ステップS33に戻り、DR側ワイパモータ20を継続して往復払拭動作させる。
【0072】
ステップS36では、ワイパスイッチ14がオフされたとの判定結果に基づき、DR側ワイパブレード21b(リップ71の先端側)の前回の停止位置が、第1の下方側停止位置APS1または第2の下方側停止位置APS3であったか否かを判定する。ステップS36で、DR側ワイパブレード21bの前回の停止位置が上方側停止位置APS2であったと判定(No)した場合には、ステップS37に進んで、
図7に示す格納動作(A)を実行させる。
【0073】
ステップS38では、DR側ワイパブレード21bが第1の下方側停止位置APS1に到達したか否かを判定する。ステップS38で第1の下方側停止位置APS1に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS34に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが
図7の黒丸(1)の位置で停止して、
図3に示す「停止状態A」となり、前回の「停止状態B」に対して、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS38で未だ第1の下方側停止位置APS1に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS37に戻って格納動作(A)を継続して行わせる。
【0074】
ステップS36で、DR側ワイパブレード21bの前回の停止位置が、第1の下方側停止位置APS1または第2の下方側停止位置APS3であったと判定(Yes)した場合には、ステップS39に進んで、
図7に示す格納動作(B)を実行させる。
【0075】
ステップS40では、DR側ワイパブレード21bが停止動作時下限位置EPSLに到達したか否かを判定する。ステップS40で停止動作時下限位置EPSLに到達したと判定(Yes)した場合にはステップS41に進み、DR側ワイパモータ20を逆回転させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2側に駆動され、フロントガラス11の上方側に移動される(
図7参照)。一方、ステップS40で未だ停止動作時下限位置EPSLに到達していないと判定(No)した場合には、ステップS39に戻って格納動作(B)を継続して行わせる。
【0076】
ステップS42では、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2に到達したか否かを判定する。ステップS42で上方側停止位置APS2に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS34に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが
図7の黒丸(2)の位置で停止して、
図3に示す「停止状態B」となり、前回の「停止状態A」に対して、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS42で未だ上方側停止位置APS2に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS41に戻って格納動作(B)を継続して行わせる。
【0077】
ステップS43では、車速センサ16からの車速信号の入力の回数、つまり車速検出の回数が、所定のn回以上であるか否かを判定する。ステップS43で車速検出の回数が所定のn回未満であると判定(No)した場合には、
図8のステップS32に戻されるリターン処理が実行される。一方、ステップS43で車速検出の回数が所定のn回以上であると判定(Yes)した場合には、ステップS44に進み、それ以降のステップにおいてリップ折り返し動作が実行される。
【0078】
ステップS44では、DR側ワイパブレード21bが、現在、第1の下方側停止位置APS1または第2の下方側停止位置APS3で停止しているか否かを判定する。ステップS44で第1の下方側停止位置APS1または第2の下方側停止位置APS3であると判定(Yes)した場合にはステップS45に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して、DR側ワイパブレード21bを停止動作時下限位置EPSL側に駆動する。
【0079】
続くステップS46では、DR側ワイパブレード21bが停止動作時下限位置EPSLに到達したか否かを判定する。ステップS46で停止動作時下限位置EPSLに到達したと判定(Yes)した場合にはステップS47に進み、DR側ワイパモータ20を逆回転させる。これにより、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2側に駆動され、フロントガラス11の上方側に移動される(
図7参照)。一方、ステップS46で未だ停止動作時下限位置EPSLに到達していないと判定(No)した場合には、ステップS45に戻って停止動作時下限位置EPSLへの移動を継続して行わせる。
【0080】
ステップS48では、DR側ワイパブレード21bが上方側停止位置APS2に到達したか否かを判定する。ステップS48で上方側停止位置APS2に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS49に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。
【0081】
これにより、ステップS44における判定が、第1の下方側停止位置APS1であった場合には、
図7の白丸(3)の位置から黒丸(4)の位置にDR側ワイパブレード21bが移動して、
図3に示す「停止状態A」から「停止状態B」とされて、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。一方、ステップS44における判定が、第2の下方側停止位置APS3であった場合には、
図7の白丸(5)の位置から黒丸(6)の位置にDR側ワイパブレード21bが移動して、
図3に示す「停止状態A」から「停止状態B」とされて、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。
【0082】
ステップS48で未だ上方側停止位置APS2に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS47に戻って上方側停止位置APS2への移動を継続して行わせる。なお、ステップS49における処理後は、
図8のステップS32に戻されるリターン処理が実行される。
【0083】
ステップS44で上方側停止位置APS2であると判定(No)した場合にはステップS50に進み、DR側ワイパモータ20に駆動電流を供給して、DR側ワイパブレード21bを第2の下方側停止位置APS3側に駆動する。
【0084】
続くステップS51では、DR側ワイパブレード21bが第2の下方側停止位置APS3に到達したか否かを判定する。ステップS51で第2の下方側停止位置APS3に到達したと判定(Yes)した場合にはステップS52に進み、DR側ワイパモータ20への駆動電流の供給を停止してDR側ワイパモータ20を停止させる。これにより、
図7の白丸(7)の位置から黒丸(8)の位置にDR側ワイパブレード21bが移動されて、
図3に示す「停止状態B」から「停止状態A」とされて、リップ71の先端側が向く方向が異なる方向に向くように変えられる。
【0085】
ここで、上方側停止位置APS2と第2の下方側停止位置APS3との間には、十分な移動距離が確保されている。したがって、DR側ワイパモータ20を逆回転させる等して移動距離を確保しなくとも、リップ71の先端側が向く方向を異なる方向に向くように確実に変えることができる。
【0086】
ステップS51において、未だ第2の下方側停止位置APS3に到達していないと判定(No)した場合には、ステップS50に戻って第2の下方側停止位置APS3への移動を継続して行わせる。なお、ステップS52における処理後は、
図8のステップS32に戻されるリターン処理が実行される。
【0087】
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、
図7に示すように、エリア1の領域内のみでリップ折り返し動作を行うため、当該リップ折り返し動作が行われていることを、運転者や同乗者に対してさらに目立たなくさせることができる。
【0088】
次に、本発明の実施の形態3について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0089】
図10は実施の形態3のワイパモータの詳細を示す図を示している。
【0090】
図2に示す実施の形態1のDR側ワイパモータ20においては、ウォームホイール52に略円盤状のセンサマグネット53を設け、当該センサマグネット53と対向するようにして、DR側制御基板23には1つのMRセンサ23bを設けていた。
【0091】
これに対し、実施の形態3のDR側ワイパモータ80においては、アーマチュア軸44のウォーム45と整流子46との間にリング状の多極マグネット81を設け、当該多極マグネット81と対向するようにして、DR側制御基板23には一対の回転検出用ホールセンサ82,83を設けている。また、ウォームホイール52にはリング状のセンサマグネット84を設け、当該センサマグネット84と対向するようにして、DR側制御基板23には、一対の絶対位置検出用ホールセンサ85,86を設けている。
【0092】
多極マグネット81は、その周方向に等間隔でN極,S極・・・と交互に着磁(例えば6極)することで形成されている。多極マグネット81は、一対の回転検出用ホールセンサ82,83とともに、アーマチュア軸44の回転数,回転方向等を検出するために用いられる。回転検出用ホールセンサ82,83は、互いに多極マグネット81に近接配置され、十分な検出精度が得られるようにしている。そして、回転検出用ホールセンサ82,83は、多極マグネット81の回転に伴い矩形波状の電気信号(パルス信号)をそれぞれ発生し、これらのパルス信号はコントローラ23aに送出される。コントローラ23aはパルス信号の出現タイミングや出現数をカウントすることで、アーマチュア軸44の回転数や回転方向等の回転状態を把握し、これに基づいてモータ部40を制御する。
【0093】
センサマグネット84は、その周方向に沿う略90度の範囲がN極に着磁され、その他の略270度の範囲がS極に着磁されている。このセンサマグネット84は、一対の絶対位置検出用ホールセンサ85,86とともに、出力軸22の回転状態を検出するために用いられる。絶対位置検出用ホールセンサ85,86は、互いにセンサマグネット84に近接配置され、十分な検出精度が得られるようにしている。そして、絶対位置検出用ホールセンサ85,86は、センサマグネット84の回転に伴い矩形波状の電気信号(パルス信号)をそれぞれ発生し、これらのパルス信号はコントローラ23aに送出される。コントローラ23aはパルス信号の出現タイミングや出現数をカウントすることで、出力軸22の回転状態、つまり、
図1に示すDR側ワイパ部材21のフロントガラス11に対する位置情報を把握し、これに基づいてモータ部40を制御する。
【0094】
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3においては、モータ部40をより精度良く制御することが可能となり、ひいてはリップ折り返し動作をより精度良く行うことができる。
【0095】
次に、本発明の実施の形態4について図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0096】
図11は実施の形態4のワイパ装置を示す図を示している。
【0097】
図11に示すように、実施の形態4においては、実施の形態1のワイパ装置12(
図1参照)、つまり対向払拭型のダイレクトドライブワイパ装置に対して、タンデム型のワイパ装置90とした点が異なっている。このタンデム型のワイパ装置90は、1つのワイパモータ91で動力伝達機構92を駆動し、これによりDR側ワイパ部材93およびAS側ワイパ部材94を、車両10のフロントガラス11上で揺動させる。
【0098】
ワイパ装置90は、実施の形態1のDR側ワイパモータ20(
図2参照)と同じ構造のワイパモータ91を備えている。動力伝達機構92は、ワイパモータ91の揺動運動を、DR側ピボット軸95およびAS側ピボット軸96に伝達する。各ピボット軸95,96には、DR側ワイパ部材93およびAS側ワイパ部材94の基端側が固定され、各ピボット軸95,96の揺動運動に伴い、各ワイパ部材93,94の先端側がフロントガラス11上で揺動する。
【0099】
各ワイパ部材93,94は、それぞれワイパアーム93a,94aと、各ワイパアーム93a,94aに装着されたワイパブレード93b,94bとから構成される。
【0100】
そして、ワイパモータ91を回転駆動することで、ワイパモータ91の揺動運動が動力伝達機構92を介して各ピボット軸95,96に伝達され、これにより各ピボット軸95,96が揺動駆動される。このようにしてワイパモータ91の駆動力が各ワイパ部材93,94に伝達され、各ワイパブレード93b,94bによりフロントガラス11の払拭面に付着した雨水等が払拭される。
【0101】
以上のように形成した実施の形態4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4においては、1つのワイパモータ91のみを制御すれば良いので、実施の形態1に比して制御ロジックを簡素化することができる。
【0102】
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、車両10のフロントガラス11を払拭するワイパ装置12,90に本発明を適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、車両10のリヤガラスを払拭するワイパ装置にも適用することができる。